JP4042189B2 - 鉗子型電気処置器具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉗子型電気処置器具に係り、さらに詳しくは、体腔内の病変部などの組織片をカップ状の鉗子を用いて摘み、鉗子間に高周波電流を流すことにより組織片の基部を焼き切り、病変部の治療と組織片の採取を可能とする双極式の鉗子型電気処置器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
体腔内の病変部が良性か悪性かを組織学的に診断を行うためなどに、生検鉗子が用いられる。
従来の生検鉗子としては、たとえば特開昭59−90553号公報および特開平5−42159号公報に示すように、一対のカップ状鉗子片を開閉させて、カップのエッジ部により切断するタイプのものが知られている。
【0003】
しかしながら、カップのエッジにより切断するタイプの生検鉗子では、鋭利なエッジ部が、病変部以外の正常組織を傷つける可能性が高いという課題を有する。また、このタイプの生検鉗子では、数回の採取により、エッジ部の鋭利性が鈍化すると共に、エッジ部の噛み合わせにずれが生じる結果、切れ味が著しく低下し、良好な採取が不可能になると言う課題を有している。
【0004】
一方で、実開昭62−186,708号公報に示すように、単極式の鉗子型電気処置器具が提案されている。この単極式の電気処置器具では、体腔内に挿入されるカップ状鉗子片に電極を設け、他の電極を構成する電極プレートを患者の体外で接触させて配置し、これら電極間に高電圧の高周波電圧を印加させる。カップ状鉗子片で組織片を摘むことにより、摘まれた組織片の基部に電流が集中し、その部分の患部組織を凝固壊死させると共に焼き切ることができる。焼き切られた組織片は、カップ状鉗子片の内部に残り、これを採取することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に開示された単極式の鉗子型電気処置器具では、単極式であるために、電流が完全に患者の体を突き抜けることから、鉗子片の電極から目的としない部分にもアークを生成したり、患者の体内を流れる電流が迷走して、損傷を与えるべきでない組織にも損傷を与え得る可能性がある。また、単極式では、比較的高出力を必要とするために、アークによって過度の組織破壊を生じる可能性もある。
【0006】
そこで、一対のカップ状鉗子片相互を、それぞれ別の電極として、これら電極の間に高周波電圧を印加する双極式の電気処置器具も考えられるが、各鉗子片の電極毎に、別々の導電路から電圧を供給する必要があり、狭い空間内での導電路の確保およびこれら導電路の絶縁が問題となる。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、双極式の鉗子型電気処置器具において、カップ状鉗子片相互の各電極へ電圧を供給する導電路の絶縁性に優れた鉗子型電気処置器具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る鉗子型電気処置器具は、体内に挿入可能な可撓性を有するカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ状の第1凹所が形成された第1鉗子片と、前記カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ状の第2凹所が形成された第2鉗子片と、前記第1鉗子片と第2鉗子片とを、前記第1凹所と第2凹所とが向き合うように、支点軸回りに開閉自在に保持する支持具と、前記第1鉗子片に形成された第1電極と、前記第2鉗子片に形成された第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に高周波電圧を供給するように、前記カテーテルチューブの近位端側に接続される電圧供給手段とを有する鉗子型電気処置器具であって、前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある前記第1鉗子片と第2鉗子片との間には、中間絶縁スペーサが介在してある。
【0009】
前記支点軸と前記第1鉗子片および/または第2鉗子片との間には、絶縁部材が介在してあることが好ましい。絶縁部材は、支点軸の外周面に装着された絶縁チューブが好ましいが、これに限らず、支点軸自体を絶縁部材で構成することにより、支点軸と前記第1鉗子片および/または第2鉗子片との間に、絶縁部材を介在しても良いし、支点軸の外周面に絶縁被覆層を形成しても良い。あるいは支点軸と接触する第1鉗子片および/または第2鉗子片の部分を絶縁被覆しても良い。
【0010】
前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある第1鉗子片および/または第2鉗子片と前記支持具との間には、側部絶縁スペーサを介在させることが好ましい。
【0011】
前記側部絶縁スペーサの一部が、前記支持具の外周より飛び出していることが好ましい。
【0012】
前記側部スペーサが、前記支持具の長手方向に沿って細長い形状を有していることが好ましい。
【0013】
中間絶縁スペーサおよび側部絶縁スペーサとしては、特に限定されず、スペーサ自体がプラスチックやセラミックなどの絶縁部材で構成しても良く、あるいは導電性部材の表面に絶縁被覆層(絶縁コートを含む)を形成したり、他の絶縁部材を装着することにより絶縁スペーサとしても良い。
【0014】
本発明に係る鉗子型電気処置器具は、さらに好ましくは、体内に挿入可能な可撓性を有するカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ状の第1凹所が形成された第1鉗子片と、カップ状の第2凹所が形成された第2鉗子片とを、前記第1凹所と第2凹所とが向き合うように、開閉自在に保持する支持具と、前記第1鉗子片に形成された第1電極と、前記第2鉗子片に形成された第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に高周波電圧を供給するように、前記カテーテルチューブの近位端側に接続される電圧供給手段と、前記第1鉗子片に連結されて当該第1鉗子片を駆動するように前記支持具に連結してある第1リンク片と、前記第2鉗子片に連結されて当該第2鉗子片を駆動するように前記支持具に連結してある第2リンク片とを有する鉗子型電気処置器具であって、前記第1リンク片が、前記第1電極へ電圧を供給する第1導電路の一部となるように導電性部材で構成してあり、前記第2リンク片が、絶縁部材で構成してあり、前記第2鉗子片の第2電極へ電圧を供給する第2導電路の一部が、前記支持具である。
