JP3917104B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の駆動ユニットを備え、前記複数の駆動ユニットのうちの少なくとも1つの駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、撮影レンズ等が取り付けられた被駆動部材を棒状の駆動部材に所定の摩擦力を有するように結合させると共に、その駆動部材の一方端に圧電素子を固着して構成されたインパクト型圧電アクチュエータからなる駆動ユニットが知られており、このような駆動ユニットを用いた電子機器(例えば、撮像装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記のインパクト型圧電アクチュエータからなる駆動ユニットでは、被駆動部材と駆動部材とが接触した状態で、駆動されずに長時間放置された場合、駆動部材表面の樹脂によって駆動部材と被駆動部材とが張り付いてしまい、駆動ユニットに駆動電圧を印加しても被駆動部材が駆動されないという不具合が生じる可能性があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、駆動周波数や駆動電圧を変化させることにより、被駆動部材と駆動部材との張り付きを剥がす方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−103772号公報
【特許文献2】
特開2000−184757号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2における振動型モータ(超音波モータ)は、弾性振動体(ステータ)の一端面にリング状に形成された圧電素子を励振させることにより、ステータの表面に進行波を発生させ、スライダをステータに一定の圧力で圧着することにより、両者間に発生する摩擦力によってスライダを駆動するものである。そのため、積層させた圧電素子の一方端を支持部材に固着させ、他方端をロッド状の駆動部材に固着させ、圧電素子を伸縮させることによって、駆動部材に所定の摩擦力で係合される被駆動部材を駆動するようなアクチュエータについては、上記特許文献2の方法では被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放できない場合がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができる撮像装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る撮像装置は、複数の画素が2次元的に配置されてなる撮像面に結像される光像を各画素で電気信号に光電変換する撮像素子と、前記光像を前記撮像面に結像する光学系と、前記撮像素子をX軸方向及びY軸方向に移動させる手ぶれ補正機構とを備える撮像装置において、前記撮像素子を前記X軸方向に駆動する第1の駆動ユニットと、前記撮像素子を前記Y軸方向に駆動する第2の駆動ユニットとを備え、前記第2の駆動ユニットが固定されているフレームは前記第1の駆動ユニットにより駆動される構成となっており、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、電源投入時、もしくは前記第1の駆動ユニット又は前記第2の駆動ユニットの駆動開始時に、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを同時に駆動する駆動回路と、前記駆動回路によって前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットが同時に駆動される際に、前記被駆動部材が駆動しているか否かを検出する検出回路とを備え、前記駆動回路は、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認されない場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを同時に駆動し、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認された場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニット本来の動作を行
【0009】
この構成によれば、第1の駆動ユニットは、撮像素子をX軸方向に駆動し、第2の駆動ユニットは、撮像素子をY軸方向に駆動する。第2の駆動ユニットが固定されているフレームは第1の駆動ユニットにより駆動される構成となっている。第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、電源投入時、もしくは第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの駆動開始時に、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットが同時に駆動される。そして、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットが同時に駆動される際に、被駆動部材が駆動しているか否かが検出される。ここで、被駆動部材の駆動が確認されない場合、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットが、被駆動部材の駆動が確認されるまで同時に駆動される。また、被駆動部材の駆動が確認された場合、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニット本来の動作が行われる。
【0010】
このように、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材とが張り付いている場合、この1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットとを同時に駆動することによって、一方の駆動ユニットの駆動時の振動が他方の駆動ユニットに伝達されるので、伝達される振動によって第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができ、動作不良を起こすことのない撮像装置を提供することができる。
【0011】
また、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットは、一方の駆動ユニットが駆動回路によって駆動されることによる振動が他方の駆動ユニットに伝わる位置に配置されているので、この第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットのうちの一方の駆動ユニットが駆動されることによって発生する振動を他方の駆動ユニットに伝えることができ、被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができる。
【0012】
また、本発明に係る撮像装置は、複数の画素が2次元的に配置されてなる撮像面に結像される光像を各画素で電気信号に光電変換する撮像素子と、前記光像を前記撮像面に結像する光学系と、前記撮像素子をX軸方向及びY軸方向に移動させる手ぶれ補正機構とを備える撮像装置において、前記撮像素子を前記X軸方向に駆動する第1の駆動ユニットと、前記撮像素子を前記Y軸方向に駆動する第2の駆動ユニットとを備え、前記第2の駆動ユニットが固定されているフレームは前記第1の駆動ユニットにより駆動される構成となっており、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、電源投入時、もしくは前記第1の駆動ユニット又は前記第2の駆動ユニットの駆動開始時に、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを順に駆動する駆動回路と、前記駆動回路によって前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットが順に駆動される際に、前記被駆動部材が駆動しているか否かを検出する検出回路とを備え、前記駆動回路は、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認されない場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを順に駆動し、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認された場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニット本来の動作を行
【0013】
この構成によれば、第1の駆動ユニットは、撮像素子をX軸方向に駆動し、第2の駆動ユニットは、撮像素子をY軸方向に駆動する。第2の駆動ユニットが固定されているフレームは第1の駆動ユニットにより駆動される構成となっている。第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、電源投入時、もしくは第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの駆動開始時に、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットが順に駆動される。そして、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットが順に駆動される際に、被駆動部材が駆動しているか否かが検出される。ここで、被駆動部材の駆動が確認されない場合、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットが、被駆動部材の駆動が確認されるまで順に駆動される。また、被駆動部材の駆動が確認された場合、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニット本来の動作が行われる。
【0014】
このように、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材とが張り付いている場合、この第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットを順に駆動することによって、一方の駆動ユニットの駆動時の振動が他方の駆動ユニットに伝達されるので、伝達される振動によって第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができ、動作不良を起こすことのない撮像装置を提供することができる。
【0015】
また、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットは、一方の駆動ユニットが駆動回路によって駆動されることによる振動が他方の駆動ユニットに伝わる位置に配置されているので、この第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットのうちの一方の駆動ユニットが駆動されることによって発生する振動を他方の駆動ユニットに伝えることができ、被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における電子機器の一例を示す図である。図1に示す電子機器100は、撮像装置(例えば、デジタルカメラ)の手ぶれ補正機構であり、撮像素子基板1、撮像素子2、第1LED(Light Emitting Diode)3、第2LED4、第1PSD(Position Sensitive Detector)5、第2PSD6、第1アクチュエータ10、第2アクチュエータ20、第1接続部材7、第2接続部材8及びフレーム9で構成される。
【0018】
撮像素子基板1は撮像素子2が載置される基板である。撮像素子2は、CCD(Charge Coupled Device)が2次元状に配置されたエリアセンサの各CCDの表面に、R(赤),G(緑),B(青)のカラーフィルタが市松模様状に貼り付けられた、いわゆるベイヤー方式と呼ばれる単板式カラーエリアセンサで構成されており、撮影レンズ(図示省略)により結像された被写体の光像を電気信号に変換する。なお、以下の説明では、撮像素子2をCCD2として説明する。
【0019】
第1LED3は、CCD基板1上に固定されており、CCD基板1のX軸方向の位置を検出するために第1PSD5にスポット光を照射する。第2LED4は、CCD基板1上に固定されており、CCD基板1のY軸方向の位置を検出するために第2PSD6にスポット光を照射する。
【0020】
第1PSD5は、カメラ本体に固定されており、第1LED3からのスポット光の入射位置に応じた電流を出力する。第1PSD5から出力される出力信号によって、カメラ本体に対するCCD基板1のX軸方向の位置が検出される。
【0021】
第2PSD6は、カメラ本体に固定されており、第2LED4からのスポット光の入射位置に応じた電流を出力する。第2PSD6から出力される出力信号によって、カメラ本体に対するCCD基板1のY軸方向の位置が検出される。
【0022】
第1アクチュエータ10は、CCD2をX軸方向に移動させるものであり、支持部材11、圧電素子12、駆動部材13及び被駆動部材14で構成され、支持部材11によって不図示のカメラ本体に固定されている。第2アクチュエータ20は、CCD2をY軸方向に移動させるものであり、支持部材21、圧電素子22、駆動部材23及び被駆動部材24で構成され、支持部材21によってフレーム9に固定されている。
【0023】
電気機械変換素子12,22は、例えば、所定の厚みを有する複数枚の圧電基板を各圧電基板間に電極を介して積層した圧電素子であり、積層方向に伸縮する。圧電素子12,22は、駆動回路(図示省略)から印加される駆動電圧に応じて伸縮するものであり、その伸縮方向における一方端が支持部材11,21に固着されると共に、その他方端が駆動部材3の軸方向における一方端に固着されたものである。このような積層型圧電素子は、バイモルフと比較すると弾性スチフネスが大きいために共振周波数が高く、そのため応答速度が速いという有利な効果がある。さらに、積層型圧電素子は、バイモルフと比較すると発生力も桁違いに大きいという有利な効果がある。圧電基板の厚みは、仕様から必要とされる伸縮量、積層数及び印加電圧などにより決定される。被駆動部材14,24は、駆動部材13,23上を軸方向に沿って移動可能とされている。
【0024】
駆動部材13,23は、圧電素子12,22の伸縮を被駆動部材14,24の移動に変換すると共に、被駆動部材14,24を支えるガイドである。駆動部材13,23の断面形状は、円形、楕円及び矩形などの形状を適用することができるが、被駆動部材14,24を安定的に支えスムーズに移動させることができるようにする観点から本実施の形態では円形である。
【0025】
このように構成されたアクチュエータ10,20は、駆動部材13,23を軸方向に沿って異なる速度で移動させた際の駆動部材と被駆動部材14,24との間に発生する摩擦力の相異を利用して被駆動部材14,24を駆動部材13,23に対して相対的に移動させるようにしたものである。すなわち、被駆動部材14,24と駆動部材13,23との間の摩擦力は、駆動部材13,23が高速で移動するときは小さくなり、低速で移動するときは大きくなる。このため、駆動部材13,23の正方向移動時は低速で行い、負方向移動時は高速で行うことにより被駆動部材14,24を駆動部材13,23に対して正方向に移動させ(正方向移動)、駆動部材13,23の正方向移動時は高速で行い、負方向移動時は低速で行うことにより被駆動部材14,24を駆動部材13,23に対して負方向に移動させるようにしたものである(負方向移動)。
【0026】
第1接続部材7は、第1アクチュエータ10の被駆動部材14とフレーム9とを接続するものである。第1接続部材7によって、第1アクチュエータ10の被駆動部材14とフレーム9とが一体的に移動する。
【0027】
第2接続部材8は、第2アクチュエータ20の被駆動部材24とCCD基板1とを接続するものである。第2接続部材8によって、第2アクチュエータ20の被駆動部材24とCCD基板1とが一体的に移動する。
【0028】
フレーム9は、CCD基板1の周囲を囲むように配置され、第2アクチュエータ20の支持部材21が固定されている。
【0029】
手ぶれ補正機構では、加速度センサ(図示省略)によってCCD2のX軸方向及びY軸方向の加速度を検出し、検出された加速度に基づいてCCD2のX軸方向及びY軸方向の駆動量を算出し、算出された駆動量に基づいて第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを駆動することで、常にCCD2を撮像するのに最適な位置に移動させる。
【0030】
図2は、第1の実施形態における電子機器の構成を示すブロック図である。図2に示す電子機器100は、メインスイッチ101、制御回路102、第1駆動回路103、第1アクチュエータ10、第1位置検出回路104、第1LED3、第1PSD5、第2駆動回路105、第2アクチュエータ20、第2位置検出回路106、第2LED4及び第2PSD6を備えて構成される。
【0031】
メインスイッチ101は、電源のオン/オフを切り換えるものである。制御回路102は、CPU(Central Processing Unit)などからなり、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、制御回路102のCPUの動作を制御する制御プログラムを記憶するものである。RAMは、演算処理や制御処理などにおける種々のデータを一時的に格納するものである。制御回路102は、メインスイッチ101、第1駆動回路103、第1位置検出回路104、第2駆動回路105及び第2位置検出回路106に接続されており、メインスイッチ101、第1位置検出回路104及び第2位置検出回路106から出力される出力信号に基づいて、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動制御を行う。
【0032】
第1駆動回路103は、第1アクチュエータ10の圧電素子12に接続されており、圧電素子12に対して所定の駆動電圧を印加することで駆動部材13を伸縮させ、被駆動部材14を駆動する。
【0033】
第1位置検出回路104は、第1LED3を発光させるとともに、第1PSD5の受光面の受光位置に応じた光電流が入力され、入力される光電流に基づいてCCD2のX軸方向の位置を検出する。第1位置検出回路104は、CCD2のX軸方向の位置を検出することによって、第1アクチュエータ10の被駆動部材14の位置を検出する。
【0034】
第2駆動回路105は、第2アクチュエータ20の圧電素子22に接続されており、圧電素子22に対して所定の駆動電圧を印加することで駆動部材23を伸縮させ、被駆動部材24を駆動する。
【0035】
第2位置検出回路106は、第2LED4を発光させるとともに、第2PSD6の受光面の受光位置に応じた光電流が入力され、入力される光電流に基づいてCCD2のY軸方向の位置を検出する。第2位置検出回路106は、CCD2のY軸方向の位置を検出することによって、第2アクチュエータ20の被駆動部材24の位置を検出する。
【0036】
なお、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は駆動ユニットに相当し、第1駆動回路103及び第2駆動回路105は駆動回路に相当し、第1位置検出回路104及び第2位置検出回路105は検出回路に相当する。
【0037】
図3は、本実施形態の電子機器における全体処理の概略を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS1において、制御回路102は、メインスイッチ101がオンであるか否かを判断し、メインスイッチ101がオンであれば(ステップS1でYES)、ステップS2に移行し、メインスイッチ101がオフであれば(ステップS1でNO)、メインスイッチ101がオンになるまで待機状態となる。
【0039】
ステップS2において、制御回路102は、アクチュエータを正常に駆動させるための初期動作チェック処理を実行する。なお、この初期動作チェック処理については後述する。
【0040】
ステップS3において、制御回路102は、撮影などの通常のカメラ動作を行う。
【0041】
ステップS4において、制御回路102は、メインスイッチ101がオンであるか否かを判断し、メインスイッチ101がオンであれば(ステップS4でYES)、ステップS3に移行し、メインスイッチ101がオフであれば(ステップS4でNO)、撮影処理を終了する。
【0042】
図4は、第1の実施形態における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS101において、第1位置検出回路104は、CCD2のX軸方向の初期位置を検出し、検出されたCCD2のX軸方向の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力されたCCD2のX軸方向の初期位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、CCD2のY軸方向の初期位置を検出し、検出されたCCD2のY軸方向の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力されたCCD2のY軸方向の初期位置を記憶する。
【0044】
ステップS102において、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0045】
ステップS103において、第1位置検出回路104は、CCD2のX軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のX軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力されたCCD2のX軸方向の位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、CCD2のY軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のY軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力されたCCD2のY軸方向の位置を記憶する。
