JP4528021B2 - 酸化物イオン混合伝導体、複合構造体、酸素分離装置、及び化学反応装置 - Google Patents

酸化物イオン混合伝導体、複合構造体、酸素分離装置、及び化学反応装置 Download PDF

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Description

本発明は、酸素の工業的選択透過・分離プロセス、あるいは炭化水素の部分酸化用隔膜リアクター等に応用される、酸化物イオン混合伝導体、当該混合伝導体を含んでなる複合構造体、酸素分離装置、及び化学反応装置に関するものである。
近年、イオン伝導材料を薄膜化し、これを用いて工業的に特定成分の分離や精製を行うプロセスは、著しく進歩・発展している。中でも、酸化物イオン伝導材料を用い、大気等の混合気体から酸素を選択的に透過させて分離・精製するプロセスは、医学用途のための小規模な酸素ポンプから、大規模な気体発生・精製プラントにまで適用が期待されている。また、最近では、酸化物イオン伝導材料の隔膜で酸素混合気体と炭化水素ガスとを隔絶し、酸素を選択的に透過させて炭化水素を部分酸化させる方法、いわゆる隔膜リアクター等の化学反応装置への使用も検討されている。
この目的に利用できる酸化物イオン伝導性のセラミックス材料としては、酸素イオンのみを伝える酸化物イオン伝導体と、酸素イオンと電子又は正孔を同時に伝える酸化物イオン混合伝導体が知られている。中でも、酸化物イオン混合伝導体は、材料自体が電子又は正孔を伝えることができることから、酸素イオンの移動を持続させるために必要な電荷の補償を、外部電流回路の形成をしなくても行えるので、酸素分離の用途には、より好適であると考えられている。即ち、酸化物イオン混合伝導体によって酸素分離を行うためには、この混合伝導体の両側の酸素ポテンシャルを異なるようにするだけでよく、酸素分圧の高い側から低い側に向かって酸素のみが混合伝導体を透過し、それ以外のガス成分は混合伝導体を透過できず、酸素の選択的な透過・分離が行える。
このような酸素の選択的透過・分離プロセス、あるいは隔膜リアクター等を実用化するためには、高い酸化物イオン伝導性を有する材料が必要であるが、その条件を満たす材料としてペロブスカイト型構造を有する酸化物イオン混合伝導体が検討されている。ペロブスカイト型構造は、一般式ABO3(A及びBは金属イオン)で表され、アニオンの酸素が12個配位するサイト(Aサイト)と、6個配位するサイト(Bサイト)にそれぞれカチオンが占有している結晶構造であるが、上記の目的で検討されている材料の多くは、BサイトにCo又はFeを含んでいる。例えば、特許文献1に開示されている[LaxSr(1-x)]CoO3-α(x=0.1〜0.9、α=0〜0.5)、あるいは、特許文献2に開示されている[La(1-x)Srx][Co(1-y)Fey]O3-δ(x=0.1〜1.0、y=0.05〜1.0、δ=0.5〜0)等の磁器組成物が、有力な候補材料として知られている。さらに、特許文献3においては、AxBax'ByB'y'B''y''O3-z(AはIUPACによって採用される元素周期律表による1、2及び3族とf周期のランタノイド族からなる群から選択され、B、B'及びB"がd周期の遷移金属から選択され、さらに0≦x≦1、0<x'≦1、0<y≦1、,0≦y'≦1、0≦y"≦1、x+x'=1、y+y'+y"=1であり、zは組成物の電荷が中性であるときに与えられる数値)なる、極めて広い組成範囲の酸化物イオン輸送透過膜が提案され、その具体例としてLa0.2Ba0.8Co0.8Fe0.2O2.6等が示されている。
一方、酸素分離を行う際には、混合伝導体材料は800〜900℃程度の温度で、1気圧以上の酸素分圧の高い環境に曝されることから、従来のランタノイドやFeを含むことによってペロブスカイト型構造を安定化している材料では、その安定性は十分ではなく、酸素透過速度の低い別の結晶構造に変態してしまう問題が発生し易い。この問題を解決する材料として、特許文献4においては、[Ln1-aAa][BxB'yB''z]O (3-δ)(ここで、LnはY又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。AはBa、Sr、Caの中から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。BはCo、Fe、Cr、Gaの中からFe又はCoを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、CrとGaのモル数の和が全B元素のモル数xに対し0%以上20%以下。B'はNb、Ta、Ti、Zrの中からNb又はTaを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、TiとZrのモル数の和が全B'元素のモル数yに対し0%以上20%下。B''はCu、Ni、Zn、Li、Mgの中から選ばれる1又は2種以上の元素の組み合わせ。0.8≦a≦1、0<x、0<y≦0.5、0≦z≦0.2、0.98≦x+y+z≦1.02、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)なる磁器組成物が提案されている。この材料は、Nb又はTaを含むことを特徴としており、ペロブスカイト型構造をより強力に安定化することと、高い酸素透過速度の両立を図っている。
