JP3646492B2 - ブレーキアシストシステム - Google Patents

ブレーキアシストシステム Download PDF

Info

Publication number
JP3646492B2
JP3646492B2 JP29268697A JP29268697A JP3646492B2 JP 3646492 B2 JP3646492 B2 JP 3646492B2 JP 29268697 A JP29268697 A JP 29268697A JP 29268697 A JP29268697 A JP 29268697A JP 3646492 B2 JP3646492 B2 JP 3646492B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
distance
average
vehicle
brake
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP29268697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11124019A (ja
Inventor
実 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP29268697A priority Critical patent/JP3646492B2/ja
Publication of JPH11124019A publication Critical patent/JPH11124019A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3646492B2 publication Critical patent/JP3646492B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のブレーキアシストシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキアシストシステムとして、例えば特公平4−25182号公報(文献1)に記載されたものがある。
文献1では、前方障害物との距離が安全距離を下回ったときに、運転者に危険を警報するとともに、ブレーキぺダルの踏み込み時にブレーキ圧を補助制動する試みが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ブレーキアシストシステムは、例えば前方車が急停止するなど該システムの作動が必要とされるべき場面で運転者のブレーキ操作をアシストできると、停止距離を短縮し安全性に向上に効果を発揮できることが期待できる。一方、そのアシストされることとなる運転者の運転パターンに着目すれば、それは熟練の程度や年齢などによって様々である。また、たとえ同じ年齢、熟練の度合いの運転者であっても、個人個人の車両操縦の差によっても様々なものとなりうる。
しかして、上記安全距離のしきい値を一義的に定める場合は、次のような点(問題)を指摘できる。
【0004】
(イ)運転者の運転パターンが様々にもかかわらず安全距離のしきい値を一義的に定めているため、平均的な車間距離を保つ運転者の特性に合わせてしきい値を設定すると、車間距離を詰めて走行する特徴を持つ運転者にとっては頻繁に上記補助制動に入ってしまうため、効きすぎによるフィーリングの悪化を招く可能性がある。
【0005】
(ロ)反対に、車間距離が小さい側にしきい値を設定すると、車間距離を空けて走行する運転者にとっては補助制動の機会が少なくなり、システムの効果が薄れる。
【0006】
したがって、ブレーキアシストシステムとして望ましいのは、こうした観点からの対応性をも高め得て、過不足なく、適切にブレーキアシスト制御の本来の機能を発揮させうるようにすることである。
また、より望ましいのは、運転者のペダル操作、車両情報(制動G)、車間距離の取り方を常時監視できるようにすることによって当該運転者のクセを把握し、その運転者の特性に見合った車間距離のしきい値を設定することにより、的確に当該システムを作動させるべき状況を検出してブレーキアシストをすることができることである。
【0007】
本発明は、以上のような考察に基づき、また以下にも述べる考察にも基づき、これらの点から改善を加えようとするものであり、上述した観点からの対応性をも高め得て、過不足もなく、適切にブレーキアシスト制御本来の機能を発揮させうる、ブレーキアシストシステムを実現しようというものである。
また、少なくとも、運転者のぺダル操作、制動減速度、車間距離の取り方の一以上を監視し当該運転者のクセを把握することによって、当該運転者の特性に見合った車間距離のしきい値を設定し得て、ブレーキアシストが当該運転者にとって適切なものとなるようにすることのできる、ブレーキアシストシステムを提供しようというものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によって、下記のブレーキアシストシステムが提供される。
すなわち、本発明のブレーキアシストシステムは、
自車両の前方検出物との距離を検出する手段と、
自車の車体速を検出する手段と、
該前方距離と該自車速とから相対速度を計算する手段と、
該相対速度から制動距離を計算する手段と、
該制動距離に対し加算する余裕距離を算出する手段と、
算出された制動距離と余裕距離との和をしきい値とする手段と、
現在の車間距離がしきい値よりも下回ったときに接近し過ぎると判断する手段と、
接近し過ぎと判断されたときに、運転者のブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するブレーキアシスト手段とを有するものである。
【0009】
また、自車速から余裕距離を算出する場合において、運転者のぺダル操作、制動減速度を含む車両情報、車間距離の取り方の一以上を監視することによって、当該運転者の特性に見合った車間距離のしきい値を設定するものである。
【0010】
そして、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏替時間の履歴から、平均時間を算出する手段を含み、少なくとも該平均時間に応じて余裕距離を決定する、ことを特徴とするものである。
【0011】
また、車間距離の履歴から、車間距離平均値を算出する手段を含み、少なくとも該車間距離平均値に応じて余裕距離を決定する、ことを特徴とするものである。
【0012】
また、制動中の車両の前後減速度の履歴から、平均減速度を算出する手段を含み、少なくとも該平均減速度に応じて余裕距離を決定する、ことを特徴とするものである。
【0013】
また、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏替時間の履歴から平均時間を算出する手段と、車間距離の履歴から車間距離平均値を算出する手段と、制動中の車両の前後減速度の履歴から平均減速度を算出する手段とを更に有し、
これら平均時間と車間距離平均値と平均減速度の3つの物理量の大きさに応じて余裕距離を決定する、
ことを特徴とするものである。
【0014】
また、車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも大きく設定する、
ことを特徴とするものである。
また、車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常の値に設定する、
ことを特徴とするものである。
また、車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも十分大きく設定する、
ことを特徴とするものである。
また、車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常よりも大きく設定する、
ことを特徴とするものである。
【0015】
また、車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも小さく設定する、
ことを特徴とするものである。
また、車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常よりも十分小さく設定する、
ことを特徴とするものである。
また、車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも小さく設定する、
ことを特徴とするものである。
また、車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常の値に設定する、
ことを特徴とするものである。
【0016】
また、踏替時間が所定時間を超える履歴データは、平均時間の算出からは除外する、
ことを特徴とするものである。
【0017】
また、所定車速以上の一定速走行時の車間距離の分布の状態から、余裕距離を決定する、
ことを特徴とするものである。
【0018】
また、車間距離の分布の代わりに、車間距離/車速、または車速/車間距離を用いる、
ことを特徴とするものである。
【0019】
また、ブレーキ踏み込み中の車両減速度が所定の範囲内にある時間が所定時間経過したときの車両減速度を、平均値の計算に用いる、
ことを特徴とするものである。
【0020】
また、接近し過ぎと判断されたときに、運転者のブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するブレーキアシスト手段は、運転者によるブレーキ入力に対する液圧ゲインを高くする、
ことを特徴とするものである。
【0021】
また、運転者のブレーキ入力速度を検出し、入力速度がしきい値よりも上回ったときに所定の圧力を付与する手段を更に有し、
接近し過ぎと判断されたときに、該しきい値の値を小さくする、
ことを特徴とするものである。
【0022】
また、運転者のブレーキ入力速度を検出し、入力速度がしきい値よりも上回ったときに所定の圧力を付与する手段を更に有し、
接近し過ぎと判断されたときに、付与する圧力の値を大きくする、
ことを特徴とするものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、上記構成により、請求項1記載の各手段のそれぞれを有して、運転者のブレーキ操作時、ブレーキアシスト制御を行わせることができるとともに、該ブレーキアシストをして前述の考察事項の観点から過不足なく効果的なものとせしめるべく、その余裕距離をその算出制動距離に適用する可変制御量として適切に決定、設定することを容易に可能ならしめる。よって、運転者の運転パターンが様々であるにもかかわらず安全距離のしきい値を一義的に定める構成によっては、頻繁にブレーキアシストに入ってしまうがゆえに効きすぎによるフィーリングの悪化を招き、あるいはシステムの本来の効果が薄れるなどするところ、本発明では、そのような事態を回避でき、運転者の特性に見合ったそのしきい値を設定し得て、対応性を高め、過不足もなく適切にブレーキアシスト制御の機能を発揮させうる、改良されたブレーキアシストシステムを実現することが可能となる。