【0046】
ステップS104において、制御回路102は、駆動後のCCD2のX軸方向の位置と、CCD2のX軸方向の初期位置とを比較し、CCD2がX軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のCCD2のX軸方向の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS104でYES)、ステップS105に移行する。駆動後のX軸方向の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS104でNO)、ステップS106に移行する。
【0047】
ステップS105において、制御回路102は、CCD2の位置がX軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0048】
ステップS106において、制御回路102は、駆動後のCCD2のY軸方向の位置と、CCD2のY軸方向の初期位置とを比較し、CCD2がY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のCCD2のY軸方向の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS106でYES)、ステップS107に移行する。駆動後のY軸方向の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS106でNO)、ステップS108に移行する。
【0049】
ステップS107において、制御回路102は、CCD2の位置がY軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0050】
ステップS108において、制御回路102は、CCD2がX軸方向及びY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化した場合(ステップS108でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので処理を終了する。CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化しなかった場合、X軸方向にのみ変化してY軸方向に変化しなかった場合及びY軸方向にのみ変化してX軸方向に変化しなかった場合(ステップS108でNO)、第1のアクチュエータ10及び第2のアクチュエータ20を再び駆動するためにステップS109に移行する。
【0051】
ステップS109において、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0052】
ステップS110において、第1位置検出回路104は、CCD2のX軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のX軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力されたCCD2のX軸方向の位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、CCD2のY軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のY軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力されたCCD2のY軸方向の位置を記憶する。
【0053】
ステップS111において、制御回路102は、負方向へ駆動後のCCD2のX軸方向の位置と、負方向へ駆動前(正方向への駆動後)のCCD2のX軸方向の位置とを比較し、CCD2がX軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、負方向へ駆動後のX軸方向の位置と負方向へ駆動前のX軸方向の位置とが異なる場合、つまり、負方向へ駆動後のCCD2のX軸方向の位置が負方向へ駆動前の位置から変化した場合(ステップS111でYES)、ステップS112に移行する。負方向へ駆動後のX軸方向の位置と負方向へ駆動前のX軸方向の位置とが同じである場合、つまり、負方向へ駆動後のCCD2のX軸方向の位置が負方向へ駆動前の位置から変化しなかった場合(ステップS111でNO)、ステップS113に移行する。
【0054】
ステップS112において、制御回路102は、CCD2の位置がX軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0055】
ステップS113において、制御回路102は、負方向へ駆動後のCCD2のY軸方向の位置と、負方向へ駆動前(正方向への駆動後)のCCD2のY軸方向の位置とを比較し、CCD2がY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、負方向へ駆動後のY軸方向の位置と負方向へ駆動前のY軸方向の位置とが異なる場合、つまり、負方向へ駆動後のCCD2のY軸方向の位置が負方向への駆動前の位置から変化した場合(ステップS113でYES)、ステップS114に移行する。負方向へ駆動後のY軸方向の位置と負方向へ駆動前のY軸方向の位置とが同じである場合、つまり、負方向へ駆動後のCCD2のY軸方向の位置が負方向への駆動前の位置から変化しなかった場合(ステップS113でNO)、ステップS115に移行する。
【0056】
ステップS114において、制御回路102は、CCD2の位置がY軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0057】
ステップS115において、制御回路102は、CCD2がX軸方向及びY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化した場合(ステップS115でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので処理を終了する。CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化しなかった場合、X軸方向にのみ変化してY軸方向に変化しなかった場合及びY軸方向にのみ変化してX軸方向に変化しなかった場合(ステップS115でNO)、第1のアクチュエータ10及び第2のアクチュエータ20を再び駆動するためにステップS102に移行し、ステップS102以降の処理を実行する。
【0058】
なお、本実施形態では、上記ステップS115でNOであれば、ステップS102に移行し、ステップS102以降の処理が再度行われるが、ステップS102〜S115までの最初の処理で、CCD2をX軸方向に移動させる第1アクチュエータ10及びCCD2をY軸方向に移動させる第2アクチュエータ20のうちのいずれか一方が正常に駆動していた場合、ステップS102〜S115までの次回の処理では、正常に駆動するアクチュエータは駆動せずに、正常に駆動していないアクチュエータのみを駆動してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、ステップS102〜S115までの最初の処理で、CCD2をX軸方向に移動させる第1アクチュエータ10及びCCD2をY軸方向に移動させる第2アクチュエータ20のうちの少なくとも一方が正常に駆動していない場合、ステップS102〜S115までの次回の処理では、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0060】
このように、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は被駆動部材14,24と駆動部材13,23とが摩擦係合により保持されており、メインスイッチ101がオンにされる電源投入時、もしくは第1アクチュエータ10又は第2アクチュエータの駆動開始時に、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータとが同時に駆動される。そして、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータとが同時に駆動される際に、被駆動部材14及び被駆動部材24が駆動しているか否かが検出される。ここで、被駆動部材14及び被駆動部材24の駆動が確認されない場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが同時に駆動される。また、被駆動部材14及び被駆動部材24の駆動が確認された場合、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20本来の動作が行われる。
【0061】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10又は被駆動部材24と駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20の被駆動部材14,24と駆動部材13,23とが張り付いている場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に駆動することによって、互いの駆動時の振動が伝達されるので、伝達される振動によって第1アクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付き又は第2アクチュエータ20の被駆動部材24と駆動部材23との張り付きを開放することができる。
【0062】
次に、本発明に係る第1の実施形態の変形例について説明する。第1の実施形態では、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に駆動することによって、一方のアクチュエータの振動を他方のアクチュエータに伝達させ、各アクチュエータの被駆動部材と駆動部材とを張り付き状態から開放するものであるが、第1の実施形態の変形例では、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを順に駆動することによって、一方のアクチュエータの振動を他方のアクチュエータに伝達させ、各アクチュエータの被駆動部材と駆動部材とを張り付き状態から開放するものである。
【0063】
なお、第1の実施形態の変形例における電子機器は、図2に示す制御回路の制御アルゴリズムが異なるだけであるので説明を省略し、第1の実施形態と異なる初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0064】
図5及び図6は、第1の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。なお、図5におけるa,b,cは、図6におけるa,b,cに対応している。
【0065】
ステップS201において、第1位置検出回路104は、CCD2のX軸方向の初期位置を検出し、検出されたCCD2のX軸方向の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力されたCCD2のX軸方向の初期位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、CCD2のY軸方向の初期位置を検出し、検出されたCCD2のY軸方向の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力されたCCD2のY軸方向の初期位置を記憶する。
【0066】
ステップS202において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始する。
【0067】
第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS203)、ステップS204において、第2位置検出回路106は、CCD2のY軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のY軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力されたCCD2のY軸方向の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始してから、第2位置検出回路106がCCD2のY軸方向の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0068】
ステップS205において、制御回路102は、駆動後のCCD2のY軸方向の位置と、CCD2のY軸方向の初期位置とを比較し、CCD2がY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のCCD2のY軸方向の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS205でYES)、ステップS206に移行する。駆動後のCCD2のY軸方向の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS205でNO)、ステップS207に移行する。なお、初期動作チェック処理が最初に行われる際には、第2アクチュエータ20を駆動していないため、CCD2はY軸方向に移動しておらず、ステップS205ではNOと判断される。
【0069】
ステップS206において、制御回路102は、CCD2の位置がY軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、CCD2の位置がY軸方向に変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0070】
ステップS207において、制御回路102は、CCD2がX軸方向及びY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化した場合(ステップS207でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS226に移行する。CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化しなかった場合、X軸方向にのみ変化してY軸方向に変化しなかった場合及びY軸方向にのみ変化してX軸方向に変化しなかった場合(ステップS207でNO)、第2のアクチュエータ20を正方向に駆動するためにステップS208に移行する。なお、初期動作チェック処理が最初に行われる際には、第2アクチュエータ20を駆動していないため、CCD2はY軸方向に移動しておらず、また、CCD2の駆動後のX軸方向の位置も検出していないため、CCD2はX軸方向に移動しておらず、ステップS207ではNOと判断される。
【0071】
ステップS208において、制御回路102は、第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始する。
【0072】
第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS209)、ステップS210において、第1位置検出回路105は、CCD2のX軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のX軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路105から出力されたCCD2のX軸方向の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始してから、第1位置検出回路105がCCD2のX軸方向の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0073】
ステップS211において、制御回路102は、CCD2の駆動後のX軸方向の位置と、CCD2のX軸方向の初期位置とを比較し、CCD2がX軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のX軸方向の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS211でYES)、ステップS212に移行する。駆動後のX軸方向の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS211でNO)、ステップS213に移行する。
【0074】
ステップS212において、制御回路102は、CCD2の位置がX軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、CCD2の位置がX軸方向に変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0075】
ステップS213において、制御回路102は、CCD2がX軸方向及びY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化した場合(ステップS213でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS226に移行する。CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化しなかった場合、X軸方向にのみ変化してY軸方向に変化しなかった場合及びY軸方向にのみ変化してX軸方向に変化しなかった場合(ステップS213でNO)、第1のアクチュエータ10を負方向に駆動するためにステップS214に移行する。
【0076】
ステップS214において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始する。
【0077】
第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS215)、ステップS216において、第2位置検出回路106は、CCD2のY軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のY軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力されたCCD2のY軸方向の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始してから、第2位置検出回路106がCCD2のY軸方向の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0078】
ステップS217において、制御回路102は、CCD2の駆動後のY軸方向の位置と、CCD2のY軸方向の初期位置とを比較し、CCD2がY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のY軸方向の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS217でYES)、ステップS218に移行する。駆動後のY軸方向の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS217でNO)、ステップS219に移行する。
【0079】
ステップS218において、制御回路102は、CCD2の位置がY軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、CCD2の位置がY軸方向に変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0080】
ステップS219において、制御回路102は、CCD2がX軸方向及びY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化した場合(ステップS219でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS226に移行する。CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化しなかった場合、X軸方向にのみ変化してY軸方向に変化しなかった場合及びY軸方向にのみ変化してX軸方向に変化しなかった場合(ステップS219でNO)、第2のアクチュエータ20を負方向に駆動するためにステップS220に移行する。
【0081】
ステップS220において、制御回路102は、第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始する。
【0082】
第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS221)、ステップS222において、第1位置検出回路105は、CCD2のX軸方向の位置を検出し、検出されたCCD2のX軸方向の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路105から出力されたCCD2のX軸方向の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始してから、第1位置検出回路105がCCD2のX軸方向の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0083】
ステップS223において、制御回路102は、CCD2の駆動後のX軸方向の位置と、CCD2のX軸方向の初期位置とを比較し、CCD2がX軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のX軸方向の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS223でYES)、ステップS224に移行する。駆動後のX軸方向の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、CCD2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS223でNO)、ステップS225に移行する。
【0084】
