JP4000631B2 - 電気手術用処置器具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気手術用処置器具に係り、さらに詳しくは、ポリープ(隆起性腫瘍様病変)などの生体組織の切除手術の際に用いられる器具であって、生体組織の熱損傷や切れ残りなどが生じない双極子型電気手術用処置器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気手術用処置器具は、高周波の電気的エネルギーを利用した電気手術器であり、生体に電撃を与えずに生体組織を電気的に切開し、手術時の出血を少なくすることができるので、近年広く用いられるようになっている。電気手術用処置器具は、手術用処置器具の先端部に設けられた電極と生体組織間における高周波の電気的エネルギーによる作用を利用するもので、単極子型電気手術用処置器具と双極子型電気手術用処置器具とがある。
【0003】
単極子型電気手術用処置器具は、生体組織の切断力に優れ、切断したときの出血が少ないという利点を有するものであるが、所要電力が50W以上と高いので、浸襲される生体組織の範囲が広く、そのため生体組織の細部の切断には適していない。これに対して、双極子型電気手術用処置器具は、低い所要電力で稼働することができ、浸襲される生体組織の範囲が狭いので、生体組織の細部の切断に適している。
【0004】
双極子型電気手術用処置器具としては、チューブのルーメン内に長軸方向に滑動可能な第一導電性線条体と第二導電性線条体とを有し、絶縁スペーサーを用いて第一導電性線条体の先端と第二導電性線条体の先端とを繋ぎ、ループを形成させたものが知られている(特開平2−291850号公報、特開平4−241853号公報、特開平4−325151号公報など)。
【0005】
このような双極子電気手術用処置器具においては、第一導電性線条体および第二導電性線条体を撃ぐ絶縁スペーサー近傍の導電性線条体のポリープ切除能力が小さいのでポリープの切除の際に生体組織の切れ残りを生じる場合がある。
【0006】
図4(a)は、従来の双極子電気手術用処置器具の斜視図である。本図において、第一導電性線条体1と第二導電性線条体2とがチューブ3の遠位端より露出し、絶縁スペーサー4により結合されて、ループ(スネア)5を形成している。図4(b)および図4(c)は、図4(a)の双極子電気手術用処置器具を用いた施術の状態を示す説明図である。施術時においては、まず導電性線条体操作部の操作により、導電性線条体の先端のチューブ遠位端から露出部を大きくし、大きいループを形成する。次いで図4(b)に示すように、ループ5をポリープ6の周辺に配置し、導電性線条体1,2をチューブルーメン3に収納する方向に滑動し、ループを小さくすることによりポリープ6の回りに引き締め、高周波電流発生装置を起動して線条体1,2間に高周波電流を流すことでポリープ6を切除する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような双極子型の電気手術用処置器具では、絶縁スペーサー4近傍の導電性線条体1,2の遠位端部分(線条体1,2が最も近接する部分)において、通電中に電流密度の上昇(過密電流の発生)が生じ、スパークが発生するおそれがあった。このため、電極である線条体1,2の遠位端部分へ炭化組織(焼け焦げなど)が付着し、結果的に、通電不均一(不十分)が生じ、図4(c)に示すように、切れ残り7が生じるおそれがあった。
【0008】
また、スパークが発生すると、絶縁スペーサー4と線条体1,2との接着に用いる接着剤、あるいは絶縁スペーサー4自体などの耐久性が劣化するおそれがあった。
【0009】
なお、特公昭61−9051号公報には、図4に示す絶縁スペーサ4を用いない構成を持つ双極子型の電気手術用処置器具が開示してある。この公報に示す器具では、線条体の先端に絶縁スペーサを装着することなく、線条体を第1電極とし、カテーテル管の先端に第2電極を固定してある。これら第1電極と第2電極との間で電流を流し、生体組織を切断する構成を採用している。この公報に示す技術では、線条体の先端に絶縁スペーサを持たないことから、生体組織の切れ残りなどが少なくなることが期待される。
【0010】
ところが、前記公報に示す技術では、第1電極と第2電極との導電性部分の面積比が考慮されておらず、第2電極側に電流密度が集中する。このため、カテーテル管の先端に固定された第2電極に接する部分で生体組織の通電中高温にさらされ熱損傷が生じ、一方第1電極に接する部分では組織のインピーダンスが十分に高くなるまで組織を乾燥させる作用が生じるが切断は困難となる。従って第1電極は組織を第2電極側に引寄せる作用しか果たさず、実用に適さなかった。