【0024】
ここで、そのしきい値を設定すると、その運転者のぺダル操作、制動減速度、車間距離の取り方のいずれかもしくはすべての要素に合わせてしきい値設定を行える。したがって、これにより、当該運転者のクセを把握することによって、その分、当該運転者の特性に見合った車間距離のしきい値をより最適に設定することができ、当該運転者にとって、その運転者の特性からみて、的確に接近し過ぎの状態を検出してシステムがブレーキアシストをすることができ、ブレーキアシストが当該運転者にとってより適切なものとなるようにすることを可能ならしめる。
【0025】
この場合において、その制動距離に加えられるべく適用される余裕距離については、例えば、請求項1ないし請求項3記載のように、少なくともそれぞれの算出手段を有して、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏替時間の履歴から、平均時間を算出する手段からの該平均時間に応じて余裕距離を決定する態様か、または、車間距離の履歴から、車間距離平均値を算出する手段からの該車間距離平均値に応じて余裕距離を決定する態様か、または、制動中の車両の前後減速度の履歴から、平均減速度を算出する手段からの該平均減速度に応じて余裕距離を決定する態様かの、いずれかの態様による構成として、本発明は好適に実施でき、同様にして、上記のことを実現することができる。更に、これらの場合は、過去の該当する要素の履歴からその対応する平均的なものを求めることができ、その分、その運転者のクセを適切かつ確実に把握でき、例えば当該運転者が普段どの程度の車間距離をもって走行しているかについての偏りの少ない状態のものが得られ、これが余裕距離の設定に反映される結果、より効果的にその運転者の特性、特徴に見合ったしきい値を設定することができる。
【0026】
また、好ましくは、請求項4記載のように、それら踏替時間の平均時間と車間距離平均値と平均減速度の3つのすべての物理量の大きさに応じて余裕距離を決定する構成として本発明は好適に実施でき、同様にして、上記のことを実現することができる。加えて、この場合は、その運転者のぺダル操作、制動減速度、車間距離の取り方のいずれも常時監視することによってその運転者のクセをより適切かつ確実に把握せしめること可能である。
よって、余裕距離の設定、決定にあたり、これをよりきめ細かく行うことができ、その踏替時間に関する平均値、車間距離平均値、および平均減速度のいずれの要素をも対象として、それらすべての面から当該運転者の特徴を正確に推定して、最適な余裕距離、従って最適なしきい値を設定することができる。したがってまた、例えば、車間距離を詰めて走行する特徴をもつ運転者にとっても、逆に車間距離を空けて走行する特徴をもつ運転者にとっても、更には、熟練の度合い年齢などからペダル操作や制動のかけ方で個々に特徴をもつ運転者それぞれにとっても、それら運転者にも広く対応可能であって、高い対応性を有し、過不足なく適切にブレーキアシスト制御本来の機能を発揮させるという、上記の効果をより一層引き出すことができる。ここに、当該しきい値については、これ以上接近したら安全距離を下回るという接近しきい値として、物理的にとまれる停止距離と、認知、踏替にかかる余裕距離の和からなる値として設定され得て、よくその機能を果たすものとなる。
【0027】
また、踏替時間平均値、車間距離平均値、および平均減速度の物理量の大きさに応じて余裕距離を決定する場合において、請求項5ないし請求項12記載の如く、その余裕距離の値を設定する態様で本発明は好適に実施できる。この場合は、このようにすることで、踏替時間平均値、車間距離平均値、平均減速度の3つの物理量の大小の組み合わせに応じたものとすることができる。したがって、例えば、かかる大小の組み合わせにより、運転者の特徴として最大8種のものに場合分けも可能で、それに合わせて、上記加算されるべき余裕距離の値を割り当てられる。好適実施例によると、余裕距離の値は、これを、例えば、より小さい値、小さい値、中程度の値、大きな値、より大きな値というように設定可能で、その分、きめ細かく設定を行うことができる。
ここに、請求項5の場合は、運転者の特徴として、「安全志向、瞬発力高い、認知遅い」という特徴の場合、請求項6の場合は「安全志向、瞬発力高い、認知速い(熟練)」という特徴の場合、請求項7の場合は「安全志向、瞬発力低い、認知遅い(高齢・女性)」という特徴の場合、請求項8の場合は「安全志向、瞬発力低い、認知速い」という特徴の場合のそれぞれの運転者に対して、効果的であり、また、請求項9の場合は「接近派、瞬発力高い、認知遅い」という特徴の場合、請求項10の場合は「接近派、瞬発力高い、認知速い(せっかち派)」という特徴の場合、請求項11の場合は「接近派、瞬発力低い、認知速い」という特徴の場合、請求項12の場合は「接近派、瞬発力低い、認知遅い」という特徴の場合のそれぞれの運転者に対して効果的である(後記表1)。
もっとも、本発明は、このように段階的に余裕距離を設定する方法に限られるものではなく、例えばあらかじめ特性データを記憶させたテーブルやマップを用いて、これら3つの物理量を検索データとして、総合的な余裕距離の値を求める方法でも実施できるものである。
【0028】
また、本発明は、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏替時間の履歴からその平均時間を算出する場合において、請求項13記載の如くに、踏替時間が所定時間を超える履歴データは、平均時間の算出からは除外する構成として、好適に実施できる。このようにすると、上記効果に加えて、たとえアクセルペダルを釈放しその後ブレーキぺダルを踏み込むという一連のぺダル操作が行われたにせよ、そのような所定時間を超える履歴データは踏替時間の平均時間の算出からは除外することができ、もっぱら踏替時間が所定時間を下回る場合の踏替時間情報を対象とできて、余裕距離を定めるのに、より正確なものとなり、精度を高め得て本ブレーキアシスト制御の適正化を図ることができ、また、そのような踏替に要する時間が所定時間をも超えるようなアクセルペダルからブレーキペダルへの踏替の状態の時の踏替時間は履歴データとしても対象としないで済み、その踏替時間の履歴から得られる踏替時間平均値に応じて余裕距離を決定しようとする場合でも、その分、適用する踏替時間の履歴についても、より正確なものとなって、精度の向上が図れる。
【0029】
また、本発明においては、請求項14記載のように、所定車速以上の一定速走行時の車間距離の分布の状態から、余裕距離を決定する構成とすることができる。このようにすると、上記効果に加えて、たとえ一定速走行時でも所定車速に満たないような低速走行状態で車間距離の情報を除外でき、もっぱら所定車速以上の一定速走行時の車間距離情報を対象とできて、余裕距離を定めるのに、より正確なものとなり、精度を高め得て本ブレーキアシスト制御の適正化を図ることができる。また、そのような低速走行時の車間距離は履歴データとしても対象としないで済み、車間距離の履歴から得られる車間距離平均値に応じて余裕距離を決定しようとする場合でも、その分、適用する車間距離の履歴についても、より正確なものとなって、精度の向上が図れる。
また、この場合において、請求項15記載の如く、車間距離の分布の代わりに、車間距離/車速、または車速/車間距離を用いる構成としてもよく、同様にして上記のことを実現することができる。
【0030】
また、請求項16記載の如くの構成として、本発明は好適に実施できる。このようにすると、上記効果に加えて、もっぱら、ブレーキ踏み込み中の車両減速度が所定の範囲内にある時間が所定時間経過したときの車両減速度を平均値の計算に用いることができ、それ以外は対象外とできて、余裕距離を定めるのに、より正確なものとなり、精度を高め得て本ブレーキアシスト制御の適正化を図ることができ、また、上記条件以外の場合の車両減速度は履歴データとしても対象としないで済み、制動中の車両の減速度の履歴から得られる平均減速度に応じて余裕距離を決定しようとする場合でも、その分、適用する車両減速度の履歴についても、より正確なものとなって、精度の向上が図れる。
【0031】
また、請求項17記載の如くに、接近し過ぎと判断されたときに、運転者のブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するブレーキアシスト手段としては、これを、運転者によるブレーキ入力に対する液圧ゲインを高くする構成として好適に実施できる。この場合は、上記効果に加えて、ブレーキアシスト時、より迅速にブレーキ操作力を上回る制動液圧を立ち上げられて、アシスト圧を付与でき、適切にブレーキアシストに応えられ、この点で効果的なものとなり、本発明は、このような制御を加味して実施してもよい。
【0032】
また、請求項18記載の如くに、運転者のブレーキ入力速度を検出し、入力速度がしきい値よりも上回ったときに所定の圧力を付与する手段をもち、接近し過ぎと判断されたときに、該しきい値の値を小さくする態様の構成として、実施できる。この場合は、運転者のブレーキ入力速度に対する比較用のしきい値をも設けて、検出されるブレーキ入力速度とこれとを比較することで、その入力速度が該しきい値よりも上回ったときに所定の圧力を付与するようブレーキアシストをする方式の場合に好適に適用でき、車間距離が接近し過ぎと判断されるのに連動し、それに合わせて、当該比較用のしきい値を小さくして、その検出ブレーキ入力速度との判定が行えることとなり、上記のようなブレーキアシスト方式のときは、本発明は、このような制御をも加味して実施することができる。
あるいはまた、請求項19記載の如くに、同様に、運転者のブレーキ入力速度を検出し、入力速度がしきい値よりも上回ったときに所定の圧力を付与する手段をもち、車間距離が接近し過ぎと判断されたときに、付与する圧力の値を大きくする態様の構成としてもよい。この場合も、上記のブレーキアシスト方式に適用して、本発明は好適に実施することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1,2は、本発明の一実施例を示す図で、図1は全体の構成図である。
図1中、20、21は、それぞれ運転者(ドライバ)が操作するアクセルペダル、ブレーキペダルを示す。ブレーキペダル21には、該ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキストロークセンサ23が設けられる。本実施例では、アクセルペダル20には、該アクセルペダルの操作量を検出するアクセルストロークセンサ22が設けられる。