ステップS224において、制御回路102は、CCD2の位置がX軸方向に変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、CCD2の位置がX軸方向に変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0085】
ステップS225において、制御回路102は、CCD2がX軸方向及びY軸方向に移動したか否かを判断する。ここで、CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化した場合(ステップS225でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS226に移行する。CCD2がX軸方向及びY軸方向共に変化しなかった場合、X軸方向にのみ変化してY軸方向に変化しなかった場合及びY軸方向にのみ変化してX軸方向に変化しなかった場合(ステップS225でNO)、第1のアクチュエータ10を正方向に駆動するためにステップS227に移行する。
【0086】
ステップS226において、制御回路102は、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動を停止し、初期動作チェック処理を終了する。
【0087】
ステップS227において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始し、ステップS203に移行し、ステップS203以降の処理を実行する。
【0088】
なお、本実施形態では、ステップS202〜S225までの最初の処理で、CCD2をX軸方向に移動させる第1アクチュエータ10及びCCD2をY軸方向に移動させる第2アクチュエータ20のうちの少なくとも一方が正常に駆動していない場合、ステップS203〜S225までの次回の処理では、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0089】
このように、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されており、メインスイッチ101がオンにされる電源投入時、もしくは第1アクチュエータ10又は第2アクチュエータの駆動開始時に、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータとが順に駆動される。そして、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータとが順に駆動される際に、被駆動部材14及び被駆動部材24が駆動しているか否かが検出される。ここで、被駆動部材14及び被駆動部材24の駆動が確認されない場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが順に駆動される。また、被駆動部材14及び被駆動部材24の駆動が確認された場合、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20本来の動作が行われる。
【0090】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10又は被駆動部材24と駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20の被駆動部材14,24と駆動部材13,23とが張り付いている場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを順に駆動することによって、互いの駆動時の振動が伝達されるので、伝達される振動によって第1アクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付き又は第2アクチュエータ20の被駆動部材24と駆動部材23との張り付きを開放することができる。
【0091】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。第1の実施形態における電子機器100は、撮像装置の手ぶれ補正機構であるとして説明しているが、本発明は特にこれに限定されず、撮像装置のレンズ駆動機構に適用してもよい。そこで、第2の実施形態では、撮像装置(例えば、デジタルカメラ)のレンズ駆動機構に適用する電子機器200について説明する。
【0092】
図7は、第2の実施形態における電子機器の一例を示す図である。図7に示す電子機器200は、デジタルカメラのレンズ駆動機構であり、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第1レンズ群L1を光軸方向に駆動する第1アクチュエータ10及び第2レンズ群L2を光軸方向に駆動する第2アクチュエータ20を備えて構成される。
【0093】
第1アクチュエータ10は、支持部材11、圧電素子12、駆動部材13及び被駆動部材14を備えて構成される。第2アクチュエータ20は、支持部材21、圧電素子22、駆動部材23及び被駆動部材24を備えて構成される。圧電素子12,22は、印加電圧に応じた量だけ伸縮する素子であり、その伸縮方向の一方の端面がそれぞれ支持部材11,21に固定され、その伸縮方向の他方の端面がそれぞれ駆動部材13,23に固定されている。駆動部材13,23は、光軸と平行に配置されている。支持部材11,21は、前後逆方向に位置している。すなわち、第1レンズ群L1の支持部材11は、第1レンズ群L1よりも第2レンズ群L2側、すなわち撮像素子側に配置され、第2レンズ群L2の支持部材21は、第2レンズ群L2よりも第1レンズ群L1側、すなわち被写体側に配置されている。
【0094】
第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、それぞれレンズホルダ31,32に保持されている。レンズホルダ31,32は、その斜め上部に被駆動部材144,24が設けられ、その下部に下突部33,34が設けられている。
【0095】
被駆動部材14,24には、駆動部材13,23を通す貫通穴35,36が形成されている。レンズホルダ31の被駆動部材14の側面には、駆動部材13が露出する開口37が形成され、露出した駆動部材13を適度な力で押圧する板ばね38が設けられている。この板ばね38の押圧力により、被駆動部材14の貫通穴35の内面に駆動部材13が摺接するようになっている。なお、図示していないが、レンズホルダ32の被駆動部材24についても同様に構成されており、被駆動部材24の貫通穴36の内面に駆動部材23が摺接するようになっている。
【0096】
下突部33,34には、ガイド軸39を通すU字状の溝40,41が形成され、レンズホルダ31,32の回転を防止するようになっている。
【0097】
次に、第2の実施形態における電子機器200の動作について説明する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、圧電素子12,22に適宜波形(例えば、鋸状波形や所定のデューティ比の矩形波形など)の電圧を印加することにより、駆動部材13,23及びガイド軸39に沿って駆動する。
【0098】
例えば、まず、緩やかに増大(又は減少)する電圧を圧電素子12,22に印加することにより、圧電素子12,22を徐々に伸張(又は収縮)させ、駆動部材13,23を光軸方向にゆっくり変位させる。これにより、被駆動部材14,24の貫通穴35,36と駆動部材13,23との間の摩擦力により、レンズホルダ31,32を駆動部材13,23とともに一体的に移動させる。次に、急激に減少(又は増大)する電圧を圧電素子12,22に印加することにより、圧電素子12,22を急速に収縮(又は伸張)させ、駆動部材13,23を逆方向に速く変位させる。これにより、駆動部材14,24の貫通穴35,36と駆動部材13,23との間に滑りが生じ、慣性力によりレンズホルダ31,32が静止したまま、駆動部材13,23だけが元の位置に戻る。このようにして、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を所望の方向に駆動することができる。
【0099】
なお、レンズホルダ31,32には、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の位置を検出するための第1LED及び第2LEDがそれぞれ適所に配置されており、カメラ本体には、第1LED及び第2LEDから照射されるスポット光を受光する位置に第1PSD及び第2PSDがそれぞれ配置されている。
【0100】
また、本実施形態における電子機器200の構成は、図2と同じであるので説明を省略し、本実施形態における全体処理は、図3に示す全体処理と同じであるので説明を省略し、ステップS2の初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0101】
図8及び図9は、第2の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。なお、図8におけるd,e,fは、図9におけるd,e,fに対応している。
【0102】
ステップS301において、第1位置検出回路104は、第1レンズ群L1の初期位置を検出し、検出された第1レンズ群L1の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1レンズ群L1の初期位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2レンズ群L2の初期位置を検出し、検出された第2レンズ群L2の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2レンズ群L2の初期位置を記憶する。
【0103】
ステップS302において、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0104】
ステップS303において、第1位置検出回路104は、第1レンズ群L1の位置を検出し、検出された第1レンズ群L1の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1レンズ群L1の位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2レンズ群L2の位置を検出し、検出された第2レンズ群L2の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2レンズ群L2の位置を記憶する。
【0105】
ステップS304において、制御回路102は、第1レンズ群L1の駆動後の位置と、第1レンズ群L1の初期位置とを比較し、第1レンズ群L1が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第1レンズ群L1の位置が初期位置から変化した場合(ステップS304でYES)、ステップS305に移行する。駆動後の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第1レンズ群L1の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS304でNO)、ステップS306に移行する。
【0106】
ステップS305において、制御回路102は、第1レンズ群L1の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0107】
ステップS306において、制御回路102は、第2レンズ群L2の駆動後の位置と、第2レンズ群L2の初期位置とを比較し、第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第2レンズ群L2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS306でYES)、ステップS307に移行する。駆動後の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第2レンズ群L2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS306でNO)、ステップS308に移行する。
【0108】
ステップS307において、制御回路102は、第2レンズ群L2の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0109】
ステップS308において、制御回路102は、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化した場合(ステップS308でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので処理を終了する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化しなかった場合、第1レンズ群L1のみが変化して第2レンズ群L2が変化しなかった場合及び第2レンズ群L2のみが変化して第1レンズ群L1が変化しなかった場合(ステップS308でNO)、第1のアクチュエータ10及び第2のアクチュエータ20を再び駆動するためにステップS309に移行する。
【0110】
ステップS309において、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0111】
ステップS310において、第1位置検出回路104は、第1レンズ群L1の位置を検出し、検出された第1レンズ群L1の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1レンズ群L1の位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2レンズ群L2の位置を検出し、検出された第2レンズ群L2の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2レンズ群L2の位置を記憶する。
【0112】
ステップS311において、制御回路102は、第1レンズ群L1の負方向への駆動後の位置と、第1レンズ群L1の負方向への駆動前(正方向への駆動後)の位置とを比較し、第1レンズ群L1が移動したか否かを判断する。ここで、負方向への駆動後の位置と負方向への駆動前の位置とが異なる場合、つまり、第1レンズ群L1の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化した場合(ステップS311でYES)、ステップS312に移行する。負方向への駆動後の位置と負方向への駆動前の位置とが同じである場合、つまり、第1レンズ群L1の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化しなかった場合(ステップS311でNO)、ステップS313に移行する。
【0113】
ステップS312において、制御回路102は、第1レンズ群L1の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動した後、負方向への駆動前の位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0114】
ステップS313において、制御回路102は、第2レンズ群L2の負方向への駆動後の位置と、第2レンズ群L2の負方向への駆動前(正方向への駆動後)の位置とを比較し、第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、負方向への駆動後の位置と負方向への駆動前の位置とが異なる場合、つまり、第2レンズ群L2の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化した場合(ステップS313でYES)、ステップS314に移行する。負方向への駆動後の第2レンズ群L2の位置と負方向への駆動前の第2レンズ群L2の位置とが同じである場合、つまり、第2レンズ群L2の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化しなかった場合(ステップS313でNO)、ステップS315に移行する。
【0115】
ステップS314において、制御回路102は、第2レンズ群L2の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動した後、負方向への駆動前の位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0116】
ステップS315において、制御回路102は、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化した場合(ステップS315でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので処理を終了する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化しなかった場合、第1レンズ群L1のみが変化して第2レンズ群L2が変化しなかった場合及び第2レンズ群L2のみが変化して第1レンズ群L1が変化しなかった場合(ステップS315でNO)、第1のアクチュエータ10及び第2のアクチュエータ20を再び駆動するためにステップS302に移行する。
【0117】
なお、本実施形態では、上記ステップS315でNOであれば、ステップS302に移行し、ステップS302以降の処理が再度行われるが、ステップS302〜S315までの最初の処理で、第1レンズ群L1を移動させる第1アクチュエータ10及び第2レンズ群L2を移動させる第2アクチュエータ20のうちのいずれか一方が正常に駆動していた場合、ステップS302〜S315までの次回の処理では、正常に駆動するアクチュエータは駆動せずに、正常に駆動していないアクチュエータのみを駆動してもよい。
【0118】
また、本実施形態では、ステップS302〜S315までの最初の処理で、第1レンズ群L1を移動させる第1アクチュエータ10及び第2レンズ群L2を移動させる第2アクチュエータ20のうちの少なくとも一方が正常に駆動していない場合、ステップS302〜S315までの次回の処理では、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0119】
このように、レンズ駆動機構において、第1レンズ群L1を駆動する第1アクチュエータ10と、第2レンズ群L2を駆動する第2アクチュエータ20とが同時に駆動され、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の位置が検出される。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の少なくとも一方が移動していない場合、再び第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが同時に駆動され、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に移動していると判断されるまで、同時駆動が繰り返して行われる。また、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に移動していると判断された場合、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20本来の動作が行われる。
【0120】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10又は被駆動部材24と駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20の被駆動部材14,24と駆動部材13,23とが張り付いている場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に駆動することによって、互いの駆動時の振動が伝達されるので、伝達される振動によって第1アクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付き又は第2アクチュエータ20の被駆動部材24と駆動部材23との張り付きを開放することができ、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を正常に駆動させることができる。
【0121】
次に、本発明に係る第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態では、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に駆動することによって、一方のアクチュエータの振動を他方のアクチュエータに伝達させ、各アクチュエータの被駆動部材と駆動部材とを張り付き状態から開放するものであるが、第2の実施形態の変形例では、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを順に駆動することによって、一方のアクチュエータの振動を他方のアクチュエータに伝達させ、各アクチュエータの被駆動部材と駆動部材とを張り付き状態から開放するものである。
【0122】
なお、本実施形態の電子機器は、図2に示す制御回路の制御アルゴリズムが異なるだけであるので説明を省略し、第2の実施形態と異なる初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0123】
図10及び図11は、第2の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。なお、図10におけるg,h,iは、図11におけるg,h,iに対応している。
【0124】
ステップS401において、第1位置検出回路104は、第1レンズ群L1の初期位置を検出し、検出された第1レンズ群L1の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1レンズ群L1の初期位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2レンズ群L2の初期位置を検出し、検出された第2レンズ群L2の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2レンズ群L2の初期位置を記憶する。
