JP3911877B2 - 医療用電気処置器具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用電気処置器具に係り、さらに詳しくは、カテーテルチューブの遠位端部に装着してある電極から均一な電流を流し、安定且つ安全な電気処置を行うことができる医療用電気処置器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用電気処置器具としては、高周波の電気的エネルギーを利用した処置器具が知られており、生体に電撃を与えずに生体組織を電気的に切開し、手術時の出血を少なくすることができるので、近年広く用いられるようになっている。電気処置器具は、処置器具の先端部に設けられた電極と生体組織間における高周波の電気的エネルギーによる作用を利用するもので、単極子型電気処置器具と双極子型電気処置器具とがある。
【0003】
単極子型電気処置器具は、生体組織の切断力に優れ、切断したときの出血が少ないという利点を有するものであるが、所要電力が100W程度と高いので、浸襲される生体組織の範囲が広く、そのため生体組織の細部の切断には適していない。これに対して、双極子型電気処置器具は、低い所要電力で稼働することができ、浸襲される生体組織の範囲が狭いので、生体組織の細部の切断に適している。
【0004】
双極子型電気処置器具としては、チューブのルーメン内に長軸方向に滑動可能な第一導電性線条体と第二導電性線条体とを有し、絶縁スペーサーを用いて第一導電性線条体の先端と第二導電性線条体の先端とを繋ぎ、ループを形成させたものが知られている(特開平2−291850号公報、特開平4−241853号公報、特開平4−325151号公報など)。
【0005】
このような双極子電気処置器具においては、第一導電性線条体および第二導電性線条体を撃ぐ絶縁スペーサー近傍の導電性線条体のポリープ切除能力が小さいのでポリープの切除の際に生体組織の切れ残りを生じる場合がある。
【0006】
そこで、たとえば特開平10−211212号公報に示すように、双極子型電気処置器具として、絶縁スペーサを用いないで、ループ状の第1電極と、先端チップから成る第2電極との間で高周波電圧を印加し、ポリープなどの切断を行う電気処置器具が開発されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この公報に示すような双極子型電気処置器具では、先端チップから成る第2電極を遠位端部に保持するカテーテルチューブの機械的強度が課題になると共に、第2電極へ電流を供給する導電経路が課題となる。
【0008】
このような課題を解消するために、カテーテルチューブの内壁に導電性のコイル状線材を埋め込み、カテーテルチューブの機械的強度の向上を図ると共に、そのコイル状線材を、第2電極への導電経路として用いることが考えられる。このような構造の電気処置器具によれば、カテーテルチューブの機械的強度を高め、カテーテルチューブの小径化に寄与すると共に、導電経路を別途設ける必要がなく、部品点数の削減にも寄与することが期待できる。
【0009】
しかしながら、カテーテルチューブの長さが長くなると、コイル状線材の長さも長くなり、その電気抵抗が増大するという課題を有する。ループ状の第1電極への電流の供給は、カテーテルチューブの内部を軸方向に伸びる直線状操作ワイヤを介して行われるため、その電気抵抗は低い。これに対して、第1電極へ電流を供給するコイル状線材の電気抵抗が著しく高いと、電気抵抗のアンバランスが生じ、第1電極と第2電極との間に均一な電流を流して安定且つ安全な電気処置を行うことが困難になる。
【0010】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、カテーテルチューブの遠位端部に装着してある電極から均一な電流を流し、安定且つ安全な電気処置を行うことができる医療用電気処置器具を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る医療用電気処置器具は、体内に挿入可能なカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの遠位端部に装着してある少なくとも1の電極とを有する医療用電気処置器具であって、前記カテーテルチューブが、前記電極に電気的に接続してあり、カテーテルチューブの長手方向に沿って延在する導電性のコイル状線材と、当該コイル状線材の巻回方向に沿った電流経路を電気的に短絡する短絡用線材とを有する。
【0012】
前記短絡用線材は、前記コイル状線材の外周または内周に、カテーテルチューブの長手方向に沿って直線状に配置しても良いが、好ましくは当該コイル状線材の巻回数よりも少ない巻回数で、コイル状線材の長手方向に沿って巻き付けてある。短絡用線材の巻回数は、軸方向100mm当たり、好ましくは1〜8回、さらに好ましくは2〜7の巻回数である。巻き付け回数が多すぎると、本発明の効果が少なくなる傾向にあり、巻き付け回数が少なすぎると、直線状に配置した場合と同様になる。
【0013】
前記短絡用線材の少なくとも両末端部は、前記コイル状線材の両末端部の外周部に接続固定してあることが好ましい。なお、コイル状線材の両末端部以外の箇所で、コイル状線材に対して接続固定しても良い。
【0014】
本発明において、コイル状線材および短絡用線材の外周は、絶縁性樹脂で被覆してあることが好ましい。絶縁性樹脂としては、可撓性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、シリコーン樹脂等から選ばれる。絶縁性樹脂で被覆するための手段としては、コイル状線材および短絡用線材の外周に熱収縮性合成樹脂チューブを被せて加熱収縮させる手段、合成樹脂の浸漬による手段などを例示することができる。
【0015】
