JP3927299B2 - 複層塗膜形成法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン電着塗料、中塗り塗料および上塗り塗料を塗装してなる複層塗膜の形成法に関し、特に、塗膜ワキの発生が防止されかつ塗面の平滑性が改良された複層塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
硬化したカチオン電着塗面に中塗り塗料を塗装し加熱硬化した後、上塗り塗料を塗装して複層塗膜を形成することは公知であり、形成された複層塗膜は平滑性などにすぐれており、多くの分野で採用されているが、近年、工程短縮などの理由により、この中塗り塗膜の加熱工程を省略し、未硬化の該塗面に上塗り塗料を塗装した後、加熱してこれらの塗膜を同時に硬化することが提案されている。
【0003】
しかしながら、硬化したカチオン電着塗面は通常、微細な凹凸を有しており、平滑性が本質的に悪いので、この塗面に中塗り塗料を塗装し、未硬化のままで上塗り塗料を重ねると、カチオン電着塗面の凹凸が上塗り塗面にも現われ、平滑性が十分でないという欠点を有している。この平滑性を改良するために中塗り塗膜を厚くすることもあるが、その場合上塗り塗料の塗装後に加熱すると塗膜中の有機溶剤が突沸してワキが発生するという問題が生ずる。
【0004】
本発明の目的は、カチオン電着塗料、中塗り塗料および上塗り塗料を順次塗装する塗装工程において、中塗り塗膜を加熱硬化させることなく(工程短縮)、しかも平滑性にすぐれかつ厚く塗装してもワキ発生を防止することが可能な複層塗膜の形成方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を行なった結果、今回、中塗り塗料として活性エネルギー照射および加熱の両者で硬化しうる塗料を使用し、活性エネルギー照射により中塗り塗膜を少なくとも部分的に硬化させてから上塗塗料を塗装し、ついで加熱硬化することにより、上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば、カチオン電着塗料を塗装し、加熱硬化した後、重合性不飽和化合物、光重合開始剤、熱重合開始剤および顔料、ならびに場合によりさらに、ポリエステル樹脂および架橋剤を含有する中塗り塗料を塗装し、活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させてから、熱硬化性上塗り塗料を塗装した後、加熱して硬化させることを特徴する複層塗膜形成法が提供される。
【0007】
以下本発明の複層塗膜形成法についてさらに詳細に説明する。
【0008】
被塗物
本発明の方法が適用される被塗物は、カチオン電着が可能な導電性表面を有する成形品であれば特に制限はないが、本発明の方法は、自動車車体の外板部、例えば、ルーフ、ドア外板部、ボンネットフード、トランクリッド、フェンダー、フロントエプロンなど;および内板部、例えば、ドア内側部、ボンネット内部、トランクルームなどの塗装のために特に有用である。
【0009】
カチオン電着塗料(A)
上記被塗物に塗装するカチオン電着塗料(A)としては、水酸基およびカチオン性基を有する基体樹脂(A−1)およびブロックポリイソシアネート化合物などの架橋剤(A−2)を含有するカチオン電着塗料が好適である。
【0010】
ここで、基体樹脂(A−1)としては、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得られるエポキシ樹脂、すなわち、ポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテルに、カチオン化剤を反応させて得られる樹脂が好ましい。
【0011】
カチオン化剤を反応させる前のエポキシ樹脂は、エポキシ基を1分子中に2個以上有しており、数平均分子量が200以上、好適には400〜4,000、そしてエポキシ当量が190〜2000、好適には400〜1000の範囲内にあることが好ましい。
【0012】
該エポキシ樹脂の調製に使用することができるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシブチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどがあげられる。
【0013】
該エポキシ樹脂にカチオン性基を導入するために用いられるカチオン化剤としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、ポリアミンなどのアミン化合物があげられ、これらはエポキシ樹脂中に存在するエポキシ基の殆んどもしくはすべてと反応させることが望ましい。これらはエポキシ基と反応して、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基などのカチオン性基を形成する。
【0014】
基体樹脂(A−1)の水酸基は、例えば、カチオン化剤として使用されうるアルカノールアミンにより、あるいはエポキシ樹脂の変性のために該樹脂に反応されることがあるカプロラクトンの開環またはポリオールとの反応などにより導入される第1級水酸基;エポキシ樹脂中のエポキシ基の開環により生じた2級水酸基などが包含される。このうち、アルカノールアミンとの反応により導入される第1級水酸基は、ブロックポリイソシアネート化合物(架橋剤)との架橋反応性にすぐれており好適である。