【0015】
前記第2リンク片の厚みが、前記第1リンク片の厚みよりも厚いことが好ましい。第2リンク片は絶縁部材で構成してあることから、金属などの導電性部材で構成してある第1リンク片と略同等な機械的強度を持たせるためである。
【0016】
前記第2鉗子片と支持具とは、導電性スペーサを介して電気的に接続してあることが好ましい。この導電性スペーサの外周には、絶縁スペーサが装着してあることが好ましい。
【0017】
前記第1リンク片および第2リンク片は、前記カテーテルチューブの内部を軸方向に沿って移動自在に配置してある導電性ワイヤの遠位端部に対して連結してあり、当該導電性ワイヤが前記第1リンク片に対して電気的に接続してあることが好ましい。この導電性ワイヤが、電圧供給手段から第1電極へ電圧を供給するための第1導電路となる。この導電性ワイヤは、カテーテルチューブの近位端側から前記両リンク片へ駆動力を伝達する部材でもある。
【0018】
前記支持具は、前記カテーテルチューブの遠位端部に接合してあり、カテーテルチューブを構成する導電性可撓管に対して電気的に接続してあることが好ましい。この導電性可撓管が、電圧供給手段から第2電極へ電圧を供給するための第2導電路となる。この導電性可撓管は、カテーテルチューブの一部であり、前記支持具を保持すると共に、カテーテルチューブ内部での導電性ワイヤの軸方向移動を許容するためのものでもある。なお、導電性可撓管と導電性ワイヤとは、短絡しないように絶縁する必要がある。
【0019】
導電性可撓管としては、特に限定されないが、金属製コイルチューブであることが好ましい。金属製コイルチューブの内周面および外周面には、絶縁層が積層してあることが好ましい。
【0020】
前記第1鉗子片および第2鉗子片は、表面に絶縁層が形成された金属で構成してあることが好ましく、電極および接続部が形成される部分のみが、絶縁層がなく金属の表面が露出していることが好ましい。
【0021】
鉗子片を構成する導電性部材としては、たとえばステンレス鋼、炭素鋼、金、銀、白金、ニッケル、アルミニウムなどの耐熱性および耐腐食性に優れた金属であることが好ましい。このような導電性部材から成る鉗子片の表面に成膜する絶縁性膜としては、特に限定されないが、アルミナ、窒化チタン、炭化チタンなどのセラミックコーティング膜、ガラスコーティング膜、合成ダイヤモンド膜、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが、耐熱性の観点から好ましい。コーティング方法としては、イオンプレーティング法、プラズマまたは火炎溶射堆積法、浸漬法、塗布法などを例示することができる。
【0022】
本発明において、第1鉗子片と第2鉗子片とが完全に閉じた状態で、第1電極と第2電極との間には所定の隙間が形成されるようになっていることが好ましい。本発明において、所定の隙間とは、第1電極と第2電極との間に生体組織が介在されない状態で、これら電極間を絶縁状態に保ち、アークなどを発生させない程度の距離であり、具体的には、好ましくは0.3〜1.5mm、さらに好ましくは0.5〜1.0mmである。この隙間が離れすぎると、生体組織の切断が困難になり、近すぎると、絶縁を保てなくなる。
【0023】
本発明において、電圧供給手段から供給される高周波電圧の周波数は、特に限定されないが、100kHz〜800kHz程度が好ましく、電力は、好ましくは5〜35ワット程度である。
【0024】
【作用】
本発明に係る鉗子型電気処置器具を用いて、たとえば病変部組織の凝固壊死および生体組織を採取するには、まず、内視鏡などを用いて本処置器具の遠位端を体腔内の病変部近くまで導く。次に、カテーテルチューブの体外側近位端に接続された操作部を操作して、カテーテルチューブの遠位端に装着された一対の鉗子片を閉じる方向に回動させる。一対の鉗子片を閉じることにより、病変部の生体組織片を摘み上げ、鉗子片に形成されたカップ状の第1,第2凹所内に位置させる。摘み上げられた病変部の生体組織片の基部は、各鉗子片の第1電極および第2電極間に挟まれた状態となる。
【0025】
次に、カテーテルチューブの近位端側に接続される電圧供給手段からカテーテルチューブ内に配線された導電路を通して、第1電極および第2電極間に高周波電圧を印加する。これら電極間に高周波電圧が印加されると、電極間に挟まれた組織片の基部にのみ電流が流れて加熱し、基部が焼き切られる。この加熱により、切断された部分の止血および凝固壊死も行われる。鉗子片の凹所内には、切断された生検用組織片が残る。したがって、鉗子片相互が閉じたまま、処置器具を体腔内から体外へ取り出せば、生検用組織片の採取が完了する。
【0026】
本発明に係る鉗子型電気処置器具では、鉗子片の先端側縁部に形成された各電極間に挟まれる生体組織にのみ電流が流れる。したがって、単極式に比較して、生体組織の焼灼が少なく、且つ小さな電力で確実な病変部の凝固壊死および組織片の切除が可能となる。また、通電に必要な部分のみに電極が形成してあり、切除された生体組織片が収容される鉗子片のカップ状凹所内を絶縁しておくことで、切除された生体組織片の損傷がない。
【0027】
特に、本発明の鉗子型電気処置器具では、前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある前記第1鉗子片と第2鉗子片との間には、中間絶縁スペーサが介在してあるので、絶縁性に優れ、両鉗子片に形成された各電極への導電路相互の絶縁が良好に保持される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0029】
第1実施形態
図1に示すように、本実施形態に係る鉗子型電気手術用処置器具2は、体内に挿入可能なカテーテルチューブ4を有する。カテーテルチューブ4は、内部にルーメンを有し、可撓性のある材料で構成してある。