本発明において、コイル状線材の材質としては、所定の機械的強度、可撓性および導電性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはステンレス鋼、炭素鋼、金、銀、白金、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、ビスマス、銅、亜鉛、鉛、これらの合金等で構成してある。このコイル状線材の線径は、好ましくは0.1〜0.7mm、さらに好ましくは0.15〜0.6mmである。また、コイル状線材により形成されるコイルチューブの外径は、好ましくは0.5〜4mm、さらに好ましくは1〜3mmである。コイル状線材の巻回数は、その線径などによっても異なるが、コイルチューブの軸方向100mm当たり、好ましくは100〜1000回、さらに好ましくは150〜900回程度の巻回数である。コイル状線材は、密接して巻回されて、コイルチューブを構成することが好ましい。コイルチューブは、生体内管腔の屈曲に合わせて、屈曲自在である。
【0016】
短絡用線材の材質としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは銅、ステンレス、鋼、炭素鋼、金、銀、白金、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、ビスマス、亜鉛、鉛、これらの合金などで構成してある。この短絡用線材は、単線でも撚り線でも良く、その外径は、好ましくは0.05〜0.4mm、さらに好ましくは0.1〜0.3mmである。短絡用線材の外径は、コイル状線材の線径より小さいことが好ましい。短絡用線材は、コイル状線材に比較して機械的強度が要求されず、主として導電性のみが要求されるため、線径を小さくすることで、カテーテルチューブの外径を小さくすることができる。
【0017】
本発明に係る医療用電気処置器具は、カテーテルチューブの遠位端部に二つの電極を有する双極子型電気処置器具であり、二つの電極の内の一つの電極に対して、前記コイル状線材が電気的に接続してあることが好ましい。双極子型電気処置器具としては、特に限定されないが、スネア型電気処置器具、鉗子型電気処置器具などを例示することができる。スネア型電気処置器具は、カテーテルチューブの遠位端から前進および後退移動自在に装着されるスネア状第1電極と、先端チップの遠位端面に形成された第2電極とを有する。鉗子型電気処置器具は、カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ状の第1凹所が形成された第1鉗子片から成る第1電極と、カップ状の第2凹所が形成された第2鉗子片から成る第2電極とを有する。
【0018】
【作用】
本発明に係る医療用電気処置器具では、カテーテルチューブがコイル状線材を有するので、カテーテルチューブの機械的強度の向上を図ることができると共に、そのコイル状線材を、電極への導電経路として用いることができる。しかも、コイル状線材は、短絡用線材により、当該コイル状線材の巻回方向に沿った電流経路を電気的に短絡しているので、その電気抵抗の低減が図られる。
【0019】
したがって、特に、本発明に係る医療用電気処置器具を双極子型電気処置器具として用いた場合に、電気抵抗のアンバランスが生じることがなくなり、二つの電極の間に均一な電流を流して安定且つ安全な電気処置を行うことが可能になる。
【0020】
本発明において、短絡用線材をコイル状線材の外周に巻き付けて配置した場合には、直線状に配置した場合に比較し、コイル状線材の可撓性を低下させることがない。また、カテーテルチューブの屈曲時などに短絡用線材が断線するおそれも少ない。さらに、カテーテルチューブの製造が容易である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るスネア型電気処置器具の一部断面概略図、図2は図1に示す処置器具の要部分解斜視図、図3は本発明の他の実施形態に係る鉗子型電気処置器具の概略斜視図、図4は鉗子型電気処置器具の遠位端部に装着される部品の側面図、図5は図4に示すV−V線に沿う要部断面図、図6(A),(B)はリンクの働きによる鉗子片の開閉を示す概略図、図7(A)は鉗子片の平面図、同図(B)は同図(A)に示すB−B線に沿う拡大断面図、図8は鉗子型電気処置器具の使用状態を示す概略図、図9は本発明のさらに他の実施形態に係るスネア型電気処置器具の一部断面概略図である。
【0022】
第1実施形態
図1,2に示すように、本実施形態に係るスネア型電気処置器具10は、双極子型電気処置器具の一種であり、バイポーラスネアと称され、内部にルーメン14が形成されたカテーテルチューブ16を有する。
【0023】
本実施形態では、カテーテルチューブ16の遠位端に先端チップ18が接着または融着してある。先端チップ18には、一対のルーメン20,22が軸方向に平行に所定間隔で形成してある。各ルーメン20,22には、スネア状第1電極24となる導電性線条体26が挿通してあり、線条体26は、先端チップ18の前後でループ状となっている。ループ状の線条体26の近位端は、単一の導電性線条体28に対して電気的および機械的に接続してある。
【0024】
ループ状の線条体26の遠位端は、先端チップ18から突出した状態で、拡開してスネア状と成るように癖付けしてある。線条体26の近位端に接続してある線条体28の近位端は、図1に示すように、操作用基部30の操作用把手32に接続してある。操作用把手32を操作用基部30に対して軸方向に移動操作することで、線条体26,28をカテーテルチューブ16のルーメン14内で軸方向に移動させ、カテーテルチューブ16の遠位端からループ状の線条体26を前進させて突出させたり、後退させてルーメン14内に引き込んだりすることが可能になっている。
【0025】
なお、線条体26,28をカテーテルチューブ16内で軸方向に移動させるための構造は、特に限定されないが、図1に示すように軸方向に移動可能な操作用把手32と、これと連動して軸方向に移動する移動部材を具備するものであってもよく、あるいは、回動部材とこの回動部材の回動に連動して軸方向に移動する移動部材とを具備するものであってもよい。
【0026】
