JP3924105B2 - 保護手袋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は保護手袋に関し、更に詳細には乾燥した手に潤いを与える保護手袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
主婦等は種々の家事の際に、手の油成分が洗剤等によって洗い流されるため、手の潤いを失って乾燥状態となる。特に、冬期においては、空気の乾燥と相俟って手の乾燥状態が進行し、ひび割れ等に至る場合もある。かかる手の荒れは、指部分及び甲の部分が、掌の部分よりも進行し易い。
この様に、乾燥状態にある手には、従来、水分の蒸発を防止すべく、油性のクリーム等を塗ることが行われているが、油性のクリーム等が体質上合わない人もいる。また、手は種々の物品等に接触するため、クリーム等を塗布しても取れ易く、再々塗布することが必要である。
このため、本発明者は、油性のクリーム等を塗布することなく、手からの水分の蒸発を防止して手に潤いを与えるべく、就寝の際に、ポリウレタン樹脂等の樹脂から成る非通気性シートによって形成された非通気性手袋を着用することを試みた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
就寝の際に、非通気性手袋を着用することによって、就寝中に手からの水分の蒸発を防止し、手の雰囲気を湿潤雰囲気とすることができる。このため、油性のクリーム等を塗ることなく手に潤いを与えることができる。
しかしながら、非通気性手袋は、着用している手の全体が汗ばむため、不快感を呈するものであった。
そこで、本発明の課題は、手からの水分の蒸発を防止して手荒れを防止し、且つ良好な着用感を与え得る保護手袋を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく検討を重ねたところ、手のうちで、掌部は、指部や甲部よりも汗腺が密に存在しており、指部や甲部に比較して発汗量が多く且つ荒れ難いため、手袋を着用した手の掌部からの汗を蒸発させ易くすることによって、手袋を着用した手の全体が汗ばむ不快感を解消できる知見を得た。
本発明者は、この知見に基づいて更に検討を重ねた結果、手袋の指部及び甲部を非通気性シートによって形成すると共に、手袋の掌部を通気性布帛によって形成した手袋によれば、水分が蒸発して荒れ易い手の指部及び甲部の水分の蒸発を防止しつつ、発汗量の多い手の掌部の汗を蒸発し易くして手袋の着用感を良好にできることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明は、少なくとも手袋の指部の甲側を含む甲部の実質的な全体及び指部の指先から第1番目の第1関節に至る指先部の全体が、非通気性シートによって通気が遮断された非通気性布帛により形成されていると共に、前記手袋の掌部が通気性を呈するように、掌部が通気性布帛によって形成されていることを特徴とする保護手袋にある。
かかる本発明において、少なくとも手袋の指部の甲側を含む甲部の実質的な全体及び指部の指先から第1番目の第1関節に至る指先部の全体を、通気性布帛の一面側に非通気性シートがラミネートされた非通気性の複合布帛によって形成し、その際に、通気性布帛が手袋の内側となるように複合布帛を用いることによって、手袋の着用感を更に向上することができる。
また、非通気性シートとして、ポリウレタン樹脂等の弾性樹脂から成る非通気性シートを用いることによって、手袋に伸縮性を付与でき、着用感を更に一層向上できる。
【0006】
本発明に係る保護手袋によれば、非通気性布帛が用いられている箇所は、手袋の指部及び甲部のみであり、手袋の掌部は通気性を呈する部分である。このため、手袋を着用した際に、手袋の指部及び甲部の通気性が遮断され、手袋の指部及び甲部の内部を、手の指部及び甲部からの発汗等によって湿潤雰囲気とすることができる。
一方、手の他の部分よりも発汗量の多い掌部が挿入される手袋の掌部は、通気性を呈するため、手袋を着用している手の掌部の汗を蒸発させ易くできる。
