JP3921925B2 - 車両用衝突防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、障害物との衝突を防止するための自動制動手段を備えた車両用衝突防止装置に係り、特に、違和感の少ない制動特性を乗員に供与できる車両用衝突防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような車両衝突防止装置としては、例えば特開平10−338111号公報に記載される緊急ブレーキ装置のように、車両状態検出手段及び走行環境検出手段の検出結果に応じて、緊急ブレーキが必要であると判定された場合に、緊急ブレーキを自動的に作動させるものがある。
【0003】
また、例えば特開平10−172100号公報に記載される車間距離制御装置及び当該装置を設置したオートマチック・トランスミッション車のように、乗員に車間距離に応じて目標車速を設定させ、前方車両が停止した時に乗員に設定させた目標車速になるようにブレーキアクチュエータを作動させて、自車両を自動的に停止させるものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の車両衝突防止装置のうち、特開平10−338111号公報に記載される技術では、自動制動の開始時期は、自車と障害物との位置関係及び相対的な運動状態から一意に定まる構成であったため、減速せずに操舵で回避することを好む運転者にとっては、自動制動の開始時期が早すぎて煩わしかったり、また、急制動を嫌う運転者にとっては、もっと余裕のある時期から自動制動を開始した方がよいと感じさせたりすることがあった。
【0005】
また、特開平10−172100号公報に記載される技術は、運転者が設定した目標車速で車間距離の制御がなされるが、車間距離制御を想定したものであるため、先行車が通常の減速度で停車する場合には違和感のない自動制動が行われるものの、例えば、それまで先行車として追従してきた車両が車線変更等により自車線から離脱したり、一般の市街地走行で歩行者が飛び出したり、交差点で車両が飛び出す等、車両の進行方向に不意な障害物が現れた場合には、車間距離に十分な余裕があるにもかかわらず、目標車速になるように急激な制動が行われる可能性があり、運転者に対して違和感を与える可能性もある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、違和感の少ない制動特性を乗員に供与できる車両用衝突防止装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明である車両用衝突防止装置は、自車の進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、自車の走行状態を検出する走行状態検出手段と、手動により自動制動を作動させるか否かを選択させる選択手段と、前記選択手段で自動制動の実行指示が行われた場合に、前記障害物検出手段及び走行状態検出手段の検出結果に基づいて目標自動減速度を算出し、その算出結果に基づいて自動制動を行う自動制動手段と、を備えた車両用衝突防止装置において、乗員の制動操作に応じた目標手動減速度を算出する乗員目標減速度算出手段と、前記目標自動減速度より前記目標手動減速度が大きい場合に、前記自動制動による制動力に代えて前記目標手動減速度に基づいて制動力を発生する乗員制動力発生手段と、前記自動制動手段による制動特性を変更可能な自動制動特性変更手段と、を備え、前記自動制動手段は、前記目標自動減速度を増大させた後、一定値に維持し、その後、前記目標自動減速度を減少させ、さらに、前記自動制動特性変更手段は、手動により前記制動特性を設定させる手動設定手段と、前記手動設定手段で中立状態よりも制動力が強くなるように設定された場合には、前記自動制動の制動力が中立基準値よりも強くなり且つ前記自動制動の開始時期が障害物に近づくように前記制動特性を変更し、前記手動設定手段で中立状態よりも制動力が弱くなるように設定された場合には、前記自動制動の制動力が中立基準値よりも弱くなり且つ前記自動制動開始時期が障害物から離れるように前記制動特性を変更する自動補正手段と、乗員の制動操作により停車したときの乗員制動特性に基づいて前記中立基準値を設定する中立基準値設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
一方、請求項2に係る発明である車両用衝突防止装置は、自車の進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、自車の走行状態を検出する走行状態検出手段と、手動により自動制動を作動させるか否かを選択させる選択手段と、前記選択手段で自動制動の実行指示が行われた場合に、前記障害物検出手段及び走行状態検出手段の検出結果に基づいて目標自動減速度を算出し、その算出結果に基づいて自動制動を行う自動制動手段と、を備えた車両用衝突防止装置において、乗員の制動操作に応じた目標手動減速度を算出する乗員目標減速度算出手段と、前記目標自動減速度より前記目標手動減速度が大きい場合に、前記自動制動による制動力に代えて前記目標手動減速度に基づいて制動力を発生する乗員制動力発生手段と、前記自動制動手段による制動特性を変更可能な自動制動特性変更手段と、を備え、前記自動制動手段は、前記目標自動減速度を増大させた後、一定値に維持し、その後、前記目標自動減速度を減少させ、さらに、前記自動制動特性変更手段は、手動により前記制動特性を設定させる手動設定手段と、前記手動設定手段で中立状態よりも自動制動の開始時期が障害物に近づくように設定された場合には、前記自動制動の開始時期が中立状態よりも障害物に近づき且つ前記自動制動の制動力が強くなるように前記制動特性を変更し、前記手動設定手段で中立状態よりも自動制動の開始時期が早くなるように設定された場合には、前記自動制動開始時期が中立基準値よりも障害物から離れ且つ前記自動制動の制動力が中立基準値よりも弱くなるように前記制動特性を変更する自動補正手段と、乗員の制動操作により停車したときの乗員制動特性に基づいて前記中立基準値を設定する中立基準値設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の発明である車両用衝突防止装置において、前記自動補正手段は、前記手動設定手段が自動制動を開始する自車から障害物までの距離を増減するように操作されたときには、目標停止位置を固定したまま、自動制動を開始する自車から障害物までの距離が増減するように前記制動特性を変更するようにした。