【0034】
また、本実施例では、ブレーキペダル21によるブレーキ操作に連動してブレーキ液圧を発生させるマスターシリンダ(M/C)26を備え、該マスターシリンダで発生させたブレーキ液圧(制動力)を車両の各車輪27のホイールシリンダ(W/C)に導きブレーキを作用させるようにするとともに、マスターシリンダ26は、電磁弁を内蔵している負圧ブースタ25を備える。
かかる負圧ブースタ25を有するマスターシリンダ26は、ドライバによるブレーキペダル21の踏み込み時、ブレーキペダル21の踏み込み位置に応ずるブレーキ液圧を出力するが、後述の如く、該当するときは、負圧ブースタ25によるアシストの下、ドライバのブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与することができ、したがって、ドライバの操作力を上回る制動力を発生させうる。
【0035】
図2は負圧ブースタの構成図であり、以下、これにより負圧ブースタ25の構造の一例を説明する。
負圧ブースタ25は、パワーピストン40とダイヤフラム54によって仕切られる変圧室41と負圧室42とを有する。ここに、負圧室42は、例えば図示しないエンジンの吸気管(スロットル弁下流)と連通させるものとし、したがって、負圧室42にはエンジン駆動中は常に所定の負圧が発生している。
パワーピストン40は、真空弁43、大気弁44および電磁弁45を備え、該電磁弁の励磁によっても図中左方へストロークされる筒状の電磁弁連動部材47とブレーキぺダル操作に連動するオペレーティングロッド46とを有する。また、図2に示す如くに、リターンスプリング53a,53b、ダイヤフラムリターンスプリング55、スプリング56等が組み込まれる。
【0036】
変圧室41は、パワーピストン40の負圧通路51を通じて負圧室42と同じ負圧状態となる場合と、大気開放の状態の場合とに切り換えられる。切換えは、真空弁43および大気弁44(大気圧通路部)の開閉で行われる。
図2の状態の如く、負圧通路51の開口部箇所が、図示のようにこれと対向する真空弁43側の弁部分(図中、部材47の右端部との間にリターンスプリング53aを介在させた筒状弁体の上部箇所が相当)から離れて開放されている状態(真空弁開)であって、かつ、リターンスプリング53a,53bの付勢力により、図示のように上記電磁弁連動部材47に設けた大気弁44の弁座52が大気側への大気圧通路部(上記筒状弁体の図中の下部箇所が相当)に着座してこれを閉ざしている状態(大気弁閉)では、変圧室41には負圧室42から負圧が導かれ、したがって、変圧室41は、負圧状態で負圧室42と圧力が釣り合っている。ブレーキ非作動時は、両室はかかる状態となっている。
【0037】
しかして、変圧室41には、ブレーキ作動時には大気が導入され、負圧室42との差圧が生じ、マスターシリンダ26に倍力された荷重が伝達される。すなわち、ブレーキぺダル21の踏み込み時、オペレーティングロッド46がパワーピストン40の中に押し込まれるのに伴い、リターンスプリング53aを支持する電磁弁連動部材47がパワーピストン40に対して図中左方へ所定のストロークだけ移動すると、リターンスプリング53aの弾性復元力により、真空弁43および大気弁44に係る上述の筒状弁体が慴動して負圧通路51を閉じるようになる。この負圧通路51の閉じ始めの位置では大気弁44側の大気圧通路部分はまだ閉ざされており、この位置からさらに電磁弁連動部材47が左行すると、その筒状弁体は負圧通路51の開口部に着座した状態でそれ以上は移動できないことから、電磁弁連動部材47の弁座52がここでその筒状弁体から離れて大気圧通路が開くことになる(真空弁閉および大気弁開)。これにより変圧室41には大気圧が導かれ、負圧室42と変圧室41とに差圧が生じるのである。
【0038】
このような切換えは、電磁弁45の制御によっても行われ、電磁弁45に駆動電流を供給すると、その電磁力により電磁弁連動部材47がスプリング56に抗して図中左方向に吸引され、負圧通路51を閉じるとともに大気圧通路を開放させる位置に移行し、上記と同様の機能を行わせることができる。
したがって、本実施例において、真空弁43は、ドライバによりブレーキペダル21がストロークしたときあるいは該電磁弁45が励磁したときに閉じ、負圧室42と変圧室41との連通を遮断する。また、大気弁44は、ドライバによりブレーキペダル21がストロークしたときあるいは該電磁弁45が励磁したときに開き、変圧室41に大気が導入される。よって、該当するタイミングで、電磁弁45を駆動制御すれば、電磁弁45が励磁された時電磁弁連動部材47が図中左方向にストロークし、真空弁43および大気弁44の開閉操作が行われる。それにより負圧室42と変圧室41との間に差圧が生じ、リアクションディスク49を介してプシュロッド48およびマスターシリンダ26に力が伝わり、各車輪27に対してブレーキ力(制動液圧)が発生する。このようにして、図2の負圧ブースタ25によりブレーキアシストが行える。
【0039】
図1に戻り、本実施例では、ブレーキアシスト手段はかかる負圧ブースタ25を含んで構成でき、その負圧ブースタ25における電磁弁45は、ブレーキアシスト制御を行う制御装置(コントローラ)29により制御する。
該制御装置29には、ブレーキストロークセンサ23、各車輪27の回転速度を検出する各センサ28、および例えば車両前方フロントグリルに取り付けられて前方車両との車両距離の検出に用いることのできるレーザレーダセンサ31等からの信号を入力する。また、該当するときは、アクセルストロークセンサ22、車両の加減速度を測定する前後Gセンサ32からの信号を入力することができる。
【0040】
アクセルストローク、ブレーキストローク、車輪回転速度、車間距離、車両前後G等の情報が入力される制御装置29は、マイクロコンピュータを含んで構成され、入力検出回路と、演算処理回路(CPU)と、該演算処理回路で実行されるブレーキアシストのための制御プログラム及びその他の制御プログラム、並びに演算結果等を格納する記憶回路(RAM,ROM等)と、電磁弁45を駆動する制御信号を出力する出力回路等から構成することができる。
【0041】
制御装置29は、ブレーキアシスト制御に際しては、その一例を図7にフローチャートで示す制御プログラムに従い、ブレーキストローク等の入力情報に基づき、基本的に、緊急と判断される場合にブレーキアシスト制御を行うことができるが、更に、これを、明細書冒頭の考察事項(イ)、(ロ)の観点からも過不足なく効果的なものとするべく、自車両の前方検出物との距離を検出するとともに、自車の車体速を検出し、該前方距離と該自車速とから相対速度を計算して該相対速度から制動距離(X1)を計算し、これに更に余裕距離(X2)を適用して、算出された制動距離(X1)と余裕距離(X2)との和(X1+X2=Xsum)をしきい値とし、現在の車間距離がしきい値(Xsum)よりも下回った時に接近し過ぎと判断し、かくて接近し過ぎと判断されたときに、ドライバのブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するよう、上記負圧ブースタ25の電磁弁45に対する駆動制御を実行する。
【0042】
この場合において、制動距離(X1)に加算されるべく導入した余裕距離(X2)は、可変制御量であり、好ましくは、自車速から余裕距離(X2)を算出するものとし、より好ましくはまた、制御装置29は、いずれかの態様で算出、決定する。すなわち、その一例を図3にフローチャートで示す如くに、所定車速(自車速)以上の一定速走行時の車間距離の分布の状態から、余裕距離(X2)を決定するか、および/または車間距離の履歴から車間距離平均値(Xave)を算出し、少なくとも該車間距離平均値(Xave)に応じて決定する第1の態様とする。もしくは、その一例を図4にフローチャートで示す如く、アクセルペダル20からブレーキペダル21への踏替時間の履歴から、平均時間(Tave)を算出し、少なくとも該平均時間(Tave)に応じて余裕距離(X2)を決定する第2の態様とするか、もしくは、その一例を図5にフローチャートで示す如く、制動中の車両の前後減速度の履歴から、平均減速度(Gave)を算出し、少なくとも該平均減速度(Gave)に応じて余裕距離(X2)を決定する第3の態様とするか、または、それら車間距離平均値(Xave)と平均時間(Tave)と平均減速度(Gave)の3つの物理量の大きさに応じて余裕距離(X2)を決定する第4の態様として、かかる余裕距離(X2)と上記制動距離(X2)から上記しきい値(Xsum)を設定するための処理をも実行する。
【0043】
ここに、上述した3種の履歴データのいずれか1種、またはいずれか2種、またはその3種のいずれをも用いる場合には、制御装置29内の記憶回路のメモリには、過去の走行時での該当するデータを蓄積しておくことできる不揮発性メモリを含んで構成するとよい。
【0044】
以下のプログラム例では、余裕距離(X2)の決定、設定にあたっては、よりきめ細かくこれを行うことのできる上記第4の態様による方法を採用した例を示してあり、前方検出物との距離と自車速から相対速度を算出し、相対速度から算出される制動距離(X1)と、自車速から算出される余裕距離(X2)との和(Xsum)をしきい値とし、実際の車間距離が該しきい値よりも下回ったときに接近しすぎと判断し、ドライバのブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高い圧力を付与する構成の場合において、更に、具体的には、制御装置29は、図3、図4、図5、図6および図7のそれぞれに示す各ルーチンによる制御プログラムに従う処理をも実行する。そして、かかる処理過程において、アクセルペダル20からブレーキペダル21への踏替時間の履歴から得られる踏替時間平均時間(Tave)と、車間距離の履歴から得られる車間距離平均値(Xave)と、制動中の車両の減速度の履歴から得られる平均減速度(Gave)との3つの物理量の大きさに応じて、余裕距離(X2)を決定することとして、ドライバのペダル操作、車両情報(制動G)、車間距離の取り方のいずれの要素をも常時監視することによってドライバ(当該車両のオーナードライバ)のクセを適切かつ確実に把握せしめ、当該ドライバの特性に見合った車間距離のしきい値(Xsum)を設定することにより、的確に危険な状況を検出してブレーキアシストをする。
【0045】
図3〜図7は、制御装置29の演算処理を示すフローチャートである。このルーチンは所定周期(本実施例では、例えば10msecに1回流れる周期とする)で実行される割り込み処理ルーチンである。
【0046】
ステップS100〜S110(図3)は、普段の走行時の車間距離平均値の学習ルーチンである。
まず、ステップS100において、自車の車体速を検出するべくセンサ28の検出信号に基づき車輪の回転速度から車速(自車速)が読み込まれる。