導電性線条体26,28は、スネア状第1電極24を構成するワイヤ電極であり、その材質は、導電性材料であれば特に制限はなく使用することができ、このような導電性材料としては、例えば、金、銀、白金、ニッケル、鉄、アルミニウム、錫、亜鉛などの金属単体や、ステンレス鋼、ニクロムなどの合金などを挙げることができる。導電性線条体26,28の構造は、単線、撚線のいずれであってもよく、撚線としては、単線からなる芯線とこれを囲むコイルとからなるものが含まれる。
【0027】
導電性線条体26,28の外径は、手術部位により任意に選択することができるが、通常は0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.6mmのものを使用することができる。
【0028】
本実施形態では、先端チップ18は、図2に示すように、たとえばステンレス鋼、炭素鋼、金、銀、白金、ニッケル、アルミニウムなどの耐熱性および耐腐食性に優れた金属で構成してあり、その遠位端面に第2電極34が形成され、絶縁が必要な表面にのみ、絶縁被覆が施してある。絶縁が必要な表面としては、先端チップ18のルーメン20,22の内周壁面およびルーメン20,22の遠位端開口部36,38の極近傍周囲である。スネア状第1電極24を構成する線条体26との短絡を避けるためである。第2電極34は、カテーテルチューブ16を構成するコイルチューブ40の遠位端が先端チップ18の後端側小径部19の外周に接続固定されることで、コイルチューブ40を構成するコイル状線材41の遠位端部に電気的に接続してある。コイルチューブ40の遠位端を先端チップ18の後端側小径部19の外周に接続固定するための手段としては、特に限定されないが、スポット溶接などが例示される。
【0029】
本実施形態では、図2に示すように、短絡用線材42は、コイルチューブ40の外周に、コイル状線材41の巻回数よりも少ない巻回数で、短絡用線材42がコイルチューブ40の長手方向に沿って巻き付けてある。たとえばコイルチューブ40を構成するコイル状線材41の巻回数が、コイルチューブ40の軸方向100mm当たり、250回であるとすると、短絡用線材42の巻回数は、軸方向100mm当たり、3〜5回程度である。
【0030】
本実施形態では、コイル状線材41は、線径が0.4mmのステンレス製線材で構成してあり、その線材41をコイル状に巻回することでコイルチューブ40を構成している。コイルチューブ40の外径は、本実施形態では、2.5mmである。また、コイルチューブ40の軸方向長さは、2000mmである。コイルチューブ40は、生体内管腔の屈曲に合わせて、屈曲自在である。
【0031】
短絡用線材42は、本実施形態では、線径が約0.1mm前後のステンレス製撚り線で構成してあり、その全長は、コイル状線材41の全長の約1/50〜1/90程度の長さである。短絡用線材42の両末端は、コイルチューブ40の両末端の外周部に、それぞれスポット溶接などで接続固定してある。短絡用線材42の途中位置においても、コイルチューブ40の外周部にスポット溶接などで接続固定しても良い。
【0032】
図1に示すように、コイルチューブ40および短絡用線材42の外周部は、たとえば絶縁性樹脂43で被覆してある。絶縁性樹脂43としては、フッ素樹脂から成る熱収縮チューブが例示され、コイルチューブ40および短絡用線材42の外周部に熱収縮チューブを被せた後、熱を加えて、これらを一体化する。コイルチューブ40の内周壁も絶縁性樹脂で覆うことが好ましいが、導電性線条体28の外周部を絶縁被覆することで絶縁が図られるので、必ずしも必要ではない。なお、コイルチューブ40の内周壁も絶縁性樹脂で覆う場合には、短絡用線材42が外周部に巻き付けられたコイルチューブ40を溶融合成樹脂中に浸漬し、樹脂を硬化させればよい。
【0033】
本実施形態では、コイル状線材41および/または短絡用線材42の近位端は、図1に示す電気コード44およびコネクタ46を介して高周波電流発生装置47に電気的に接続してある。また、導電性線条体28の近位端は、電気コード45およびコネクタ46を介して高周波電流発生装置47に電気的に接続してある。
【0034】
本実施形態の電気処置器具10を用いる施術時においては、まずカテーテルチューブ16の遠位端をポリープの近くにまで移動させるために、操作用把手32を操作し、カテーテルチューブ16のルーメン14内に線条体26,28を引き込む。その状態で、たとえば内視鏡のチャネルを通してカテーテルチューブ16の遠位端を体腔内に導入する。
【0035】
カテーテルチューブ16の遠位端を、図2に示すポリープ48の近くに位置させたら、体外に位置する操作用把手32を操作し、カテーテルチューブ16の先端チップ18からループ状の線条体26を送り出し、図1に示すように、線条体26で大きなスネア状第1電極24を形成する。
【0036】
次に、このスネア状第1電極24内にポリープ48の基部が入り込むようにカテーテルチューブ16の遠位端を操作し、その後、操作用把手32を操作し、線条体26,28をカテーテルチューブ16の内部に軸方向に引き込み、スネア状第1電極24のループ径を小さくし、ポリープ48の基部を締め付ける。その後、高周波電流発生装置47を起動することにより、第1電極24と第2電極34との間に高周波電流を流し、電気的エネルギーで患部を切除する。
【0037】
その際に本実施形態に係る電気処置器具では、従来の処置器具と異なり、一対の線条体の遠位端を絶縁状態で接続する絶縁スペーサーを必要としていないので、この絶縁スペーサーのために生じていた切断残りなどの不都合も解消することができる。また、絶縁スペーサーを有さないので、不均一な電流密度の上昇がなくなり、スパークなどが生じ難くなる。したがって、スネア状第1電極24への炭化組織(焼け焦げ)の付着も防止することができる。スネア状第1電極24への炭化組織の付着が防止できるので、部分的な通電不足も防止することができる。また、絶縁スペーサーが不要となり、スパークが発生し難くなるので、電極24,34の耐久性が向上し、器具の経済性が向上する。