【0030】
本実施形態では、カテーテルチューブ4は、図4に示すように、導電性可撓管としての金属製コイルチューブ50と、その外周を覆うように配置される外チューブ52とを有する。コイルチューブ50は、たとえばステンレス、炭素鋼、金、銀、白金、アルミニウムなどの金属線をコイル状に巻回して可撓管としたものである。コイルチューブ50を構成する金属線の線径は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1.5mm、さらに好ましくは0.2〜1.0mmである。また、コイルチューブ50の外径も特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0mm、さらに好ましくは1.5〜3.0mmである。
【0031】
コイルチューブ50の遠位端は、図3および4に示すように、支持具6の後端開口部7内に挿入され、開口部7の縁部外周から銀ロー9、レーザ溶接、ハンダ付け、熱収縮チューブによる接合などの手段で支持具6に接合してあり、支持具6とコイルチューブ50とは電気的に導通状態となる。
【0032】
本実施形態では、図4に示すように、銀ロー9などの手段で、支持具6とコイルチューブ50の遠位端とを接合した後に、支持具6とコイルチューブ50との内外周面に一体的に絶縁被覆層54を形成してある。樹脂被覆層54は、特に限定されないが、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの樹脂コーティング層が、耐熱性の観点から好ましい。コーティング方法としては、浸漬法、塗布法などを例示することができる。樹脂被覆層54の厚みは、絶縁性が保てる程度であれば、特に限定されないが、内側層および外側層のそれぞれにおいて、5〜50μm程度である。
【0033】
樹脂被覆層54で被覆されたコイルチューブ50の近位端は、図1に示す操作部20に対して接合してあり、電気コード42を介して電圧供給手段としての高周波電源40に接続してある。
【0034】
本実施形態において、外チューブ52は、コイルチューブ50に対して相対的に軸方向の移動が可能なように、その遠位端側では、支持具6またはコイルチューブ50に対して接合されておらず、その近位端側のみが、図1に示す操作部20に対して接合してある。
【0035】
外チューブ52を構成する材料としては、可撓性を有する電気絶縁材料であれば特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素系樹脂などのプラスチック類を使用することができ、目的に応じて適切な弾性率を有する材料を選択することができる。
【0036】
外チューブ52の内径は、コイルチューブ50の外径よりも0.1〜0.8mm程度大きな程度であり、その肉厚は、特に限定されないが、好ましくは0.05〜0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.3mmである。
【0037】
本実施形態では、図1〜4に示す支持具6は、たとえばステンレス、炭素鋼、金、銀、白金、アルミニウムなどの金属の周囲を、コイルチューブ50の絶縁層54で一体的に覆ったものであり、図1,3に示すように、軸方向に突出する一対の支持片8,8を有する。
【0038】
支持片8,8の遠位端側には、支点軸10が掛け渡してあり、その両端部が支持片8,8に対してカシメなどの手段で固定してある。本実施形態では、支点軸10は、機械的強度を考えて金属で構成してあるが、プラスチックで構成しても良い。プラスチック製支点軸10の場合には、その両端部は、熱カシメとなり、金属製の場合には、単純カシメとなる。本実施形態では、支点軸10を金属で構成してあることから、図3に示すように、その外周には、プラスチックなどで構成された絶縁チューブ56が配置してあり、その外周に、第1鉗子片12および第2鉗子片14のそれぞれの第1および第2リンク用後端部13,15が、回動自在に装着してある。
【0039】
第1鉗子片12および第2鉗子片14は、カップ状の第1凹所24および第2凹所26が各々形成してある。各凹所24,26の容積は、特に限定されないが、採取すべき生体組織片の体積などに応じて決定され、各々好ましくは0.5〜33.0mm3 、さらに好ましくは1.0〜18.0mm3 程度である。各凹所24,26が向き合うように、鉗子片12,14の各リンク用後端部13,15が支点軸10に対して回動自在に装着される。なお、図2,3に示すように、鉗子片12,14の各凹所24,26の底部には、外側に通じる開口部11を形成しても良い。開口部11を形成することで、凹所24,26の容積以上の組織片の採取が可能となる。
【0040】
各鉗子片12,14の凹所24,26の先端側縁部には、それぞれ第1電極30および第2電極32が形成してある。各電極31,32の電極面積は、特に限定されないが、それぞれ0.3〜5.0mm2 であることが好ましい。
【0041】
本実施形態では、各鉗子片12,14は、ステンレス鋼などの金属で構成し、前記第1電極30および第2電極32に相当する部分以外を全て絶縁被覆層で被覆してある。絶縁被覆層は、本実施形態では、アルミナなどのセラミックコーティング膜を採用している。このセラミックコーティング膜は、イオンプレーティング法などにより成膜することができる。この絶縁被覆層の膜厚は、両鉗子片12,14の絶縁性が保たれる程度の膜厚であり、好ましくは0.01〜0.06mmである。
【0042】
なお、図9(A),(B)に示すように、各鉗子片12,14のリンク用後端部13,15の表面にも絶縁被覆層53が被覆してあるが、絶縁被覆層53の膜厚が均一に形成されるように、後端部13,15の角部55には、全て曲率半径Rの丸みを持たせることが好ましい。曲率半径Rは、0.01mm以上であることが好ましい。このことは、各鉗子片12,14の全ての角部においても同様であると共に、絶縁被覆層が形成される他の全ての部材についても同様である。
【0043】