次に、ステップS101において、車速が、設定値±所定値(例えば、5km/h)以内か否かが判断される。これにより、一定速走行時にあるかどうかをみる。このように、ステップS101で読み込まれた車速が後述の設定車速に対してほぼ等しいかどうかが判定され、等しい場合(ステップS101の答が肯定(Y)の場合)はステップS102以降へ進み、そうでない場合(ステップS101の答が否定(N)の場合)はステップS106で現在の車速を設定車速にストア(すなわち、設定車速の更新)し、ステップS200以降(図4)のルーチンへ進む。
【0047】
ステップS101の答が肯定のときは、一定速走行状態にあるとみることができ、この場合は、ステップS102では、車間距離の1データを求めるための時間を管理するタイマ(例えば、アップカウンタからなる第1のタイマ)をインクリメントし、続くステップS103において、自車両の前方検出物としての前方車両との距離の検出を行えるレーザレーダセンサ31からの情報に基づき車間距離(X)が読み込まれる。
【0048】
次に、ステップS104では、上記第1のタイマによる計時が所定時間経過した(タイムアップ)かどうかが判定され、経過した場合はステップS107以降の車間距離算出ルーチンへ進み、経過していない場合はその算出をしない。このようなステップS103→S104→▲1▼を経るループで処理が進められるときは、該所定時間経過するまでの間、ステップS103実行ごとの間隔をもって、該当するタイミングで本ステップS103による読み込みが行われ、それぞれの読み込みデータを記憶される。これにより、当該所定時間の間の車間距離の分布をみることができる。
【0049】
第1のタイマがタイムアップしたとき、以下の処理が一度だけ実行される。そこでは、車間距離の平均値を求めることを基本的内容とするが、本プログラム例の場合、車間距離算出ルーチンは、車速が低速か否かの判別(ステップS105)、車間距離平均値の算出(ステップS107)、車間距離/車速の算出(ステップS108)、これまでの車間距離/車速との平均の算出(ステップS109)の各処理を含んで構成してある。
【0050】
まず、ステップS105において、車速が所定車速より低速か否かが判断される。その結果、答が肯定で所定車速未満の低速状態であるときは、ステップS107〜S109がスキップされてステップS110(タイマクリア)のみが実行され、答が否定の場合に、そのタイミングでステップS107〜S109,S110の処理が1回実行される。
したがって、低速のとき、すなわちたとえ一定速走行時でも所定車速に満たないような走行状態では、ドライバのブレーキ操作をアシストしようという本ブレーキアシスト制御における観点からは、普段の走行時の車間距離平均値の学習に適さないとの見地から、ステップS107〜S109の車間距離算出ルーチンは実行しない。よって、車間距離の分布の状態から余裕距離(X2)を決定する場合でも、もっぱら所定車速以上の一定速走行時の車間距離情報を対象とできる結果、必要十分な適切な余裕距離を定めるのに、より正確なものとなり、精度の向上を図ることができる。したがってまた、ステップS107〜S109がスキップされるような場面では、その走行状態での車間距離に基づくデータは履歴データとしても蓄積の対象とならない結果、車間距離の履歴から得られる車間距離平均値に応じて余裕距離を決定しようとする場合でも、その分、適用する履歴データについても、より正確なものとなって、精度の向上が図れる。
【0051】
しかして、ステップS105で車速が所定車速以上と判断されたとき、ステップS107では上記所定時間の間(ステップS104)に記憶された車間距離データの値を平均化し(該算出値は、更にこれを過去の履歴データと併用すれば、よりばらつきのない偏りの少ない正確なものとでもきる)、更に、本プログラム例では、ステップS108で車速に応じた数値に置き換える。ここでは、車間距離/車速を求めることとしてあり、これは、今回得られた車間距離に関する上記平均値を、車速当たりの車間距離の値(平均値)に置き換えたことを意味する。なお、この場合に、これの逆数、すなわち車速/車間距離を用いるようにしてもよい。
【0052】
そして、ステップS108に続くステップS109においては、これまでに蓄積された平均データを含んでマクロ平均値を算出し、ステップS110で第1のタイマをクリアして図1のルーチンを終了する。
かくして、ステップS109で得られた値は、本プログラム例では、ステップS403(図6)での余裕距離X2の設定に適用される。
【0053】
以上のルーチンで、ドライバが普段どの程度の車間距離を持って走行しているかが分かる。
更には、本プログラム例では、上記のようにして、過去の車間距離の履歴をも対象として、その履歴から平均的なものを求めることができ、その分、車間距離に関するそのドライバのクセを適切かつ確実に把握でき、ドライバが普段どの程度の車間距離をもって走行しているかについての偏りの少ない状態のものが得られ、これが余裕距離X2の設定に反映される結果、より効果的にそのドライバの車間距離の取り方に関する特性、特徴に見合った接近しきい値XL(ステップS404)を設定することができる。
【0054】
ステップS200〜S210(図4)は、アクセルペダル20からブレーキペダル21への踏替時間の平均値を算出するルーチンである。
まず、ステップS200において、アクセルストロークセンサ22からの情報に基づきアクセルペダル20が踏み込まれているかどうかが判定され、踏み込まれている場合(アクセルオン)は、ステップS209,S210を経る処理へ進み、そうでない場合はステップS201へ進む。
【0055】
ここに、ステップS209でセットされるAフラグは、ドライバによるアクセルペダル20からブレーキペダル21へのぺダル踏替操作の際、1回の踏み替え当たりに1つのデータ(踏替時間データ)が得られるよう処理するための制御フラグであり、本ステップS209でセットされ、後述のステップS209でクリアされるものである。また、ステップS210でクリアされるタイマは、踏替時間の計時に用いられるタイマ(例えば、アップカウンタからなる第2のタイマ)である。アクセルオン中のときは、ドライバが、次にアクセルペダル20を釈放しブレーキペダル21を踏み込むそのぺダル操作に備え、その踏替の監視およびその時の踏替時間の算出に備えるべく、常時、上記ステップS209,S210側の処理を選択している。
【0056】
アクセルペダル21が釈放されると、ステップS200は処理をステップS201側へ切替える。本ステップS201では、ブレーキストロークセンサ23からの情報に基づき、ブレーキペダル21が踏み込まれているかどうかが判定され、今回ループでブレーキペダル21が踏み込まれていない場合は、ステップS208にて踏替時間を示す第2のタイマをインクリメントして、今回ループでのこのルーチンを終了する。これにより、ドライバがアクセルペダル21から足を離したのに合わせて、踏替時間の計時を開始することできる。
【0057】
しかして、次回ループ以降、ステップS200からステップS201へ進む場合において、ブレーキペダル21が踏み込まれる(ブレーキオン)に至ったとき、ドライバによってアクセルペダル20からブレーキペダル21への踏替がなされたとみて、かかるステップS201の答が肯定から否定に転換したタイミングで、その踏替のために要した時間をチェックするべく、処理を更にステップS202以降へ進める。
【0058】
ブレーキペダル21が踏み込まれている場合は、まず、ステップS202で、1回の踏み替え当たりに1つのデータに制限するための前述のAフラグがセットされているかどうか(すなわち、後述のように既に踏替時間の平均値が算出されたかどうか)が判定される。ここに、上記踏替がなされた直後の最初のループでは、ステップS209によって当該Aフラグはセット状態にあることから、当該直後の最初のループでは、ステップS202は、ステップS203以下の処理を一度だけ実行する。そして、その時、ステップS207(Aフラグクリア)が一度実行される結果、その次のループ以降では、既に計算がされたものとして、その場合は、ステップS202からこのルーチンを終了し、ステップS300以降のルーチンへ進む。
【0059】
ここに、踏替時間に関するデータは、上記の踏替にかかった時間を第2のタイマのタイマ値により求めることを基本的内容とするが、更に、本プログラム例の場合、該タイマ値が所定時間(例えば、1秒)以上を超えているか否かの判別(ステップS203)、タイマ値の踏替時間へのセット(ステップS204)、これまでの踏替時間との平均値の算出(ステップS205)の各処理を含んで構成してある。
【0060】
まず、ステップS203において、踏替時間を示す第2のタイマが1秒以上経過したかどうかが判定される。その結果、答が肯定で、1秒以上経過したと判断された場合は平均値の計算から除外してステップS206(タイマクリア)へスキップし、本ステップS206およびステップS207(Aフラグクリア)のみが実行され、答が否定の場合に、タイマ1秒未満の条件のもとでステップS204,S205の処理が1回実行される。
したがって、踏替時間の計時用の第2のタイマ値が1秒以上をも経過するようなアクセルペダル20からブレーキペダル21への踏替の状態の場合は、ドライバが普段の走行時でのブレーキ操作においてどの程度のぺダル踏替の時間を要しているかという観点からの踏替時間としては適していないことから、たとえアクセルペダル21を釈放し、そしてその後ブレーキぺダル22を踏み込むという一連の操作が行われたにせよ、本例では、そのような踏替時間データを採用しないようにすることができる。よって、ぺダル操作での踏替にかかる時間を考慮して余裕距離を定めようとする場合でも、もっぱら踏替時間が所定時間(本例では、1秒)を下回る場合の踏替時間情報を対象とでき、必要十分な適切な余裕距離(X2)を定めるのに、より正確なものとなり、精度の向上を図ることができる。また、そのような踏替状態での第2のタイマ値データは、ステップS204での処理による踏替時間へのセットもされず履歴データとしても蓄積の対象ともならない。結果、アクセルペダル21からブレーキぺダル22への踏替時間の履歴から得られる踏替時間の平均値に応じて余裕距離を決定しようとする場合でも、踏替時間が所定時間を超える履歴データは平均時間(Tave)の算出からは除外される分、適用する履歴データについても、より正確なものとなって、精度の向上が図れる。
【0061】
しかして、ステップS203での判断の結果、第2のタイマ値が1秒未満なら、ステップS204で当該タイマ値を踏替時間としてセットする。そして、続くステップS205においては、これまでに蓄積された踏替時間を含んだ平均値を算出し、ステップS206およびS207で第2のタイマとAフラグをクリアしてこのルーチンを終了する。
