以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置における撮像部及び手振れ補正機構の分解斜視図である。図2は、本実施形態に係る撮像装置の撮像部及び手振れ補正機構の平面図である。図3は、図2のIII−IIIにおける断面図である。図4は、図2のIV−IVにおける断面図である。
本実施形態に係る撮像装置は、撮像光学系と撮像素子を光軸方向と直交する方向に相対移動させて手振れ補正を行うものである。すなわち、手振れに応じて撮像光学系を移動させ、撮像素子との相対位置を変化させることで手振れを補正する。この撮像装置は、静止画を撮影するカメラ、動画を撮影するビデオカメラ、携帯電話に搭載される撮像部などに適用される。
まず、本実施形態に係る撮像装置の機械的な構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る撮像装置は、被写体の像を取得するための撮像光学系2と撮像素子14を備えている。撮像光学系2は、撮像素子14に集光する光学系であり、撮影レンズを備えて構成されている。この撮像光学系2は、例えばホルダ2aにレンズ(図示なし)を収容して構成される。撮像光学系2は、単体のレンズで構成してもよいし、複数のレンズによるレンズ群で構成してもよい。
撮像光学系2は、第二移動部材5に取り付けられており、撮像素子14に対し光軸Oの方向(光軸方向)と直交する方向に相対移動可能に設けられている。第二移動部材5は、撮像素子14を固定する撮像素子ホルダ13に収容され、球体4で支持されることにより、撮像素子ホルダ13及び撮像素子14に対し光軸方向と直交する方向に相対移動可能となっている。このため、撮像光学系2は、第二移動部材5と共に撮像光学系2が移動することによって、撮像素子14に対し光軸方向と直交する方向に相対移動することになる。
その際、撮像光学系2を第二移動部材5に対し光軸方向へ移動可能に取り付けることが好ましい。例えば、第二移動部材5に光軸方向へ向けた支持軸3を取り付け、その支持軸3に沿って撮像光学系2を移動可能に取り付ける。撮像光学系2を光軸方向へ移動させるアクチュエータ10としては、圧電素子10aの伸縮により往復移動する駆動軸10bを備えたものが用いられる。このアクチュエータ10は、撮像光学系2を光軸方向へ移動させる第三アクチュエータとして機能するものである。圧電素子10aが第二移動部材5に取り付けられ、駆動軸10bが撮像光学系2に摩擦係合部22で摩擦係合される(図4参照)。駆動軸10bの一端は、圧電素子10aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この駆動軸10bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより駆動軸10bを撮像光学系2のホルダ2aに一定の押圧力で圧接した状態とし、駆動軸10bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように駆動軸10bが移動することにより、慣性により撮像光学系2の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ駆動軸10bが移動すると、撮像光学系2もその逆方向へ移動する。このような駆動軸10bの往復移動を繰り返すことにより、第二移動部材5に対し相対的に撮像光学系2を移動させることができる。圧電素子10aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が制御部(図示なし)から入力される。これにより、駆動軸10bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
このように、撮像光学系2を第二移動部材5に対し光軸方向へ移動可能に取り付けることにより、第二移動部材5に対し撮像光学系2のみを光軸方向へ移動させてフォーカシングを行うことができる。このため、手振れ補正機構全体を移動させてフォーカシングを行う必要がない。従って、フォーカシングによって移動する部品が小さくなるため、手振れ補正機構を小さく構成することができる。
撮像素子14は、撮影光学系2により結像された像を電気信号に変換する撮像手段であり、撮像素子ホルダ13に固定して取り付けられている。この撮像素子14としては、例えばCCDセンサが用いられる。
本実施形態に係る撮像装置は、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6、第一移動部材11を備えている。第一アクチュエータ8は、光軸方向と直交する第一方向(ヨー方向)Xに撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させるアクチュエータである。この第一アクチュエータ8は、例えば、圧電素子8aの伸縮により往復移動する駆動軸8bを備えたものが用いられる。駆動軸8bは、第一方向Xに向けて配置されている。圧電素子8aは、撮像素子14が固定される撮像素子ホルダ13に取り付けられている。駆動軸8bは、第一移動部材11に摩擦係合部21で摩擦係合されている(図4参照)。駆動軸8bの一端は、圧電素子8aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この駆動軸8bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより駆動軸8bを第一移動部材11に一定の押圧力で圧接された状態とし、駆動軸8bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように駆動軸8bが移動することにより、慣性により第一移動部材11の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ駆動軸8bが移動すると、第一移動部材11もその逆方向へ移動する。このような駆動軸8bの往復移動を繰り返すことにより、撮像素子14に対し第一移動部材11を第一方向Xに沿って移動させることができ、撮像素子14に対し相対的に撮像光学系2を第一方向Xに移動させることができる。圧電素子8aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が制御部(図示なし)から入力される。これにより、駆動軸8bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
なお、第一アクチュエータ8は、圧電素子8aを第一移動部材11側に取り付け、駆動軸8bを撮像素子ホルダ13に摩擦係合させて構成する場合もある。
