JP3757700B2 - 自動販売機のキャビネット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機のキャビネット、詳しくはその外扉に対する防盗構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本発明の実施対象となる自動販売機の従来における一般的な構成を図4,図5に示す。各図において、1は箱形筐体としてなる自動販売機の本体ケース、2は本体ケース1の前面に配した片開き式の外扉、3は断熱内扉、4は本体ケース1の庫内に収設した商品収納ラック、5は外扉2の下部に開口した商品取出口、6は商品収納ラック4と商品取出口5との間を連係する商品搬出シュータ、7は販売商品の見本を陳列するディスプレイ室,8はコイン機構、9はビルバリデータである。
【0003】
また、外扉2はその吊り元側(図面の左側)の上下端がヒンジ軸10を介して本体ケース1の天板,ベース板に軸支結合されており、吊り元と反対側(図面の右側)が錠付きの扉ロック11を介して本体ケース1に掛け止めされている。
【0004】
かかる構成で、常時は扉ロック11を施錠して外扉2が閉位置から開かないようにロックしておき、商品収納ラック4への商品補給,売上金の回収などを行う際には管理者(ルートマンなど)が管理しているキーを使って扉ロック11を解錠した上で、外扉2を開いて各種のメンテナンス作業を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年になり、バールなどを使ってロケーション先に設置されている自動販売機の外扉をこじ開け、機内から商品,および売上金を不正に盗み出す盗難が多発していることから、その防盗対策として従来の自動販売機では扉ロックを2重に強化したり、外扉にチェーンを掛けるなどの対策を講じて対処しているのが現状である。
【0006】
これに対して、昨今では自動販売機の盗難手口がますますエスカレートする傾向にあり、バールなどにより扉ロックを破壊して外扉をこじ開ける手口から、最近では防盗面で強化されている扉ロックを狙わずに、吊り元側のヒンジピンを電動グラインダ,ガスバーナなどを使って切断して扉全体を取り外すような手口に変わっている。このために、自動販売機のメーカーでは従来の扉ロック強化策と併せて、外扉のヒンジピンを太い硬質金属のボルトに変更するなどの防盗対策を講じているが、これだけでは盗難を防ぐには不十分である。
【0007】
そこで、今後の防盗対策としては、外扉のヒンジピンが電動工具などで切断されても、扉自身が取り外せないような防盗構造が必要である。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、外扉を閉位置にロックした状態では、吊り元側のヒンジピンが切断されても扉を外せないように庫内側から外扉の吊り元側を拘束して防盗性を高めた自動販売機のキャビネットを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、庫内を商品収納部とする箱形筐体になる本体ケースの前面に片開き式の外扉を配した自動販売機のキャビネットであり、外扉はその後部周枠が本体ケースの開口端面より庫内側に突き出した段付き形状になり、かつ吊り元側の上下端をヒンジ軸を介して本体ケースに軸支結合し、吊り元と反対側を錠付き扉ロックを介して本体ケースに掛け止めしたものにおいて、外扉の吊り元側における後部周枠の側面,およびこれに対峙する本体ケースの開口側縁の内側に振り分けて一対の防盗板を設け、それぞれの防盗板の前端に略L字形の係合片部を屈曲形成し、各防盗板の係合片部を平行,かつ前方斜め姿勢で前後に重なり合うような断面形状に形成するものとし(請求項1)、具体的には前記の防盗板を次記のような態様で構成する。
【0012】
前記請求項1のキャビネットにおいて、各防盗板の係合片部を断面V字形に屈曲形成して強度を増強する(請求項)。
【0013】
前記請求項2のキャビネットにおいて、外扉側に敷設した防盗板の前縁を、外扉と本体ケースの開口縁との間の隙間に突き出すように延在させて隙間を塞ぎ、バールなどが隙間に入り難くする(請求項)。
【0014】
上記の構成により、外扉が閉じた状態では、本体ケースの庫内側に取付けた防盗板の係合片部と、外扉の後部周枠に取付けた防盗板の係合片部とが前後に重なり合って双方の防盗板が係合される。したがって、扉ロックを施錠した外扉の閉状態で、扉のヒンジピンを電動工具などを使って切断したとしても、外扉の吊り元側では本体ケースの内方に突き出た扉後部の上下に亘る全域が防盗板を介して本体ケースに係止拘束されており、かつ吊り元と反対側が扉ロックを介して本体ケースに引っ掛かっている。したがって、この状態では外扉が上下,左右にも動かず、かつこの状態でバールなどを使って外扉をこじ開けようにしてもチャンネル鋼材で作られた防盗板が補強金として抵抗するので、簡単に外扉を前方に抜き外すことができない。しかも、防盗板は本体ケースの庫内側に位置し、かつ外扉の背後に隠れていて外部からは直接触れることができず、これにより高い防盗性が確保できる。
【0015】
そして、請求項1の構造によれば、外扉を閉じる際に多少の位置ずれを吸収して防盗板同士の係合片部が前後に正しく重なり合うようになる。また、請求項2のように係合片部をV字形に二重構造にすることにより強度アップが図れ、さらに請求項3のように防盗板を延長して外扉と本体ケースとの間の隙間を塞ぐことで、外部からバールを隙間に差し込むことができなくなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図4,図5に対応する部材には同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0018】