【0011】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、第1電極と第2電極との導電性部分の面積比の制御が容易であり、生体組織の熱損傷や切れ残りなどが生じない双極子型電気手術用処置器具を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る電気手術用処置器具は、体内に挿入可能なカテーテル管と、前記カテーテル管の遠位端から前進および後退移動自在に装着されるスネア状第1電極と、前記カテーテル管の遠位端に固定された第2電極とを有する電気手術用処置器具であって、前記第2電極の遠位端面が、カテーテル管の軸線に対して鋭角な面または接線を含むことを特徴とする。
【0013】
第2電極となるチップ体の遠位端面は、平面でも曲面でも良い。曲面の場合には、凸曲面と凹曲面とがあるが、いずれでも良い。いずれにしても曲面の場合には、その曲面に対する接線の一部がカテーテル管の軸線に対して鋭角となればよい。
【0014】
第2電極となるチップ体の遠位端面が平面の場合には、カテーテル管の軸線に対する角度は、好ましくは90度より小さく45度以上の範囲が好ましい。このような角度範囲とすることで、第1電極の表面積(S1)と第2電極の表面積(S2)との表面積比(S1/S2)を1/5以下、現実的には1/20〜1/70程度に保つことが可能になり、第1電極側に電流密度が集中し、第2電極側での生体組織の熱損傷を防止することができる。なお、この表面積比が1/5より大きい場合には、電流密度の関係で第2電極側の温度が高くなり過ぎ、第2電極側で生体組織の熱損傷を生じるおそれがある。表面積比は1/5以下であれば、いくらでも良いが、製造上の理由などにより1/70以上となる。
【0015】
本発明に係る第2の観点に係る電気手術用処置器具は、体内に挿入可能なカテーテル管と、前記カテーテル管の遠位端から前進および後退移動自在に装着されるスネア状第1電極と、前記カテーテル管の遠位端に固定された第2電極とを有する電気手術用処置器具であって、前記スネア状第1電極を構成する線条体の外周面には、導電性部分と絶縁性部分とが混在してあることを特徴とする。
【0016】
そのため第1電極表面における導電性部分の表面積が第2電極の導電性部分の表面積より小さくなる。
【0017】
本発明に係る第3の観点に係る電気手術用処置器具は、体内に挿入可能なカテーテル管と、前記カテーテル管の遠位端から前進および後退移動自在に装着されるスネア状第1電極と、前記カテーテル管の遠位端に固定された第2電極とを有する電気手術用処置器具であって、前記第1電極と第2電極との間に生体組織が介在された状態で、第1電極と第2電極との間に電流が流れる程度に薄く、前記第1電極を構成する線条体の外周面には、絶縁性膜が形成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明において、スネア状第1電極としては、ワイヤなどの導電性線条体で構成したものが好ましく用いられ、線条体の遠位端部がループ状に成形してあり、スネアを構成してあるものが好ましく用いられる。本発明では、スネア状第1電極としては、導電性線条体の遠位端にフック状のスネアを構成したものも用いることができる。線条体としては、導電性材料であれば特に制限はなく使用することができ、このような導電性材料としては、例えば、金、銀、白金、ニッケル、鉄、アルミニウム、錫、亜鉛などの金属単体や、ステンレス鋼、ニクロムなどの合金などを挙げることができる。導電性線条体の構造は、単線、撚線のいずれであってもよく、撚線としては、単線からなる芯線とこれを囲むコイルとからなるものが含まれる。
【0019】
スネア状第1電極の外径は、手術部位により任意に選択することができるが、通常は0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.6mmのものを使用することができる。
【0020】
本発明において、導電性線条体が撚線の場合には、導電性線材のみの撚線に限らず、導電性線材、撚線としては、単線からなる芯線とこれを囲むコイルとからなるものが含まれる。
【0021】
スネア状第1電極の外径は、手術部位により任意に選択することができるが、通常は0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.6mmのものを使用することができる。
【0022】