【0038】
また、本実施形態では、先端チップ18の遠位端面において、ルーメン20,22の開口部36,38間に位置するように、第2電極34が形成してあるので、スネア状第1電極24と先端チップの第2電極34との間の電流密度の均一化が特に良好になり、切り残しが特に少なくなる。
【0039】
さらに、先端チップ18には、スネア状第1電極24が挿通する二つのルーメン20,22が形成してあるため、このスネア状第1電極24をカテーテルチューブ16の遠位端から前進または後退移動させる際に、次に示す作用を奏する。すなわち、ルーメン20,22に案内されてスネア状第1電極24が前進または後退移動するため、がたつくおそれがなくなり、スネア状第1電極24を、生体組織48への引っかけ、または取り外しする操作がきわめて容易且つ安定する。
【0040】
特に本実施形態では、カテーテルチューブ16がコイル状線材41から成るコイルチューブ40を有するので、カテーテルチューブ16の機械的強度の向上を図ることができると共に、そのコイル状線材41を、第2電極34への導電経路として用いることができる。しかも、コイル状線材41は、短絡用線材42により、当該コイル状線材41の巻回方向に沿った電流経路を電気的に短絡しているので、その電気抵抗の低減が図られる。
【0041】
したがって、第1電極24への導電経路を構成する導電性線条体28と、第2電極34への導電経路を構成するコイル状線材41との間の電気抵抗のコントロールが可能になり、電気抵抗のアンバランスが生じることがなくなる。その結果、二つの第1電極24および第2電極34の間に均一な電流を流して安定且つ安全な電気処置を行うことが可能になる。
【0042】
また、本実施形態では、短絡用線材42をコイル状線材41の外周に巻き付けて配置しあるので、線材42を直線状に配置した場合に比較し、コイル状線材41から成るコイルチューブ40の可撓性を低下させることがない。また、カテーテルチューブ16の屈曲時などに短絡用線材42が断線するおそれも少ない。さらに、カテーテルチューブ16の製造が容易である。
【0043】
第2実施形態
図3に示すように、本実施形態に係る鉗子型電気処置器具102は、双極子型電気処置器具であり、体内に挿入可能なカテーテルチューブ104を有する。カテーテルチューブ104は、内部にルーメンを有し、可撓性のある材料で構成してある。
【0044】
本実施形態では、カテーテルチューブ104は、図5に示すように、導電性可撓管としての金属製コイルチューブ150を有する。コイルチューブ150は、たとえばステンレス、炭素鋼、金、銀、白金、アルミニウムなどの導電性コイル状線材から成る可撓管である。コイルチューブ150を構成する金属線の線径は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1.5mm、さらに好ましくは0.2〜1.0mmである。また、コイルチューブ150の外径も特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0mm、さらに好ましくは1.5〜3.0mmである。
【0045】
本実施形態では、このコイルチューブ150の外周に、前記第1実施形態と同様に、短絡用線材42(図2参照;図5では省略)をコイル状線材(図5に示すコイルチューブ150を構成する線材)の巻回数よりも少ない巻回数で、長手方向に沿って巻き付けてある。短絡用線材42の材質、線径、巻回数および接続固定方法などは、前記第1実施形態の場合と同様である。この短絡用線材が巻き付けてあるコイルチューブ150の外周には、その外周を覆うように絶縁性外チューブ(図示省略)が配置される。
【0046】
コイルチューブ150の遠位端は、図5に示すように、支持具106の後端開口部107内に挿入され、開口部107の縁部外周から銀ローなどの手段で支持具106に接合してあり、支持具106とコイルチューブ150とは電気的に導通状態となる。
【0047】
本実施形態では、銀ローなどの手段で、支持具106とコイルチューブ150の遠位端とを接合した後に、支持具106とコイルチューブ150との内外周面に一体的に絶縁樹脂被覆層を形成してある。樹脂被覆層は、特に限定されないが、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの樹脂コーティング層が、耐熱性の観点から好ましい。コーティング方法としては、浸漬法、塗布法、静電塗装法などを例示することができる。樹脂被覆層の厚みは、絶縁性が保てる程度であれば、特に限定されないが、内側層および外側層のそれぞれにおいて、5〜50μm程度である。
【0048】
樹脂被覆層で被覆されたコイルチューブ150の近位端は、図3に示す操作部120に対して接合してあり、電気コード142を介して電圧供給手段としての高周波電源140に接続してある。
【0049】
本実施形態において、コイルチューブ150の外周側の絶縁を図る外チューブは、コイルチューブ150に対して相対的に軸方向の移動が可能なように、その遠位端側では、支持具106またはコイルチューブ150に対して接合されておらず、その近位端側のみが、図3に示す操作部120に対して接合してあることが好ましい。コイルチューブ150から成るカテーテルチューブ104の自由な屈曲動作を確保するためである。
【0050】
外チューブを構成する材料としては、可撓性を有する電気絶縁材料であれば特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素系樹脂などのプラスチック類を使用することができ、目的に応じて適切な弾性率を有する材料を選択することができる。
【0051】
外チューブの内径は、コイルチューブ150の外径よりも0.1〜0.8mm程度大きな程度であり、その肉厚は、特に限定されないが、好ましくは0.05〜0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.3mmである。
【0052】
