JPH11155875A - 鉗子型電気処置器具 - Google Patents

鉗子型電気処置器具

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JPH11155875A
JPH11155875A JP9340590A JP34059097A JPH11155875A JP H11155875 A JPH11155875 A JP H11155875A JP 9340590 A JP9340590 A JP 9340590A JP 34059097 A JP34059097 A JP 34059097A JP H11155875 A JPH11155875 A JP H11155875A
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forceps
piece
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forceps piece
tube
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Hidetoshi Yoshizawa
秀俊 吉澤
Tatsuo Kinebuchi
達夫 杵渕
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研 西川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 双極式の鉗子型電気処置器具において、カッ
プ状鉗子片相互の各電極へ電圧を供給する導電路の絶縁
性に優れた鉗子型電気処置器具を提供すること。 【解決手段】 体内に挿入可能な可撓性を有するカテー
テルチューブ4と、カテーテルチューブ4の遠位端側に
装着され、カップ状の第1凹所が形成された第1鉗子片
12と、カテーテルチューブ4の遠位端側に装着され、
カップ状の第2凹所が形成された第2鉗子片14と、こ
れら鉗子片を、第1凹所と第2凹所とが向き合うよう
に、支点軸10回りに開閉自在に保持する支持具6と、
第1鉗子片の第1電極30と第2鉗子片の第2電極32
との間に高周波電圧を供給する電圧供給手段40とを有
し、支点軸10の回りに開閉自在に保持してある第1鉗
子片12と第2鉗子片14との間には、中間絶縁スペー
サ16が介在してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉗子型電気処置器
具に係り、さらに詳しくは、体腔内の病変部などの組織
片をカップ状の鉗子を用いて摘み、鉗子間に高周波電流
を流すことにより組織片の基部を焼き切り、病変部の治
療と組織片の採取を可能とする双極式の鉗子型電気処置
器具に関する。
【0002】
【従来の技術】体腔内の病変部が良性か悪性かを組織学
的に診断を行うためなどに、生検鉗子が用いられる。従
来の生検鉗子としては、たとえば特開昭59−9055
3号公報および特開平5−42159号公報に示すよう
に、一対のカップ状鉗子片を開閉させて、カップのエッ
ジ部により切断するタイプのものが知られている。
【0003】しかしながら、カップのエッジにより切断
するタイプの生検鉗子では、鋭利なエッジ部が、病変部
以外の正常組織を傷つける可能性が高いという課題を有
する。また、このタイプの生検鉗子では、数回の採取に
より、エッジ部の鋭利性が鈍化すると共に、エッジ部の
噛み合わせにずれが生じる結果、切れ味が著しく低下
し、良好な採取が不可能になると言う課題を有してい
る。
【0004】一方で、実開昭62−186,708号公
報に示すように、単極式の鉗子型電気処置器具が提案さ
れている。この単極式の電気処置器具では、体腔内に挿
入されるカップ状鉗子片に電極を設け、他の電極を構成
する電極プレートを患者の体外で接触させて配置し、こ
れら電極間に高電圧の高周波電圧を印加させる。カップ
状鉗子片で組織片を摘むことにより、摘まれた組織片の
基部に電流が集中し、その部分の患部組織を凝固壊死さ
せると共に焼き切ることができる。焼き切られた組織片
は、カップ状鉗子片の内部に残り、これを採取すること
ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報に開示された単極式の鉗子型電気処置器具では、単極
式であるために、電流が完全に患者の体を突き抜けるこ
とから、鉗子片の電極から目的としない部分にもアーク
を生成したり、患者の体内を流れる電流が迷走して、損
傷を与えるべきでない組織にも損傷を与え得る可能性が
ある。また、単極式では、比較的高出力を必要とするた
めに、アークによって過度の組織破壊を生じる可能性も
ある。
【0006】そこで、一対のカップ状鉗子片相互を、そ
れぞれ別の電極として、これら電極の間に高周波電圧を
印加する双極式の電気処置器具も考えられるが、各鉗子
片の電極毎に、別々の導電路から電圧を供給する必要が
あり、狭い空間内での導電路の確保およびこれら導電路
の絶縁が問題となる。
【0007】本発明は、このような実状に鑑みてなさ
れ、双極式の鉗子型電気処置器具において、カップ状鉗
子片相互の各電極へ電圧を供給する導電路の絶縁性に優
れた鉗子型電気処置器具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る鉗子型電気処置器具は、体内に挿入可
能な可撓性を有するカテーテルチューブと、前記カテー
テルチューブの遠位端側に装着され、カップ状の第1凹
所が形成された第1鉗子片と、前記カテーテルチューブ
の遠位端側に装着され、カップ状の第2凹所が形成され
た第2鉗子片と、前記第1鉗子片と第2鉗子片とを、前
記第1凹所と第2凹所とが向き合うように、支点軸回り
に開閉自在に保持する支持具と、前記第1鉗子片に形成
された第1電極と、前記第2鉗子片に形成された第2電
極と、前記第1電極と第2電極との間に高周波電圧を供