本発明において、導電性線条体が撚線の場合には、導電性線材のみの撚線に限らず、導電性線材と絶縁性線材との撚線であっても良い。このような導電性線材と絶縁性線材との撚線により、スネア状第1電極を構成する線条体の外周面に、導電と絶縁性線材との撚線であっても良い。このような導電性線材と絶縁性線材との撚線により、スネア状第1電極を構成する線条体の外周面に、導電性部分と絶縁性部分とを混在させることができる。撚線における導電性線材と絶縁性線材との割合を調節することで、第1電極と第2電極との導電性部分の表面積の比を所定範囲に調節することが可能になる。なお、絶縁性線材としては、たとえばポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0023】
本発明において、絶縁性膜としては、通電後の組織が付着しにくく、あるいは付着物が容易に剥がれる膜であることが好ましい。このような観点からは、滑り易い膜であることが好ましい。
【0024】
絶縁性膜の膜厚は、特に限定されないが、5〜50μm程度が好ましい。絶縁性膜の成膜方法は、特に限定されないが、焼付け法、スプレー吹き付け法、浸漬法などのコーティング法を例示することができる。
本発明において、絶縁性膜とは、抵抗値が第1電極よりも高い値を有する膜の意味であり、第1電極および第2電極間にポリープなどが介在された状態で両者間に電流が流れる程度の導電性を有する薄い膜である。
【0025】
さらに、絶縁性膜は、第1電極の外周面の全面にわたり必ずしも存在する必要はなく、絶縁性膜部分が島状に点在する場合や、ストライプまたは縞状に形成してある場合や、絶縁性膜に多数の開口部(線状体の表面の露出部分)が形成してある場合でも良い。このように絶縁性膜を形成することで、第1電極の外周面には、絶縁性部分と導電性部分とが混在し、その割合を調整することで、絶縁性の要求と導電性の要求とのバランスをとり、第1電極と第2電極との導電性部分の表面積比を所定範囲に調節することが可能になる。
【0026】
なお、第1電極の外周に絶縁性部分と導電性部分とを混在させるための方法としては、たとえば第1電極にフッ素樹脂などの低付着性ポリマーを焼付け、その後、レーザをスポット的に多数照射し、照射部分のポリマーを蒸発させ、多数の細孔を明ける方法がある。また、絶縁性膜を成膜すべき線条体の表面部分に前処理を行い、選択的な粉体塗装を行うことにより、絶縁成膜を点在して成膜させる方法もある。さらに、絶縁性膜を成膜した後、その膜を部分的に研磨により除去する方法もある。さらにまた、第1電極の表面に、CVD、PVD、イオン注入などにより、低付着性物質を析出させて絶縁性膜を点在して形成することもできる。
【0027】
本発明において、カテーテル管は、外管と内管とから成り、カテーテル管の遠位端部において、外管と内管との間に筒状のチップ体が介装してあり、チップ体の遠位端面に前記第2電極が形成してあり、且つ、内管に形成されたインナールーメンに沿って、スネア状第1電極がカテーテル管の先端から前進および後退移動自在に装着してあることが好ましい。前記内管の遠位端は、第2電極となるチップ体の遠位端面に対して遠位側に突出させても良い。第1電極と第2電極との短絡を防止するためである。
【0028】
本発明において、第2電極の材質は、導電性を有するものであれば特に限定されず、金属材料などで構成される。あるいは絶縁性物質の表面に金属メッキなどで導電性膜を形成したものでも良い。
【0029】
【作用】
本発明に係る電気手術用処置器具では、ポリープなどの切除対象の生体組織をスネア状第1電極で囲み、そのスネア状第1電極を生体組織と共に、カテーテル管の遠位端部に固定された第2電極側に引き寄せ、生体組織を、スネア状第1電極と第2電極との間に挟み込む。そして、これら電極間に高周波電流を流すことにより、切除対象の生体組織を切断する。
【0030】
その際に本発明では、従来の処置器具と異なり、一対の線条体の遠位端を絶縁状態で接続する絶縁スペーサーを必要としていないので、この絶縁スペーサーのために生じていた切断残りなどの不都合も解消することができる。また、絶縁スペーサーを有さないので、不均一な電流密度の上昇がなくなり、スパークなどが生じ難くなる。したがって、線条体(スネア状第1電極)への炭化組織(焼け焦げ)の付着も防止することができる。線条体(スネア状第1電極)への炭化組織の付着が防止できるので、部分的な通電不足も防止することができる。また、絶縁スペーサーが不要となり、スパークが発生し難くなるので、電極の耐久性が向上し、器具の経済性が向上する。
【0031】