【0125】
ステップS402において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始する。
【0126】
第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS403)、ステップS404において、第2位置検出回路106は、第2レンズ群L2の位置を検出し、検出された第2レンズ群L2の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2レンズ群L2の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始してから、第2位置検出回路106が第2レンズ群L2の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0127】
ステップS405において、制御回路102は、第2レンズ群L2の駆動後の位置と、第2レンズ群L2の初期位置とを比較し、第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第2レンズ群L2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS405でYES)、ステップS406に移行する。駆動後の第2レンズ群L2の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第2レンズ群L2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS405でNO)、ステップS407に移行する。なお、初期動作チェック処理が最初に行われる際には、第2アクチュエータ20を駆動していないため、第2レンズ群L2は移動しておらず、ステップS405ではNOと判断される。
【0128】
ステップS406において、制御回路102は、第2レンズ群L2の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第2レンズ群L2の位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0129】
ステップS407において、制御回路102は、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化した場合(ステップS407でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS426に移行する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化しなかった場合、第1レンズ群L1のみが変化して第2レンズ群L2が変化しなかった場合及び第2レンズ群L2のみが変化して第1レンズ群L1が変化しなかった場合(ステップS407でNO)、第2のアクチュエータ20を正方向に駆動するためにステップS408に移行する。なお、初期動作チェック処理が最初に行われる際には、第2アクチュエータ20を駆動していないため、第2レンズ群L2は移動しておらず、また、第1レンズ群L1の駆動後の位置も検出していないため、第1レンズ群L1は移動しておらず、ステップS407ではNOと判断される。
【0130】
ステップS408において、制御回路102は、第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始する。
【0131】
第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS409)、ステップS410において、第1位置検出回路105は、第1レンズ群L1の位置を検出し、検出された第1レンズ群L1の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路105から出力された第1レンズ群L1の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始してから、第1位置検出回路105が第1レンズ群L1の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0132】
ステップS411において、制御回路102は、第1レンズ群L1の駆動後の位置と、第1レンズ群L1の初期位置とを比較し、第1レンズ群L1が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第1レンズ群L1の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第1レンズ群L1の位置が初期位置から変化した場合(ステップS411でYES)、ステップS412に移行する。駆動後の第1レンズ群L1の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第1レンズ群L1の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS411でNO)、ステップS413に移行する。
【0133】
ステップS412において、制御回路102は、第1レンズ群L1の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1レンズ群L1の位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0134】
ステップS413において、制御回路102は、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化した場合(ステップS413でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS426に移行する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化しなかった場合、第1レンズ群L1のみが変化して第2レンズ群L2が変化しなかった場合及び第2レンズ群L2のみが変化して第1レンズ群L1が変化しなかった場合(ステップS413でNO)、第1のアクチュエータ10を負方向に駆動するためにステップS414に移行する。
【0135】
ステップS414において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始する。
【0136】
第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS415)、ステップS416において、第2位置検出回路106は、第2レンズ群L2の位置を検出し、検出された第2レンズ群L2の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2レンズ群L2の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始してから、第2位置検出回路106が第2レンズ群L2の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0137】
ステップS417において、制御回路102は、第2レンズ群L2の駆動後の位置と、第2レンズ群L2の初期位置とを比較し、第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第2レンズ群L2の位置が初期位置から変化した場合(ステップS417でYES)、ステップS418に移行する。駆動後の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第2レンズ群L2の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS417でNO)、ステップS419に移行する。
【0138】
ステップS418において、制御回路102は、第2レンズ群L2の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第2レンズ群L2の位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0139】
ステップS419において、制御回路102は、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化した場合(ステップS419でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS426に移行する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化しなかった場合、第1レンズ群L1のみが変化して第2レンズ群L2が変化しなかった場合及び第2レンズ群L2のみが変化して第1レンズ群L1が変化しなかった場合(ステップS419でNO)、第2のアクチュエータ20を負方向に駆動するためにステップS420に移行する。
【0140】
ステップS420において、制御回路102は、第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始する。
【0141】
第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS421)、ステップS422において、第1位置検出回路105は、第1レンズ群L1の位置を検出し、検出された第1レンズ群L1の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路105から出力された第1レンズ群L1の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始してから、第1位置検出回路105が第1レンズ群L1の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0142】
ステップS423において、制御回路102は、第1レンズ群L1の駆動後の位置と、第1レンズ群L1の初期位置とを比較し、第1レンズ群L1が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第1レンズ群L1の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第1レンズ群L1の位置が初期位置から変化した場合(ステップS423でYES)、ステップS424に移行する。駆動後の第1レンズ群L1の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第1レンズ群L1の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS423でNO)、ステップS425に移行する。
【0143】
ステップS424において、制御回路102は、第1レンズ群L1の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1レンズ群L1の位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0144】
ステップS425において、制御回路102は、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が移動したか否かを判断する。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化した場合(ステップS425でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS426に移行する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に変化しなかった場合、第1レンズ群L1のみが変化して第2レンズ群L2が変化しなかった場合及び第2レンズ群L2のみが変化して第1レンズ群L1が変化しなかった場合(ステップS425でNO)、第1のアクチュエータ10を正方向に駆動するためにステップS427に移行する。
【0145】
ステップS426において、制御回路102は、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動を停止し、初期動作チェック処理を終了する。
【0146】
ステップS427において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始し、ステップS403に移行し、ステップS403以降の処理を実行する。
【0147】
なお、本実施形態では、ステップS402〜S425までの最初の処理で、第1レンズ群L1を移動させる第1アクチュエータ10及び第2レンズ群L2を移動させる第2アクチュエータ20のうちの少なくとも一方が正常に駆動していない場合、ステップS403〜S425までの次回の処理では、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0148】
このように、レンズ駆動機構において、第1レンズ群L1を駆動する第1アクチュエータ10と、第2レンズ群L2を駆動する第2アクチュエータ20とが順に駆動され、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の位置が検出される。ここで、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の少なくとも一方が移動していない場合、再び第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが順に駆動され、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に移動していると判断されるまで、順次駆動が繰り返して行われる。また、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が共に移動していると判断された場合、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20本来の動作が行われる。
【0149】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10又は被駆動部材24と駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20の被駆動部材14,24と駆動部材13,23とが張り付いている場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に駆動することによって、互いの駆動時の振動が伝達されるので、伝達される振動によって第1アクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付き又は第2アクチュエータ20の被駆動部材24と駆動部材23との張り付きを開放することができ、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を正常に駆動させることができる。
【0150】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。第3の実施形態における電子機器は、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されているアクチュエータを、携帯機器用デジタルカメラや携帯電話機等に用いられる小型撮像装置のレンズ機構に適用する。
【0151】
図12は、第3の実施形態における電子機器の一例を示す図である。図12に示す電子機器300は、携帯機器用デジタルカメラや携帯電話機等に用いられる小型撮像装置のズームレンズを駆動するレンズ駆動機構であり、光軸方向に案内された前後2つの玉枠51,52を板カム53によりカム結合し、後の玉枠52のみをアクチュエータ10で駆動するようになっている。
【0152】
後の玉枠52を駆動するアクチュエータ10は、摩擦駆動タイプのものであり、支持部材11、圧電素子12、駆動部材13及び被駆動部材14を含む。圧電素子12は、その伸縮方向を光軸方向に合わせて配置され、その伸縮方向一端が支持部材11に、その伸縮方向他端が駆動部材13の軸端に、それぞれ固着される。駆動部材13は、光軸方向に配置され、被駆動部材14に形成された溝54に板ばね55で付勢され、被駆動部材14と摩擦結合するようになっている。被駆動部材14は玉枠52と一体に形成されている。
【0153】
前の玉枠51は、光軸方向に配置された共通ガイド軸56及び専用ガイド軸57によって、矢印58で示すように、光軸方向に平行移動自在に支持されている。共通ガイド軸56は、後の玉枠52にも係合しており、矢印59で示すように、光軸方向に案内し支持する。専用ガイド軸57は、前の玉枠51の案内穴60に挿通され、その一端が基台61に固着される。
【0154】
各玉枠51,52には、光軸直角方向に互いに平行に突出するカムピン62,63が設けられている。
【0155】
板カム53は、玉枠51,52に隣接して光軸と平行に配置され、カムピン62,63と平行な支持軸64により、矢印65で示すように、回動自在に支持されている。板カム53には、カム穴66,67が形成され、それぞれカムピン63,62が挿通され、係合するようになっている。これにより、前後の玉枠51,52はカム結合され、連動して移動するようになっている。前後の玉枠51,52に保持されたレンズ群を含む光学系の結像面には、被写体像を光電変換して画像信号を出力する撮像素子2が配置されている。
【0156】
次に、第3の実施形態における電子機器300の動作について説明する。玉枠52は、圧電素子12に適宜波形(例えば、鋸状波形や所定のデューティ比の矩形波形など)の電圧を印加することにより、駆動部材13を軸方向に振動させ、駆動部材13に沿って光軸方向に駆動する。
【0157】
例えば、適宜鋸歯状パルス波形の駆動電圧を圧電素子12に印加し、駆動部材13を向きによって異なる速度で光軸方向に往復移動させる。これにより、駆動部材13が相対的にゆっくり移動するときには、玉枠52(被駆動部材14)は、駆動部材13との間の摩擦力により、駆動部材13とともに一体的に移動する。一方、駆動部材13が逆方向に相対的に急激に移動するときには、駆動部材13と玉枠52(被駆動部材14)との間に滑りが生じ、駆動部材13のみが移動し、玉枠52は静止状態のままとなる。このようにして、玉枠52(被駆動部材14)を駆動部材13に沿って移動させることができる。
【0158】
アクチュエータ10により後の玉枠52が光軸方向に移動すると、前後の玉枠51,52は、板カム53で結合され連動するようになっているので、前の玉枠51は、後の玉枠52に対して所定の関係を保ちながら光軸方向に移動する。つまり、アクチュエータ10により後の玉枠52が駆動されると、板カム53によりカム結合された前の玉枠51に動きが伝わり、板カム53のカム穴66,67の形状により、各玉枠51,52相互の位置関係は一意的に決まる。そのため、板カム53のカム穴66,67の形状を適宜設定することによって、玉枠51,52同士が一定の関係を保ちながら移動するように制御することができる。
【0159】
なお、玉枠52には、その位置を検出するためのLEDが適所に配置されており、カメラ本体には、LEDから照射されるスポット光を受光する位置にPSDが配置されている。
【0160】
図13は、第3の実施形態における電子機器の構成を示すブロック図である。図13に示す電子機器300は、メインスイッチ301、制御回路302、駆動回路303、アクチュエータ10、位置検出回路304、LED3、PSD5、振動モータ駆動回路305及び振動モータ306を備えて構成される。
【0161】
メインスイッチ301は、電源のオン/オフを切り換えるものである。制御回路302は、CPU(Central Processing Unit)などからなり、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、制御回路302のCPUの動作を制御する制御プログラムを記憶するものである。RAMは、演算処理や制御処理などにおける種々のデータを一時的に格納するものである。制御回路302は、メインスイッチ301、駆動回路303、位置検出回路304及び振動モータ駆動回路305に接続されており、メインスイッチ301、位置検出回路304から出力される出力信号に基づいて、アクチュエータ10及び振動モータ306の駆動制御を行う。
【0162】
駆動回路303は、アクチュエータ10の圧電素子12に接続されており、圧電素子12に対して所定の駆動電圧を印加することで駆動部材13を伸縮させ、被駆動部材14を駆動する。
【0163】
位置検出回路304は、LED3を発光させるとともに、PSD5の受光面の受光位置に応じた光電流が入力され、入力される光電流に基づいて玉枠52の位置を検出する。位置検出回路304は、玉枠52の位置を検出することによって、アクチュエータ10の被駆動部材14の位置を検出する。
【0164】
振動モータ駆動回路305は、携帯電話機等のバイブレーション機能として設けられている振動モータを駆動するものであり、所定の駆動信号を振動モータに出力する。振動モータ306は、振動モータ駆動回路305から出力される駆動信号に基づいて、例えば、分銅を回転することによって、所定の振動量で装置自体を振動させる。
【0165】
なお、本実施形態における全体処理は、図3に示す全体処理と同じであるので説明を省略し、ステップS2の初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0166】
図14は、第3の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【0167】
ステップS501において、位置検出回路304は、玉枠52の初期位置を検出し、検出された玉枠52の初期位置を制御回路302に出力する。制御回路302は、位置検出回路304から出力された玉枠52の初期位置を記憶する。
【0168】
ステップS502において、制御回路302は、アクチュエータ10を正方向に所定時間だけ駆動するとともに、振動モータ306をアクチュエータ10の駆動時間と同じ所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路302がアクチュエータ10と振動モータ306とを同時に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0169】
