JPH05171020A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法

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JPH05171020A
JPH05171020A JP35481191A JP35481191A JPH05171020A JP H05171020 A JPH05171020 A JP H05171020A JP 35481191 A JP35481191 A JP 35481191A JP 35481191 A JP35481191 A JP 35481191A JP H05171020 A JPH05171020 A JP H05171020A
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JP
Japan
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resin
weight
resin composition
polyethylene terephthalate
polycarbonate resin
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Withdrawn
Application number
JP35481191A
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English (en)
Inventor
Michio Kawai
道生 川井
Naoki Takamiya
直樹 高宮
Tadashi Inoue
忠 井上
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Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】熱安定性、透明性、耐薬品性、耐熱性等の諸物
性がバランスした熱可塑性樹脂組成物の工業的有利な製
造方法を提供する。 【構成】ポリカーボネート樹脂(A)対ポリエチレンテ
レフタレート樹脂(B)の組成比が60〜20:40〜
80(重量比)の混合物を(A)及び(B)の合計10
0重量部に対して0.001〜0.1重量部のエステル
交換触媒の存在下に溶融混合する前段工程、当該工程で
得られた溶融混合物に必要に応じてポリカーボネート樹
脂(A)及び/又はポリエチレンテレフタレート樹脂
(B)を添加して(A)対(B)の組成比が50〜8
0:50〜20(重量比)の混合物となし、当該混合物
を(A)及び(B)の合計100重量部に対して0.0
05〜0.5重量部の熱安定剤の存在下に溶融混合する
後段工程とを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成物の
製造方法に関するものであり、詳しくは、熱安定性、透
明性、耐薬品性、耐熱性等の諸物性がバランスした熱可
塑性樹脂組成物の工業的有利な製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、その優れた強
靱性、寸法安定性、耐熱性、透明性などから広くエンジ
ニアリングプラスチックスとして利用されているが、耐
薬品性に乏しくその用途が制限されている。
【0003】上記の欠点を改良する目的でポリカーボネ
ート樹脂に耐薬品性の優れる他の樹脂を配合する方法が
種々提案されている。例えば、特公昭36−14035
号公報においては、ポリエチレンテレフタレート樹脂を
配合して耐溶剤性を改良した樹脂組成物が提案されてい
る。また、特開昭48−54160号公報においては、
ポリブチレンテレフタレート樹脂との樹脂組成物が提案
されており、ポリブチレンテレフタレート樹脂の配合量
が15重量%以下において透明性を有する樹脂組成物が
得られるとの記載がある。しかしながら、樹脂組成物の
耐薬品性は、ポリエステル樹脂の配合量が多いほど大き
く、一方、樹脂組成物の透明性は、ポリエステル樹脂の
配合量が増えるほど失われるという問題があり、透明で
且つ耐薬品性に優れる樹脂組成物を得ることは困難であ
った。
【0004】そこで、特公平1−16866号公報で
は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の混合の
際にエステル交換反応触媒を添加して交換反応を促進さ
せることが提案されているが、この方法の場合は、成形
物の熱安定性が悪いために、着色したり或いは成形時に
発泡を起こすと言った問題がある。一方、特公昭51−
44551号公報においては、樹脂組成物の熱安定性を
改良する方法として有機フォスファイト等の燐系の添加
剤を利用する方法が提案されている。また、特開平2−
147624号公報の実施例では、ポリカーボネート樹
脂とポリエステル樹脂とをエステル交換触媒の存在下で
混練した後、熱安定剤を配合して再度混練する方法が示
されている。しかしながら、特開平2−147624号
公報に記載の方法は、混練工程を繰り返して行なうため
に、工業的な規模での製造に適した、安価で生産性に優
れる製造方法とは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、熱安定性、透明
性、耐薬品性、耐熱性等の諸物性がバランスした熱可塑
性樹脂組成物の工業的有利な製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【問題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリエチレンテレフ
タレート樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物の
製造方法であって、(A)対(B)の組成比が60〜2
0:40〜80(重量比)の混合物を(A)及び(B)
の合計100重量部に対して0.001〜0.1重量部
のエステル交換触媒の存在下に溶融混合する前段工程、
当該工程で得られた溶融混合物に必要に応じてポリカー
ボネート樹脂(A)及び/又はポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(B)を添加して(A)対(B)の組成比が5
0〜80:50〜20(重量比)の混合物となし、当該
混合物を(A)及び(B)の合計100重量部に対して
0.005〜0.5重量部の熱安定剤の存在下に溶融混
合する後段工程とを包含することを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物の製造方法に存する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明で使用する原料樹脂、エステル交換触媒および熱安