さて、酸素が酸化物イオン混合伝導体を透過するときに律速となる素過程は、混合伝導体の厚さを薄くして行くにつれて、混合伝導体中で拡散が律速する状況(拡散律速)から、混合伝導体の表面において気相との酸素交換が律速する状況(表面反応律速)へと変化する。したがって、表面反応律速になってしまうまでの範囲では、厚さを薄くするほど酸素の透過量を大きくすることができる。このため、実際に酸素分離を行う方法としては、酸化物イオン混合伝導体を単体のバルクとして用いるのではなくて、これを薄い緻密質連続層として多孔質体上に形成し、セラミックス複合体化することの方が有効と考えられている(非特許文献1)。この複合体の機械的強度は多孔質体部によって確保されており、多孔質体は支持体としての機能を果たしている。この多孔質支持体部を構成する材料には、混合伝導体の緻密質連続層と焼結過程等で反応しないことや、熱膨張係数等が整合すること等、厳しい条件が求められる。これらの要件を満たす材料として、緻密質連続層と同じ混合伝導体材料を多孔質支持体部の材料にも採用することが提案されている(非特許文献2)。
特開昭56−92103号公報 特開昭61−21717号公報 特開平6−206706号公報 特開2002−12472号公報 特開2002−349714号公報 特開平8−276112号公報 特開平9−235121号公報 寺岡他、日本セラミックス協会学術論文誌、Vol.97、No.4、pp467-72 (1989) 寺岡他、日本セラミックス協会学術論文誌、Vol.97、No.5、pp533-38 (1989)
ところで、この「多孔質支持体部-緻密質連続層を含む膜部」のセラミックス複合体は、酸素分離に用いるに際しては、特許文献5等に開示されているように、金属のフランジ部材に接合して複合構造体とし、さらに、このフランジ部材を酸素分離用プラントに結合されて使用される。このため、セラミックス複合体と金属フランジ部材の接合は、シール性が確保されていることが必須であるが、これに加えて、熱応力等によるセラミックス複合体の破損を防ぐために、セラミックス複合体とフランジ部材の温度による寸法変化、いわゆる熱膨張係数を整合させることが必要不可欠である。
代表的な金属材料のステンレスは、測定条件や温度範囲にもよるが、大体17〜20ppm/℃程度の熱膨張係数が報告されている。一方、ペロブスカイト型の酸化物イオン混合伝導体は、セラミックスとしては異例に大きな熱膨張係数を有していて、上記ステンレスの値をも上回ると報告されている。例えば、特許文献6の図7には、代表的な混合伝導体であるLa0.2Sr0.8Co0.8Fe0.2O2.6の寸法の温度変化が示されているが、この図から当該材料の室温から800℃までの線熱膨張率は約25.8ppm/℃と推定される。また、特許文献4の表1には、様々な組成の緻密体の室温から800℃の間での線熱膨張係数が示されており、実施例の材料は全て21ppm/℃以上の大きな値を示している。
ところが、実際の混合伝導体と金属材料の熱膨張係数のずれの問題は、さらに深刻である。本発明者らは、開発を進める過程で、様々な混合伝導体の熱膨張係数を測定し、これらの材料の熱膨張係数は緻密体に比べて多孔体化することで大きくなることを見出した。例えば、特許文献4に開示されているSr(Co0.9Nb0.1)O3-δの緻密体の大気中で100〜850℃の間での熱膨張係数は23.6ppm/℃であるが、これに対して同じ組成で気孔率30%の多孔体を作製して同様の測定を行うと、28.7ppm/℃と極めて大きな値になっていることが分かった。前述の通り、混合伝導体を酸素分離に用いるに際しては、高い酸素透過速度を得るために混合伝導体材料で多孔質支持体を作製し、この上に緻密質連続層を形成し、複合体化することが提案されているが、この複合体の熱膨張挙動は多孔質支持体部に支配されているため、接合する金属のフランジ部材は、上述のように緻密体の熱膨張係数よりも一層高い多孔質支持体の熱膨張係数と整合させる必要がある。
なお、これらの先行技術の検討の過程で、混合伝導体の線熱膨張係数は測定試料の履歴に大きく影響されることが判明した。この試料履歴の問題は、熱膨張係数の測定で通常は、室温から1000℃程度の高温まで試料を加熱し、この加熱過程での試料寸法変化を測定して、熱膨張係数を算出していることに起因している。一方、空気を十分にフローさせながら、試料を装置内で一度1000℃まで加熱して30分程度保持し、その後1℃/分の速度で冷却し、この冷却過程での寸法変化から熱膨張係数を算出することで上記の試料履歴の問題は解決され、再現性の良い測定が可能となった。発明者らの以下に示す熱膨張係数の実測値は、全てこの条件で測定した100℃と850℃の間での値である。
ステンレスや耐熱合金等の代表的な金属材料の熱膨張係数は、カタログ値で17ppm/℃、我々が100℃と850℃の間でステンレスについて実測した値でも19.8ppm/℃程度であり、上記の混合伝導体との差は極めて大きい。上記混合伝導体材料と熱膨張係数が整合し得る金属材料としては、例えば銅合金がある。この金属の熱膨張係数は実測で23.5ppm/℃であり、混合伝導体の多孔質支持体の熱膨張係数ともほぼ整合可能な範囲である。しかしながら、銅合金は使用可能な温度範囲がステンレスや耐熱合金よりも低温度域に限定されると言う問題を有する。
一方、熱膨張係数に大きな差があることを承知の上でステンレスや耐熱合金で金属フランジを作製して混合伝導体と接合し、複合構造体とすると、酸素分離を行うために複合構造体に加熱・冷却の履歴を繰り返し与えていく中で、混合伝導体のセラミックス部にヒビを生じて、リークしてしまう問題が頻発し、信頼性に欠ける。以上のような背景から、ペロブスカイト型酸化物イオン混合伝導体の酸素透過速度等の特性を損なわずに、その熱膨張係数をステンレス等と整合する程度まで低下させることが必要となっている。
また、酸素分離複合構造体の信頼性を高めるとの観点からは、使用温度での熱膨張係数を整合させるだけでなく、室温から使用温度の間での熱膨張挙動もなるべく一致させる必要がある。混合伝導体の組成によっては、多孔体化すると特定の温度で急激に寸法が変化するような、熱膨張の非直線性が現れる場合がある。このような材料を金属部材と接合した複合構造体では、たとえ熱膨張係数を整合させてあったとしても、熱履歴を与えるたびに熱膨張の非直線性に起因して金属からの応力を繰り返し受けることとなり、疲労破壊の原因となり易い。このため、混合伝導体の熱膨張挙動は、直線性が高い方がよい。また、同様の議論から、混合伝導体の緻密体と多孔体の熱膨張挙動の差も、なるべく小さい方がよい。
