JP4307120B2 - 複層塗膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複層塗膜の形成方法およびそれにより形成された複層塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車塗膜の形成においては、塗装を行った後、焼き付けを行わずに次の塗料を塗装する、いわゆるウエット・オン・ウエット塗装を行い、このようにして得られた塗膜を同時に焼き付ける2コート1ベークといわれる塗装方法がすでに一般化している。この塗装方法は通常、上塗り塗膜であるベース塗膜とクリアー塗膜とに適用されることが多い。また、最近では、ここに中塗り塗膜を加えた3つの層を同時に焼き付ける3コート1ベークの塗装方法が行われるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらの塗装方法では、ウエット・オン・ウエット塗装を可能にするため、通常、プレヒートと呼ばれる工程が実施される。このプレヒート工程は、室温〜80℃程度で1〜10分間送風または加熱して、未硬化塗膜上に別の塗料を塗り重ねた際の混層を防止するものである。しかし、このプレヒートの条件では硬化が進行するものではなく、単に未硬化塗膜の不揮発分を増加させるに過ぎないため、特に上記未硬化塗膜が水性塗料を塗装して得られたものである場合、ウエット・オン・ウエット塗装において、先に形成した未硬化塗膜が別の塗料の塗布によって、お互いが混じり合う、いわゆる混層が生じ、十分な外観が得られない場合があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−035677号公報(従来の技術)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ウエット・オン・ウエット塗装を行った際に、混層が生じない複層塗膜の形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の複層塗膜の形成方法は、第1の塗料を塗装して第1の層を形成した後、焼き付けを行わずに、前記第1の層の上に、第2の塗料を塗装して第2の層を形成する、ウエット・オン・ウエット塗膜形成方法において、上記第1の塗料が活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するものであって、上記第1の層を形成した後、上記第2の塗料を塗装した場合に混層が生じないよう、上記活性エネルギー線を照射することを特徴とするものである。ここで、上記第1の塗料は、加熱により硬化が進行するものであってよい。また、上記第2の層を形成した後、上記第1の層および第2の層を同時に焼き付けてもよいし、上記第2の塗料は、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するものであってよい。また、上記第2の層を形成した後、上記活性エネルギー線を照射し、焼き付けを行わず、さらに別の塗料を塗装して別の層を形成し、この後、上記第1の層、第2の層および別の層を同時に焼き付けることができる。さらに、上記活性エネルギー線が照射される層を形成するための塗料が水性塗料であってよく、上記複層塗膜は自動車車体または自動車部品上に設けられるものでってよい。
本発明の複層塗膜は先の複層塗膜の形成方法により得られるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の複層塗膜の形成方法では、第1の塗料を塗装して第1の層を形成した後、焼き付けを行わずに、前記第1の層の上に、第2の塗料を塗装して第2の層を形成する。この方法は、ウエット・オン・ウエット塗膜形成方法と呼ばれるものである。
【0008】
ここで用いられる上記第1の塗料は、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するものである。上記活性エネルギー線としては、紫外線、X線、電子線、近赤外線または可視光などが挙げられる。なお、本発明で定義する活性エネルギー線には、赤外線、高周波、マイクロ波のような熱に関与するエネルギーは含まないものとする。ただし、近赤外線は熱に関与するエネルギーであるが、この波長領域で開始能を有する開始剤が存在するため、上記活性エネルギー線に含めるものとする。また、上記活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するとは、活性エネルギー線そのものにより硬化が進行するものだけでなく、活性エネルギー線によって発生した活性種によって硬化が進行するものも意味する。
【0009】
上記活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するための反応性官能基としては、二重結合や三重結合の不飽和結合単独、この不飽和結合とチオール基との組み合わせ、エポキシ基、マレイミド基、オキセタン基、アルコキシシリル基などがあるが、他の官能基との共存安定性を考慮すると、上記第1の塗料は、不飽和結合単独またはこれとチオール基とを組み合わせたものを含んでいるが好ましい。
