JP3911228B2 - 溶融粘度を高めたポリエステル/ポリカーボネ−ト樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融粘度を高めたポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及び成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテフタレート(PBT)等のポリエステル(SP)とポリカーボネート(PC)とは、透明性を有し、エンジニアリングプラスチックスとしての基本性能に優れることから、成形材料や繊維、フィルム等の様々な用途に広く用いられている。このような2種の重合体が混ざり合った組成物であるSP/PC組成物は、PCの欠点である耐薬品性を補うことができることから、工業的に有用である。ところが、SPとPCとの熱溶融条件が不充分であると、SP/PC組成物が不透明となり、外観や衝撃強度等の基本性能が充分でなくなり、有用性が低下するという問題があった。このようなSP/PC組成物について、透明にすることができる技術が種々提案されている。
【0003】
SP/PC組成物に関し、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテフタレート樹脂との混合物にエステル交換触媒を配合して透明な樹脂組成物を得る技術が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。また、エステル交換触媒とプロトン酸を用いて、ポリカーボネートとポリブチレンテフタレートとの透明な組成物を得る技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、エステル交換触媒を配合せずに溶融混合温度(実施例では280℃で30〜60分)でポリカーボネートとポリエステルとの透明な組成物を得る技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。これらの技術によって得られる組成物は、その流動性の良さから射出成形に適した材料となっている。しかしながら、これらの方法で調製された樹脂組成物は、溶融粘度が低く、また、エステル交換の進行に伴い、特にSPとPCの組み合わせによっては発泡する現象が見られるため、これらの点について工夫の余地があった。
【0004】
また、プロトン酸やホスファイト化合物の添加等による方法が検討されているがこれらの添加物を利用すると、解重合が起こり、分子量の添加が懸念されるものである。このため、分子量が低いことから得られる樹脂組成物を射出成形用に適用することが考えられるが、厚物のシートや異形の押出成形ではドローダウンが激しいため不向きである。
【0005】
分子量を高める手段として、ポリカーボネートとポリエチレンテフタレートとの混合物にカルボン酸の無水物を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、この方法で得られる樹脂組成物は半透明のものであり、また、ガラス転移温度が2つ存在するため完全に混ざり合っているとは言えないものである。また、カルボン酸の無水物の添加量も少なく、充分に分子量を高めることができないという問題点を有している。また、カルボン酸の無水物の添加量を増やし溶融粘度を向上させることが検討されているが(例えば、特許文献6参照。)、この方法においても樹脂同士が完全に混ざり合わず、PET由来の結晶化のために成型時の白化や歪み等が問題となり、特に押出成形の際には、内部応力の発生により製品のヒケや反り白化等の変形が懸念されるという問題を有しており、この点について工夫の余地があった。
筆者らはSP/PCの高分子量化について、エステル交換触媒を添加せずに連続的に製造する方法を提案しているが(例えば、特許文献7参照。)、その反応温度が320℃以上に設定するため、各ポリマーの熱分解温度に近い状況で製造する必要があった。得られた樹脂組成物の特性は、かなり良好ではあり、連続生産中には問題とはならなかったが、製造時の昇温・圧力変動・停止・再運転等の際に、多量の炭化物を発生するといった点を改善する余地があった。
【0006】
ところで、PET樹脂に関して、平成12年4月から「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」が施行されたため、PETボトル等の膨大な量の回収PETをリサイクルする技術が切望されている。また、回収PCを有効利用するために、回収PCもリサイクルすることができる技術が望まれている。従って、回収PETや回収PCを必須としてなる樹脂組成物をシートやパイプ等の形状に成形することができれば、PETやPCの粉砕物を効率よくリサイクルできることから、このような技術についても研究する余地があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−232256号公報(第1−2頁)
【特許文献2】
特開平5−171020号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平9−183892号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平10−87973号公報(第9−10頁)
【特許文献5】
特開昭59−157146号公報(第1頁)
【特許文献6】
特開平9−279011号公報(第2頁)
【特許文献7】