【0010】
さらに、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発明である車両用衝突防止装置において、前記中立基準値設定手段は、乗員の制動操作により停止したときの乗員制動特性である、制動開始から車両停止までの平均減速度及び車両停止時の自車から障害物までの距離に基づいて前記中立基準値を設定するようにした。
【0016】
【発明の効果】
請求項1に係る発明である車両用衝突防止装置にあっては、自動制動特性変更手段は、制動力が強くなるように前記制動特性を変更したときは、自動制動の開始時期が前記障害物に近づくように前記制動特性を変更する構成としたため、人間の操作感覚にあうように制動特性が変化するので、違和感の少ない制動特性を乗員に供与できる。
また、前記中立基準値は、乗員が自ら制動操作したときの乗員制動特性に基づいて設定されるようになっているため、運転者は、自身の制動操作を基準にして、自動制動の特性を設定可能となるので、所望の制動特性に容易に設定できる。
【0017】
一方、請求項2に係る発明である車両用衝突防止装置にあっては、自動制動特性変更手段は、自動制動の開始時期が前記障害物に近づくように前記制動特性を変更したときは、制動力が強くなるように前記制動特性を変更する構成としたため、請求項1と同様に、違和感の少ない制動特性を乗員に供与できる。
【0019】
また、請求項3に係る発明である車両用衝突防止装置にあっては、前記自動補正手段は、前記手動設定手段が自動制動を開始する自車から障害物までの距離を増減するように操作されたときには、目標停止位置を固定したまま、自動制動を開始する自車から障害物までの距離が増減するように前記制動特性を変更するようにしたため、人間の操作感覚にあうように制動特性が変化するので、違和感の少ない制動特性を乗員に供与できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
これ以下、本発明の衝突防止装置の各種実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す概略構成図であって、図中、1FL、1FRは前輪、1RL、1RRは後輪であって、当該前輪及び後輪には、それぞれ制動力を発生するディスクブレーキ2が設けられており、各ディスクブレーキ2の制動流体圧は制動流体圧制御装置3によって制御される。この制動流体圧制御装置3は、通常はブレーキペダル4の踏み込み量に応じた目標ブレーキ圧力が制動制御用コントローラ5から入力されるようになっているが、自動ブレーキが必要なときにはブレーキペダル4の踏み込み量に係わらず、制動に必要な目標ブレーキ圧力が制動制御用コントローラ5から入力されるようになっている。
【0021】
一方、車両の前方側には、CCDカメラ等から構成され、自車両前方の映像を撮像する撮像装置6が取り付けられている。また、車両の前方側には、先行車両との間の車間距離を検出するレーダ装置7が設けられている。このレーダ装置7としては、例えばレーザ光を前方に照射して車両前方の物体からの反射光を受光することにより、当該車両前方物体と自車両との距離を計測するレーダ装置等を適用することができる。そして、後述する制動制御用コントローラ5では、前記撮像装置6の撮像情報とレーダ装置7の車両前方物体距離とを組み合わせ、自車両の走行に支障を来す障害物を検出する。
【0022】
各車輪1FL〜1RRには、当該車輪の回転速度、つまり車輪速Vwfl〜Vwrrを検出する車輪速センサ8が取り付けられている。この車輪速センサ8は、例えばアンチスキッド制御装置や駆動力制御装置が動作しているか、或いは所望する制動力が付与されているか否かの判定のために車輪速Vwfl〜Vwrrを検出すると共に、この車輪速Vwfl〜Vwrrに基づいて車速を検出するためにも用いられる。
【0023】
前記ブレーキペダル4には、当該ブレーキペダル4の踏み込みを検出するブレーキスイッチ9及び当該ブレーキペダル4の踏み込み位置からのストローク(踏み込み量、或いは操作量)を検出するブレーキペダルストロークセンサ10が取り付けられている。ステアリングホイール11を支持するステアリングシャフト12には、操舵角を検出する操舵角センサ13が取り付けられている。また、アクセルペダル14aには、当該アクセルペダル14aの踏み込み位置からのストロークを検出するアクセルペダルストロークセンサ14が取り付けられている。さらに、車両には、自車両のヨーイング運動を検出するためのヨーレートセンサ15、自車両に作用する前後及び横方向の加速度を検出する加速度センサ16が設けられ、これらの出力信号は、制動制御用コントローラ5に入力される。なお、これらの出力信号の一部は、例えばエンジン出力制御装置、変速機制御装置における独自の制御にも用いられる。
【0024】
また、ステアリングホイール11には、図2に示すように、当該自動ブレーキ機能を作動させるか否かを運転者が選択するための自動ブレーキ起動スイッチ17と、自動制動の特性を運転者が設定可能な自動ブレーキ設定スイッチ18と、が付設されている。自動ブレーキ起動スイッチ17は、押しボタン式のスイッチであり、押し込んだ状態で自動ブレーキ機能が起動するようになっており、自動ブレーキ設定スイッチ18は、ロータリー式のスイッチであり、上下2方向にそれぞれ自動制動の制動減速度を強める方向と弱める方向とが対応づけられている。