【0010】
このような第1の塗料として、紫外線や電子線の照射によって硬化するように設計された不飽和結合を含む光硬化性樹脂組成物を用いることが可能であるが、自動車用塗膜を形成する場合、その物性を考慮すると、もともと自動車用塗料として設計された熱硬化性塗料組成物に、上記不飽和結合を導入することが好ましい。このように不飽和結合を導入することにより、活性エネルギー線の照射および加熱によって硬化可能な塗料が得られる。加熱により硬化が進行することにより、後述するように2層以上の未硬化塗膜を同時に焼き付けて、目的とする複層塗膜を得ることが可能となる。
【0011】
上記自動車用塗料として設計された熱硬化性塗料組成物としては、中塗り塗料および上塗り塗料があり、上塗り塗料は通常、ベース塗料とクリアー塗料とからなる。
【0012】
上記中塗り塗料は、下地である電着塗膜の凹凸を隠蔽し、表面平滑性を確保するとともに、耐衝撃性、耐チッピング性、耐候性等の塗膜物性を付与するために用いられる。上記中塗り塗料は、一般的にバインダー成分と顔料とを含んでいる。上記バインダー成分は、通常、硬化性官能基を有する樹脂と硬化剤とからなる。上記硬化性官能基を有する樹脂としては塗料用樹脂として一般的に用いられるポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂が有する硬化性官能基としては特に限定されず、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基等を挙げることができる。また、上記硬化剤としては、上記硬化性官能基の種類に応じて、当業者によってよく知られた硬化剤を適宜選択することができる。一般的には、顔料分散性や塗装作業性等の観点から、上記硬化性官能基を有する樹脂が水酸基を有するポリエステル樹脂および/またはアクリル樹脂であり、上記硬化剤がポリイソシアネートおよび/またはメラミン樹脂であることが好ましい。さらに、中塗り塗膜には、耐衝撃性、耐チッピング性が必要とされることから、硬化性官能基を有する樹脂は、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。なお、上記ポリイソシアネートは、貯蔵安定性の観点から、有するイソシアネート基をブチルセロソルブや2−エチルヘキサノール等のアルコール類やメチルエチルケトオキシム等のオキシム類等、当業者によってよく知られているブロック剤によってブロックされていることが好ましい。
【0013】
また、先の耐衝撃性および耐チッピング性の観点から、ポリエーテルポリオール樹脂やゴム成分などの上記一般的に用いられる塗料用樹脂よりも柔らかい性質を有する成分をバインダー成分として含有していてもよい。さらに、ウエット・オン・ウエット塗装における混層を防止する目的で、粘性制御剤や非水分散樹脂を含有させておくことが好ましい。
【0014】
上記中塗り塗料が含有する顔料としては、着色顔料および体質顔料が一般的である。上記着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ等の無機系着色顔料;アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インディゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着色顔料等を挙げることができる。また、上記体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、ケイ酸アルミ(クレー)、タルク等を挙げることができる。また、上記着色顔料および体質顔料以外に、必要に応じ、光輝性顔料を含むことができる。
【0015】
また、上記中塗り塗料は、上記成分の他に必要に応じて、顔料分散剤、表面調整剤、粘性制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等、当業者によってよく知られている各種添加剤を含むことができる。このような中塗り塗料は、一般に溶液型のものが好ましく、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン)、非水分散型の形態を取ることが可能である。
【0016】
一方、上記ベース塗料は、バインダー成分と顔料とを含んでいる。上記バインダー成分としては、先の中塗り塗料で挙げたものを利用することができるが、上塗り塗膜の物性を考慮すると、硬化性官能基を有する樹脂は水酸基を有するアクリル樹脂であることが好ましい。また、硬化剤としては、ブロックされていてもよいポリイソシアネートおよび/またはメラミン樹脂であることが好ましい。
【0017】