特願2001−171501号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、透明性が高く機械的強度物性・耐薬品性能等の基本性能に優れ、押出成形、ダイレクトブロー成形等に適した充分な溶融粘度を有するポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。更に、回収PETや回収PCを有効に再利用することも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々のポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物を検討するうち、ポリエステル/ポリカーボネート樹脂に対してエステル交換触媒と水酸基やカルボキシル基と反応する官能基を2個以上有する多官能性化合物とを溶融反応させて得られ、この樹脂組成物のガラス転移温度が単一に存在するものであると、透明で基本性能に優れるものとなり、更に溶融粘度を高めることができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、ポリエステル(SP)としてPETボトルの回収品やリサイクル品を使用したり、ポリカーボネート(PC)としてシートのトリミングロスや分子量の低いCD(コンパクトディスク)等のリサイクル品を使用すれば、回収PETや回収PCのリサイクルの点から有効であり、また、製造コストを抑制することが可能となる、すなわち環境対策及び経済性の観点から有用であることも見出し、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち本発明は、ポリエステルと、ポリカーボネートと、エステル交換触媒と、グリコール性水酸基、フェノール性水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基と反応する官能基を2個以上有する多官能性化合物とを反応させて得られる樹脂組成物の製造方法であって、上記樹脂組成物は、ガラス転移温度が単一であることを特徴とする樹脂組成物の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、ポリエステルとポリカーボネートとエステル交換触媒と官能基を2個以上有する多官能性化合物とを同時溶融反応させる製造方法であるが、本発明によって得られるポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物(SP/PC樹脂組成物)は、ガラス転移温度が単一に存在し、かつ、溶融粘度が高められたものである。
上記「ガラス転移温度が単一に存在」するとは、SP/PC樹脂組成物のtanδの主ピークが単一で存在することを意味するものである。SP/PC樹脂組成物のtanδの主ピーク温度としては、SP固有のtanδの主ピーク温度とPC固有のtanδの主ピーク温度との間に単一で存在することが好ましい。このtanδの主ピーク温度を測定する方法としては、レオメトリック社製固体粘弾性装置(商品名「RSA−II型」)を用い、三点曲げの測定方法にて昇温速度2℃/分で測定する方法等が好適である。
上記「溶融粘度が高められたもの」とは、官能基を2個以上有する多官能性化合物を入れずに作製したSP/PC樹脂組成物に比してMFRの値が1割以上、好ましくは3割以上小さくなることを意味する。MFR測定は、テクノセブン社製メルトインデクサーを用い、測定温度250〜265℃、荷重5kg、オリフィス1mmφ×10mml、予熱時間300秒で測定する方法が好適である。
【0012】
本発明の製造方法は、ポリエステルとポリカーボネートとエステル交換触媒と官能基を2個以上有する多官能性化合物とを同時溶融反応させる製造方法であって、ポリエステル99〜1重量部とポリカーボネート1〜99重量部の合計100重量部に対して、エステル交換触媒を0.00001〜1重量部、及び、官能基を2個以上有する多官能性化合物を0.01〜5重量部、溶融混合する製造方法であることが好ましい。このような製造方法は、本発明の好ましい実施形態の一つである。このような製造方法においては、製造工程の最初の段階で一括投入することが可能であり、SPやPCを溶融してから混合する場合に比べ、工程数が減り、また、原料の熱劣化が少なくなるので、生産性が向上することになる。上記エステル交換触媒が上記範囲より少ない場合、ガラス転移温度が単一とならないおそれがある。上記範囲よりも多い場合は、分子量の低下及び官能基を2個以上有する多官能性化合物による溶融粘度の上昇を阻害するおそれがある。また、官能基を2個以上有する多官能性化合物が上記範囲より少ない場合、溶融粘度が不充分となるおそれがあり、押出成形に好適には用いられない材料となるおそれがある。上記範囲よりも多い場合は、メルトフラクチャーの発生やゲル化等を起こすおそれがある。より好ましくは、エステル交換触媒を0.0001〜0.1重量部、及び、官能基を2個以上有する多官能性化合物0.05〜1重量部、溶融混合することである。
【0013】
本発明におけるSPとしては、バージン原料の他に加熱溶融状態で成形機や紡糸装置を通過させた履歴を有するもの、又は、ポリエステル製造施設内等で発生するバージン原料の再生品等がある。
上記SPは、主として二塩基酸と炭素数2以上のグリコールを用いて、公知の方法により得られたものである。二塩基酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、等が挙げられ、これらを小割合共重合したものであってもよい。炭素数2以上のグリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのうちで、得られる芳香族ポリエステルの融点、経済性を考慮するとテレフタル酸とエチレングリコール、テレフタル酸と1,4ーブタンジオールの組み合わせが好ましい。これらは、1種又は2種以上用いることができる。
【0014】
上記SPにおけるPET(ポリエチレンテレフタレート)としては、テレフタル酸やテレフタル酸ジメチルと、エチレングリコールやエチレンオキサイドとを反応させて製造される、一般的にPET、強化PET、ポリエステル等と呼ばれている材料や、酸やグリコール等で変性された材料の1種又は2種以上を用いることができる。このようなPETの中でも、本発明の作用効果を充分に発揮できることから、酸成分としてテレフタル酸を80〜100質量%含有するPETが好ましい。より好ましくは、酸成分としてテレフタル酸を90〜100質量%含有するPETである。
【0015】
本発明におけるPCとしては、二価フェノールとカーボネート先駆体とを反応させることにより製造される芳香族ホモ・ポリカーボネートやコ・ポリカーボネート等が好適である。また、分枝ポリカーボネートを用いることもでき、多官能性芳香族化合物を二価フェノール及びカーボネート先駆体と反応させることにより得られる分枝した熱可塑性分枝ポリカーボネート等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