本実施形態では、図1に示す各鉗子片12,14の各電極30,32とそれぞれ電気的に導通してあるリンク用後端部13,15には、後述する第1導電路および第2導電路を構成する部材が接触して電気的な接続が図られる。その結果、図1に示す高周波電源40から、両電極30,32間に高周波電圧が印加されるようになっている。高周波電源40から供給される高周波電圧の周波数は、特に限定されないが、100kHz〜800kHz程度が好ましく、電力は、好ましくは5〜35ワット程度である。
【0044】
また、本実施形態では、図2に示すように、一対の鉗子片12,14が完全に閉じられた状態で、鉗子片12,14の電極30,32には、所定の隙間tが形成されるように、後述するリンク17,19が調節してある。図2に示す所定の隙間tとは、第1電極30と第2電極32との間に生体組織が介在されない状態で、これら電極30,32間を絶縁状態に保ち、アークなどを発生させない程度の距離であり、具体的には、0.4〜1.5mmである。
【0045】
図3に示すように、リンク用後端部13,15の間には、中間絶縁スペーサ16が装着してあり、これらの絶縁が保持してある。本実施形態では、中間絶縁スペーサ16は、円盤状のワッシャである。
【0046】
また、第1リンク用後端部13と支持片8との間には側部絶縁スペーサ58が装着してある。本実施形態では、側部絶縁スペーサ58は、前記中間絶縁スペーサ16と同じ外径を持つ円盤状のワッシャである。
【0047】
一方、第2リンク用後端部15と支持片8との間に位置する絶縁チューブ56の外周には、導電性スペーサとしての金属ワッシャ60が配置してあり、支持具6の支持片8との電気的な接触が図られている。支持具6の表面には、絶縁被覆層54がコーティングしてあるので、金属ワッシャ60との接続部では、絶縁被覆層54が剥がされ、電気的な接触が可能になっている。その結果、支持具6の支持片8は、金属ワッシャ60を介して、第2鉗子片12のリンク用後端部15に対して、電気的に導通している。なお、前述したように、鉗子片12および14は、その後端部13および15をも含めて絶縁被覆してあるので、電極32に対応する部分や金属ワッシャ60との接触部では、絶縁被覆が剥がされ、電気的導通が確保されるようになっている。
【0048】
このようにして、第2鉗子片14の第2電極32には、金属ワッシャ60、支持具6の支持片8およびコイルチューブ50から成る第2導電路を通して電流が供給可能になっている。なお、金属ワッシャ60の外周には、側部絶縁スペーサ62が装着してあり、金属ワッシャ60が他の導電性部材に接触することを防止している。また、絶縁スペーサ16,58,62の外径は、本実施形態では、全て同じ外径であり、図2に示すように、支持具6の支持片8から所定長さpで飛び出す程度の大きさであることが好ましい。なぜなら、鉗子片12,14相互が閉じた状態および開いた状態の双方において、各鉗子片12,14と支持片8とが接触して短絡することを有効に防止するためである。なお、所定長さpとは、特に限定されないが、0.5〜2.0mm程度が好ましい。また、本実施形態では、絶縁スペーサ16,58,62の外径を全て同じとしたが、それぞれを異ならしても良い。
【0049】
なお、絶縁チューブ56、絶縁スペーサ16,58,62は、たとえばポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素系樹脂などの耐熱プラスチックで構成してある。
【0050】
本実施形態において、コイルチューブ50の長さは、特に限定されず、用途に応じて幾らでも長くすることができるが、たとえばコイルチューブ50の曲げ剛性を、遠位端側で低くしたい場合などには、曲げ剛性が異なるコイルチューブの端部相互を接続する必要がある。そのような場合に、本実施形態では、図5(A),(B)に示す接続チューブ63aまたは63bを用いる。
【0051】
図5(A)に示す接続チューブ63aでは、その長手方向に沿って直線状または曲線状の切欠65aが形成してあり、チューブ63aの内部に銀ロー付け用の銀ローを流し込んだ後、両端開口部内にコイルチューブ50a,50bの端部を差し込むようになっている。接続チューブ63aには、切欠65aが形成してあることから、この切欠65aが接続の際のエア抜きとなり、接続部にエアが残ることなく、銀ローにより良好に接続することができる。
【0052】
図5(B)に示す接続チューブ63bでは、切欠の代わりに開口部65bが形成してあり、この開口部65bが接続の際のエア抜きとなり、コイルチューブ50a,50bの端部を銀ロー付けなどにより良好に接続することができる。なお、本実施形態では、コイルチューブ50a,50bなどの金属製長手部材の端部相互を接続するために、金属製の接続チューブ63a,63bを用いるが、樹脂製の長手部材の端部相互を接続するための接続チューブの場合には、接続チューブを樹脂製として、接着剤などを流し込んでも良い。すなわち、図5に示す接続チューブを用いた接続方法は、金属製長手部材およびその他の材質の長手部材をロー付けあるいは接着剤などで接続する場合全てに対して適用することができる。これらの場合において、接続チューブ63a,63bは、透明であることが好ましい。接合のための接着剤やロー剤などの溶着剤の充填状態を目視により確認することができるからである。
【0053】
図1,3に示すように、各鉗子片12,14のリンク用後端部13,15には、回動ピン64および66をそれぞれ介して、第1および第2リンク片17,19がパンタグラフ状に連結してある。
【0054】
本実施形態では、一方の第1リンク片17が金属などの導電性部材で構成してあり、第2リンク片19がプラスチックなどの絶縁部材により構成してある。第2リンク片を構成するプラスチックとしては、特に限定されないが、耐熱性に優れていることが好ましく、たとえばフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ABS樹脂などで構成してある。第1リンク片17は、たとえばステンレスなどの金属で構成してある。同じ厚みである場合には、金属の方がプラスチックに比べて機械的強度が高いことが一般的であることから、本実施形態では、合成樹脂で構成してある第2リンク片19の厚みを、金属で構成してある第1リンク片17の厚みよりも厚く構成し、機械的強度のバランスを図っている。その結果、図3に示す断面において、支持具6の中心軸線に対して左右対称な構造ではなくなっている。