ステップS503において、位置検出回路304は、玉枠52の位置を検出し、検出された玉枠52の位置を制御回路302に出力する。制御回路302は、位置検出回路304から出力された玉枠52の位置を記憶する。
【0170】
ステップS504において、制御回路302は、玉枠52の駆動後の位置と、玉枠52の初期位置とを比較し、玉枠52が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、玉枠52の位置が初期位置から変化した場合(ステップS504でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するので処理を終了する。駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、玉枠52の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS504でNO)、ステップS505に移行する。
【0171】
ステップS505において、制御回路302は、アクチュエータ10を負方向に所定時間だけ駆動するとともに、振動モータ306をアクチュエータ10の駆動時間と同じ所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路302がアクチュエータ10と振動モータ306とを同時に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0172】
ステップS506において、位置検出回路304は、玉枠52の位置を検出し、検出された玉枠52の位置を制御回路302に出力する。制御回路302は、位置検出回路304から出力された玉枠52の位置を記憶する。
【0173】
ステップS507において、制御回路302は、玉枠52の駆動後の位置と、玉枠52の初期位置とを比較し、玉枠52が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、玉枠52の位置が初期位置から変化した場合(ステップS507でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するので処理を終了する。駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、玉枠52の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS507でNO)、ステップS502に移行し、再びアクチュエータ10と振動モータ306とを同時に駆動し、ステップS502以降の処理を実行する。
【0174】
なお、本実施形態では、ステップS502〜S507までの最初の処理で、玉枠52を移動させるアクチュエータ10が正常に駆動していない場合、ステップS502〜S507までの次回の処理では、アクチュエータ10の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0175】
このように、携帯機器用デジタルカメラのレンズ機構における玉枠52を駆動するアクチュエータ10と、バイブレーション機能として設けられている振動モータ306とが同時に駆動され、玉枠52の位置が検出される。ここで、玉枠52の位置が移動していない場合、再び、アクチュエータ10と振動モータ306とが同時に駆動され、玉枠52が移動していると判断されるまで、同時駆動が繰り返して行われる。また、玉枠52が移動していると判断された場合、アクチュエータ10本来の動作が行われる。
【0176】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されているアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13とが張り付いている場合、アクチュエータ10と振動モータ306とを同時に駆動することによって、振動モータ306の駆動時の振動がアクチュエータ10に伝達されるので、伝達される振動によってアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付きを開放することができ、玉枠52を正常に駆動させることができる。
【0177】
次に、本発明に係る第3の実施形態の変形例について説明する。第3の実施形態では、アクチュエータ10と振動モータ306とを同時に駆動することによって、振動モータ306の振動をアクチュエータ10に伝達させ、張り付き状態から開放するものであるが、第3の実施形態の変形例では、アクチュエータ10と振動モータ306とを順に駆動することによって、振動モータ306の振動をアクチュエータ10に伝達させ、張り付き状態から開放するものである。
【0178】
なお、本実施形態の電子機器は、図2に示す制御回路の制御アルゴリズムが異なるだけであるので説明を省略し、第3の実施形態と異なる初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0179】
図15は、第3の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【0180】
ステップS601において、位置検出回路304は、玉枠52の初期位置を検出し、検出された玉枠52の初期位置を制御回路302に出力する。制御回路302は、位置検出回路304から出力された玉枠52の初期位置を記憶する。
【0181】
ステップS602において、制御回路302は、アクチュエータ10の正方向又は負方向への駆動を開始する。
【0182】
アクチュエータ10の正方向又は負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS603)、ステップS604において、位置検出回路304は、玉枠52の位置を検出し、検出された玉枠52の位置を制御回路302に出力する。制御回路302は、位置検出回路304から出力された玉枠52の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路302がアクチュエータ10の正方向又は負方向への駆動を開始してから、位置検出回路304が玉枠52の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0183】
ステップS605において、制御回路302は、玉枠52の駆動後の位置と、玉枠52の初期位置とを比較し、玉枠52が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、玉枠52の位置が初期位置から変化した場合(ステップS605でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するのでステップS610に移行する。駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、玉枠52の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS605でNO)、ステップS606に移行する。
【0184】
ステップS606において、制御回路302は、振動モータ306の駆動を開始する。
【0185】
振動モータ306の駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS607)、ステップS608において、位置検出回路304は、玉枠52の位置を検出し、検出された玉枠52の位置を制御回路302に出力する。制御回路302は、位置検出回路304から出力された玉枠52の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路302が振動モータ306の駆動を開始してから、位置検出回路304が玉枠52の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0186】
ステップS609において、制御回路302は、振動モータ306の駆動後の玉枠52の位置と、玉枠52の初期位置とを比較し、玉枠52が移動したか否かを判断する。ここで、振動モータ306の駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、玉枠52が初期位置から変化した場合(ステップS609でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するのでステップS610に移行する。振動モータ306の駆動後の玉枠52の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、玉枠52の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS609でNO)、ステップS602に移行し、ステップS602以降の処理を実行する。
【0187】
なお、ステップS602において、制御回路302は、前回アクチュエータ10を正方向に駆動していた場合、アクチュエータ10の負方向への駆動を開始し、前回アクチュエータ10を負方向に駆動していた場合、アクチュエータ10の正方向への駆動を開始する。すなわち、制御回路302は、アクチュエータ10を正方向に駆動した後、振動モータ306を駆動してもアクチュエータ10の張り付き状態が開放されない場合、アクチュエータ10を負方向に駆動した後、振動モータ306を駆動する。
【0188】
ステップS610において、制御回路302は、アクチュエータ10は正常に駆動するのでアクチュエータ10及び振動モータ306の駆動を停止し、初期動作チェック処理を終了する。
【0189】
なお、本実施形態では、ステップS602〜S609までの最初の処理で、玉枠52を移動させるアクチュエータ10が正常に駆動していない場合、ステップS602〜S609までの次回の処理では、アクチュエータ10の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0190】
このように、携帯機器用デジタルカメラのレンズ機構における玉枠52を駆動するアクチュエータ10と、バイブレーション機能として設けられている振動モータ306とが順に駆動され、玉枠52の位置が検出される。ここで、玉枠52の位置が移動していない場合、再び、アクチュエータ10と振動モータ306とが順に駆動され、玉枠52が移動していると判断されるまで、順次駆動が繰り返して行われる。また、玉枠52が移動していると判断された場合、アクチュエータ10本来の動作が行われる。
【0191】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されているアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13とが張り付いている場合、アクチュエータ10と振動モータ306とを順に駆動することによって、振動モータ306の駆動時の振動がアクチュエータ10に伝達されるので、伝達される振動によってアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付きを開放することができ、玉枠52を正常に駆動させることができる。
【0192】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る第4の実施形態について説明する。第4の実施形態における電子機器は、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されているアクチュエータを撮像装置(例えば、デジタルカメラ)のフォーカスレンズのレンズ機構に適用する。
【0193】
図16は、第4の実施形態における電子機器の一例を示す図である。図16に示す電子機器400は、デジタルカメラのレンズ駆動機構であり、焦点距離を変化させるズームレンズ群71、ズームレンズ群71を光軸方向に駆動するズームレンズ駆動モータ72、光量を調節する絞り73、絞り73を駆動する絞り駆動モータ74、焦点を合わせるフォーカスレンズ群75及びフォーカスレンズ群75を光軸方向に駆動するアクチュエータ10を備えて構成される。
【0194】
フォーカスレンズ群75を駆動するアクチュエータ10は、摩擦駆動タイプのものであり、支持部材11、圧電素子12、駆動部材13及び被駆動部材14を含む。圧電素子12は、その伸縮方向を光軸方向に合わせて配置され、その伸縮方向一端が支持部材11に、その伸縮方向他端が駆動部材13の軸端に、それぞれ固着される。駆動部材13は、光軸方向に配置され、被駆動部材14と摩擦結合するようになっている。被駆動部材14はフォーカスレンズ群75に接続されており、被駆動部材14が光軸方向に移動することによって、フォーカスレンズ群75は光軸方向に移動する。ズームレンズ群71及びフォーカスレンズ群72の結像面には、被写体像を光電変換して画像信号を出力する撮像素子2が配置されている。
【0195】
次に、第4の実施形態における電子機器400の動作について説明する。フォーカスレンズ群75は、圧電素子12に適宜波形(例えば、鋸状波形や所定のデューティ比の矩形波形など)の電圧を印加することにより、駆動部材13を軸方向に振動させ、駆動部材13に沿って光軸方向に駆動する。
【0196】
例えば、適宜鋸歯状パルス波形の駆動電圧を圧電素子12に印加し、駆動部材13を向きによって異なる速度で光軸方向に往復移動させる。これにより、駆動部材13が相対的にゆっくり移動するときには、フォーカスレンズ群75(被駆動部材14)は、駆動部材13との間の摩擦力により、駆動部材13とともに一体的に移動する。一方、駆動部材13が逆方向に相対的に急激に移動するときには、駆動部材13とフォーカスレンズ群75(被駆動部材14)との間に滑りが生じ、駆動部材13のみが移動し、フォーカスレンズ群75は静止状態のままとなる。このようにして、フォーカスレンズ群75(被駆動部材14)を駆動部材13に沿って光軸方向に移動させることができる。
【0197】
なお、フォーカスレンズ群75には、その位置を検出するためのLEDが適所に配置されており、カメラ本体には、LEDから照射されるスポット光を受光する位置にPSDが配置されている。
【0198】
図17は、第4の実施形態における電子機器の構成を示すブロック図である。図17に示す電子機器400は、メインスイッチ401、制御回路402、駆動回路403、アクチュエータ10、位置検出回路404、LED3、PSD5、絞り駆動回路405、絞り駆動モータ74、ズームモータ駆動回路406及びズームレンズ駆動モータ72を備えて構成される。
【0199】
メインスイッチ401は、電源のオン/オフを切り換えるものである。制御回路402は、CPU(Central Processing Unit)などからなり、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、制御回路402のCPUの動作を制御する制御プログラムを記憶するものである。RAMは、演算処理や制御処理などにおける種々のデータを一時的に格納するものである。制御回路402は、メインスイッチ401、駆動回路403、位置検出回路404、絞り駆動回路405及びズームモータ駆動回路406に接続されており、メインスイッチ401、位置検出回路404から出力される出力信号に基づいて、アクチュエータ10、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動制御を行う。
【0200】
駆動回路403は、アクチュエータ10の圧電素子12に接続されており、圧電素子12に対して所定の駆動電圧を印加することで駆動部材13を伸縮させ、被駆動部材14を駆動する。
【0201】
位置検出回路404は、LED3を発光させるとともに、PSD5の受光面の受光位置に応じた光電流が入力され、入力される光電流に基づいてフォーカスレンズ群75の位置を検出する。位置検出回路404は、フォーカスレンズ群75の位置を検出することによって、アクチュエータ10の被駆動部材14の位置を検出する。
【0202】
絞り駆動回路405は、絞り駆動モータ74を駆動するものであり、所定の駆動信号を絞り駆動モータ74に出力する。絞り駆動モータ74は、絞り駆動回路405から出力される駆動信号に基づいて、撮像素子2の受光面に入射する光量を調節する。
【0203】
ズームモータ駆動回路406は、ズームレンズ駆動モータ72を駆動するものであり、所定の駆動信号をズームレンズ駆動モータ72に出力する。ズームレンズ駆動モータ72は、ズームモータ駆動回路406から出力される駆動信号に基づいて、ズームレンズ群75を光軸方向に移動させ焦点距離を変化させる。
【0204】
なお、本実施形態における全体処理は、図3に示す全体処理と同じであるので説明を省略し、初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0205】
図18は、第4の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【0206】
ステップS701において、位置検出回路404は、フォーカスレンズ群75の初期位置を検出し、検出されたフォーカスレンズ群75の初期位置を制御回路402に出力する。制御回路402は、位置検出回路404から出力されたフォーカスレンズ群75の初期位置を記憶する。
【0207】
ステップS702において、制御回路402は、アクチュエータ10を正方向に所定時間だけ駆動するとともに、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72をアクチュエータ10の駆動時間と同じ所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路402がアクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0208】
ステップS703において、位置検出回路404は、フォーカスレンズ群75の位置を検出し、検出されたフォーカスレンズ群75の位置を制御回路402に出力する。制御回路402は、位置検出回路404から出力されたフォーカスレンズ群75の位置を記憶する。
【0209】
ステップS704において、制御回路402は、フォーカスレンズ群75の駆動後の位置と、フォーカスレンズ群75の初期位置とを比較し、フォーカスレンズ群75が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、フォーカスレンズ群75の位置が初期位置から変化した場合(ステップS704でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するので処理を終了する。駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、フォーカスレンズ群75の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS704でNO)、ステップS705に移行する。
【0210】
ステップS705において、制御回路402は、アクチュエータ10を負方向に所定時間だけ駆動するとともに、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72をアクチュエータ10の駆動時間と同じ所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路402がアクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0211】
ステップS706において、位置検出回路404は、フォーカスレンズ群75の位置を検出し、検出されたフォーカスレンズ群75の位置を制御回路402に出力する。制御回路402は、位置検出回路404から出力されたフォーカスレンズ群75の位置を記憶する。
【0212】
ステップS707において、制御回路402は、フォーカスレンズ群75の駆動後の位置と、フォーカスレンズ群75の初期位置とを比較し、フォーカスレンズ群75が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、フォーカスレンズ群75の位置が初期位置から変化した場合(ステップS707でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するので処理を終了する。駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、フォーカスレンズ群75の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS707でNO)、ステップS702に移行し、再びアクチュエータ10と絞り振動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動し、ステップS702以降の処理を実行する。
【0213】
なお、本実施形態においては、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動しているが、本発明は特にこれに限定されず、ズームレンズ駆動モータ72を駆動せずに、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とを同時に駆動してもよく、また、絞り駆動モータ74を駆動せずに、アクチュエータ10とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動してもよい。
【0214】
また、図18のステップS702において、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とを同時に駆動し、ステップS705において、アクチュエータ10とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動してもよい。すなわち、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とを同時に駆動しても駆動部材13と被駆動部材14との張り付き状態が開放されない場合、絞り駆動モータ74とは異なるズームレンズ駆動モータ72とアクチュエータ10とを同時に駆動することによって、絞り駆動モータ74とは異なる振動をアクチュエータ10に与え、駆動部材13と被駆動部材14との張り付き状態を開放することができる。