本実施形態では、図3〜5に示す支持具106は、たとえばステンレス、炭素鋼、金、銀、白金、アルミニウムなどの金属の周囲を、絶縁層で一体的に覆ったものであり、図3に示すように、軸方向に突出する一対の支持片108,108を有する。
【0053】
支持片108,108の遠位端側には、支点軸110が掛け渡してあり、その両端部が支持片108,108に対してカシメなどの手段で固定してある。本実施形態では、支点軸110は、機械的強度を考えて金属で構成してあるが、プラスチックで構成しても良い。プラスチック製支点軸110の場合には、その両端部は、熱カシメとなり、金属製の場合には、単純カシメとなる。本実施形態では、支点軸110を金属で構成してあることから、図5に示すように、その外周には、プラスチックなどで構成された絶縁チューブ156が配置してあり、その外周に、第1鉗子片112および第2鉗子片114のそれぞれの第1および第2リンク用後端部113,115が、回動自在に装着してある。
【0054】
第1鉗子片112および第2鉗子片114は、カップ状の第1凹所124および第2凹所126が各々形成してある。各凹所124,126の容積は、特に限定されないが、採取すべき生体組織片の体積などに応じて決定され、各々好ましくは0.5〜33.0mm、さらに好ましくは1.0〜18.0mm程度である。各凹所124,126が向き合うように、鉗子片112,114の各リンク用後端部113,115が支点軸110に対して回動自在に装着される。なお、図4,5に示すように、鉗子片112,114の各凹所124,126の底部には、外側に通じる開口部111を形成しても良い。開口部111を形成することで、凹所124,126の容積以上の組織片の採取が可能となる。
【0055】
図3に示すように、各鉗子片112,114の凹所124,126の先端側縁部には、それぞれ第1電極130および第2電極132が形成してある。各電極131,132の電極面積は、特に限定されないが、それぞれ0.3〜5.0mmであることが好ましい。
【0056】
本実施形態では、各鉗子片112,114は、ステンレス鋼などの金属で構成し、前記第1電極130および第2電極132に相当する部分以外を全て絶縁被覆層で被覆してある。絶縁被覆層は、本実施形態では、アルミナなどのセラミックコーティング膜を採用している。このセラミックコーティング膜は、イオンプレーティング法などにより成膜することができる。この絶縁被覆層の膜厚は、両鉗子片112,114の絶縁性が保たれる程度の膜厚であり、好ましくは0.01〜0.06mmである。
【0057】
なお、図7(A),(B)に示すように、各鉗子片112,114のリンク用後端部113,115の表面にも絶縁被覆層153が被覆してあるが、絶縁被覆層53の膜厚が均一に形成されるように、後端部113,115の角部155には、全て曲率半径Rの丸みを持たせることが好ましい。曲率半径Rは、0.01mm以上であることが好ましい。このことは、各鉗子片112,114の全ての角部においても同様であると共に、絶縁被覆層が形成される他の全ての部材についても同様である。
【0058】
本実施形態では、図3に示す各鉗子片112,114の各電極130,132とそれぞれ電気的に導通してあるリンク用後端部113,115には、後述する第1導電路および第2導電路を構成する部材が接触して電気的な接続が図られる。その結果、図3に示す高周波電源140から、両電極130,132間に高周波電圧が印加されるようになっている。高周波電源140から供給される高周波電圧の周波数は、特に限定されないが、100kHz〜800kHz程度が好ましく、電力は、好ましくは5〜35ワット程度である。
【0059】
また、本実施形態では、図4に示すように、一対の鉗子片112,114が完全に閉じられた状態で、鉗子片112,114の電極130,132には、所定の隙間tが形成されるように、後述するリンク117,119が調節してある。図4に示す所定の隙間tとは、第1電極130と第2電極132との間に生体組織が介在されない状態で、これら電極130,132間を絶縁状態に保ち、アークなどを発生させない程度の距離であり、具体的には、0.4〜1.5mmである。
【0060】
図5に示すように、リンク用後端部113,115の間には、絶縁スペーサ116が装着してあり、これらの絶縁が保持してある。また、第1リンク用後端部113と支持片108との間にも絶縁スペーサ158が装着してある。一方、第2リンク用後端部115と支持片108との間に位置する絶縁チューブ156の外周には、導電性スペーサとしての金属ワッシャ160が配置してあり、支持具106の支持片108との電気的な接触が図られている。支持具106の表面には、絶縁被覆層がコーティングしてあるので、金属ワッシャ160との接続部では、絶縁被覆層が剥がされ、電気的な接触が可能になっている。その結果、支持具106の支持片108は、金属ワッシャ160を介して、第2鉗子片112のリンク用後端部115に対して、電気的に導通している。なお、前述したように、鉗子片112および114は、その後端部113および115をも含めて絶縁被覆してあるので、電極132に対応する部分や金属ワッシャ160との接触部では、絶縁被覆が剥がされ、電気的導通が確保されるようになっている。
【0061】
このようにして、第2鉗子片114の第2電極132には、金属ワッシャ160、支持具106の支持片108、コイルチューブ150および短絡用線材42(図2参照;図5では省略)から成る第2導電路を通して電流が供給可能になっている。金属ワッシャ160の外周には、絶縁性リング162(絶縁性縁部)が装着してあり、金属ワッシャ160が他の導電性部材に接触することを防止している。また、絶縁スペーサ116,158および絶縁性リング162の外径は、支持具106の支持片108から飛び出す程度の大きさであることが好ましい。なぜなら、鉗子片112,114相互が閉じた状態および開いた状態の双方において、各鉗子片112,114と支持片108とが接触して短絡することを有効に防止するためである。
【0062】