給するように、前記カテーテルチューブの近位端側に接
続される電圧供給手段とを有する鉗子型電気処置器具で
あって、前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある前
記第1鉗子片と第2鉗子片との間には、中間絶縁スペー
サが介在してある。
【0009】前記支点軸と前記第1鉗子片および/また
は第2鉗子片との間には、絶縁部材が介在してあること
が好ましい。絶縁部材は、支点軸の外周面に装着された
絶縁チューブが好ましいが、これに限らず、支点軸自体
を絶縁部材で構成することにより、支点軸と前記第1鉗
子片および/または第2鉗子片との間に、絶縁部材を介
在しても良いし、支点軸の外周面に絶縁被覆層を形成し
ても良い。あるいは支点軸と接触する第1鉗子片および
/または第2鉗子片の部分を絶縁被覆しても良い。
【0010】前記支点軸の回りに開閉自在に保持してあ
る第1鉗子片および/または第2鉗子片と前記支持具と
の間には、側部絶縁スペーサを介在させることが好まし
い。
【0011】前記側部絶縁スペーサの一部が、前記支持
具の外周より飛び出していることが好ましい。
【0012】前記側部スペーサが、前記支持具の長手方
向に沿って細長い形状を有していることが好ましい。
【0013】中間絶縁スペーサおよび側部絶縁スペーサ
としては、特に限定されず、スペーサ自体がプラスチッ
クやセラミックなどの絶縁部材で構成しても良く、ある
いは導電性部材の表面に絶縁被覆層(絶縁コートを含
む)を形成したり、他の絶縁部材を装着することにより
絶縁スペーサとしても良い。
【0014】本発明に係る鉗子型電気処置器具は、さら
に好ましくは、体内に挿入可能な可撓性を有するカテー
テルチューブと、前記カテーテルチューブの遠位端側に
装着され、カップ状の第1凹所が形成された第1鉗子片
と、カップ状の第2凹所が形成された第2鉗子片とを、
前記第1凹所と第2凹所とが向き合うように、開閉自在
に保持する支持具と、前記第1鉗子片に形成された第1
電極と、前記第2鉗子片に形成された第2電極と、前記
第1電極と第2電極との間に高周波電圧を供給するよう
に、前記カテーテルチューブの近位端側に接続される電
圧供給手段と、前記第1鉗子片に連結されて当該第1鉗
子片を駆動するように前記支持具に連結してある第1リ
ンク片と、前記第2鉗子片に連結されて当該第2鉗子片
を駆動するように前記支持具に連結してある第2リンク
片とを有する鉗子型電気処置器具であって、前記第1リ
ンク片が、前記第1電極へ電圧を供給する第1導電路の
一部となるように導電性部材で構成してあり、前記第2
リンク片が、絶縁部材で構成してあり、前記第2鉗子片
の第2電極へ電圧を供給する第2導電路の一部が、前記
支持具である。
【0015】前記第2リンク片の厚みが、前記第1リン
ク片の厚みよりも厚いことが好ましい。第2リンク片は
絶縁部材で構成してあることから、金属などの導電性部
材で構成してある第1リンク片と略同等な機械的強度を
持たせるためである。
【0016】前記第2鉗子片と支持具とは、導電性スペ
ーサを介して電気的に接続してあることが好ましい。こ
の導電性スペーサの外周には、絶縁スペーサが装着して
あることが好ましい。
【0017】前記第1リンク片および第2リンク片は、
前記カテーテルチューブの内部を軸方向に沿って移動自
在に配置してある導電性ワイヤの遠位端部に対して連結
してあり、当該導電性ワイヤが前記第1リンク片に対し
て電気的に接続してあることが好ましい。この導電性ワ
イヤが、電圧供給手段から第1電極へ電圧を供給するた
めの第1導電路となる。この導電性ワイヤは、カテーテ
ルチューブの近位端側から前記両リンク片へ駆動力を伝
達する部材でもある。
【0018】前記支持具は、前記カテーテルチューブの
遠位端部に接合してあり、カテーテルチューブを構成す
る導電性可撓管に対して電気的に接続してあることが好
ましい。この導電性可撓管が、電圧供給手段から第2電
極へ電圧を供給するための第2導電路となる。この導電
性可撓管は、カテーテルチューブの一部であり、前記支
持具を保持すると共に、カテーテルチューブ内部での導
電性ワイヤの軸方向移動を許容するためのものでもあ
る。なお、導電性可撓管と導電性ワイヤとは、短絡しな
いように絶縁する必要がある。
【0019】導電性可撓管としては、特に限定されない
が、金属製コイルチューブであることが好ましい。金属
製コイルチューブの内周面および外周面には、絶縁層が
積層してあることが好ましい。
【0020】前記第1鉗子片および第2鉗子片は、表面
に絶縁層が形成された金属で構成してあることが好まし
く、電極および接続部が形成される部分のみが、絶縁層
がなく金属の表面が露出していることが好ましい。
【0021】鉗子片を構成する導電性部材としては、た
とえばステンレス鋼、炭素鋼、金、銀、白金、ニッケ
ル、アルミニウムなどの耐熱性および耐腐食性に優れた
金属であることが好ましい。このような導電性部材から
成る鉗子片の表面に成膜する絶縁性膜としては、特に限
定されないが、アルミナ、窒化チタン、炭化チタンなど
のセラミックコーティング膜、ガラスコーティング膜、
合成ダイヤモンド膜、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂など
が、耐熱性の観点から好ましい。コーティング方法とし
ては、イオンプレーティング法、プラズマまたは火炎溶
射堆積法、浸漬法、塗布法などを例示することができ
る。
【0022】本発明において、第1鉗子片と第2鉗子片
とが完全に閉じた状態で、第1電極と第2電極との間に
は所定の隙間が形成されるようになっていることが好ま
しい。本発明において、所定の隙間とは、第1電極と第
2電極との間に生体組織が介在されない状態で、これら
電極間を絶縁状態に保ち、アークなどを発生させない程
度の距離であり、具体的には、好ましくは0.3〜1.