【0015】
基体樹脂(A−1)は、20〜5,000、特に100〜1,000mgKOH/gの範囲内の水酸基当量を有することが好ましく、特に、第1級水酸基当量は200〜1,000mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。一方、カチオン性基は、該基体樹脂を水中に安定に分散しうる必要な量で存在すればよく、KOH(mg/g固形分)(アミン価)換算で一般に3〜200、特に10〜80の範囲内にあることが好ましい。
【0016】
基体樹脂(A−1)は原則として遊離エポキシ基を含まないことが望ましい。
【0017】
カチオン電着塗料(A)において、基体樹脂(A−1)を架橋硬化させるための架橋剤(A−2)としては、主としてブロックポリイソシアネート化合物が使用される。
【0018】
ブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のすべてをブロック剤で封鎖することにより常温では不活性としたものであり、所定温度以上、好ましくは120℃以上の温度に加熱するとこのブロック剤が解離して元のイソシアネート基が再生して架橋反応に関与する。
【0019】
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に遊離のイソシアネート基2個以上、好ましくは2〜3個有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロペンタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;これらのポリイソシアネート化合物のウレタン化付加物、ビユーレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物等があげられる。
【0020】
一方、ブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤、アルコール系ブロック剤、活性メチレン系ブロック剤、メルカプタン系ブロック剤、酸アミド系ブロック剤、イミド系ブロック剤、アミン系ブロック剤、イミダゾール系ブロック剤、尿素系ブロック剤、カルバミン酸系ブロック剤、イミン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、亜硫酸系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤などがあげられる。
【0021】
カチオン電着塗料(A)において、基体樹脂(A−1)と架橋剤(A−2)との配合比率は、該両成分の合計固形分重量に基いて、前者は40〜90%、特に50〜80%、後者は60〜10%、特に50〜20%の範囲内にあることが好ましい。
【0022】
カチオン電着塗料(A)は、例えば、基体樹脂(A−1)および架橋剤(A−2)を混合し、基体樹脂(A−1)中のカチオン性基を酢酸、ギ酸、乳酸、りん酸などの酸性物質で中和し且つ水性媒体中に分散させることによって調製することができる。得られる水性分散液のpHは3〜9、特に5〜7の範囲内にあることが好ましく、また、樹脂固形分濃度は5〜30重量%の範囲内にあるのが適している。
【0023】
カチオン電着塗料(A)には、さらに必要に応じて、防錆性硬化触媒、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、沈降防止剤などの塗料用添加物を適宜配合することができる。
【0024】
カチオン電着塗料(A)の塗装は、例えば、自動車車体などの導電性金属(被塗物)をカソード、炭素板をアノードとし、浴温20〜35℃、電圧100〜400V、電流密度O.01〜5Aおよび通電時間1〜10分なる条件下に電着塗装を行うことにより実施することができる。塗装膜厚は、硬化塗膜で10〜40μmの範囲内が好ましく、形成される塗膜は約140〜約190℃で約10〜約40分加熱することにより架橋硬化せしめることができる。
【0025】
この電着塗膜は、自動車車体(被塗物)の外板部および内板部のほぼ全面に形成することができる。
【0026】
中塗り塗料(B)
本発明の方法に従えば、上記の如くして形成されるカチオン電着塗膜面に、重合性不飽和化合物(B−1)、光重合開始剤(B−2)、熱重合開始剤(B−3)および顔料(B−4)を含有する有機溶剤系塗料が塗装される。
【0027】
重合性不飽和化合物(B−1)は、1分子中に1個以上、好ましくは2〜5個の重合性不飽和結合を有する化合物であり、以下に例示する化合物があげられる。
【0028】
a)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数1〜22の1価アルコールとのエステル化物、
b)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの炭素数2〜20のグリコールと(メタ)アクリル酸とのモノ(またはジ)エステル化物、
c)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸またはこれらの無水物やハーフエステル化物などのジカルボン酸もしくはその変性物、
d)(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル、
e)アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアクリル系単量体、