第二アクチュエータ6は、光軸方向と直交する第二方向(ピッチ方向)Yに撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させるアクチュエータである。この第二アクチュエータ6と第一アクチュエータ8は、撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させる駆動手段として機能するものである。
第二方向Yは、光軸方向と直交し第一方向Xと交差する方向であり、例えば第一方向Xと直交する方向に設定される。この第二アクチュエータ6は、例えば、圧電素子6aの伸縮により往復移動する駆動軸6bを備えたものが用いられる。駆動軸6bは、第二方向Yに向けて配置されている。圧電素子6aは、第二移動部材5に取り付けられている。駆動軸6bは、第一移動部材11に摩擦係合部20で摩擦係合されている(図2参照)。駆動軸6bの一端は、圧電素子6aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この駆動軸6bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより駆動軸6bを第一移動部材11に一定の押圧力で圧接された状態とし、駆動軸6bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように駆動軸6bが一方向に移動することにより、慣性により第二移動部材5の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ駆動軸6bが移動しようとすると、駆動軸6bは摩擦力によって静止したまま、第二移動部材5が一方向へ移動する。このような駆動軸6bの往復移動を繰り返すことにより、撮像素子14に対し第二移動部材5を第二方向Yに沿って移動させることができ、撮像素子14に対し相対的に撮像光学系2を第二方向Yに移動させることができる。圧電素子6aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が制御部(図示なし)から入力される。これにより、駆動軸6bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
第一移動部材11には、上述した摩擦係合によって第二アクチュエータ6が取り付けられている。このため、第一アクチュエータ8の作動により第一移動部材11が第一方向Xに移動することによって第二アクチュエータ6も第一方向Xへ移動することとなる。
なお、第二アクチュエータ6は、圧電素子6aを第一移動部材11側に取り付け、駆動軸6bを第二移動部材5に摩擦係合させて構成する場合もある。
撮像装置には、位置検出用磁石9、ホール素子15が設けられている。位置検出用磁石9は、第二移動部材5に取り付けられた磁石であり、ホール素子15で検出できるだけの磁界を発生するものであれば足りる。ホール素子15は、位置検出用磁石9から発生する磁界の状態に基づいて撮像素子14と撮像光学系2の光軸方向と直交する方向に対する相対位置を検出する磁気センサであり、例えば、基板17に取り付けられる。このホール素子15は、光軸方向と直交する二方向の相対位置を検出可能なものが用いられ、例えば二つの素子を備えるものが用いられる。基板17は、撮像素子ホルダ13に取り付けられる配線基板であり、例えばL字形に屈曲されて用いられる。この基板17には、圧電素子6a、8a、10aのリード線がそれぞれ基板17に取り付けられている。
撮像装置には、フォトインタラプタ16が設けられている。フォトインタラプタ16は、撮像光学系2の位置検出を行う位置検出センサである。フォトインタラプタ16は、基板17に取り付けられ、撮像光学系2の近傍位置に配置される。フォトインタラプタ16は、発光部と受光部を備え、発光部と受光部の間を通過する移動片2bの位置検出を通じて、撮像光学系2の光軸方向の位置を検出する。移動片2bは、撮像光学系2のホルダ2aに形成され、撮像光学系2と一体となって移動する部材である。
撮像装置は、上カバー1を備えている。上カバー1は、撮像部及び手振れ補正機構を収容する撮像素子ホルダ13の開口部分を被うカバーであり、被写体像を入射するための開口部1aを形成している。
図2に示すように、第一移動部材11は、第一支持軸12により第一方向Xに沿って移動可能に支持されている。第一支持軸12は、第一方向Xに向けて配置される軸部材であって、撮像素子ホルダ13に取り付けられている。この第一支持軸12は、第一移動部材11の軸受け部11aを貫通して設けられている。これにより、第一移動部材11は、第一支持軸12によって撮像素子14に対し第一方向Xのみに移動するように支持されている。
第一支持軸12は、撮像光学系2に対し第一アクチュエータ8側に配置されている。すなわち、第一支持軸12は、撮像光学系2を挟んで第一アクチュエータ8の反対側に配置されているのではなく、第一アクチュエータ8側へ配置されている。このため、第一アクチュエータ8による移動機構と第一支持軸12による支持機構をまとめてコンパクトに構成することができる。
第二移動部材5は、第二支持軸7により第二方向Yに沿って移動可能に支持されている。第二支持軸7は、第二方向Yに向けて配置される軸部材であって、第二移動部材5に取り付けられている。この第二支持軸7は、第一移動部材11の軸受け部11bを貫通して設けられている。これにより、第二移動部材5は、第二支持軸7によって第一移動部材11に対し第二方向Yのみに移動するように支持されている。
第二支持軸7は、撮像光学系2に対し第二アクチュエータ6側に配置されている。すなわち、第二支持軸7は、撮像光学系2を挟んで第二アクチュエータ6の反対側に配置されているのではなく、第二アクチュエータ6側へ配置されている。このため、第二アクチュエータ6による移動機構と第二支持軸7による支持機構をまとめてコンパクトに構成することができる。
第一アクチュエータ8と第二アクチュエータ6は、T字状に配置することが好ましい。第一アクチュエータ8及び第二アクチュエータ6は、その一方の中間部分に他方の先端部分を向けてT字状に組み合わされて設置されている。例えば、第一アクチュエータ8の中間部分に第二アクチュエータ6の先端部分を向けてT字状に組み合わされている。
これにより、第一アクチュエータ8と第二アクチュエータ6の駆動軸8b、6bを近接して配置することができる。このため、駆動軸8b及び駆動軸6bの双方と係合する第一移動部材11を小さく構成することができる。従って、撮像装置の小型化を図ることができる。