また、上記ベース塗料に含まれる顔料では、先の着色顔料および体質顔料に加え、光輝性顔料が通常よく用いられる。この光輝性顔料として、例えば、アルミニウム粉、マイカ粉、ガラス粉、ブロンズ粉、アルミニウム粉、チタン粉等を挙げることができる。
【0018】
上記ベース塗料は、上記成分の他に必要に応じて、中塗り塗料のところで挙げた各種添加剤を含むことができるが、ウエット・オン・ウエット塗装における混層防止機能を有するものを含んでいることが好ましい。上記ベース塗料は、先の中塗り塗料のところで挙げた種々の形態を取ることが可能であるが、環境保護の観点から水性の形態を取ることが好ましい。
【0019】
上記クリアー塗料は、ベース塗膜の凹凸を平滑にしたり、ベース塗膜を保護する目的に加え、更に意匠性を付与する目的で塗装されることもある。
【0020】
上記クリアー塗料に含まれるバインダー成分としては、例えば、反応性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらは、その反応性官能基に応じた硬化剤と組み合わされて用いられる。硬化剤としては、アミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネートがよく知られている。ここで、透明性または耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂とを組み合わせたもの、あるいは、カルボン酸/エポキシ硬化系を利用したアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂を用いることが好ましい。クリアー塗料は一般的に顔料を含まないものであるが、ここで用いるクリアー塗料は、意匠性を付与するため、先に挙げた顔料成分を、透明性を損なわない程度含んでいてもよい。また、先の2種類の塗料と同じく、各種添加剤を含むことができるが、ウエット・オン・ウエット塗装における混層を防止するためのものが含まれていることが好ましい。上記クリアー塗料の塗料形態としては、溶液型に加え、粉体型でもよい。得られる塗膜の外観を考慮すると、溶剤型のものが好ましい。
【0021】
ここで上記不飽和結合の導入は、上記塗料に含まれるバインダー成分に対して行なわれるのが一般的である。上記不飽和結合の導入は、不飽和結合を複数個持つ樹脂を当初のバインダー成分に対して単にブレンドすること以外に、上記各種塗料組成物に含まれているバインダー成分に、(メタ)アクリル酸やグリシジル(メタ)アクリレートのような不飽和結合と不飽和結合以外の反応性官能基を持つ化合物を反応させることによっても行いうる。特に、熱硬化性塗料組成物のバインダー成分は通常カルボキシル基を有していることが多いので、後者の方法においてグリシジル(メタ)アクリレートを用いることが有効である。
【0022】
上記第1の塗料が不飽和結合を含む場合、その量は、樹脂固形分1gあたり0.1〜10mmolであることが好ましい。0.1mmol未満だと上記活性エネルギー線の照射によって硬化が進行せず、ウエット・オン・ウエットでの塗装が困難になるおそれがあり、10mmolを超えると硬化時の収縮が大きく外観不良が生じるおそれがある。
【0023】
上記バインダー成分に不飽和結合を導入した場合、チオール基を複数個有する成分であるポリチオールを加えることが好ましい。チオール基は不飽和結合に対して、活性エネルギー線照射条件下または加熱条件下で付加反応するためである。しかも、チオール基と不飽和結合との光照射下における反応は、通常の不飽和結合の付加重合に比べ、光開始剤を必要とせず、感度が高く、酸素阻害を受けないという利点を有している。
【0024】
上記ポリチオールは、メルカプトエタノールのようなチオール基とチオール基以外の反応性官能基を持つ化合物を用いて製造することができる。例えば、ジイソシアネートの片末端と上記メルカプトエタノールの水酸基とを反応させたウレタンプレポリマーをポリオールと反応させることにより、ポリチオールが得られる。
【0025】
上記第1の塗料がポリチオールを含む場合、不飽和結合の官能基当量に相当する量を用いることが好ましい。なお、不飽和結合が自身の付加重合によって消費される場合、上記ポリチオールの量はそれに応じて加減することが可能である。
【0026】
なお、上記不飽和結合を含む第1の塗料は、光開始剤および/または熱開始剤を含有することができる。これらの開始剤を含有することで、先のポリチオールのところで述べた不飽和結合自身の付加重合を進行させることができる。上記光開始剤としては、当業者によく知られたものを適宜使用することができる。その例として、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)等のベンゾフェノン類;キサントン、チオキサントン等のキサントン類;2−フェニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシ−アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(ベンジルジメチルケタール)等のアセトフェノン類;その他、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4,4’−ジアジドスチルベンゼン−2,2’−ジスルホン酸、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどを挙げることができる。これらの光開始剤は通常、塗料中の樹脂固形分中0.1〜10質量%の量で含有される。