【0025】
そして、これらの各センサからの出力信号に基づいて、前記制動制御用コントローラ5では、操舵角センサ13、ヨーレートセンサ15、加速度センサ16及び車輪速センサ8の各検出結果に基づく自車の走行状態から走行経路を算出するとともに、前記撮像装置6及びレーダ装置7で検出した車両前方撮像情報及び位置情報を重ね合わせて障害物(前方車両を含む)を検出して、自車に対する障害物の相対位置(進行方向の距離、横位置)及び相対速度を算出し、自車との衝突可能性が大きい場合には、当該障害物との衝突を回避する制動力を算出し、その制動力が得られるように前記制動流体圧制御装置3に指令値を出力して車両を減速するように構成されている。
【0026】
なお、本実施形態では、図1に示すように、例えば障害物との衝突を回避するような緊急制動時に、その内容を乗員に知らしめるため、インストゥルメントパネル19に警報を表示したり、アラームを鳴らしたりするように構成されている。
また、制動制御用コントローラ5には、乗員制動特性メモリが接続されており、後述する制動制御用コントローラ5の動作に応じて、乗員の減速特性を記憶することができる。乗員制動特性メモリの搭載位置としては、制動制御用コントローラ5に内蔵されているものと、インストゥルメントパネル19に付設された入出力装置を介して読み書きするものとがあり、後者は、さらに、メモリ媒体として本発明の対象となるブレーキ制御専用のメモリ媒体を用いるものと、他の車載装置のメモリ媒体を用いるものとがある。
【0027】
制動制御用コントローラ5は、前述のような制御を行うためにマイクロコンピュータとその周辺機器とを備えている。そして、この制動制御用コントローラ5内のマイクロコンピュータでは、図3のフローチャートに示すように、ブレーキ制御の演算処理を実施するようになっている。
この演算処理は、所定の制御周期ΔT(例えば、10msec. )毎にタイマ割り込み処理として実行される。
【0028】
この演算処理では、まずステップ301で、自動制動が必要な状況であるか否かを判定する自動ブレーキモード処理を実行してから、ステップ302に移行する。
自動ブレーキモード処理は、図4のフローチャートに示すように、まずステップ401で、自動ブレーキ起動スイッチ17が押されているかどうかの判定により、自動ブレーキ機能が運転者により起動されているか否かを判定し、現在、自動ブレーキ機能が起動されている場合にはステップ402に移行し、そうでない場合にはステップ407に移行する。
【0029】
ステップ402では、前記障害物検出手段である撮像装置6及びレーダ装置7の検出結果から、車両進行方向に障害物が検出されているか否かを判定するとともに、各車輪1FL〜1RRに取り付けられている車輪速センサ8の検出結果から車速を検出して車両が走行中であるか否かを判定し、走行中に障害物を検出した場合にはステップ403に移行し、そうでない場合にはステップ407に移行する。
【0030】
ステップ403では、自動ブレーキモード設定値Ab_modeが「2」、つまり自動制動が必要なモードに、既に設定されているかどうかを判定し、自動制動が必要なモードである場合にはステップ405に移行し、そうでない場合にはステップ404に移行する。
ステップ404では、自動制動を開始するか否かの判定に利用される自動ブレーキ開始距離Xstart を算出する自動ブレーキ開始距離演算ルーチンを実行し、ステップ405に移行する。
【0031】
自動ブレーキ開始距離演算ルーチンは、図5のフローチャートに示すように、まず、ステップ501で、乗員制動特性メモリから、自動制動開始判定基準減速度αab_brk0、及び障害物と停止した自車との最終停止目標距離Xstopを読み出してからステップ502に移行する。自動制動開始判定基準減速度αab_brk0、及び障害物との最終停止目標距離Xstopの算出方法は後述する。
【0032】
ステップ502では、自動ブレーキ設定スイッチ18の設定位置ΔOpを検出してからステップ503に移行する。設定位置ΔOpは、自動ブレーキ設定スイッチ18の中立位置からの偏差であらわされ、0、±1、±2、・・等の整数値となる。
ステップ503では、障害物と自車速度との相対速度Vrを下記1式で演算し、ステップ504に移行する。なお、Vcarは自車の車速であり、Vobは障害物の移動速度である。
【0033】
Vr=Vcar−Vob ...(1)
ステップ504では、自動制動の開始判定に利用される基準減速度αab_brkを下記2式で演算してからステップ505に移行する。
αab_brk=αab_brk0+ΔOp・αres ...(2)
基準減速度αab_brkは、乗員の通常走行における減速特性に基づいて算出された自動制動開始判定基準減速度αab_brk0に、現在設定されている変更幅を付加したものであり、その変更幅は、設定位置ΔOpに減速度に変換するための係数αres を掛け合わせたものである。
【0034】
次にステップ505では、自動ブレーキ開始距離Xstartを下記3式で演算し、自動ブレーキモード処理ルーチンに戻る。
Xstart=Vr2/(2・αab_brk)+Xstop ...(3)
図5のフローチャートの演算によれば、乗員による自動ブレーキ設定スイッチ18の操作によって、図6に示すように、制動パタンが変更されることになる。
【0035】
すなわち、自動ブレーキ設定スイッチ18が中立位置に設定されているときの自動ブレーキ開始距離Xstartを中立基準値Xstart0(図6中、実線図示)とすると、本実施形態では、自動ブレーキ設定スイッチ18がUP側に設定された場合には、ステップ504で、基準減速度αab_brkが強くなるため、ステップ505で、自動ブレーキ開始距離Xstart1が中立基準値Xstart0よりも減少し、自動制動の開始時期が障害物に近づく(図6中、破線図示)。
【0036】