5mm、さらに好ましくは0.5〜1.0mmである。
この隙間が離れすぎると、生体組織の切断が困難にな
り、近すぎると、絶縁を保てなくなる。
【0023】本発明において、電圧供給手段から供給さ
れる高周波電圧の周波数は、特に限定されないが、10
0kHz〜800kHz程度が好ましく、電力は、好ま
しくは5〜35ワット程度である。
【0024】
【作用】本発明に係る鉗子型電気処置器具を用いて、た
とえば病変部組織の凝固壊死および生体組織を採取する
には、まず、内視鏡などを用いて本処置器具の遠位端を
体腔内の病変部近くまで導く。次に、カテーテルチュー
ブの体外側近位端に接続された操作部を操作して、カテ
ーテルチューブの遠位端に装着された一対の鉗子片を閉
じる方向に回動させる。一対の鉗子片を閉じることによ
り、病変部の生体組織片を摘み上げ、鉗子片に形成され
たカップ状の第1,第2凹所内に位置させる。摘み上げ
られた病変部の生体組織片の基部は、各鉗子片の第1電
極および第2電極間に挟まれた状態となる。
【0025】次に、カテーテルチューブの近位端側に接
続される電圧供給手段からカテーテルチューブ内に配線
された導電路を通して、第1電極および第2電極間に高
周波電圧を印加する。これら電極間に高周波電圧が印加
されると、電極間に挟まれた組織片の基部にのみ電流が
流れて加熱し、基部が焼き切られる。この加熱により、
切断された部分の止血および凝固壊死も行われる。鉗子
片の凹所内には、切断された生検用組織片が残る。した
がって、鉗子片相互が閉じたまま、処置器具を体腔内か
ら体外へ取り出せば、生検用組織片の採取が完了する。
【0026】本発明に係る鉗子型電気処置器具では、鉗
子片の先端側縁部に形成された各電極間に挟まれる生体
組織にのみ電流が流れる。したがって、単極式に比較し
て、生体組織の焼灼が少なく、且つ小さな電力で確実な
病変部の凝固壊死および組織片の切除が可能となる。ま
た、通電に必要な部分のみに電極が形成してあり、切除
された生体組織片が収容される鉗子片のカップ状凹所内
を絶縁しておくことで、切除された生体組織片の損傷が
ない。
【0027】特に、本発明の鉗子型電気処置器具では、
前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある前記第1鉗
子片と第2鉗子片との間には、中間絶縁スペーサが介在
してあるので、絶縁性に優れ、両鉗子片に形成された各
電極への導電路相互の絶縁が良好に保持される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。
【0029】第1実施形態 図1に示すように、本実施形態に係る鉗子型電気手術用
処置器具2は、体内に挿入可能なカテーテルチューブ4
を有する。カテーテルチューブ4は、内部にルーメンを
有し、可撓性のある材料で構成してある。
【0030】本実施形態では、カテーテルチューブ4
は、図4に示すように、導電性可撓管としての金属製コ
イルチューブ50と、その外周を覆うように配置される
外チューブ52とを有する。コイルチューブ50は、た
とえばステンレス、炭素鋼、金、銀、白金、アルミニウ
ムなどの金属線をコイル状に巻回して可撓管としたもの
である。コイルチューブ50を構成する金属線の線径
は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1.5m
m、さらに好ましくは0.2〜1.0mmである。ま
た、コイルチューブ50の外径も特に限定されないが、
好ましくは1.0〜5.0mm、さらに好ましくは1.
5〜3.0mmである。
【0031】コイルチューブ50の遠位端は、図3およ
び4に示すように、支持具6の後端開口部7内に挿入さ
れ、開口部7の縁部外周から銀ロー9、レーザ溶接、ハ
ンダ付け、熱収縮チューブによる接合などの手段で支持
具6に接合してあり、支持具6とコイルチューブ50と
は電気的に導通状態となる。
【0032】本実施形態では、図4に示すように、銀ロ
ー9などの手段で、支持具6とコイルチューブ50の遠
位端とを接合した後に、支持具6とコイルチューブ50
との内外周面に一体的に絶縁被覆層54を形成してあ
る。樹脂被覆層54は、特に限定されないが、ポリイミ
ド樹脂、フッ素樹脂などの樹脂コーティング層が、耐熱
性の観点から好ましい。コーティング方法としては、浸
漬法、塗布法などを例示することができる。樹脂被覆層
54の厚みは、絶縁性が保てる程度であれば、特に限定
されないが、内側層および外側層のそれぞれにおいて、
5〜50μm程度である。
【0033】樹脂被覆層54で被覆されたコイルチュー
ブ50の近位端は、図1に示す操作部20に対して接合
してあり、電気コード42を介して電圧供給手段として
の高周波電源40に接続してある。
【0034】本実施形態において、外チューブ52は、
コイルチューブ50に対して相対的に軸方向の移動が可
能なように、その遠位端側では、支持具6またはコイル
チューブ50に対して接合されておらず、その近位端側
のみが、図1に示す操作部20に対して接合してある。
【0035】外チューブ52を構成する材料としては、
可撓性を有する電気絶縁材料であれば特に制限はなく、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
ウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリエーテルスルホン、フッ素系樹脂などのプラス
チック類を使用することができ、目的に応じて適切な弾
性率を有する材料を選択することができる。
【0036】外チューブ52の内径は、コイルチューブ
50の外径よりも0.1〜0.8mm程度大きな程度で
あり、その肉厚は、特に限定されないが、好ましくは
0.05〜0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.
3mmである。
【0037】本実施形態では、図1〜4に示す支持具6
は、たとえばステンレス、炭素鋼、金、銀、白金、アル
ミニウムなどの金属の周囲を、コイルチューブ50の絶
縁層54で一体的に覆ったものであり、図1,3に示す
ように、軸方向に突出する一対の支持片8,8を有す
る。
【0038】支持片8,8の遠位端側には、支点軸10
が掛け渡してあり、その両端部が支持片8,8に対して
カシメなどの手段で固定してある。本実施形態では、支
点軸10は、機械的強度を考えて金属で構成してある
が、プラスチックで構成しても良い。プラスチック製支
点軸10の場合には、その両端部は、熱カシメとなり、
金属製の場合には、単純カシメとなる。本実施形態で
は、支点軸10を金属で構成してあることから、図3に