また、本発明に係る電気手術用処置器具では、第2電極となるチップ体の遠位端面を鋭角にすることにより、あるいはスネア状第1電極の外周面に導電性部分と絶縁性部分とを混在させることにより、または第1電極の外周面に絶縁性膜を形成することにより、第1電極と第2電極との表面積比を1/5以下、現実的には1/20〜1/70程度に保つことが可能になる。その結果、第1電極側に電流密度が集中し、第2電極側での生体組織の熱損傷を防止することができる。
【0032】
特に本発明の第1の観点では、第2電極となるチップ体の遠位端面が鋭角になっているので、鋭角状になっている第2電極の遠位端側から生体組織が切断され、スネア状第1電極をカテーテル管の内部に引き込むことによる生体組織の切れ残りが無くなる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施形態に係る電気手術用処置器具の一部断面概略図、図2は図1に示す処置器具の要部断面図、図3は本発明の他の実施形態に係る電気手術用処置器具に用いる先端チップの斜視図である。
【0035】
第1実施形態
図1に示すように、本実施形態に係る電気手術用処置器具10は、いわゆるバイポーラスネアと称される器具であり、体内に挿入可能なカテーテル管16を有する。カテーテル管16は、内部にインナールーメン11が形成された内管13と、内管13の外周に略同軸状に配置されたアウタールーメン14を持つ外管15とを有する。
【0036】
内管13のインナールーメン11には、スネア状第1電極24となるループ状の導電性線条体26が、内管13の遠位端から前進および後退自在に挿通してある。ループ状の線条体26の近位端は、一本の導電性線条体28に対して電気的および機械的に接続してある。
【0037】
ループ状の線条体26の遠位端は、内管13の遠位端から突出した状態で、拡開してスネア状と成るように癖付けしてある。線条体26の近位端に接続してある線条体28の近位端は、操作用基部30の操作用把手32に接続してある。操作用把手32を軸方向に移動操作することで、線条体26,28をカテーテル管16のインナールーメン11内で軸方向に移動させ、カテーテル管16の遠位端からループ状の線条体26を前進させて突出させたり、後退させてインナールーメン11内に引き込んだりすることが可能になっている。
【0038】
なお、線条体26,28をカテーテル管16内で軸方向に移動させるための構造は、特に限定されないが、図1に示すように軸方向に移動可能な操作用把手32と、これと連動して軸方向に移動する移動部材を具備するものであってもよく、あるいは、回動部材とこの回動部材の回動に連動して軸方向に移動する移動部材とを具備するものであってもよい。
【0039】
カテーテル管16を構成する内管13および外管15の材質は、可撓性を有する電気絶縁材料であれば特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂類を使用することができ、目的に応じて適切な弾性率を有する材料を選択することができる。
【0040】
カテーテル管16を構成する外管15の外径は、特に限定されないが、たとえば1.0〜5.0mmが好ましい。また、外管15の肉厚は、特に限定されないが、0.1〜1.5mm程度である。内管13の外径は、特に限定されないが、外管15の内径よりも0.1〜1.5mm程度小さいことが好ましく、また、内管13の内径は、導電性線条体26,28の軸方向移動を許容するように決定される。
【0041】
導電性線条体26,28は、スネア状第1電極24を構成するワイヤ電極であり、その材質は、導電性材料であれば特に制限はなく使用することができ、このような導電性材料としては、たとえば、金、銀、白金、ニッケル、鉄、アルミニウム、錫、亜鉛などの金属単体や、ステンレス鋼、ニクロムなどの合金などを挙げることができる。導電性線条体26,28の構造は、単線、撚線のいずれであってもよく、撚線としては、単線からなる芯線とこれを囲むコイルとからなるものが含まれる。
【0042】
導電性線条体26,28の外径は、手術部位により任意に選択することができるが、通常は0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.6mmのものを使用することができる。
【0043】
本実施形態では、図2に示すように、カテーテル管16の遠位端において、外管15と内管13との間の隙間に筒状のチップ体18が接着または融着により固定してある。チップ体18は、その遠位端面18aに第2電極34が形成してある。チップ体18は、それ自体がステンレス金属などの導電性材料で構成されても良いが、セラミックまたはポリイミド樹脂などの絶縁チップ体の遠位端面18aに、金属メッキ法などで金属メッキが形成されたものでも良い。