逆に、自動ブレーキ設定スイッチ18がDOWN側に設定された場合には、ステップ504で、基準減速度αab_brkが弱くなるため、ステップ505で、自動ブレーキ開始距離Xstart2が中立基準値Xstart0よりも減少し、自動制動の開始時期が障害物から離れる(図6中、一点鎖線図示)。
自動ブレーキ開始距離演算ルーチンによって自動ブレーキ開始距離Xstartが算出されると、次に、ステップ405で、自車から障害物までの距離Xobが自動ブレーキ開始距離Xstartより小さいかどうか、すなわち、障害物に接近して自動ブレーキが必要な距離に達しているかどうかを判定し、未だ到達していない場合にはステップ406へ、既に到達している場合にはステップ409へ進む。
【0037】
ステップ406では、自動ブレーキ開始距離Xstartに既定の余裕時間twarnでの車間距離変化twarn・Vrを加えた距離に、自車から障害物までの距離Xobが達しているかどうかを判定し、未だ到達していない場合にはステップ407へ、既に到達している場合にはステップ408へ進む。本実施形態においては余裕時間twarnの値は、1.5秒に設定されるが、これは、一般的に運転者が制動対象となる車両進行方向の障害物を発見して、ブレーキを作動させるのに要する時間が1秒程度といわれていることから定めたものである。
【0038】
ステップ407〜409は、自動ブレーキモード設定値Ab_modeの値をセットし、その自動ブレーキモード設定値Ab_modeを自動ブレーキモード処理からブレーキ制御メインルーチンへリターンするものであり、ステップ407では自動ブレーキモード設定値Ab_modeを「0」に、すなわち、何も作動させないモード(以後、非作動モードと呼ぶ)にセットする。ステップ408では、自動ブレーキモード設定値Ab_modeを「1」に、すなわち障害物に対して接近しており、間もなく自動ブレーキを作動させることを運転者に警報するモード(以後、警報モードと呼ぶ)にセットする。また、ステップ409では自動ブレーキモード設定値Ab_modeを「2」に、すなわち自動ブレーキ設定スイッチ18によって設定した制動力で、自動ブレーキを作動させるモード(以後、自動制動モードと呼ぶ)にセットする。
【0039】
以上の処理によってステップ301の自動ブレーキモード設定値Ab_modeがセットされると、ステップ302では、自動ブレーキモード設定値Ab_modeが「0」(非作動モード)かどうか判定し、非作動モードの場合にはステップ305に移行し、非作動モード以外(警報モード、自動制動モード)の場合にはステップ303に移行する。
【0040】
ステップ303では、ブレーキスイッチ2がオン状態になっており、ブレーキペダルが踏まれているかどうかを判定し、ブレーキペダルが踏まれている場合にはそのままステップ305に移行し、ブレーキペダルが踏まれていない場合にはステップ304へ移行して、自動ブレーキを作動させることを警報する警報アラームを作動させるとともに、インストゥルメントパネル19に障害物の存在を報知する表示を実施させる指令を出力し、ステップ305に移行する。
【0041】
つまり、ステップ301で自動ブレーキモード設定値Ab_modeが、警報モード又は自動制動モードにセットされているにもかかわらず、運転者がブレーキを踏んでいない場合に、障害物の接近を警報するようになっている。
ステップ305では、自動ブレーキモード設定値Ab_modeが「2」(自動制動モード)であるかどうか判定し、自動制動モードの場合にはステップ306に移行し、それ以外の場合にはステップ307に移行する。
【0042】
ステップ306では、車両を自動制動させる際に必要な減速度である目標自動減速度ABGを算出する目標自動減速度演算ルーチンを実行してから、ステップ309に移行する。
目標自動減速度演算ルーチンは、図7のフローチャートに示すように、まず、ステップ701では、自動制動中の進行距離xを下記4式で算出し、ステップ702に移行する。
【0043】
x=(Xstart−Xob)/Xstart ...(4)
したがって、自動制動中の進行距離xは、自車から障害物までの距離Xobが「自動ブレーキ開始距離Xstart」のとき「0」となり、自車が障害物に接近するにつれて大きくなって、自車から障害物までの距離Xobが「0」のとき「1」となり、1≧x≧0となる。
【0044】
ステップ702では、停止目標距離Xstop(x)を算出し、ステップ703に移行する。停止目標距離Xstop(x)は、図8に示すように、自動制動中の進行距離xによって定まる特性を持つ。
ステップ703では、目標自動減速度ABGを下記5式で算出し、ブレーキ制御メインルーチンへ戻る。
【0045】
ABG=Vr2/{2・(Xob−Xstop(x))} ...(5)
停止目標距離Xstop(x)と目標自動減速度ABGとの関係を具体的に説明すると、先ず、停止目標距離Xstop(x)は、図8の制御マップに示すように、自動制御開始時点では最終停止目標距離Xstopよりも小さくしておき、その時点から徐々に車両が障害物に近づくにつれて最終停止目標距離Xstopから徐々に大きくするようになっており、停止目標距離Xstop(x)を徐々に大きくするということは、走行中の車両から見れば、停止目標位置が自車速よりも速い速度で近づいてくることになるから、結果として、目標自動減速度ABGが徐々に増大することになる(図6の各特性の前半部分)。
【0046】
また、一旦増大した停止目標距離Xstop(x)は、減少に転じ、最終停止目標距離Xstopに達した後はしばらく一定値を保つ。このため、目標自動減速度ABGは、緩やかな減少傾向となる(図6の各特性の中盤部分)。
そして、停止目標距離Xstop(x)は、最終停止目標距離Xstopに達する直前で再び減少に転じ、最終停止目標距離Xstopよりも若干小さい値が最終値となる。このため、目標自動減速度ABGは、減少傾向が緩やかになって、なめらかに零に収束する(図6の各特性の終盤部分)。
【0047】