上記PCの製造方法としては、公知の方法を適用することができ、二価フェノールと炭酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応させる方法や、溶液中で二価フェノールとホスゲンとを反応させる方法(特に界面法)等が好適である。これら製造方法としては、特開平2−175723号公報、特開平2−124934号公報や、米国特許第4,001,184号明細書、第4,238,569号明細書、第4,238,597号明細書、第4,474,999号明細書に記載されている。
【0017】
上記二価フェノールとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好適であり、下記一般式(1);
【0018】
【化1】
【0019】
〔式中、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)、又は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。n及びn′は、0〜4の整数を表す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、又は、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−O−結合を表す。〕で表される化合物が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
上記二価フェノールとしては、ビス(4ヒドロキシフェニル)メタン、1,1ビス(4ヒドロキシフェニル)エタン、1,2ビス(4ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2ビス(4ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1ビス(4ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)メタン、1,1ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)エタン、1,2ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)エタン、2,2ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3,5ジクロロ−4ヒドロキシフェニル)メタン、2,2ビス(3,5ジクロロ−4ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5ジブロモ−4ヒドロキシフェニル)メタン、2,2ビス(3,5ジブロモ−4ヒドロキシフェニル)プロパン等のジヒドロキシアリールアルカン類;ビス(4ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5ジブロモ−4ヒドロキシフェニル)スルホン等のジヒドロキシアリールスルホン類;ビス(4ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5ジブロモ−4ヒドロキシフェニル)エーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;ビス(4ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5ジメチル−4ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5ジブロモ−4ヒドロキシフェニル)スルフィド等のジヒドロキシアリールスルフィド類;4,4′ジヒドロキシベンゾフェノン等のジヒドロキシアリールケトン類;ビス(4ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のスルホキシド類等が好適である。
これらの中でも、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0021】
上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、上記化合物以外にも、下記一般式(2);
【0022】
【化2】
【0023】
(式中、RXは、同一若しくは異なって、炭化数1〜10の炭化水素基若しくはそのハロゲン化合物、又は、ハロゲン原子を表す。mは、0〜4の整数を表す。)で表される化合物を用いてもよく、レゾルシン、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−プロピルレゾルシン、4−ブチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、3−フェニルレゾルシン、4−クミルレゾルシン、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6−テトラブロムレゾルシン等の置換レゾルシン;カテコール;ハイドロキノン、及び、3−メチルハイドロキノン、3−エチルハイドロキノン、3−プロピルハイドロキノン、3−ブチルハイドロキノン、3−t−ブチルハイドロキノン、3−フェニルハイドロキノン、3−クミルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノン、2,3,5,6−テトラブロムハイドロキノン等の置換ハイドロキノン等が好適である。
【0024】
上記炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ジフェニルカーボネートが好ましい。
【0025】
上記PCの製造方法においては、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと共に、必要に応じて、1分子中に3個以上の官能基を有する多官能性化合物の1種又は2種以上を使用することもでき、フェノール性水酸基を3個有する化合物等が好適である。このような化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2′,2″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、α−メチル−α,α′,α′−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、α,α′,α″トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−2、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,2−ビス−(4,4−(4,4′−ジヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル)−プロパン等が好適である。これらの中でも、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等がより好ましい。