すなわち、図示実施例においては、本体ケース1への外扉2の取付け構造は基本的に従来の自動販売機と同じであるが、外扉2の吊り元側では、扉の後部周枠2aの側面とこれに対峙する本体ケース1の開口端の内側に、それぞれ外扉2の縦寸法に相応する長さに設定した鋼板製の防盗板12,13が上下方向に沿って敷設されており、外扉2を閉じた状態で防盗板12の先端と防盗板13の先端とが前後に重なり合って外扉2が前方には動かないよう本体ケース1に係止拘束している。
【0019】
ここで、防盗板12は、その前端を庫内側に向けて突き出すように略L形に屈曲して係合片部12aを形成したチャンネル材としてなり、その後端部が本体ケース1の開口端の内側に配したケース補強板1aに重ね合わせて締結ねじ14でねじ止めされている。一方、防盗板13は、前端に防盗板12の係合片部12aと逆向きに突き出した係合片部13aが屈曲形成されたチャンネル材としてなり、締結ねじ14で後部周枠2aの側面にねじ止めされている。
【0020】
なお、防盗板12,13は、ヒンジピン10を軸支点とした外扉2の開閉動作に干渉することがないように位置決めする。また、外扉2の取付位置の多少のずれ(組立誤差)を吸収して防盗板12,13の係合片部12a,13aが扉の閉位置で前後に正しく重なり合うようにするために、図示のように防盗板12の係合片部12aの断面形状を“く”字形,防盗板13の係合片部13aの断面形状を“レ”字形に形成し、係合片部12aと13aとが互いに平行,かつ斜め姿勢で重なり合うようにするのがよい。
【0021】
上記の構成により、外扉2が閉じた状態では、本体ケース1の庫内側に取付けた防盗板12の係合片部12aと、外扉2の後部周枠2aに取付けた防盗板13の係合片部13aとが前後に重なり合うようになる。したがって、外扉2を閉じて扉ロック11(図3参照)を施錠した状態で、外扉2のヒンジピン10が電動工具などを使って切断されたとしても、外扉2の吊り元側では本体ケース1の内方に突き出た扉後部の周枠2aがその上下全長域に亘って敷設した防盗板13,12を介して本体ケース1に係止拘束されており、かつ吊り元と反対側では外扉2が扉ロック11を介して本体ケース1に係止されており、したがってこの状態では外扉2が上下,左右にも動かず、かつバールなどを使って外扉2をこじ開けようにしてもチャンネル鋼材で作られた防盗板12,13が補強金として抵抗するので、簡単に外扉2を前方に抜き外すことができない。しかも、防盗板12,13は本体ケース1の内側に位置して外扉2の背後に隠れているので外部からは防盗板12,13に直接触れることができず、これにより高い防盗性が確保される。
【0022】
次に、図1の防盗構造をさらに改良した実施例を図2に示す。この実施例では、防盗板12の係合片部12aが断面V字形に屈曲形成した二重構造になる。また、防盗板13についてもその係合片部13aを断面V字形とし、さらに防盗板13の前縁を前方に延長し、その延長部13bを本体ケース1の開口端と外扉2の間の間隙を通して外方に通じる隙間の開口端まで延在させた上で外扉2の本体に溶接接合し、バールなどが外部から外扉2と本体ケース1との間の隙間に差し込めないようにしている。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の構成によれば、本体ケースの庫内側で外扉の吊り元側の後端部と本体ケースとの間を前後に重なり合う一対の防盗板で係止拘束するようにしたので、外扉のヒンジピンを電動工具などを使って切断するような手口で機内から商品,金銭を盗むことを試みても、ヒンジピンを切断しただけでは外扉を外すことができず、これにより保安性の高い防盗機能を備えた自動販売機のキャビネットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるキャビネットの要部構造を表す横断面図
【図2】図1の防盗機構をさらに改良した実施例の要部構造を表す横断面図
【図3】図1,図2の防盗機構を装備した自動販売機のキャビネット全体の構成図であり、(a) は側面図、(b) は正面図
【図4】本発明の実施対象となる自動販売機の従来例の正面図
【図5】図4に示した自動販売機の扉開放状態を表す正面外観図
【符号の説明】
1 本体ケース
2 外扉
2a 後部周枠
4 商品収納ラック
10 ヒンジピン
11 錠付き扉ロック
12 防盗板(本体ケース側)
12a 係合片部
13 防盗板(外扉側)
13a 係合片部
13b 延長部

Claims (3)

  1. 庫内を商品収納部とする箱形筐体になる本体ケースの前面に片開き式の外扉を配した自動販売機のキャビネットであり、外扉はその後部周枠が本体ケースの開口端面より庫内側に突き出した段付き形状になり、かつ吊り元側の上下端をヒンジ軸を介して本体ケースに軸支結合し、吊り元と反対側を錠付き扉ロックを介して本体ケースに掛け止めしたものにおいて、外扉の吊り元側における後部周枠の側面,およびこれに対峙する本体ケースの開口側縁の内側に振り分けて一対の防盗板を設け、それぞれの防盗板の前端に略L字形の係合片部を屈曲形成し、各防盗板の係合片部を平行,かつ前方斜め姿勢で前後に重なり合うような断面形状に形成したことを特徴とする自動販売機のキャビネット。
  2. 請求項1記載のキャビネットにおいて、各防盗板の係合片部を断面V字形に屈曲形成したことを特徴とする自動販売機のキャビネット。
  3. 請求項2記載のキャビネットにおいて、外扉側に敷設した防盗板の前縁を、外扉と本体ケースの開口縁との間の隙間に突き出すように延在させたことを特徴とする自動販売機のキャビネット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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