なお、ここでいうT字状とは、第一アクチュエータ8及び第二アクチュエータ6が完全なT字型に組み合わされる場合のみならず、ほぼT字状に組み合わされる場合も含むものである。例えば、第一アクチュエータ8及び第二アクチュエータ6の一方の中間部分に他方の先端部分が向けられている場合において、その中間部分と先端部分に所定のスペースがある場合、またはその中間部分の中央から外れた位置に先端部分が向けられている場合などであってもよい。これらの場合であっても、駆動軸8b及び駆動軸6bの双方と係合する第一移動部材11を小さく構成することができ、撮像装置の小型化を図ることができる。
図5は、本実施形態に係る撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。図6は、本実施形態に係る撮像装置における手ぶれ補正回路の概要図である。
図5に示すように、本実施形態に係る撮像装置は、第一制御部30、ジャイロセンサ50及び第二制御部40を備えている。第一制御部30は、撮像光学系2と撮像素子14の光軸方向と直交する方向における相対移動を制御して手ぶれ補正を行う制御手段として機能するものである。この第一制御部30は、例えばCPU、ドライバチップを内蔵するLSI(Large Scale Integration)などにより構成される。ジャイロセンサ50は、手ぶれ量を検出する手ぶれ検出センサとして機能するものである。このジャイロセンサ50は、防振ユニットの外部、すなわち撮像素子ホルダ13の外部に配置されている。
第一制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1xとホール素子15の検出信号S2xを入力し、第一アクチュエータ8に駆動制御信号Sxを出力する。ジャイロセンサ50の検出信号S1xは、第一方向X(X方向)の手振れ量に関する検出信号である。ホール素子15の検出信号S2xは、第一方向Xにおける撮像素子14と撮像光学系2の相対位置に関する検出信号である。
また、第一制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1yとホール素子15の検出信号S2yを入力し、第二アクチュエータ6に駆動制御信号Syを出力する。ジャイロセンサ50の検出信号S1yは、第二方向Y(Y方向)の手振れ量に関する検出信号である。ホール素子15の検出信号S2yは、第二方向Yにおける撮像素子14と撮像光学系2の相対位置に関する検出信号である。
例えば、図6に示すように、第一制御部30内には、差動増幅器31を用いた手ぶれ補正回路が設けられている。この手ぶれ補正回路は、X方向の手振れ補正を行うものとY方向の手振れ補正を行うものの二つが設けられる。X方向の手振れ補正回路は、ジャイロセンサ50の検出信号S1xとホール素子15の検出信号S2xの差分に応じて第一アクチュエータ8に駆動制御信号Sxを出力する。Y方向の手振れ補正回路は、ジャイロセンサ50の検出信号S1yとホール素子15の検出信号S2yの差分に応じて第二アクチュエータ6に駆動制御信号Syを出力する。これにより、手ぶれ量と撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の差分を減少させて、手ぶれ補正が行われることとなる。
ジャイロセンサ50の検出信号S1x、S1yは、積分回路32により積分処理して差動増幅器31に入力することが好ましい。また、ホール素子15の検出信号S2x、S2yは、アンプ回路33により増幅処理してから差動増幅器31に入力することが好ましい。
図5において、第二制御部40は、撮像光学系2の光軸方向へ移動を制御する制御手段として機能するものである。この第二制御部40は、例えばオートフォーカス用ICやマイコンなどにより構成される。第二制御部40は、図示しない測距装置により被写体までの距離情報を取得し、その距離情報とフォトインタラプタ16の検出信号に基づいてアクチュエータ10に駆動制御信号を出力し、撮像光学系2を移動制御する。
図7に第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に入力される信号波形の一例を示す。
図7(A)は、摩擦係合される部材を圧電素子6a、8aに接近させる方向に移動させる際に入力される信号(正転時の信号)であり、図7(B)は、摩擦係合される部材を圧電素子6a、8aから離間させる方向に移動させる際に入力される信号(逆転時の信号)である。図7(A)、(B)において、それぞれの二つのパルス信号Aout、Boutは、圧電素子6a、8aの二つの端子に入力される信号であり、上述した駆動制御信号Sx、Syを構成する信号である。これらのパルス信号の電圧差が大きいほど圧電素子6a、8aの伸長量が大きくなり、その電圧差が変動することにより圧電素子6a、8aが伸縮する。
これらの図7(A)、(B)の信号は、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動時における信号である。1パルスごとの信号が連続して第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に入力されることにより、連続駆動が行われることとなる。
一方、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の休止時における信号は、図示していないが、圧電素子6a、8aの二つの端子に入力される電圧差がゼロとなる信号である。また、電圧差がゼロとなる休止時の入力信号は、図7(A)、(B)に示す駆動時の入力信号における1パルスの周期時間以上の長い時間で電圧差がゼロとなる信号とすることが好ましい。
なお、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に入力される信号は、図7に示すものに限られるものではなく、パルス信号でなく鋸歯波状の信号や三角波状の信号などであってもよい。
次に、本実施形態に係る撮像装置における手ぶれ補正時の動作について説明する。
図5において、撮像装置を用いて撮影を行う際に手振れが生じている場合には、ジャイロセンサ50が手振れ量を検出し、手振れの検出信号S1を第一制御部30に出力する。第一制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1とホール素子15の検出信号S2に基づいて撮像素子14に撮像される画像がぶれないように第一アクチュエータ8及び第二アクチュエータ6に対し駆動制御信号を出力する。