f)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド系単量体、
g)グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有単量体、
h)スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどのビニル化合物、
i)Ph−O−(C24 0)n−0CHC=CH2 (式中、Phは場合により炭素数15以下のアルキル基を有していてもよいフェニル基であり、nは1〜6の整数である)で示されるフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、N−ビニルピロリドン、ビスフフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタまたはヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリウレタンの両末端水酸基に2モルのアクリル酸を付加させたオリゴマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエステルの末端水酸基に2モル以上のアクリル酸を付加させたオリゴマーなど。
【0029】
かかる重合性不飽和化合物(B−1)は、一般に、50〜3000、特に100〜2000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
【0030】
光重合開始剤(B−2)は、活性エネルギー線の照射により、上記の重合性不飽和化合物(B−1)の架橋(重合)反応を促進させるためのものであり、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、2−メチルベンゾイン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ジフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、ジアセチル、エオシン、チオニン、ミヒラ−ケトン、アントラセン、アントラキノン、アセトフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−イソプロピルαヒドロキシイソブチルフェノン、α・α´ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メチルベンゾイルフォルメイト、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]・2・モルフォリノ−プロペン、チオキサントン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モンフォリノプロパノン1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1オン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−イル)チタニウム)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ビスアシルフォスフィンオキサイド、(η5 −2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)などがあげられる。
【0031】
これらの光重合開始剤(B−2)の配合比率は、上記の重合性不飽和化合物(B−1)100重量部あたり、一般に0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部の範囲内が適している。
【0032】
熱重合開始剤(B−3)は、活性エネルギー線が照射されなかった部分や照射が不十分な部分の中塗り塗膜などに含まれる重合性不飽和化合物の加熱による架橋(重合)反応を促進させるものであり、例えば、過酸化ベンゾイル、ジt−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンザンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの過酸化物;α,α′−アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物などがあげられる。
【0033】
これらの熱重合開始剤(B−3)の配合量は、上記の重合性不飽和化合物(B−1)100重量部あたり、一般に0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部の範囲内が適している。
【0034】
顔料(B−4)として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末などのメタリック顔料などを使用することができる。
【0035】
顔料(B−4)の配合量は、上記の重合性不飽和化合物(B−1)100重量部あたり、一般に1〜250重量部、特に3〜150重量部の範囲内が適している。
【0036】
さらに、本発明で用いる中塗り塗料(B)には、塗膜物性、例えば、柔軟性、タワミ性、耐チッピング性、層間付着性等の改善を目的として、上記成分に加えて、ポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)を配合することができる。