示すように、その外周には、プラスチックなどで構成さ
れた絶縁チューブ56が配置してあり、その外周に、第
1鉗子片12および第2鉗子片14のそれぞれの第1お
よび第2リンク用後端部13,15が、回動自在に装着
してある。
【0039】第1鉗子片12および第2鉗子片14は、
カップ状の第1凹所24および第2凹所26が各々形成
してある。各凹所24,26の容積は、特に限定されな
いが、採取すべき生体組織片の体積などに応じて決定さ
れ、各々好ましくは0.5〜33.0mm3 、さらに好
ましくは1.0〜18.0mm3 程度である。各凹所2
4,26が向き合うように、鉗子片12,14の各リン
ク用後端部13,15が支点軸10に対して回動自在に
装着される。なお、図2,3に示すように、鉗子片1
2,14の各凹所24,26の底部には、外側に通じる
開口部11を形成しても良い。開口部11を形成するこ
とで、凹所24,26の容積以上の組織片の採取が可能
となる。
【0040】各鉗子片12,14の凹所24,26の先
端側縁部には、それぞれ第1電極30および第2電極3
2が形成してある。各電極31,32の電極面積は、特
に限定されないが、それぞれ0.3〜5.0mm2 であ
ることが好ましい。
【0041】本実施形態では、各鉗子片12,14は、
ステンレス鋼などの金属で構成し、前記第1電極30お
よび第2電極32に相当する部分以外を全て絶縁被覆層
で被覆してある。絶縁被覆層は、本実施形態では、アル
ミナなどのセラミックコーティング膜を採用している。
このセラミックコーティング膜は、イオンプレーティン
グ法などにより成膜することができる。この絶縁被覆層
の膜厚は、両鉗子片12,14の絶縁性が保たれる程度
の膜厚であり、好ましくは0.01〜0.06mmであ
る。
【0042】なお、図9(A),(B)に示すように、
各鉗子片12,14のリンク用後端部13,15の表面
にも絶縁被覆層53が被覆してあるが、絶縁被覆層53
の膜厚が均一に形成されるように、後端部13,15の
角部55には、全て曲率半径Rの丸みを持たせることが
好ましい。曲率半径Rは、0.01mm以上であること
が好ましい。このことは、各鉗子片12,14の全ての
角部においても同様であると共に、絶縁被覆層が形成さ
れる他の全ての部材についても同様である。
【0043】本実施形態では、図1に示す各鉗子片1
2,14の各電極30,32とそれぞれ電気的に導通し
てあるリンク用後端部13,15には、後述する第1導
電路および第2導電路を構成する部材が接触して電気的
な接続が図られる。その結果、図1に示す高周波電源4
0から、両電極30,32間に高周波電圧が印加される
ようになっている。高周波電源40から供給される高周
波電圧の周波数は、特に限定されないが、100kHz
〜800kHz程度が好ましく、電力は、好ましくは5
〜35ワット程度である。
【0044】また、本実施形態では、図2に示すよう
に、一対の鉗子片12,14が完全に閉じられた状態
で、鉗子片12,14の電極30,32には、所定の隙
間tが形成されるように、後述するリンク17,19が
調節してある。図2に示す所定の隙間tとは、第1電極
30と第2電極32との間に生体組織が介在されない状
態で、これら電極30,32間を絶縁状態に保ち、アー
クなどを発生させない程度の距離であり、具体的には、
0.4〜1.5mmである。
【0045】図3に示すように、リンク用後端部13,
15の間には、中間絶縁スペーサ16が装着してあり、
これらの絶縁が保持してある。本実施形態では、中間絶
縁スペーサ16は、円盤状のワッシャである。
【0046】また、第1リンク用後端部13と支持片8
との間には側部絶縁スペーサ58が装着してある。本実
施形態では、側部絶縁スペーサ58は、前記中間絶縁ス
ペーサ16と同じ外径を持つ円盤状のワッシャである。
【0047】一方、第2リンク用後端部15と支持片8
との間に位置する絶縁チューブ56の外周には、導電性
スペーサとしての金属ワッシャ60が配置してあり、支
持具6の支持片8との電気的な接触が図られている。支
持具6の表面には、絶縁被覆層54がコーティングして
あるので、金属ワッシャ60との接続部では、絶縁被覆
層54が剥がされ、電気的な接触が可能になっている。
その結果、支持具6の支持片8は、金属ワッシャ60を
介して、第2鉗子片12のリンク用後端部15に対し
て、電気的に導通している。なお、前述したように、鉗
子片12および14は、その後端部13および15をも
含めて絶縁被覆してあるので、電極32に対応する部分
や金属ワッシャ60との接触部では、絶縁被覆が剥がさ
れ、電気的導通が確保されるようになっている。
【0048】このようにして、第2鉗子片14の第2電
極32には、金属ワッシャ60、支持具6の支持片8お
よびコイルチューブ50から成る第2導電路を通して電
流が供給可能になっている。なお、金属ワッシャ60の
外周には、側部絶縁スペーサ62が装着してあり、金属
ワッシャ60が他の導電性部材に接触することを防止し
ている。また、絶縁スペーサ16,58,62の外径
は、本実施形態では、全て同じ外径であり、図2に示す
ように、支持具6の支持片8から所定長さpで飛び出す
程度の大きさであることが好ましい。なぜなら、鉗子片
12,14相互が閉じた状態および開いた状態の双方に
おいて、各鉗子片12,14と支持片8とが接触して短
絡することを有効に防止するためである。なお、所定長
さpとは、特に限定されないが、0.5〜2.0mm程
度が好ましい。また、本実施形態では、絶縁スペーサ1
6,58,62の外径を全て同じとしたが、それぞれを
異ならしても良い。
【0049】なお、絶縁チューブ56、絶縁スペーサ1
6,58,62は、たとえばポリイミド、ポリエーテル
スルホン、フッ素系樹脂などの耐熱プラスチックで構成
してある。
【0050】本実施形態において、コイルチューブ50
の長さは、特に限定されず、用途に応じて幾らでも長く
することができるが、たとえばコイルチューブ50の曲
げ剛性を、遠位端側で低くしたい場合などには、曲げ剛
性が異なるコイルチューブの端部相互を接続する必要が
ある。そのような場合に、本実施形態では、図5
(A),(B)に示す接続チューブ63aまたは63b
を用いる。
【0051】図5(A)に示す接続チューブ63aで
は、その長手方向に沿って直線状または曲線状の切欠6
5aが形成してあり、チューブ63aの内部に銀ロー付
け用の銀ローを流し込んだ後、両端開口部内にコイルチ
ューブ50a,50bの端部を差し込むようになってい
る。接続チューブ63aには、切欠65aが形成してあ
ることから、この切欠65aが接続の際のエア抜きとな
り、接続部にエアが残ることなく、銀ローにより良好に