【0026】
上記PET等のSP及び/又はPCは、リサイクル品であることが好ましい。PETのリサイクル品としては、PETボトル、PETフィルムの端部、各種PETパーツ、成形加工時に生じるランナー等の工程廃材等を粉砕した回収PETフレーク等が好適である。PCのリサイクル品としては、PCシートのトリミングロスやCD(コンパクトディスク)の粉砕物等が好適である。CDの粉砕物は、PCの分子量が低いものであるが、本発明の製造方法に用いることで高分子量化を図ることができるので有用なものである。また、リサイクル品の使用割合としては、製造原料として使用するSP又はPC全体をそれぞれ100質量%とすると、20質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上であり、更に好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上とすることである。
【0027】
本発明における官能基を2個以上有する多官能性化合物としては、グリコール性水酸基、フェノール性水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基と反応する官能基を2個以上有するものであるが、SPの分子末端であるアルコール性−OHとカルボン酸−COOH及びPCの分子末端であるフェノール性−OHと反応する化合物であればよく、イソシアナート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、多官能酸無水物、リン酸エステル、亜リン酸エステル等が挙げられ、一種又は二種以上を組み合わせてもよい。
【0028】
上記イソシアナート化合物としては特に制限はないが、一分子中にイソシアナート基を二個以上有するものであり、例えば、トリレンジイソシアナート(「TDI」とも言う)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(「MDI」とも言う)、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、メタキシリレンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、水素化ジフェニルメタンジイソシアナート、水素化トリレンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート等のイソシアナート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレタン社製)の如きビュレットポリイソシアナート化合物;デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社製)、コロネートEH(日本ポリウレタン工業社製)の如きイソシアヌレート環を有するポリイソシアナート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン社製)の如きアダクトポリイソシアナート化合物、コロネートHL(日本ポリウレタン社製)の如きアダクトポリイソシアナート化合物等を挙げることができる。これらは、単独で使用し得るほか、2種以上を併用することもできる。また、ブロックイソシアナートを使用しても構わない。なお、必要に応じて、有機スズ化合物や第3級アミン等の公知の触媒を用いてもよい。
【0029】
上記エポキシ化合物としては特に制限はないが、分子中に少なくとも二個エポキシ基を有するものであり、例えば、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ο−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、必要に応じて、3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール化合物等の公知の触媒を用いてもよい。
【0030】
上記アジリジン化合物としては特に制限はないが、例えば2,2′−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、エチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリエチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、プロピレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリプロピレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、テトラメチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリテトラメチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、N,N′−テトラメチレンビスエチレン尿素、N,N′−ペンタメチレンビスエチレン尿素、N,N′−ヘキサメチレンビスエチレン尿素、N,N′−ヘプタメチレンビスエチレン尿素、N,N′−オクタメチレンビスエチレン尿素、N,N′−フェニレンビスエチレン尿素、N,N′−トルイレンビスエチレン尿素、N,N′−ジフェニル−4,4′−ビスエチレン尿素、3,3′−ジメチルジフェニル4,4′−ビスエチレン尿素、3,3′−ジメトキシジフェニル4,4′−ビスエチレン尿素、ジフェニルメタンP,P−ビスエチレン尿素等が挙げられる。これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0031】