混合伝導体の熱膨張係数を低下させるとの観点では、これまでに特許文献7において、ペロブスカイトのBサイトにCuを含有させる方法が開示されている。特許文献7の明細書の図8には、先行技術La0.2Sr0.8Co0.8Fe0.2O3-δと、実施例のLa0.2Sr0.8Co0.4Fe0.4Cu0.2O3-δの寸法には温度変化が示されている。図から算出された室温から800℃の熱膨張係数は、先行技術では25.8ppm/℃であるのに対し、実施例では20.6ppm/℃に低下しており、確かに鉄ベース耐熱合金のインコロイ800HTの熱膨張係数(図より算出された値:17.6ppm/℃)との整合も大きく改善されている。なお、特許文献7の明細書には、熱膨張を測定した試料の形態が、緻密体か多孔体かは明示されていない。文脈からは緻密体試料での測定結果のように見えるが、その場合は、当該材料を多孔質支持体にした場合の熱膨張係数が金属部材と整合可能なものであるかは不明である。また、我々が同技術の追試を行った限りでは、CuをBサイトに20%も添加すると、混合伝導体の焼成温度は大幅に低下し、高温で長時間酸素分離を続けると、クリープによる変形が生じ易くなったり、高酸素分圧下で酸素透過速度が低下し易くなったり等の問題があることが分かった。以上の背景に鑑みて、ペロブスカイト型酸化物イオン混合伝導体の酸素透過速度等の特性を損なわずに、なおかつ、その熱膨張係数をステンレス等と整合する程度まで低下できる新たな手段の必要性は、依然として高い。
そこで、本発明の目的は、ステンレスや耐熱合金等の金属部材と整合性の良い熱膨張係数を有すると共に、十分に高い酸素透過速度を示す酸化物イオン混合伝導体と、該酸化物イオン混合伝導体を用いてステンレス等の金属部材が接合された信頼性の高い複合体、酸素分離装置、及び化学反応装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題の解決を目指し、様々な組成の混合伝導体を合成し、その熱膨張係数の検討を進めた。その結果、ペロブスカイト型混合伝導体のAサイトにBaを含有した組成において、熱膨張係数が大きく低下する場合のあることを見出した。そこで、Ba含有組成を中心に鋭意検討を行った結果、AサイトにBaを含む組成の中でも、特に、BサイトにNb又はTaを含む場合に熱膨張係数の低減の効果が大きく、なおかつ、多孔体と緻密体の間の熱膨張係数差も小さくなるように改善されること、さらに、温度に対する寸法変化の直線性も優れていること等を確認した。例えば、BサイトにNbを含有する組成として前述のSr(Co0.9Nb0.1)O3-δは、大気中で100〜850℃までの熱膨張係数は、緻密体で23.6ppm/℃、多孔体で28.7ppm/℃であるのに対し、この材料のAサイトの30%をBaで置換した(Ba0.3Sr0.7)(Co0.9Nb0.1)O3-δでは、同条件で測定した熱膨張係数は、緻密体で19.5ppm/℃、多孔質支持体化でも20.5ppm/℃と、どちらも大幅に低減され、ステンレス等と整合する値に改善されていると共に、緻密体と多孔体の差も極めて小さくできることが分かった。これらの材料で酸素分離用の多孔質支持体/緻密質連続層の複合材料を作製し、実際にステンレスや耐熱合金と接合して酸素分離を行ったところ、繰り返し熱履歴を与えてもリークの発生が極めて少なく、信頼性が大変高いことを確認し、本発明を完成させるに至った。
ペロブスカイトを構成する元素としてBaをAサイトに含有させることは、混合伝導体等のイオン伝導体の分野だけでなく、誘電体や圧電体等の機能性セラミックスの様々な分野を通じ一般的である。混合伝導体の分野に限っても、先行技術として様々なBa含有組成が開示されている。しかしながら、Baの含有と熱膨張係数の関係に着目した検討は行われておらず、したがって、熱膨張係数の観点からBaの含有率を限定した混合伝導体の先行技術は存在していなかった。しかも、Baの含有と同時にBサイトの組成を特定の範囲に限定した場合に特に効果が大きく、ステンレス等と熱膨張係数を整合させることができるとの知見は、本発明において初めてもたらされた全く新しい技術である。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、その要旨は次の通りである。即ち、
(1) 金属部材と接合され得るペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、組成が下記の一般式
[LnaBabA1-a-b]BαO(3-δ)
(ここで、Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。Aは、Sr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。Bは、Cu、Ni、Zn、Li、Mg、Co、Fe、Cr、Ga、Nb、Ta、Ti又はZrの中から、Fe又はCoの中の少なくとも1種、及び、Nb又はTaの中の少なくとも1種を必ず含んで選ばれる、2種以上の元素の組み合わせ。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
で表され、かつ、気孔率10%以上の多孔体としたときの大気中での熱膨張係数が、100〜850℃の間で21ppm/℃未満であることを特徴とする酸化物イオン混合伝導体。
(2) (1)に記載の酸化物イオン混合伝導体を含んでなるセラミックス部材と、金属部材とが、シール性を有しつつ接合されてなることを特徴とする複合構造体。
(3) セラミックス部材が金属部材とシール性を有しつつ接合されて成る複合構造体であって、前記セラミックス部材が多孔質支持体部と該多孔質支持体部の上に形成された緻密質連続層を含む膜部から構成されており、前記多孔質支持体部が気孔率10%以上50%以下の(1)に記載の酸化物イオン混合伝導体を少なくとも有することを特徴とする複合構造体。