以上のように目標自動減速度ABGが変化する結果、一般的な運転者が操作した場合に近い制動特性となるから、多くの場合、自動制動であっても、違和感の少ない制動感覚を乗員が感じるようになる。
図7のフローチャートの演算によれば、乗員により自動ブレーキ設定スイッチ18が制動力が強くなるように操作されて自動ブレーキ開始距離Xstartが小さくなると、図8の制御マップにおける停止目標距離Xstop(x)が最大のところでの、上記5式の分母にあたる(Xob−Xstop(x))の値がそれまでの値よりも小さくなるため、上記5式の演算結果である目標自動減速度ABGが逆に大きくなり、制動力が強められる。
【0048】
また、自動ブレーキ設定スイッチ18が制動力が弱くなるように操作されて自動ブレーキ開始距離Xstartが大きくなると、図8の制御マップにおける停止目標距離Xstop(x)が最大のところでの、上記5式の分母にあたる(Xob−Xstop(x))の値がそれまでの値よりも大きくなるため、上記5式の演算結果である目標自動減速度ABGが逆に小さくなり、制動力が弱められる。
【0049】
図3に示すブレーキ制御ルーチンにおいて、ステップ305の判定で、自動ブレーキモード設定値Ab_modeが「2」(自動制動モード)以外であって、ステップ307に移行した場合は、自動ブレーキフラグF1を「0」のリセット状態にして、ステップ308に移行し、さらに、目標自動減速度ABGをリセットして「0」にしてステップ309に移行する。
【0050】
ステップ309では、例えば図9に示す制御マップ、即ちブレーキペダルストローク−目標手動減速度特性図に基づき、ブレーキペダルストロークセンサ3によって検出されるブレーキペダルストロークBsに応じた目標手動減速度MBGを算出し、ステップ310に移行する。
ステップ310では、目標手動減速度MBGが「0」から正値に切り替わったかどうか、すなわち運転者がブレーキペダルを踏んだ直後かどうかを判定し、踏んだ直後である場合はステップ311に移行し、後述する自動減速度算出用パラメータ処理済みフラグをF2を「0」のリセット状態にしてステップ312に移行する。
【0051】
ステップ312では、目標自動減速度ABGと目標手動減速度MBGの大きさを比較し、目標自動減速度ABGが目標手動減速度MBGよりも大きい場合には、ステップ313に移行し、自動ブレーキフラグF1を「1」のセット状態にし、ステップ314に移行して、目標自動減速度ABGを目標減速度BGに設定してからステップ316に移行する。
【0052】
ステップ312の判定において、目標自動減速度ABGが目標手動減速度MBGよりも小さい場合には、ステップ315に移行し、目標手動減速度MBGを目標減速度BGに設定してからステップ316に移行する。
ステップ316では、図10に示すように、目標減速度BGに相当する自動ブレーキ圧を図10の特性から算出し、目標ブレーキ圧力Bpとして制動流体圧制御装置3へ出力し、ステップ317に移行する。
【0053】
したがって、例えば通常制動などのように、運転者によるブレーキペダルの踏み込み量、つまりブレーキペダルストロークBsが小さく、目標手動減速度MBGが小さな正値である場合には、ステップ314で目標自動減速度ABGが目標減速度BGに設定されるが、緊急制動のように、ブレーキペダルストロークBsが大きく、目標手動減速度MBGが大きな正値になると、ステップ315に移行して、目標減速度BGに設定され、ステップ316では、この大きな目標自動減速度が制動流体圧制御装置3に向けて出力され、結果的に運転者の意図に応じた減速度の大きな制動が可能となる。
【0054】
ステップ317では、自動ブレーキフラグF1が「0」のリセット状態かどうか判定し、リセット状態の場合にはステップ318に移行し、リセット状態でない場合にはステップ321に移行する。
ステップ318では、目標手動減速度MBGが正値で車速Vcarが「0」かどうか、すなわち停車中で且つブレーキペダルが踏まれているかどうか判定し、判定が「YES」の場合にはステップ319に移行し、判定が「NO」の場合にはステップ321に移行する。
【0055】
ステップ319では、自動減速度算出用パラメータ処理済みフラグF2が「0」のリセット状態かどうかを判定し、リセット状態のときはステップ320に移行し、リセット状態でないときはステップ321に移行する。
ステップ320では、自動減速度の算出に利用されるパラメータを演算する自動減速度算出用パラメータ演算ルーチンを実行する。
【0056】
自動減速度算出用パラメータ演算ルーチンは、図11のフローチャートに示すように、まず、ステップ1101で、前方に停止している障害物があるかどうか判別し、停止している障害物がある場合にはステップ1102に移行し、ない場合には以後の処理を実施せずに自動減速度算出用パラメータ演算ルーチンを終了する。本ルーチンは、図3のステップ317〜319の判定により、運転者の手動の制動で停止している状態で実行されるが、ステップ1101は、その中でもとくに前方に停止している障害物があって停止した状態に限定するための判定である。
【0057】
ステップ1102では、後述する制御装置内の一時記憶メモリから減速開始時点での車速Vcar0を算出し、ステップ1103に移行する。具体的には、アクセルペダルストロークセンサ14によるアクセルペダルストロークが「0」、すなわち、現在の停止状態に至るアクセルから足を離したときから、最も早くブレーキペダルを踏んだ時点での車速をVcar0とする。
【0058】
次にステップ1103に移行し、制御装置内の一時記憶メモリから、前ステップの車速Vcarが「Vcar0」となった時点から、車速Vcarが「0」となるまでの所要時間tbrakeを算出し、ステップ1104に移行する。
ステップ1104では、今回の減速過程における平均減速度αmeanを下記6式で算出する。
【0059】
αmean=Vcar0/tbrake ...(6)