第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6を駆動させて撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させる場合には、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間に第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6の駆動と休止を繰り返させるように駆動制御が行われる。
例えば、ホール素子15の検出信号S2を読み込んで撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認した時から次の確認を行う時の間において、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に駆動状態と休止状態を繰り返させるように駆動制御が行われる。これにより、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6における圧電素子8a、6aは、駆動状態において伸縮動作を連続的に行い、休止状態において伸縮動作が停止される。
このような駆動制御を行った場合、図8に示すように、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量は、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動状態のときに移動量が増加し、休止状態のときに移動量が変動しないこととなる。このため、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量が段階的に増加することとなるが、期待値(手ぶれ補正を抑制するための理想的な移動量)に近い移動量となる。従って、手ぶれ補正が適切に行える。
これに対し、図9に示すように、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間に第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6の駆動と休止を行うが、その繰り返しを行わない場合には、実際の相対移動量が期待値から大きくズレることとなる。例えば、移動確認時から所定時間に駆動状態とし、その後を休止状態とすると、駆動状態の時に大きく移動することとなり期待値から大きく外れてしまう。本実施形態に係る撮像装置では、図8のように駆動状態と休止状態を繰り返すことにより、移動量が徐々に増加していくので期待値に沿った形で撮像光学系2と撮像素子14の相対移動が行える。
また、期待値が曲線である場合には、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間において繰り返される第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6の駆動の時間又は休止の時間を異ならせて第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6を駆動制御することが好ましい。例えば、手振れのブレ量の変化は、正弦波的に変化することが多い。このような場合、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の時間的変化が正弦波状となるように第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6を駆動制御することが好ましい。
例えば、図10に示すように、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間において繰り返される第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6の駆動時間を異ならせることにより、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を曲線状に変化させることができる。このため、期待値に沿った形で撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を変化させることができ、適切な手振れ補正が行える。特に、手振れの振動変化は正弦波状となることが多いため、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を正弦波状に変化させることにより、適切な手振れ補正が行える。なお、ここでいう正弦波状とは、完全な正弦波のみならず、ほぼ正弦波状のものも含むものである。
これに対し、図11に示すように、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間において繰り返される第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6の駆動時間を同じ時間とすると、実際の相対移動量が期待値から大きく外れてしまう。本実施形態に係る撮像装置では、図10のように駆動状態の時間又は休止状態の時間を手振れ量の変化(期待値)に応じて異ならせることにより、期待値に沿った形で撮像光学系2と撮像素子14の相対移動が行える。
また、図12に示すように、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間を複数の期間に分割し、その分割した期間における駆動量を異ならせることにより、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を曲線状、正弦波状に変化させてもよい。例えば、1ms期間に2μm駆動させるために、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に24パルス入力する必要がある場合、四分割した期間において一分割目から四分割目までそれぞれ8パルスを連続して入力すると、直線的に駆動することとなる(図12の破線)。これに対し、一分割目を12パルス、二分割目を10パルス、三分割目を6パルス、四分割目を3パルスを入力して駆動量を異ならせることにより、正弦波状、すなわち曲線状に駆動することができる。
このような駆動に必要なパルス数は、後述する第五補正式を用いて算出することができる。すなわち、1ms期間に2μm駆動させたい場合であって前回125ms以上同方向に駆動していたときには、第五補正式を用いて必要なパルス数は、−1.31525・2・2+13.84152・2+1.369045+0=24パルスと算出される。