【0044】
本実施形態では、カテーテル管16の外径を大きくすることなく、第2電極34となる遠位端面18aの面積を大きくするために、外管15の遠位端部の肉厚は、他の部分よりも薄く形成してある。また、第2電極34と成る遠位端面18aは、カテーテル管の軸線に対して角度θで鋭角にしてある。カテーテル管16の軸線に略垂直であるよりも、角度θで鋭角にする方が第2電極34の面積を大きくすることができるためである。
【0045】
また、本実施形態では、第2電極34となるチップ体18の遠位端面18aの傾斜角度θに合わせて、外管15の遠位端面も面一にしてある。また、内管13の遠位端面も同じ角度θで鋭角に傾斜してあるが、第2電極34に対して所定長さtだけ突出させている。スネア状第1電極24と第2電極34との短絡を防止するためである。
【0046】
本実施形態では、角度θは、30〜80度程度が好ましく、突出長さtは、0.2〜1.0mm程度が好ましい。
【0047】
第2電極34は、カテーテル管16のアウタールーメン14内に軸方向に配置されたリード線40に接続してある。本実施形態では、図1,2に示すリード線40の近位端および導電性線条体28の近位端は、それぞれコード42,44を通じて高周波電流発生装置46に電気的に接続してある。
【0048】
本実施形態の電気手術用処置器具10を用いる施術時においては、まずカテーテル管16の遠位端をポリープの近くにまで移動させるために、図1に示す操作用把手32を操作し、カテーテル管16のルーメン14内に線条体26,28を引き込む。その状態で、たとえば内視鏡のチャネルを通してカテーテル管16の遠位端を体腔内に導入する。
【0049】
カテーテル管16の遠位端を、図2に示すポリープ48の近くに位置させたら、体外に位置する操作用把手32を操作し、カテーテル管16のインナールーメン11の遠位端からループ状の線条体26を送り出し、図1に示すように、線条体26で大きなスネア状第1電極24を形成する。
【0050】
次に、このスネア状第1電極24内にポリープ48の基部が入り込むようにカテーテル管16の遠位端を操作し、その後、操作用把手32を操作し、線条体26,28をカテーテル管16のインナールーメン11内部に軸方向に引き込み、スネア状第1電極24のループ径を小さくし、ポリープ48の基部を締め付ける。その後、高周波電流発生装置を起動することにより、第1電極24と第2電極34との間に高周波電流を流し、電気的エネルギーで患部を切除する。
【0051】
その際に本実施形態に係る電気手術用処置器具では、従来の処置器具と異なり、一対の線条体の遠位端を絶縁状態で接続する絶縁スペーサーを必要としていないので、この絶縁スペーサーのために生じていた切断残りなどの不都合も解消することができる。また、絶縁スペーサーを有さないので、不均一な電流密度の上昇がなくなり、スパークなどが生じ難くなる。したがって、スネア状第1電極24への炭化組織(焼け焦げ)の付着も防止することができる。スネア状第1電極24への炭化組織の付着が防止できるので、部分的な通電不足も防止することができる。また、絶縁スペーサーが不要となり、スパークが発生し難くなるので、電極24,34の耐久性が向上し、器具の経済性が向上する。
【0052】
特に本実施形態では、第2電極34となるチップ体18の遠位端面18aを角度θで鋭角にすることにより、第1電極24と第2電極34との表面積比を1/5以下、現実的には1/20〜1/70程度に保つことが可能になる。その結果、第1電極24側に電流密度が集中し、第2電極34側での生体組織の熱損傷を防止することができる。
【0053】
なお、この表面積比が1/5より大きい場合には、電流密度の関係で第2電極側の温度が高くなり過ぎ、第1電極側で生体組織の熱損傷を生じるおそれがあるとともに切断が困難となる。表面積比は1/5以下であれば、いくらでも良いが、製造上の理由などにより1/70以上となる。
【0054】
ここで、第1電極24の表面積は、ループ部分の線条体26の外径×ループの長さとして計算し、第2電極34の表面積は、チップ体18の傾斜した遠位端面18aの面積として計算する。
【0055】
特に本実施形態では、第2電極34となるチップ体18の遠位端面18aが鋭角になっているので、鋭角状になっている第2電極34の遠位端側から生体組織が切断され、スネア状第1電極24をカテーテル管16の内部に引き込むことによる生体組織の切れ残りが無くなる。
【0056】
第2実施形態