【0055】
本実施形態では、第1リンク片17が、第1鉗子片12の第1電極30への第1導電路の一部を構成してあり、第1鉗子片12のリンク用後端部13に対して接触する部分(回動ピン64の位置)において、これらの電気的接続が図られている。なお、第1リンク片17は、他の導電性部材との短絡を防止するために、絶縁被覆層が形成してあるが、リンク用後端部13との接触部と、後述する駆動片70との接触部では、絶縁被覆層が剥がされており、電気的な接続が確保してある。なお、第1鉗子片12も、前述したように、金属などの導電性部材で構成してあり、その表面に絶縁被覆層が形成してあり、第1リンク片17との接触部では、絶縁被覆層が剥がされている。また、第1電極30に対応する部分も、絶縁被覆層が剥がされている。
【0056】
図1,3に示すように、第1および第2リンク片17,19の後端部には、回動ピン68を介して、駆動片70の先端部が連結してある。駆動片70は、図6(A),(B)に示すように、その先端部に、取付孔72を有し、その取付孔72に対して、図1,3に示す回動ピン68が挿通可能になっている。駆動片70の後端部には、導電性ワイヤ18の遠位端部が挿入される軸孔74を持つ筒部75が形成してあると共に、その軸孔74に連通するように筒部75の外周面には、開口部76が形成してある。この開口部76は、導電性ワイヤ18の遠位端部を軸孔74内に挿入し、銀ロー付けなどの手段で電気的な導通が可能な状態で接続する際に、軸孔74内のエア抜きとなり、銀ローが軸孔74の内部全体に行き渡り、ワイヤ18と駆動片70との接続が良好になる。
【0057】
なお、導電性ワイヤ18の遠位端部と駆動片70との接続が済んだ後に、これらの表面に、絶縁被覆層を一体的に成膜することが好ましい。絶縁被覆層の材質は、前述した絶縁被覆層54と同様な材質でよく、コーティング法などで形成される。
【0058】
導電性ワイヤ18は、金属ワイヤなどにより構成してあり、図1,3に示すように、カテーテルチューブ4の内部のルーメンに沿って長手方向Xに進退移動自在に装着してある。導電性ワイヤ18は、その長手方向Xに沿っては操作力が伝達可能になっており、且つカテーテルチューブ4の半径方向には、カテーテルチューブ4と共に湾曲可能なように、十分な可撓性を有している。
【0059】
導電性ワイヤ18の近位端は、図1に示すように、体外に配置される操作部20に対して長手方向Xに移動自在に装着されたハンドル22に対して連結してある。また、導電性ワイヤ18の近位端は、電気コード42を介して電圧供給手段としての高周波電源40に電気的に接続してある。操作部20は、片手で持ちやすい程度の外径を有する。
【0060】
本実施形態では、導電性ワイヤ18は、図1に示す高周波電源40に対して電気的に接続してあり、第1導電路の一部を構成してある。導電性ワイヤ18の遠位端部は、図3の説明において前述したように、駆動片70に対して電気的に接続してある。
【0061】
したがって、第1鉗子片12の第1電極30には、リンク用後端部13、第1リンク片17、駆動片および導電性ワイヤ18から成る第1導電路を通して電流が供給可能になっている。
【0062】
なお、導電性ワイヤ18は、導電路を形成するのみでなく、鉗子片12,14の開閉動作の制御も行う。すなわち、図1に示す操作部20に対してハンドル22を長手方向Xに前進および後退させることで、導電性ワイヤ18がカテーテルチューブ4のルーメン内を矢印X方向に沿って移動し、図8(A),(B)に示すように、リンク17,19を動作させて、鉗子片12,14を矢印Y方向に回動させ、それらの開閉を制御する。
【0063】
なお、本実施形態において、図3に示す回動ピン64,66または68と、リンク片17または19とは、図7(A),(B)に示すように、カシメ止めなどの手段により相互に回動移動自在に連結してある。回動ピン64,66または68の端部に形成されたカシメ部は、リンク片17または19の表面から多少引っ込んで形成してあることが好ましく、その隙間に、図7(A)に示すように、シリコンなどの充填剤77を詰めることが好ましい。また、リンク片17または19の表面は、図7(B)に示すように、カシメ部を含めて、絶縁被覆層78により被覆することが好ましい。絶縁被覆層78は、図4に示す絶縁被覆層54と同様な材質のものを用いることができ、コーティングにより形成することができる。
【0064】
本実施形態に係る鉗子型電気手術用処置器具2を用いて、たとえば病変部の生体組織を採取するには、まず、内視鏡などを用いて処置器具2の遠位端を、図10に示す体腔80内の病変部82近くまで導く。次に、図1に示すカテーテルチューブ4の体外側近位端に接続された操作部20からハンドル22を引っ張るように操作して、カテーテルチューブ4の遠位端に装着された一対の鉗子片12,14を閉じる方向に回動させる。一対の鉗子片12,14を閉じることにより、病変部52の生体組織片を摘み上げ、鉗子片12,14に形成されたカップ状の第1,第2凹所24,26内に位置させる。摘み上げられた病変部52の生体組織片の基部は、各鉗子片12,14の先端側縁部の第1電極30および第2電極32間に挟まれた状態となる。その状態を図10に示す。
【0065】
次に、カテーテルチューブ4の近位端側に接続される図1に示す高周波電源40から、導電性ワイヤ18、駆動片70、第1リンク片17、第1鉗子片12から成る第1導電路と、コイルチューブ50、支持具6、金属ワッシャ60および第2鉗子片14から成る第2導電路とを通して、第1電極30および第2電極32間に高周波電圧を印加する。これら電極30,32間に高周波電圧が印加されると、電極30,32間に挟まれた組織片の基部にのみ電流が流れて加熱し、基部が焼き切られる。この加熱により、切断された周囲の凝固壊死および止血も行われる。鉗子片の凹所24,26内には、切断された生検用組織片が残る。したがって、鉗子片相互が閉じたまま、処置器具を体腔内から体外へ取り出せば、生検用組織片の採取が完了する。
【0066】