【0027】
一方、上記熱開始剤としては、ジアルキルペルオキシド、ペルオキソカルボン酸、ペルオキシドカーボネート、ペルオキシドエステル、ハイドロペルオキシド、ケトンペルオキシド、アゾジニトリルまたはベンソピナコルシリルエーテルなどの化合物が挙げられる。
【0028】
本発明の複層塗膜の形成方法で用いられる上記第1の塗料が電着塗料である場合には、不飽和結合以外に電着するためのイオン性基を有している必要がある。このようなイオン性基は、防食性を考慮すると、カチオン性基であることが好ましい。このような要件を満たす公知の電着塗料としては、例えば、下記の3つがある。
【0029】
1つ目は、特開平5−263026号公報に開示された、分子中に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートを10〜70質量部と、カチオン電着性を有する平均分子量2000〜30000の樹脂を30〜90質量部とを有効成分として含有する紫外線硬化型カチオン電着塗料組成物である。なお、不飽和結合を有する組成物に対して、熱開始剤を含有させることによって、活性エネルギー線の照射だけでなく、加熱によっても硬化反応を進行させることが可能となる。また、また、上記不飽和結合を反応性官能基として有する電着塗料組成物を構成するバインダー成分に反応性官能基を導入し、これに応じた硬化剤を選択することにより、上記第1の塗料となる電着塗料を得ることは当業者にとって困難なことではない。
【0030】
2つ目は、特表2002−531676号公報に開示された、エチレン不飽和の末端(メタ)アクリル二重結合を有する、カチオン性基を有するポリウレタン(メタ)アクリレートと、エチレン不飽和(メタ)アクリル二重結合を少なくとも2つ有する反応性希釈剤とをバインダー成分とし、光開始剤および/または熱開始剤を含有する水性分散体である。ここで、上記水性分散体の(メタ)アクリル二重結合は臭素20〜150g/固形物100gの臭素価に相当する量を有し、上記ポリウレタン(メタ)アクリレートからのエチレン不飽和の末端(メタ)アクリル二重結合が、カチオン性基を有するポリウレタンプレポリマーにウレタン、尿素、アミドまたはエステル基に結合している。
【0031】
3つ目は、特開2002−265882号公報に記載された光開始剤およびスルホニウム基とプロパルギル基とを含有するカチオン電着塗料組成物である。この電着塗料は、例えば、樹脂固形分100gあたりのスルホニウム基の量が5〜400mmolであり、プロパルギル基の量が10〜495mmolであり、スルホニウム基およびプロパルギル基の合計含有量は500mmol以下である。また、不飽和結合としてプロパルギル基以外の二重結合を含む成分を併用することも可能である。なお、このスルホニウム基とプロパルギル基とを含有するカチオン電着塗料組成物は先の熱開始剤を使用しなくても、加熱により硬化反応が進行することが知られている。
【0032】
本発明の複層塗膜の形成方法における第1の塗料の塗装対象となる基材は、特に限定されるものではないが、自動車車体または自動車部品であることが好ましい。これらの基材は化成処理などの表面処理が施されていてもよいし、すでに焼き付けられた塗膜が形成されていてもよい。すでに形成された塗膜の例として、電着塗膜および電着塗膜の上に形成された中塗り塗膜を挙げることができる。
【0033】
上記第1の塗料を塗装して得られる第1の層の形成は、用いる塗料の種類に応じて適宜行うことができる。すなわち、上記第1の塗料が電着塗料である場合には、電着塗装によって第1の層が形成される。上記第1の塗料が電着塗料でない場合には、通常、エアー静電スプレーや回転霧化式の静電塗装機などを用いて、それぞれ一般的な条件で塗装されることが好ましい。
【0034】
上記第1の塗料から得られる第1の層の乾燥膜厚は、例えば、電着塗膜で10〜30μm、中塗り塗膜で5〜50μm、ベース塗膜で5〜35μm、クリアー塗膜で10〜70μmとなるよう調整されることが好ましい。
【0035】
本発明の複層塗膜の形成方法では、このようにして第1の層を形成した後に、第2の塗料を塗布する部分に対して活性エネルギー線を照射する。この活性エネルギー線については先に説明したものが使用可能である。上記活性エネルギー線として紫外線を照射する場合には、様々な光源を使用することができ、例えば水銀アークランプ、キセノンアークランプ、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプなどを挙げることができる。一方、電子線の発生源としては、コッククロフト型、コッククロフトワルトン型、ファン・デ・グラーフ型、共振変圧器型、変圧器型、絶縁コア変圧器型、ダイナミトロン型、リニアフィラメント型及び高周波型などの電子線発生装置を用いることができる。なお、電子線を用いる場合、必ずしも、第1の塗料に光開始剤が含まれている必要はない。