かくして、ステップS205で得られた値は、本プログラム例では、ステップS403(図6)での余裕距離X2の設定に適用される。
【0062】
以上のルーチンで、ドライバがアクセルペダル21からブレーキぺダル22へ踏替をする際、普段それにどの程度の踏替時間をかけているかが分かる。
更には、本プログラム例では、上記のようにして、過去の踏替時間の履歴をも対象として、その履歴から平均的なものを求めることができ、その分、踏替時間に関するそのドライバのクセを適切かつ確実に把握でき、ドライバが普段どの程度の踏替時間でぺダル操作をしているかについての偏りの少ない状態のものが得られ、これが余裕距離X2の設定に反映される結果、より効果的にそのドライバの踏替のためのぺダル操作に関する特性、特徴に見合った接近しきい値XL(ステップS404)を設定することができる。
【0063】
ステップS300〜S312(図5)は、ブレーキ操作に関連する車両情報である制動Gを監視し、平均減速度を計算するルーチンである。
まず、ステップS300において、ブレーキストロークセンサ23からの情報に基づきブレーキペダル21が踏み込まれているかどうかが判定され、踏み込まれている場合(ブレーキオン)は、ステップS301へ進み、そうでない場合はステップS311,S312の処理を経てこのルーチンに関係するタイマとGフラグをクリアして終了する。
【0064】
ここに、ステップS311でクリアされるタイマは、所定時間の減速Gをみるため用いられるタイマ(例えば、アップカウンタからなる第3のタイマ)である。また、Gフラグは、ブレーキ踏み込みによる減速1回につき1データを採用するよう処理するための制御フラグである。ブレーキぺダル21が踏まれていない間は、ドライバが次にブレーキペダル21を踏み込んで制動した場合におけるその制動中の減速度の算出に備えるべく、ステップS300は、常時、上記ステップS311,S312側の処理を選択している。
【0065】
ブレーキペダル21が踏み込まれると、ステップS300は、以後、当該ブレーキ踏み込み中は、処理をステップS301側に切替える。
ステップS301では、ブレーキ踏み込みによる減速1回につき1データを採用するためのGフラグがセットされているかどうかが判定される。ここで、セットされている場合、すなわち既に今回制動中で減速データ格納が行われた場合は、本ステップS301からルーチンを終了するが、上記ブレーキペダル21の踏み込みがなされた直後の最初のループでは、該GフラグはステップS312による切替え状態にあることから、まず、当該直後の最初のループでは、ステップS301は、ステップS302以下を選択して処理を進めることとなり、以後、ステップS300からステップS301へと進む場合において、そのステップS301での判別結果が転換するまで、ステップS302以降を経る処理が実行される。
【0066】
すなわち、Gフラグがセットされていない場合は、ステップS302では、本ステップS302実行ごと、前後Gセンサ32からの情報に基づき減速Gの読み込みが行われる。これにより、ブレーキぺダル21の踏み込みに伴う車両制動中、常時、車両の減速Gが監視される。
次に、ステップS303において、読み込まれた減速Gが、設定値±所定値(例えば、0.05G)以内か否かが判断される。これにより、そのときの減速Gが所定範囲内にあるかどうかをみる。このように、ステップS302で逐次読み込まれた減速Gが設定値とほぼ等しいかどうかが判定され、等しい場合はステップS304以降へ進み、そうでない場合はステップS310で設定値の更新を行い、本ステップS310からこのルーチンを終了し、ステップS400(図6)以降のルーチンへ進む。
【0067】
ステップS303の答が肯定のときは、ドライバによるブレーキ踏み込み中の車両減速度が所定の範囲内にあるとみることができ、この場合は、ステップS304では、所定時間の減速Gの平均をみるための第3のタイマをインクリメントし、続くステップS305において、そのタイマによる計時が所定時間経過した(タイムアップ)かどうかが判断される。これにより、減速Gの平均の計算が可能かどうかが判定される。そして、第3のタイマがタイムアップするまでの間は、ステップS306〜S309をスキップして本ルーチンを終了する。
このようにステップS302→S303→S304→S305→▲3▼を経るループで処理が進められるときは、該所定時間が経過するするまでの間、ステップS302実行ごと、本ステップS302による読み込みが行われ、それぞれの読み込みデータを記憶することができる。一方、該所定時間が経過し第3のタイマがタイムアップしたら、そのタイミングでステップS306以降の処理へ進む。
【0068】
かくして、これにより、ブレーキ踏み込み中の減速Gが所定の範囲内にある時間が所定時間経過した時の減速Gの情報を対象として、ステップS306以下での計算処理に用いるようにすることができる。ここで、ステップS306以下の処理は、このような条件のもと、減速1回につき1データを採用するべく、一度だけ実行される。そこでは、かかる場合の減速Gの平均値を求めることを基本的内容とするが、本プログラム例では、平均減速Gの算出(ステップS306)、これまでの平均減速Gデータとの平均値の算出(ステップS307)の各処理を含んで構成してある。
【0069】
すなわち、ステップS306において、上記所定時間中(ステップS305)の減速Gの平均値が計算される。ここに、これは、もっぱら上記のような条件のもとでのみ算出されるものである結果、該計算値が相対的に大きければ、その分、そのドライバは、ほぼ、相対的に急制動をかける傾向、特徴があるとみることができ、該計算値が相対的に小さければ、その分、そのドライバは、ほぼ、相対的に緩制動をかける傾向、特徴があるとみることができる(該算出値は、このような意味付けを有し、更にこれを過去の履歴データと併用すれば、かかる推定を、よりばらつきのない偏りの少ない正確なものとでもきる)。
そして、ステップS307においては、これまでに蓄積された平均値とからマクロ平均値を算出し、その後ステップS308,S308によるGフラグの切替えと第3のタイマのクリア処理をしてこのルーチンを終了する。
かくして、ステップS307で得られた値は、本プログラム例では、ステップS403(図6)での余裕距離X2の設定に適用される。
【0070】
以上のルーチンで、ドライバによるブレーキぺダル21の踏み込み中に普段生ずる平均的な当該車両の減速度が分かる。所定時間の間の減速Gをみるときでも、もっぱら、ブレーキ踏み込み中の減速Gが所定の範囲内にある時間が所定時間経過した時の減速Gを平均値の計算に用いることができ、それ以外は対象外とできる結果、本ブレーキアシスト制御において、必要十分な適切な余裕距離(X2)を定めるのに、より正確なものとなり、精度の向上を図ることができる。また、制動中の車両の生ずる減速Gを読み込む場合でも、ステップS307,S308がスキップされるような条件のもとでは、その減速Gのデータは履歴データとしても蓄積の対象とならない結果、制動中の車両の減速度の履歴から得られる平均減速度に応じて余裕距離を決定しようとする場合でも、その分、適用する履歴データについても、より正確なものとなって、精度の向上が図れる。
【0071】
本プログラム例では、上記のようにして、過去の制動中の車両の減速Gの履歴をも対象として、その履歴から平均的なものを求めることができ、その分、ブレーキ踏み込み中の減速Gからみたそのドライバのクセを適切かつ確実に把握でき、ドライバのブレーキぺダル21の踏み込みによる制動中、車両に普段どの程度の制動Gが生ずるのかにつき偏りの少ない状態のものが得られ、これが余裕距離X2の設定に反映される結果、より効果的にそのドライバのブレーキ操作に係わる車両情報としての発生制動Gに関する特性、特徴に見合った接近しきい値XL(ステップS404)を設定することができる。
【0072】
ステップS400〜S409(図6)は、車間距離に関してこれ以上接近したら危険であるとのしきい値を設定し、ブレーキアシスト制御のパラメータを設定するルーチンである。
まず、ステップS400ではレーザレーダセンサ31の検出値から車間距離Xが検出され、ステップS40で前方障害物との相対速度Vr(=dX/dt)が計算される。更に、ステップS402では、ある減速度gで減速した場合の物理的な停止距離X1(=Vr2 /2g)が計算される。
【0073】
次に、ステップS403において、本プログラム例では、図3,図4,図5の各ルーチン(ステップS100〜S110、S200〜S210、S300〜S312)で得られた車間距離に関する平均値、踏替時間平均値、減速G平均値とから、ドライバの特徴を推定し、余裕距離X2を設定する。
この例として、下記表1に示すような関係を示す。
【0074】
【表1】
Figure 0003646492
【0075】
次に、ステップS404においては、これ以上接近したら危険である(接近しすぎの状態;安全距離を下回る)という接近しきい値XLを算出する。この設定は、物理的にとまれる停止距離X1と、認知、踏替にかかる余裕距離X2の和とした。したがって、本プログラム例では、相対速度Vrから算出される制動距離としての停止距離X1と上記各平均値(車間距離/車速平均値、踏替時間平均値、平均減速G)の3つの物理量に応じて設定される余裕距離X2との和をしきい値として、続くステップS405において、実際の車間距離Xが該しきい値XLよりも大きいかどうかを判定することで、その時の車間距離Xが該しきい値XLよりも下回った時に接近し過ぎと判断することができ、接近し過ぎと判断されたときに、ドライバのブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するブレーキアシストを行わせることができる。
【0076】
このようにすると、余裕距離X2をその停止距離X1に適用する可変制御量として適切に決定、設定することができ、ドライバの運転パターンが様々であるにもかかわらず安全距離のしきい値を一義的に定める構成に依存すると頻繁にブレーキアシストに入ってしまって効きすぎによるフィーリングの悪化を招き、あるいは逆にシステムの本来の効果が薄れるなどといったような事態も回避できるし、そのドライバの特性に見合ったその接近しきい値XLを設定し、対応性を高め、過不足なく適切にブレーキアシスト制御の機能を発揮させることができる。
【0077】
上記表1に例示したように、踏替時間と車間距離と制動G(減速G)の3つの物理量の大きさに応じて余裕距離X2を設定すると、この場合は、そのドライバのぺダル操作、制動G、車間距離の取り方のいずれも常時監視することによってそのドライバのクセをより適切かつ確実に把握すること可能で、余裕距離X2の設定にあたり、これをよりきめ細かく行うことができ、いずれの要素をも対象として、それらすべての面から当該ドライバの特徴を正確に推定して、最適な余裕距離X2、従って最適な接近しきい値XLを設定することができる。
