JP3918688B2 - 自動販売機の防盗装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本体キャビネットの前面に開閉自在に取付けられた外扉がこじあけられて機内から貨幣などが盗難されるのを防止する自動販売機の防盗装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、自動販売機の構成を図5に示す。図において、1は前面が開口した断熱筐体として形成され、庫内に商品収納ラックを搭載した自動販売機の本体キャビネット、2は本体キャビネット1の前面開口を覆うようヒンジ金具2aを介して本体キャビネット1の前面に取付けた片開き式の外扉、3は外扉2のヒンジ金具2aと反対側に設けた錠付きの扉ロック機構におけるハンドルであり、該ハンドル3を操作することにより閉位置に鎖錠された扉ロック機構のロックを解除して外扉2を開閉する。4は外扉2に形成された商品見本を展示するディスプレイ室、5は商品取出口、6はコイン投入口、7は紙幣挿入口、8は釣銭返却口であり、図示してないが外扉2の裏面には通貨関連機器としてコイン制御機構,紙幣鑑別装置,コイン回収ボックスなどを装備している。
【0003】
次に、外扉2の扉ロック機構を図6に示す。図6において、9は扉ロック機構におけるハンドル3の後端に連結した釈放用レバー、10は釈放用レバー9に連繋して外扉2に装備されたスライダーロック、11はスライダーロック10に対向して本体キャビネット1の外箱前端に設けたフック板である。ここで、スライダーロック10は、良く知られているように、スライダーロック10に形成した上下方向の長溝に段付きねじを挿通し、当該段付きねじを外扉2に固着することによって上下方向にスライド可能に支持されたUチャンネル体として形成されている。スライダーロック10の壁面には前記釈放用レバー9およびフック板11が嵌入する角穴10a,10bが開口している。また、フック板11はその取付基部を本体キャビネット1の外箱に固定し、前方に突き出した部分の上縁に凹溝11aが形成されている。
【0004】
上記構成の扉ロック機構は周知であり、外扉2を閉じた状態ではスライダーロック10がフック板11の凹溝11aに係合して外扉2を閉位置に鎖錠している。この状態から鍵12を使って扉ロック機構のリンダー錠を解錠した上で、ハンドル3を開位置に回すと釈放用レバー9が図示鎖線位置から実線位置に回動してスライダーロック10を上方に引き上げる。これにより、スライダーロック10とフック板11との係合が外れて外扉2を自由に開くことができるようになる。(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、前記した扉ロック機構を取付けただけでは、防盗性に次記のような弱点がある。すなわち、外扉2を閉じた扉ロックの状態でも、外扉2と本体キャビネット1との合わせ面に残る隙間g(図6 (a) 参照)に外部からバールなどの工具をこじ入れ、扉ロック機構を破壊した上で外扉2を開いて機内から金銭,商品を盗み出す手口の盗難を防ぐことができない。
【0006】
そこで、本特許出願人は、前記した盗み手口の防盗対策として、図7に示すように、外扉2の側縁(扉ロック機構を設けた扉の側縁側)に沿って扉枠から背後に張り出し、外扉2と本体キャビネット1との間の合わせ面を隠すように外側から覆う庇状の防盗板13を設けた防盗構造を出願した(特願2002−188175号)。
【0007】
この防盗板13は鋼板の板金製品になり、外扉2から背後に張り出す庇部13aをダブルホールドの重ね折り構造で形成し、この庇部13aから延在する二股状の取付基部13b,13cを扉枠21に重ね合わせて固着している。前記防盗板13を外扉2に装備することにより、外扉2と本体キャビネット1との間の合わせ面にバールなどを直接こじ入れることができなくとともに、庇部13aをダブルホールドした重ね折り構造とすることで曲げ強度が大幅に増強されて防盗性が高まる。なお、22はディスプレイ室4(図5参照)の前面を覆う透明パネルであり、23は前記透明パネル22を扉枠21に固定する取付金である。
【0008】
【特許文献1】
特許第3146820号公報
【特許文献2】
特開平11−53631号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記防盗板13は外扉2と本体キャビネット1との間の合わせ面にバールなどを直接こじ入れることを防止するうえで有効である。しかしながら、本体キャビネット1(外箱1a)はその前面が開口しており、外箱1aの側壁は上下両端に比べて中央に近づくほど内側に変形し易い構造となっている。したがって、図7に示すように防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の残る隙間へ矢印P方向(外扉2の後方側)からバールをこじ入れられた場合、防盗板13の庇部13aを支点として「てこの原理」により外箱1a(側壁)が内側に変形してしまい、防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の隙間が広がり、防盗板の機能が失われてしまうという問題を有する。