【0036】
この活性エネルギー線照射の目的は、照射後の第1の層上に第2の塗料の塗装を行った場合に、第1の層と第2の層との混層が生じないようにすることである。よって、上記第1の塗料を塗布して得られた第1の層を完全に硬化させるほど活性エネルギー線を照射しなくても構わない。よって、その目的を達成することができる量の活性エネルギー線の照射が必要となる。この照射条件は、用いる樹脂の不飽和結合の量や分子量によって異なってくるが、活性エネルギー線が紫外線の場合、一般的に200〜400nmの波長範囲で、1〜1000mJ/cm2とすることができる。照射が不十分だと、第2の塗料を塗布した際に混層が生じるおそれがある。また、照射が過剰になっても特に問題はないが、必要以上の照射はエネルギーの無駄につながるおそれがある。一方、電子線を用いる場合には、そのエネルギーが50〜500keVである電子線照射装置を用いて行うことが好ましい。
【0037】
本発明の複層塗膜の形成方法では、上記活性エネルギー線を第1の層に対して照射した後、第2の塗料を塗布する。この第2の塗料は、特に限定されるものではないが、目的とする複層塗膜の構成に応じて、上記第1の塗料との関係を考慮して行うことができる。上記第2の塗料は、先に挙げた自動車用塗料として設計された熱硬化性塗料組成物の中から選択することができる。
【0038】
上記第1の塗料および上記第2の塗料は、別の種類の層を形成するものであっても、あるいは同じ種類の層を形成するものであっても構わない。上記第1の塗料と上記第2の塗料とがそれぞれ別の種類の層を形成するものである場合、例えば、第1の塗料が電着塗料であるときには、第2の塗料は中塗り塗料またはベース塗料である。また、第1の塗料が中塗り塗料である場合、第2の塗料はベース塗料である。さらに第1の塗料がベース塗料である場合、第2の塗料はクリアー塗料である。一方、第1の塗料と第2の塗料とが同じ種類の層を形成する場合、第1の塗料と第2の塗料とは同一のものであってもなくてもよい。同一の場合はいわゆる重ね塗りに相当する。また、意匠性を高めるために、第1の塗料および第2の塗料の配合を互いに異なるものにすることが知られている。なお、電着塗料が第2の塗料として用いられることは通常ない。
【0039】
本発明の複層塗膜の形成方法では、このようにして第2の層を形成した後、上記第1の層および第2の層を同時に焼き付けることができる。焼き付け条件は、用いた第1または第2の塗料の硬化条件に応じ、例えば、110〜200℃で10〜60分間の範囲で設定することができる。
【0040】
また、本発明の複層塗膜の形成方法では、上記第2の層を形成した後、焼き付けを行わず、活性エネルギー線を照射してから、さらに別の塗料を塗装して別の層を形成することも可能である。上記別の塗料およびこれから形成される層とは、少なくとも1種類の塗料およびこれから形成される層を意味するものであり、第3の塗料およびこれから形成される層であってもよいし、複数の塗料およびこれらから形成される複数の層であってもよい。例えば、電着層、中塗り層、ベース層およびクリアー層からなる複層塗膜を形成するのに、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行する電着、中塗りおよびベース塗料を使用し、塗装後、活性エネルギー線を照射してから、次の層を形成する塗料を塗装するパターンをそれぞれの層形成に適用し、最後に全ての層を同時に焼き付ける方法もここに属する。
【0041】
この場合、上記第2の塗料と別の塗料との関係は、先の第1の塗料と第2の塗料との関係と同じである。また、別の塗料が複数である場合、ある層を形成する塗料とその直上層を形成する塗料との関係も同様である。さらに、活性エネルギー線照射は、先の第1の層についての説明内容がそのまま適用できる。
【0042】
なお、最上層には、通常、クリアー塗料から形成される層が位置する。この最上層を形成するためのクリアー塗料は、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するものである必要はない。上記最上層を形成するためのクリアー塗料は、外観が優れたものが得られることから、溶剤型のものが一般的に用いられる。
【0043】
上記第1の層と第2の層とを同時に焼き付けたように、上記第3の塗料を塗装して第3の層を形成した後、または、上記別の塗料を塗装して別の層を形成した後に、これまでに形成した全ての層に対して焼き付けが行われる。焼き付けの条件は先の条件がそのまま適用される。
【0044】