そして、直線状に1ms期間内に四分割し2μm移動させる場合には、0.5μmを4回移動させることとなる。このため、必要なパルス数は、−1.31525・0.5・0.5+13.84152・0.5+1.369045+0=8パルスとなり、8パルスで4回駆動させることとなる。
一方、正弦波状に1ms期間内に四分割し2μm移動させる場合には、一分割目の必要なパルス数は、−1.31525・(0.874155)2+13.84152・0.874155+1.369045+0=12パルスとなる。また、二分割目の必要なパルス数は、−1.31525・(0.625)2+13.84152・0.625+1.369045+0=10パルスとなる。また、三分割目の必要なパルス数は、−1.31525・(0.3758446)2+13.84152・0.3758446+1.369045+0=6パルスとなる。さらに、四分割目の必要なパルス数は、−1.31525・(0.125)2+13.84152・0.125+1.369045+0=3パルスと算出することができる。
ところで、第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6の駆動による撮像光学系2と撮像素子14を相対移動制御は、撮像装置の手振れ状態に応じて行われるが、その手振れ量に応じて相対移動速度を変化させる際に、複数の第一アクチュエータ8又は第二アクチュエータ6の駆動パターンを用いて駆動制御を行うことが好ましい。
例えば、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間において、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を連続的に駆動させる第一駆動パターンと、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を休止状態、駆動状態、休止状態とする第二駆動パターンと、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を休止と駆動を複数回繰り返させて駆動させる第三駆動パターンとを組み合わせて、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動制御することが好ましい。
第一駆動パターンは、図13に示すように、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の圧電素子6a、8aの伸縮を連続的に行って休止することなく駆動させる駆動パターンである。この第一駆動パターンは、撮像光学系2と撮像素子14の高速移動に適している。なお、この図13などにおいて、駆動開始から所定時間において移動量が増加していないのは、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に駆動制御信号を入力してから数パルスの間は撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量が小さいことを考慮して図示したためである。
第二駆動パターンは、図14に示すように、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を休止状態、駆動状態、休止状態として駆動する駆動パターンであり、撮像光学系2と撮像素子14の中速移動に適している。
第三駆動パターンは、図8、10に示すように、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動状態、休止状態を複数繰り返して駆動する駆動パターンであり、撮像光学系2と撮像素子14の低速移動や移動速度が変化する場合に適している。
第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動動作させる際に、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動特性に応じて単位時間あたりの駆動量を補正することが好ましい。これにより、撮像光学系2と撮像素子14の移動制御の正確性が向上する。
この駆動量の補正は、撮像装置の設計時など予め検出した駆動特性を第一制御部30の駆動制御に組み入れても行ってもよいし、撮像装置の製造時に検出した駆動特性を第一制御部30の駆動制御に組み入れて行ってもよいし、撮像装置の電源投入の際に第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動させて駆動特性を検出し、その検出した駆動特性を第一制御部30の駆動制御に組み入れて行ってもよい。
撮像装置の製造時に検出した駆動特性を第一制御部30の駆動制御に組み入れて駆動量の補正を行う場合には、撮像装置ごとの駆動特性のバラツキを吸収して第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動動作させることができ、より正確な撮像光学系2と撮像素子14の相対移動制御が行える。
撮像装置の電源投入の際に検出した駆動特性を第一制御部30の駆動制御に組み入れて駆動量の補正を行う場合には、ホール素子などの電気部品の温度特性など撮像装置の使用環境における駆動特性のバラツキを吸収して第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動動作させることができ、より正確な撮像光学系2と撮像素子14の相対移動制御が行える。
この場合、図15に示すように、撮像装置の電源投入の際に第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を正転及び逆転させて撮像光学系2を往復移動させる。そのときの移動状態をホール素子15で検出し、その検出結果に基づいて第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動特性を検出する。
第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動量を補正は、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の同一方向への連続駆動時間が長いほど単位時間あたりの駆動パルス入力数を少なくするように行うことが好ましい。第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動特性として、図16に示すように、同一方向への連続駆動時間が長いほど撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量が大きくなる傾向がある。このため、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の同一方向への連続駆動時間が長いほど単位時間あたりの駆動パルス入力数を少なくするように駆動量を補正することにより、正確な移動制御が行える。