なお、絶縁チューブ156、絶縁スペーサ116,158および絶縁性リング162は、たとえばポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素系樹脂などの耐熱プラスチックで構成してある。
【0063】
本実施形態において、コイルチューブ150の長さは、特に限定されず、用途に応じて幾らでも長くすることができるが、たとえばコイルチューブ150の曲げ剛性を、遠位端側で低くしたい場合などには、曲げ剛性が異なるコイルチューブの端部相互を接続する必要がある。
【0064】
図3および図6に示すように、各鉗子片112,114のリンク用後端部113,115には、回動ピン164および166をそれぞれ介して、第1および第2リンク片117,119がパンタグラフ状に連結してある。
【0065】
本実施形態では、一方の第1リンク片117が金属などの導電性部材で構成してあり、第2リンク片119がプラスチックなどの絶縁部材により構成してある。第2リンク片119を構成するプラスチックとしては、特に限定されないが、耐熱性に優れていることが好ましく、たとえばフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ABS樹脂などで構成してある。第1リンク片117は、たとえばステンレスなどの金属で構成してある。同じ厚みである場合には、金属の方がプラスチックに比べて機械的強度が高いことが一般的であることから、本実施形態では、図5に示すように、合成樹脂で構成してある第2リンク片119の厚みを、金属で構成してある第1リンク片117の厚みよりも厚く構成し、機械的強度のバランスを図っている。その結果、図5に示す断面において、支持具106の中心軸線に対して左右対称な構造ではなくなっている。
【0066】
本実施形態では、第1リンク片117が、第1鉗子片112の第1電極130への第1導電路の一部を構成してあり、第1鉗子片112のリンク用後端部113に対して接触する部分(回動ピン164の位置)において、これらの電気的接続が図られている。なお、第1リンク片117は、他の導電性部材との短絡を防止するために、絶縁被覆層が形成してあるが、リンク用後端部113との接触部と、後述する駆動片170との接触部では、絶縁被覆層が剥がされており、電気的な接続が確保してある。なお、第1鉗子片112も、前述したように、金属などの導電性部材で構成してあり、その表面に絶縁被覆層が形成してあり、第1リンク片117との接触部では、絶縁被覆層が剥がされている。また、第1電極130に対応する部分も、絶縁被覆層が剥がされている。
【0067】
図3および図5に示すように、第1および第2リンク片117,119の後端部には、回動ピン168を介して、駆動片170の先端部が連結してある。駆動片170は、図5に示すように、その先端部に取付孔172を有し、その取付孔172に対して、回動ピン168が挿通可能になっている。駆動片170の後端部には、導電性ワイヤ118の遠位端部が挿入される軸孔174が形成してある。軸孔174には、導電性ワイヤ118の遠位端部が挿入され、銀ロー付けなどの手段でワイヤ118と駆動片170とが機械的および電気的に接続してある。
【0068】
なお、導電性ワイヤ118の遠位端部と駆動片170との接続が済んだ後に、これらの表面に、絶縁被覆層を一体的に成膜することが好ましい。絶縁被覆層の材質は、前述した絶縁被覆層と同様な材質でよく、コーティング法などで形成される。
【0069】
導電性ワイヤ118は、金属ワイヤなどにより構成してあり、図3および図5に示すように、カテーテルチューブ104の内部のルーメンに沿って長手方向Xに進退移動自在に装着してある。導電性ワイヤ118は、その長手方向Xに沿っては操作力が伝達可能になっており、且つカテーテルチューブ104の半径方向には、カテーテルチューブ104と共に湾曲可能なように、十分な可撓性を有している。
【0070】
導電性ワイヤ118の近位端は、図3に示すように、体外に配置される操作部120に対して長手方向Xに移動自在に装着されたハンドル122に対して連結してある。また、導電性ワイヤ118の近位端は、電気コード142を介して電圧供給手段としての高周波電源140に電気的に接続してある。操作部120は、片手で持ちやすい程度の外径を有する。
【0071】
本実施形態では、導電性ワイヤ118は、図3に示す高周波電源140に対して電気的に接続してあり、第1導電路の一部を構成してある。導電性ワイヤ118の遠位端部は、図5の説明において前述したように、駆動片170に対して電気的に接続してある。
【0072】
したがって、第1鉗子片112の第1電極130には、リンク用後端部113、第1リンク片117、駆動片170および導電性ワイヤ118から成る第1導電路を通して電流が供給可能になっている。
【0073】
導電性ワイヤ118は、導電路を形成するのみでなく、鉗子片112,114の開閉動作の制御も行う。すなわち、図3に示す操作部120に対してハンドル122を長手方向Xに前進および後退させることで、導電性ワイヤ118がカテーテルチューブ104のルーメン内を矢印X方向に沿って移動し、図6(A),(B)に示すように、リンク117,119を動作させて、鉗子片112,114を矢印Y方向に回動させ、それらの開閉を制御する。
【0074】
なお、本実施形態において、図5に示す回動ピン164,166または168と、リンク片117または119とは、カシメ止めなどの手段により相互に回動移動自在に連結してある。回動ピン164,166または168の端部に形成されたカシメ部は、リンク片117または119の表面から多少引っ込んで形成してあることが好ましく、その隙間に、シリコンなどの充填剤を詰めることが好ましい。また、リンク片117または119の表面は、カシメ部を含めて、絶縁被覆層により被覆することが好ましい。絶縁被覆層は、前述した絶縁被覆層と同様な材質のものを用いることができ、コーティングにより形成することができる。
【0075】