【0078】
ここに、表1では、余裕距離X2は、車間距離、踏替時間、制動Gの3つの要素の大小の組み合わせに応じたものとすることができる。各要素の大小の判別については、例えば、踏替時間平均値については踏替時間平均値に関する判別用の所定値を設けて該所定値以上かどうかで、また、車間距離平均値については車間距離平均値に関する判別用の所定値を設けて該所定値以上かどうかで、また、減速G平均値については減速G平均値に関する判別用の所定値を設けて該所定値以上かどうかで、それぞれの大小の判別を行う方法とすることができ、したがって、表1では、かかる大小の組み合わせにより、ドライバの特徴として第1欄から第8欄のものに場合分けされている。
【0079】
そして、余裕距離X2については、これに合わせて、加算されるべき余裕距離の値を割り当ててある。ここでは、「小小」、「小」、「中」、「大」、「大大」の5つの領域を区分けし、各領域に対し、この順で、それぞれ、あらかじめ定められた、所定値としての「より小さい余裕距離の値」、「小さい余裕距離の値」、「中程度の余裕距離の値」、「大きな余裕距離の値」、「より大きな余裕距離の値」というように5種の余裕距離X2の値が設定可能で、きめ細かく設定を行うことができる。
【0080】
なお、本発明は、これら3つの要素をすべて併用せずに実施することを妨げるものではなく、図3、図4、図5の各ルーチンをそれぞれ単独で用いて、本図6および次の図7のルーチンと組み合わせて実施しても、また、図3、図4、図5の各ルーチンのいずれか二つの組み合わせと、本図6および次の図7のルーチンとを結合する態様でもよい。
【0081】
前記ステップS405は、既述のように、車間距離>XLの判断ステップであるが、本プログラム例では、更に、ステップS405以下において、次のような処理も加味してある。
すなわち、ステップS405では、実際の車間距離が接近しきい値XLよりも大きいかどうかが判定され、その結果に応じて、大きい場合はまだ危険でないことから、ステップS406で通常の踏力/制動G特性を選択し、続くステップS408で後述のアシスト制御(ステップS505)に入るタイミングを決定するBAしきい値の値を大きくする。
【0082】
一方、実際の車間距離が接近しきい値XLよりも小さい場合、すなわち接近し過ぎの場合は、ステップS407で通常よりも踏力に対して制動Gが大きくなり効きを強める特性を選択し、ステップS409でアシスト制御に入るタイミングを決定するBAしきい値の値を小さくしてブレーキアシスト制御に入り易くする。
【0083】
このように、ブレーキ踏力/制動特性として、あらかじめ2つの特性、すなわちノーマルのブレーキ踏力/制動特性(ステップS406)と、ハイゲインのブレーキ踏力/制動特性(ステップS407)とを用意し、ステップS405の結果に応じて、これらを選択的に切替え適用させるよう制御する。このようにして、接近し過ぎと判断されたときに、ドライバのブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するブレーキアシスト時は、ドライバによるブレーキ入力に対する液圧ゲインを高くするようにして行うことができ、かかる制御を加味してもよい。この場合は、そのブレーキアシスト時、通常よりも、より迅速にブレーキ操作力を上回る制動液圧を立ち上げられ、適切にブレーキアシストに応えられる。
【0084】
ステップS500〜S508(図7)は、ブレーキアシスト制御ルーチンである。
まず、ステップS500において、ブレーキストロークセンサ23からの検出信号に基づき、ブレーキぺダル21のストローク量が検出され、次のステップS501では、所定時間の変化量からブレーキストローク速度が算出される。これにより、ブレーキぺダル21を踏み込みつつある過程でのドライバのブレーキ入力速度をブレーキストローク速度として検出できる。
【0085】
続くステップS502は、ブレーキペダル21がオフ(ブレーキぺダルが踏まれていない)かどうかを判断するステップである。本ステップS502での判断の結果、オフの場合は、ステップS509でBAフラグをクリアし、アシスト制御を解除する。ここに、BAフラグは、アシスト条件に入って制御中かどうかを示すものであり、該フラグがセット(ステップS509)されていれば、アシスト制御中であることを意味するフラグである。
【0086】
一方、ステップS502の判断の結果、ブレーキペダル21が踏み込まれている場合は、更に、ステップS503において、アシスト条件に入って制御中かどうかを示す該BAフラグがセットされているかどうかが判定され、セットされている場合、すなわち既にアシスト制御が開始されているときは、ステップS505(アシスト制御)へ進んで制御を継続し、そうでない場合は、アシスト制御をすべきタイミングにあるかどうかをみるため、ステップS504を処理を進める。
【0087】
ステップS504では、ブレーキストローク速度(ステップS501)がBAしきい値よりも大きいかどうかが判断される。本ステップS504での判定は、これによって、ドライバのブレーキぺダル21踏み込み過程での検出ブレーキストローク速度がBAしきい値よりも上回ったときに所定のアシスト力を付与しようとするためのものである。そして、本プログラム例では、ここで用いるBAしきい値は、前記ステップS408、S409(図6)で決定されたものである。したがって、前記ステップS405において接近し過ぎていると判断されたために、そのBAしきい値として、小なるBAしきい値が選択されているときは、これに連動して、該BAしきい値が本ステップS504での判別用のBAしきい値として適用されて、ブレーキストローク速度との判定が行えることとなる。
【0088】
ステップS504での判定の結果、ブレーキストローク速度がBAしきい値よりも大きい場合、すなわちブレーキの踏み込みが大きい場合は緊急であると推定し、ステップS505でアシスト制御を行い、ステップS507でBAフラグをセットする。
他方、ステップS504での判定の結果、ブレーキストローク速度がBAしきい値よりも大きくない場合は、アシスト制御を行わないが(ステップS506)、ステップS508で、定められたゲインに基づき踏力・制動Gフィードバック制御が行われる。ここでのゲインは、前記ステップS406、S407(図6)で決定されたものが用いられる。
【0089】
かくして、ステップS502→S503→S504のループで、そのステップS504の答が一旦肯定となると、そのタイミングでブレーキアシスト制御が開始される。
ここに、ステップS504でアシスト制御を行うためブレーキストローク速度がBAしきい値よりも上回ったときに所定のアシスト力を付与する具体的な例としては、制御装置29は、図2の前記負圧ブースタ25の真空弁43が閉位置、大気弁44が開位置となるように電磁弁45を駆動し、変圧室41に大気を導入することにより負圧室42との差圧を発生させてマスタシリンダ26〜ホイールシリンダで液圧を発生させる。したがって、これによりアシスト制御が行われる。
【0090】
上述のようにして、本ブレーキアシスト制御によれば、ドライバのブレーキ操作時、アシスト制御を行わせることができるととも、ドライバの様々な運転パターンにも応えられる。ドライバのぺダル操作、制動減速度、車間距離の取り方を常時監視することによって、当該ドライバのクセを把握して、当該ドライバの特性に見合った車間距離の接近しきい値をより最適に設定することができ、当該ドライバにとり、そのドライバの特性からみて、的確に接近し過ぎの状態を検出してシステムがブレーキアシストをすることができ、ブレーキアシストが当該ドライバにとってより適切なものとなる。したがって、本システムは、例えば、車間距離を詰めて走行する特徴をもつドライバにとっても、逆に車間距離を空けて走行する特徴をもつドライバにとっても、更には、熟練の度合い年齢などからペダル操作や制動のかけ方で個々に特徴をもつドライバそれぞれにとっても、それらドライバにも広く対応可能であって、高い対応性を有し、過不足なく適切にブレーキアシスト制御本来の機能を発揮させる、その効果をより一層引き出すことができる。
【0091】
一方、ステップS506、S509でアシスト制御を解除する具体的な例としては、前記負圧ブースタ25の真空弁43が開位置、大気弁44が閉位置となるように電磁弁45を駆動して制御を終了するものとすることができる。なお、電磁弁45の通電を遮断するだけでもスプリングの付勢力で真空弁43が開位置、大気弁44が閉位置となるため制御終了の目的は達せられる。
【0092】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記表1では、3つの物理量を用いる場合において段階的に余裕距離を設定したが、本発明は、そのように段階的に余裕距離を設定する方法に限られるものではなく、例えばあらかじめ特性データを記憶させたテーブルやマップを用いて、これら3つの物理量を検索データとして、総合的な余裕距離の値を求める方法でも実施できるものである。
【0093】
また、例えば、上記制御プログラムの例では、ブレーキストローク速度がその比較用のしきい値を越えた場合にアシスト制御を行う構成をべースとしているが、これに限らず、ブレーキストローク速度の代わりにブレーキ踏力、ブレーキ液圧等を使っても本発明の効果が成立するのはもちろんである。
【0094】
また、ドライバのブレーキ操作力を上回る所定の制動力(制動液圧)を発生させるアシスト制御を行うブレーキアシスト方式は、図2のような負圧ブースタ25によるもの限られるものでないことはいうまでもなく、また、本発明は、電磁ブレーキシステムによる場合を含んで広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブレーキアシストシステムの一実施例に係る全体構成図である。
【図2】適用できる負圧ブースタの一例の構成図である。
【図3】制御装置が実行する演算処理の一例を示すフローチャートであって、その一部を示すプログラムフローチャートである。
【図4】同じく、そのフローチャートの他の一部を示す図である。
【図5】同じく、そのフローチャートの更に他の一部を示す図である。
【図6】同じく、そのフローチャートの更に他の一部を示す図である。
【図7】同じく、そのフローチャートの更に他の一部を示す図である。
【符号の説明】
20 アクセルぺダル
21 ブレーキぺダル
22 アクセルストロークセンサ
23 ブレーキストロークセンサ
25 負圧ブースタ
26 マスターシリンダ
27 車輪
28 車輪回転速度センサ
29 制御装置(コントローラ)
31 レーザレーダセンサ
32 車両前後Gセンサ
41 変圧室
42 負圧室
43 真空弁
44 大気弁
45 電磁弁
46 オペレーティングロッド
47 電磁弁連動部材
48 プッシュロッド
49 リアクションディスク