【0037】
ポリエステル樹脂(B−5)は、通常、多塩基酸と多価アルコールとをエステル化反応させることにより製造されるものであり、1分子中に2個以上の水酸基を有していることが好ましい。
【0038】
多塩基酸は1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸およびこれらの無水物などがあげられ、また、多価アルコールは1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどがあげられる。
【0039】
ポリエステル樹脂は、これらの多塩基酸および多価アルコールを既知のエステル化方法に従って反応させることにより調製することができ、中でも、水酸基価が50〜150mgKOH/g、特に65〜120mgKOH/gの範囲内にあり、酸価が0〜30mgKOH/g、特に1〜10mgKOH/gの範囲内にあり、そして、数平均分子量が約3000〜20000、特に5000〜13000の範囲内にある飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0040】
また、ポリエステル樹脂(B−5)として、あまに油脂肪酸、やし油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸などの(半)乾性油脂肪酸などで変性した脂肪酸変性ポリエステル樹脂も使用することができる。これらの脂肪酸の変性量は一般に油長で30重量%以下であることが適している。さらに、ポリエステル樹脂(B−5)として、分子内に重合性不飽和結合を含有している不飽和ポリエステル樹脂を使用することもできる。
【0041】
架橋剤(B−6)としては、上記ポリエステル樹脂(B−5)中の水酸基やカルボキシル基などの官能基と架橋反応しうるものが使用でき、例えば、メラミン樹脂およびブロックポリイソシアネート化合物などがあげられる。
【0042】
メラミン樹脂としては、メチロール化メラミンのメチロール基の一部もしくは全部が炭素数1〜8の1価アルコールでエーテル化された部分エーテル化もしくはフルエーテル化メラミン樹脂で、トリアジン核を1〜5個有し且つ分子量が300〜2000の範囲内にあるものが好ましい。イミノ基含有メラミン樹脂も使用することができる。
【0043】
ブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のすべてをブロック剤で封鎖したもので、所定温度、例えば120〜170℃に加熱するとブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生してポリエステル樹脂と架橋反応するものである。
【0044】
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロペンタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;該ポリイソシアネートのビユーレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物;これらのポリイソシアネートと低分子量もしくは高分子量のポリール類とをイソシアネート基過剰で反応させてなる遊離イソシアネート基含有プレポリマーなどがあげられる。一方、ブロック剤としは、例えば、フェノール類、オキシム類、ラクタム類、アルコール類、メルカプタン類や、活性メチレン系、酸アミド系、イミド系、アミン系、イミダゾール系、尿素系、カルバミン酸系、イミン系のものなどが好ましい。ブロックポリイソシアネートは一般に200〜10000の範囲内の分子量を有していることが好ましい。
【0045】
上記のポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)を用いる場合の中塗り塗料(B)における上記各成分の配合比率は厳密に制限されるものではなく、目的とする複層塗膜に要求される物性等に応じて変えることができるが、一般的には、重合性不飽和化合物(B−1)、ポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)については、これらの3成分の合計量を基準に、重合性不飽和化合物(B−1)は98〜1重量%、特に80〜40重量%、ポリエステル樹脂(B−5)は1〜75重量%、特に15〜40重量%、架橋剤(B−6)は1〜24重量%、特に5〜20重量%の範囲内が好ましい。また、光重合開始剤(B−2)は、重合性不飽和化合物(B−1)、ポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)の合計100重量部あたり、0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部の範囲が適している。熱重合開始剤(B−3)は、重合性不飽和化合物(B−1)、ポリエステル重合性(B−5)および架橋剤(B−6)の合計100重量部あたり、0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部の範囲内が適している。顔料(B−4)は、重合性不飽和化合物(B−1)、ポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)の合計100重量部あたり、1〜250重量部、特に3〜150重量部の範囲内が適している。