本実施形態では、図1,2に示す前記第1実施形態に係る電気手術用処置器具10において、内管13の遠位端側のインナールーメン11内に、図3に示す絶縁性先端チップ50を装着してある。先端チップ50には、二つのルーメン20,22が形成してあり、これらルーメン20,22内に線条体26がループ状に挿通してある。このチップ50の遠位端面50aも、内管13の遠位端と同じ角度θで傾斜してある。
【0057】
本実施形態では、前記第1実施形態の場合と同様な作用を有する上に、さらに次に示す作用を有する。すなわち、第1電極を構成するループ状の線条体26が二つのルーメン20,22内に通してあるので、線条体26を内管13のインナールーメン11内に引き込み過ぎることを有効に防止することができる。また、ルーメン20,22に案内されてスネア状第1電極24が前進または後退移動するため、がたつくおそれがなくなり、スネア状第1電極24を、生体組織48への引っかけ、または取り外しする操作が容易且つ安定する。
【0058】
第3実施形態
本実施形態では、図1,2に示す第1電極24を構成する線条体26を、導電性線材と絶縁性線材との撚線で構成する。このような導電性線材と絶縁性線材との撚線により線条体26を構成することにより、スネア状第1電極24を構成する線条体26の外周面に、導電性部分と絶縁性部分とを混在させることができる。撚線における導電性線材と絶縁性線材との割合を調節することで、第1電極24と第2電極34との導電性部分の表面積の比を所定範囲に調節することが可能になる。ここで、所定範囲とは、第1実施形態の範囲と同じであり、1/5以下、現実的には1/20〜1/70の範囲である。
【0059】
なお、本実施形態では、前記第1実施形態の場合と異なり、チップ体18の遠位端面18aを必ずしも鋭角な傾斜面とする必要はない。
【0060】
また、本実施形態では、第1電極の導電性部分の表面積は、ループ部分の線条体26の外径×ループの長さの計算を行い、全表面積を求めた上で、この全表面積に、導電性線材と絶縁性線材との割合をかけた値として計算する。また、第2電極34の表面積は、チップ体18の遠位端面18aの面積として計算する。
【0061】
本実施形態でも、第1電極24と第2電極34との導電性部分の表面積の比を所定範囲に調節することが可能になることから、第1電極側に電流密度が集中し、第2電極側での生体組織の熱損傷を防止することができる。
【0062】
第4実施形態
本実施形態では、図1,2に示す第1電極24を構成する線条体26の外周面全体に、絶縁性膜を形成してある。絶縁性膜としては、通電後の組織が付着しにくく、あるいは付着物が容易に剥がれる膜であることが好ましい。このような観点からは、滑り易い膜であることが好ましい。
【0063】
絶縁性膜の膜厚は、特に限定されないが、5〜50μm程度が好ましい。絶縁性膜の成膜方法は、特に限定されないが、焼付け法、スプレー吹き付け法、浸漬法などのコーティング法を例示することができる。
本発明において、絶縁性膜とは、抵抗値が第1電極よりも高い値を有する膜の意味であり、第1電極24および第2電極34間にポリープなどが介在された状態で両者間に電流が流れる程度の導電性を有する薄い膜である。
【0064】
この絶縁性膜の膜厚または材質を選択することで、第1電極24と第2電極34との導電性部分の表面積の比を所定範囲に調節することが可能になる。ここで、所定範囲とは、第1実施形態の範囲と同じであり、1/5以下、現実的には1/20〜1/70の範囲である。
【0065】
なお、本実施形態では、前記第1実施形態の場合と異なり、チップ体18の遠位端面18aを必ずしも鋭角な傾斜面とする必要はない。
【0066】
また、本実施形態では、第1電極の導電性部分の表面積は、ループ部分の線条体26の外径×ループの長さの計算を行い、全表面積を求めた上で、この全表面積に、絶縁性膜を成膜したことによる導電率の低下割合をかけた値として計算する。また、第2電極34の表面積は、チップ体18の遠位端面18aの面積として計算する。
【0067】
本実施形態でも、第1電極24と第2電極34との導電性部分の表面積の比を所定範囲に調節することが可能になることから、第1電極側に電流密度が集中し、第2電極側での生体組織の熱損傷を防止することができる。
【0068】
第5実施形態
本実施形態では、図1,2に示す第1電極24を構成する線条体26の外周面の一部に、絶縁性膜を形成してある。絶縁性膜としては、通電後の組織が付着しにくく、あるいは付着物が容易に剥がれる膜であることが好ましい。このような観点からは、滑り易い膜であることが好ましい。
【0069】