また、ステップ1105では、ステップ1103の車速Vcarが「0」の時点での、障害物までの距離Xobを停止距離Lobに設定し、ステップ1106に移行する。
ステップ1106では、ステップ1104で得られた平均減速度αmeanと、ステップ1105で得られた停止距離Lobとを最新データとして乗員制動特性メモリに記憶し、ステップ1107では、更新されたデータを用いて平均減速度αmeanと停止距離Lobとのそれぞれの履歴を平均し、それぞれを自動制動開始判定基準減速度αab_brk0と、障害物との最終停止距離Xstopとして、乗員制動特性メモリに記憶してからステップ1108に移行する。
【0060】
ここで、乗員制動特性メモリの記憶内容について説明する。乗員制動特性メモリは、運転者が自らブレーキペダルを踏んで停止する際の、減速特性データとして、ステップ1104で得られた平均減速度αmeanと、ステップ1105で得られる停止距離Lobと、を既定回数分だけ記憶しており、最新データが更新される際に、最古のデータを削除するいわゆるFIFO型バッファ方式でデータを更新する。また、ステップ1107で記憶される自動制動開始判定基準減速度αab_brk0と、障害物との最終停止距離Xstopとは、最新データのみ記憶しており、本ルーチンで計算されるたび更新される。
【0061】
ステップ1108では、自動減速度算出用パラメータ処理済みフラグF2を「1」のセット状態にして、メインルーチンに戻る。
なお、本ルーチンは、優先順位の低い割り込みルーチンとして扱われ、自動減速度算出用パラメータ処理済みフラグF2が「0」のリセット状態で、本ルーチンよりも優先順位の高い割り込みが発生した場合には、本ルーチンの実行途中であっても、その時点での処理状態を退避させて、メインルーチンへ戻り、次回に本ルーチンの処理が開始されると、退避させた時点から処理を再開させるようになっている。これにより、データ容量の大きい乗員制動特性メモリの処理に時間を要しても、車両の運動制御に影響を与えることがない。
【0062】
図3に示すように、ブレーキ制御ルーチンのステップ321では、制御装置内の一時記憶メモリに、現在の減速情報として、車速Vcar、アクセルペダルストローク、ブレーキスイッチ状態、ブレーキペダルストロークBs、障害物までの距離XobをFIFO式に記憶する。
次に、本実施形態の動作を具体的な状況を交えて説明する。
【0063】
まず、自動ブレーキ起動スイッチ17がオフ状態のときに、車両前方の障害物との衝突を防ぐためにブレーキを踏んだとする。すると、ステップ301の自動ブレーキモード処理で自動ブレーキモード設定値Ab_modeが「0」に設定されて、ステップ302の判定が「YES」となり、ステップ305の判定が「NO」となるため、ステップ307で自動ブレーキフラグF1が「0」のリセット状態にされ、また、ブレーキを踏んだ直後であるため、ステップ310の判定が「YES」となり、自動減速度算出用パラメータ処理済みフラグF2が「0」のリセット状態にされる。
【0064】
また、ステップ308で目標自動減速度ABGが「0」のリセット状態にされたため、ステップ312の判定は「NO」となり、ステップ315で目標減速度BGを目標手動減速度MBGに設定し、ステップ316で、目標減速度BGに相当する目標ブレーキ圧力を算出し、その目標ブレーキ圧力Bpを制動流体圧制御装置3へ出力して、各輪のディスクブレーキ2を制御して制動力を発生する。
【0065】
さらに、ステップ307で自動ブレーキフラグF1が「0」のリセット状態にされたため、ステップ317の判定は「YES」となるが、ブレーキを踏んだ直後であるため、車速Vcarは「0」になっておらず、ステップ318の判定は「NO」となり、ステップ321に移行して、制御装置内の一時記憶メモリに減速情報を記憶してブレーキ制御の演算処理を終了する。
【0066】
そして、先ほどのブレーキ操作により車両が停止し、車速Vcarが「0」になったとする。すると、ステップ318及びステップ319の判定は「YES」となり、ステップ320の自動減速度算出用パラメータ演算ルーチンで、平均減速度αmeanと停止距離Lobに基づいて自動制動開始判定基準減速度αab_brk0と最終停止目標距離Xstopとを算出し、それらを乗員制動特性メモリに記憶する。
【0067】
次に、自動ブレーキ起動スイッチ17がオン状態で自動ブレーキ設定スイッチ18が中立位置のときに、車両前方に障害物が検出されたとする。すると、自動ブレーキモード処理のステップ404で実行される自動ブレーキ開始距離演算ルーチンにおいて、ステップ504で、基準減速度αab_brkが自動制動開始基準減速度αab_brk0に設定され、ステップ505で、その基準減速度αab_brkに基づいて自動ブレーキ開始距離Xstartを演算した後、自動ブレーキモード処理に戻る。
【0068】
ここで、自動ブレーキ設定スイッチ18をUP側に、つまり制動力を強めるように設定したとする。すると、ステップ504で、基準減速度αab_brkが自動制動開始基準減速度αab_brk0よりも大きく設定され、ステップ505の自動ブレーキ開始距離Xstartは、自動ブレーキ設定スイッチ18が中立位置に設定されるときよりも短く、つまり障害物に近づくように設定される。
【0069】
また、自動ブレーキ設定スイッチ18をDOWN側に、つまり自動ブレーキの制動力を弱めるように設定したとする。すると、ステップ504で、基準減速度αab_brkが自動制動開始基準減速度αab_brk0よりも小さく設定され、ステップ505の自動ブレーキ開始距離Xstartは、自動ブレーキ設定スイッチ18が中立位置に設定されるときよりも長く、つまり障害物から離れるように設定される。
【0070】
このように、自動ブレーキ設定スイッチ18を備えたため、運転者は、自動制動強さを所望の特性に設定することができる。
また、自動ブレーキ設定スイッチ18の中立位置と、制動力の中立基準値及び自動制動の開始時期の中立基準値と、が対応づけられているため、運転者は、中立基準値と比較して制動特性を設定することができるので、所望の制動特性に容易に変更できる。