上記オキサゾリン化合物としては特に制限はないが、例えば、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,2′−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。これらは、一種又は二種以上を用いることができる。さらに好ましくは、2,2′−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィドである。なお、必要に応じて、酸性化合物のアミン塩等の公知の触媒を用いてもよい。
【0032】
上記多官能酸無水物としては特に制限はないが、例えば、二無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、無水マレイン酸単独重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸−エチレン共重合体、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体、無水マレイン酸−イソブチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられる。また、これらの多官能酸無水物の他にも、3,3′,4,4′−ジフェニルテトラカルボン酸、(ペリレン−3,4,9,10)テトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラカルボキシヒドロフラン等の多官能酸無水物を用いることができる。
【0033】
上記リン酸エステル又は亜リン酸エステルとしては特に制限はないが、ジエステル、トリエステルのいずれでもよく、これらの有するエステル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられるが、反応性、経済性を考慮するとメチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。
上記官能基を2個以上有する多官能性化合物としては、上述したものの中でも、多官能酸無水物が好適である。より好ましくは、二無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族カルボン酸二無水物である。
【0034】
本発明におけるエステル交換触媒としては、公知のエステル交換触媒を使用することができる。エステル交換触媒としては、例えば、ジブチルスズオキシド、蓚酸スズ、酢酸スズ、酸化スズ等のスズ化合物;テトラブトキシチタン、テトラフェノキシチタン、酸化チタン、蓚酸チタン等のチタン化合物;三酸化アンチモン、酒石酸酸化アンチモン等のアンチモン化合物;酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトン等の亜鉛化合物;トリフェノキシボロン、ほう酸亜鉛等のホウ酸化合物;酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド等のゲルマニウム化合物;酢酸マンガン、酢酸コバルト等のルイス酸系触媒等を挙げることができる。
【0035】
上記エステル交換触媒において塩基性触媒としては、有機塩基性化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等を挙げることができる。
上記有機塩基性化合物としては、含窒素塩基性化合物、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有するアンモニウムヒドロキシド類、及び、PKa4より弱い酸との塩等を挙げることができる。含窒素塩基性化合物としては、上記のもの以外に、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、ジベンジルメチルアミン等の一般式NR3(式中、Rはメチル、エチル、フェニル、ベンジル、トルイル等の炭素数が1〜25のアルキル基、アリール基等である)で表される三級アミン類、NHR2 及びNH2R(式中、Rは上記と同じである)で示される二級及び一級アミン類、及び、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリン、イミダゾールやアンモニア等を挙げることができる。更に、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド等のテトラアルキル又はテトラアリールホスホニウムヒドロキシドを挙げることができる。
【0036】
上記アルカリ又はアルカリ土類金属化合物として、例えば、無機化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属類及びカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類の水酸化物、ハイドライド、アミド、炭酸塩、燐酸塩、ほう酸塩等を挙げることができる。更に、有機酸類との塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属類及びカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類のカルボン酸塩、フェノール性水酸基との塩、アルコール性水酸基との塩を挙げることができる。また、アセチルアセトンやクラウンエーテル等との化合物を挙げることができる。
【0037】
本発明において上述した構成要素を溶融反応させる方法としては、溶融混練することが好ましく、この溶融混練においては、ニーダー、1軸及び2軸押出機、攪拌機能を有する縦型及び横型反応槽、ミキサー、ロール等の溶融混練能を有する機器であればいずれの機器を使用してもよく、また装置の形状は問わない。特に、1軸又は2軸の押出機を用いるのが好ましい。1軸又は2軸の押出機にT型ダイスや異型のダイスを組み合わせることによって、直接シートやパイプ等を成形することが可能となる。
上記溶融混練の際の温度としては、160℃以上が好ましく、より好ましくは220℃以上、更に好ましくは260℃以上である。溶融混練の時間としては、10分以下とすることが好ましい。より好ましくは5分以下である。
押し出し工程中に多官能成分をサイドフィーダー等により供給しても良い。
【0038】
上記製造方法において、上述したような製造工程では、本発明の効果を発揮することになる限り、熱可塑性樹脂、及び、種々の添加物を含有させてもよい。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。また、本発明の製造方法としては、これらの熱可塑性樹脂等を含有させる工程を別に含んでなるものでもよく、更にはその他の工程を含んでなるものでもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が好適である。また、添加物としては、安定剤、難燃剤、滑り改質剤、酸化防止剤、耐熱剤、着色剤、離型剤、繊維状強化剤等の強化剤等が好適である。