本発明の複層塗膜の形成方法では、活性エネルギー線が照射される層を形成するための塗料が水性塗料であることが好ましい。言い換えれば、ウエット・オン・ウエット塗膜形成方法で、下側に位置する層を形成する塗料が水性塗料であることが好ましい。水性塗料では、ウエット・オン・ウエット塗膜形成方法における混層が起こりやすいためである。
【0045】
本発明の複層塗膜の形成方法においては、3層以上からなる複層塗膜を形成する場合、プレヒートを実施するウエット・オン・ウエット塗膜形成方法によって層を形成する工程が含まれていても構わない。例えば、すでに電着塗膜が形成された基材に対し、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行する水性中塗り塗料を塗布して、活性エネルギー線を照射後に、通常のベース塗料を塗布し、プレヒートを実施した後に、クリアー塗料を塗布し、これらを1度に焼き付けることができる。
本発明の複層塗膜は、先の形成方法により得られるものであり、通常、電着層、中塗り層、ベース層、クリアー層の中から少なくとも2層が積み重なった構造を取っている。これらは自動車車体または自動車部品上に設けられていることが好ましい。
【0046】
【実施例】
本実施例における「部」および「%」は特に記載のない限り、質量基準を表す。
【0047】
製造例1 スルホニウム基とプロパルギル基とを有するカチオン電着塗料組成物の製造
エポキシ当量200.4のエポトートYDCN−701(東都化成社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)100.0質量部にプロパルギルアルコール23.6質量部、ジメチルベンジルアミン0.3質量部を攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに加え、105℃に昇温し、3時間反応させてエポキシ当量が1580のプロパルギル基を含有する樹脂組成物を得た。このものに銅アセチルアセトナート2.5質量部を加え50℃で1.5時間反応させた。プロトン(1H)NMRで付加プロパルギル基末端水素の一部が消失していることを確認した(14ミリモル/100g樹脂固形分相当量のアセチリド化されたプロパルギル基を含有)。このものに、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール10.6質量部、氷酢酸4.7質量部、脱イオン水7.0質量部を入れ75℃で保温しつつ6時間反応させ、残存酸価が5以下であることを確認した後、脱イオン水43.8質量部を加え、目的の樹脂組成物を得た。このものの固形分濃度は70.0質量%、スルホニウム価は28.0ミリモル/100gワニスであった。数平均分子量(ポリスチレン換算GPC)は2443であった。この樹脂組成物142.9質量部に脱イオン水157.1質量部を加え、高速回転ミキサーで1時間攪拌後、さらに脱イオン水373.3質量部を加え、固形分濃度が15質量%となるように水溶液を調製し、カチオン電着塗料組成物を得た。
【0048】
製造例2 水性中塗り塗料の製造
<顔料分散体の製造>
Disperbyk 190(ビックケミー社製ノニオン・アニオン系分散剤、商品名)9.4部、イオン交換水36.8部、ルチル型二酸化チタン34.5部、硫酸バリウム34.4部およびタルク6部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、分散剤着色顔料分散ペーストを得た。
【0049】
<水性エマルション樹脂の製造>
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器および窒素導入管などを備えた通常のアクリル系樹脂エマルジョン製造用の反応容器に、水445部およびニューコール293(日本乳化剤社製界面活性剤)5部を仕込み、攪拌しながら75℃に昇温した。メタクリル酸メチル45部、アクリル酸ブチル299部、スチレン50部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル92部、メタクリル酸14部
およびエチレングリコールジメタクリレート20部からなるモノマー混合液(酸価:18、水酸基価:85、ガラス転移点:−22℃)、水240部およびニューコール293 30部の混合物を、ホモジナイザーを用いて乳化し、これを上記反応容器中に3時間かけて攪拌しながら滴下した。この滴下と併行して、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1部を水50部に溶解した開始剤水溶液を、上記反応容器中に先の滴下終了時まで均等に滴下した。滴下終了後、さらに80℃で1時間反応を継続し、その後冷却した。冷却後、ジメチルアミノエタノール2部を水20部に溶解した水溶液を加え、不揮発分41%の水性エマルション樹脂を得た。得られた樹脂エマルジョンは、30%ジメチルアミノエタノール水溶液を用いてpHを7.2に調整した。