この様に、本発明に係る保護手袋を着用した際に、手の指部及び甲部が挿入された手袋の指部及び甲部内を湿潤雰囲気とすることができ、且つ手の掌部の汗を蒸発させ易くできる結果、手袋を着用した手の指部及び甲部からの水分の蒸発を抑制し、乾燥した指部及び甲部に潤いを与えることができ、且つ着用している手の全体が汗ばむことに因る不快感を解消し、手袋の着用感を向上できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、少なくとも手袋の指部の甲側を含む甲部の実質的な全体及び指部の指先から第1番目の第1関節に至る指先部の全体を非通気性シートによって通気が遮断された非通気性布帛により形成し、且つこの手袋の掌部を通気性布帛によって形成することが肝要である。
図1及び図2に本発明に係る手荒れ防止用手袋手袋の一例を示す。図1は、手袋10の掌部14から見た正面図であり、図2は手袋10の親指10aの側から見た側面図である。図1及び図2に示す手袋10は、その指部10a〜10e及び甲部11の全体が非通気性の複合布帛12によって形成されていると共に、掌部14は通気性布帛によって形成されている。
【0008】
この様に、手袋10の指部10a〜10e及び甲部11の全体を形成する非通気性の複合布帛12は、図3に示す様に、ポリエステル糸を使用した天竺編み等の編み地から成る通気性を呈する通気性布帛18と、この通気性布帛18の一面側に接合された非通気性シートであって、ポリウレタン樹脂がシート状に形成されたポリウレタン樹脂シート20とから成る。この複合布帛12は、ポリウレタン樹脂シート20によって通気が遮断された非通気性布帛である。かかる複合布帛12としては、市販されているものを使用できるが、熱硬化性のポリウレタン樹脂を通気性布帛18に塗布しつつ加熱して架橋させることによって形成できる。また、通気性布帛18の一面側にポリウレタン樹脂シートを接着して複合布帛12を形成してもよい。
この様にして形成された複合布帛12のポリウレタン樹脂シート20は、弾性樹脂から成る樹脂シートであり、弾性を呈するものである。このため、複合布帛12は伸縮に対して容易に追従できる。
【0009】
かかる非通気性の複合布帛12によって形成された手袋10の指部10a〜10e及び甲部11は、手袋10を着用した際に、手の指部及び甲部に応じて伸縮可能であるため、手袋10の着用感を向上できる。
更に、ポリウレタン樹脂シート20の触感は、通常、ぬめり感を呈するものである。このため、手袋10を着用した際に、ポリウレタン樹脂シート20が肌に直接触れると、着用感が悪化する。
この点、図1及び図2に示す手袋10では、指部10a〜10e及び甲部11を形成する複合布帛12は、その通気性布帛18が内側となるようにして用いられているため、手袋10を着用した際に、ポリウレタン樹脂シート20が肌に直接触れることがなく、複合布帛12の伸縮性と相俟って手袋10の着用感を更に一層向上できる。
【0010】
また、図1及び図2に示す手袋10の掌部14を形成する通気性布帛は、通気性を呈する布帛であれば、織物又は編物或いは不織物であってよく、複合布帛12を形成する通気性布帛18と同一の布帛であってもよい。
かかる掌部14を形成する通気性布帛としても、伸縮性を呈する通気性布帛を用いることによって、手袋が容易に伸縮できるため、着用感を良好とすることができる。この様な伸縮性を有する通気性布帛としては、例えばトリコット編の布帛を用いることができる。
【0011】
図1及び図2に示す手袋10は、所定形状に裁断された非通気性の複合布帛12と通気性布帛とを、縫い合せることによって形成できる。この際に、図1及び図2に示す縫目15,15・・の縫代は、手袋10の内側となるように、両布帛を縫い合せることによって、手袋10の外観を良好とすることができる。
また、手袋10の指部10a〜10e及び甲部11を形成する複合布帛12と、手袋10の掌部14を形成する通気性布帛とは、同一色相であってもよいが、異なる色彩、例えば指部10a〜10e及び甲部11を形成する複合布帛12の色相を白色とし、掌部14を形成する通気性布帛をピンク色とすることによって、手袋10に白色の清潔感とピンク色の華美感とを付与できる。
【0012】