また、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動方向の逆転を行う場合には、反転のパルス加算分を加算して単位時間あたりの駆動パルス数を増加させることが好ましい。
駆動量の補正は、例えば第一制御部30に同一方向の駆動時間ごとに駆動量の補正式又は補正テーブルを複数設定し、駆動時間ごとに異なる補正式又は補正テーブルを用いて単位時間あたりの駆動パルス数を算出して行えばよい。また、逆転駆動の補正は、例えば第一制御部30に逆転駆動の場合の補正式又は補正テーブルを設定し、逆転駆動する場合には異なる補正式又は補正テーブルを用いて単位時間あたりの駆動パルス数を算出して行えばよい。
上述したように、ジャイロセンサ50の検出信号S1とホール素子15の検出信号S2に基づいて第一アクチュエータ8及び第二アクチュエータ6を駆動制御することにより、 第一アクチュエータ8及び第二アクチュエータ6において、圧電素子8a、6aの伸長速度と収縮速度が異なるように作動し、駆動軸8b、6bが繰り返し往復移動する。第一アクチュエータ8の駆動により撮像素子14に対して第一移動部材11が第一方向Xへ移動し、第二アクチュエータ6の駆動により第一移動部材11に対し第二移動部材5と共に撮像光学系2が第二方向Yへ移動し、撮像素子14と撮像光学系2が相対的に移動する。
これにより、撮像装置に手振れが生じても、撮像素子14と撮像光学系2が相対的に移動制御され、撮像素子14の撮像画像の手振れが抑制される。
図17は、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動量パルス数補正処理のフローチャートである。この駆動量パルス数補正処理は、第一制御部30によって繰り返し実行され、例えば1msの期間内のパルス数を演算する際に行われる。
図17のS10に示すように、前回駆動方向の読み込みが行われる。この前回駆動方向の読み込みは、例えば、正転駆動方向の場合に1、逆転駆動方向の場合に2、停止状態の場合に0が格納される駆動方向フラグを読み取ることにより行われる。
そして、S12に移行し、同方向継続駆動回数の読み込みが行われる。例えば正転駆動方向の状態が40回継続しているときには、同方向継続駆動回数として40が読み込まれる。そして、S14に移行し、今回の駆動方向及び駆動量の算出処理が行われる。今回の駆動方向及び駆動量の算出処理は、今回の駆動方向とその基本となる駆動量を算出する処理であり、ジャイロセンサ50の検出信号S1x、S1yとホール素子15の検出信号S2x、S2yに基づいて算出される。
そして、S16に移行し、前回駆動方向が停止状態であったか否かが判断される。このS16にて前回駆動方向が停止状態であったと判断された場合は、駆動パルス数の補正式として第一補正式が選択される(S20)。第一補正式は、次の式(1)で示されるように、駆動量の二次式である補正式が用いられる。
Y=a・X2+b・X+c …(1)
この式(1)において、Yが1ms期間内のパルス数、Xが駆動量[μm]、a、b及びcは定数である。第一補正式においては、例えばaが−3.02318、bが24.64697、cが4.972353とされる。
S16にて前回駆動方向が停止状態でないと判断された場合は、今回の駆動方向が前回と同方向であるか否かが判断される(S18)。S18にて今回の駆動方向が前回と同方向でないと判断された場合には、駆動パルス数の補正式として第一補正式が選択され(S22)、さらにその第一補正式に対しパルス加算が行われる(S24)。パルス加算処理は、駆動方向が逆転する際に移動の勢いを付けるために通常よりパルス数を増加させる処理である。パルスの加算数は、予め第一制御部30に設定されるものが用いられる。例えば、前回停止状態から駆動開始する場合であって1msで2μm駆動させる場合、第一補正式によりパルス数を算出すると、−3.02318×2×2+24.64697×2+4.972353=42パルスとなる。これに対し、駆動方向を逆転して駆動する場合であって1msで2μm駆動させる場合、第一補正式により算出されるパルス数に逆転時のパルス加算(10パルス)を行い、−3.02318×2×2+24.64697×2+4.972353+10=52パルスとなる。
ところでS18にて今回の駆動方向が前回と同方向であると判断された場合には、同方向の継続駆動回数に1が加算され(S26)、継続駆動回数が125回以上であるか否かが判断される(S28)。S28にて継続駆動回数が125回以上でないと判断された場合は、継続駆動回数が75回以上であるか否かが判断される(S30)。
S30にて継続駆動回数が75回以上でないと判断された場合は、継続駆動回数が37回以上であるか否かが判断される(S32)。S32にて継続駆動回数が37回以上でないと判断された場合は、駆動パルス数の補正式として第二補正式が選択される(S34)。第二補正式は、式(1)の補正式を用いたものであり、第一補正式より駆動パルス数を少なく算出するものである。この第二補正式においては、例えばaが−2.1228、bが19.98213、cが3.730666とされる。
S32にて継続駆動回数が37回以上であると判断された場合は、駆動パルス数の補正式として第三補正式が選択される(S36)。第三補正式は、式(1)の補正式を用いたものであり、第二補正式より駆動パルス数を少なく算出するものである。この第三補正式においては、例えばaが−1.78803、bが17.04244、cが2.501763とされる。
S30にて継続駆動回数が75回以上であると判断された場合は、駆動パルス数の補正式として第四補正式が選択される(S38)。第四補正式は、式(1)の補正式を用いたものであり、第三補正式より駆動パルス数を少なく算出するものである。この第四補正式においては、例えばaが−1.40279、bが14.76191、cが1.845051とされる。
S28にて継続駆動回数が125回以上であると判断された場合は、駆動パルス数の補正式として第五補正式が選択される(S40)。第五補正式は、式(1)の補正式を用いたものであり、第四補正式より駆動パルス数を少なく算出するものである。この第五補正式においては、例えばaが−1.31525、bが13.38152、cが1.369045とされる。