【0046】
中塗り塗料(B)は、例えば、上記した重合性不飽和単量体(B−1)、光重合開始剤(B−2)、熱重合開始剤(B−3)および顔料(B−4)ならびに場合によりさらに、ポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)を、炭化水素系、エステル系、エーテル系、アルコール系、ケトン系有機溶剤に混合分散せしめることにより調製することができ、さらに場合により、塗面調整剤、酸化防止剤、流動調整剤、顔料分散剤などを適宜配合することもできる。また、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミンを、重合性不飽和化合物(B−1)、ポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)の合計100重量部あたり、0.1〜20重量部添加することにより塗膜の硬化性を向上させることもできる。
【0047】
中塗り塗料(B)は、塗装時の粘度を15〜25秒/フォードカップ#4/20℃、固形分含有率を40〜95重量%に調整し、カチオン電着塗装した自動車車体(被塗物)の外板部および内板部のほぼ全面に、静電塗装、エアレススプレー、エアスプレーなどにより塗装することが好ましく、その塗装膜厚は硬化塗膜で10〜60μm、特に15〜40μmの範囲内が好ましい。
【0048】
かくして塗装される中塗り塗膜は、好ましくは、室温もしくは100℃以下の温度で乾燥して塗膜中の有機溶剤を蒸発除去させたのち、活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化せしめる。
【0049】
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー線、エックス線、電子線、イオンビーム線などがあげられる。このうち紫外線を使用することが好ましく、その発生装置としては、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライド、ガリウムランプ、ケミカルランプなどがあげられる。また。紫外線の照射量は特に制限されないが、通常、約10〜2000mj/cm2 の範囲内が好ましく、電子線は50〜300Kevを1〜20Mradの量で照射することが好ましい。これらの照射時間は通常0.5秒〜5分間が適している。
【0050】
中塗り塗面に活性エネルギー線を照射するにあたり、被塗物の形状によっては活性エネルギー線を中塗り塗面全面に均一に照射することは困難であり、例えば、自動車車体では、外板部には十分に照射することは可能であるが、内板部は照射が不十分もしくは全く照射されないことがる。活性エネルギー線が十分に照射された中塗り塗膜は短時間で三次元に架橋硬化し、そのゲル分率は、中塗り塗膜がポリエステル樹脂および架橋剤を含まない場合には約90〜100重量%、そして含む場合には約30〜95重量%、好ましくは約50〜90重量%に達し、平滑性もほぼ良好である。一方、活性エネルギー線照射が不十分もしくは全く照射されない部分の中塗り塗膜は殆ど架橋硬化せず、そのゲル分率は約50重量%以下(ポリエステル樹脂および架橋剤を含まない場合)あるいは約30重量%以下(ポリエステル樹脂および架橋剤を含む場合)であり、加熱による架橋硬化が必要となる。なお、この平滑性は十分に照射された部分に比べやや劣るが、主に内板部であり、仕上り外観を強く要求されない部分である。
【0051】
ここで「ゲル分率」は、中塗り塗料(B)を構成する上記の成分のうち、重合性不飽和単量体、光重合開始剤、熱重合開始剤および有機溶剤ならびに場合によりさらにポリエステル樹脂および架橋剤からなる塗料(顔料を含まず)を塗装し、室温もしくは100℃以下の温度で乾燥して塗膜中の有機溶剤を蒸発除去させたのち、活性光線を照射して塗膜を硬化せしめ、ついでこの遊離塗膜を、アセトンとメタノールとの等重量混合液に入れ還流状態で6時間抽出し、残存塗膜を乾燥させてから、それぞれの重量を測定し、式:[(抽出後の乾燥塗膜重量/抽出前の乾燥塗膜重量)×100]にあてはめて算出した重量分率である。
【0052】
かくして形成される活性エネルギー線が照射された中塗り塗膜面についで熱硬化性上塗り塗料(C)を塗装し、加熱する。これにより上塗り塗膜が硬化すると同時に中塗り塗膜の未硬化または不完全硬化部分も硬化し、目的とする複層塗膜が形成される。
【0053】
特に、中塗り塗料(B)がポリエステル樹脂(B−5)および架橋剤(B−6)を含む場合、ポリエステル樹脂は、活性エネルギー線照射段階では実質的に硬化することがないが、上塗り塗膜の加熱硬化と同時に架橋硬化が進行し、完全に硬化した複層塗膜を形成することができる。
【0054】
熱硬化性上塗り塗料(C)として、ソリッドカラー塗料(C−1)、メタリック塗料(C−2)、クリヤ塗料(C−3)などを使用することができ、これらを適宜組み合わせ用いることによりソリッドカラー仕上げまたはメタリック仕上げの上塗り塗膜を形成することができる。
【0055】