【0039】
上記安定剤としては、Irgafos168(商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、Chelex L(商品名、坂井化学工業社製)、3P2S(商品名、イハラケミカル工業社製)、Mark 329K(商品名、旭電化工業社製)、Mark P(商品名、旭電化工業社製)、Weston618(商品名、三光化学社製)等の燐系安定剤;BHT(商品名、武田薬品工業社製)、Ionox 100(商品名、シェルケミカル社製)、Age Rite Superlite(商品名、Vander bilt社製)、SantonoxR(商品名、モンサント社製)、Antioxidant ZKF(商品名、バイエル社製)、Irganox 1076、Irganox 1010(いずれも商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、Hoechst VPOSP1(商品名、へキスト社製)等のヒンダードフェノール系安定剤;Cyasorb UV−5411(商品名、A.C.C社製)、Cyasorb UV−531(商品名、A.C.C社製)、Tinuvin 326、Tinuvin 320、Tinuvin 120(いずれも商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、Uvinul D49(商品名、GAF社製)等のトリアゾール系安定剤;その他エポキシ系、チオール系、金属塩系等が好適である。
【0040】
上記難燃剤としては、TPP、レゾルシノールポリホスフェート、ビスフェノールAポリホスフェート(商品名、大八化学工業社製)等の燐酸エステル系難燃剤;ブロム化BPA、ブロム化BPAボリカーボネート又は同オリゴマー等のハロゲン系難燃剤;無機難燃剤等が好適である。また、難燃助剤として、3酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が好適である。
上記滑り改質剤としては、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ等の無機化合物;架橋ポリエステル、架橋ポリアミド、架橋ポリメチルメタクリレート等を粒化した有機粒状化合物等が好適である。
【0041】
本発明の製造方法による樹脂組成物は、シートや押出成形品を作製するための材料として好適なものであり、このような樹脂組成物は、本発明の好ましい実施形態の一つである。
本発明は更に、本発明の製造方法によって製造された樹脂組成物であって、樹脂組成物の成形品における2mm厚みでの黄色度(YI)が20以下である樹脂組成物でもある。
本発明はそして、本発明の樹脂組成物の製造方法によって製造された樹脂組成物により作製されてなるシート又は押出成形品でもある。このような本発明のシートや押出成形品は、本発明による樹脂組成物を押出機を使用して成形することで製造されることとなる。本発明の製造方法により得られるポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物は、上述したような優れた基本性能を有することから、押出機を使用して成形することで、優れた品質を有するシートや押出成形品を得ることができることになる。
上記押出成形品としては、押出機を使用して成形されてなるものであればよいが、ペレット形状、平板や波板等のシート形状、パイプ形状等の成形品、半円、L字形、T字形、U字形、山形等の形状をしている異形品である成形品等が挙げられる。
【0042】
上記押出機としては、本発明の樹脂組成物の製造方法における溶融混練で好ましく用いられる1軸又は2軸押出機を用いることが好適であり、本発明においては、本発明のポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、(1)押出機を使用した連続製造方法や、(2)押出機を使用した直接押出成形方法により成形品を製造することが好ましい実施形態である。
上記(1)の場合は、ペレット形状の成形品を製造するのに好適であり、また、上記(2)の場合は、シート形状の成形品や異形品である成形品を製造するのに好適である。
シート及び押出成形品の作製においては、250℃のMFRの値が50以下であることが好ましく、より好ましくは、30以下である。
【0043】
本発明により作製された樹脂組成物は、種々の成形方法により成形される材料として好適であり、特に、押出成形、ダイレクトブロー成形の成形材料として好適に用いられるものである。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0045】
(樹脂製造装置)
2軸押出機:プラスチック工学研究所社製、PLABOR BT−30−S2/C−30L
押出機の設定温度:表1に示す条件
F1:フィード部分
V3:ベントポート
【0046】
【表1】
【0047】
(シート成形条件)
1軸押出シート成形機:ベント付押出シート成形機(IKG社製、PMS50−32)
押出機温度設定:255℃
ポリシングロール温度:80℃
(テストピース成形条件)
射出成形機:日精樹脂社製、PS40E5ANE
シリンダー温度:260℃
金型:75℃
金型:三段プレート1,2,3mm
(ガラス転移温度)
固体粘弾性測定装置:レオメトリック社製、RSA−II型
測定法:三点曲げ
昇温速度:2℃/min
(MFR)
メルトインデクサー:テクノセブン社製
温度:250〜265℃
荷重:5kg
オリフィス:1mmφ×10mml
予熱時間:300sec
【0048】
以下に、実施例1〜5及び比較例1〜3を示す。ポリエステルとしては回収PETボトルフレークであるクリアーフレーク(商品名、よのペットボトルリサイクル社製)を使用し、ポリカーボネートとしては、回収コンパクトディスクフレーク(ユーワ社品)を使用した。多官能性化合物として、無水ピロメリット酸(以下、PMDAと略す。日本触媒社製)を使用し、エステル交換触媒としては、ジブチル錫オキシド(以下、DBTOと略す。東京ファインケミカル社製)を使用した。結果を表2に示す。