図1及び図2に示す手袋10は、非通気性の複合布帛12と通気性布帛とを縫い合せることによって形成されているが、通気性布帛で手袋を縫製又は編製によって形成した後、形成された手袋の指部及び甲部にポリウレタン樹脂等の樹脂から成る非通気性シートをラミネートしてもよい。かかる非通気性シートとしては、ポリウレタン樹脂等から成るホットメルトシートを用いることができる。この様なホットメルトシートによれば、手袋の所定個所にホットメルトシートを重ね合せて加熱することによって、手袋の所定個所にホットメルトシートを接合でき、手袋の所定個所を非通気性とすることができる。
【0013】
また、図1及び図2に示す手袋10は、指部10a〜10eの各々の全体が非通気性の複合布帛12によって形成されているが、指部10a〜10eの各々の掌側部分は、指先から第1番目の第1関節に至る指先部の全体が非通気性の複合布帛12によって形成されていれば、その他の部分は通気性布帛12によって形成されていてもよい。手の指先から第1関節に至る指先部は、水や種々の物品等に接触して油成分が取られて荒れ易いためである。
但し、指部10a〜10eの各々の甲側部分は、指先部を除く部分であっても、非通気性の複合布帛12によって形成されていることは必要である。手の指部の甲側部分は、掌側よりも発汗量が少なく、水分の蒸発によって荒れ易いからである。
【0014】
更に、図1及び図2に示す手袋10では、指部10a〜10eの甲側を含む甲部11の全体を、非通気性の複合布帛12によって形成していたが、手袋10の指部10a〜10eの甲側を含む甲部11の実質的な全体が、非通気性の複合布帛12によって形成されていればよい。例えば、縫製等を容易にすべく、図4に示す様に、甲部11を形成する親指部10aの付け根近傍11aを、掌部14を形成する通気性布帛によって形成してもよい。この様に、甲部11を実質的に非通気性の複合布帛12によって形成されていれば、手袋10を着用した手の甲部からの水分の蒸発を抑制し、乾燥した甲部に潤いを与えることができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明に係る保護手袋によれば、手袋を着用した手の指部及び甲部からの水分の蒸発を抑制し、乾燥した指部及び甲部に潤いを与えることができ、且つ着用した手の全体が汗ばむことに因る不快感を解消し、手袋の着用感を向上できる。
その結果、本発明に係る保護手袋を着用して就寝することによって、就寝中に乾燥した手の指部及び甲部に潤いを与えることができ、すべすべした手を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る保護手袋の一例を示す掌側から見た正面図である。
【図2】図1に示す保護手袋を親指側から見た側面図である。
【図3】図1及び図2に示す手袋に用いた非通気性の複合布帛を説明するための部分断面拡大図である。
【図4】本発明に係る保護手袋の他の例を示す甲側から見た上面図である。
【符号の説明】
10 手袋
10a〜10e 手袋10の指部
11 手袋10の甲部
12 非通気性の複合布帛
14 手袋10の掌部

Claims (4)

  1. 少なくとも手袋の指部の甲側を含む甲部の実質的な全体及び指部の指先から第1番目の第1関節に至る指先部の全体が、非通気性シートによって通気が遮断された非通気性布帛により形成されていると共に、
    前記手袋の掌部が通気性を呈するように、掌部が通気性布帛によって形成されていることを特徴とする保護手袋。
  2. 少なくとも手袋の指部の甲側を含む甲部の実質的な全体及び指部の指先から第1番目の第1関節に至る指先部の全体が、通気性布帛の一面側に非通気性シートがラミネートされた非通気性の複合布帛によって形成されている請求項1記載の保護手袋。
  3. 少なくとも手袋の指部の甲側を含む甲部の実質的な全体及び指部の指先から第1番目の第1関節に至る指先部の全体が、通気性布帛の一面側に非通気性シートがラミネートされた非通気性の複合布帛によって形成されていると共に、前記複合布帛を形成する通気性布帛が手袋の内側となっている請求項1記載の保護手袋。
  4. 非通気性シートが、ポリウレタン樹脂等の弾性樹脂から成る非通気性シートである請求項1〜3のいずれか一項記載の保護手袋。
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