接続することができる。
【0052】図5(B)に示す接続チューブ63bで
は、切欠の代わりに開口部65bが形成してあり、この
開口部65bが接続の際のエア抜きとなり、コイルチュ
ーブ50a,50bの端部を銀ロー付けなどにより良好
に接続することができる。なお、本実施形態では、コイ
ルチューブ50a,50bなどの金属製長手部材の端部
相互を接続するために、金属製の接続チューブ63a,
63bを用いるが、樹脂製の長手部材の端部相互を接続
するための接続チューブの場合には、接続チューブを樹
脂製として、接着剤などを流し込んでも良い。すなわ
ち、図5に示す接続チューブを用いた接続方法は、金属
製長手部材およびその他の材質の長手部材をロー付けあ
るいは接着剤などで接続する場合全てに対して適用する
ことができる。これらの場合において、接続チューブ6
3a,63bは、透明であることが好ましい。接合のた
めの接着剤やロー剤などの溶着剤の充填状態を目視によ
り確認することができるからである。
【0053】図1,3に示すように、各鉗子片12,1
4のリンク用後端部13,15には、回動ピン64およ
び66をそれぞれ介して、第1および第2リンク片1
7,19がパンタグラフ状に連結してある。
【0054】本実施形態では、一方の第1リンク片17
が金属などの導電性部材で構成してあり、第2リンク片
19がプラスチックなどの絶縁部材により構成してあ
る。第2リンク片を構成するプラスチックとしては、特
に限定されないが、耐熱性に優れていることが好まし
く、たとえばフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ABS樹脂
などで構成してある。第1リンク片17は、たとえばス
テンレスなどの金属で構成してある。同じ厚みである場
合には、金属の方がプラスチックに比べて機械的強度が
高いことが一般的であることから、本実施形態では、合
成樹脂で構成してある第2リンク片19の厚みを、金属
で構成してある第1リンク片17の厚みよりも厚く構成
し、機械的強度のバランスを図っている。その結果、図
3に示す断面において、支持具6の中心軸線に対して左
右対称な構造ではなくなっている。
【0055】本実施形態では、第1リンク片17が、第
1鉗子片12の第1電極30への第1導電路の一部を構
成してあり、第1鉗子片12のリンク用後端部13に対
して接触する部分(回動ピン64の位置)において、こ
れらの電気的接続が図られている。なお、第1リンク片
17は、他の導電性部材との短絡を防止するために、絶
縁被覆層が形成してあるが、リンク用後端部13との接
触部と、後述する駆動片70との接触部では、絶縁被覆
層が剥がされており、電気的な接続が確保してある。な
お、第1鉗子片12も、前述したように、金属などの導
電性部材で構成してあり、その表面に絶縁被覆層が形成
してあり、第1リンク片17との接触部では、絶縁被覆
層が剥がされている。また、第1電極30に対応する部
分も、絶縁被覆層が剥がされている。
【0056】図1,3に示すように、第1および第2リ
ンク片17,19の後端部には、回動ピン68を介し
て、駆動片70の先端部が連結してある。駆動片70
は、図6(A),(B)に示すように、その先端部に、
取付孔72を有し、その取付孔72に対して、図1,3
に示す回動ピン68が挿通可能になっている。駆動片7
0の後端部には、導電性ワイヤ18の遠位端部が挿入さ
れる軸孔74を持つ筒部75が形成してあると共に、そ
の軸孔74に連通するように筒部75の外周面には、開
口部76が形成してある。この開口部76は、導電性ワ
イヤ18の遠位端部を軸孔74内に挿入し、銀ロー付け
などの手段で電気的な導通が可能な状態で接続する際
に、軸孔74内のエア抜きとなり、銀ローが軸孔74の
内部全体に行き渡り、ワイヤ18と駆動片70との接続
が良好になる。
【0057】なお、導電性ワイヤ18の遠位端部と駆動
片70との接続が済んだ後に、これらの表面に、絶縁被
覆層を一体的に成膜することが好ましい。絶縁被覆層の
材質は、前述した絶縁被覆層54と同様な材質でよく、
コーティング法などで形成される。
【0058】導電性ワイヤ18は、金属ワイヤなどによ
り構成してあり、図1,3に示すように、カテーテルチ
ューブ4の内部のルーメンに沿って長手方向Xに進退移
動自在に装着してある。導電性ワイヤ18は、その長手
方向Xに沿っては操作力が伝達可能になっており、且つ
カテーテルチューブ4の半径方向には、カテーテルチュ
ーブ4と共に湾曲可能なように、十分な可撓性を有して
いる。
【0059】導電性ワイヤ18の近位端は、図1に示す
ように、体外に配置される操作部20に対して長手方向
Xに移動自在に装着されたハンドル22に対して連結し
てある。また、導電性ワイヤ18の近位端は、電気コー
ド42を介して電圧供給手段としての高周波電源40に
電気的に接続してある。操作部20は、片手で持ちやす
い程度の外径を有する。
【0060】本実施形態では、導電性ワイヤ18は、図
1に示す高周波電源40に対して電気的に接続してあ
り、第1導電路の一部を構成してある。導電性ワイヤ1
8の遠位端部は、図3の説明において前述したように、
駆動片70に対して電気的に接続してある。
【0061】したがって、第1鉗子片12の第1電極3
0には、リンク用後端部13、第1リンク片17、駆動
片および導電性ワイヤ18から成る第1導電路を通して
電流が供給可能になっている。
【0062】なお、導電性ワイヤ18は、導電路を形成
するのみでなく、鉗子片12,14の開閉動作の制御も
行う。すなわち、図1に示す操作部20に対してハンド
ル22を長手方向Xに前進および後退させることで、導
電性ワイヤ18がカテーテルチューブ4のルーメン内を
矢印X方向に沿って移動し、図8(A),(B)に示す
ように、リンク17,19を動作させて、鉗子片12,
14を矢印Y方向に回動させ、それらの開閉を制御す
る。
【0063】なお、本実施形態において、図3に示す回
動ピン64,66または68と、リンク片17または1
9とは、図7(A),(B)に示すように、カシメ止め
などの手段により相互に回動移動自在に連結してある。
回動ピン64,66または68の端部に形成されたカシ
メ部は、リンク片17または19の表面から多少引っ込
んで形成してあることが好ましく、その隙間に、図7
(A)に示すように、シリコンなどの充填剤77を詰め
ることが好ましい。また、リンク片17または19の表
面は、図7(B)に示すように、カシメ部を含めて、絶
縁被覆層78により被覆することが好ましい。絶縁被覆
層78は、図4に示す絶縁被覆層54と同様な材質のも
のを用いることができ、コーティングにより形成するこ