本実施形態に係る鉗子型電気処置器具102を用いて、たとえば病変部の生体組織を採取するには、まず、内視鏡などを用いて処置器具102の遠位端を、図8に示す体腔180内の病変部182近くまで導く。次に、図3に示すカテーテルチューブ104の体外側近位端に接続された操作部120からハンドル122を引っ張るように操作して、カテーテルチューブ104の遠位端に装着された一対の鉗子片112,114を閉じる方向に回動させる。一対の鉗子片112,114を閉じることにより、病変部152の生体組織片を摘み上げ、鉗子片112,114に形成されたカップ状の第1,第2凹所124,126内に位置させる。摘み上げられた病変部152の生体組織片の基部は、各鉗子片112,114の先端側縁部の第1電極130および第2電極132間に挟まれた状態となる。その状態を図8に示す。
【0076】
次に、カテーテルチューブ104の近位端側に接続される図3に示す高周波電源140から、導電性ワイヤ118、駆動片170、第1リンク片117、第1鉗子片112から成る第1導電路と、コイルチューブ150、短絡用線材42(図2参照;図5では省略)、支持具106、金属ワッシャ160および第2鉗子片114から成る第2導電路とを通して、第1電極130および第2電極132間に高周波電圧を印加する。これら電極130,132間に高周波電圧が印加されると、電極130,132間に挟まれた組織片の基部にのみ電流が流れて加熱し、基部が焼き切られる。この加熱により、切断された周囲の凝固壊死および止血も行われる。鉗子片の凹所124,126内には、切断された生検用組織片が残る。したがって、鉗子片相互が閉じたまま、処置器具を体腔内から体外へ取り出せば、生検用組織片の採取が完了する。
【0077】
本実施形態では、鉗子片112,114の先端側縁部に形成された各電極130,132間に挟まれる生体組織にのみ電流が流れる。したがって、単極式に比較して、生体組織の焼灼が少なく、且つ小さな電力で確実な組織片の切除が可能となる。また、通電に必要な部分のみに電極130,132が形成してあり、切除された生体組織片が収容される鉗子片のカップ状凹所124,126内は絶縁してあるので、切除された生体組織片の損傷がない。
【0078】
また、鉗子片112,114相互が閉じられた状態で、第1電極130および第2電極132間には、所定の隙間を形成してあるので、これら電極130,132間の短絡を有効に防止することができる。鉗子片112,114に一体に成形されたリンク用後端部113,115相互の絶縁は、図5に示す絶縁部材から成る絶縁チューブ156および絶縁スペーサ116により確保される。
【0079】
さらに、本実施形態では、第1リンク片117が、第1電極130へ電圧を供給する第1導電路の一部となるように導電性部材で構成してあり、第2リンク片119が、絶縁部材で構成してあり、第2鉗子片114の第2電極132へ電圧を供給する第2導電路の一部が、前記支持具108である。このため、各電極へ電圧を供給するための導電路を形成する部材として、新たな部品を追加することなく、処置器具102を構成するために必要な部材を利用して導電路を形成している。したがって、部品点数を増大させることなく、各鉗子片112,114の各電極130,132毎に、相互に絶縁された別々の導電路を通して高周波電圧を供給することができる。
特に本実施形態では、カテーテルチューブ104がコイル状線材から成るコイルチューブ150を有するので、カテーテルチューブ104の機械的強度の向上を図ることができると共に、そのコイルチューブ150を、第2電極132への導電経路として用いることができる。しかも、コイルチューブ150は、図2に示す短絡用線材42により、当該コイルチューブ150の巻回方向に沿った電流経路を電気的に短絡しているので、その電気抵抗の低減が図られる。
【0080】
したがって、第1電極130への導電経路を構成する導電性ワイヤ118と、第2電極132への導電経路を構成するコイルチューブ150との間の電気抵抗のコントロールが可能になり、電気抵抗のアンバランスが生じることがなくなる。その結果、二つの第1電極130および第2電極132の間に均一な電流を流して安定且つ安全な電気処置を行うことが可能になる。
【0081】
また、本実施形態では、短絡用線材42をコイルチューブ150の外周に巻き付けて配置しあるので、線材42を直線状に配置した場合に比較し、コイルチューブ150の可撓性を低下させることがない。また、カテーテルチューブ104の屈曲時などに短絡用線材42が断線するおそれも少ない。さらに、カテーテルチューブ104の製造が容易である。
【0082】
第3実施形態
図9に示すように、本実施形態に係る医療用電気処置器具10aは、図1および図2に示す前記第1実施形態に係るスネア型電気処置器具10の変形例であり、共通する部材には共通する部材番号を付すと共に、図示を一部省略し、相違点のみについて詳細に説明する。
【0083】
本実施形態に係る電気処置器具10aでは、カテーテル管16aは、内部にインナールーメン11が形成された内管13と、内管13の外周に所定の隙間を持って略同軸状に配置された外管15とを有する。
【0084】
内管13のインナールーメン11には、スネア状第1電極24となるループ状の導電性線条体26が、内管13の遠位端から前進および後退自在に挿通してある。ループ状の線条体26の近位端は、一本の導電性線条体28に対して電気的および機械的に接続してある。
【0085】
ループ状の線条体26の遠位端は、内管13の遠位端から突出した状態で、拡開してスネア状と成るように癖付けしてある。線条体26の近位端に接続してある線条体28の近位端は、図1に示す処置器具10と同様に、操作用基部30の操作用把手32に接続してある。操作用把手32を操作用基部30に対して軸方向に移動操作することで、線条体26,28をカテーテルチューブ16のルーメン14内で軸方向に移動させ、カテーテルチューブ16の遠位端からループ状の線条体26を前進させて突出させたり、後退させてルーメン11内に引き込んだりすることが可能になっている。
【0086】