ソリッドカラー塗料(C−1)は、基体樹脂、架橋剤、着色顔料および有機溶剤を含有する熱硬化性塗料であり、該基体樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基などの架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂などの樹脂があげられ、また、架橋剤としては、これらの官能基と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物または樹脂、カルボキシル基含有化合物または樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物または樹脂などがあげられる。
【0056】
着色顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの通常の塗料用ソリッドカラー顔料があげられ、これらの配合量は塗膜に望まれる色調等に応じて任意に選択することができる。また、有機溶剤としては、例えば、炭化水素系、エステル系、エーテル系、アルコール系、ケトン系溶剤などの通常の塗料用溶剤を使用することができる。
【0057】
ソリッドカラー塗料(C−1)は、これらの成分を混合分散せしめることにより調製することができ、その塗装時の固形分濃度は約40〜約70重量%、塗装時粘度は15〜25秒/フォードカップ#4/20℃の範囲内が適している。
【0058】
メタリック塗料(C−2)は、基体樹脂、架橋剤、メタリック顔料および有機溶剤を含有する熱硬化性塗料であり、このうち基体樹脂、架橋剤および有機溶剤としては、ソリッドカラー塗料(C−1)について例示したものが使用できる。また、メタリック顔料としては、例えば、りん片状のアルミニウム、雲母、金属酸化物で表面被覆した雲母、雲母状酸化鉄などが包含される。メタリック塗料(C−2)の塗装時の固形分濃度は約15〜約30重量%、粘度は10〜15秒/フォードカップ#4/20℃の範囲内にあることが好ましい。
【0059】
クリヤ塗料(C−3)は、ソリッドカラー塗料(C−1)について述べたと同様の基体樹脂、架橋剤および有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて着色顔料やメタリック顔料を透明性を阻害しない程度に配合してなる熱硬化性塗料である。クリヤ塗料(C−3)の塗装時の固形分濃度は約40〜約70重量%、粘度は15〜25秒/フォードカップ#4/20℃の範囲内にあることが好ましい。
【0060】
本発明の方法は、これらの上塗り塗料(C)を、中塗り塗料が塗装された自動車車体(被塗物)の主として外板部に塗装し、必要に応じて内板部にも塗装し、ついで加熱硬化せしめることにより達成される。
【0061】
ソリッドカラー塗料(C−1)、メタリック塗料(C−2)およびクリヤ塗料(C−3)を用いて上塗り塗膜を形成するための具体的方法としては、例えば、次のような方法があげられる。
【0062】
a)中塗り塗膜面に、ソリッドカラー塗料(C−1)、さらに必要に応じてクリヤ塗料(C−3)を塗装した後、加熱して、中塗り塗膜およびこれらの上塗り塗膜を同時に硬化させて複層塗膜を形成する。
【0063】
b)中塗り塗膜面に、メタリック塗料(C−2)およびクリヤ塗料(C−3)を塗装した後、加熱して、中塗り塗膜およびこれらの上塗り塗膜を同時に硬化させて複層塗膜を形成する。
【0064】
方法a)では、中塗り塗膜面に、ソリッドカラー塗料(C−1)を静電塗装、エアレススプレーまたはエアスプレーなどで、硬化塗膜に基く膜厚が5〜50μm、好ましくは10〜30μm程度になるように塗装し、さらに必要に応じてクリヤ塗料(C−3)を同様にして硬化塗膜に基く膜厚が10〜80μm、好ましくは20〜50μm程度になるように塗装したのち、約120〜約160℃で約10〜約40分加熱して、塗膜を硬化させることにより複層塗膜を形成する。
【0065】
方法b)では、中塗り塗膜面に、メタリック塗料(C−2)を静電塗装、エアレススプレーまたはエアスプレーなどで、硬化塗膜に基く膜厚が10〜50μm、好ましくは15〜35μm程度になるように塗装し、ついでクリヤ塗料(C−3)を同様にして硬化塗膜に基く膜厚が10〜80μm、好ましくは20〜50μm程度になるように塗装したのち、約120〜約160℃で約10〜約40分加熱して、塗膜を硬化させることにより複層塗膜を形成する。
【0066】
【発明の効果】
本発明の特徴は、加熱硬化した電着塗面に、活性エネルギー線照射および加熱の両者で硬化しうる中塗り塗料(B)を使用し、その中塗り塗膜を活性エネルギー線照射により硬化させた後、上塗り塗料(C)を塗装し加熱硬化する点にある。その結果、中塗り塗膜を硬化させることによってカチオン電着塗面の凹凸の殆どが消去され、その塗面にさらに上塗り塗料を塗装するとカチオン電着塗面の凹凸がすべて消去され、平滑性が向上し、また、中塗り塗膜が厚くてもワキが発生することが認められない。しかも、中塗り塗膜を加熱せず、活性エネルギー線照射により硬化せしめるので硬化が極めて短時間ですみ、工程短縮が可能になる。一方、中塗り塗膜を硬化せずに、その塗面に上塗り塗料を塗装するとカチオン電着塗面の凹凸を消去することが困難で、ワキも発生しやすく、また、中塗り塗膜を加熱硬化してから上塗り塗料を塗装すると工程が増加し、ワキも発生しやすいという欠点がある。
【0067】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、部および%はいずれも重量基準である。
【0068】
1.試料の調製
1)被塗物:
りん酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料(「エレクロン9600」関西ペイント社製、商品名)を硬化膜厚が約20μになるように電着塗装し、170℃で30分加熱し硬化させて被塗物とした。