【0071】
さらに、運転者が通常に操作しているブレーキ制動力の強さを基準としているため、その基準値よりも強いか弱いかという単純な方法によって容易に設定することができ、より違和感の少ない制動特性を供与できる。
また、制動力が強くなるように制動特性を変更したときは、自動ブレーキ開始距離Xstartが短くなるように制動特性を変更し、自動制動の開始時期が障害物に近づくように制動特性を変更するとともに、制動力が弱くなるように制動特性を変更したときは、自動ブレーキ開始距離Xstartが長くなるように制動特性を変更し、自動制動の開始時期が障害物から離れるように制動特性を変更するため、人間の操作感覚にあうように制動特性が変化するので、一つのスイッチの設定によって、違和感の少ない制動特性を乗員に供与できる。
【0072】
自動ブレーキ開始距離演算ルーチンが終了して、ステップ405に移行したときに、自車が障害物に近づいており、自車から障害物までの距離Xobが自動ブレーキ開始距離Xstartよりも小さいとする。すると、ステップ405の判定は「YES」となり、ステップ409で、自動ブレーキモード設定値Ab_modeが「2」に設定された後、ブレーキ制御の演算処理に戻る。
【0073】
自動ブレーキモード設定値Ab_modeが「2」であるため、ブレーキ制御の演算処理において、ステップ305の判定は「YES」となり、ステップ306の目標自動減速度演算ルーチンを実行して目標自動減速度ABGを演算する。
ここで、その目標自動減速度ABGが、目標手動減速度MBGよりも大きいとすると、ステップ312の判定は「YES」となり、ステップ314で目標減速度BGを目標自動減速度ABGに設定し、ステップ316で、その目標ブレーキ圧力Bpを制動流体圧制御装置3へ出力して、各輪のディスクブレーキ2を制御して制動力を発生する。
【0074】
なお、本実施形態においては、撮像装置6、レーダ装置7、及び制動制御用コントローラ5が障害物検出手段に対応し、車輪速センサ8、ブレーキスイッチ、ブレーキペダルストロークセンサ10、操舵角センサ13、アクセルペダルストロークセンサ14、ヨーレートセンサ15、及び加速度センサ16が走行状態検出手段に対応し、制動制御用コントローラ5及び制動流体圧制御装置3が自動制動手段に対応し、ステップ501〜505及びステップ701〜703が自動補正手段に対応し、自動ブレーキ設定スイッチ18が手動設定手段に対応する。
【0075】
次に、本発明の車両衝突防止装置の第2実施形態について説明する。この実施形態では、前記図5のフローチャートに示す自動ブレーキ開始距離演算ルーチンに変えて、図12のフローチャートが用いられる。両者はほとんど同じであるが、前述したステップ504及びステップ505が、ステップ1204に変更されている。このステップ1204では、自動ブレーキ開始距離Xstartを下記7式で算出する。
【0076】
Xstart=Vr2/(2・αab_brk0)−Vr・ΔOp・tres+Xstop ..(7)
ここで、設定位置ΔOpは、第1実施例と同様に0、±1、±2、...の整数値であるが、係数tresは、設定位置ΔOpを時間表現に変換するためのものであり、例えば0.5秒といった時間が用いられる。
このように、本実施例によれば、通常のブレーキ操作の開始時期を基準として、その開始時期よりも、早い、遅いといった時間的な基準に基づいた設定によって、自動ブレーキの開始距離を設定することが可能となる。
【0077】
また、設定位置ΔOpが負値であれば、相対速度が大きいほど自動ブレーキ開始距離Xstartが大きくなるため、設定位置ΔOpを切り変えることなく、例えば、高速道路と一般道といった走行環境の違いに対応することができる。
さらに、自動ブレーキ設定スイッチ18をUP側に、つまり自動制動の開始時期が障害物に近づくように設定したとすると、ステップ306の目標自動減速度演算ルーチンで目標自動減速度ABGが強くなるように設定され、自動ブレーキ設定スイッチ18をDOWN側に、つまり自動制動の開始時期が障害物から離れるように設定したとすると、目標自動減速度ABGが弱くなるように設定されるため、人間の操作感覚にあうように制動特性が変化するので、一つのスイッチの設定によって、違和感の少ない制動特性を乗員に供与できる。
【0078】
さらに、本発明の車両衝突防止装置の第3の実施形態について説明する。この実施形態では、第2実施形態の式7において、設定位置ΔOpを距離表現に変換するものであり、自動ブレーキ開始距離Xstartが障害物に近づくようにするのか、障害物から離れるようにするのかを設定するようにした場合である。
本実施形態においては、式7において、設定位置ΔOpを距離に変化するために係数Xres=Vr・tresを用いるので、処理自体は、第2実施形態と全く同様である。
【0079】
本実施例によれば、通常のブレーキ操作の減速度を基準として、それよりも開始距離を障害物に近くするか、遠くにするかを設定することになり、より直接的に自動制動開始時期を設定できるので、運転者が直感的に設定しやすくなる。
また、一般的な、自動者間距離保持装置の車間距離設定は、運転者の好みによって距離が遠いか近いかを設定するものが多く、ここでの設定スイッチを共用することが容易となり、スイッチを増やさずに本発明の車両衝突防止装置を形成することができる。
【0080】
以上説明してきた、3つの実施例では、自動ブレーキ設定スイッチ18の設定位置ΔOpとして、それぞれ自動制動の制動力と、開始時間と、開始距離という3種類の設定基準を用いたが、自動ブレーキ設定スイッチ18の設定方向が共通な場合には、同様の制動特性となる。
なお、上記実施形態で用いた自動ブレーキ設定スイッチ18の設定方向UP、DOWNは、単に2方向を区別するための記号であり、その言葉には特に意味づけはなく、逆であったとしても本発明の動作に影響しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用衝突防止装置の第1実施形態を示す車両の概略構成図である。