(4) 前記金属部材の100〜850℃の間の熱膨張係数が17ppm/℃以上23ppm/℃以下であることを特徴とする(2)又は(3)に記載の複合構造体。
(5) 前記緻密質連続層が厚さ1μm以上1mm以下のイオン混合伝導性酸化物からなることを特徴とする(4)に記載の複合構造体。
(6) 前記金属部材が、オーステナイト系ステンレス、鉄ベース耐熱合金、ニッケルベース耐熱合金、又は銅合金の少なくとも1種であることを特徴とする(2)〜(4)の何れか1つに記載の複合構造体。
(7) (2)〜(6)の何れか1つに記載の複合構造体を有することを特徴とする酸素分離装置。
(8) (2)〜(6)の何れか1つに記載の複合構造体を有することを特徴とする化学反応装置。
(9) 金属部材と接合され得るペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、組成が下記の一般式
[Ln a Ba b A 1-a-b ][B 1-x-y B' x B'' y ]αO (3- δ )
(ここで、Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。Aは、Sr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。Bは、Co、Fe、Cr又はGaの中から、Fe又はCoを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、CrとGaのモル数の和が全B元素のモル数(1-x-y)に対し0%以上20%以下。B'は、Nb、Ta、Ti又はZrの中から、Nb又はTaを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、TiとZrのモル数の和が全B'元素のモル数xに対し0%以上20%以下。B''は、Cu、Ni、Zn、Li又はMgの中から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.07<x≦0.5、0≦y≦0.15、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
で表され、かつ、気孔率10%以上の多孔体としたときの大気中での熱膨張係数が、100〜850℃の間で21ppm/℃未満であることを特徴とする(1)に記載の酸化物イオン混合伝導体。
(10) 金属部材と接合され得るペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、組成が下記の一般式
[Ln a Ba b A 1-a-b ][B 1-x B' x ]αO (3- δ )
(ここで、Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。Aは、Sr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。Bは、Co、Fe、Cr又はGaの中から、Fe又はCoを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、CrとGaのモル数の和が全B元素のモル数(1-x)に対し0%以上20%以下。B'は、Nb、Ta、Ti又はZrの中からNb又はTaを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、TiとZrのモル数の和が全B'元素のモル数xに対し0%以上20%以下。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.07<x≦0.5、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
で表され、かつ、気孔率10%以上の多孔体としたときの大気中での熱膨張係数が、100〜850℃の間で21ppm/℃未満であることを特徴とする(1)に記載の酸化物イオン混合伝導体。
本発明によれば、十分に高い酸素透過速度を保持しつつ、なおかつ、100〜850℃の間での熱膨張係数が21ppm/℃未満に低減され、緻密体と多孔体での熱膨張係数の差異も小さい酸化物イオン混合伝導体を得ることが可能となる。本発明の提供する酸化物イオン混合伝導体は、従来の混合伝導体と比較して、ステンレスや耐熱合金等の金属部材との熱膨張・収縮に関する整合性が大幅に向上している。したがって、当該酸化物イオン混合伝導体を用いて金属部材と接合して複合構造体を作製すると、繰り返し熱履歴を与えた場合でもリークの発生が極めて少なく、信頼性の高い複合構造体を提供することが可能となる。さらに、この複合構造体を用いた酸素分離装置、化学反応装置は、空気からの酸素分離、あるいは炭化水素の部分酸化等の化学反応を行う装置として、高性能化と低コスト化に資するところが大きい。
本発明の提供する一つの材料は、実質的にペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、下記の組成式(式1)で表されると共に、気孔率10%以上の多孔体としたときの大気中での熱膨張係数が、100℃から850℃の間で21ppm/℃未満であることを特徴とする。
[LnaBabA1-a-b]BαO(3-δ) ・・・(式1)
(ここで、LnはY又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。AはSr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。BはCu、Ni、Zn、Li、Mg、Co、Fe、Cr、Ga、Nb、Ta、Ti又はZrの中から、Fe又はCoの中の少なくとも1種、及び、Nb又はTaの中の少なくとも1種を必ず含んで選ばれる、2種以上の元素の組み合わせ。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