【0049】
実施例1
PC70重量部とPET30重量部とDBTO0.005重量部とPMDA0.3重量部をタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で125℃であった。MFR(265℃)で25g/10minで押出に適した樹脂組成物であった。
【0050】
実施例2
PC50重量部とPET50重量部とDBTO0.01重量部とPMDA0.4重量部をタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で107℃であった。MFR(265℃)で24g/10minで押出に適した樹脂組成物であった。得られた樹脂を1軸押出シート成形した際、外観良好なシートが得られた。得られた樹脂のインジェクションプレートの2mm厚みのYIの値は14.42であった。
【0051】
実施例3
PC30重量部とPET70重量部とDBTO0.075重量部とPMDA0.1重量部をタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で98℃であった。MFR(250℃)で44g/10minであった。
【0052】
実施例4
PC30重量部とPET70重量部とDBTO0.075重量部とPMDA0.5重量部をタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で97℃であった。MFR(250℃)で5g/10minで押出に適した樹脂組成物であった。
【0053】
実施例5
PC20重量部とPET80重量部とDBTO0.01重量部とPMDA0.3重量部をタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で91℃であった。MFR(265℃)で24g/10minで押出に適した樹脂組成物であった。
【0054】
比較例1
PC50重量部とPET50重量部とDBTO0.01重量部とをタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で108℃であった。MFR(265℃)で150g/10minで押出に不向きな樹脂組成物であった。得られた樹脂を1軸押出シート成形した際、ドローダウンが激しく、しわが入り成形困難であった。
【0055】
比較例2
PC30重量部とPET70重量部とDBTO0.075重量部とをタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で98℃であった。MFR(250℃)で95g/10minで押出に不向きな樹脂組成物であった。
【0056】
比較例3
PC20重量部とPET80重量部とDBTO0.01重量部とをタンブラーで10分間混合し、この混合物を30kg/hrで2軸押出機に供給し樹脂組成物を得た。樹脂組成物のtanδのピークは単一で91℃であった。MFR(265℃)で110g/10minで押出に不向きな樹脂組成物であった。
【0057】
比較例4
PC50重量部とPET50重量部とPMDA0.4重量部とをタンブラーで10分間混合し、2軸押出機の設定温度をV3からC5を360℃とし、この混合物を30kg/hrで供給し樹脂組成物を得た。得られた樹脂のインジェクションプレートの2mm厚みのYIの値は25.32であった。
【0058】
【表2】
【0059】
以下に表2について説明する。
「PC(ポリカーボネート)」とは、ユーワ社品CD粉砕物であり、「PET(ポリエチレンテレフタレート)」とは、よのペットボトルリサイクル社製クリアーフレークであり、「DBTO」とは、ジブチル錫オキシドであり、「PMDA」とは、ピロメリット酸二無水物である。
【0060】
【発明の効果】
本発明のポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、官能基を2個以上有する多官能性化合物とエステル交換触媒とを一括混合することによって、透明で基本性能に優れ、更に溶融粘度を高めることのできる単一のガラス転移温度を有する樹脂組成物であって、押出成形、ダイレクトブロー成形等に適した樹脂組成物を廉価に連続的に製造することができる。また、優れた性能を有するポリエステル/ポリカーボネート樹脂組成物を押出機を使用して成形することで、優れた品質を有する成形品を提供することができる。更に、回収PETや回収PCを有効に再利用することができる。
Claims (6)
- ポリエステルと、ポリカーボネートと、エステル交換触媒と、グリコール性水酸基、フェノール性水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基と反応する官能基を2個以上有する多官能性化合物とを溶融反応させて得られる樹脂組成物の製造方法であって、該製造方法は、ポリエステル99〜1重量部とポリカーボネート1〜99重量部との合計100重量部に対して、エステル交換触媒0.00001〜1重量部、及び、官能基を2個以上有する多官能性化合物0.01〜5重量部を260℃以上で溶融混練してガラス転移温度が単一である樹脂組成物を製造する工程を含むものであり、該官能基を2個以上有する多官能性化合物は、多官能酸無水物であることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
- 前記多官能酸無水物は、芳香族カルボン酸二無水物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリエステル及び/又はポリカーボネートは、リサイクル品であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造された樹脂組成物であって、該樹脂組成物の成形品における2mm厚みでの黄色度の値が20以下であることを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造された樹脂組成物、又は請求項4記載の樹脂組成物により作製されてなることを特徴とするシート。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造された樹脂組成物、又は請求項4記載の樹脂組成物により作製されてなることを特徴とする押出成形品。
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