【0050】
<水性中塗り塗料の製造>
先に得られた顔料分散体60.3部、水性エマルション樹脂109.7部に、硬化剤としてサイメル327(三井サイテック社製イミノ型メラミン樹脂、商品名)20.9部を混合した後、アデカノールUH−814N(旭電化工業社製ウレタン会合型増粘剤、有効成分30%、商品名)1.0部を混合攪拌し、水性中塗り塗料を得た。
【0051】
実施例1
リン酸亜鉛処理したダル鋼板に、製造例1で得られたカチオン電着塗料組成物を浴として、乾燥膜厚が30μmとなるように電着塗装を行った。電着塗装後、鋼板を水洗して、カチオン電着未硬化塗膜を得た。このカチオン電着未硬化塗膜に対し、高圧水銀灯を用いて照射エネルギーが1J/cm2となるよう紫外線照射を行った。次に製造例2で得られた水性中塗り塗料をエアースプレー塗装にて乾燥膜厚が20μmになるよう塗装を行い、80℃で5分プレヒートを行った後、アクアレックスAR−2000シルバーメタリック(日本ペイント社製水性メタリックベース塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて乾燥膜厚で10μmになるよう塗装し、80℃で3分プレヒートを行った。さらに、その塗板にクリアー塗料として、マックフロー O−1800W−2クリアー(日本ペイント社製酸エポキシ硬化型クリアー塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて乾燥膜厚で35μmになるよう塗装した後、180℃で20分間焼き付けて複層塗膜を得た。この複層塗膜の外観は優れており、混層が起こっていないことを確認した。
【0052】
製造例3 不飽和結合とポリチオールとを含有する水性中塗り塗料組成物の製造
<ポリエステルポリオール樹脂の製造>
窒素導入管、攪拌機、温度調節器、冷却管およびデカンターを備えた反応容器に無水フタル酸176部、イソフタル酸197部、アジピン酸87部、トリメチロールプロパン102部、ネオペンチルグリコール272部およびジブチルスズオキサイド0.8部、キシレン17部を仕込み、キシレンの還流が始まってから2時間かけて温度を200℃まで昇温した。その間、反応により生成する水をキシレンと共沸させて除去した。カルボン酸の酸価が8になったところで150℃まで冷却し、無水トリメリット酸49部を添加して1時間攪拌することにより、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定による数平均分子量2000、酸価40、水酸基価100のポリエステルポリオール樹脂を得た。
【0053】
<水性ポリチオールの製造>
イソホロンジイソシアネート44.5部を100℃に加熱し、攪拌しながら、2−メルカプトエタノール15.6部を30分かけて滴下し、温度を維持したまま2時間攪拌することによりチオール基含有イソシアネートプレポリマーを得た。
このプレポリマーを120℃で加熱溶解した、先に得られたポリエステルポリオール樹脂560部に添加し、温度を維持したまま2時間攪拌した。系が60℃になるまで冷却した後、ジメチルエタノールアミン28.5部を加えて混合したものに、さらにイオン交換水901部を加えることにより、数平均分子量2200、固形分40%、チオール濃度0.32mmol/g、酸価36、水酸基価72の水性ポリチオールを得た。
【0054】
<不飽和結合含有水性ポリエステルポリオール樹脂の製造>
先に得られたポリエステルポリオール樹脂560部を135℃に加熱溶解したところに、グリシジルメタクリレート26.9部、テトラブチルアンモニウムブロミド2.93部、およびメトキノン0.293部を添加し、温度を維持したまま2時間攪拌した。その後、系が60℃になるまで冷却し、ジメチルエタノールアミン15.0部を加えて混合したものに、さらにイオン交換水870部を加え、数平均分子量2100、固形分40%、固形分メタクリル基としての不飽和結合濃度0.32mmol/g、酸価20、水酸基価95の不飽和結合含有水性ポリエステルポリオール樹脂を得た。
【0055】
<顔料分散体の製造>
先に得られたポリエステルポリオール樹脂25.0部にジメチルエタノールアミン1.27部を60℃で加えて混合したものに、さらにイオン交換水36.2部を加え、固形分濃度40%の水性ポリエステル樹脂を調製した。この樹脂溶液に石原産業社製の二酸化チタンであるCR−97 75.0部を添加し、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加えて、粒度10μm以下になるよう、室温で1時間混合分散し、顔料分散体を得た。
【0056】
<水性中塗り塗料組成物の製造>
先に得られた水性ポリチオール22.9部、不飽和結合含有水性ポリエステルポリオール樹脂22.9部、顔料分散体109部、三井サイテック社製のメラミン樹脂であるマイコート723 15.0部、およびチバスペシャリティケミカルズ社製の光開始剤であるイルガキュア819 0.5部をジプロピレングリコールモノメチルエーテル12.0部に溶解したものを10分間ディスパーにて攪拌混合し、不飽和結合とポリチオールとを含有する水性中塗り塗料組成物を得た。