【0069】
2)中塗り塗料(B)
(a):水酸基含有ポリエステル樹脂にアクリル酸を付加したポリエステルオリゴマー(数平均分子量1500、重合性二重結合を1分子あたり2個有する)60部、ペンタエリスリトールトリアクリレート40部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光重合開始剤)3部、t−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエート(熱重合開始剤)5部およびチタン白顔料60部を、キシレンとスワゾール1500(コスモ石油製、商品名、炭化水素系溶剤)の等重量混合溶剤に混合分散し、粘度20秒/フォードカップ#4/20℃、固形分含有率85%に調整した中塗り塗料(a)を得た。
【0070】
(b):大豆油脂肪酸変性飽和ポリエステル樹脂(水酸基価100mgKOH/g、酸価5mgKOH/g、数平均分子量約6000、油長15重量%)15部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価120mgKOH/g、酸価10mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)14部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価78mgKOH/g、酸価29mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)8部、ブチル化メラミン樹脂13部、水酸基含有ポリエステル樹脂にアクリル酸を付加したポリエステルオリゴマー(数平均分子量1500、重合性二重結合を1分子あたり2個有している)30部、ペンタエリスリトールトリアクリレート20部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光重合開始剤)1.5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(熱重合開始剤)2.5部およびチタン白顔料60部を、キシレンとスワゾール1500(コスモ石油製、商品名、炭化水素系溶剤)との等重量混合溶剤に混合分散し、粘度20秒/フォードカップ#4/20℃、固形分含有率95%に調整した中塗り塗料(b)を得た。
【0071】
(c):大豆油脂肪酸変性飽和ポリエステル樹脂(水酸基価100mgKOH/g、酸価5mgKOH/g、数平均分子量約6000、油長15重量%)10部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価120mgKOH/g、酸価10mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)7部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価78mgKOH/g、酸価29mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)5部、ブチル化メラミン樹脂8部、水酸基含有ポリエステル樹脂にアクリル酸を付加したポリエステルオリゴマー(数平均分子量1500、重合性二重結合を1分子あたり2個有している)40部、ペンタエリスリトールトリアクリレート30部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光重合開始剤)2部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(熱重合開始剤)3.5部およびチタン白顔料60部を、キシレンとスワゾール1500(コスモ石油製、商品名、炭化水素系溶剤)との等重量混合溶剤に混合分散し、粘度20秒/フォードカップ#4/20℃、固形分含有率95%に調整した中塗り塗料(c)を得た。
【0072】
(d):大豆油脂肪酸変性飽和ポリエステル樹脂(水酸基価100mgKOH/g、酸価5mgKOH/g、数平均分子量約6000、油長15重量%)15部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価120mgKOH/g、酸価10mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)14部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価78mgKOH/g、酸価29mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)8部、ブチル化メラミン樹脂13部およびチタン白顔料60部を、キシレンとスワゾール1500(コスモ石油製、商品名、炭化水素系溶剤)との等重量混合溶剤に混合分散し、粘度20秒/フォードカップ#4/20℃、固形分含有率95%に調整した中塗り塗料(d)を得た(比較例用)。
【0073】