本実施形態では、鉗子片12,14の先端側縁部に形成された各電極30,32間に挟まれる生体組織にのみ電流が流れる。したがって、単極式に比較して、生体組織の焼灼が少なく、且つ小さな電力で確実な組織片の切除が可能となる。また、通電に必要な部分のみに電極30,32が形成してあり、切除された生体組織片が収容される鉗子片のカップ状凹所24,26内は絶縁してあるので、切除された生体組織片の損傷がない。
【0067】
また、鉗子片12,14相互が閉じられた状態で、第1電極30および第2電極32間には、所定の隙間を形成してあるので、これら電極30,32間の短絡を有効に防止することができる。鉗子片12,14に一体に成形されたリンク用後端部13,15相互の絶縁は、図3に示す絶縁部材から成る絶縁チューブ56および中間絶縁スペーサ16により確保される。また、鉗子片12,14と、支持具6の支持片8との絶縁は、側部絶縁スペーサ58および62により図られる。
【0068】
特に本実施形態では、第1リンク片17が、第1電極30へ電圧を供給する第1導電路の一部となるように導電性部材で構成してあり、第2リンク片19が、絶縁部材で構成してあり、第2鉗子片14の第2電極32へ電圧を供給する第2導電路の一部が、前記支持具8である。このため、各電極へ電圧を供給するための導電路を形成する部材として、新たな部品を追加することなく、処置器具2を構成するために必要な部材を利用して導電路を形成している。したがって、部品点数を増大させることなく、各鉗子片12,14の各電極30,32毎に、相互に絶縁された別々の導電路を通して高周波電圧を供給することができる。しかも、各導電路相互は、絶縁スペーサ16,58,62などにより良好に保持される。
【0069】
第2実施形態
本実施形態では、図11(A),(B)に示すように、側部絶縁スペーサ58aの形状を、支持具6の支持片8の長手方向に沿って細長い形状にしてある。すなわち、側部絶縁スペーサ58aの形状を、支持具6の支持片8と略同一の形状にしてある。本実施形態の側部絶縁スペーサ58aは、前記第1実施形態の側部絶縁スペーサ58と同じ材質で構成してあり、絶縁チューブ56が挿通される貫通孔61が形成された円盤状のボス部57と、このボス部57に一体に形成してある平板部59とを有する。
【0070】
本実施形態では、平板部59の厚みをボス部57の厚みに比較して薄く構成してある。これは、第1リンク片17との間に、多少の隙間を持たせることにより、第1リンク17の動きを阻害しないようにするためである。しかしながら、平板部59の表面の滑り特性を良好にすることで、第1リンク片17と摺接するように構成することもできる。その場合には、平板部59の厚みをボス部57の厚みと略同一に構成することもできる。
【0071】
なお、本実施形態では、金属ワッシャ60の外周には、前記第1実施形態で用いた側部絶縁スペーサ62が装着してあるが、側部絶縁スペーサ62の形状も、図11(B)に示すような形状にしても良い。その場合には、貫通孔61の内径が、金属ワッシャ60の外径と略同一以上にする必要がある。また、第2リンク片19の動きを邪魔しない構造にする必要がある。
【0072】
本実施形態に係る鉗子型電気処置器具2aのその他の構造は、前記第1実施形態の鉗子型電気処置器具と同一であり、同様な作用効果を奏する。しかも本実施形態に係る鉗子型電気処置器具2aでは、所定形状の側部絶縁スペーサ58aを有するので、第1リンク片17と支持具6の支持片8との電気的短絡を確実に防止することができる。
【0073】
第3実施形態
本実施形態では、図12に示すように、カテーテルチューブ4aの一部を構成する外チューブ52aの遠位端部が、支持具6aの後端部外周に接着、融着、熱収縮チューブまたは熱カシメなどの手段で接合してある。
【0074】
支持具6aの端部外周への接合を確実にするために、本実施形態では、支持具6aの後端部外周には、1以上の溝84が形成してある。溝84は、リング状でも螺旋状でも良いし、また、周方向に連続しても断続しても良い。
【0075】
このような溝84が形成された支持具6aの端部外周に、外チューブ52aの遠位端部を被せ、加熱加圧用金型を用いれば、外チューブ52aの遠位端部を支持具6aの端部外周に容易に熱カシメにより接合することができる。外チューブ52aの近位端部は、前記第1実施形態と異なり、図1に示す操作部20に対して接合されておらず自由端となっている。このように、外チューブ52または52aの少なくとも一端を自由端とするのは、カテーテルチューブ4または4aは、曲がりくねった体腔内に挿入され、外チューブ52a,52とコイルチューブ50とが相対的に軸方向に移動することになることから、この移動を吸収するためである。
【0076】
本実施形態では、外チューブ52aは、前記実施形態における外チューブ52と同様な材質および寸法で構成してあり、図12に示す以外の構成は、前記実施形態のものと全く同一である。
【0077】
本実施形態に係る鉗子型電気処置器具では、前記第1実施形態の電気処置器具と同様な作用効果を奏する上に、次に示す作用効果も奏する。
すなわち、本実施形態では、操作部20側で外チューブ52aを固定するのではなく、支持具6a側で外チューブ52aの端部を固定する。このため、体腔などに存在する体液が、外チューブ52aと支持具6aとの間から、外チューブ52aとコイルチューブ50との隙間に侵入することを有効に防止することができる。
【0078】
第4実施形態
本実施形態では、図13(A)〜(C)に示すように、第1鉗子片12a〜12cと、第2鉗子片14a〜14cとの形状に変化を持たせてある。
【0079】
図13(A)に示す例では、前記第1実施形態に係る鉗子片12,14に形成する開口部11よりも大きな開口部11aが形成してある。図13(B)に示す例では、鉗子片12b,14bの先端形状が横から見て矢印形状となるように、開口部11bが各鉗子片12b,14bに形成してある。図13(C)に示す例は、図13(A)に示す例の変形例であり、開口部11cの形状は、図13(A)に示すものと同じであるが、鉗子片12c,14cが閉じられた状態の隙間の形状が異なる。すなわち、鉗子片12c,14c間の隙間が、軸方向に沿って平行にならないように、各鉗子片12c,14cの相互に向かい合う面には、互い違いの突起85cが形成してある。このような突起85c,85cを鉗子片12c,14cの相互に向かい合う面に形成することで、組織片を掴みやすくなる。しかも、各鉗子片12c,14cに形成してある電極(図示省略)間の距離を保つことができるので、短絡も有効に防止できる。