Claims (19)

  1. 自車両の前方検出物との距離を検出する手段と、
    自車の車体速を検出する手段と、
    該前方距離と該自車速とから相対速度を計算する手段と、
    該相対速度から制動距離を計算する手段と、
    該制動距離に対し加算する余裕距離を算出する手段と、
    算出された制動距離と余裕距離との和をしきい値とする手段と、
    現在の車間距離がしきい値よりも下回ったときに接近し過ぎると判断する手段と、
    接近し過ぎと判断されたときに、運転者のブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するブレーキアシスト手段とを有し、
    自車速から余裕距離を算出する場合において、運転者のぺダル操作、制動減速度を含む車両情報、車間距離の取り方の一以上を監視することによって、当該運転者の特性に見合った車間距離のしきい値を設定し、
    アクセルペダルからブレーキペダルへの踏替時間の履歴から、平均時間を算出する手段を含み、少なくとも該平均時間に応じて余裕距離を決定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  2. 請求項1において、
    車間距離の履歴から、車間距離平均値を算出する手段を含み、少なくとも該車間距離平均値に応じて余裕距離を決定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  3. 請求項1において、
    制動中の車両の前後減速度の履歴から、平均減速度を算出する手段を含み、少なくとも該平均減速度に応じて余裕距離を決定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  4. 請求項1において、
    アクセルペダルからブレーキペダルへの踏替時間の履歴から平均時間を算出する手段と、車間距離の履歴から車間距離平均値を算出する手段と、制動中の車両の前後減速度の履歴から平均減速度を算出する手段とを更に有し、
    これら平均時間と車間距離平均値と平均減速度の3つの物理量の大きさに応じて余裕距離を決定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  5. 請求項4において、
    車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも大きく設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  6. 請求項4において、
    車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常の値に設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  7. 請求項4において、
    車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも十分大きく設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  8. 請求項4において、
    車間距離平均値が大きく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常よりも大きく設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  9. 請求項4において、
    車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも小さく設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  10. 請求項4において、
    車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が大きく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常よりも十分小さく設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  11. 請求項4において、
    車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が大きいときには、余裕距離の値は通常よりも小さく設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  12. 請求項4において、
    車間距離平均値が小さく、かつ踏替時間平均値が小さく、かつ平均減速度が小さいときには、余裕距離の値は通常の値に設定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  13. 請求項1、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、または請求項12のいずれかにおいて、
    踏替時間が所定時間を超える履歴データは、平均時間の算出からは除外する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  14. 請求項1ないし請求項13のいずれかにおいて、
    所定車速以上の一定速走行時の車間距離の分布の状態から、余裕距離を決定する、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  15. 請求項14において、
    車間距離の分布の代わりに、車間距離/車速、または車速/車間距離を用いる、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  16. 請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、または請求項12のいずれかにおいて、
    ブレーキ踏み込み中の車両減速度が所定の範囲内にある時間が所定時間経過したときの車両減速度を、平均値の計算に用いる、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  17. 請求項1ないし請求項16のいずれかにおいて、
    接近し過ぎと判断されたときに、運転者のブレーキ操作によって発生するブレーキ圧よりも高いブレーキ圧を付与するブレーキアシスト手段は、運転者によるブレーキ入力に対する液圧ゲインを高くする、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  18. 請求項1ないし請求項16のいずれかにおいて、
    運転者のブレーキ入力速度を検出し、入力速度がしきい値よりも上回ったときに所定の圧力を付与する手段を更に有し、
    接近し過ぎと判断されたときに、該しきい値の値を小さくする、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
  19. 請求項1ないし請求項16のいずれかにおいて、
    運転者のブレーキ入力速度を検出し、入力速度がしきい値よりも上回ったときに所定の圧力を付与する手段を更に有し、
    接近し過ぎと判断されたときに、付与する圧力の値を大きくする、ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
JP29268697A 1997-10-24 1997-10-24 ブレーキアシストシステム Expired - Fee Related JP3646492B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29268697A JP3646492B2 (ja) 1997-10-24 1997-10-24 ブレーキアシストシステム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29268697A JP3646492B2 (ja) 1997-10-24 1997-10-24 ブレーキアシストシステム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11124019A JPH11124019A (ja) 1999-05-11
JP3646492B2 true JP3646492B2 (ja) 2005-05-11