本実施形態では、第1電極24を構成する線条体26の外周面にフッ素樹脂などの低付着性ポリマーを焼付け、その後、レーザをスポット的に多数照射し、照射部分のポリマーを蒸発させ、多数の細孔を明けることにより、線条体26の外周面に絶縁性膜を形成する部分と形成しない部分とを混在させる。このことにより、前記第3実施形態の場合と同様に、第1電極24と第2電極34との導電性部分の表面積の比を所定範囲に調節することが可能になる。ここで、所定範囲とは、第1実施形態の範囲と同じであり、1/5以下、現実的には1/20〜1/70の範囲である。
【0070】
なお、本実施形態では、前記第1実施形態の場合と異なり、チップ体18の遠位端面18aを必ずしも鋭角な傾斜面とする必要はない。
【0071】
また、本実施形態では、第1電極の導電性部分の表面積は、ループ部分の線条体26の外径×ループの長さの計算を行い、全表面積を求めた上で、この全表面積に、導電性部分の割合をかけた値として計算する。また、第2電極34の表面積は、チップ体18の遠位端面18aの面積として計算する。
【0072】
本実施形態でも、第1電極24と第2電極34との導電性部分の表面積の比を所定範囲に調節することが可能になることから、第1電極側に電流密度が集中し、第2電極側での生体組織の熱損傷を防止することができる。
【0073】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0074】
たとえば、チップ体18の遠位端面18aは、必ずしも傾斜した平面ではなく、凸曲面あるいは凹曲面であっても良い。
【0075】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、第2電極となるチップ体の遠位端面を鋭角にすることにより、あるいはスネア状第1電極の外周面に導電性部分と絶縁性部分とを混在させることにより、または第1電極の外周面に絶縁性膜を形成することにより、第1電極と第2電極との表面積比を1/5〜1/70程度に保つことが可能になる。その結果、第1電極側に電流密度が集中し、第2電極側での生体組織の熱損傷を防止することができる。
【0076】
特に第2電極となるチップ体の遠位端面を鋭角にすることで、鋭角状になっている第2電極の遠位端側から生体組織が切断され、スネア状第1電極をカテーテル管の内部に引き込むことによる生体組織の切れ残りが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る電気手術用処置器具の一部断面概略図である。
【図2】図2は図1に示す処置器具の要部断面図である。
【図3】図3は本発明の他の実施形態に係る電気手術用処置器具に用いる先端チップの斜視図である。
【図4】図4(a)〜(c)は従来例に係る電気手術用処置器具の使用状態を示す概略図である。
【符号の説明】
10… 電気手術用処置器具
11… インナールーメン
13… 内管
14… アウタールーメン
15… 外管
16… カテーテル管
18… チップ体
18a… 遠位端面
24… スネア状第1電極
26,28… 導電性線条体
34… 第2電極

Claims (3)

  1. 体内に挿入可能なカテーテル管と、
    前記カテーテル管の遠位端から前進および後退移動自在に装着されるスネア状第1電極と、
    前記カテーテル管の遠位端に固定されたチップ体の遠位端面である第2電極とを有する電気手術用処置器具であって、
    前記第1電極と第2電極との間に生体組織が介在された状態で、第1電極と第2電極との間に電流が流れる程度に薄く、前記第1電極を構成する線条体の外周面には、絶縁性膜が形成してあり、
    前記第1電極の表面積(S1)を、前記線条体の外径×ループの長さの計算を行い全表面積を求めた上で当該全表面積に前記絶縁性膜を成膜したことによる導電率の低下割合をかけた値とし、前記第2電極の表面積(S2)を、前記チップ体の遠位端面の面積とするところ、前記第1電極の表面積(S1)と前記第2電極の表面積(S2)との表面積比(S1/S2)が1/5以下であることを特徴とする電気手術用処置器具。
  2. 前記第2電極の遠位端面が、カテーテル管の軸線に対して鋭角な面または接線を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気手術用処置器具。
  3. 前記カテーテル管は、外管と内管とを有し、
    前記内管に形成されたインナールーメンに沿って前記スネア状第1電極が前記カテーテル管の先端から前進および後退移動自在に装着されており、
    前記内管の遠位端面は、前記第2電極に対して所定長さだけ突出されていることを特徴とする請求項1に記載の電気手術用処置器具。
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