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、本体キャビネットの変形を防止して高い防盗機能を確保することができる自動販売機の防盗装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明によれば、本体キャビネットの前面にヒンジにより開閉自在に取付けられた外扉に扉ロック機構を備え、該外扉のヒンジと反対側の扉側縁から背後に張り出して外扉と本体キャビネットの外箱との合わせ面を外側から覆う防盗板を設けたものにおいて、前記本体キャビネットにおける前記防盗板と対峙する側壁の内側に張り出して当該側壁が内側に変形するのを防止する変形防止板を設け、前記変形防止板を本体キャビネットの外箱に固着したことを特徴とする(請求項1)。
【0012】
また、本発明においては、本体キャビネットの外箱に固着した変形防止板に加え、外扉に固着した変形防止板を設けることができる(請求項2)。
前述したように、本体キャビネットにおける前記防盗板と対峙する側壁の内側に張り出して当該側壁が内側に変形するのを防止する変形防止板を設けたことにより、本体キャビネットにおける外箱の変形が防止される。したがって、防盗板の庇部の先端と本体キャビネットの外箱との間の隙間が広がることがないので防盗板の機能が損なわれることがなく、防盗性を高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に示す実施例により説明する。なお、実施例の図中で図7に対応する部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1を示す自動販売機の要部構造の横断面図であり、図示実施例1において従来と異なる点は、変形防止部材として断面L形の変形防止板15を設けた点である。この変形防止板15は短冊状の鋼板をL形に折り曲げて形成されており、L形の一方の脚片を防盗板13の取付基部13cに溶接またはねじにより固着したものである。その際、変形防止板15は、L形の他方の脚片が防盗板13の庇部13aと対峙する本体キャビネットにおける外箱1a(側壁)の内側に張り出すように配置されている。また、変形防止板15にはスライダーロック10と同様にフック板11が貫通する角穴(不図示)が開口されている。前記フック板11は本体キャビネット1における外箱1aの前端に複数配設されており、例えば、上段,中央,下段にそれぞれ設けられている場合には、変形防止板15に上段,中央,下段の3つのフック板11に対応して3個の角穴が形成されている。
【0014】
上記のように変形防止板15を取付けた実施例1において、防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の残る隙間へ矢印P方向(外扉2の後方側)からバールなどがこじ入れられた場合、本体キャビネット1における外箱1a(側壁)が内側に変形しようとするが、外箱1aが変形防止板15の他方の脚片に当接することによりそれ以上の外箱1aの内側への変形が防止される。したがって、防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の隙間が広がることがなく、防盗板13の機能が損なわれることがない。
【0015】
なお、この実施例1では、変形防止板15が上下方向に長く、複数のフック板11に対応する複数の角穴が開口された一つの部材で形成されているものについて説明したが、上下方向に長い一つの部材からなる変形防止板15にあっては、フック板11の個数が異なる機種ごとにそれぞれ異なる変形防止板を用意する必要がある。そこで、フック板11の個数に関係なく、それぞれの機種に共通の変形防止板とするために、変形防止板を複数に分割するのがよい。すなわち、フック板の個数が最大の機種における隣接するフック板11の間に変形防止板が収まるように変形防止板を分割し、フック板の上下に分割した変形防止板を配備することにより、機種に関係なく変形防止板を共用することが可能となる。
(実施例2)
図2は本発明の実施例2を示す自動販売機の要部構造の横断面図であり、図示実施例2において実施例1と異なるところは、変形防止部材としての変形防止板16の形状である。すなわち、実施例2における変形防止板16は断面略Z形に形成され、防盗板13の庇部13aと対峙する本体キャビネットにおける外箱1a(側壁)の内側に張り出す脚片より内側に向けて延在された脚片の自由端が扉枠21に当接するように配置されている。前記実施例1においては、防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の残る隙間へ矢印P方向(外扉2の後方側)からバールなどがこじ入れられて外箱1a(側壁)が内側に変形し、外箱1aが変形防止板15に当接したとき、変形防止板15自身が撓んでしまうおそれがある。これに対して実施例2においては、外箱1aが内側に変形して外箱1aが変形防止板16に当接したときにも変形防止板16は扉枠21に当接していることにより撓むことがなく、防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の隙間がそれ以上広がることがなく、防盗板13による高い防盗機能が発揮される。