そして、S42に移行し、1ms期間内のパルス数演算処理が行われる。このパルス数演算処理は、S20、22、34、36、38、40にて選択された補正式を用い、必要に応じてパルス加算(S24)を行って、パルス数を演算する処理である。S42のパルス数演算処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
以上のように、この駆動量パルス数補正処理によれば、図18に示すように、同一方向への継続駆動回数が多いほど単位時間あたりのパルス数を少なくし、同一方向への継続駆動回数が少ないほど単位時間あたりのパルス数を多くすることができる。これにより、単位時間あたりの移動量をより一定に近づけることができ、移動制御が精度良く行える。
また、この駆動量パルス数補正処理によれば、駆動方向が反転する場合には、駆動方向が反転しない場合と比べて駆動パルス数を多く設定する。このため、駆動方向の反転により動き出しが鈍い時に多くの駆動パルスを与えて第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動することにより、単位時間あたりの移動量をより一定に近づけることができ、移動制御が精度良く行える。
なお、上述した駆動量パルス数補正処理においては、駆動量に対する単位時間のパルス数を補正式により算出する場合について説明したが、テーブルを用いて算出してもよい。例えば、図19に示すように、移動させたい距離、すなわち単位時間の駆動量と同一方向の継続駆動時間に応じたテーブルを予め設定しておき、駆動量と継続駆動時間に応じて駆動に必要なパルス数を設定してもよい。
また、上述した駆動量パルス数補正処理は、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間に第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動と休止を繰り返して駆動制御する場合のみならず、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間に第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動と休止を繰り返さないで駆動制御する場合に適用してもよい。
また、上述した駆動量パルス数補正処理において、図17のS24のパルス加算処理で加算するパルス数を反転直前における単位時間あたりの駆動パルス数又は撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量に基づいて設定することが好ましい。例えば、図17のS24のパルス加算処理をパルス演算処理とする(図20参照)。この場合、パルス演算処理として、反転時のパルス加算数を反転直前時の駆動パルス数又は移動量に基づいて演算し、その演算したパルス加算数を駆動パルス数に加算する。
図21、22にパルス演算処理の処理内容を示したフローチャートである。
図21のパルス演算処理は、反転直前の単位時間あたり(前回の1msあたり)の駆動パルス数に応じてパルス加算数を演算する処理である。
まず図21のS50にて、前回の単位時間あたりの駆動パルス数が1〜10であったか否かが判断される。この判断は、反転直前となる前回の1msあたりの駆動パルス数が1〜10であったか否かを判断する処理である。S50にて前回の単位時間あたりの駆動パルス数が1〜10であると判断された場合には、パルス加算数が3パルスとして演算される(S52)。
一方、S50にて前回の単位時間あたりの駆動パルス数が1〜10でないと判断された場合には、前回の単位時間あたりの駆動パルス数が11〜20であるか否かが判断される(S54)。このS54にて前回の単位時間あたりの駆動パルス数が11〜20であると判断された場合には、パルス加算数が6パルスとして演算される(S56)。一方、S54にて前回の単位時間あたりの駆動パルス数が11〜20でない場合には、その駆動パルス数が21以上であると判断され、パルス加算数が10パルスとして演算される(S58)。そして、パルス演算処理の一連の制御処理を終了する。
このようなパルス演算処理によれば、反転直前時の単位時間あたりの駆動パルス数が多いほど反転時のパルス加算数が多く演算される。このため、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を期待値に沿わせることができ、適切な手振れ補正が行える。
例えば、図23(a)〜(c)に示すように反転前の移動量が小さい場合には加算パルス数を少ないし(例えば3パルス)、反転前の移動量が中程度の場合には加算パルス数を中程度とし(例えば6パルス)、反転前の移動量が大きい場合には加算パルス数を多くする(例えば10パルス)。
これにより、反転後の移動量が期待値に沿ったものとなる(図23(a)〜(c)中の太線の矢印参照)。従って、適切な手振れ補正が行える。
これに対し、反転時の加算パルス数を反転前の移動量に関わらず一定(例えば6パルス)とすると、図24に示すように、反転前の移動量が中程度の場合には反転後の移動量が期待値に沿うものとなるが(図24(b)参照)、反転前の移動量が小さい場合には反転後の移動量が大きすぎて期待値に沿わないものとなり(図24(a)参照)、反転前の移動量が大きい場合には反転後の移動量が小さすぎて期待値に沿わないものとなる(図24(c)参照)。従って、適切に手振れ補正が行えない。
図22のパルス演算処理は、反転直前の単位時間あたり(前回の1msあたり)の撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量に応じてパルス加算数を演算する処理である。
まず図22のS60にて、前回の単位時間あたりのホール素子出力変化量が1〜11であったか否かが判断される。この判断は、反転直前となる前回の1msあたりのホール素子15の出力変化量が1〜11であったか否かを判断する処理である。ホール素子15の出力変化量は、10ビットのA/D値で示している。S60にて前回の単位時間あたりのホール素子出力変化量が1〜11である判断された場合には、パルス加算数が3パルスとして演算される(S62)。
一方、S60にて前回の単位時間あたりのホール素子出力変化量が1〜11でないと判断された場合には、前回の単位時間あたりのホール素子出力変化量が12〜23であるか否かが判断される(S64)。このS64にて前回の単位時間あたりのホール素子出力変化量が12〜23であると判断された場合には、パルス加算数が6パルスとして演算される(S66)。一方、S64にて前回の単位時間あたりのホール素子出力変化量が12〜23でない場合には、そのホール素子出力変化量が24以上であると判断され、パルス加算数が10パルスとして演算される(S68)。そして、パルス演算処理の一連の制御処理を終了する。