先にも述べたように、この材料は、ペロブスカイト型構造のAサイトにBa、BサイトにCo又はFeの少なくとも一方、及び、Nb又はTaの少なくとも一方を含有することで、緻密体は勿論、多孔質支持体とした場合にでも、21ppm/℃未満と言う熱膨張係数を取るので、ステンレス等の金属材料の熱膨張係数と整合可能なことが特徴である。なお、金属材料との整合の観点から、酸化物イオン混合伝導体の大気中での熱膨張係数は、多孔体は勿論、緻密体の場合にでも15ppm/℃以上であることが望ましい。BサイトにFe又はCoを必ず含むこととしているのは、高い酸素透過速度を確保するためである。ここで、より一層高い酸素透過速度を得るためには、必ずCoを含むことが望ましい。また、Bサイトに必ずNb又はTaを含有させることで、より有効な熱膨張係数の低減の効果が得られると共に、多孔体と緻密体の間の熱膨張係数差も小さくなり、温度に対する寸法の変化曲線の直線性も向上する。
Y又はランタノイドの含有量を0≦a≦0.2と限定するのは、この範囲を超えて含有すると酸素透過速度が低下するためである。また、Baの含有量を0.2<b≦0.9と限定するのは、この範囲よりも少ない含有量だと、線熱膨張係数の低減の程度が不十分なためであり、この範囲を超えて多く含有すると、使用環境によっては酸素透過速度の安定性の低下が問題となるからである。また、ペロブスカイト構造のAサイトとBサイトの比率αを0.9≦α≦1.2の範囲に限定するのは、この範囲を外れると酸素透過速度が低下したり、材料の強度が低下したりする問題が生じるためである。
上記(式1)のより好ましい組成は、下記の(式2)に表される組成である。
[LnaBabA1-a-b][B1-x-yB'xB''y]αO(3-δ) ・・・(式2)
(ここで、LnはY又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。AはSr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。BはCo、Fe、Cr又はGaの中から、Fe又はCoを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、CrとGaのモル数の和が全B元素のモル数(1-x-y)に対し0%以上20%以下。B'はNb、Ta、Ti又はZrの中から、Nb又はTaを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、TiとZrのモル数の和が全B'元素のモル数xに対し0%以上20%以下。B''はCu、Ni、Zn、Li又はMgの中から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.07<x≦0.5、0≦y≦0.15、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
B'の量を0.07<x≦0.5の範囲に限定するのは、これよりも含有量が少なくなると熱膨張係数の改善効果やペロブスカイト型構造の安定性が低下し、これよりも多いと酸素透過速度が低下するためである。より高い酸素透過速度を実現するためには、xは0.3以下の範囲が望ましく、ペロブスカイト相の安定性が使用環境下で確保可能であるならば、xは0.2以下の範囲がより望ましい。また、Cu等を含むB''の含有量を0≦y≦0.15の範囲に限定するのは、この範囲を超えて多く含有すると酸素透過速度が低下したり、ペロブスカイト型構造の安定性が不十分になるためである。逆に、この範囲内で適当な量のB''元素を含有することにより、酸素透過速度を向上させることが可能となる。B''の元素としてCuやLiを含むと、焼結温度の低下し過ぎて問題が生じる場合もある。したがって、B''の元素はNi、Zn、及びMgのみで構成されることが望ましい。
(式2)で表される材料に対し、酸素透過速度の安定性等、信頼性の確保に主眼をおいた場合には、Bサイトに低価数元素B''を含まない、下記の(式3)で表される酸化物イオン混合伝導体がより好ましい。
[LnaBabA1-a-b][B1-xB'x]αO(3-δ) ・・・(式3)
(ここで、LnはY又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。AはSr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。BはCo、Fe、Cr又はGaの中から、Fe又はCoを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、CrとGaのモル数の和が全B元素のモル数(1-x)に対し0%以上20%以下。B'はNb、Ta、Ti又はZrの中から、Nb又はTaを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、TiとZrのモル数の和が全B'元素のモル数xに対し0%以上20%以下。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.07<x≦0.5、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
本発明に係る酸化物イオン混合伝導体は、多少の不純物を含んでも、特性に大きな劣化は見られない。ただし、その許容量は元素のモル比にして全体の5%以下、望ましくは2%以下の程度である。この範囲を外れて不純物を含むと、異相を生成したり、酸素透過速度が低下したりする等の問題が生じる。一方、本発明の酸化物イオン混合伝導体は第2相と複合化することが可能である。例えば、AgやAg-Pd、Pt等の金属と複合化すれば、焼結性を向上させたり、材料強度を向上させたりすることができる。