とができる。
【0064】本実施形態に係る鉗子型電気手術用処置器
具2を用いて、たとえば病変部の生体組織を採取するに
は、まず、内視鏡などを用いて処置器具2の遠位端を、
図10に示す体腔80内の病変部82近くまで導く。次
に、図1に示すカテーテルチューブ4の体外側近位端に
接続された操作部20からハンドル22を引っ張るよう
に操作して、カテーテルチューブ4の遠位端に装着され
た一対の鉗子片12,14を閉じる方向に回動させる。
一対の鉗子片12,14を閉じることにより、病変部5
2の生体組織片を摘み上げ、鉗子片12,14に形成さ
れたカップ状の第1,第2凹所24,26内に位置させ
る。摘み上げられた病変部52の生体組織片の基部は、
各鉗子片12,14の先端側縁部の第1電極30および
第2電極32間に挟まれた状態となる。その状態を図1
0に示す。
【0065】次に、カテーテルチューブ4の近位端側に
接続される図1に示す高周波電源40から、導電性ワイ
ヤ18、駆動片70、第1リンク片17、第1鉗子片1
2から成る第1導電路と、コイルチューブ50、支持具
6、金属ワッシャ60および第2鉗子片14から成る第
2導電路とを通して、第1電極30および第2電極32
間に高周波電圧を印加する。これら電極30,32間に
高周波電圧が印加されると、電極30,32間に挟まれ
た組織片の基部にのみ電流が流れて加熱し、基部が焼き
切られる。この加熱により、切断された周囲の凝固壊死
および止血も行われる。鉗子片の凹所24,26内に
は、切断された生検用組織片が残る。したがって、鉗子
片相互が閉じたまま、処置器具を体腔内から体外へ取り
出せば、生検用組織片の採取が完了する。
【0066】本実施形態では、鉗子片12,14の先端
側縁部に形成された各電極30,32間に挟まれる生体
組織にのみ電流が流れる。したがって、単極式に比較し
て、生体組織の焼灼が少なく、且つ小さな電力で確実な
組織片の切除が可能となる。また、通電に必要な部分の
みに電極30,32が形成してあり、切除された生体組
織片が収容される鉗子片のカップ状凹所24,26内は
絶縁してあるので、切除された生体組織片の損傷がな
い。
【0067】また、鉗子片12,14相互が閉じられた
状態で、第1電極30および第2電極32間には、所定
の隙間を形成してあるので、これら電極30,32間の
短絡を有効に防止することができる。鉗子片12,14
に一体に成形されたリンク用後端部13,15相互の絶
縁は、図3に示す絶縁部材から成る絶縁チューブ56お
よび中間絶縁スペーサ16により確保される。また、鉗
子片12,14と、支持具6の支持片8との絶縁は、側
部絶縁スペーサ58および62により図られる。
【0068】特に本実施形態では、第1リンク片17
が、第1電極30へ電圧を供給する第1導電路の一部と
なるように導電性部材で構成してあり、第2リンク片1
9が、絶縁部材で構成してあり、第2鉗子片14の第2
電極32へ電圧を供給する第2導電路の一部が、前記支
持具8である。このため、各電極へ電圧を供給するため
の導電路を形成する部材として、新たな部品を追加する
ことなく、処置器具2を構成するために必要な部材を利
用して導電路を形成している。したがって、部品点数を
増大させることなく、各鉗子片12,14の各電極3
0,32毎に、相互に絶縁された別々の導電路を通して
高周波電圧を供給することができる。しかも、各導電路
相互は、絶縁スペーサ16,58,62などにより良好
に保持される。
【0069】第2実施形態 本実施形態では、図11(A),(B)に示すように、
側部絶縁スペーサ58aの形状を、支持具6の支持片8
の長手方向に沿って細長い形状にしてある。すなわち、
側部絶縁スペーサ58aの形状を、支持具6の支持片8
と略同一の形状にしてある。本実施形態の側部絶縁スペ
ーサ58aは、前記第1実施形態の側部絶縁スペーサ5
8と同じ材質で構成してあり、絶縁チューブ56が挿通
される貫通孔61が形成された円盤状のボス部57と、
このボス部57に一体に形成してある平板部59とを有
する。
【0070】本実施形態では、平板部59の厚みをボス
部57の厚みに比較して薄く構成してある。これは、第
1リンク片17との間に、多少の隙間を持たせることに
より、第1リンク17の動きを阻害しないようにするた
めである。しかしながら、平板部59の表面の滑り特性
を良好にすることで、第1リンク片17と摺接するよう
に構成することもできる。その場合には、平板部59の
厚みをボス部57の厚みと略同一に構成することもでき
る。
【0071】なお、本実施形態では、金属ワッシャ60
の外周には、前記第1実施形態で用いた側部絶縁スペー
サ62が装着してあるが、側部絶縁スペーサ62の形状
も、図11(B)に示すような形状にしても良い。その
場合には、貫通孔61の内径が、金属ワッシャ60の外
径と略同一以上にする必要がある。また、第2リンク片
19の動きを邪魔しない構造にする必要がある。
【0072】本実施形態に係る鉗子型電気処置器具2a
のその他の構造は、前記第1実施形態の鉗子型電気処置
器具と同一であり、同様な作用効果を奏する。しかも本
実施形態に係る鉗子型電気処置器具2aでは、所定形状
の側部絶縁スペーサ58aを有するので、第1リンク片
17と支持具6の支持片8との電気的短絡を確実に防止
することができる。
【0073】第3実施形態 本実施形態では、図12に示すように、カテーテルチュ
ーブ4aの一部を構成する外チューブ52aの遠位端部
が、支持具6aの後端部外周に接着、融着、熱収縮チュ
ーブまたは熱カシメなどの手段で接合してある。
【0074】支持具6aの端部外周への接合を確実にす
るために、本実施形態では、支持具6aの後端部外周に
は、1以上の溝84が形成してある。溝84は、リング
状でも螺旋状でも良いし、また、周方向に連続しても断
続しても良い。
【0075】このような溝84が形成された支持具6a
の端部外周に、外チューブ52aの遠位端部を被せ、加
熱加圧用金型を用いれば、外チューブ52aの遠位端部
を支持具6aの端部外周に容易に熱カシメにより接合す
ることができる。外チューブ52aの近位端部は、前記
第1実施形態と異なり、図1に示す操作部20に対して
接合されておらず自由端となっている。このように、外
チューブ52または52aの少なくとも一端を自由端と
するのは、カテーテルチューブ4または4aは、曲がり
くねった体腔内に挿入され、外チューブ52a,52と
コイルチューブ50とが相対的に軸方向に移動すること
になることから、この移動を吸収するためである。
【0076】本実施形態では、外チューブ52aは、前
記実施形態における外チューブ52と同様な材質および
寸法で構成してあり、図12に示す以外の構成は、前記