(実施例3)
図3は本発明の実施例3を示す自動販売機の要部構造の横断面図であり、図示実施例3において実施例2と異なるところは、変形防止部材としての変形防止板17の形状である。すなわち、実施例3における変形防止板17は、実施例2における断面略Z形に形成された変形防止板16の自由端側を更に延在して折り曲げるとともに、その先端を、透明パネル22を扉枠21に固定する取付金23の上に重ね合わせるか、または、取付金23と互い違いにかみ合わせてねじ24により共締めしている。したがって、この実施例3によれば実施例2の効果を更に高めることができる。
(実施例4)
図4は本発明の実施例4を示す自動販売機の要部構造の横断面図であり、図示実施例4が実施例1〜3と異なる点は、変形防止部材としての変形防止板18が本体キャビネット1の外箱1a側に取付けられている点である。この変形防止板18は断面略Z形に形成され、Z形の一方の脚片が外箱1aに溶接により固着され、他方の脚片が扉枠21に対峙して配置されている。この実施例4において、防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の残る隙間へ矢印P方向(外扉2の後方側)からバールなどがこじ入れられて本体キャビネット1における外箱1a(側壁)が内側に変形した場合、外箱1aの内側への変形に伴って変形防止板18が内側に移動し、変形防止板18の他方の脚片が扉枠21に当接することによりそれ以上の外箱1aの内側への変形が防止される。これにより、防盗板13の庇部13aの先端と本体キャビネットの外箱1aとの間の隙間が広がることがなく、防盗板13の機能が損なわれることがない。
【0016】
なお、前述した実施例1〜実施例3においては変形防止部材を外扉2側に固定したもの、実施例4においては変形防止部材を本体キャビネット1の外箱1a側に固着したものについて説明したが、実施例1〜実施例3と実施例4とを組み合わせること、すなわち、外扉2および外箱1aにそれぞれ変形防止部材を固着して配備することもできるものである。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、本体キャビネットの前面にヒンジにより開閉自在に取付けられた外扉に扉ロック機構を備え、該外扉のヒンジと反対側の扉側縁から背後に張り出して外扉と本体キャビネットの外箱との合わせ面を外側から覆う防盗板を設けたものにおいて、前記本体キャビネットにおける前記防盗板と対峙する側壁の内側に張り出して当該側壁が内側に変形するのを防止する変形防止板を設け、前記変形防止板を本体キャビネットの外箱に固着したことにより、本体キャビネットの外箱(側壁)が内側に変形するのを防止することができることから防盗板の機能が損なわれることがなく防盗性を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す自動販売機の要部構造の横断面図
【図2】本発明の実施例2を示す自動販売機の要部構造の横断面図
【図3】本発明の実施例3を示す自動販売機の要部構造の横断面図
【図4】本発明の実施例4を示す自動販売機の要部構造の横断面図
【図5】自動販売機の構成を示す正面図
【図6】図5の自動販売機に装備した扉ロックの機構図で、(a),(b) はそれぞれ側面図,および背面図
【図7】従来における防盗板付き外扉を示す要部構造の横断面図
【符号の説明】
1 自動販売機の本体キャビネット
1a 外箱
2 外扉
10 スライダーロック
11 フック板
13 防盗板
13a 庇部
15 変形防止板(変形防止部材)
16 変形防止板(変形防止部材)
17 変形防止板(変形防止部材)
18 変形防止板(変形防止部材)
Claims (2)
- 本体キャビネットの前面にヒンジにより開閉自在に取付けられた外扉に扉ロック機構を備え、該外扉のヒンジと反対側の扉側縁から背後に張り出して外扉と本体キャビネットの外箱との合わせ面を外側から覆う防盗板を設けたものにおいて、前記本体キャビネットにおける前記防盗板と対峙する側壁の内側に張り出して当該側壁が内側に変形するのを防止する変形防止板を設け、前記変形防止板を本体キャビネットの外箱に固着したことを特徴とする自動販売機の防盗装置。
- 請求項1記載の防盗装置において、本体キャビネットの外箱に固着した変形防止板に加え、外扉に固着した変形防止板を有することを特徴とする自動販売機の防盗装置。
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