【0057】
実施例2
リン酸亜鉛処理したダル鋼板に、パワートップU−50(日本ペイント社製カチオン電着塗料、商品名)を、乾燥塗膜が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間の加熱硬化後冷却して、硬化した電着塗膜が表面に備えられた基材を得た。これに対し、製造例3で得られた水性中塗り塗料をエアースプレー塗装にて乾燥膜厚が20μmになるよう塗装を行い、高圧水銀灯を用いて照射エネルギーが1J/cm2となるよう紫外線照射を行った後、アクアレックスAR−2000シルバーメタリック(日本ペイント社製水性メタリックベース塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて乾燥膜厚で10μmになるよう塗装し、80℃で3分プレヒートを行った。さらに、その塗板にクリアー塗料として、マックフロー O−1800W−2クリアー(日本ペイント社製酸エポキシ硬化型クリアー塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて乾燥膜厚で35μm塗装した後、180℃で20分間焼き付けて複層塗膜を得た。この複層塗膜の外観は優れており、混層が起こっていないことを確認した。
【0058】
【発明の効果】
本発明の複層塗膜の形成方法は、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行する塗料を用いて塗膜を形成し、これに活性エネルギー線を照射することにより、ウエット・オン・ウエットでの塗膜形成において混層が生じない。これにより、外観の優れた複層塗膜を得ることができる。また、従来のプレヒートを利用したウエット・オン・ウエット塗膜形成方法では、混層を防ぐために添加剤を添加した場合、この添加による耐水性の低下などの問題が生じることがあったが、本発明ではそのような問題は生じない。
【0059】
また、活性エネルギー線の照射以外に、加熱により硬化が進行するものをもちいることで、ウエット・オン・ウエットでの塗膜形成後に焼き付けを行うことにより、複層塗膜を効率的に得ることができる。
【0060】
本発明の複層塗膜の形成方法は、ウエット・オン・ウエットでの塗膜形成において混層が生じやすい水性塗料に対する適用が効果的であり、特に水性中塗り塗料に対する適用することで優れた外観の複層塗膜が得られる。
【0061】
本発明の複層塗膜の形成方法は、単独で、あるいは従来知られているプレヒートを利用したウエット・オン・ウエット塗膜形成方法と組み合わせることにより、電着層〜最上層の上塗り塗膜からなる複層塗膜を1回の焼き付けで得ることができるため、資源節約になるとともに、工場における塗装ライン長を短くすることができる。

Claims (8)

  1. 第1の塗料を塗装して第1の層を形成した後、焼き付けを行わずに、該第1の層の上に、第2の塗料を塗装して第2の層を形成し、該第2の層を形成した後、焼き付けを行わずに、該第2の層の上に別の塗料を塗装して別の層を形成し、該第1の層、第2の層および別の層を同時に焼き付ける複層塗膜の形成方法であって、
    前記第1の塗料は、バインダー成分に不飽和結合が導入され、かつ、ポリチオールを含み、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するものであって、
    前記第1の層を形成した後、前記第2の塗料を塗装した場合に混層が生じないよう、該第1の層に前記活性エネルギー線を照射することを特徴とする複層塗膜の形成方法。
  2. 前記第2の層を硬化前にプレヒートする、請求項1記載の複層塗膜の形成方法。
  3. 前記第1の塗料は、加熱により硬化が進行するものである請求項1または2に記載の複層塗膜の形成方法。
  4. 前記第2の塗料は、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行するものである請求項1〜3のいずれか1つに記載の複層塗膜の形成方法。
  5. 前記活性エネルギー線が照射される層を形成するための塗料が水性塗料である請求項1〜のいずれか1つに記載の複層塗膜の形成方法。
  6. 前記複層塗膜が自動車車体または自動車部品上に設けられるものである請求項1〜のいずれか1つに記載の複層塗膜の形成方法。
  7. 前記第1の塗料が中塗り塗料であり、前記第2の塗料がベース塗料であり、前記別の塗料がクリアー塗料である、請求項に記載の複層塗膜の形成方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1つに記載の複層塗膜の形成方法により得られる複層塗膜。
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