本実施形態のその他の作用効果は、前記第1実施形態と同様である。
【0080】
第5実施形態
本実施形態では、図14(A),(B)に示すように、各鉗子片12d,14dの凹所24,26の先端側縁部には、鋭利な切断用エッジ部31,33が形成してある。鉗子片12d,14d相互が閉じられ、エッジ部31,33同士が噛合することで、組織片の切断が可能になっている。
【0081】
また、本実施形態では、各鉗子片12d,14dの接触部を含まない各鉗子片の先端側外周面には、それぞれ第1電極30dおよび第2電極32dが形成してある。各電極30d,32dの電極面積は、特に限定されないが、それぞれ2.0〜40.0mm2 であることが好ましい。これら第1電極30dおよび第2電極32dは、鉗子片12d,14d相互が閉じられた状態でも短絡しないように、これらの接触部には電極が形成されておらず絶縁状態となっている。また、鉗子片12d,14dの各凹所24,26の内表面にも、電極は形成されておらず絶縁状態となっている。
【0082】
なお、本実施形態では、各々の鉗子片12d,14dを絶縁性部材で構成し、各鉗子片12d,14dの電極30d,32dに相当する部分にのみ、導電性膜を成膜することにより、電極30d,32dが形成してある。鉗子片12d,14dを構成する絶縁部材としては、アルミナ、窒化チタン、炭化チタンなどのセラミック;ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などが、耐熱性の観点から好ましい。このような絶縁性部材から成る鉗子片12d,14dの表面に成膜する導電性膜としては、特に限定されないが、銀、銅、金、白金などが好ましい。導電性が高いからである。コーティング方法としては、金属メッキ法、スパッタリング法、蒸着法、塗布法などを例示することができる。
【0083】
ただし、本実施形態では、図14に示す第1電極30dから図3に示す第1リンク片17への第1導電路と、図14に示す第2電極32dから図3に示す金属ワッシャ60への第2導電路とを確保する必要がある。
【0084】
また、本実施形態の変形例として、各鉗子片12d,14dを、ステンレス鋼で構成し、第1電極30dおよび第2電極32dに相当する部分以外を全て絶縁被覆層で被覆しても良い。
【0085】
本実施形態に係る鉗子型電気処置器具2を用いて、たとえば病変部の生体組織を採取するには、まず、内視鏡などを用いて処置器具2の遠位端を、図14(B)に示す体腔80内の病変部82近くまで導く。次に、図1に示すカテーテルチューブ4の体外側近位端に接続された操作部20からハンドル22を引っ張るように操作して、カテーテルチューブ4の遠位端に装着された一対の鉗子片12d,14dを閉じる方向に回動させる。一対の鉗子片12d,14dを閉じることにより、病変部82の生体組織片を摘み上げ、鉗子片12d,14dに形成されたカップ状の第1,第2凹所24,26内に位置させる。摘み上げられた病変部82の生体組織片の基部は、各鉗子片12d,14dの切断エッジ部31,33の噛合により、完全に切断される。あるいは完全に切断されない場合でも、次に示すようにして完全に切断することができる。
【0086】
すなわち、図1に示す操作部20を操作して、閉じられた鉗子片12d,14dの先端部を体腔80の生体組織面に押し付ける。これにより、鉗子片12d,14dの内部に挟まれた生体組織片の基部の両側に位置する生体組織の面に、それぞれ第1電極30dと第2電極32dとが圧接する。この状態で、カテーテルチューブ4の近位端側に接続される高周波電源40から、前記の第1導電路および第2導電路を通して、第1電極30dおよび第2電極32d間に高周波電圧を印加する。これら電極30d,32d間に高周波電圧が印加されると、電極30d,32d間に位置する組織片の基部にのみ電流が流れて加熱し、基部が焼き切られる。この加熱により、切断された部分の止血も行われる。鉗子片の凹所24,26内には、切断された生検用組織片が残る。したがって、鉗子片相互が閉じたまま、処置器具を体腔内から体外へ取り出せば、生検用組織片の採取が完了する。
【0087】
なお、各鉗子片12d,14dの切断用エッジ部31,33により、組織片の基部が完全に切断される場合には、高周波電圧の印加は、切断後の生体組織の表面の止血および周囲組織の凝固壊死のために行われる。このような止血は、組織片が採取される部分以外でも、何らかの原因により出血した部位に対して、閉じられた鉗子片12d,14dの先端部を押し付けて高周波電圧を印加することで行うこともできる。
【0088】
本実施形態では、前記第1実施形態の作用効果に加えて、上述したような作用効果を奏する。
【0089】
第6実施形態
本実施形態では、図15(A)〜(C)に示すように、第1鉗子片12e〜12gと、第2鉗子片14e〜14gとを、一部において噛み合わせるように接触させている。図15(A)に示す例では、鉗子片12e,14eの先端側の噛み合わせ面86eを、軸線と平行にして、所定の直線範囲で接触させている。また、図15(B)に示す例では、鉗子片12f,14fのかみ合わせ面をテーパ面86fとして、これらの先端でのみ接触させている。さらに、図15(C)に示す例では、一方の第1鉗子片12gの噛み合わせ面86eを軸線と平行な面とし、他方の第2鉗子片14gの噛み合わせ面86fをテーパ面とし、これらの先端でのみ接触させている。
【0090】
これらの例では、鉗子片相互を噛み合わせ面で接触させているので、少なくともそれらの接触部には、絶縁被覆層が形成してある必要がある。そのような構造例としては、たとえば図16(A)に示すように、金属などの導電性部材で構成してある鉗子片12h,14hの内外表面を絶縁被覆層53でコーティングし、少なくとも噛み合わせ面で絶縁されるようにする。また、第1電極30hおよび第2電極32hは、各鉗子片12h,14hの噛み合わせ面近くの内壁面の絶縁被覆層を剥がすことにより形成することができる。
【0091】