本発明の提供する酸化物イオン混合伝導体は、多孔質支持体とした場合にでも熱膨張係数が21ppm/℃未満に低減されているため、この材料を100〜850℃の間の膨張係数が17ppm/℃以上23ppm/℃以下の範囲にある金属部材とシール性を有しつつ接合しても、信頼性の高い酸素分離用複合構造体を得ることができる。このような金属部材の例としては、オーステナイト系ステンレス、鉄ベース耐熱合金、ニッケルベース耐熱合金、又は銅合金等の少なくとも1種を挙げることができる。より具体的には、オーステナイト系ステンレスのSUS310、鉄ベース耐熱合金のインコロイ800等が好適である。
本発明の提供する酸化物イオン混合伝導体は、例えば、酸素分離用複合構造体として用いられるに際し、緻密質の自立膜として使用される場合もあるが、より高い酸素分離速度を実現するためには、多孔質支持体部の上に緻密質連続層を含む膜部を形成したセラミックス複合体として用いることが望ましい。特に、多孔質支持体として用いられるときに、当該酸化物イオン混合伝導体の有するペロブスカイト相の高い安定性や、十分に低減された熱膨張係数等の特性を活かすことができる。本発明の酸化物イオン混合伝導体を多孔質支持体に用いた場合、緻密質連続層には多孔質支持体と同じ組成の混合伝導体を用いても良いし、健全な緻密質連続層の形成が可能な範囲においては、組成の異なる混合伝導体を用いても良い。この多孔質支持体部の気孔率を10%以上50%以下とするのは、この範囲外となると、酸素透過速度が低下したり、機械的特性が低下したりしてしまう等の問題を生じるためである。また、緻密質連続層の厚さは1μm以上1mm以下とするのが好ましく、この範囲外となると、酸素透過速度が低下したり、リークが増大して得られる酸素の純度が低下したりする等の問題を生じるためである。
これらの複合構造体の形状は、平板型であっても良いし、管状、あるいは片端を閉じた管形状のいわゆるタンマン形状であっても良い。また、緻密質連続層には、表面での酸素交換反応を促進するための触媒層を形成して用いても良い。
本発明による酸化物イオン混合伝導体の多孔質支持体の製造は、セラミックス多孔体を製造するために通常用いられる方法が使用可能である。その方法の一つとして、必要な元素を含む酸化物を原料とし、これを焼成する方法がある。また、原料として、酸化物の他に塩類、例えば、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物、あるいは水酸化物、オキシハロゲン化物を用い、これらを所定の割合で混合して、焼成する方法がある。また、上記塩類の内で、水に可溶なものを所定の割合で水に溶解して蒸発乾燥する方法、あるいは、フリーズドライ法やスプレードライ法によって乾燥した後、焼成する方法、水に可溶な塩類を水に溶解した後、アンモニア水等のアルカリ性溶液を添加して、水酸化物の沈殿とし、焼成する共沈法、あるいは、原料に金属アルコキシドを用い、これを加水分解してゲルを得て、焼成するゾルゲル法等も適用可能である。
多孔質支持体の焼成は、仮焼と、本焼成(焼結)の2段階で行うのが一般的である。仮焼は、400〜1100℃の温度範囲で、数時間から十数時間程度行い、仮焼粉を製造するのが通常である。この仮焼粉をそのまま成形して本焼成を行っても良いし、仮焼粉にポリビニルアルコール(PVA)等の樹脂を混合して成形、本焼成しても良い。本焼成の温度は、組成等によって異なるが、通常700〜1300℃、好ましくは1000〜1250℃の範囲である。本焼成の時間は、組成と焼成温度によって異なるが、通常、数時間以上を要する。本焼成の雰囲気は、一般には大気中で十分であるが、必要に応じて制御雰囲気下で焼成しても良い。また、多孔質支持体の成形の手段としては、通常のバルクセラミックスの製造と同様に、仮焼粉や混合粉をダイスに詰めて、加圧、成型してもよいし、泥漿鋳込み法や、押し出し成型法等を用いても良い。
一方、緻密質連続膜は、セラミックス膜を製造するために通常用いられる方法により作製できる。真空蒸着法等のPVDやCVDと言った、いわゆる薄膜形成手法によって成膜しても良いが、より簡便で経済的には、多孔質支持体の上にスラリー状にした原料粉や仮焼粉を塗布し、焼成する方法が好ましい。緻密質連続膜の焼成温度は、膜がガスリークを起こさないように緻密化すると共に、この焼成過程で多孔質支持体の気孔率が大きく低下することのない条件を選択する必要がある。通常の焼成温度は、700〜1300℃、好ましくは1000〜1250℃の範囲である。また、焼成時間には、通常で数時間を要する。この緻密質連続膜の焼成は、多孔質支持体の焼成の後に別々に行っても良いし、支持体の焼成と同時に行っても良い。緻密質連続膜の密度は、ガスリークを起こさないために、相対密度(理論密度に対する比)として、好ましくは85%以上、より好ましくは93%以上の範囲である。また、緻密質連続膜の表面に触媒層を付与する場合は、緻密質連続膜の焼成後、原料を分散したスラリー等を塗布し、緻密質連続膜の焼成温度よりも低温で焼き付けを行うことが好ましい。
上述の製法で得た多孔質支持体と、金属部材とをシール性を有しつつ接合する方法については、セラミックスを金属と接合するために通常用いられる方法が使用可能である。その方法の一つとして、銀ロウ等の金属をソルダーとして用い、これを金属部材との間に入れて加熱処理して接合する、金属ソルダー法がある。また、ソルダーにジルコニア等を含有する酸化物を用いた酸化物ソルダー法、金属と酸化物の混合ソルダーを用いる方法、金やニッケル、モリブデン等の高融点金属を含むソルダーを用いる方法等がある。また、接合層をイオンプレーティング等の気相法によって形成する方法、あるいは金属部材とセラミックス複合体とを焼きばめ等によって機械的に接合する方法、金属の箔を挟んで圧着する方法等を用いても良い。
