JP2014081432A - アクチュエータ、レンズユニット、及びカメラ - Google Patents

アクチュエータ、レンズユニット、及びカメラ Download PDF

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Abstract

【課題】作業員の作業精度の影響を受けることなく、フレキシブル基板の反発力を低減し、シフト可動部の正確な制御が可能なアクチュエータを提供する。
【解決手段】アクチュエータ10は、駆動用コイルと、対応するコネクタとの間をそれぞれ通信可能に接続する2つ以上のフレキシブル基板30aと、を備え、フレキシブル基板30aは、駆動用コイルに接続されるコイル側接続部30a1と、接続部30a1に連続して補正用レンズの周方向に延びる周方向部30a2と、周方向部30a2に対して屈曲し、補正用レンズの光軸に略平行に延びる軸方向部30a3と、軸方向部30a3に連続して先端がコネクタに接続されるコネクタ側接続部と、を有し、さらに、フレキシブル基板30aは、周方向部30a4のコイル側接続部30a1と反対側の端部から、周方向部30a4の延長方向に延びる突出部30a5を有し、突出部30a5は、光軸に対して径方向外側の面の一部が第1固定枠部材20の柱部20aに当接している。
【選択図】図7

Description

本発明は、撮像用レンズの像振れ補正用レンズをその光軸に直交する平面内で並進移動または回転移動させ、像振れを防止するためのアクチュエータ、このアクチュエータを用いたレンズユニット及びカメラに関する。
像振れを防止するために、像振れ補正アクチュエータ(以下、アクチュエータという)により像振れ補正用レンズをその光軸に直交する平面内で並進移動させるいわゆる手振れ補正機構を備えたレンズユニットが用いられている。このような像振れ補正用レンズを移動させるためのアクチュエータとして、例えば、特許文献1には、固定部と、この固定部に対して移動可能に支持されたシフト可動部と、シフト可動部に取り付けられた像振れ補正用のレンズと、固定部に埋め込まれた複数の駆動用磁石、及びシフト可動部の複数の駆動用磁石に対応する位置に設けられた駆動用コイルからなる駆動手段と、を備えたアクチュエータが開示されている。
特許文献1に記載されたアクチュエータでは、固定部に固定されたマイコン(マイクロコンピュータ)により、像振れを補正するために必要なシフト可動部の移動量を決定し、この移動量に応じた制御信号を送信している。このような制御信号は、一方が固定部に接続され、他方がシフト可動部に接続されたフレキシブル基板を介してマイコンから駆動用コイルに送信される。しかしながら、このように固定部とシフト可動部とを結ぶようにフレキシブル基板を設けると、このフレキシブル基板による反発力によりシフト可動部の移動の正確な制御が困難になる。
そこで、特許文献1に記載されたアクチュエータでは、フレキシブル基板に、90°に屈曲する部分を設けることにより、フレキシブル基板の反発力を低減することが開示されている。
特開2001―100074号公報
しかしながら、上記のようなアクチュエータを製造する際に、フレキシブル基板の折り曲げ作業は作業員が手作業で行っている。このため、折り曲げ精度にばらつきが生じてしまい、反発力の低減効果にばらつきが生じてしまい、シフト可動部の移動の正確な制御に影響を及ぼしてしまうという問題があった。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、作業員の作業精度の影響を受けることなく、フレキシブル基板の反発力を低減し、シフト可動部の正確な制御が可能なアクチュエータを提供することを目的とする。
本発明のアクチュエータは、撮像用レンズの一部である像振れ補正用レンズをその光軸に直交する平面内で並進移動または回転移動させ、像振れを防止するためのアクチュエータであって、固定部と、補正用レンズが取り付けられた可動部と、この可動部を、固定部に対して平行な平面上で移動できるように支持する可動部支持手段と、可動部の補正用レンズの周囲に取り付けられた3つの駆動用コイル、及び3つの駆動用コイルのそれぞれに対応するように固定部に取付けられた3つの駆動用磁石からなり、可動部を固定部に対して並進移動または回転移動させる駆動手段と、3つの駆動用コイルに、可動部の移動量に応じた位置指令信号を送信する制御手段と、固定部上に3つの駆動用コイルに対応して設けられ、制御手段と通信可能な1つ以上のコネクタと、駆動用コイルと、対応するコネクタとの間をそれぞれ通信可能に接続する1つ以上のフレキシブル基板と、を備え、フレキシブル基板は、駆動用コイルに接続されるコイル側接続部と、接続部に連続して補正用レンズの周方向に延びる周方向部と、周方向部に対して屈曲し、補正用レンズの光軸に略平行に延びる軸方向部と、軸方向部に連続して先端がコネクタに接続されるコネクタ側接続部と、を有し、さらに、フレキシブル基板は、周方向部のコイル側接続部と反対側の端部から、ないしは、軸方向部の周方向の縁部の少なくとも一方から周方向部の延長方向に延びる突出部を有し、突出部は、光軸に対して径方向外側の面の一部が固定部の一部に当接している、ことを特徴とする。
上記構成の本発明によれば、フレキシブル基板の周方向部は、一方に連続するコイル側接続部が駆動用コイルに接続されるとともに、他方に連続する突出部が固定部の一部により支持される。これにより、周方向部及びの一部を、所望の湾曲形状に保持することができるため、移動部が移動した際に移動部に作用するフレキシブル基板の反発力を低減することができる。このため、従来のように、フレキシブル基板の反発力を低減する部分を作業員の手作業により作成することがなくなり、作業員の作業精度の影響を受けることなく、フレキシブル基板の反発力を低減することができる。
本発明において、好ましくは、突出部は、フレキシブル基板の一部が、周方向部のコイル側接続部と反対側の端部から、周方向部に連続して延びるように成形されることにより構成されている。
上記の構成の本発明によれば、フレキシブル基板の周方向部及び突出部が一体となって円弧状に保たれる。このため、フレキシブル基板における円弧状に保持される部分の長さを長く確保することができ、フレキシブル基板の反発力をより効率よく低減することができる。
また、本発明において、好ましくは、突出部は、周方向部から連続して、コイル接続部と周方向反対側に向かって延び、折り返されて軸方向部の周方向の縁部に接続される折り返し部により構成され、折り返し部により周方向部と、軸方向部との間が接続されている。
上記の構成の本発明によれば、フレキシブル基板の周方向部及び折り曲げ部の一部が一体となって円弧状に保たれる。このため、フレキシブル基板における円弧状に保持される部分の長さを長く確保することができ、フレキシブル基板の反発力をより効率よく低減することができる。
また、本発明において、好ましくは、フレキシブル基板は、さらに、周方向部から軸方向に凸となるように湾曲し、軸方向部と周方向部との間を接続する湾曲部を備える。
本発明において、好ましくは、固定部は、接眼側に配置された第1の固定枠部材と、第1の固定枠部材の対物側に配置され、第1の固定部材により支持された第2の固定枠部材とを備え、移動部は、第1の固定枠部材と第2の固定枠部材との間に配置されており、コネクタは第2の固定枠部材に取り付けられた回路基板上に設けられ、コネクタは、回路基板を介して制御手段と通信可能に接続されており、周方向部は移動枠の周囲に沿って延びており、軸方向部は、第2の固定部材に向かって延びており、湾曲部は、第1の固定枠部材に向かって凸になるように湾曲しており、かつ、その一部が第1の固定枠部材に当接している。
上記構成の本発明によれば、湾曲部の外周面が第1の固定枠部材に当接しているため、フレキシブル基板が軸方向に位置ずれすることを防止できる。
本発明のレンズユニットは、レンズ鏡筒と、このレンズ鏡筒の内部に収容された複数の撮像用レンズと、これら撮像用レンズの一部を前記可動部に取り付けた上記のアクチュエータと、を備えることを特徴とする。
また、本発明のカメラは、カメラ本体と上記のレンズユニットと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、作業員の作業精度の影響を受けることなく、フレキシブル基板の反発力を低減し、シフト可動部の正確な制御が可能なアクチュエータを提供できる。
第1の実施形態のアクチュエータを備えたカメラの構成を示す断面概略図である。 第1の実施形態のアクチュエータを示す斜視図である。 第1の実施形態のアクチュエータを示す分解斜視図である。 第1の実施形態のアクチュエータを示す縦断面図である。 第2の固定枠部材を取り外した状態のアクチュエータを示す斜視図である。 第2の固定枠部材を取り外した状態のアクチュエータを示す対物側正面図である。 図5におけるフレキシブル基板近傍の拡大斜視図である。 第1の実施形態で用いられるフレキシブル基板を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は正面図である。 (a)は、駆動用磁石が及ぼす磁場を示す断面図、(b)は駆動用磁石を示す斜視図である。 駆動用コイルと駆動用磁石の相対位置と、駆動用磁石が受ける駆動力との関係を示すグラフ(a)、及びグラフ中のb〜e点における駆動用コイルと駆動用磁石の相対位置(b)〜(e)を示す図である。 駆動用磁石の移動とホール素子から出力される信号との関係を説明する図である。 駆動用磁石の移動とホール素子から出力される信号との関係を説明する図である。 コントローラにおける信号処理を示すブロック図である。 固定枠上に配置された駆動用コイル、及び移動枠上に配置された駆動用磁石の位置関係を示す図である。 第2の実施形態のアクチュエータを示す分解斜視図である。 第2の固定枠部材を取り外した状態の第2の実施形態のアクチュエータを示す対物側正面図である。 第2の実施形態のアクチュエータにおけるフレキシブル基板近傍の拡大斜視図である。 第2の実施形態で用いられるフレキシブル基板を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は正面図である。
以下、本発明の第1の実施形態によるアクチュエータを備えたカメラについて説明する。
図1は、本実施形態のアクチュエータを備えたカメラの構成を示す断面概略図である。同図に示すように、本発明の実施形態のカメラ1は、レンズユニット2と、カメラ本体4と、を有する。レンズユニット2は、レンズ鏡筒6と、このレンズ鏡筒の中に配置された複数の撮像用レンズ8と、撮像用レンズのうちの像振れ補正用レンズ12を所定の平面内で移動させるアクチュエータ10と、レンズ鏡筒6の振動を検出する振動検出手段であるジャイロ15a、15b(図1には15aのみ図示)と、を有する。なお、以下の説明において、「接眼側」とは、カメラ本体4側(すなわち、図1における右側)を示し、「対物側」とは接眼側の逆側(すなわち、図1における左側)を示す。
レンズユニット2は、カメラ本体4に取り付けられ、入射した光を撮像素子Fに結像させるように構成されている。
円筒形のレンズ鏡筒6は、内部に複数の撮像用レンズ8を保持しており、一部の撮像用レンズ8を移動させることによりピント調整を可能としている。
本実施形態のカメラ1は、ジャイロ15a、15bによって振動を検出し、検出された振動に基づいてアクチュエータ10を作動させて像振れ補正用レンズ12を光軸に直交する平面内で移動させ、カメラ本体4内の撮像素子Fに合焦される画像を安定化させている。本実施形態においては、ジャイロ15a、15bとして、圧電振動ジャイロを使用している。なお、本実施形態においては、像振れ補正用レンズ12は、1枚のレンズによって構成されているが、複数枚のレンズからなるレンズ群であっても良い。
次に、図2乃至図7を参照して、アクチュエータ10の構成を説明する。図2から図4は、本実施形態のアクチュエータ10を示し、図2は斜視図、図3は分解斜視図、図4は縦断面図である。また、図5から図7は、第2の固定枠部材を取り外した状態のアクチュエータ10を示し、図5は斜視図、図6は、対物側正面図、図7は図5におけるフレキシブル基板近傍の拡大斜視図である。
図2乃至図5に示すように、アクチュエータ10は、レンズ鏡筒6内に固定された、第1の固定枠部材20及び第2の固定枠部材22からなる固定枠14と、この固定枠14に対して移動可能に支持された可動部である移動枠16と、この移動枠16を支持する可動部支持手段である3つの支持ボール18と、固定枠14の第2の固定枠部材22の基板26上に設けられた接続部としてのコネクタ24a、24b、24c、及び移動枠16に設けられた駆動用コイル28a、28b、28cを接続する、フレキシブル基板30a、30b、30cを有する。
さらに、アクチュエータ10は、固定枠14に取り付けられた3つの駆動用磁石32a、32b、32cと、移動枠16の、各駆動用磁石32a、32b、32cに対応する位置に取り付けられた3つの駆動用コイル28a、28b、28cと、を有する。各駆動用磁石32a、32b、32cは、対応する駆動用コイル28a、28b、28cと対向している。
これら駆動用磁石32a、32b、32c、及びこれらに対応する位置に取り付けられた3つの駆動用コイル28a、28b、28cはリニアモーターを構成し、移動枠16を固定枠14に対して並進運動させ、且つ回転運動させることができる駆動手段として機能する。
さらに、図4及び図6に示すように、各駆動用コイル28a、28b、28cの巻線の内側には、磁気センサであるホール素子34a、34b、34cが配置されている。各ホール素子34a、34b、34cは、これらと夫々向き合うように配置されている各駆動用磁石32a、32b、32cの磁気を検出して、固定枠14に対する移動枠16の位置を検出するように構成されている。これらのホール素子34a、34b、34c及び駆動用磁石32a、32b、32cは、位置検出手段を構成する。
また、図1に示すように、アクチュエータ10は、ジャイロ15a、15bによって検出された振動と、ホール素子34a、34b、34cによって検出された移動枠16の位置情報に基づいて、各駆動用コイル28a、28b、28cに流す制御信号(電流)を制御する制御手段であるコントローラ40を有する。なお、本実施形態では、コントローラ40はレンズ鏡筒6に取り付けられている。
アクチュエータ10は、移動枠16を、レンズ鏡筒6に固定された固定枠14に対して、撮像素子Fに平行な平面内で移動させ、これにより移動枠16に取り付けられた像振れ補正用レンズ12を移動させ、レンズ鏡筒6が振動しても撮像素子Fに結像される像が乱れることがないように駆動される。
固定枠14は、接眼側に配置され、レンズ鏡筒6に固定された略円環状の第1の固定枠部材20と、第1の固定枠部材20の周縁部に立設された柱部20aにより支持された略円環状の第2の固定枠部材22と、を備える。移動枠16は、これら第1の固定枠部材20及び第2の固定枠部材22の間に配置されている。第1の固定枠部材20は、円環状に形成された平坦な基部20bと、基部20bの開口の中心の周りに周方向に120°の角度間隔をあけて設けられた柱部20aとを備える。また、第2の固定枠部材22は、円環状に形成されており、その対物側には回路基板26が取り付けられている。第2の固定枠部材22及び回路基板26の外周には、フレキシブル基板30a、30b、30cが通るための切り欠きが形成されている。第1の固定枠部材20と第2の固定枠部材22との間には、移動枠16を収容するための収容空間が形成されている。
さらに、固定枠14は、第1の固定枠部材20の接眼側の面に取り付けられた固定ヨーク42と、第2の固定枠部材22の対物側の面に取り付けられた回路基板26とを備える。第1の固定枠部材20、第2の固定枠部材22、固定ヨーク42及び回路基板26の中心には、像振れ補正用レンズ12の光軸を中心に略同じ半径の円形開口が形成されている。第1の固定枠部材20には、像振れ補正用レンズ12の光軸を中心として円周状に120°の角度ごとに対となる矩形の開口(図示せず)が形成されており、駆動用磁石32a、32b、32cはこれら矩形開口にはまり込んだ状態で保持されている。固定ヨーク42は、駆動用磁石32a、32b、32cの接眼側に配置されている。
図3、図5及び図6に示すように、移動枠16は、略円環状の形状を有し、固定枠14の縁部に取り囲まれるように配置されている。移動枠16の中央の開口には、像振れ補正用レンズ12が取り付けられている。また、移動枠16には、直径が支持ボール18よりも大きく、深さが支持ボールの直径よりも小さな円柱状の凹部からなり、固定枠14側に開口する3つの収容部16aが形成されている。収容部16aは、中心角120゜の間隔を隔てて、各駆動用コイル28a、28b、28cの近傍に位置するように配置されている。
また、第1の固定枠部材20の対物側の面における、移動枠16に形成された収容部16aに対向する位置には、直径が支持ボール18よりも大きく、深さが支持ボールの直径よりも小さな円柱状の凹部からなる3つの収容部20cが形成されている。固定枠14の駆動用磁石32a、32b、32cにより移動枠16が吸着されるため、各支持ボール18は第1の固定枠部材20の収容部20cと、移動枠16の収容部16aとの間に挟持されて保持される。かかる構成により、移動枠16は固定枠14に平行な平面上に支持され、さらに、各支持ボール18が挟持されながら転がることによって、移動枠16の固定枠14に対する任意の方向の並進運動及び回転運動が許容される。なお、本実施形態では、可動部支持手段として支持ボール18を用いているが、移動枠16が固定枠14に対して平行移動可能であればよく、ローラ等の支持手段を用いることも可能である。
3つの駆動用コイル28a、28b、28cは、中心がレンズユニット2の光軸を中心とする円周上に位置するように、それぞれ配置されている。本実施形態においては、駆動用コイル28aは光軸の鉛直方向下方に配置され、駆動用コイル28b、28cは、駆動用コイル28aに対して光軸を中心とする円周上に中心角120゜ずつ間隔を隔てて配置されている。即ち、駆動用コイル28a、28b、28cは、光軸を中心として回転対称に配置されている。また、駆動用コイル28a、28b、28cは、夫々、その巻線が角の丸い矩形状に巻かれ、この矩形の中心線が円周の半径方向と一致するように配置されている。
なお、回転対象とは中心軸周りに所定の角度回転させた後の位置又は形状が、回転前の位置又は形状と一致することをいう。
駆動用磁石32a、32b、32cは、夫々長方形の形状を有し、固定枠14を構成する第1の固定枠部材20に形成された矩形開口に嵌め込まれた状態で固定されている。また、駆動用磁石32a、32b、32cは、移動枠16の円周上の各駆動用コイル28a、28b、28cに対応する位置に位置決めされている。なお、本明細書において、駆動用コイルに対応する位置とは、駆動用コイルによって形成される磁界の影響が実質的に及ぶ位置を意味している。
固定枠14を構成する回路基板26には、各フレキシブル基板30a、30b、30cを接続するための接続部としての3つのコネクタ24a、24b、24cが設けられている。コネクタ24aは、フレキシブル基板30aを介して、対応する駆動用コイル28a及びホール素子34aと接続されている。これと同様に、コネクタ24b、24cは、フレキシブル基板30b、30cを介して、対応する駆動用コイル28b、28c及びホール素子34b、34cと接続されている。
また、回路基板26上にはコントローラ40と接続するためのコントローラ側コネクタ36が設けられており、各コネクタ24a、24b、24cとコントローラ側コネクタ36とは回路基板26を介して送受信可能に接続されている。また、図1に示すように、コントローラ側コネクタ36はコントローラ側フレキシブル基板38を介してコントローラ40と接続されている。
これにより、コントローラ40からコントローラ側フレキシブル基板38を介してコントローラ側コネクタ36に入力された信号は、各コネクタ24a、24b、24cに送られ、さらに、各フレキシブル基板30a、30b、30cを介して、駆動用コイル28a、28b、28cへ送られる。また、ホール素子34a、34b、34cから出力された信号は、各フレキシブル基板30a、30b、30cを介して、各コネクタ24a、24b、24cに送られ、コントローラ側コネクタ36から、まとめてコントローラ側フレキシブル基板38を介してコントローラ40へ送信される。
図8は、本実施形態で用いられるフレキシブル基板30aを示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は正面図である。なお、図8では、回路基板26よりも対物側の部分30a7、30b7、30c7(図2及び図3に示す。以下、この部分をコネクタ側接続部という)については省略して示している。
同図に示すように、フレキシブル基板30aは、駆動コイル28a及びホール素子34aに接続されるコイル側接続部30a1と、コイル側接続部30a1に対して垂直に折り曲げられ、光軸の周りに周方向に延びる周方向部30a2と、周方向部30a2に対して垂直方向に(すなわち、光軸に平行に)延びる軸方向部30a3と、周方向部30a2から下方に向かって(第1の固定枠部材20に向かって)垂直方向に延び、周方向部30a2が形成する円弧形状の半径方向外側に向かって湾曲し、軸方向部30a3に続く湾曲部30a4と、周方向部30a2から連続して、周方向部30a2の延長方向に延びる突出部30a5と、軸方向部30a3に対して垂直に折り曲げられて回路基板26に沿って延び、コネクタ24aに接続されるコネクタ側接続部と、を含む。
また、湾曲部30a4には開口30a6が形成されており、フレキシブル基板30a内の配線の一部は、湾曲部30a4の開口30a6に対して周方向部30a2側の部分を通り、配線の残りが湾曲部30a4の開口30a6に対して突出部30a5側の部分を通っている。なお、突出部30a5内には、配線されていない。
図7に示すように、フレキシブル基板30aは、コイル側接続部30a1が移動枠16の駆動用コイル28aが取り付けられた位置の対物側の面に取り付けられており、このコイル側接続部30a1に駆動用コイル28a及びホール素子34aが取付けられている。また、コイル側接続部30a1の対物側には吸着ヨーク44aが取り付けられている。
また、周方向部30a2に連続する突出部30a5の外周側の面が第1の固定枠部材20の柱部20aに当接している。これにより、コイル側接続部30a1と突出部30a5の間に周方向部30a2は、移動枠16の開口の中心の周りに、周方向に湾曲した状態で延びている。更に、湾曲部30a4は、第1の固定枠部材20に向かって凸となるように湾曲しており、その外面が第1の固定枠部材20の基部20bに当接している。軸方向部30a3は、湾曲部30a4から連続して対物側に光軸に沿って延び、第2の固定枠部材22及び回路基板26に形成された切り欠き内を通り、回路基板26の対物側まで延びている。そして、図2に示すように、軸方向部30a3に連続するコネクタ側接続部30a7は、回路基板26と並行に延びるように軸方向部30a3に対して屈曲し、先端が対応するコネクタ24aに接続されている。
なお、ここでは、フレキシブル基板30aの構成について説明したが、他のフレキシブル基板30b、30cは、コネクタ側接続部の形状は対応するコネクタ24の位置に応じて異なるものの、それ以外の部分は同様の構成を有し、同様に配置されている。
本実施形態では、このようにフレキシブル基板30aに、突出部30a5を設け、この突出部30a5の外周面を第1の固定枠部材20の柱部20aに当接させている。かかる構成により、フレキシブル基板30aの周方向部30a2は、その一方に連続するコイル側接続部30a1が駆動用コイル28aに接続され、他方に連続する突出部30a5が第1の固定枠部材20の柱部20aにより支持されることとなる。これにより、周方向部30a2及び突出部30a5の柱部20aに当接する箇所までの部分を、所望の湾曲形状に保持することができ、この湾曲形状により移動枠16が移動した際に移動枠16に作用するフレキシブル基板30aの反発力を低減することができる。
次に、図9を参照して、駆動用磁石が及ぼす磁力について説明する。駆動用磁石32aの接眼側には固定ヨーク42が位置しており、駆動用コイル28aの対物側には吸着ヨーク44aが位置している。また、駆動用磁石32a、32b、32cは、その磁極の境界線である着磁境界線Cが、各駆動用磁石が配置されている円周の半径方向に一致するように向けられている。これにより、駆動用磁石32a、固定ヨーク42及び吸着ヨーク44aは、磁気回路を構成し、図9(a)に矢印で示す磁力線を形成する(図9(a)では駆動用磁石32aについて示す)。これにより、駆動用コイル28aに電流が流れると、駆動用コイル28aには、各駆動用磁石32aが配置された円周の接線方向の駆動力を受ける。
なお、本明細書において、着磁境界線Cとは、駆動用磁石の両端が夫々S極、N極となるように着磁されているとき、その着磁されている磁極の境界線を言うものとする。従って、本実施形態においては、着磁境界線Cは、長方形の駆動用磁石の長辺の中点を通るように位置する。また、図9(b)に示すように、駆動用磁石32aは、その厚さ方向にも極性が変化しており、図9(b)において左下の角がS極、右下がN極、左上がN極、右上がS極になっている。
次に、図9及び図10を参照して、各駆動用磁石が受ける駆動力を説明する。図10(a)は、駆動用コイルと駆動用磁石の相対位置と、駆動用磁石が受ける駆動力との関係を示すグラフであり、図10(b)乃至(e)は、グラフ中のb乃至e点における駆動用コイルと駆動用磁石の相対位置を示している。
まず、図9(a)に示すように、駆動用磁石32aの第1磁石部32a1である左半部は、駆動用コイル28aの第1巻線部28a1である左端部に、図9(a)において下方から上方に向かう磁力線を及ぼす。同様に、駆動用磁石32aの第2磁石部32a2である右半部は、駆動用コイル28aの第2巻線部28a2である右端部に、図9(a)において上方から下方に向かう磁力線を及ぼす。
一方、図10(b)に矢印で示す方向の電流が駆動用コイル28aに流れると、駆動用コイル28aの第1巻線部28a1には図9(a)の手前側から奥に向かって電流が流れ、第2巻線部28a2には図9(a)の奥から手前側に向かって電流が流れる。駆動用磁石32aによって形成された磁界中において、このような電流が流れると、駆動用コイル28aを図8(a)における右方向に移動させる駆動力が発生する。
図10(a)に示すように、この駆動力は、駆動用磁石32a及び駆動用コイル28aが図10(b)に示す位置関係にある時、即ち、駆動用磁石32aの着磁境界線Cが駆動用コイル28aの中心に位置するとき最大になる。また、駆動力は、最大の位置から駆動用コイル28aが右又は左にずれるに従って減少する。さらに、駆動用コイル28aが図9(c)に示す位置(図10(a)におけるc点)まで右方向に移動されると、駆動力はゼロになる。駆動用コイル28aをさらに移動させ、図10(d)に示す位置(図10(a)におけるd点)に達すると、駆動力の方向が逆転し、駆動用コイル28aは、左方向の駆動力を受けるようになる。このように、駆動力が逆転した状態では、駆動用コイル28aは、その第2磁石部32a2と駆動用コイル28aの第1巻線部28a1の間で発生する駆動力のみを受ける。従って、駆動力が逆転した領域における駆動力の最大値は、図10(b)の状態における駆動力よりも小さくなる。
一方、駆動用コイル28aが左方向に移動された場合も、駆動力は減少し、図10(e)に示す位置(図10(a)におけるe点)においてゼロとなる。また、駆動用コイル28aがさらに左方向に移動された場合には、駆動力の方向が逆転し、駆動用コイル28aは、左方向の駆動力を受けるようになる。
以上説明した駆動力は、駆動用コイル28aに図10(b)における時計回りの電流が流れた場合のものであり、駆動用コイル28aに反時計回りの電流が流れた場合には、駆動力の方向が全て反転する。即ち、駆動用コイル28aに反時計回りの電流が流れている場合には、図10(a)の点e〜点cの領域で左方向の駆動力が発生し、点eの左側の領域及び点cの右側の領域では右方向の駆動力が発生する。また、上記では、駆動用コイル28aと駆動用磁石32aの間に発生する駆動力について説明したが、他の2組の駆動用コイル及び駆動用磁石の間に発生する駆動力についても全く同様である。
なお、本実施形態によるカメラ1のアクチュエータ10では、駆動用コイルの第1巻線部と駆動用磁石の第1磁石部、及び第2巻線部と第2磁石部が対向し、十分な駆動力が発生する通常作動領域内において像振れ防止制御が実行される。
次に、図11及び図12を参照して、移動枠16の位置検出を説明する。
図11及び図12は、駆動用磁石32aの移動とホール素子34aから出力される信号との関係を説明する図である。図11に示すように、ホール素子34aの感度中心点Sが、駆動用磁石32aの着磁境界線C上に位置する場合には、ホール素子34aからの出力信号はゼロである。移動枠16と共にホール素子34aが移動され、ホール素子34aの感度中心点が駆動用磁石32aの着磁境界線上から外れると、ホール素子34aの出力信号が変化する。
図11に示すように、ホール素子34aが駆動用磁石32aに対して着磁境界線Cに直交する方向、即ち、X軸方向に移動すると、ホール素子34aは、正弦波状の信号を発生する。従って、この移動量が微小である場合には、ホール素子34aは、駆動用磁石32aに対するホール素子34aの移動距離にほぼ比例した信号を出力する。本実施形態において、ホール素子34aの移動距離が、駆動用磁石32aの長辺の長さの3%程度以内の場合には、ホール素子34aから出力される信号は、ホール素子34aの感度中心点Sと駆動用磁石32aの着磁境界線Cの間の距離にほぼ比例する。また、本実施形態では、アクチュエータ10は、通常作動領域においては各ホール素子の出力が距離にほぼ比例する範囲内で作動する。
図12(a)乃至(c)に示すように、ホール素子34aの感度中心点S上に駆動用磁石32aの着磁境界線Cが位置する場合には、図12(b)のようにホール素子34aが駆動用磁石32aに対して回転移動した場合、図12(c)のようにホール素子34aが駆動用磁石32aの着磁境界線Cの方向に移動した場合ともに、ホール素子34aからの出力信号はゼロである。また、図12(d)乃至(f)に示すように、駆動用磁石32aの着磁境界線Cがホール素子34aの感度中心点Sから外れた場合には、感度中心点Sと着磁境界線Cの距離rに比例した信号がホール素子34aから出力される。従って、感度中心点Sから着磁境界線Cまでの距離rが同じであれば、図12(d)のようにホール素子34aが着磁境界線Cに直交する方向に移動した場合、図12(e)のようにホール素子34aが並進及び回転移動した場合、図12(f)のように任意の方向に並進移動した場合とも、何れも同じ大きさの信号がホール素子34aから出力される。
ここでは、ホール素子34aについて説明したが、他のホール素子34b、34cも、それらに対応する駆動用磁石32b、32cとの位置関係に基づいて同様の信号を出力する。このため、各ホール素子34a、34b、34cによって検出された信号に基づいて、移動枠16が固定枠14に対して並進移動及び回転移動した位置を特定することができる。
次に、図13を参照して、アクチュエータ10による像振れ防止制御を説明する。図13は、コントローラ40における信号処理を示すブロック図である。図13に示すように、レンズユニット2の振動は、2つのジャイロ15a、15bによって時々刻々検出され、コントローラ40に内蔵されたレンズ位置指令信号生成手段である演算回路52a、38bに入力される。本実施形態においては、ジャイロ15aはレンズユニット2のヨーイング運動の角速度を、ジャイロ15bはピッチング運動の角速度を夫々検出するように構成され、配置されている。
演算回路52a、38bは、ジャイロ15a、15bから時々刻々入力される角速度に基づいて、像振れ補正用レンズ12を移動させるべき位置を時系列で指令するレンズ位置指令信号を生成する。すなわち、演算回路52aは、ジャイロ15aによって検出されるヨーイング運動の角速度を時間積分し、所定の光学特性補正を行うことによってレンズ位置指令信号の水平方向成分Dxを生成し、同様に、演算回路52bは、ジャイロ15bによって検出されるピッチング運動の角速度に基づいてレンズ位置指令信号の鉛直方向成分Dyを生成するように構成されている。このようにして得られたレンズ位置指令信号に従って、像振れ補正用レンズ12を時々刻々移動させることにより、写真撮影の露光中にレンズユニット2が振動した場合にも、カメラ本体4内の撮像素子Fに合焦される像は乱れることなく安定化される。
コントローラ40に内蔵されたコイル位置指令信号生成手段は、演算回路52a、38bによって生成されたレンズ位置指令信号に基づいて、各駆動用コイルに対するコイル位置指令信号を生成するように構成されている。コイル位置指令信号は、像振れ補正用レンズ12をレンズ位置指令信号で指定された位置へ移動させたときの、各駆動用コイル28a、28b、28cとそれに対応した駆動用磁石32a、32b、32cの位置関係を表す信号である。すなわち、各駆動用コイルがコイル位置指令信号によって指令された位置に移動されると、その結果、像振れ補正用レンズ12は、レンズ位置指令信号によって指令された位置へ移動される。本実施形態においては、駆動用コイル28aが光軸の鉛直上方に設けられているので、駆動用コイル28aに対するコイル位置指令信号raは、演算回路52aから出力されるレンズ位置指令信号の水平方向成分Dxと等しくなる。従って、駆動用コイル28aに対するコイル位置指令信号を生成するコイル位置指令信号生成手段である演算回路46aは、演算回路52aから出力をそのまま出力する。一方、駆動用コイル28b、28cに対するコイル位置指令信号rb、rcは、レンズ位置指令信号の水平方向成分Dx及び鉛直方向成分Dyに基づいて、コイル位置指令信号生成手段である演算回路46b、46cによって生成される。
一方、ホール素子34a、34b、34cによって測定された、各駆動用コイルに対する駆動用磁石の移動量は、磁気センサアンプ48a、48b、48cによって所定の倍率に増幅される。駆動回路50a、50b、50cは、演算回路46a、46b、46cから出力された各コイル位置指令信号ra、rb、rcと、各磁気センサアンプ48a、48b、48cから出力された信号との差に比例した電流を各駆動用コイル28a、28b、28cに流す。従って、コイル位置指令信号と各磁気センサアンプからの出力に差がなくなると、即ち、各駆動用磁石がコイル位置指令信号によって指令された位置に到達すると、各駆動用コイルには電流が流れなくなり、駆動用磁石に作用する駆動力がゼロになる。
次に、図14を参照して、移動枠16を並進運動させる場合における、レンズ位置指令信号とコイル位置指令信号との関係を説明する。図14は、固定枠14上に配置された駆動用磁石32a、32b、32c、及び移動枠16上に配置された駆動用コイル28a、28b、28cの位置関係を示す図である。まず、3つの駆動用磁石32a、32b、32cは、点Qを中心とする円の円周上に、各着磁境界線Cが半径方向に向くように夫々配置されている。また、移動枠16が動作中心位置にある場合には、駆動用コイル28a、28b、28c及び各ホール素子34a、34b、34cは、その中心点(ホール素子においては感度中心点)Sa、Sb、Scが、各駆動用磁石32a、32b、32cと点Qを原点とする半径Rの円周と、各着磁境界線Cとの交点上に夫々位置している。移動枠16は、この動作中心位置を中心に並進移動され、像振れ防止制御が実行される。
次に、点Qを原点とする水平軸線をX軸、鉛直軸線をY軸とし、図14に実線で示すように、画像安定化用レンズ12の中心点Q1が、Y軸方向にDy、X軸方向に−Dx並進移動された場合を考える。移動枠16をこのように移動させると、駆動用コイル28a、28b、28cの中心点Sa、Sb、Scは、Sa´、Sb´、Sc´へと移動する。駆動用磁石32aの着磁境界線Cと点Sa´との間の距離をra、駆動用磁石32bの着磁境界線Cと点Sb´との間の距離をrb、駆動用磁石32cの着磁境界線Cと点Sc´との間の距離をrcとする。この距離ra、rb、rcは、画像安定化用レンズ12をY軸方向にDy、X軸方向に−Dx移動させたとき、各ホール素子34a、34b、34cによって検出される移動距離に該当する。これらの距離ra、rb、rcは、X軸方向、Y軸方向の移動距離Dx、Dyに対して一意的に決定されるものである。従って、画像安定化用レンズ12をX軸方向、Y軸方向に夫々Dx、Dy移動させるためには、これに対応した距離ra、rb、rcをコイル位置指令信号として与えればよい。
ここで、各距離ra、rb、rcの正の方向を図14に矢印a、b、cで示すように定義すると、ra、rb、rcと、Dx、Dyの関係は次の(数式1)で与えられる。
Figure 2014081432
図13を参照して説明した各演算回路46a、46b、46cは、夫々上記数式1に対応する演算を実行して、各コイル位置指令信号を生成している。
次に、移動枠16を回転運動させる場合におけるコイル位置指令信号を説明する。移動枠16を回転運動させるには、各コイル位置指令信号として同一の値を与えればよい。即ち、移動枠16を角度θ[rad]だけ時計回りに回転させるための各コイル位置指令信号は、
Figure 2014081432
によって与えられる。このように、各駆動用磁石が各駆動用コイルに対して同一距離接線方向に移動されることにより、移動枠16は、像振れ補正用レンズ12の光軸と撮像用レンズ8の光軸が一致した状態を保持しながら、光軸を中心に回転される。
次に、図1及び図13を参照して、本発明の実施形態によるカメラ1の作用を説明する。まず、カメラ1の手ブレ防止機能の起動スイッチ(図示せず)をオンにすることにより、レンズユニット2に備えられたアクチュエータ10が作動される。レンズユニット2に取り付けられたジャイロ15a、15bは、所定周波数帯域の振動を時々刻々検出し、コントローラ40に内蔵された演算回路52a、38bに出力する。ジャイロ15aはレンズユニット2のヨーイング方向の角速度の信号を演算回路52aに出力し、ジャイロ15bはピッチング方向の角速度の信号を演算回路52bに出力する。演算回路52aは、入力された角速度信号を時間積分して、ヨーイング角度を算出し、これに所定の光学特性補正を加えて水平方向のレンズ位置指令信号Dxを生成する。同様に、演算回路52bは、入力された角速度信号を時間積分して、ピッチング角度を算出し、これに所定の光学特性補正を加えて鉛直方向のレンズ位置指令信号Dyを生成する。演算回路52a、38bによって時系列で出力されるレンズ位置指令信号によって指令される位置に、像振れ補正用レンズ12を時々刻々移動させることによって、カメラ本体4の撮像素子Fに合焦される像が安定化される。
演算回路52aによって出力された水平方向のレンズ位置指令信号Dxは、演算回路46aを介して、駆動用コイル28aに対するコイル位置指令信号raとして出力される。また、演算回路46bには、水平方向のレンズ位置指令信号Dx及び鉛直方向のレンズ位置指令信号Dyが入力され、数式1の中段の式に基づいて駆動用コイル28bに対するコイル位置指令信号rbが生成される。同様に、演算回路46cには、レンズ位置指令信号Dx、Dyが入力され、数式1の下段の式に基づいて駆動用コイル28cに対するコイル位置指令信号rcが生成される。
一方、駆動用コイル28aに対応するホール素子34aは磁気センサアンプ48aに検出信号を出力する。磁気センサアンプ48aによって増幅された検出信号は、駆動用コイル28aに対するコイル位置指令信号raから差し引かれ、これらの差に比例した電流が、駆動回路50aを介して駆動用コイル28aに出力される。同様に、ホール素子34bの検出信号とコイル位置指令信号rbの差に比例した電流が駆動回路50bを介して駆動用コイル28bに出力され、ホール素子34cの検出信号とコイル位置指令信号rcの差に比例した電流が駆動回路50cを介して駆動用コイル28cに出力される。
各駆動用コイルに電流が流れることにより、電流に比例した磁界が発生する。この磁界により各駆動用コイルに対応して配置された各駆動用磁石は夫々、コイル位置指令信号ra、rb、rcによって指定された位置に近づく方向の駆動力を受け、移動枠16が移動される。駆動用磁石が、この駆動力によってコイル位置指令信号により指定された位置に到達すると、コイル位置指令信号とホール素子の検出信号が一致するので駆動回路の出力はゼロとなり、駆動力もゼロになる。また、外乱、又は、コイル位置指令信号の変化等により、各駆動用磁石がコイル位置指令信号により指定された位置から外れると、再び各駆動用コイルに電流が流され、各駆動用磁石はコイル位置指令信号によって指定された位置に戻される。
以上の作用が時々刻々繰り返されることにより、各駆動用磁石を有する移動枠16に取り付けられた像振れ補正用レンズ12が、レンズ位置指令信号に追従するように移動される。これにより、カメラ本体4の撮像素子Fに合焦される像が安定化される。
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータによれば、フレキシブル基板30aに、突出部30a5を設け、この突出部30a5の外周面を第1の固定枠部材20の柱部20aに当接させているため、フレキシブル基板30aの周方向部30a2は、一方に連続するコイル側接続部30a1が駆動用コイル28aに接続されるとともに、他方に連続する突出部30a5が第1の固定枠部材20の柱部20aにより支持される。これにより、周方向部30a2及び突出部30a5の一部を、所望の湾曲形状に保持することができるため、この湾曲形状の部分が移動枠16と固定枠14との相対変位を吸収するため、移動枠16が移動した際に移動枠16に作用するフレキシブル基板30aの反発力を低減することができる。このため、従来のように、フレキシブル基板30aの反発力を低減する部分を作業員の手作業により作成することがなくなり、作業員の作業精度の影響を受けることなく、フレキシブル基板の反発力を低減することができる。
また、周方向部30a2を円弧状に保持するべく、周方向部30a2のコイル側接続部30a1と反対側の部分を固定枠により支持する方法として、湾曲部30a4の外周面を固定枠に接着する方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、周方向部30a2の長さを十分にとれず、フレキシブル基板30aの反発力を十分に低減することができない。
これに対して、本実施形態では、突出部30a5を周方向部30a2の延長方向に延びるように設けている。これにより、周方向部30a2及び突出部30a5の一部が一体となって円弧状に湾曲するため、このような突出部30a5を設けずに、湾曲部30a4を固定枠に接着した場合に比べて、フレキシブル基板30aの、より長い区間を円弧状に保持することができる。このため、フレキシブル基板30aの反発力をより効率よく低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、突出部30a5を接着せずに、その外周面を第1の固定枠部材22に当接させているので、周方向部30a2及び突出部30a5の周方向が周方向に移動することができる。これにより、湾曲部30a4を固定枠に接着した場合に比べて、より効率よく、フレキシブル基板30aの反発力を十分に低減することができる。
また、本実施形態では、周方向部30a2と軸方向部30a3との間が第1の固定枠部材20に向かって凸になるように湾曲する湾曲部30a4により接続されており、この湾曲部30a4の外周面が第1の固定枠部材20に当接しているため、フレキシブル基板30aが軸方向にずれることを防止できる。
なお、本実施形態では、回路基板が第2の固定枠部材に設けられた場合について説明したが、これに限らず、第1の固定枠部材に設けることも可能である。このような場合には、フレキシブル基板の軸方向部は、第1の固定枠部材に向かって延びることとなる。また、このような場合には、第2の固定枠部材を省略できる。
また、本実施形態では、周方向部30a2と軸方向部30a3との間を、湾曲部30a4を介して接続しているが、周方向部30a2と軸方向部30a3とを連続して形成してもよい。
また、本実施形態では、突出部30a5が、周方向部30a2のコイル側接続部30a1の反対側の端部から突出するものとしたが、これに限らず、突出部を、軸方向部30a3の周方向の縁から周方向部30a2の延長方向に延びるように設けてもよい。
また、本実施形態では、突出部30a5の外周面を、第1の固定枠部材20の柱部20aに当接させているが、突出部30a5の外周面を当接させる箇所はこれに限らず、第1の固定枠部材20の一部であればよい。
本発明のアクチュエータにおけるフレキシブル基板の形状は上記の実施形態に限定されない。以下、フレキシブル基板の形状が異なる第2の実施形態について説明する。以下の説明では、第1の実施形態と同一の構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
図15は、第2の実施形態のアクチュエータを示す分解斜視図であり、図16は、第2の固定枠部材を取り外した状態の第2の実施形態のアクチュエータを示す対物側正面図であり、図17は、第2の実施形態のアクチュエータにおけるフレキシブル基板近傍の拡大斜視図である。
図15〜図17に示すように、第2の実施形態のアクチュエータは、第1の固定枠部材20、第2の固定枠部材22、移動枠16等の構成は第1の実施形態のアクチュエータと同じであり、第1の実施形態に対してフレキシブル基板の形状のみが異なっている。
本実施形態においても、フレキシブル基板80aは、コネクタ24aと対応する駆動用コイル28a及びホール素子34aとの間を接続している。また、これと同様に、フレキシブル基板80b、80cは、それぞれ、コネクタ24b、24cと、対応する駆動用コイル28b、28c及びホール素子34b、34cとを接続している。
図18は、第2の実施形態で用いられるフレキシブル基板を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は正面図である。なお、図18では、回路基板26よりも対物側の部分80a7、80b7、80c7(図2及び図3に示す。以下、この部分をコネクタ側接続部という)については省略して示している。
同図に示すように、フレキシブル基板80aは、駆動コイル28a及びホール素子34aに接続されるコイル側接続部80a1と、コイル側接続部80a1に対して垂直に折り曲げられ、光軸の周りに周方向に延びる周方向部80a2と、周方向部80a2に対して垂直方向に(すなわち、光軸に平行に)延びる軸方向部80a3と、周方向部80a2のコイル側接続部80a1と反対側の端部、及び軸方向部80a3の周方向の縁の間を結ぶ折り曲げ部80a5と、周方向部80a2から下方に向かって(第1の固定枠部材20に向かって)垂直方向に延び、周方向部80a2が形成する円弧形状の半径方向外側に向かって湾曲し、軸方向部80a3に続く湾曲部80a4と、軸方向部80a3に対して垂直に折り曲げられて回路基板26に沿って延び、コネクタ24aに接続されるコネクタ側接続部と、を含む。折り曲げ部80a5は、周方向部80a2のコイル側接続部80a1の反対側の端部から、周方向部80a2に連続して延びる第1の延長部80a7と、第1の延長部80a7に対して鋭角に折り曲げられ、第1の延長部80a7の端部から軸方向部80a3の周方向側の縁まで延びる第2の延長部80a6とにより構成される。
なお、本実施形態では、折り曲げ部80a5が、周方向部80a2の延長方向に延び、光軸に対して径方向外側の面の一部が第1の固定枠部材20の基部20bに当接する突出部に相当する。
本実施形態のフレキシブル基板80aでは、周方向部80a2のコイル側接続部80a1と反対側の端部と、軸方向部80a3との間は、分岐した折り曲げ部80a5及び湾曲部80a4により接続されている。そして、フレキシブル基板80a内の配線の一部は、折り曲げ部80a5を通り、また配線の残りは湾曲部80a4を通って、軸方向部80a3まで到達している。なお、フレキシブル基板80a内の配線は、必ずしも、湾曲部80a4及び折り曲げ部80a5の両方を通す必要はなく、何れか一方のみでもよい。
図17に示すように、フレキシブル基板80aは、コイル側接続部80a1が移動枠16の駆動用コイル28aが取り付けられた位置の対物側の面に取り付けられており、このコイル側接続部30a1に駆動用コイル28a及びホール素子34aが取付けられている。また、コイル側接続部80a1の対物側には吸着ヨーク44aが取り付けられている。
また、周方向部80a2に連続する折り曲げ部80a5を構成する第2の延長部80a6の外周面が第1の固定枠部材20の柱部20aに当接している。これにより、コイル側接続部80a1と突出部80a5の間に周方向部80a2は、移動枠16の開口の中心の周りに、周方向に湾曲した状態で延びている。更に、湾曲部80a4は、第1の固定枠部材20に向かって凸となるように湾曲しており、その外面が第1の固定枠部材20の基部20bに当接している。軸方向部80a3は、湾曲部30a4から連続して対物側に光軸に沿って延び、第2の固定枠部材22及び回路基板26に形成された切り欠き内を通り、回路基板26の対物側まで延びている。そして、図15に示すように、軸方向部80a3に連続するコネクタ側接続部80a8は、回路基板26と並行に延びるように軸方向部80a3に対して屈曲し、先端が対応するコネクタ24aに接続されている。
なお、ここでは、フレキシブル基板80aの構成について説明したが、他のフレキシブル基板80b、80cは、コネクタ側接続部の形状は対応するコネクタ24の位置に応じて異なるものの、それ以外の部分は同様の構成を有し、同様に配置されている。
本実施形態では、フレキシブル基板80aに、折り曲げ部80a5を設け、この折り曲げ部80a5を構成する第2の延長部80a6の外周面を第1の固定枠部材20の柱部20aに当接させている。これにより、フレキシブル基板80aの周方向部80a2及び第1の延長部80a7を、所望の湾曲形状に保持することができ、この湾曲形状により移動枠16が移動した際に移動枠16に作用するフレキシブル基板80aの反発力を低減することができる。このように、本実施形態によれば、周方向部80a2及び第1の延長部80a7を湾曲形状に保持し、この湾曲形状の部分でフレキシブル基板80aの反発力を低減しているため、従来のように、フレキシブル基板30aの反発力を低減する部分を作業員の手作業により作成することがなくなり、作業員の作業精度の影響を受けることなく、フレキシブル基板の反発力を低減することができる。
さらに、本実施形態では、折り曲げ部80a5を設けることにより、フレキシブル基板80aの周方向部80a2及び第1の延長部80a7が一体となって円弧状に保たれる。このため、フレキシブル基板80aにおける円弧状に保持される部分の長さを長く確保することができ、フレキシブル基板30aの反発力をより効率よく低減することができる。
さらに、本実施形態では、周方向部80a2と軸方向部80a3との間を折り曲げ部80a5により接続するとともに、さらに、湾曲部80a4により接続している。このため、配線の一部又は全てを湾曲部80a4を通すことが可能となり、折り曲げ部80a5の幅を小さくしたり、折り曲げ部80a5を減らしたりして、折り曲げ部80a7の剛性を小さくすることができる。これにおり、フレキシブル基板30aの光軸に対する周方向の反発力をより効率よく低減することができる。
なお、本実施形態のフレキシブル基板80aでは、周方向部80a2のコイル側接続部80a1と反対側の端部と、軸方向部80a3との間は、折り曲げ部80a5及び湾曲部80a4により接続されているが、これに限らず、少なくとも折り曲げ部80a5により接続していれば本発明に含まれる。
1 カメラ
2 レンズユニット
4 カメラ本体
6 レンズ鏡筒
8 撮像用レンズ
10 アクチュエータ
12 補正用レンズ
14 固定枠
16 移動枠
18 支持ボール
20 第1の固定枠部材
20a 柱部
20b 基部
22 第2の固定枠部材
24a、24b、24c コネクタ
26 回路基板
28a、28b、28c 駆動用コイル
30a、30b、30c フレキシブル基板
32a、32b、32c 駆動用磁石
34a、34b、34c ホール素子
36 コントローラ側コネクタ
40 コントローラ
42 固定ヨーク
44a、44b、44c 吸着ヨーク

Claims (7)

  1. 撮像用レンズの一部である像振れ補正用レンズをその光軸に直交する平面内で並進移動または回転移動させ、像振れを防止するためのアクチュエータであって、
    固定部と、
    前記補正用レンズが取り付けられた可動部と、
    この可動部を、前記固定部に対して平行な平面上で移動できるように支持する可動部支持手段と、
    前記可動部の前記補正用レンズの周囲に取り付けられた3つの駆動用コイル、及び前記3つの駆動用コイルのそれぞれに対応するように前記固定部に取付けられた3つの駆動用磁石からなり、前記可動部を前記固定部に対して並進移動または回転移動させる駆動手段と、
    前記3つの駆動用コイルに、前記可動部の移動量に応じた位置指令信号を送信する制御手段と、
    前記固定部上に前記3つの駆動用コイルに対応して設けられ、前記制御手段と通信可能な1つ以上のコネクタと、
    前記駆動用コイルと、対応する前記コネクタとの間をそれぞれ通信可能に接続する1つ以上のフレキシブル基板と、を備え、
    前記フレキシブル基板は、前記駆動用コイルに接続されるコイル側接続部と、前記接続部に連続して前記補正用レンズの周方向に延びる周方向部と、前記周方向部に対して屈曲し、前記補正用レンズの光軸に略平行に延びる軸方向部と、前記軸方向部に連続して先端が前記コネクタに接続されるコネクタ側接続部と、を有し、
    さらに、前記フレキシブル基板は、前記周方向部の前記コイル側接続部と反対側の端部から、ないしは、前記軸方向部の周方向の縁部の少なくとも一方から前記周方向部の延長方向に延びる突出部を有し、
    前記突出部は、前記光軸に対して径方向外側の面の一部が前記固定部の一部に当接している、ことを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記突出部は、前記フレキシブル基板の一部が、前記周方向部の前記コイル側接続部と反対側の端部から、前記周方向部に連続して延びるように成形されることにより構成されている、請求項1に記載されたアクチュエータ。
  3. 前記突出部は、前記周方向部から連続して、コイル接続部と周方向反対側に向かって延び、折り返されて前記軸方向部の周方向の縁部に接続される折り返し部により構成され、該折り返し部により前記周方向部と、前記軸方向部との間が接続されている、請求項1記載のアクチュエータ。
  4. 前記フレキシブル基板は、さらに、周方向部から軸方向に凸となるように湾曲し、前記軸方向部と前記周方向部との間を接続する湾曲部を備える、請求項2又は3に記載のアクチュエータ。
  5. 前記固定部は、接眼側に配置された第1の固定枠部材と、該第1の固定枠部材の対物側に配置され、前記第1の固定部材により支持された第2の固定枠部材とを備え、前記移動部は、前記第1の固定枠部材と前記第2の固定枠部材との間に配置されており、
    前記コネクタは前記第2の固定枠部材に取り付けられた回路基板上に設けられ、前記コネクタは、前記回路基板を介して前記制御手段と通信可能に接続されており、
    前記周方向部は前記移動枠の周囲に沿って延びており、前記軸方向部は、前記第2の固定部材に向かって延びており、
    前記湾曲部は、前記第1の固定枠部材に向かって凸になるように湾曲しており、かつ、その一部が前記第1の固定枠部材に当接している、
    請求項4に記載されたアクチュエータ。
  6. レンズ鏡筒と、
    このレンズ鏡筒の内部に収容された複数の撮像用レンズと、
    これら撮像用レンズの一部を前記可動部に取り付けた請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータと、
    を備えることを特徴とするレンズユニット。
  7. カメラ本体と、
    請求項6に記載のレンズユニットと、
    を備えることを特徴とするカメラ。
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