JP3924000B1 - 葉緑素入りラー油、およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、主として中華料理に用いられている香辛料はラー油と呼ばれ、中華料理以外には用いられていない。このラー油の辛さを中華料理以外にも有効に利用可能とした新しい葉緑素入りラー油の提供。
【解決手段】辛味を有する辛味植物と、葉緑素を有する植物とを、植物油に配合させてそれぞれの辛味成分と、葉緑素成分を抽出させて得ることを特徴とする葉緑素入りラー油。
【選択図】なし

Description

この発明は、従来の赤褐色ないしはコハク色のラー油に代わり、中華料理以外にも広く各種料理に使用できる辛味を有する葉緑素入りラー油およびその製造法に関する。
中華料理にとって、辛味の嗜好品としてラー油は広く利用されている。特に、ラー油自体のもつ特殊な辛味は、中華料理にとっては味覚を高めるものとして不可欠のものとさえ言われている。
このラー油は、概して乾燥して赤唐辛子,一味唐辛子に加熱した油を加えて辛味と赤色を抽出して製造されている。特に赤色を濃くしたい時は豆板醤を加えて赤みを増している。
しかし乍ら、この従来の抽出方法ではラー油、即赤褐色、即中華用香辛料という固定概念ができており、和食又は洋食の材料としては使われず普及していない。
ところで、単に緑色を発色させた油脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、粉砕茶葉を油脂に混合して茶成分を抽出した後に得られた抽出液を濾過又は遠心分離で茶葉を除去して抗酸化油脂を得る製造方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2002−212589号公報 特開2003−261896号公報
ところで上記特許文献1および2は、いずれも緑色を発色させており葉緑素を加えているが、油脂組成物であるか或は抗酸化油脂の製造方法、緑色油含有食品及び緑色乳化食品であり、辛味を主体とするラー油代用品に相当するものではない。
本発明は、これら両文献とは異なり、辛味を主体とし、これに葉緑素の有効成分を含有させたラー油とは異なるが、ラー油に代わる香辛料として各種料理に使用できるようにした葉緑素入りラー油、およびその製造法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を備えることを特徴とする。
(1)辛味を有する辛味植物と、葉緑素を有する湿気を与えた粉末植物とを、植物油に配合させて加熱し、辛味植物の辛味成分と、前記粉末植物より細胞膜を破壊して葉緑素成分を抽出させてグリーン色にして得ることを特徴とする葉緑素入りラー油。
(2)辛味植物は、ハバネロ,グリーンチリ,さや唐辛子,朝天辣などの辛味種の1種または複数種より成ることを特徴とする前記(1)記載の葉緑素入りラー油。
(3)辛味を有する辛味植物と、葉緑素を有する湿気を与えた粉末植物とを、抽出剤としての植物油中に混入し、攪拌混合し乍ら常温ないしは高温で辛味植物より辛味成分を抽出させ、さらに前記粉末植物を前記高温加熱により前記湿気を与えた粉末植物を植物油中に入れ細胞膜を破壊させて葉緑素を抽出させてグリーン色にし、濾過ないしはその儘の状態で冷却し常温にして得ることを特徴とする葉緑素入りラー油の製造法。
(4)辛味植物は、ハバネロ,グリーンチリ,さや唐辛子,朝天辣などの辛味種の1種または複数種より成ることを特徴とする前記(3)記載の葉緑素入りラー油の製造法。
(5)湿気を与えた粉末植物の細胞膜を破壊させて、葉緑素を抽出する植物油の高温とは、160℃〜200℃であることを特徴とする前記(3)記載の葉緑素入りラー油の製造法。
本発明の葉緑素入りのラー油は、辛味と植物の葉緑素を含むラー油であるため、従来の赤褐色ないし琥珀色のラー油と異なり、中華料理のみならず和食又は洋食など広く好みの種類の料理の香辛料として使用できる。
特に葉緑素を含んでいるので、使用時はグリーン色を呈し、従来のラー油と同様に辛味の風味を与えて特有の味覚が得られ、和洋ガラシやわさびの風味とは異なった独特のものが得られるという効果がある。
また、辛味は勿論のこと、葉緑素のクロロフィル成分が濃縮して含有されているので、単に辛味効果を与えるのみならず、消臭,殺菌効果を呈して、食中りを防ぎ、消化作用を助長する効果も期待できる。
さらに本発明は、辛味を有する植物は、青唐辛子などの辛味種の全ての植物を利用できると共に、辛子自体の葉緑素又は緑茶などに含まれる多量の葉緑素を植物油で常温か加熱して抽出できるので製造は簡単で安価である。
なお、緑茶などの香り成分を有する植物は勿論のこと、熊笹を用いても葉緑素の豊富な本発明に係るラー油を得ることができる。
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
以下、本発明の製造方法の一実施例を説明する。
(準備工程)
まず、辛味を有する生または乾燥した辛味植物の青唐辛子と、クロロフィルを含有する粉末緑茶と、抽出剤となる植物油、例えばオリーブ油を用意する。この場合、甘味やコクを出すために玉葱や葱,生姜を添加料として若干量準備する。
(第1工程)
粉末緑茶の細胞膜を破壊しやすくするために適度の湿気を与える。
(第2工程)
前記青唐辛子を細かくみじん切りにしてオリーブ油(植物油)中に入れ、ミキサーなどの攪拌作用をすると、色素並びに辛味および香り成分が、より有効に抽出されやすい状態とする。その状態で掻き回し乍ら加熱し、温度を上げる。または、加熱する代わりに長時間かけて辛味成分その他の成分を十分抽出しても良い。この過程で前記用意した添加料を入れても良い。
(第3工程)
オリーブ油を加熱した場合、その温度が上昇して160℃〜200℃程度に達して投入した青色唐辛子が、褐色ないしキツネ色に変色するまで掻き回す。この変色は加熱しすぎると焦げるので注意を要する。
(第4工程)
ついで、湿り気を与えた粉末緑茶を、前記工程の抽出油のオリーブ油中に入れ、細胞膜を破壊させ、葉緑素を抽出させて葉緑素入りラー油を得る。
斯くして得られた葉緑素入りラー油は、その儘用いるか、或は青唐辛子や緑茶などの成分を濾過しても良い。
出来上がった葉緑素入りラー油は、全体として透明容器に収容した状態では褐色であるが、これを使用して滴下した状態では葉緑素のクロロフィルの青色を呈し、従来の赤色ないしは琥珀色の中華料理用のラー油とは著しく趣を異にする。
以上の実施例では、辛味成分は専ら青唐辛子を用いているが、他のスパイス系、例えば辛味種と呼ばれるハバネロ,チリペッパー,グリーンチリ,さや唐辛子,鷹の爪,朝天辣,その他、ハラペーニョ,カイエンペッパー,プリッキーヌなどのその一種または複数を混合して用いることができる。
特に原料として用いる時、辛味成分の強い個処として植物の葉は勿論のこと、果実の外皮,内皮、または種子や果肉、さらには中果皮(スジ)などを選択して用いることもできる。
また、緑茶に代えて香り成分の強い大葉(バジル),セリ,三つ葉などの植物の単一または複数を用いることも可能であって、味覚と香りを種々に異ならせた葉緑素入りラー油を提供できる。
さらに、熊笹のような葉緑素の含有成分の多い植物を、緑茶に代えて用いることもできる。
そして、辛味の強弱をランク付けして、小辛,中辛,大辛、さらには激辛など辛味植物の種類に応じて多種類の葉緑素入りラー油を作ることができる。
斯くして得られた葉緑素入りラー油は、辛味は勿論のこと、葉緑素の有効成分を含んでいるので、香辛料として中華料理は勿論のこと、青味を含有することから、和食や洋食など世界各国の料理に辛味の嗜好品として広く利用できる新しい香辛料として用いることができる。