【0215】
さらに、本実施形態では、ステップS702〜S707までの最初の処理で、フォーカスレンズ群71を移動させるアクチュエータ10が正常に駆動していない場合、ステップS702〜S707までの次回の処理では、アクチュエータ10の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0216】
このように、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されているアクチュエータ10をフォーカスレンズのレンズ機構に適用した電子機器400において、フォーカスレンズ群75を駆動するアクチュエータ10と、絞り73を駆動する絞り駆動モータ74と、ズームレンズ群71を駆動するズームレンズ駆動モータ72とが同時に駆動され、フォーカスレンズ群75の位置が検出される。ここで、フォーカスレンズ群75の位置が移動していない場合、再び、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とが同時に駆動され、フォーカスレンズ群75が移動していると判断されるまで、同時駆動が繰り返して行われる。また、フォーカスレンズ群75が移動していると判断された場合、アクチュエータ10本来の動作が行われる。
【0217】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されているアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13とが張り付いている場合、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動することによって、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動時の振動がアクチュエータ10に伝達されるので、伝達される振動によってアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付きを開放することができ、フォーカスレンズ群75を正常に駆動させることができる。
【0218】
次に、本発明に係る第4の実施形態の変形例について説明する。第4の実施形態では、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを同時に駆動することによって、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の振動をアクチュエータ10に伝達させ、被駆動部材14と駆動部材13とを張り付き状態から開放するものである。一方、第4の実施形態の変形例では、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを順に駆動することによって、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の振動をアクチュエータ10に伝達させ、被駆動部材14と駆動部材13とを張り付き状態から開放するものである。
【0219】
なお、本実施形態の電子機器は、図2に示す制御回路の制御アルゴリズムが異なるだけであるので説明を省略し、第4の実施形態と異なる初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0220】
図19は、第4の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【0221】
ステップS801において、位置検出回路404は、フォーカスレンズ群75の初期位置を検出し、検出されたフォーカスレンズ群75の初期位置を制御回路402に出力する。制御回路402は、位置検出回路404から出力されたフォーカスレンズ群75の初期位置を記憶する。
【0222】
ステップS802において、制御回路402は、アクチュエータ10の正方向又は負方向への駆動を開始する。
【0223】
アクチュエータ10の正方向又は負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS803)、ステップS804において、位置検出回路404は、フォーカスレンズ群75の位置を検出し、検出されたフォーカスレンズ群75の位置を制御回路402に出力する。制御回路402は、位置検出回路404から出力されたフォーカスレンズ群75の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路402がアクチュエータ10の正方向又は負方向への駆動を開始してから、位置検出回路404がフォーカスレンズ群75の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0224】
ステップS805において、制御回路402は、フォーカスレンズ群75の駆動後の位置と、フォーカスレンズ群75の初期位置とを比較し、フォーカスレンズ群75が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、フォーカスレンズ群75の位置が初期位置から変化した場合(ステップS805でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するのでステップS810に移行する。駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、フォーカスレンズ群75の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS805でNO)、ステップS806に移行する。
【0225】
ステップS806において、制御回路402は、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動を開始する。
【0226】
絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS807)、ステップS808において、位置検出回路404は、フォーカスレンズ群75の位置を検出し、検出されたフォーカスレンズ群75の位置を制御回路402に出力する。制御回路402は、位置検出回路404から出力されたフォーカスレンズ群75の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路402が絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動を開始してから、位置検出回路404がフォーカスレンズ群75の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0227】
ステップS809において、制御回路402は、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と、フォーカスレンズ群75の初期位置とを比較し、フォーカスレンズ群75が移動したか否かを判断する。ここで、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、フォーカスレンズ群75が初期位置から変化した場合(ステップS809でYES)、アクチュエータ10は正常に駆動するのでステップS810に移行する。絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動後のフォーカスレンズ群75の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、フォーカスレンズ群75の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS809でNO)、ステップS802に移行し、ステップS802以降の処理を実行する。
【0228】
なお、ステップS802において、制御回路402は、前回アクチュエータ10を正方向に駆動していた場合、アクチュエータ10の負方向への駆動を開始し、前回アクチュエータ10を負方向に駆動していた場合、アクチュエータ10の正方向への駆動を開始する。すなわち、制御回路402は、アクチュエータ10を正方向に駆動した後、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72を駆動してもアクチュエータ10の張り付き状態が開放されない場合、アクチュエータ10を負方向に駆動した後、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72を駆動する。
【0229】
ステップS810において、制御回路402は、アクチュエータ10は正常に駆動するのでアクチュエータ10、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動を停止し、初期動作チェック処理を終了する。
【0230】
なお、本実施形態においては、位置検出回路404によって被駆動部材14の駆動が確認されない場合、アクチュエータ10と、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72とを順に駆動するとしているが、本発明は特にこれに限定されず、位置検出回路404によって被駆動部材14の駆動が確認されない場合、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とを順に駆動し、位置検出回路404によって被駆動部材14の駆動がなおも確認されない場合、アクチュエータ10とズームレンズ駆動モータ72とを順に駆動してもよい。すなわち、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とを順に駆動しても駆動部材13と被駆動部材14との張り付き状態が開放されない場合、絞り駆動モータ74とは異なるズームレンズ駆動モータ72とアクチュエータ10とを順に駆動することによって、絞り駆動モータ74とは異なる振動をアクチュエータ10に与え、駆動部材13と被駆動部材14との張り付き状態を開放することができる。
【0231】
また、本実施形態では、ステップS802〜S809までの最初の処理で、フォーカスレンズ群71を移動させるアクチュエータ10が正常に駆動していない場合、ステップS802〜S809までの次回の処理では、アクチュエータ10の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0232】
このように、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されているアクチュエータ10をフォーカスレンズのレンズ機構に適用した電子機器400において、フォーカスレンズ群75を駆動するアクチュエータ10と、絞り73を駆動する絞り駆動モータ74と、ズームレンズ群71を駆動するズームレンズ駆動モータ72とが順に駆動され、フォーカスレンズ群75の位置が検出される。ここで、フォーカスレンズ群75の位置が移動していない場合、再び、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とが順に駆動され、フォーカスレンズ群75が移動していると判断されるまで、順次駆動が繰り返して行われる。また、フォーカスレンズ群75が移動していると判断された場合、アクチュエータ10本来の動作が行われる。
【0233】
したがって、被駆動部材14と駆動部材13とが摩擦係合により保持されているアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13とが張り付いている場合、アクチュエータ10と絞り駆動モータ74とズームレンズ駆動モータ72とを順に駆動することによって、絞り駆動モータ74及びズームレンズ駆動モータ72の駆動時の振動がアクチュエータ10に伝達されるので、伝達される振動によってアクチュエータ10の被駆動部材14と駆動部材13との張り付きを開放することができ、フォーカスレンズ群75を正常に駆動させることができる。
【0234】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係る第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されているアクチュエータを複数組み合わせた多自由度駆動機構に適用する。
【0235】
図20は、第5の実施形態における電子機器の一例を示す図である。図20に示す電子機器500は、撮像装置(例えば、デジタルカメラ)に用いられる多自由度駆動機構であり、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20を備えて構成さる。なお、図20に示す電子機器500は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを直接連結した2自由度駆動機構である。
【0236】
第1アクチュエータ10は、摩擦駆動タイプのものであり、第1圧電素子12、第1駆動部材13及び第1被駆動部材14を含む。第2アクチュエータ20は、摩擦駆動タイプのものであり、第2圧電素子22、第2駆動部材23及び第2被駆動部材24を含む。固定部81には、第1アクチュエータ10の第1駆動部材13の基端が固定される。第1駆動部材13の先端には、第1圧電素子12が固定される。第1駆動部材13には、L字状の第1被駆動部材14が摩擦係合し、第1駆動部材13に沿って移動できるようになっている。すなわち、第1被駆動部材14は、ねじ止めされた板ばね82の付勢力によって、第1被駆動部材14の2つの面に摺動自在に圧着し、第1被駆動部材14の位置が保持されるようになっている。
【0237】
第1アクチュエータ10の第1被駆動部材14の側面には、第1アクチュエータ10と同様に構成された第2アクチュエータ20が固定される。すなわち、第1被駆動部材14の側面には、第2アクチュエータ20の第2駆動部材23の基端が固定される。第2駆動部材23の先端には、第2圧電素子22が固定される。第2駆動部材23には、L字状の第2被駆動部材24が摩擦係合し、第2駆動部材23に沿って移動できるようになっている。すなわち、第2被駆動部材24は、ねじ止めされた板ばね83の付勢力によって、第2被駆動部材24の2つの面に摺動自在に圧着し、第2被駆動部材24の位置が保持されるようになっている。
【0238】
次に、第5の実施形態における電子機器500の動作について説明する。第1アクチュエータ10では、第1圧電素子12に適宜波形(例えば、鋸状波形や所定のデューティ比の矩形波形など)の電圧を印加することにより、第1駆動部材13を軸方向に振動させ、第1被駆動部材14を第1駆動部材13に沿って駆動する。同様に、第2アクチュエータ20では、第2圧電素子22に適宜波形(例えば、鋸状波形や所定のデューティ比の矩形波形など)の電圧を印加することにより、第2駆動部材23を軸方向に振動させ、第2被駆動部材24を第2駆動部材23に沿って駆動する。このように、第1圧電素子12及び第2圧電素子22にそれぞれ適宜な駆動パルスを印加することにより、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24を独立して移動させることができる。
【0239】
例えば、適宜鋸歯状パルス波形の駆動電圧を第1圧電素子12に印加し、第1駆動部材13を向きによって異なる速度で往復移動させる。これにより、第1駆動部材13が相対的にゆっくり移動するときには、第2アクチュエータ20(第1被駆動部材14)は、第1駆動部材13との間の摩擦力により、第1駆動部材13とともに一体的に移動する。一方、第1駆動部材13が逆方向に相対的に急激に移動するときには、第1駆動部材13と第2アクチュエータ20(第1被駆動部材14)との間に滑りが生じ、第1駆動部材13のみが移動し、第2アクチュエータ20は静止状態のままとなる。このようにして、第2アクチュエータ20(第1被駆動部材14)を第1駆動部材13に沿って光軸方向に移動させることができる。
【0240】
第1アクチュエータ10の第1被駆動部材14の移動方向に対して、第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24は異なる方向に駆動するため、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを駆動することにより、第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24を2自由度で動かすことができる。
【0241】
また、本実施形態では、第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24の側面に、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20と同様の構成の第3アクチュエータをさらに付加することで、さらに自由度を増した駆動機構を構成することができる。
【0242】
なお、第2アクチュエータ20には、第1アクチュエータ10の第1被駆動部材14の位置を検出するための第1LEDが適所に配置されており、機器本体には、第1LEDから照射されるスポット光を受光する位置に第1PSDが配置されている。また、第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24の側面に設けられる部材又は第3アクチュエータには、第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24の位置を検出するための第2LEDが適所に配置されており、機器本体には、第2LEDから照射されるスポット光を受光する位置に第2PSDが配置されている。
【0243】
第5の実施形態における電子機器500の構成は、図2に示す電子機器100の構成と同じであるので、図2を用いて電子機器500の構成を説明する。
【0244】
メインスイッチ101は、電源のオン/オフを切り換えるものである。制御回路102は、CPU(Central Processing Unit)などからなり、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、制御回路102のCPUの動作を制御する制御プログラムを記憶するものである。RAMは、演算処理や制御処理などにおける種々のデータを一時的に格納するものである。制御回路102は、メインスイッチ101、第1駆動回路103、第1位置検出回路104、第2駆動回路105及び第2位置検出回路106に接続されており、メインスイッチ101、第1位置検出回路104及び第2位置検出回路106から出力される出力信号に基づいて、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動制御を行う。
【0245】
第1駆動回路103は、第1アクチュエータ10の第1圧電素子12に接続されており、第1圧電素子12に対して所定の駆動電圧を印加することで第1駆動部材13を伸縮させ、第1被駆動部材14を駆動する。
【0246】
第1位置検出回路104は、第1LED3を発光させるとともに、第1PSD5の受光面の受光位置に応じた光電流が入力され、入力される光電流に基づいて第1被駆動部材14の位置を検出する。
【0247】
第2駆動回路105は、第2アクチュエータ20の第2圧電素子22に接続されており、第2圧電素子22に対して所定の駆動電圧を印加することで第2駆動部材23を伸縮させ、第2被駆動部材24を駆動する。
【0248】
第2位置検出回路106は、第2LED4を発光させるとともに、第2PSD6の受光面の受光位置に応じた光電流が入力され、入力される光電流に基づいて第2被駆動部材24の位置を検出する。
【0249】
本実施形態における全体処理は、図3に示す全体処理と同じであるので説明を省略し、初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0250】
図21及び図22は、第5の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。なお、図21におけるj,k,lは、図22におけるj,k,lに対応している。
【0251】
ステップS901において、第1位置検出回路104は、第1被駆動部材14の初期位置を検出し、検出された第1被駆動部材14の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1被駆動部材14の初期位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2被駆動部材24の初期位置を検出し、検出された第2被駆動部材14の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2被駆動部材24の初期位置を記憶する。
【0252】
ステップS902において、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0253】
ステップS903において、第1位置検出回路104は、第1被駆動部材14の位置を検出し、検出された第1被駆動部材14の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1被駆動部材14の位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2被駆動部材24の位置を検出し、検出された第2被駆動部材24の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2被駆動部材24の位置を記憶する。
【0254】
ステップS904において、制御回路102は、第1被駆動部材14の駆動後の位置と、第1被駆動部材14の初期位置とを比較し、第1被駆動部材14が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第1被駆動部材14の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第1被駆動部材14の位置が初期位置から変化した場合(ステップS904でYES)、ステップS905に移行する。駆動後の第1被駆動部材14の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第1被駆動部材14の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS904でNO)、ステップS906に移行する。