実施形態のものと全く同一である。
【0077】本実施形態に係る鉗子型電気処置器具で
は、前記第1実施形態の電気処置器具と同様な作用効果
を奏する上に、次に示す作用効果も奏する。すなわち、
本実施形態では、操作部20側で外チューブ52aを固
定するのではなく、支持具6a側で外チューブ52aの
端部を固定する。このため、体腔などに存在する体液
が、外チューブ52aと支持具6aとの間から、外チュ
ーブ52aとコイルチューブ50との隙間に侵入するこ
とを有効に防止することができる。
【0078】第4実施形態 本実施形態では、図13(A)〜(C)に示すように、
第1鉗子片12a〜12cと、第2鉗子片14a〜14
cとの形状に変化を持たせてある。
【0079】図13(A)に示す例では、前記第1実施
形態に係る鉗子片12,14に形成する開口部11より
も大きな開口部11aが形成してある。図13(B)に
示す例では、鉗子片12b,14bの先端形状が横から
見て矢印形状となるように、開口部11bが各鉗子片1
2b,14bに形成してある。図13(C)に示す例
は、図13(A)に示す例の変形例であり、開口部11
cの形状は、図13(A)に示すものと同じであるが、
鉗子片12c,14cが閉じられた状態の隙間の形状が
異なる。すなわち、鉗子片12c,14c間の隙間が、
軸方向に沿って平行にならないように、各鉗子片12
c,14cの相互に向かい合う面には、互い違いの突起
85cが形成してある。このような突起85c,85c
を鉗子片12c,14cの相互に向かい合う面に形成す
ることで、組織片を掴みやすくなる。しかも、各鉗子片
12c,14cに形成してある電極(図示省略)間の距
離を保つことができるので、短絡も有効に防止できる。
本実施形態のその他の作用効果は、前記第1実施形態と
同様である。
【0080】第5実施形態 本実施形態では、図14(A),(B)に示すように、
各鉗子片12d,14dの凹所24,26の先端側縁部
には、鋭利な切断用エッジ部31,33が形成してあ
る。鉗子片12d,14d相互が閉じられ、エッジ部3
1,33同士が噛合することで、組織片の切断が可能に
なっている。
【0081】また、本実施形態では、各鉗子片12d,
14dの接触部を含まない各鉗子片の先端側外周面に
は、それぞれ第1電極30dおよび第2電極32dが形
成してある。各電極30d,32dの電極面積は、特に
限定されないが、それぞれ2.0〜40.0mm2 であ
ることが好ましい。これら第1電極30dおよび第2電
極32dは、鉗子片12d,14d相互が閉じられた状
態でも短絡しないように、これらの接触部には電極が形
成されておらず絶縁状態となっている。また、鉗子片1
2d,14dの各凹所24,26の内表面にも、電極は
形成されておらず絶縁状態となっている。
【0082】なお、本実施形態では、各々の鉗子片12
d,14dを絶縁性部材で構成し、各鉗子片12d,1
4dの電極30d,32dに相当する部分にのみ、導電
性膜を成膜することにより、電極30d,32dが形成
してある。鉗子片12d,14dを構成する絶縁部材と
しては、アルミナ、窒化チタン、炭化チタンなどのセラ
ミック;ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテ
ルスルホン、フッ素樹脂などが、耐熱性の観点から好ま
しい。このような絶縁性部材から成る鉗子片12d,1
4dの表面に成膜する導電性膜としては、特に限定され
ないが、銀、銅、金、白金などが好ましい。導電性が高
いからである。コーティング方法としては、金属メッキ
法、スパッタリング法、蒸着法、塗布法などを例示する
ことができる。
【0083】ただし、本実施形態では、図14に示す第
1電極30dから図3に示す第1リンク片17への第1
導電路と、図14に示す第2電極32dから図3に示す
金属ワッシャ60への第2導電路とを確保する必要があ
る。
【0084】また、本実施形態の変形例として、各鉗子
片12d,14dを、ステンレス鋼で構成し、第1電極
30dおよび第2電極32dに相当する部分以外を全て
絶縁被覆層で被覆しても良い。
【0085】本実施形態に係る鉗子型電気処置器具2を
用いて、たとえば病変部の生体組織を採取するには、ま
ず、内視鏡などを用いて処置器具2の遠位端を、図14
(B)に示す体腔80内の病変部82近くまで導く。次
に、図1に示すカテーテルチューブ4の体外側近位端に
接続された操作部20からハンドル22を引っ張るよう
に操作して、カテーテルチューブ4の遠位端に装着され
た一対の鉗子片12d,14dを閉じる方向に回動させ
る。一対の鉗子片12d,14dを閉じることにより、
病変部82の生体組織片を摘み上げ、鉗子片12d,1
4dに形成されたカップ状の第1,第2凹所24,26
内に位置させる。摘み上げられた病変部82の生体組織
片の基部は、各鉗子片12d,14dの切断エッジ部3
1,33の噛合により、完全に切断される。あるいは完
全に切断されない場合でも、次に示すようにして完全に
切断することができる。
【0086】すなわち、図1に示す操作部20を操作し
て、閉じられた鉗子片12d,14dの先端部を体腔8
0の生体組織面に押し付ける。これにより、鉗子片12
d,14dの内部に挟まれた生体組織片の基部の両側に
位置する生体組織の面に、それぞれ第1電極30dと第
2電極32dとが圧接する。この状態で、カテーテルチ
ューブ4の近位端側に接続される高周波電源40から、
前記の第1導電路および第2導電路を通して、第1電極
30dおよび第2電極32d間に高周波電圧を印加す
る。これら電極30d,32d間に高周波電圧が印加さ
れると、電極30d,32d間に位置する組織片の基部
にのみ電流が流れて加熱し、基部が焼き切られる。この
加熱により、切断された部分の止血も行われる。鉗子片
の凹所24,26内には、切断された生検用組織片が残
る。したがって、鉗子片相互が閉じたまま、処置器具を
体腔内から体外へ取り出せば、生検用組織片の採取が完
了する。
【0087】なお、各鉗子片12d,14dの切断用エ
ッジ部31,33により、組織片の基部が完全に切断さ
れる場合には、高周波電圧の印加は、切断後の生体組織
の表面の止血および周囲組織の凝固壊死のために行われ
る。このような止血は、組織片が採取される部分以外で
も、何らかの原因により出血した部位に対して、閉じら
れた鉗子片12d,14dの先端部を押し付けて高周波
電圧を印加することで行うこともできる。
【0088】本実施形態では、前記第1実施形態の作用
効果に加えて、上述したような作用効果を奏する。
【0089】第6実施形態 本実施形態では、図15(A)〜(C)に示すように、