Claims (5)

  1. 辛味を有する辛味植物と、葉緑素を有する湿気を与えた粉末植物とを、植物油に配合させて加熱し、辛味植物の辛味成分と、前記粉末植物より細胞膜を破壊して葉緑素成分を抽出させてグリーン色にして得ることを特徴とする葉緑素入りラー油。
  2. 辛味植物は、ハバネロ,グリーンチリ,さや唐辛子,朝天辣などの辛味種の1種または複数種より成ることを特徴とする請求項1記載の葉緑素入りラー油。
  3. 辛味を有する辛味植物と、葉緑素を有する湿気を与えた粉末植物とを、抽出剤としての植物油中に混入し、攪拌混合し乍ら常温ないしは高温で辛味植物より辛味成分を抽出させ、さらに前記粉末植物を前記高温加熱により前記湿気を与えた粉末植物を植物油中に入れ細胞膜を破壊させて葉緑素を抽出させてグリーン色にし、濾過ないしはその儘の状態で冷却し常温にして得ることを特徴とする葉緑素入りラー油の製造法。
  4. 辛味植物は、ハバネロ,グリーンチリ,さや唐辛子,朝天辣などの辛味種の1種または複数種より成ることを特徴とする請求項記載の葉緑素入りラー油の製造法。
  5. 湿気を与えた粉末植物の細胞膜を破壊させて、葉緑素を抽出する植物油の高温とは、160℃〜200℃であることを特徴とする請求項記載の葉緑素入りラー油の製造法。
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