【0255】
ステップS905において、制御回路102は、第1被駆動部材14の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0256】
ステップS906において、制御回路102は、第2被駆動部材24の駆動後の位置と、第2被駆動部材24の初期位置とを比較し、第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第2被駆動部材24の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第2被駆動部材24の位置が初期位置から変化した場合(ステップS906でYES)、ステップS907に移行する。駆動後の第2被駆動部材24の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第2被駆動部材24の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS906でNO)、ステップS908に移行する。
【0257】
ステップS907において、制御回路102は、第2被駆動部材24の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0258】
ステップS908において、制御回路102は、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化した場合(ステップS908でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので処理を終了する。第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化しなかった場合、第1被駆動部材14のみが変化して第2被駆動部材24が変化しなかった場合及び第2被駆動部材24のみが変化して第1被駆動部材14が変化しなかった場合(ステップS908でNO)、第1のアクチュエータ10及び第2のアクチュエータ20を再び駆動するためにステップS909に移行する。
【0259】
ステップS909において、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に正方向に駆動する所定時間は10msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0260】
ステップS910において、第1位置検出回路104は、第1被駆動部材14の位置を検出し、検出された第1被駆動部材14の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1被駆動部材14の位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2被駆動部材24の位置を検出し、検出された第2被駆動部材24の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2被駆動部材24の位置を記憶する。
【0261】
ステップS911において、制御回路102は、第1被駆動部材14の負方向への駆動後の位置と、第1被駆動部材14の負方向への駆動前(正方向への駆動後)の位置とを比較し、第1被駆動部材14が移動したか否かを判断する。ここで、負方向への駆動後の位置と負方向への駆動前の位置とが異なる場合、つまり、第1被駆動部材14の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化した場合(ステップS911でYES)、ステップS912に移行する。負方向への駆動後の位置と負方向への駆動前の位置とが同じである場合、つまり、第1被駆動部材14の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化しなかった場合(ステップS911でNO)、ステップS913に移行する。
【0262】
ステップS912において、制御回路102は、第1被駆動部材14の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0263】
ステップS913において、制御回路102は、第2被駆動部材24の負方向への駆動後の位置と、第2被駆動部材24の負方向への駆動前(正方向への駆動後)の位置とを比較し、第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、負方向への駆動後の位置と負方向への駆動前の位置とが異なる場合、つまり、第2被駆動部材24の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化した場合(ステップS913でYES)、ステップS914に移行する。負方向への駆動後の第2被駆動部材24の位置と負方向への駆動前の第2被駆動部材24の位置とが同じである場合、つまり、第2被駆動部材24の負方向への駆動後の位置が負方向への駆動前の位置から変化しなかった場合(ステップS913でNO)、ステップS915に移行する。
【0264】
ステップS914において、制御回路102は、第2被駆動部材24の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に負方向に所定時間だけ駆動した後、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0265】
ステップS915において、制御回路102は、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化した場合(ステップS915でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので処理を終了する。第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化しなかった場合、第1被駆動部材14のみが変化して第2被駆動部材24が変化しなかった場合及び第2被駆動部材24のみが変化して第1被駆動部材14が変化しなかった場合(ステップS915でNO)、第1のアクチュエータ10及び第2のアクチュエータ20を再び駆動するためにステップS902に移行する。
【0266】
なお、本実施形態では、上記ステップS915でNOであれば、ステップS902に移行し、ステップS902以降の処理が再度行われるが、ステップS902〜S915までの最初の処理で、第1被駆動部材14を移動させる第1アクチュエータ10及び第2被駆動部材24を移動させる第2アクチュエータ20のうちのいずれか一方が正常に駆動していた場合、ステップS902〜S915までの次回の処理では、正常に駆動するアクチュエータは駆動せずに、正常に駆動していないアクチュエータのみを駆動してもよい。
【0267】
また、本実施形態では、ステップS902〜S915までの最初の処理で、第1被駆動部材14を移動させる第1アクチュエータ10及び第2被駆動部材24を移動させる第2アクチュエータ20のうちの少なくとも一方が正常に駆動していない場合、ステップS902〜S915までの次回の処理では、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0268】
このように、第1被駆動部材14と第1駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10と、第2被駆動部材24と第2駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20とを組み合わせた多自由度駆動機構において、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが同時に駆動され、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24の位置が検出される。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24の少なくとも一方の位置が移動していない場合、再び、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが同時に駆動され、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に移動していると判断されるまで、同時駆動が繰り返して行われる。また、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に移動していると判断された場合、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の本来の動作が行われる。
【0269】
したがって、第1被駆動部材14と第1駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10の第1被駆動部材14と第1駆動部材13とが張り付いている場合、又は、第2被駆動部材24と第2駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24と第2駆動部材23とが張り付いている場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に駆動することによって、第1アクチュエータ10の駆動時の振動が第2アクチュエータ20に伝達され、第2アクチュエータ20の駆動時の振動が第1アクチュエータ10に伝達されるので、伝達される振動によって第1アクチュエータ10の第1被駆動部材14と第1駆動部材13との張り付き、第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24と第2駆動部材23との張り付きを開放することができ、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20を正常に駆動させることができる。
【0270】
次に、本発明に係る第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態では、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを同時に駆動することによって、一方の振動を他方に伝達させ、張り付き状態から開放するものであるが、第2の実施形態の変形例では、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを順に駆動することによって、一方の振動を他方に伝達させ、張り付き状態から開放するものである。
【0271】
なお、本実施形態の電子機器は、図2に示す制御回路の制御アルゴリズムが異なるだけであるので説明を省略し、第5の実施形態と異なる初期動作チェック処理についてのみ説明する。
【0272】
図23及び図24は、第5の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。なお、図23におけるm,n,oは、図24におけるm,n,oに対応している。
【0273】
ステップS1001において、第1位置検出回路104は、第1被駆動部材14の初期位置を検出し、検出された第1被駆動部材14の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路104から出力された第1被駆動部材14の初期位置を記憶する。また、第2位置検出回路106は、第2被駆動部材24の初期位置を検出し、検出された第2被駆動部材24の初期位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2被駆動部材24の初期位置を記憶する。
【0274】
ステップS1002において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始する。
【0275】
第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS1003)、ステップS1004において、第2位置検出回路106は、第2被駆動部材24の位置を検出し、検出された第2被駆動部材24の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2被駆動部材24の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始してから、第2位置検出回路106が第2被駆動部材24の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0276】
ステップS1005において、制御回路102は、第2被駆動部材24の駆動後の位置と、第2被駆動部材24の初期位置とを比較し、第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第2被駆動部材24の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第2被駆動部材24の位置が初期位置から変化した場合(ステップS1005でYES)、ステップS1006に移行する。駆動後の第2被駆動部材24の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第2被駆動部材24の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS1005でNO)、ステップS1007に移行する。なお、初期動作チェック処理が最初に行われる際には、第2アクチュエータ20を駆動していないため、第2被駆動部材24は移動しておらず、ステップS1005ではNOと判断される。
【0277】
ステップS1006において、制御回路102は、第2被駆動部材24の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第2被駆動部材24の位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0278】
ステップS1007において、制御回路102は、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化した場合(ステップS1007でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS1026に移行する。第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化しなかった場合、第1被駆動部材14のみが変化して第2被駆動部材24が変化しなかった場合及び第2被駆動部材24のみが変化して第1被駆動部材14が変化しなかった場合(ステップS1007でNO)、第2のアクチュエータ20を正方向に駆動するためにステップS1008に移行する。なお、初期動作チェック処理が最初に行われる際には、第2アクチュエータ20を駆動していないため、第2被駆動部材24は移動しておらず、また、第1被駆動部材14の駆動後の位置も検出していないため、第1被駆動部材14は移動しておらず、ステップS1007ではNOと判断される。
【0279】
ステップS1008において、制御回路102は、第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始する。
【0280】
第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS1009)、ステップS1010において、第1位置検出回路105は、第1被駆動部材14の位置を検出し、検出された第1被駆動部材14の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路105から出力された第1被駆動部材14の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第2アクチュエータ20の正方向への駆動を開始してから、第1位置検出回路105が第1被駆動部材14の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0281】
ステップS1011において、制御回路102は、第1被駆動部材14の駆動後の位置と、第1被駆動部材14の初期位置とを比較し、第1被駆動部材14が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第1被駆動部材14の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第1被駆動部材14の位置が初期位置から変化した場合(ステップS1011でYES)、ステップS1012に移行する。駆動後の第1被駆動部材14の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第1被駆動部材14の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS1011でNO)、ステップS1013に移行する。
【0282】
ステップS1012において、制御回路102は、第1被駆動部材14の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1被駆動部材14の位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0283】
ステップS1013において、制御回路102は、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化した場合(ステップS1013でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS1026に移行する。第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化しなかった場合、第1被駆動部材14のみが変化して第2被駆動部材24が変化しなかった場合及び第2被駆動部材24のみが変化して第1被駆動部材14が変化しなかった場合(ステップS1013でNO)、第1のアクチュエータ10を負方向に駆動するためにステップS1014に移行する。
【0284】
ステップS1014において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始する。
【0285】
第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS1015)、ステップS1016において、第2位置検出回路106は、第2被駆動部材24の位置を検出し、検出された第2被駆動部材24の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第2位置検出回路106から出力された第2被駆動部材24の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第1アクチュエータ10の負方向への駆動を開始してから、第2位置検出回路106が第2被駆動部材24の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0286】
ステップS417において、制御回路102は、第2被駆動部材24の駆動後の位置と、第2被駆動部材24の初期位置とを比較し、第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第2被駆動部材24の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第2被駆動部材24の位置が初期位置から変化した場合(ステップS1017でYES)、ステップS1018に移行する。駆動後の第2被駆動部材24の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第2被駆動部材24の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS1017でNO)、ステップS1019に移行する。
【0287】
ステップS1018において、制御回路102は、第2被駆動部材24の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第2被駆動部材24位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材24の位置を記憶する。
【0288】
ステップS1019において、制御回路102は、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化した場合(ステップS1019でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS1026に移行する。第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化しなかった場合、第1被駆動部材14のみが変化して第2被駆動部材24が変化しなかった場合及び第2被駆動部材24のみが変化して第1被駆動部材14が変化しなかった場合(ステップS1019でNO)、第2のアクチュエータ20を負方向に駆動するためにステップS1020に移行する。
【0289】
ステップS1020において、制御回路102は、第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始する。
【0290】
第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始して所定時間経過した後(ステップS1021)、ステップS1022において、第1位置検出回路105は、第1被駆動部材14の位置を検出し、検出された第1被駆動部材14の位置を制御回路102に出力する。制御回路102は、第1位置検出回路105から出力された第1被駆動部材14の位置を記憶する。なお、本実施形態において、制御回路102が第2アクチュエータ20の負方向への駆動を開始してから、第1位置検出回路105が第1被駆動部材14の位置を検出するまでの所定時間は5msであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、駆動実験によって得られる適切な時間に設定してもよい。