【図2】図1の車両用衝突防止装置に用いられるステアリングホイールの要部拡大図である。
【図3】自動制動制御用コントローラ内で行われるブレーキ制御の演算処理のフローチャートである。
【図4】図3の演算処理で用いられる自動ブレーキモード処理のフローチャートである。
【図5】図4の演算処理で用いられる自動ブレーキ開始距離演算処理のフローチャートである。
【図6】本発明の車両用衝突防止装置の動作を説明するための説明図である。
【図7】図3の演算処理で用いられる目標自動減速度演算処理のフローチャートである。
【図8】図7の演算処理で用いられる制御マップである。
【図9】図3の演算処理で用いられる制御マップである。
【図10】図3の演算処理で用いられる制御マップである。
【図11】図3の演算処理で用いられる自動減速度算出用パラメータ演算処理のフローチャートである。
【図12】本発明の車両用衝突防止装置の第2の実施形態を示す図であって、図4の演算処理で用いられる自動ブレーキ開始距離演算処理を示すフローチャートである。
【符号の簡単な説明】
1FL〜1FRは車輪
2はディスクブレーキ
3は制動流体圧制御装置
4はブレーキペダル
5は制動制御用コントローラ
6は撮像装置
7はレーダ装置
8は車輪速センサ
9はブレーキスイッチ
10はブレーキペダルストロークセンサ
13は操舵角センサ
14はアクセルペダルストロークセンサ
15はヨーレイトセンサ
16は加速度センサ
18は自動ブレーキ設定スイッチ
Claims (4)
- 自車の進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、自車の走行状態を検出する走行状態検出手段と、手動により自動制動を作動させるか否かを選択させる選択手段と、前記選択手段で自動制動の実行指示が行われた場合に、前記障害物検出手段及び走行状態検出手段の検出結果に基づいて目標自動減速度を算出し、その算出結果に基づいて自動制動を行う自動制動手段と、を備えた車両用衝突防止装置において、
乗員の制動操作に応じた目標手動減速度を算出する乗員目標減速度算出手段と、前記目標自動減速度より前記目標手動減速度が大きい場合に、前記自動制動による制動力に代えて前記目標手動減速度に基づいて制動力を発生する乗員制動力発生手段と、前記自動制動手段による制動特性を変更可能な自動制動特性変更手段と、を備え、
前記自動制動手段は、前記目標自動減速度を増大させた後、一定値に維持し、その後、前記目標自動減速度を減少させ、
さらに、前記自動制動特性変更手段は、手動により前記制動特性を設定させる手動設定手段と、前記手動設定手段で中立状態よりも制動力が強くなるように設定された場合には、前記自動制動の制動力が中立基準値よりも強くなり且つ前記自動制動の開始時期が障害物に近づくように前記制動特性を変更し、前記手動設定手段で中立状態よりも制動力が弱くなるように設定された場合には、前記自動制動の制動力が中立基準値よりも弱くなり且つ前記自動制動開始時期が障害物から離れるように前記制動特性を変更する自動補正手段と、乗員の制動操作により停車したときの乗員制動特性に基づいて前記中立基準値を設定する中立基準値設定手段と、を備えたことを特徴とする車両用衝突防止装置。 - 自車の進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、自車の走行状態を検出する走行状態検出手段と、手動により自動制動を作動させるか否かを選択させる選択手段と、前記選択手段で自動制動の実行指示が行われた場合に、前記障害物検出手段及び走行状態検出手段の検出結果に基づいて目標自動減速度を算出し、その算出結果に基づいて自動制動を行う自動制動手段と、を備えた車両用衝突防止装置において、
乗員の制動操作に応じた目標手動減速度を算出する乗員目標減速度算出手段と、前記目標自動減速度より前記目標手動減速度が大きい場合に、前記自動制動による制動力に代えて前記目標手動減速度に基づいて制動力を発生する乗員制動力発生手段と、前記自動制動手段による制動特性を変更可能な自動制動特性変更手段と、を備え、
前記自動制動手段は、前記目標自動減速度を増大させた後、一定値に維持し、その後、前記目標自動減速度を減少させ、
さらに、前記自動制動特性変更手段は、手動により前記制動特性を設定させる手動設定手段と、前記手動設定手段で中立状態よりも自動制動の開始時期が障害物に近づくように設定された場合には、前記自動制動の開始時期が中立状態よりも障害物に近づき且つ前記自動制動の制動力が強くなるように前記制動特性を変更し、前記手動設定手段で中立状態よりも自動制動の開始時期が早くなるように設定された場合には、前記自動制動開始時期が中立基準値よりも障害物から離れ且つ前記自動制動の制動力が中立基準値よりも弱くなるように前記制動特性を変更する自動補正手段と、乗員の制動操作により停車したときの乗員制動特性に基づいて前記中立基準値を設定する中立基準値設定手段と、を備えたことを特徴とする車両用衝突防止装置。 - 前記自動補正手段は、前記手動設定手段が自動制動を開始する自車から障害物までの距離を増減するように操作されたときには、目標停止位置を固定したまま、自動制動を開始する自車から障害物までの距離が増減するように前記制動特性を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突防止装置。
- 前記中立基準値設定手段は、乗員の制動操作により停止したときの乗員制動特性である、制動開始から車両停止までの平均減速度及び車両停止時の自車から障害物までの距離に基づいて前記中立基準値を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用衝突防止装置。
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