Family

ID=17784997

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29268697A Expired - Fee Related JP3646492B2 (ja) 1997-10-24 1997-10-24 ブレーキアシストシステム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3646492B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10227004B2 (en) 2015-07-24 2019-03-12 Mitsubishi Electric Corporation Vehicle constant-speed travel control apparatus, vehicle constant-speed travel control method, and computer readable medium

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19934105A1 (de) * 1999-07-21 2001-01-25 Nokia Mobile Phones Ltd Bedienbares Gerät
EP1125811B1 (en) * 2000-02-19 2003-05-07 Robert Bosch Gmbh Method and device for diagnosing a brake switch
JP3921925B2 (ja) * 2000-06-30 2007-05-30 日産自動車株式会社 車両用衝突防止装置
JP3838005B2 (ja) * 2000-08-18 2006-10-25 日産自動車株式会社 車両用衝突防止装置
JP4581268B2 (ja) * 2001-02-27 2010-11-17 株式会社アドヴィックス 車両の制動制御装置
JP4082177B2 (ja) 2002-10-30 2008-04-30 トヨタ自動車株式会社 車両用安全装置
JP4879462B2 (ja) * 2004-02-16 2012-02-22 ダイハツ工業株式会社 車両制動方法及び車両制動装置
CN100400350C (zh) * 2004-09-20 2008-07-09 丰田自动车株式会社 车辆的制动力控制装置
JP2006298315A (ja) * 2005-04-25 2006-11-02 Advics:Kk 運転支援システム
JP2009012498A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Mitsubishi Motors Corp 車間距離制御装置
JP5264467B2 (ja) * 2008-12-22 2013-08-14 Udトラックス株式会社 衝突被害軽減制動制御装置
JP5780225B2 (ja) * 2012-10-12 2015-09-16 株式会社デンソー 車両用乗員属性判別装置
JP6443381B2 (ja) * 2015-09-30 2018-12-26 株式会社デンソー 運転支援装置
WO2017057755A1 (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 株式会社デンソー 運転支援装置
WO2017204195A1 (ja) * 2016-05-24 2017-11-30 エスディーテック株式会社 Hmi制御装置、移動体、hmi制御方法、及びプログラム
JP6490175B1 (ja) * 2017-10-25 2019-03-27 三菱電機株式会社 車間距離制御装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10227004B2 (en) 2015-07-24 2019-03-12 Mitsubishi Electric Corporation Vehicle constant-speed travel control apparatus, vehicle constant-speed travel control method, and computer readable medium

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11124019A (ja) 1999-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3646492B2 (ja) ブレーキアシストシステム
JP3800007B2 (ja) 制動制御装置
JP3246204B2 (ja) 車両の自動制動装置
JP2002512148A (ja) 制動距離の短縮方法
JP3681052B2 (ja) 追従走行制御装置
JP4011711B2 (ja) 車両走行安全装置
JP3666342B2 (ja) 走行制御装置
JPH11255089A (ja) 車両の自動ブレーキ制御装置
WO2007132323A2 (en) Alarm system and alarm method for vehicle
JP3929668B2 (ja) 予ブレーキ制御装置
JP4020232B2 (ja) 予ブレーキ制御装置
EP1419924B1 (en) Adaptive cruise control system
JP3890967B2 (ja) 車両用制動制御装置
JPH10338110A (ja) 車両用運転支援装置
JP2001233190A (ja) 走行制御装置
JP3959748B2 (ja) 車両用自動制動装置
JP4163844B2 (ja) 車両の追突回避装置
JP3651289B2 (ja) ブレーキ制御装置
JP3572448B2 (ja) 車両用制動制御装置
JP3747617B2 (ja) ブレーキアシストシステム
JP2000219113A (ja) 車両制動制御装置
JP3543544B2 (ja) ブレーキのアシスト装置
JP3543543B2 (ja) 車間距離制御装置
JP3719876B2 (ja) 車両用自動制動制御装置
JP2004161174A (ja) 車両用制動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 19971119

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20010227

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20030416

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040802

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20010629

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050131

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090218

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100218

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100218

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110218

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130218

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130218

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140218

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees