JP3915381B2 - 液晶装置および電子機器 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置および電子機器に関し、特に、安価なプラスチック基板の適用を可能とする液晶装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図22は、従来一般のパッシブマトリクス型液晶装置の概略構成を示す断面図である。図22において、符号100は、反射型液晶装置の液晶セルを示しており、ガラス基板等からなる一対の基板101,102の間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶等からなる液晶層103が挟持されている。
【0003】
下側基板102の上側基板101との対向面には、複数の電極104がストライプ状に形成されている。この電極104は、アルミニウムなどの光反射率の高い金属薄膜からなり、反射層を兼ねるものとなっている。そして、この電極104の上には、配向層105が形成されている。
【0004】
上側基板101の下側基板102との対向面には、下側基板102の電極104と直交する方向に延在する複数の電極106がストライプ状に形成され、その上には配向層107が形成されている。また、液晶セル100の上側基板101の外面側には、偏光板108が設置されている。
【0005】
また、符号110は基板間の間隔(セルギャップという)を基板面内で一定に保持するためのスペーサ、符号111は両基板を貼り合わせるとともに液晶を封入するためのシール材、である。
【0006】
ところで、通常の液晶装置に使用される基板としては、ガラス基板、石英基板等の複屈折を持たない基板が従来から選択されてきた。その理由は以下の通りである。
【0007】
図23は、従来の液晶装置のオフ状態の光学的特性を説明するための図である。図23において、符号Lは入射光を示している。入射光Lは、一般に自然光であり、可視領域の全波長の光を含み、偏光方向もランダムである。
【0008】
この入射光Lが偏光板108を透過すると、偏光板108の偏光軸方向(白抜きの矢印で示す)に偏光方向が整った直線偏光120b、120g、120rの集合となる。ここで、120b、120g、120rはそれぞれ波長450nm、550nm、650nmの偏光を示す。実際には、これ以外の波長の直線偏光も当然含まれるが、ここでは、青、緑、赤の三色の代表的波長としてこれら三つの波長のみを示した。
【0009】
これらの直線偏光120b、120g、120rは、次に液晶セル100に入射して、上側基板101と反射層を兼ねる電極104との間を往復する。ここで、液晶セル100を構成する一対の基板のうち、光を透過する側の基板である上側基板101が仮に複屈折を有するものとする。その場合、前記直線偏光120b、120g、120rがこの液晶セル100を透過した後の偏光状態は、130b、130g、130rに示すような楕円偏光となる。つまり、上側基板101が複屈折を有しているために、波長分散が生じ、各波長によって楕円率が異なった楕円偏光130b、130g、130rが生じることになる。そして、これらの偏光130b、130g、130rは、再び偏光板108を透過する。この時、各波長の偏光は、偏光板108の偏光軸方向(白抜きの矢印で示す)に一致した成分140b、140g、140rのみがそれぞれ偏光板108を透過する。
【0010】
その結果、例えば波長550nm(140gに相当)の光量が多く、波長450nm(140bに相当)、650nm(140rに相当)の光量が少ないというように、液晶セル100側から偏光板108を透過した後の光量(透過率)は波長によって異なるようになる。
【0011】
このように光を透過する側の基板に複屈折を有する基板を用いた液晶装置では、白や黒を表示したいときに波長分散による色味が生じ、コントラスト低下を招くという問題があった。したがって、従来から通常の液晶装置には複屈折を持たない基板が用いられていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
近年、小型携帯情報端末等の携帯電子機器の普及に伴い、軽量化、薄型化が容易、割れない、曲面表示が可能、等の利点を有するプラスチックフィルム基板を用いた液晶装置への要求が高まっている。ところが、一般的に2軸延伸のプラスチックフィルムは複屈折を有しており、上記の理由から液晶装置に使用できなかった。そこで、複屈折を持たないプラスチック基板を製造する方法も種々提案されているが、複屈折を持たないプラスチック基板はその製法や用途が特殊なものであり、液晶装置として使用するには性能が充分でなかったり、高価なものであった。
【0013】
その一方、例えば1軸延伸のプラスチックフィルムであれば、多少の複屈折があっても、基板の諸条件、偏光板の諸条件等を厳密に合わせ込むことによって何とか使いこなすことはできた。しかしながら、この場合、1枚のプラスチックフィルムから複数個の液晶パネルを取る際にプラスチックフィルムの配向方向を基板の所定方向に厳密に合わせる必要があるため、1枚のプラスチックフィルムからの取り効率が悪くなるという問題があった。さらに、プラスチックフィルムの配向方向や複屈折の程度には製造ばらつきがあり、そのばらつきに応じて各種条件の補正が必要になるため、あまり実用的ではなかった。
【0014】
その他、液晶装置として組み立てる際には一対の基板の外面に偏光板を貼り合わせる必要があるが、特にプラスチック基板を用いた場合には基板が可撓性を有しているため、偏光板の反りや剥がれが生じやすいという問題もあった。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、例えば一般的なプラスチック基板等を用いることができ、高いコントラストによる高画質が得られ、かつ安価な液晶装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の液晶装置は、互いに対向配置された一対の樹脂基板間に液晶層が挟持され複数の画素がマトリクス状に配列した液晶装置であって、前記一対の基板のうち、不透明な第1の基板においては前記液晶層に面する内面上にストライプ上に形成された第1の導電部が設けられるとともに、該第1の導電部と電気的に接続された第1の引き廻し導電部が前記内面から、前記第1の基板の相対する2辺の周縁部に設けられたいずれか一方の孔を介して、基板内部を通り前記内面と反対側の外面にわたって設けられ、また、光学的異方性を有する第2の基板においては前記液晶層に面する内面上に前記第1の導電部と交差する方向にストライプ上に形成された第2の導電部が設けられるとともに、該第2の導電部と電気的に接続された第2の引き廻し導電部が前記第2の基板の内面から前記第1の基板の内面へ、さらに第1の基板の内面から前記第1の引き廻し導電部用の孔が設けられた二辺に隣接する一辺の周縁部に設けられた孔を介して、基板内部を通り第1の基板の外面にわたって設けられ、さらに、前記第1の基板の外面側には前記第1の引き廻し導電部および前記第2の引き廻し導電部と電気的に接続された電子部品が実装されると共に、前記第1の基板の前記第2の引き回し導電部用の孔に相対する一辺の外面側周縁部に、前記電子部品の入力端子と電気的に接続された外部接続端子が設けられ、 前記第1の基板の内面側には光反射部が、前記第2の基板と前記液晶層との間には偏光層が設けられたことを特徴とする。
【0017】
従来一般の液晶装置では、基板の外面側に偏光板を外付けしていたのに対し、本発明の液晶装置においては、基板の内面側に偏光層を形成したことを特徴としている。従来の液晶装置では、液晶、基板、偏光板の順で光が出射されるため、上述したように、基板に複屈折があると、光が基板を透過する際に波長分散が生じ、各波長で偏光状態が異なった楕円偏光が生じる。そのため、最後に偏光板を透過すると、各波長によって透過光量が異なることがコントラストの低下につながっていた。
【0018】
これに対して、本発明の液晶装置は、液晶層、偏光層、基板の順で光が出射される構成であり、液晶層と偏光層との間に基板が介在していないため、液晶層を透過した後の偏光が、その偏光状態を維持したままで偏光層を透過する。この時点で偏光層を透過した各波長の光量(透過率)は決定してしまうため、その後、基板を透過しても、もはや基板の複屈折の有無が各波長毎の光量(透過率)に影響を及ぼすことがなく、基板の透過によってコントラストが低下することはない。したがって、本発明の液晶装置においては、光を透過する基板に複屈折を有する基板、換言すると、光学的異方性を有する基板を用いることができる。
【0019】
このように、本発明の液晶装置の場合、基板の複屈折の有無を考慮することなく、任意の基板を用いることができる。このため、基板材料の選択の自由度が上がり、例えば2軸延伸のプラスチックフィルム等、高機能、低価格の基板材料を用いることができるので、コントラストを低下させることなく製造コストの低減が図れ、高画質、低価格の液晶装置を実現することができる。また、基板の内面側に偏光層を作り込む構成であるから、従来のように一対の基板の外面に偏光板を外付けする必要はなく、偏光板の反りや剥がれの問題も発生しない。
【0020】
また、本発明の液晶装置は、第1の基板の外面側に、第1の基板内面の第1の導電部および第2の基板内面の第2の導電部と電気的に接続された電子部品が実装されたものである。ここで言う「第1の導電部」、「第2の導電部」とは、具体的にはパッシブマトリクス型液晶装置における走査電極、信号電極等の電極、もしくはアクティブマトリクス型液晶装置における走査線、データ線等の配線のことを指す。また、「電子部品」とは、具体的には液晶装置の駆動回路に用いる駆動用IC、コンデンサ等のことを指す。
【0021】
ここで、本発明は、第1の基板の内面側に光反射部が設けられ、第2の基板と液晶層との間に偏光層が設けられた反射型液晶装置であるから、第1の基板の外面側の表示領域に相当する領域内に配線を形成しても表示上何ら支障はなく、これらの配線に接続される電子部品を第1の基板の外面側の任意の位置に配置することができる。
【0022】
したがって、本発明の構成によれば、FPCや電子部品の実装領域が不要となるので、その分だけ従来に比べて大幅に表示領域外の領域である額縁部分を狭くすることができる。
【0023】
さらに、本発明においては、第1の基板は必ずしも透光性基板である必要はないため、基板材料の選択肢として従来から一般的なガラス基板、石英基板等の透明基板の他、例えばポリイミド等の樹脂基板、セラミック基板等を用いることもでき、第1の基板の材料選択の自由度が向上する。別の表現をすれば、本発明の液晶装置において、第1の基板は、液晶装置そのものを構成する一方の基板として機能すると同時に、駆動回路の搭載基板としても機能する。したがって、場合によっては、フレキシブルテープ等の接続用部品の削減を図ることもできる。
【0024】
上述したように、本発明の液晶装置では、第1の基板に使用可能な基板材料の選択肢が多くなっているが、さらに第1の基板、第2の基板ともに、例えば復屈折を有する基板を用いることができ、プラスチックフィルム基板等の可撓性を有する基板で構成しても良い。
【0025】
この構成にすると、液晶装置の薄型化、軽量化が図れる、基板の割れ等の破損が生じにくくなる、基板を湾曲させることで曲面表示が可能になる、等の利点が得られ、携帯機器等の電子機器に好適なものとなる。
【0027】
また本発明の液晶装置は、第1の基板の外面側に、第1の導電部および第2の同導電部と電気的に接続された電子部品が実装されたものである。詳細には、第1の導電部は、不透明な第1の樹脂基板の内面から該基板の相対する2辺の周縁部に設けられた孔を介して基板内部を通り、さらに第1の基板の外面にわたって設けられた第1の引き廻し導電部を経由して電子部品に電気的に接続されている。一方、第2の導電部は、透明な第2の樹脂基板の内面から第1、第2の基板間をわたって第1の基板の内面へ接続され、さらに第1の基板の内面から上記第1の引き廻し導電部用の孔が設けられた二辺に隣接する他の一辺の周縁部に設けられた孔を介して基板内部を通り、さらに第1の基板の外面にわたって設けられた第2の引き廻し導電部を経由して電子部品に電気的に接続されている。また、第1の基板の残り一辺の外面側周縁部には、前記電子部品の入力端子と電気的に接続された外部接続端子が設けられている。
【0028】
よって、従来の構成で言えば、引き廻し配線が第1の基板の内面上の電極形成領域(言い換えると表示領域)の外側の領域(非表示領域)に引き廻されていたのに対し、本発明の基本的構成では、引き廻し配線(引き廻し導電部)が第1の基板の内面側から基板内部を通って外面側に引き廻されている。ここで、本発明は、第1の基板の内面側に光反射部が設けられた反射型液晶装置であるから、引き廻し配線を基板外面側に引き廻した後はこれを表示領域内に配置しても表示上何ら支障はない。
【0029】
しかも、本発明の構成では、上記引き廻し導電部の基本構成は、電子部品が実装された側の基板である第1の基板上の第1の引き廻し導電部のみならず、液晶層を挟んで対峙する第2の基板からの第2の引き廻し導電部についても同様である。すなわち、一対の基板の全ての引き廻し導電部が第1の基板の内部を通って最終的に第1の基板の外面側に引き廻され、電子部品に接続される構成になっている。
【0030】
したがって、本発明の構成によれば、従来の構成において第1の基板内面の表示領域外側に設けていた引き廻し領域が不要となるので、その分だけ従来に比べて大幅に表示領域外の領域である額縁部分を狭くすることができる。また、表示領域内を含めて第1の基板の外面側全面に引き廻し導電部をレイアウトすることができ、額縁部分を狭くしても引き廻し導電部間のピッチを余裕を持って設計することができ、引き廻し抵抗が増大するという問題が生じることもない。
【0031】
また、本発明の液晶装置においては、偏光層と液晶層との間に光学補償層を介在させてもよい。光学補償層を設けることにより、光が液晶層を透過することで発生した波長分散が補償されるので、より高コントラストの液晶装置を得ることができる。
【0032】
前記偏光層としては、種々の材料を用いることができ、例えばヨウ素系染料を含有したポリビニルアルコール(PVA)等を使用することができるが、その場合、偏光軸を一定方向に規定するのがやや難しい。その他、2色性染料を添加した液晶、特にホモジニアス構造を有し、常温で粘性の高い高分子液晶のような液晶を使用することもできる。その場合、偏光層と基板との間に配向層を設け、この配向層によって偏光層中の液晶の配向方向を規制するようにすれば、液晶分子とともに2色性染料分子が一定方向に配向するので、容易に偏光軸を一定方向に規定することができる。
【0033】
また、本発明の液晶装置においては、第1の基板の外面側周縁部に、駆動用IC等の電子部品の入力端子と電気的に接続した外部接続端子を設けることが望ましい。
【0034】
外部接続端子を周縁部に設けておけば、駆動用ICに駆動信号を供給するためのFPCなどをさらに実装するような場合、外部接続端子とFPCの端子を接合する際の位置合わせを容易に行うことができる。また、FPC接合時もしくは接合後、接合部分に応力が発生する場合があるが、その位置が表示領域から外れた基板周縁部であれば、前記応力が表示に悪影響を及ぼすこともない。
【0035】
また、本発明の液晶装置においては、第1の基板上の第1の導電部が光反射性を有する材料で形成され、該第1の導電部が前記光反射部を兼ねる反射電極とされたものとしてもよい。
【0036】
この構成とした場合、第1の導電部と光反射部とを一工程で同時に形成することができるので、製造工程を簡略化することが可能となる。
【0037】
また、この構成とした場合、第1の導電部の光反射部を兼ねる部分には光反射率の高い銀(または銀を含有する合金)、アルミニウム等の金属材料を用い、その他の部分には引き廻し抵抗低減のために低抵抗材料である銅等の金属材料を用いるというように、各々の機能に最適な導電材料を選択することができる。その結果、製造工程の簡略化という上記の利点は得られない代りに、表示品質を高めることができる。
【0038】
本発明の電子機器は、上記本発明の液晶装置を備えたことを特徴とする。
【0039】
上記本発明の液晶装置を備えたことにより、高画質、高信頼性の液晶表示部を有する電子機器を安価に提供することができる。また、狭額縁化による小型の液晶装置を備えたことによって、装置全体が小型である割に表示領域が広く、携帯性に優れた電子機器を実現することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図14を参照して説明する。
【0041】
本実施の形態は、本発明の液晶装置をパッシブマトリクス型液晶表示装置に適用した例であって、光反射部を兼ねた表示電極、いわゆる反射電極を有する液晶表示装置の例である。
【0042】
図1は本実施の形態の液晶表示装置全体を上面側から見た斜視図、図2は下面側から見た斜視図、図3は下側基板の上面(電極形成面)図、図4は下側基板を下面側から観た透過平面図(電子部品の実装面側から観た透過平面図)、図5は上側基板の下面(電極形成面)図、図6は上側基板と下側基板を重ね合わせた状態を示す透過平面図、図7は図6のA−A’線に沿う断面図、図8は図6のB−B’線に沿う断面図である。なお、以下の全ての図面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0043】
本実施の形態の液晶表示装置1は、図1に示すように、下側基板2(第1の基板)と上側基板3(第2の基板)とが対向配置され、シール材(図1では図示略)によって接着されるとともに基板間でシール材に囲まれる領域に液晶層(図1では図示略)が挟持されている。本実施の形態では、下側基板2としてポリイミド等からなる不透明基板が用いられ、上側基板3として2軸延伸のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる透明基板が用いられている。なお、2軸延伸のPETフィルムに代えて、ポリエチレンシートを用いることも可能である。
【0044】
以下の説明では、双方の基板の液晶層に面する側の面を「内面」、それと反対側の面を「外面」という。即ち、双方の基板において液晶層が配置される側の面を「内面」、それと反対側の面を「外面」という。
【0045】
下側基板2の内面上には多数の信号電極6(第1の導電部)がストライプ状に設けられ、それと対向する上側基板3の内面上には信号電極6と直交する方向に延在する多数の走査電極7(第2の導電部)がストライプ状に設けられている。そして、信号電極6と走査電極7が交差する部分が個々の画素8となり、多数の画素8がマトリクス状に配列した領域が表示領域9となる。なお、本実施の形態では下側基板2側の電極を信号電極、上側基板3側の電極を走査電極として説明するが、これは逆であっても一向にかまわない。
【0046】
図2に示すように、下側基板2の外面上において、平面的に表示領域9に対応する領域内に駆動用IC10(電子部品)が実装されている。この駆動用IC10は、外部回路(図示せず)から外部接続端子26を通じて入力された信号を受けて信号電極6に対しては画像信号を、走査電極7に対しては走査信号を供給するものである。また、下側基板2の外面上には、後述する信号電極用引き廻し配線(第1の引き廻し導電部)の一部を構成する信号電極用接続配線12(第1の外面上接続部)、および走査電極用引き廻し配線(第2の引き廻し導電部)の一部を構成する走査電極用接続配線14(第2の外面上接続部)がそれぞれ配設されており、駆動用IC10の端子(図2、図4は図示省略)と電気的に接続されている。
【0047】
図3に示すように、下側基板2の内面上に、アルミニウムや銀(または銀を含有する合金)などの光反射率の高い金属薄膜からなる多数の信号電極6がストライプ状(帯状)に設けられている。これら信号電極6は反射層を兼ねており、表示時には上側基板3の外方から入射し、液晶層を透過した光が下側基板2の内面に達してこれら信号電極6の表面で反射し、画像表示がなされるようになっている。信号電極6の一端はそのまま電極の延在方向に細く延び、その先端が円形に形成され、後述する孔内接続部(第1の孔内接続部)と接続するためのランド16となっている。ランド16は下側基板2において信号電極6の延在方向の基板辺に沿って端部に配置されている。ランド16の中央には、下側基板2の内面、外面間を貫通するスルーホールが形成されている。信号電極6の端部のこの部分が、信号電極6と駆動用IC10とを電気的に接続する信号電極用引き廻し配線の一部を構成する信号電極用接続配線18となる。
【0048】
本実施の形態の場合、信号電極用接続配線18は、図3における最上部の信号電極6から順に、信号電極6の左側、右側、左側、…というように交互に反対側の領域に引き出されているため、上下方向に隣接する接続配線間の間隔が広く、接続配線同士が短絡しにくく信頼性が確保されている。しかしながら、特に接続配線間の間隔等に問題がなければ、全ての接続配線を同方向に引き出したり、例えば上側半分の接続配線を左側、下側半分の接続配線を右側と分けて引き出すなど、接続配線の引き出し方向は任意で良い。また、スルーホールを直線的に配置するのではなく、ジグザグ(千鳥配列)に配置することで狭ピッチにも対応可能になる。さらに、特に接続配線として信号電極6よりも細い部分を作らなくても、単に信号電極6の端部にスルーホールを設けた構成でも良い。
【0049】
また、下側基板2においてランド16が端部で配置された基板辺と隣接する他の一方の基板辺の端部には、後述する上下導通部(基板間接続部)と孔内接続部(第2の孔内接続部)との間を電気的に接続する多数の走査電極用接続配線21(第2の内面上接続部)が形成されている。これら走査電極用接続配線21は上側基板3の各走査電極7とランド22で上下基板間の上下導通により電気的に接続されるものである。本実施の形態の場合、各走査電極用接続配線21の一端は上下導通部に接する矩形のランド22、他端は孔内接続部に接する円形のランド23となっており、円形のランド23の中央には下側基板2の内面、外面間を貫通するスルーホールが形成されている。これら走査電極用接続配線21も信号電極6と同じアルミニウムなどの材料で形成されている。
【0050】
図4は、図3に示す下側基板2を裏返した状態を示している。下側基板2の外面上には、図3に示した信号電極用接続配線18のランド16の中に形成されたスルーホール、走査電極用接続配線21のランド23の中に形成されたスルーホールの位置に対応して円形のランド24,25がそれぞれ設けられている。更に下側基板2の外面上には、信号電極用接続配線18のランド16の中に形成されたスルーホールに対応する各ランド24から駆動用IC10の実装領域に向けて信号電極用接続配線12がそれぞれ設けられ、同様に走査電極用接続配線21のランド23の中に形成されたスルーホールに対応する各ランド25から駆動用IC10の実装領域に向けて走査電極用接続配線14が設けられている。
【0051】
下側基板2の周縁部の4辺(四つの基板辺)のうち、3辺(三つの基板辺)に沿って上記多数のランド24,25が配置されており、上側基板3の内面に形成された走査電極7との電気的接続(上下導通)がなされる基板辺(ランド25が配置される基板辺)と対向する残りの1辺に沿って多数の外部接続端子26が形成されている。つまり、下側基板2の外面上に形成される外部接続端子26は、上側基板3の内面に形成された走査電極7の延在方向に位置する下側基板2の基板辺に沿って端部で配列形成されている。外部接続端子26は、この液晶表示装置1と駆動用外部回路等をFPCや異方性導電コネクター(またはラバーコネクター)などの接続用部品を用いて接続する際にそのFPCの端子と接続するための端子である。そして、これら外部接続端子26の各々から駆動用IC10の実装領域に向けて、駆動用IC10に駆動信号を供給するための信号入力用配線41がそれぞれ設けられている。本実施の形態の場合、下側基板2の外面に形成された信号電極用接続配線12、走査電極用接続配線14、外部接続端子26、信号入力用配線41等は全て、内面側の信号電極6、各接続配線18,21等と同じく、アルミニウム等や銀(または銀を含有する合金)の材料から形成されている。つまり、上側基板3の内面に形成された走査電極7以外の配線、及び電極は同じ材料から形成されている。
【0052】
なお、下側基板2の外面は、駆動用IC10の実装領域および外部接続端子26の形成領域を除く、配線が露出した領域をポリイミド、レジスト等の樹脂を用いて被覆しておくことが望ましい。このような被覆層を形成すると、信号電極用接続配線12、走査電極用接続配線14、信号入力用配線41等の配線の腐食、断線、ショート等の不具合を防止することができる。
【0053】
図5に示すように、上側基板3の内面上に、ITOなどの透明導電性薄膜からなる多数の走査電極7がストライプ状(帯状)に設けられている。図5における各走査電極7の長さ方向(配線形成方向)の端部が上下導通部に接続される部分となる。なお、図示しない上側基板3の外面側は何も形成されていない平坦な面となっている。
【0054】
上記構成の下側基板2と上側基板3を重ね合わせると、図6に示すようになる。図6において、2点鎖線で示した符号27の部材は両基板を接着するとともに液晶層を基板間に封止するためのシール材である。信号電極6と走査電極7が交差する部分が個々の画素8となり、多数の画素8がマトリクス状に配列した領域が表示領域9となる。本実施の形態の場合、下側基板2の外形よりも上側基板3の外形の方が小さく、下側基板2の周縁部は上側基板3の外側にはみ出している。下側基板2の内面上の各信号電極用接続配線18の先端のランド16の部分は、それぞれ上側基板3の外側にはみ出して位置している。つまり、各信号電極6から導出される各信号電極用接続配線18はシール材の形成部を突き抜け、更に上側基板3の外形(外周)よりも外側に延在して形成され、その先端部分にランド16が配置されている。一方、下側基板2の内面上の各走査電極用接続配線21については、上下導通部に接する矩形のランド22の部分がシール材27の部分に位置し、スルーホールが設けられた円形のランド23の部分が上側基板3の外側にはみ出して位置している。
【0055】
図7は図6のA−A’線に沿う断面図、すなわち信号電極6に沿った方向に切断した断面図である。この図に示すように、下側基板2と上側基板3との間にシール材27が挟持され、下側基板2と上側基板3とシール材27とにより密閉された空間に液晶層28が挟持されている。ここでは、液晶層28として例えばSTN(Super Twisted Nematic)液晶等の一般的な液晶を用いることができる。
【0056】
下側基板2の内面上に信号電極6および信号電極6と一体形成された信号電極用接続配線18が形成されるとともに、下側基板2の外面上には信号電極用接続配線12が形成され、双方の信号電極用接続配線12,18の先端のランドの部分には基板を貫通するスルーホール17が形成されている。スルーホール17の内部には銀ペースト等の導電性材料が充填されており、この導電性材料が、内面側の信号電極用接続配線18と外面側の信号電極用接続配線12とを電気的に接続する孔内接続部15を構成している。
【0057】
ここで、孔内接続部15のより詳細な構成としては、例えば図11(a)に示すように、スルーホール17の内部に銀ペースト等の導電性材料を埋め込んで孔内接続部15を形成した後、導電性材料の表面を絶縁性の樹脂で被覆するなどして被覆層29を形成すると、導電性材料の腐食を防止することができる。もしくは、図11(b)に示すように、スルーホール17の内部に導電性材料を埋め込んで孔内接続部15を先に形成した後、孔内接続部15の上面および下面を覆うように下側基板2の内面上および外面上にそれぞれ信号電極用接続配線18,12を形成してもよい。
【0058】
もしくは、孔内接続部は、内面側および外面側の信号電極用接続配線同士を電気的に接続できればよいのであって、必ずしも孔の内部全体に埋め込まれていなくてもかまわない。したがって、図12に示すように、電解メッキ法を用いてスルーホール17の内壁にのみ導電性材料を付着させ、孔内接続部30としてもよい。
【0059】
また図7に示すように、下側基板2の外面上に形成された信号電極用接続配線12のスルーホール17が設けられた側と反対側の端部には、駆動用IC10の端子31が接続されている。以上のような配線構造を採ることにより、駆動用IC10から出力された画像信号は、下側基板2の外面上の信号電極用接続配線12、孔内接続部15、下側基板2の内面上の信号電極用接続配線18を経由して各信号電極6に供給される。よって、これら下側基板2の外面上の信号電極用接続配線12、孔内接続部15、下側基板2の内面上の信号電極用接続配線18が信号電極用引き廻し配線11を構成することになる。
【0060】
図7に示す駆動用IC10の実装形態は、ICの表面(端子形成面)側を基板側に向けた、いわゆるフェイスダウン実装(もしくはILB(Inner Lead Bonding)実装)と呼ばれるものであり、例えばマトリクス状に配置された半田ボールが端子31を構成するBGA(Ball Grid Array)型半導体素子やバンプ電極をICの外形周辺部に沿って配置された半導体素子などが用いられる。
【0061】
もしくは、図10に示すように、駆動用IC32の裏面側を下側基板2上に固定し、IC表面側の電極パッド33と信号電極用接続配線12とをワイヤー34でボンディングした、いわゆるフェイスアップ実装(もしくはOLB(Outer Lead Bonding)実装)と呼ばれる実装形態により駆動用ICを実装してもよい。
【0062】
また図7に示すように、上側基板3の内面には多数の走査電極7が形成されている。そして、走査電極7の上には、偏光層用配向層91、偏光層90、液晶層用配向層36が順次積層されている。偏光層用配向層91は、表面がラビング処理されたポリイミド膜からなり、後述する偏光層90中の液晶分子を所定方向に配向させるためのものである。液晶層用配向層36は、偏光層用配向層91と同様にラビング等の配向処理が施されたポリイミド膜からなり、液晶層28中の液晶分子を所定方向に配向させるためのものである。また、下側基板2の液晶層28に接する側の最上層にも、液晶層用配向層35が形成されている。
【0063】
本実施の形態の場合、偏光層90は、例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料等に代表されるような2色性染料を添加したライオトロピック液晶から形成されている。偏光層90の内部構造は、図14に示すように、棒状の分子構造を持つ2色性染料分子93と液晶分子94とが混在した状態となっており、偏光層用配向層91によって規定された配向方向に沿って液晶分子94が水平配向し、その配向方向に一致するように2色性染料分子93も水平配向する。この偏光層90は、2色性染料分子93の長軸方向に平行な偏光は吸収し、垂直な偏光は透過する特性を有しており、したがって、偏光層用配向層91による2色性染料分子93の配向方向によって偏光層としての偏光軸の方向が規定される。
【0064】
また、下側基板2と上側基板3の間には基板間の間隔(以下、セルギャップという)を一定に保持するためのスペーサ37が散布されている。
【0065】
図8は、図6のB−B’線に沿う断面図、すなわち走査電極7に沿った方向に切断した断面図であり、走査電極用引き廻し配線13の構成が示されている。この図に示すように、上側基板3の内面上に、シール材27の上面と走査電極7の端部で接触するように走査電極7が形成されている。また、下側基板2の内面上には、多数の信号電極6が形成されるとともに、シール材27の下面と接触するように走査電極用接続配線21が形成されている。ここで、シール材27の内部には樹脂等のバインダー中に金属粒子、プラスチックボールの表面を金属めっきした粒子等の導電材が混入されており、シール材27の上面および下面にそれぞれ接触した走査電極7と走査電極用接続配線21とが異方性を有して電気的に接続されて上下導通部19を構成している。
【0066】
以下、下側基板2の内面から外面にわたって電気的に接続される構成は、信号電極用引き廻し配線11の場合と同様である。すなわち、下側基板2の外面上に走査電極用接続配線14が形成され、内面側、外面側双方の走査電極用接続配線21,14の先端のランド23,25の部分にスルーホール38が形成されている。スルーホール38の内部には銀ペースト等の導電性材料が充填され、この導電性材料が孔内接続部20を構成し、内面側、外面側の走査電極用接続配線21,14を互いに電気的に接続している。
【0067】
また、下側基板2の外面上の走査電極用接続配線14の一端にはスルーホール38が設けられ、反対側の端部には駆動用IC10の端子31が接続されている。以上のような配線構造を採ることにより、駆動用IC10から出力された走査信号は、下側基板2の外面上の走査電極用接続配線14、孔内接続部20、下側基板2の内面上の走査電極用接続配線21、上下導通部19を経由して各走査電極7に供給される。よって、これら下側基板2の外面上の走査電極用接続配線14、孔内接続部20、下側基板2の内面上の走査電極用接続配線21、および上下導通部19が走査電極用引き廻し配線13を構成することになる。
【0068】
なお、シール材27の内部に導電材を混入してこの部分を上下導通部19とすることに代えて、例えば図9に示すように、上側基板2の内面上でシール材27外側の下側基板2のスルーホール38の上方にあたる位置まで走査電極7を延在させ、下側基板2のスルーホール38の上方に任意の上下導通材39を形成し、この部分を上下導通部40としてもよい。この上下導通材39は、例えば銀ペースト等の印刷により形成することができる。この構成の場合、シール材27の部分では電気的導通がないが、上下導通材39の形成部分で基板間の導通がなされ、導通経路としては図8の配置、及び接続構造とほとんど同様になる。
【0069】
以下、上記構成の液晶表示装置の製造方法について説明する。
【0070】
下側基板2の材料としてポリイミド基板を用意し、基板の表裏両面にアルミニウム等の金属材料からなる導電性薄膜を成膜する。次に、基板両面の導電性薄膜上に感光性レジストを塗布した後、基板両面上にフォトマスクを配置し、同時に露光を行う。次いで、周知のフォトリソグラフィー、エッチング技術を用いて下側基板の表裏両面の導電性薄膜のパターニングを同時に行うことにより、上述の下側基板2内面側の信号電極6、各接続配線18,21、外面側の信号電極用接続配線12、走査電極用接続配線14、信号入力用配線41、外部接続端子26等を一括して形成する。
【0071】
次に、基板上の各接続配線端部の所定の箇所にCO2レーザー等を照射することによって基板を貫通するスルーホール17,38を形成する。スルーホールの他の形成方法としては、レジストパターンをマスクとしたケミカルエッチング等を用いてもよい。その後、スルーホール17,38の内部に銀ペースト等の導電性材料を充填して孔内接続部15,20を形成し、下側基板2両面の各接続配線間を電気的に導通させる。また、孔内接続部の他の形成方法としては、電解メッキ処理等を用いてスルーホールの内壁に導電性材料を付着させる方法でもよい。いずれにしても、本実施の形態の場合、基板の表裏両面の導電性薄膜材料を同じにしたことによって、1回のフォトリソグラフィー、エッチング工程で下側基板2内面側の信号電極等と外面側の各種接続配線等を同時に形成できるため、製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0072】
一方、上側基板3の材料として2軸延伸のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、基板の一面(内面となる面)側にITO等の透明性導電膜を成膜する。次いで、周知のフォトリソグラフィー、エッチング技術を用いて透明性導電膜をパターニングし、ストライプ状の走査電極7を形成する。その上にポリイミド膜を形成し、ラビング処理して偏光層用配向層91とする。この偏光層用配向層91の上に2色性染料を添加したライオトロピック液晶をスピンコート法により塗布した後、180℃で等方処理し、偏光層90とする。
【0073】
次に、下側基板2、上側基板3双方の内面上にポリイミド等を塗布、焼成した後、ラビング法等による配向処理を施して液晶層用配向層35、36をそれぞれ形成する。次いで、下側基板2、上側基板3のいずれか一方の基板上にセルギャップを保持するためのスペーサ37を散布し、シール材27となる樹脂材料を印刷した後、下側基板2と上側基板3とを貼り合わせ、シール材27を硬化させて、空セルを作製する。本実施の形態の場合、シール材27の部分を上下導通部とするためにシール材27となる樹脂材料の中に金属粒子等の導電材を混入させておく。
【0074】
次に、空セル内に、真空注入法等によりシール材の液晶注入口から液晶を注入し、液晶注入口を封止することで液晶セルが作製される。さらに、上側基板3の外面側に位相差板4を貼着した後、下側基板2の外面側にフェイスダウン実装、フェイスアップ実装等の形態で駆動用IC10を実装する。以上の工程により、本実施の形態の液晶表示装置1が完成する。
【0075】
本実施の形態で上側基板3の材料として用いた2軸延伸PETフィルムは光学的異方性を有しており、このフィルムに光を透過させると複屈折が生じる。しかしながら、本実施の形態の液晶表示装置1の構成によれば、液晶層28と偏光層90との間に基板が介在していないため、液晶層28を透過した後の偏光が、その偏光状態を維持したままで偏光層90を透過する。この時点で偏光層90を透過した各波長の光量(透過率)は決定してしまうため、基板に複屈折があっても各波長毎の光量(透過率)が変わることはなく、コントラストが低下することはない。
【0076】
このように、本実施の形態の液晶表示装置1においては、基板材料として従来では使用できなかった、価格の安い2軸延伸のPETフィルムを用いることができるので、コントラストを低下させることなく製造コストの低減が図れ、高画質、低価格の液晶装置を提供することができる。また、基板2,3の内面側に偏光層90を作り込む構成であるから、従来のように偏光板の反りや剥がれの問題も発生しない。
【0077】
また、偏光層90の材料として2色性染料を添加したライオトロピック液晶を用いるとともにライオトロピック液晶分子を配向させるための偏光層用配向層91を設けた構成としているので、偏光軸が一定方向に規定された偏光層を比較的容易に形成することができる。
【0078】
さらに、偏光層90が液晶セルの内部に形成されるため、使用時に視差が発生することがない。さらに、複屈折を有する基板を用いたことで光が液晶セルから出射する際に偏光の解消が起こるため、偏光サングラスの使用時でも画像を容易に認識することができる。
【0079】
また、本実施の形態の液晶表示装置1においては、下側基板2の外面上に下側基板2内面の信号電極6および上側基板3内面の走査電極7と電気的に接続され、これら電極に対して信号を供給する駆動用IC10が実装されている。そして、従来の構成では、各電極の引き廻し配線が例えば下側基板の内面上の表示領域の外側に引き廻されていたのに対し、本実施の形態の構成では、信号電極用引き廻し配線11、走査電極用引き廻し配線13の双方が、下側基板2、上側基板3各々の内面から下側基板2の内部を通って下側基板2の外面側に引き廻されている。
【0080】
したがって、本実施の形態によれば、従来の構成において下側基板内面の表示領域の外側に設けていた引き廻し領域、さらにはFPCや電子部品の実装領域が不要となるので、その分だけ従来に比べて大幅に額縁を狭くすることができる。また、表示領域9内を含めて下側基板2の外面側全面に多数の接続配線をレイアウトすることができ、接続配線間のピッチを余裕を持って設計することができるので、引き廻し抵抗が増大するという問題が生じることもない。
【0081】
さらに、本実施の形態で下側基板2の材料にポリイミドを用いたように、下側基板2は必ずしも透明基板である必要はないため、液晶表示装置の基板材料として従来から一般的なガラス、石英等の透明基板の他、ポリイミド等の樹脂基板、セラミック基板等を用いることもでき、下側基板2の材料選択の自由度が向上する。例えば下側基板2にセラミック基板を用いた場合、下側基板の剛性が向上するので、基板の変形が生じにくくなり、セルギャップの均一性、ひいては表示の均一性に優れた液晶表示装置が得られる。また、上下の基板ともにプラスチックフィルム基板等の可撓性を有する基板で構成しても良い。この構成にすると、液晶表示装置の薄型化、軽量化が図れる、基板の割れ等の破損が生じにくくなる、基板を湾曲させることで曲面表示が可能になる、等の利点が得られ、携帯機器等の電子機器に好適なものとなる。
【0082】
また、下側基板2外面の周縁部に外部接続端子26が設けられているので、駆動用IC10に駆動信号を供給するためのFPCなどをさらに実装するような場合、外部接続端子26とFPCの端子を接続する際の位置合わせを容易に行うことができる。また、FPC接合時もしくは接合後、接合部分に応力が発生する場合があるが、その位置が表示領域9から外れた基板周縁部であれば、前記応力が表示に悪影響を及ぼすこともない。
【0083】
本実施の形態の場合、下側基板2のスルーホール17,38の位置をシール材27の外側に配置したため、スルーホール17,38の孔内接続部15,20の部分が下側基板2上で若干盛り上がった形状となったとしても、その影響でシール材27内部の表示領域9のセルギャップが変わるようなこともなく、画像表示上何ら支障がない。
【0084】
また本実施の形態では、上述したように、下側基板2の内面側の信号電極6等と外面側の各種接続配線等をアルミニウムなどの同じ材料で構成したため、製造工程の簡略化を図ることができたが、下側基板2の内面側の信号電極6等と外面側の各種接続配線等を異なる材料で形成してもよい。例えば、内面側の信号電極6には光反射率の高い銀(または銀を含有する合金)、アルミニウム等の金属材料を用い、外面側の接続配線には低抵抗材料である銅等の金属材料を用いるようにしても良い。このようにすると、製造工程の簡略化という上記の利点は得られない代りに、引き廻し抵抗のより一層の低減を図ることができる。
【0085】
また下側基板2の構成に関しては、基板の内外面に導電層を形成し基板を貫通するスルーホールにより、内外面の導電層の導通を図る基板だけでなく、例えば図13に示すように、下側基板2の内部に1層以上の内部導電層42を有する基板、いわゆる多層プリント配線基板のような基板で構成してもよい。この場合には、下側基板2の内面と外面の間の電気的導通は、下側基板2の内面と内部導電層42との間を貫通及び導通するビアホール43内の孔内接続部44、および下側基板2の外面と内部導電層42との間を貫通及び導通するビアホール45内の孔内接続部46(もしくは内部導電層が2層以上ある場合には相互の内部導電層間を貫通及び導通するビアホール内の孔内接続部)によってなされることになる。
【0086】
下側基板2にこの種の基板を用いると、例えば引き廻し配線の数が増え、下側基板の外面上だけで多数の引き廻し配線を引き廻すことが難しくなった場合に、一部の引き廻し配線を内部導電層を経由して引き廻すこともできる。そうすれば、引き回しの自由度が向上するので、表示容量の増大にも対応することが可能になる。
【0087】
なお、本実施の形態では、下側基板を上側基板の外形より大きくして、スルーホールをシール材の外側に配置するとともに、外部接続端子を下側基板の外面上で上側基板から下側基板が張り出した領域の基板辺に沿って配置したが、上側基板と下側基板をほぼ等しい大きさにして、スルーホールをシール材の直下に配置(即ち、シール材の形成領域にスルーホールを配置)し、外部接続端子を下側基板の外面上で上下両基板の重なる領域に配置してもよい。この場合、さらに狭額縁化を図ることができる。
【0088】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態を図15、図16を参照して説明する。
【0089】
本実施の形態も第1の実施の形態と同様、本発明の液晶装置をパッシブマトリクス型液晶表示装置に適用した例である。しかしながら、第1の実施の形態が反射電極を有するタイプの反射型液晶表示装置の例であったのに対して、本実施の形態の液晶表示装置は反射層と表示電極とを別個に有するタイプの反射型液晶表示装置の例である。
【0090】
本実施の形態の液晶表示装置の全体構成は、第1の実施の形態と共通であるため、共通な構成については図示および説明を省略する。図15は第1の実施の形態の図7(図6のA−A’線に沿う断面図)に対応する断面図、図16は第1の実施の形態の図8(図6のB−B’線に沿う断面図)に対応する断面図である。なお、これらの図面において、図7、図8と共通の構成要素については同一の符号を付す。
【0091】
本実施の形態の液晶表示装置58においては、図15および図16に示すように、下側基板2上の表示領域全域にアルミニウム、銀(または銀を含有する合金)等の光反射率の高い金属薄膜からなる反射層59が形成されている。そして、この反射層59を覆うように絶縁膜60が形成され、その絶縁膜60上に多数の信号電極6がストライプ状に形成されている。信号電極6は、絶縁膜60および反射層59の形成領域外では下側基板2上に直接形成された状態となっているため、スルーホール17,38の部分の接続構造は第1の実施の形態と全く同様である。
【0092】
また、図24示すように、信号電極用接続配線18を反射層59を形成する際に同時に形成し、少なくとも表示領域内の反射層59表面に絶縁膜60を形成し、絶縁膜60上に多数の信号電極6をストライプ状に形成し、信号電極6を延伸させて信号電極用接続配線18と電気的に導通させる構成としてもよい。
【0093】
本実施の形態の場合、信号電極6は光反射層を兼ねておらず、信号電極6の下方に反射層59が別個に形成されている。したがって、表示時には、光が2軸延伸のPETフィルムからなる上側基板3の外方から入射し、液晶層28を透過し、反射層59の表面で反射して画像表示がなされるようになっている。このため、反射層59の上方に位置する信号電極6は透明でなければならない。したがって、本実施の形態では、信号電極6は上側基板3の走査電極7と同様、ITO等の透明性導電膜で形成されている。また第1の実施の形態と同様、図16に示すように、下側基板2の内面上には、シール材27の部分の上下導通部19とスルーホール38の部分の孔内接続部20とを電気的に接続する走査電極用接続配線21が設けられているが、この走査電極用接続配線21は、反射層59と同じ材料であるアルミニウム、銀(または銀を含有する合金)等の金属膜で形成してもよいし、信号電極6と同じ材料であるITO等の透明性導電膜で形成してもよい。いずれにしろ、反射層59または信号電極6と同じ材料を用いる限り、製造工程が増えることはない。
【0094】
一方、下側基板2の外面側には、信号電極用接続配線12、走査電極用接続配線14、信号入力用配線等が設けられており、これら配線の引き廻しについては第1の実施の形態と同様であるが、配線の材料としては銅等の低抵抗金属材料が用いられている。
【0095】
本実施の形態の液晶表示装置58においても、液晶層28と偏光層90との間に基板が介在していないため、液晶層28を透過した後の偏光が、その偏光状態を維持したままで偏光層90を透過する。この時点で偏光層90を透過した各波長の光量(透過率)は決定してしまうため、基板に複屈折があっても各波長毎の光量(透過率)が変わることはなく、コントラストが低下することはない。
【0096】
したがって、基板材料として第1の実施の形態と同様に価格の安い2軸延伸のPETフィルムを用いても、コントラストを低下させることがなく、高画質、低価格の液晶表示装置を提供することが可能となる。また、基板2,3の内面側に偏光層90を作り込む構成であるから、偏光板の反りや剥がれの問題も発生しない等、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0097】
本実施の形態の液晶表示装置58においても、下側基板2にスルーホール17,38を設け、信号電極6、走査電極7それぞれの引き廻し配線11,13を下側基板2の外面側に引き廻し、駆動用IC10を実装したことにより、下側基板2の内面の表示領域外側に設けていた引き廻し領域、さらにはFPCや電子部品の実装領域が不要となる。よって、狭額縁化を図ることができるという第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
さらに本実施の形態の場合、反射層59と信号電極6とを別個に設けているため、反射層として必要な特性と信号電極として必要な特性とを分けて考えることができ、特に信号電極の設計の自由度を上げることができる。しかも本実施の形態の場合、下側基板2外面の各種接続配線等には銅等の低抵抗金属材料を用いたため、内面側の導電層材料と異なることで製造プロセスが若干複雑にはなるものの、引き廻し抵抗が低減し、表示品質の向上を図ることができる。
【0099】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態を図17を参照して説明する。
【0100】
本実施の形態も第1の実施の形態と同様、本発明の液晶表示装置をパッシブマトリクス型液晶表示装置に適用した例である。そして、第1の実施の形態と異なる点は上側基板に光学補償層を設けた点である。
【0101】
本実施の形態の液晶表示装置の全体構成は、第1の実施の形態と共通であるため、共通な構成については図示および説明を省略する。図17は第1の実施の形態の図7(図6のA−A’線に沿う断面図)に対応する断面図である。なお、この図面において、図7と共通の構成要素については同一の符号を付す。
【0102】
本実施の形態の液晶装置50では、図17に示すように、上側基板3の内面には、多数の走査電極7が形成され、走査電極7の上に、偏光層用配向層91、偏光層90、光学補償層用配向層95、光学補償層96、液晶層用配向層36が順次積層されている。本実施の形態の場合、上側基板3は、1軸延伸のポリカーボネート(PC)フィルムからなるものである。また、光学補償層96は、ライオトロピック液晶から構成されている。光学補償層用配向層95は、偏光層用配向層91、液晶層用配向層36と同様にポリイミド膜からなるものであり、光学補償層96中の液晶分子を所定方向に配向させるためのものである。
【0103】
上記構成の液晶装置を製造する場合、特に上側基板3を製造する際には、まず1軸延伸PCフィルムを準備し、その上にストライプ状の走査電極7を形成する。その上にポリイミド膜を形成し、ラビング処理して偏光層用配向層91とする。次に、偏光層用配向層91上に2色性染料を添加したライオトロピック液晶をスピンコート法により塗布した後、180℃で等方処理し、これを偏光層90とする。次に、偏光層90上にポリイミド膜を形成し、ラビング処理して光学補償層用配向層95とする。次に、ライオトロピック液晶をスピンコート法により塗布し、これを光学補償層96とする。
【0104】
なお、偏光層90と光学補償層95の双方の材料となるライオトロピック液晶の等方転移温度は、同等か、もしくは光学補償層用のライオトロピック液晶の方が低いことが好ましい。その理由は、こうすることにより光学補償層95より偏光層90の方がより配向が乱れにくくなるからである。仮に偏光層90の配向が乱れた場合には偏光層の偏光度の低下等により表示のコントラストが低下し、表示品質の低下を招く。
【0105】
次に、光学補償層95上にポリイミド膜を形成し、ラビング処理して液晶層用配向層36とする。このPCフィルムと別途作成した下側基板2とをシール材27により貼り合わせて空セルを作製し、この空セル内に液晶を注入することによって液晶セルとされる。
【0106】
本実施の形態で用いた1軸延伸PCフィルムも2軸延伸PETフィルムと同様、光学的異方性を有しており、光の透過により複屈折が生じるが、液晶層28と偏光層90との間に基板が介在していないため、基板に複屈折があっても偏光層透過後の各波長の光量(透過率)が変わることはなく、コントラストが低下することはない。さらに本実施の形態の場合、上側基板3の偏光層90と液晶層28との間に光学補償層95を設けたことにより、光が液晶層28を透過したことで生じた波長分散が補償されるので、コントラストをより向上させることができる。
【0107】
その他、価格の安い1軸延伸のPCフィルムの使用により製造コストの低減が図れる、偏光板の反りや剥がれが発生しない、等の効果が得られることは第1の実施の形態と同様である。
【0108】
本実施の形態は、上側基板に光学補償層が設けられたパッシブマトリクス型液晶表示装置の例であるが、この場合も上記第1および第2の実施の形態と同様に、下側基板2の内面の表示領域外側に設けていた引き廻し領域、さらにはFPCや電子部品の実装領域が不要となる。よって、狭額縁化を図ることができるという第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、下側基板2の外面側全域を引き廻し配線のためのスペースとできるので、充分な配線ピッチを確保することができ、引き廻し抵抗の増大を招くこともない。
【0109】
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態を図18を参照して説明する。
【0110】
本実施の形態も第1の実施の形態と同様、本発明の液晶表示装置をパッシブマトリクス型液晶表示装置に適用した例である。そして、第1の実施の形態と異なる点は、下側基板2、上側基板3が同方向に湾曲して全体が一方向に湾曲している点である。
【0111】
本実施の形態の液晶表示装置の構成自体は、第1の実施の形態と全く同様であるため、共通な構成については図示および説明を省略する。図18は第1の実施の形態の図7(図6のA−A’線に沿う断面図)に対応する断面図である。なお、この図面において、図7と共通の構成要素については同一の符号を付す。
【0112】
本実施の形態の液晶装置52は、図18に示すように、下側基板2、上側基板3が同方向に湾曲して全体が一方向に湾曲している。
【0113】
本構成の液晶装置を製造する際には、第1の実施の形態と同様に、下側基板2および上側基板3を作成し、一方の基板上にシール材として熱硬化型1液エポキシ樹脂でパターンを形成した後、湾曲したホットプレート上で両基板を貼り合わせ、加圧を行えばよい。もしくは、一方の基板上にシール材として光熱硬化型エポキシ樹脂でパターンを形成した後、湾曲した金属ステージ上で両基板を貼り合わせ、加圧を行い、さらに光照射によりシール材を硬化させてもよい。
【0114】
本実施の形態においても、コントラスト低下が少なく、高画質、低価格の液晶装置が実現できるという上記第1〜第3実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、基板材料を選択する際の自由度が上がることでより可撓性の高い基板材料を選ぶことも可能になり、曲面表示型液晶装置の製造を容易にすることができる。また、偏光板を外付けしていた従来の構造と異なり、偏光層が液晶セルの内部に形成されているため、基板を湾曲させても偏光板の反りや剥がれの問題もなく、機械的強度が高く、信頼性に優れた曲面表示型液晶装置を実現することができる。
【0115】
また、本実施の形態においても上記第1〜第3の実施の形態と同様に、下側基板2の内面の表示領域外側に設けていた引き廻し領域、さらにはFPCや電子部品の実装領域が不要となる。よって、狭額縁化を図ることができる。また、上記第1〜第3の実施の形態と同様に、下側基板2の外面側全域を引き廻し配線のためのスペースとできるので、充分な配線ピッチを確保することができ、引き廻し抵抗の増大を招くこともない。
【0116】
[電子機器]
上記実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の例について説明する。
図19は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図19において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0117】
図20は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図20において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0118】
図21は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図21において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0119】
図19〜図21に示す電子機器は、上記実施の形態の液晶表示装置を用いた液晶表示部を備えているので、狭額縁化による小型の液晶パネルを備えたことにより装置全体が小型である割に表示領域が広く、携帯性に優れた電子機器を実現することができる。
【0120】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0121】
例えば第1の実施の形態では反射電極を有するパッシブマトリクス型液晶表示装置の例、第2の実施の形態では反射層と表示電極を別個に有する液晶表示装置の例、第3の実施の形態では上側基板に光学補償層を有する液晶表示装置の例、第4の実施の形態では全体が一方向に湾曲している例をそれぞれ説明したが、これら実施の形態の特徴点を適宜組み合わせたものであってもよい。
【0122】
また、上記実施の形態で例示した各液晶表示装置の構成材料、形状、製造方法等の具体的な記載に関しては、適宜変更が可能なことは勿論である。また、本発明の液晶装置は、直視型のみならず、投射型液晶装置(プロジェクタ)の液晶ライトバルブに適用することもできる。
【0123】
また、上記実施の形態では、偏光層の構成材料として2色性染料を添加したライオトロピック液晶を用いたが、この種の液晶材料に限らず、ヨウ素系染料を添加したPVAを基板上に塗布するなどしてもよい。また、液晶装置を構成する各層の材料等は、上記実施の形態で挙げたもの以外にも変更が可能である。基板材料としても、上記実施の形態で挙げたPETフィルム、PCフィルム、ポリエチレンシートの他、ポリエーテルスルホン(PES)等を用いることもできる。さらに、上記実施の形態ではパッシブマトリクス駆動の液晶装置の例を挙げたが、本発明はアクティブマトリクス駆動の液晶装置にも適用可能である。
【0124】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の液晶装置によれば、基板の複屈折の有無に係わらず、基板中の光の透過に伴うコントラスト低下が生じないため、基板材料の選択の自由度が上がり、例えば2軸延伸のプラスチックフィルム等、高機能、低価格の基板材料を用いることができる。その結果、コントラストを低下させることなく、製造コストの低減が図れ、高画質、低価格の液晶装置を提供することができる。また、基板の内面側に偏光層を形成する構成であるから、従来のように偏光板の反りや剥がれの問題も発生せず、機械的強度も向上する。その他、視差の発生がない、偏光サングラスの使用時でも画像を容易に認識できる、曲面表示型液晶装置が作成しやすい、等の利点が得られ、実用性に優れたものとなる。
【0125】
さらに、従来、基板内面の表示領域外側に設けていた引き廻し領域やFPC、電子部品等の実装領域が不要となるので、従来に比べて大幅に額縁部分を狭くすることができる。また、表示領域内を含めて第1の基板の外面側全域に引き廻し導電部をレイアウトすることができ、引き廻し導電部間のピッチを余裕を持って設計することができ、引き廻し抵抗が増大するという問題が生じることもない。さらに、一方の基板が駆動回路の搭載基板としても機能するため、接続用部品の削減を図ることもできる。このように、狭額縁による小型の液晶装置を備えたことにより、装置全体が小型である割に表示領域が広く、携帯性に優れた電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の液晶表示装置全体を上面側から見た斜視図である。
【図2】 同、液晶表示装置を下面側から見た斜視図である。
【図3】 同、液晶表示装置を構成する下側基板の上面(電極形成面)図である。
【図4】 同、下側基板を下面側から観た透過平面図(電子部品の実装面側から観た透過平面図)である。
【図5】 同、液晶表示装置を構成する上側基板の下面(電極形成面)図である。
【図6】 同、上側基板と下側基板を重ね合わせた状態を示す透過平面図である。
【図7】 同、液晶表示装置の断面構造を示す図であって、図6のA−A’線に沿う断面図である。
【図8】 同、図6のB−B’線に沿う断面図である。
【図9】 同、液晶表示装置の上下導通部の他の例を示す断面図である。
【図10】 同、液晶表示装置の駆動用ICの実装形態の他の例を示す断面図である。
【図11】 同、下側基板の孔内接続部の例を示す図である。
【図12】 同、孔内接続部の他の例を示す図である。
【図13】 同、孔内接続部のさらに他の例を示す図である。
【図14】 同、液晶表示装置における偏光層の構成を示す断面図である。
【図15】 本発明の第2の実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す図であって、図6のA−A’線に沿う断面図である。
【図16】 同、液晶表示装置の断面構造を示す図であって、図6のB−B’線に沿う断面図である。
【図17】 本発明の第3の実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す図であって、図6のA−A’線に相当する断面図である。
【図18】 本発明の第4の実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す図であって、図6のA−A’線に相当する断面図である。
【図19】 本発明の電子機器の一例を示す斜視図である。
【図20】 本発明の電子機器の他の例を示す斜視図である。
【図21】 本発明の電子機器のさらに他の例を示す斜視図である。
【図22】 従来一般のパッシブマトリクス型液晶装置の概略構成を示す平面図である。
【図23】 従来の液晶装置のオフ状態の光学的特性を説明するための図である。
【図24】 本発明の第2の実施の形態において、信号電極と信号電極用接続配線との接続構造の他の例を示す図であって、図6のA−A’線に相当する断面図である。
【符号の説明】
1,50,52,58 液晶表示装置(液晶装置)
2 下側基板(第1の基板)
3 上側基板(第2の基板)
6 信号電極(第1の導電部)
7 走査電極(第2の導電部)
10,32 駆動用IC(電子部品)
11 信号電極用引き廻し配線(第1の引き廻し導電部)
12 信号電極用接続配線(第1の外面上接続部)
13 走査電極用引き廻し配線(第2の引き廻し導電部)
14 走査電極用接続配線(第2の外面上接続部)
15,30,44,46 孔内接続部(第1の孔内接続部)
17,38 スルーホール
18 信号電極用接続配線
19,40 上下導通部(基板間接続部)
20 孔内接続部(第2の孔内接続部)
21 走査電極用接続配線(第2の内面上接続部)
26 外部接続端子
27 シール材
28 液晶層
42 内部導電層
43,45 ビアホール
59 反射層
90 偏光層(偏光手段)
91 偏光層用配向層
93 2色性染料分子
94 液晶分子

Claims (8)

  1. 互いに対向配置された一対の樹脂基板間に液晶層が挟持され複数の画素がマトリクス状に配列した液晶装置であって、
    前記一対の基板のうち、不透明な第1の基板においては前記液晶層に面する内面上にストライプ上に形成された第1の導電部が設けられるとともに、該第1の導電部と電気的に接続された第1の引き廻し導電部が前記内面から、前記第1の基板の相対する2辺の周縁部に設けられたいずれか一方の孔を介して、基板内部を通り前記内面と反対側の外面にわたって設けられ、
    また、光学的異方性を有する第2の基板においては前記液晶層に面する内面上に前記第1の導電部と交差する方向にストライプ上に形成された第2の導電部が設けられるとともに、該第2の導電部と電気的に接続された第2の引き廻し導電部が前記第2の基板の内面から前記第1の基板の内面へ、さらに第1の基板の内面から前記第1の引き廻し導電部用の孔が設けられた二辺に隣接する一辺の周縁部に設けられた孔を介して、基板内部を通り第1の基板の外面にわたって設けられ、
    さらに、前記第1の基板の外面側には前記第1の引き廻し導電部および前記第2の引き廻し導電部と電気的に接続された電子部品が実装されると共に、前記第1の基板の前記第2の引き回し導電部用の孔に相対する一辺の外面側周縁部に、前記電子部品の入力端子と電気的に接続された外部接続端子が設けられ、
    前記第1の基板の内面側には光反射部が、前記第2の基板と前記液晶層との間には偏光層が設けられたことを特徴とする液晶装置。
  2. 前記偏光層と前記液晶層との間に光学補償層が介在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  3. 前記偏光層が、2色性染料が添加された液晶から構成されていることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか一項に記載の液晶装置。
  4. 前記偏光層と前記第2の基板との間に、前記偏光層を構成する液晶の配向方向を規制する配向層が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液晶装置。
  5. 前記第1の基板上の第1の導電部が光反射性を有する材料で形成され、該第1の導電部が前記光反射部を兼ねる反射電極とされたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液晶装置。
  6. 前記第1の基板がポリイミド、前記第2の基板がポリエチレンテレフタレートのフィルムであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の液晶装置。
  7. 前記第1の基板および第2の基板が同方向に湾曲したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の液晶装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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