また、図16(B)に示す例では、金属などの導電性部材で構成してある鉗子片12i,14iの内外表面を絶縁被覆層53でコーティングし、第1電極30hおよび第2電極32hは、各鉗子片12h,14hの噛み合わせ面の絶縁被覆層を互い違いに剥がすことにより形成することができる。
【0092】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、双極式の鉗子型電気処置器具において、カップ状鉗子片相互の各電極へ電圧を供給する導電路の絶縁性に優れた鉗子型電気処置器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の1実施形態に係る鉗子型電気処置器具の概略斜視図である。
【図2】図2は図1に示す鉗子型電気処置器具の遠位端部に装着される部品の側面図である。
【図3】図3は図2に示すIII−III線に沿う要部断面図である。
【図4】図4は図1に示す鉗子型処置器具の支持具とカテーテルチューブとの接続部を示す概略図である。
【図5】図5(A),(B)は導電性可撓管の接続に用いる接続具の斜視図である。
【図6】図6(A),(B)は導電性ワイヤとリンク駆動片との接続部を示す斜視図と断面図である。
【図7】図7(A),(B)はリンクとピントの接続部の詳細を示す要部断面図である。
【図8】図8(A),(B)はリンクの働きによる鉗子片の開閉を示す概略図である。
【図9】図9(A)は鉗子片の平面図、同図(B)は同図(A)に示すB−B線に沿う拡大断面図である。
【図10】図10は鉗子型電気処置器具の使用状態を示す概略図である。
【図11】図11(A)は本発明の他の実施形態に係る鉗子型処置器具の要部断面図、同図(B)は同図(A)で用いる側部絶縁スペーサの斜視図である。
【図12】図12は本発明の他の実施形態に係る鉗子型処置器具の支持具とカテーテルチューブとの接続部を示す概略図である。
【図13】図13(A)〜(C)は鉗子片の変形例を示す要部側面図である。
【図14】図14(A)は本発明の他の実施形態に係る鉗子型処置器具の遠位端側側面図、同図(B)はその鉗子片付近の要部断面図である。
【図15】図15(A)〜(C)はその他の鉗子片の変形例を示す要部側面図である。
【図16】図16(A),(B)は鉗子片の電極の変形例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
2,2a… 鉗子型電気処置器具
4… カテーテルチューブ
6… 支持具
8… 支持片
10… 支点軸
12,12a〜12i… 第1鉗子片
13… 第1リンク用後端部
14,14a〜14i… 第2鉗子片
15… 第2リンク用後端部
16… 中間絶縁スペーサ
17… 第1リンク
18… 導電性ワイヤ
19… 第2リンク
20… 操作部
22… ハンドル
24… 第1凹所
26… 第2凹所
30,30d,30h,30i… 第1電極
31… 切断用エッジ部
32,32d,32h,32i… 第2電極
33… 切断用エッジ部
40… 高周波電源
50… コイルチューブ
56… 絶縁チューブ
58,58a… 側部絶縁スペーサ
60… 金属ワッシャ
62… 側部絶縁スペーサ

Claims (4)

  1. 体内に挿入可能な可撓性を有するカテーテルチューブと、
    前記カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ状の第1凹所が形成された第1鉗子片と、
    前記カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ状の第2凹所が形成された第2鉗子片と、
    前記第1鉗子片と第2鉗子片とを、前記第1凹所と第2凹所とが向き合うように、支点軸回りに開閉自在に保持する支持具と、
    前記第1鉗子片に形成された第1電極と、
    前記第2鉗子片に形成された第2電極と、
    前記第1電極と第2電極との間に高周波電圧を供給するように、前記カテーテルチューブの近位端側に接続される電圧供給手段とを有する鉗子型電気処置器具であって、
    前記カテーテルチューブの内部を軸方向に沿って移動自在に配置してある導電性ワイヤと、
    前記カテーテルチューブの一部であり、前記導電性ワイヤと絶縁され、前記支持具と電気的に接続されて当該支持具を保持すると共に、前記カテーテルチューブ内部での前記導電性ワイヤの軸方向移動を許容する導電性可撓管と、
    前記導電性ワイヤの遠位端部に対して連結されると共に、前記第1鉗子片に連結されて当該第1鉗子片を駆動するように構成され、導電性部材で構成されて前記導電性ワイヤと電気的に接続されており、前記支持具とは電気的に絶縁されている第1リンク片と、
    前記導電性ワイヤの遠位端部に対して連結されると共に、前記第2鉗子片に連結されて当該第2鉗子片を駆動するように構成され、絶縁部材で構成されている第2リンク片とをさらに有し、
    前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある前記第1鉗子片と第2鉗子片との間には、中間絶縁スペーサが介在してあり、
    前記第2鉗子片と前記支持具とは、導電性スペーサを介して電気的に接続してあり、
    前記導電性ワイヤ、前記第1リンク片及び前記第1鉗子片を含んで構成される第1導電路と、前記導電性可撓管、前記支持具及び前記第2鉗子片を含んで構成される第2導電路とを通して、前記第1電極および前記第2電極間に前記高周波電圧を印加することを特徴とする鉗子型電気処置器具。
  2. 前記支点軸と前記第1鉗子片および/または第2鉗子片との間には、絶縁部材が介在してある請求項1に記載の鉗子型電気処置器具。
  3. 前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある第1鉗子片と前記支持具との間には、側部絶縁スペーサが介在してある請求項1または2に記載の鉗子型電気処置器具。
  4. 前記側部スペーサが、前記支持具の長手方向に沿って細長い形状を有している請求項3に記載の鉗子型電気処置器具。
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