このようなパルス演算処理によれば、反転直前時の単位時間あたりのホール素子出力変化量が大きいほど反転時のパルス加算数が多く演算される。このため、上述したパルス演算処理と同様に、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を期待値に沿わせることができ、適切な手振れ補正が行える。
以上のように、本実施形態に係る撮像装置によれば、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間に第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動と休止を繰り返して駆動制御することにより、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を確認してから次に確認するまでの間において撮像光学系2と撮像素子14の相対的な移動位置を細かく制御することができる。このため、撮像光学系2と撮像素子14の相対的な位置関係を所望の位置関係に近づけることができ、高精度な移動制御が行える。
また、本実施形態に係る撮像装置において、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動特性に応じて単位時間あたりの駆動量を補正することにより、撮像光学系と撮像素子の移動制御の正確性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る撮像装置において、電源投入の際に第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動させて駆動特性を検出し、その検出された駆動特性に応じて単位時間あたりの駆動量を補正することにより、撮像装置に内蔵されるホール素子などの電気部品の温度特性など撮像装置の使用環境における駆動特性のバラツキを吸収して駆動手段を駆動動作させることができる。従って、より正確な撮像光学系と撮像素子の相対移動制御が行える。
また、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の確認時と確認時の間において繰り返される第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6の駆動時間又は休止時間を異ならせて第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動制御することにより、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動速度を変化させることできる。このため、第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を手ぶれ補正の駆動に用いる場合、手ぶれの速度が正弦波的に変化する場合などに対応することができ、適切な手ぶれ補正が行える。
その際、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の時間的変化を正弦波状とすることにより、手振れ振動に応じた手振れ補正となるため、適切な手振れ補正が行える。
また、本実施形態に係る撮像装置によれば、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動において同一方向の継続駆動が長いほど第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に入力する単位時間あたりの駆動パルス数を少なくする。このため、単位時間あたりの撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を目標値(期待値)に近づけることができ、移動制御が精度良く行える。
また、本実施形態に係る撮像装置によれば、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動においてその移動方向が反転する場合に、移動方向が反転しない場合と比べて第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6に入力する単位時間あたりの駆動パルス数を多くする。このため、移動方向の反転により動き出しが鈍い時に多くの駆動パルスを与えて第一アクチュエータ8、第二アクチュエータ6を駆動させることができ、単位時間あたりの移動量をより目標値(期待値)に近づけることができる。従って、移動制御が精度良く行える。
更に、本実施形態に係る撮像装置によれば、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動においてその移動方向が反転する場合に、その反転直前の相対移動量に応じて反転後の駆動パルス数の加算数を設定することにより、撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量を目標値(期待値)に近づけることができる。このため、適切な手ぶれ補正が行える。
なお、上述した実施形態は本発明に係る撮像装置の一例を示すものである。本発明に係る撮像装置は、これらの実施形態に係る撮像装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る撮像装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、本実施形態では、手振れ補正機構として手振れに応じて撮像素子14に対して撮像光学系2を移動させるものについて説明したが、撮像光学系2に対し撮像素子14を移動させるものであってもよい。この場合であっても、上述した実施形態に係る撮像装置と同様な作用効果が得られる。
また、本実施形態では、撮像装置のアクチュエータとして圧電素子を用いたものを採用しているが、モータなどの他の駆動部品を用いたものを採用してもよい。さらに、本実施形態では、撮像光学系2と撮像素子14を光軸方向と直交する方向に相対移動させて手振れ補正機構に適用した場合について説明したが、撮像光学系2と撮像素子14を光軸方向に相対移動させて撮像光学系2の変倍調整機構に適用してもよい。
1…上カバー、2…撮像光学系、3…支持軸、4…ボール、5…第二移動部材、6…第二アクチュエータ、7…第二支持軸、8…第一アクチュエータ、9…位置検出用磁石、10…アクチュエータ、11…第一移動部材、12…第一支持軸、13…撮像素子ホルダ、14…撮像素子、15…ホール素子、16…フォトインタラプタ、17…基板、20、21、22…摩擦係合部、30…第一制御部、40…第二制御部、50…ジャイロセンサ。