【0291】
ステップS1023において、制御回路102は、第1被駆動部材14の駆動後の位置と、第1被駆動部材14の初期位置とを比較し、第1被駆動部材14が移動したか否かを判断する。ここで、駆動後の第1被駆動部材14の位置と初期位置とが異なる場合、つまり、第1被駆動部材14の位置が初期位置から変化した場合(ステップS1023でYES)、ステップS1024に移行する。駆動後の第1被駆動部材14の位置と初期位置とが同じである場合、つまり、第1被駆動部材14の位置が初期位置から変化しなかった場合(ステップS1023でNO)、ステップS1025に移行する。
【0292】
ステップS1024において、制御回路102は、第1被駆動部材14の位置が変化したことを記憶する。すなわち、制御回路102は、第1被駆動部材14位置が変化した場合、初期位置から移動した被駆動部材14の位置を記憶する。
【0293】
ステップS1025において、制御回路102は、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が移動したか否かを判断する。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化した場合(ステップS1025でYES)、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するのでステップS1026に移行する。第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に変化しなかった場合、第1被駆動部材14のみが変化して第2被駆動部材24が変化しなかった場合及び第2被駆動部材24のみが変化して第1被駆動部材14が変化しなかった場合(ステップS1025でNO)、第1のアクチュエータ10を正方向に駆動するためにステップS1027に移行する。
【0294】
ステップS1026において、制御回路102は、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20は正常に駆動するので第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動を停止し、初期動作チェック処理を終了する。
【0295】
ステップS1027において、制御回路102は、第1アクチュエータ10の正方向への駆動を開始し、ステップS1003に移行し、ステップS1003以降の処理を実行する。
【0296】
なお、本実施形態では、ステップS1002〜S1025までの最初の処理で、第1被駆動部材14を移動させる第1アクチュエータ10及び第2被駆動部材24を移動させる第2アクチュエータ20のうちの少なくとも一方が正常に駆動していない場合、ステップS1002〜S1025までの次回の処理では、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の駆動トルクを前回の駆動時よりも高くして駆動してもよい。
【0297】
このように、第1被駆動部材14と第1駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10と、第2被駆動部材24と第2駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20とを組み合わせた多自由度駆動機構において、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが順に駆動され、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24の位置が検出される。ここで、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24の少なくとも一方の位置が移動していない場合、再び、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とが順に駆動され、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に移動していると判断されるまで、順次駆動が繰り返して行われる。また、第1被駆動部材14及び第2被駆動部材24が共に移動していると判断された場合、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20の本来の動作が行われる。
【0298】
したがって、第1被駆動部材14と第1駆動部材13とが摩擦係合により保持されている第1アクチュエータ10の第1被駆動部材14と第1駆動部材13とが張り付いている場合、又は、第2被駆動部材24と第2駆動部材23とが摩擦係合により保持されている第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24と第2駆動部材23とが張り付いている場合、第1アクチュエータ10と第2アクチュエータ20とを順に駆動することによって、第1アクチュエータ10の駆動時の振動が第2アクチュエータ20に伝達され、第2アクチュエータ20の駆動時の振動が第1アクチュエータ10に伝達されるので、伝達される振動によって第1アクチュエータ10の第1被駆動部材14と第1駆動部材13との張り付き、第2アクチュエータ20の第2被駆動部材24と第2駆動部材23との張り付きを開放することができ、第1アクチュエータ10及び第2アクチュエータ20を正常に駆動させることができる。
【0299】
なお、上記の各実施形態において、位置検出回路は、LEDとPSDとを用いた光学式位置検出方法によって被駆動部材の位置を検出しているが、本発明は特にこれに限定されず、磁気式位置検出方法によって被駆動部材の位置を検出してもよい。
【0300】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0301】
(1)複数の駆動ユニットと、
前記複数の駆動ユニットのうちの少なくとも1の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、
電源投入時、もしくは前記1の駆動ユニットの駆動開始時に、前記1の駆動ユニットと、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つとを同時に駆動する駆動回路と、
前記駆動回路によって前記1の駆動ユニットと、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つとが同時に駆動される際に、前記被駆動部材が駆動しているか否かを検出する検出回路とを備える電子機器において、
前記駆動回路は、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認されない場合、前記1の駆動ユニットと、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つとを同時に駆動し、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認された場合、前記1の駆動ユニット本来の動作を行うことを特徴とする電子機器。
【0302】
(2)複数の駆動ユニットと、
前記複数の駆動ユニットのうちの少なくとも1の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、
電源投入時、もしくは前記1の駆動ユニットの駆動開始時に、前記1の駆動ユニットと、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つとを順に駆動する駆動回路と、
前記駆動回路によって前記1の駆動ユニットと、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つとが順に駆動される際に、前記被駆動部材が駆動しているか否かを検出する検出回路とを備える電子機器において、
前記駆動回路は、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認されない場合、前記1の駆動ユニットと、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つとを順に駆動し、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認された場合、前記1の駆動ユニット本来の動作を行うことを特徴とする電子機器。
【0303】
(3)被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている前記1の駆動ユニットは、前記駆動回路によって、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つが駆動されることによる振動が伝わる位置に配置されていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の電子機器。
【0304】
(4)前記1の駆動ユニットと、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つとは、同一の筐体に配置されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子機器。
【0305】
(5)複数の画素が2次元的に配置されてなる撮像面に結像される光像を各画素で電気信号に光電変換する撮像素子と、
前記光像を前記撮像面に結像する光学系とを備える撮像装置において、
前記光学系及び前記撮像素子のうちの少なくとも一方を駆動する駆動部が上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子機器からなることを特徴とする撮像装置。
【0306】
(6)複数の画素が2次元的に配置されてなる撮像面に結像される光像を各画素で電気信号に光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子をX軸方向及びY軸方向に移動させる撮像素子駆動部とを備える手ぶれ補正機構において、
前記撮像素子駆動部は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子機器からなることを特徴とする手ぶれ補正機構。
【0307】
(7)光像を撮像面に結像する光学系と、
前記光学系を光軸方向に移動させる光学系駆動部とを備える光学系駆動機構において、
前記光学系駆動部は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子機器からなることを特徴とする光学系駆動機構。
【0308】
(8)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子機器からなる撮像機構と、バイブレーション機能のために設けられた振動モータとを備えることを特徴とする携帯電話機。
【0309】
(9)前記1の駆動ユニットは、駆動信号が印加されることにより伸縮する電気機械変換素子と、前記電気機械変換素子の伸縮方向における一方端に固着された支持部材と、前記電気機械変換素子の伸縮方向における他方端に固着された駆動部材と、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合された被駆動部材とから構成され、前記電気機械変換素子を異なる速度で伸縮させることで前記支持部材と前記被駆動部材とを相対移動させることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子機器。
【0310】
(10)前記1の駆動ユニットは、前記複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つと略直交する位置に配置されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子機器。この構成によれば、1の駆動ユニットに対して、1の駆動ユニットとは異なる方向の振動を、複数の駆動ユニットのうちの他の駆動ユニットの少なくとも1つによって与えることでさらに被駆動部材と駆動部材との張り付きを容易に開放することができる。
【0311】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材とが張り付いている場合、この1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットとを同時に駆動することによって、一方の駆動ユニットの駆動時の振動が他方の駆動ユニットに伝達されるので、伝達される振動によって第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができ、動作不良を起こすことのない撮像装置を提供することができる。
【0312】
また、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットは、一方の駆動ユニットが駆動回路によって駆動されることによる振動が他方の駆動ユニットに伝わる位置に配置されているので、この第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットのうちの一方の駆動ユニットが駆動されることによって発生する振動を他方の駆動ユニットに伝えることができ、被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができる。
【0313】
請求項2に記載の発明によれば、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材とが張り付いている場合、この第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットを順に駆動することによって、一方の駆動ユニットの駆動時の振動が他方の駆動ユニットに伝達されるので、伝達される振動によって第1の駆動ユニット又は第2の駆動ユニットの被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができ、動作不良を起こすことのない撮像装置を提供することができる。
【0314】
また、被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されている第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットは、一方の駆動ユニットが駆動回路によって駆動されることによる振動が他方の駆動ユニットに伝わる位置に配置されているので、この第1の駆動ユニット 及び第2の駆動ユニットのうちの一方の駆動ユニットが駆動されることによって発生する振動を他方の駆動ユニットに伝えることができ、被駆動部材と駆動部材との張り付きを開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態における電子機器の一例を示す図である。
【図2】 第1の実施形態における電子機器の構成を示すブロック図である。
【図3】 本実施形態の電子機器における全体処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】 図3のステップS2における初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図5】 第1の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図6】 第1の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図7】 第2の実施形態における電子機器の一例を示す図である。
【図8】 第2の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図9】 第2の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図10】 第2の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図11】 第2の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図12】 第3の実施形態における電子機器の一例を示す図である。
【図13】 第3の実施形態における電子機器の構成を示すブロック図である。
【図14】 第3の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図15】 第3の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図16】 第4の実施形態における電子機器の一例を示す図である。
【図17】 第4の実施形態における電子機器の構成を示すブロック図である。
【図18】 第4の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図19】 第4の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図20】 第5の実施形態における電子機器の一例を示す図である。
【図21】 第5の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図22】 第5の実施形態における図3のステップS2の処理動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図23】 第5の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【図24】 第5の実施形態の変形例における図3のステップS2の初期動作チェック処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 第1LED
4 第2LED
5 第1PSD
6 第2PSD
10 第1アクチュエータ
11,21 支持部材
12,22 圧電素子
13,23 駆動部材
14,24 被駆動部材
20 第2アクチュエータ
100 電子機器
101 メインスイッチ
102 制御回路
103 第1駆動回路
104 第1位置検出回路
105 第2駆動回路
106 第2位置検出回路

Claims (2)

  1. 複数の画素が2次元的に配置されてなる撮像面に結像される光像を各画素で電気信号に光電変換する撮像素子と、
    前記光像を前記撮像面に結像する光学系と、
    前記撮像素子をX軸方向及びY軸方向に移動させる手ぶれ補正機構とを備える撮像装置において、
    前記撮像素子を前記X軸方向に駆動する第1の駆動ユニットと、
    前記撮像素子を前記Y軸方向に駆動する第2の駆動ユニットとを備え、
    前記第2の駆動ユニットが固定されているフレームは前記第1の駆動ユニットにより駆動される構成となっており、
    前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、
    電源投入時、もしくは前記第1の駆動ユニット又は前記第2の駆動ユニットの駆動開始時に、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを同時に駆動する駆動回路と、
    前記駆動回路によって前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットが同時に駆動される際に、前記被駆動部材が駆動しているか否かを検出する検出回路とを備え、
    前記駆動回路は、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認されない場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを同時に駆動し、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認された場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニット本来の動作を行ことを特徴とする撮像装置
  2. 複数の画素が2次元的に配置されてなる撮像面に結像される光像を各画素で電気信号に光電変換する撮像素子と、
    前記光像を前記撮像面に結像する光学系と、
    前記撮像素子をX軸方向及びY軸方向に移動させる手ぶれ補正機構とを備える撮像装置において、
    前記撮像素子を前記X軸方向に駆動する第1の駆動ユニットと、
    前記撮像素子を前記Y軸方向に駆動する第2の駆動ユニットとを備え、
    前記第2の駆動ユニットが固定されているフレームは前記第1の駆動ユニットにより駆動される構成となっており、
    前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットは被駆動部材と駆動部材とが摩擦係合により保持されており、
    電源投入時、もしくは前記第1の駆動ユニット又は前記第2の駆動ユニットの駆動開始時に、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを順に駆動する駆動回路と、
    前記駆動回路によって前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットが順に駆動される際に、前記被駆動部材が駆動しているか否かを検出する検出回路とを備え、
    前記駆動回路は、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認されない場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットを順に駆動し、前記検出回路によって被駆動部材の駆動が確認された場合、前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニット本来の動作を行ことを特徴とする撮像装置
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