第1鉗子片12e〜12gと、第2鉗子片14e〜14
gとを、一部において噛み合わせるように接触させてい
る。図15(A)に示す例では、鉗子片12e,14e
の先端側の噛み合わせ面86eを、軸線と平行にして、
所定の直線範囲で接触させている。また、図15(B)
に示す例では、鉗子片12f,14fのかみ合わせ面を
テーパ面86fとして、これらの先端でのみ接触させて
いる。さらに、図15(C)に示す例では、一方の第1
鉗子片12gの噛み合わせ面86eを軸線と平行な面と
し、他方の第2鉗子片14gの噛み合わせ面86fをテ
ーパ面とし、これらの先端でのみ接触させている。
【0090】これらの例では、鉗子片相互を噛み合わせ
面で接触させているので、少なくともそれらの接触部に
は、絶縁被覆層が形成してある必要がある。そのような
構造例としては、たとえば図16(A)に示すように、
金属などの導電性部材で構成してある鉗子片12h,1
4hの内外表面を絶縁被覆層53でコーティングし、少
なくとも噛み合わせ面で絶縁されるようにする。また、
第1電極30hおよび第2電極32hは、各鉗子片12
h,14hの噛み合わせ面近くの内壁面の絶縁被覆層を
剥がすことにより形成することができる。
【0091】また、図16(B)に示す例では、金属な
どの導電性部材で構成してある鉗子片12i,14iの
内外表面を絶縁被覆層53でコーティングし、第1電極
30hおよび第2電極32hは、各鉗子片12h,14
hの噛み合わせ面の絶縁被覆層を互い違いに剥がすこと
により形成することができる。
【0092】なお、本発明は、上述した実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変する
ことができる。
【0093】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、双極式の鉗子型電気処置器具において、カップ状鉗
子片相互の各電極へ電圧を供給する導電路の絶縁性に優
れた鉗子型電気処置器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の1実施形態に係る鉗子型電気処
置器具の概略斜視図である。
【図2】図2は図1に示す鉗子型電気処置器具の遠位端
部に装着される部品の側面図である。
【図3】図3は図2に示すIII−III線に沿う要部断面図
である。
【図4】図4は図1に示す鉗子型処置器具の支持具とカ
テーテルチューブとの接続部を示す概略図である。
【図5】図5(A),(B)は導電性可撓管の接続に用
いる接続具の斜視図である。
【図6】図6(A),(B)は導電性ワイヤとリンク駆
動片との接続部を示す斜視図と断面図である。
【図7】図7(A),(B)はリンクとピントの接続部
の詳細を示す要部断面図である。
【図8】図8(A),(B)はリンクの働きによる鉗子
片の開閉を示す概略図である。
【図9】図9(A)は鉗子片の平面図、同図(B)は同
図(A)に示すB−B線に沿う拡大断面図である。
【図10】図10は鉗子型電気処置器具の使用状態を示
す概略図である。
【図11】図11(A)は本発明の他の実施形態に係る
鉗子型処置器具の要部断面図、同図(B)は同図(A)
で用いる側部絶縁スペーサの斜視図である。
【図12】図12は本発明の他の実施形態に係る鉗子型
処置器具の支持具とカテーテルチューブとの接続部を示
す概略図である。
【図13】図13(A)〜(C)は鉗子片の変形例を示
す要部側面図である。
【図14】図14(A)は本発明の他の実施形態に係る
鉗子型処置器具の遠位端側側面図、同図(B)はその鉗
子片付近の要部断面図である。
【図15】図15(A)〜(C)はその他の鉗子片の変
形例を示す要部側面図である。
【図16】図16(A),(B)は鉗子片の電極の変形
例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
2,2a… 鉗子型電気処置器具 4… カテーテルチューブ 6… 支持具 8… 支持片 10… 支点軸 12,12a〜12i… 第1鉗子片 13… 第1リンク用後端部 14,14a〜14i… 第2鉗子片 15… 第2リンク用後端部 16… 中間絶縁スペーサ 17… 第1リンク 18… 導電性ワイヤ 19… 第2リンク 20… 操作部 22… ハンドル 24… 第1凹所 26… 第2凹所 30,30d,30h,30i… 第1電極 31… 切断用エッジ部 32,32d,32h,32i… 第2電極 33… 切断用エッジ部 40… 高周波電源 50… コイルチューブ 56… 絶縁チューブ 58,58a… 側部絶縁スペーサ 60… 金属ワッシャ 62… 側部絶縁スペーサ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体内に挿入可能な可撓性を有するカテー
    テルチューブと、 前記カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ
    状の第1凹所が形成された第1鉗子片と、 前記カテーテルチューブの遠位端側に装着され、カップ
    状の第2凹所が形成された第2鉗子片と、 前記第1鉗子片と第2鉗子片とを、前記第1凹所と第2
    凹所とが向き合うように、支点軸回りに開閉自在に保持
    する支持具と、 前記第1鉗子片に形成された第1電極と、 前記第2鉗子片に形成された第2電極と、 前記第1電極と第2電極との間に高周波電圧を供給する
    ように、前記カテーテルチューブの近位端側に接続され
    る電圧供給手段とを有する鉗子型電気処置器具であっ
    て、 前記支点軸の回りに開閉自在に保持してある前記第1鉗
    子片と第2鉗子片との間には、中間絶縁スペーサが介在
    してある鉗子型電気処置器具。
  2. 【請求項2】 前記支点軸と前記第1鉗子片および/ま
    たは第2鉗子片との間には、絶縁部材が介在してある請
    求項1に記載の鉗子型電気処置器具。
  3. 【請求項3】 前記支点軸の回りに開閉自在に保持して
    ある第1鉗子片および/または第2鉗子片と前記支持具
    との間には、側部絶縁スペーサが介在してある請求項1
    または2に記載の鉗子型電気処置器具。
  4. 【請求項4】 前記側部絶縁スペーサの一部が、前記支
    持具の外周より飛び出している請求項3に記載の鉗子型
    電気処置器具。
  5. 【請求項5】 前記側部スペーサが、前記支持具の長手
    方向に沿って細長い形状を有している請求項3または4
    に記載の鉗子型電気処置器具。
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