カテーテル管16aを構成する内管13および外管15の材質は、可撓性を有する電気絶縁材料であれば特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂類を使用することができ、目的に応じて適切な弾性率を有する材料を選択することができる。
【0087】
カテーテル管16を構成する外管15の外径は、特に限定されないが、たとえば1.0〜5.0mmが好ましい。また、外管15の肉厚は、特に限定されないが、0.1〜1.5mm程度である。内管13の外径は、特に限定されないが、外管15の内径よりも0.1〜1.5mm程度小さいことが好ましく、また、内管13の内径は、導電性線条体26,28の軸方向移動を許容するように決定される。
【0088】
導電性線条体26,28は、スネア状第1電極24を構成するワイヤ電極であり、その材質および寸法などは、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0089】
本実施形態では、図9に示すように、カテーテル管16aの遠位端において、外管15と内管13との間の隙間に筒状のチップ体18aが接着または融着により固定してある。チップ体18aの遠位端面には第2電極34aが形成してある。チップ体18aは、それ自体がステンレス金属などの導電性材料で構成されても良いが、セラミックまたはポリイミド樹脂などの絶縁チップ体の遠位端面18aに、金属メッキ法などで金属メッキが形成されたものでも良い。
【0090】
本実施形態では、第2電極34aは、チップ体18aを介して、カテーテル管16aの外管15と内管13との間に形成してある隙間に配置してあるコイルチューブ40に接続してある。本実施形態においても、前記第1実施形態の場合と同様にして、コイルチューブ40の外周に、コイルチューブ40を構成するコイル状線材41の巻回数よりも少ない巻回数で、短絡用線材42がコイルチューブ40の長手方向に沿って巻き付けてある。
【0091】
その他の構成は、前記第1実施形態の場合と同様であり、同様な作用効果を奏する。特に本実施形態の電気処置器具10aは、前記第1実施形態に係る電気処置器具10と異なり、カテーテルチューブ16aのルーメン11内に線条体26,28を完全に引き込むことができる。その結果、生体組織の切り残しが特に少ないという作用効果を奏する。また、カテーテルチューブ16aが外管15と内管13とで構成してあり、これらの隙間にコイルチューブ40が配置してあるので、コイルチューブ40と線条体26および28との絶縁の確保が確実となる。
【0092】
その他の実施形態
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0093】
たとえば、本発明に係る電気処置器具は、上述したスネア型電気処置器具、鉗子型電気処置器具に限定されず、全ての双極子型電気処置器具、あるいは単極子型電気処置器具にも適用が可能である。ただし、本発明は、双極子型電気処置器具に適用した場合に特に効果が大きい。
【0094】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係る電気処置器具によれば、カテーテルチューブの遠位端部に装着してある電極から均一な電流を流し、安定且つ安全な電気処置を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係るスネア型電気処置器具の一部断面概略図である。
【図2】 図2は図1に示す処置器具の要部分解斜視図である。
【図3】 図3は本発明の他の実施形態に係る鉗子型電気処置器具の概略斜視図である。
【図4】 図4は鉗子型電気処置器具の遠位端部に装着される部品の側面図である。
【図5】 図5は図4に示すV−V線に沿う要部断面図である。
【図6】 図6(A),(B)はリンクの働きによる鉗子片の開閉を示す概略図である。
【図7】 図7(A)は鉗子片の平面図、同図(B)は同図(A)に示すB−B線に沿う拡大断面図である。
【図8】 図8は鉗子型電気処置器具の使用状態を示す概略図である。
【図9】 図9は本発明のさらに他の実施形態に係るスネア型電気処置器具の一部断面概略図である。
【符号の説明】
10,10a… スネア型電気処置器具
16,,16a,104… カテーテルチューブ
18,18a… 先端チップ
20,22… ルーメン
24… 第1電極
26,28… 導電性線条体
34,34a… 第2電極
40,150… コイルチューブ
41… コイル状線材
42… 短絡用線材
47,140… 高周波電源
102… 鉗子型電気処置器具
106… 支持具
108… 支持片
110… 支点軸
112… 第1鉗子片
113… 第1リンク用後端部
114… 第2鉗子片
115… 第2リンク用後端部
116… 絶縁スペーサ
117… 第1リンク
118… 導電性ワイヤ
119… 第2リンク
120… 操作部
122… ハンドル
124… 第1凹所
126… 第2凹所
130… 第1電極
131… 切断用エッジ部
132… 第2電極

Claims (3)

  1. 体内に挿入可能なカテーテルチューブと、
    前記カテーテルチューブの遠位端部に装着してある少なくとも1の電極とを有する医療用電気処置器具であって、
    前記カテーテルチューブが、
    前記電極に電気的に接続してあり、カテーテルチューブの長手方向に沿って延在する導電性のコイル状線材と、
    当該コイル状線材の巻回方向に沿った電流経路を電気的に短絡する短絡用線材とを有する医療用電気処置器具。
  2. 前記短絡用線材が、前記コイル状線材の外周に、当該コイル状線材の巻回数よりも少ない巻回数で、コイル状線材の長手方向に沿って巻き付けてある請求項1に記載の医療用電気処置器具。
  3. 前記短絡用線材の少なくとも両末端部は、前記コイル状線材の両末端部の外周部に接続固定してある請求項1または2に記載の医療用電気処置器具。
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