(e):大豆油脂肪酸変性飽和ポリエステル樹脂(水酸基価100mgKOH/g、酸価5mgKOH/g、数平均分子量約6000、油長15重量%)10部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価120mgKOH/g、酸価10mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)7部、飽和ポリエステル樹脂(水酸基価78mgKOH/g、酸価29mgKOH/g、数平均分子量約7000、油長0重量%)5部、ブチル化メラミン樹脂8部およびチタン白顔料60部を、キシレンとスワゾール1500(コスモ石油製、商品名、炭化水素系溶剤)との等重量混合溶剤に混合分散し、粘度20秒/フォードカップ#4/20℃、固形分含有率95%に調整した中塗り塗料(e)を得た(比較例用)。
【0074】
2.実施例および比較例
実施例 1
カチオン電着塗料を塗装した上記の被塗物の全面に中塗り塗料(a)をエアスプレーで硬化塗膜で35μmになるように塗装し、室温で5分乾燥した後、中塗り塗面の約半分に、メタルハライドランプで紫外線を1000mj/cm2 を照射した(照射時間は約2秒間)。ついで、この紫外線の照射部分と非照射部分の両塗面に、「アミラック黒」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系上塗り塗料:黒色)を15μm(硬化塗膜)の膜厚に塗装した後、140℃で30分加熱してこれらの塗膜を硬化させた。
【0075】
実施例 2
カチオン電着塗料を塗装した上記の被塗物の全面に中塗り塗料(b)をエアスプレーで硬化塗膜で35μmになるように塗装し、室温で5分乾燥した後、中塗り塗面の約半分に、メタルハライドランプで紫外線を1000mj/cm2 を照射した(照射時間は約2秒間)。ついで、この紫外線の照射部分と非照射部分の両塗面に、「アミラック黒」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系上塗り塗料:黒色)を15μm(硬化塗膜)の膜厚に塗装した後、140℃で30分加熱してこれらの塗膜を硬化させた。
【0076】
実施例 3
カチオン電着塗料を塗装した上記の被塗物の全面に中塗り塗料(c)をエアスプレーで硬化塗膜で35μmになるように塗装し、室温で5分乾燥した後、中塗り塗面の約半分に、メタルハライドランプで紫外線を1000mj/cm2 を照射した(照射時間は約2秒間)。ついで、この紫外線の照射部分と非照射部分の両塗面に、「マジクロンシルバーメタリック」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂・メラミン樹脂系メタリック塗料)を15μm(硬化塗膜)および「マジクロンクリヤ」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂・メラミン樹脂系クリヤ塗料)を35μm(硬化塗膜)をウエットオンウエットで塗装した後、140℃で30分加熱してこれらの塗膜を同時に硬化させた。
【0077】
比較例 1
カチオン電着塗料を塗装した上記の被塗物の全面に中塗り塗料(d)をエアスプレーで硬化塗膜で35μmになるように塗装し、室温で5分乾燥した後、140℃で30分加熱してこの塗膜を硬化したのち、「アミラック黒」を15μm(硬化塗膜)塗装した後、140℃で30分加熱してこれらの塗膜を同時に硬化させた。
【0078】
比較例 2
カチオン電着塗料を塗装した上記の被塗物の全面に中塗り塗料(e)をエアスプレーで硬化塗膜で35μmになるように塗装し、室温で5分乾燥した後、「マジクロンシルバーメタリック」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂・メラミン樹脂系メタリック塗料)を15μm(硬化塗膜)および「マジクロンクリヤ」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂・メラミン樹脂系クリヤ塗料)を35μm(硬化塗膜)をウエットオンウエットで塗装した後、140℃で30分加熱してこれらの塗膜を同時に硬化させた。
【0079】
3.塗膜性能試験結果
【0080】
【表1】
Figure 0003927299
【0081】
表1において、
観察部位:「照」は中塗り塗面に紫外線を照射した部分、「非」は中塗り塗面に紫外線を照射しなかった部分である。
【0082】
平滑性:電着塗膜に起因する凹凸発生の有無を上塗り塗面で目視評価した結果であり、○は凹凸が全く認められない、△は凹凸が少し認められる、×は凹凸が明確にかつ多く認められることを示す。
【0083】
ワキ発生:上塗り塗面でのワキ発生の有無を目視評価した結果であり、○はワキ発生が全く認められない、△はワキ発生が少し認められる、×はワキ発生が明確にかつ多く認められることを示す。
【0084】
工程短縮:○は工程が短縮できた、×は工程が短縮できなかったことを示す。

Claims (1)

  1. 被塗物にカチオン電着塗料を塗装し、加熱硬化した後、水酸基価が50〜150mgKOH/gの水酸基含有飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネートより選ばれる架橋剤、重合性不飽和化合物、光重合開始剤、熱重合開始剤および顔料を含有する中塗り塗料を塗装し、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させてから、熱硬化性上塗り塗料を塗装し、加熱してこれらの塗膜を同時に硬化させることを特徴とする複層塗膜形成法。
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