上記のプロセスで形成した複合材料によって、例えば、酸素を含有する混合気体から酸素の選択的透過・分離を行うためには、複合材料の両面の酸素ポテンシャルが異なるようにすればよい。大気から酸素を分離するためには、原料大気側を加圧するか、酸素の取り出し側を減圧してやればよい。例えば、原料大気側を10〜30気圧に加圧し、透過酸素側を1気圧として酸素を製造することができる。また、原料大気側を1〜30気圧とし、透過酸素側をポンプで0.05気圧程度に減圧しても良い。また、酸素富化空気を製造するためには、原料大気側を10〜30気圧に加圧し、反対側に1気圧の大気を供給すればよい。この酸素分離の操業温度は、500〜1000℃、好ましくは650〜950℃の範囲である。
このように、本発明の酸化物イオン混合伝導体及び複合構造体は、純酸素、あるいは、酸素富化空気の製造装置等に応用できる。また、さらに、酸素分離以外の用途、特に酸化反応が関与する化学反応装置、例えば、メタンから一酸化炭素と水素からなる合成ガスを製造するメタンの部分酸化反応の反応装置にも利用できる。
(実施例)
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこの内容に限定されるものではない。
(実施例1)
様々な組成の多孔体試料を作製し、大気中での熱膨張係数を測定した。試料の原料としては、Ba、Sr、及びCaについては炭酸塩、それ以外の元素については酸化物の試薬を用いた。それぞれ所要量を秤量した後、イソプロピルアルコールを分散媒として、ジルコニアボールと共に24時間ボールミル混合を行った。得られたスラリーを乾燥、解砕し、MgO製の角さやに詰め、大気中で850℃12時間の仮焼を行った。次に、得られた仮焼粉を粉砕して、有機系バインダーを混練した後、40mm角のダイスに詰めて板状に一軸成形し、さらに氷嚢に詰めてCIP成形を行った。その後、得られた成形体をMgO製の角さや内で、1000〜1250℃の範囲の焼結温度にて5時間焼成を行い、焼結体を得た。さらに、ダイヤモンドカッターを用いて得られた焼結体を切断し、約5mm×5mm×20mmの棒状試料を得た。試料の密度を試料寸法と質量より求め、X線密度に対する相対密度を算出した。さらに、多孔体については、気孔率を[100-相対密度(%)]の関係より求めた。熱膨張係数の測定に供した試料は、緻密体の場合は相対密度95%以上、多孔体の場合は気孔率が10%以上であることを確認した。
熱膨張係数は、示差熱膨張係数により、標準試料にα-アルミナを用いて測定した。測定に際しては、空気を十分にフローさせながら、一度1000℃まで加熱して30分程度保持し、その後1℃毎分で90℃まで冷却し、この冷却過程での寸法変化から100℃と850℃の間での熱膨張係数を算出した。
表1に、試料の組成と、100℃と850℃の間での熱膨張係数の測定値を示す。試料の組成は、下記の組成式(式2)に従い、組成比と元素で表した。
[LnaBabA1-a-b][B1-x-yB'xB''y]αO(3-δ) ・・・(式2)
Figure 0004528021
試料No.1〜15は実施例、No.16〜23は比較例である。比較例のNo.16〜18はbが本発明の範囲外であり、No.19、20はxが本発明の範囲外である。また、比較例No.21、22はαが本発明の範囲外であり、No.23はyが本発明の範囲外である。
表1から、本発明の範囲内の材料の熱膨張係数は、緻密体、多孔体共に21ppm/℃未満となっており、従来材料及び発明の範囲外の材料と比較して大幅な改善が図られていて、ステンレス等と整合可能な値になっていることがわかる。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、従来技術の混合伝導体La0.2Sr0.8Co0.8Fe0.2O3-δと、本発明の混合伝導体Ba0.3Sr0.7Co0.905Nb0.1O3-δの2種類の組成について、それぞれタンマン管形状の酸素分離管を作製した。タンマン管は、外径20mmφ、内径14mmφ、長さ100mm程度の寸法で、多孔質支持体の外側に緻密質連続層を形成した。多孔質支持体と緻密質連続層の組成は、同一組成とした。得られたタンマン管の開口部側を、銀ロウを用いてオーステナイト系ステンレスSUS310のブロックに銀ロウ付けによって接合して、複合構造体の作製を試みた。それぞれの組成につき、各10個ずつ複合構造体の作製を試行した。その結果、比較材料のLa0.2Sr0.8Co0.8Fe0.2O3-δにおいては、10個の複合構造体全てについて、銀ロウ付けが完了した段階で、接合部近傍の酸素分離管側に亀裂が入り、分離管がステンレスブロックから外れてしまった。一方、本発明の混合伝導体Ba0.3Sr0.7Co0.905Nb0.1O3-δにおいては、10個の複合構造体の全てを、酸素分離管がステンレスブロックに接合された健全な状態で回収することができた。さらに、得られた複合構造体について、室温と900℃の間を10回往復するヒートサイクルテストを実施したところ、10個の複合材料の内、9個は試験完了後も酸素分離管は健全であり、ステンレスブロックとガスシール性を保った状態で接合されていた。一方、残りの1個については、10回のサイクルテストの後、ステンレスブロックとの接合部にガスのリークが発生していた。
さらに、上記サイクルテスト完了後でも健全であった9個の複合構造体を酸素分離装置に取り付け、900℃に加熱し、酸素分離管の外側の雰囲気を10気圧の大気雰囲気としたところ、分離管の内側には酸素が透過した。この透過した酸素ガスを回収し、純度99%以上の酸素を連続的に得ることができた。また、酸素分離を終了し、酸素分離装置を室温まで冷却したところ、9個の複合構造体の全てを健全な状態で回収することができた。
本試験の結果から、本発明の範囲内の混合伝導体材料は、従来材料と比較してステンレス等の金属部材との熱膨張係数の整合性が改善されているため、酸素分離管を作製し、金属部材と接合して複合構造体とした時に、大幅に信頼性の向上した複合構造体を提供可能であることが確認された。また、本発明の複合構造体を酸素分離装置や化学反応装置に用いることで、高性能でかつ高信頼性、低コストな装置を提供可能であることが確認された。

Claims (10)

  1. 金属部材と接合され得るペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、
    組成が下記の一般式
    [LnaBabA1-a-b]BαO(3-δ)
    (ここで、Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。Aは、Sr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。Bは、Cu、Ni、Zn、Li、Mg、Co、Fe、Cr、Ga、Nb、Ta、Ti又はZrの中から、Fe又はCoの中の少なくとも1種、及び、Nb又はTaの中の少なくとも1種を必ず含んで選ばれる、2種以上の元素の組み合わせ。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
    で表され、かつ、気孔率10%以上の多孔体としたときの大気中での熱膨張係数が、100〜850℃の間で21ppm/℃未満であることを特徴とする酸化物イオン混合伝導体。
  2. 請求項1に記載の酸化物イオン混合伝導体を含んでなるセラミックス部材と、金属部材とが、シール性を有しつつ接合されてなることを特徴とする複合構造体。
  3. セラミックス部材が金属部材とシール性を有しつつ接合されて成る複合構造体であって、
    前記セラミックス部材が多孔質支持体部と該多孔質支持体部の上に形成された緻密質連続層を含む膜部から構成されており、前記多孔質支持体部が気孔率10%以上50%以下の請求項1に記載の酸化物イオン混合伝導体を少なくとも有することを特徴とする複合構造体。
  4. 前記金属部材の100〜850℃の間の熱膨張係数が17ppm/℃以上23ppm/℃以下であることを特徴とする請求項又はに記載の複合構造体。
  5. 前記緻密質連続層が厚さ1μm以上1mm以下のイオン混合伝導性酸化物からなることを特徴とする請求項に記載の複合構造体。
  6. 前記金属部材が、オーステナイト系ステンレス、鉄ベース耐熱合金、ニッケルベース耐熱合金、又は銅合金の少なくとも1種であることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の複合構造体。
  7. 請求項の何れか1項に記載の複合構造体を有することを特徴とする酸素分離装置。
  8. 請求項の何れか1項に記載の複合構造体を有することを特徴とする化学反応装置。
  9. 金属部材と接合され得るペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、
    組成が下記の一般式
    [LnaBabA1-a-b][B1-x-yB'xB''y]αO(3-δ)
    (ここで、Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。Aは、Sr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。Bは、Co、Fe、Cr又はGaの中から、Fe又はCoを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、CrとGaのモル数の和が全B元素のモル数(1-x-y)に対し0%以上20%以下。B'は、Nb、Ta、Ti又はZrの中から、Nb又はTaを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、TiとZrのモル数の和が全B'元素のモル数xに対し0%以上20%以下。B''は、Cu、Ni、Zn、Li又はMgの中から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.07<x≦0.5、0≦y≦0.15、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
    で表され、かつ、気孔率10%以上の多孔体としたときの大気中での熱膨張係数が、100〜850℃の間で21ppm/℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物イオン混合伝導体。
  10. 金属部材と接合され得るペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、
    組成が下記の一般式
    [LnaBabA1-a-b][B1-xB'x]αO(3-δ)
    (ここで、Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせ。Aは、Sr又はCaから選ばれる1種又は2種の元素の組み合わせ。Bは、Co、Fe、Cr又はGaの中から、Fe又はCoを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、CrとGaのモル数の和が全B元素のモル数(1-x)に対し0%以上20%以下。B'は、Nb、Ta、Ti又はZrの中からNb又はTaを必ず含んで選ばれる1種又は2種以上の元素の組み合わせで、TiとZrのモル数の和が全B'元素のモル数xに対し0%以上20%以下。ただし、0≦a≦0.2、0.2<b≦0.9、0.07<x≦0.5、0.9≦α≦1.2、δは電荷中性条件を満たすように決まる値。)
    で表され、かつ、気孔率10%以上の多孔体としたときの大気中での熱膨張係数が、100〜850℃の間で21ppm/℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物イオン混合伝導体。
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