定剤について説明する。
【0008】原料のポリカーボネート樹脂は、一種以上
のビスフェノール化合物とホスゲン又はジフェニルカー
ボネートのような炭酸エステルとを反応させることによ
って製造される。ビスフェノール化合物としては、具体
的には、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(すなわちビスフェノールA)、2,2−ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒ
ドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペン
タン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−
(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−
3−sec−ブチルフェニル)プロパン、ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェ
ニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフ
ェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベ
ンジルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエー
テル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノ
ールフタレイン等を挙げることができる。本発明に好適
なビスフェノール化合物は、ビスフェノールA、1,1
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエ
タンである。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
は、10,000〜70,000が適当である。
【0009】他の原料のポリエチレンテレフタレート樹
脂は、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとエチ
レングリコール又はエチレンオキサイドとを常法に従い
反応させて製造される。ポリエチレンテレフタレート樹
脂の分子量は、特に制限がないが、好ましくはフェノー
ルとテトラクロロエタンとの重量比1:1の混合溶媒を
使用し、濃度1g/dl、温度30℃の条件下で測定し
た極限粘度〔η〕が0.5〜1.3であることが望まし
い。
【0010】ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレ
フタレート樹脂は、両者の混練温度における溶融粘度が
近いことが望ましく、剪断速度100sec -1におけるそ
れぞれの溶融粘度をμ(A)及びμ(B)で表した場
合、次の条件を満たすことが望ましい。 |μ(A)−μ(B)|≦18,000poise 溶融粘度差が18,000poiseを超える場合は、
ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹
脂との相溶化が進まないために適度な透明度の樹脂組成
物を製造することが困難である。
【0011】エステル交換触媒は、通常、亜鉛、カルシ
ウム、マグネシウム、マンガン及びアンチモンの群から
選ばれた少なくとも一種の金属の有機または無機化合物
から成り、原料樹脂間に生ずるエステル交換反応を触媒
し、両樹脂の共重合体を一部生成させて相溶性を向上さ
せ透明性を改良する。エステル交換触媒の具体例として
は、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、マンガンの金属
錯体、酸化物、塩化物、カルボン酸塩などが挙げられ
る。特に、酢酸塩は、入手の容易さ、安定性等から好適
に用いられる。アンチモン化合物としては、三酸化アン
チモン、酢酸アンチモン、五酸化アンチモン等を挙げる
ことができる。
【0012】熱安定剤は、通常、有機フォスファイト及
び/又は有機リン酸エステルから成り、樹脂組成物の発
泡、分解などを防止する。有機フォスファイトの具体例
としては、トリフェニルフォスファイト、トリブチルフ
ォスファイト、イソプロピルフォスファイト、下記の化
学式[化1]で示される商品名「イルガフォスP−EP
Q」(チバガイギー社製)等の有機フォスファイトを挙
げることができる。
【0013】
【化1】
【0014】また、燐酸エステルの具体例としては、下
記の化学式[化2]で示される有機燐酸エステルが挙げ
られる。化学式[化2]中、nは1〜3の整数を表す。
【0015】
【化2】
【0016】上記の化学式[化2]で示される有機燐酸
エステルの中でもアルキル基Rとして高級アルキル基を
含むものは、高温下での混練中においても蒸発、飛散な
どの問題がないために特に好ましい。斯かる有機燐酸エ
ステルとしては、具体的には、Rが(C)1837である
商品名「マークイX−71」(アデカアーガス社製)等
を挙げることができる。
【0017】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
方法について説明する。本発明の製造方法は、前段工程
と後段工程との2つの工程を包含する。上記の各工程
は、原料供給口を2つ以上備えた押出機を利用すること
により、工業的有利に行うことができる。押出機の手前
側の前段供給口と押出機先端側にある後段供給口の位置
関係については、特に制限はないが、両者が余りに接近
している場合はポリカーボネート樹脂とポリエチレンテ
レフタレート樹脂との反応時間が不十分となる。従っ
て、各供給口間の長さは、通常、押出機のバレルの全長
の1/5以上とするのが好ましい。
【0018】押出機の形式は特に制限されず、従って、
通常の単軸あるいは二軸押出機を好適に使用することが
できるが、混練性の観点から二軸押出機が特に好適であ
る。スクリュー構造についても特に制限はないが、上記
の各供給口の間に強混練ゾーンを設けるのが好ましい。
例えば、二軸押出機の場合においては、上記の各供給口
の間に所謂ニーディングゾーンを設けのが好ましい。
【0019】上記の前段供給口から供給されたポリカー
ボネート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂
は、エステル交換触媒の作用によりエステル交換され
る。そして、上記の後段供給口から供給された熱安定剤
の作用により、エステル交換触媒が失活し、エステル交
換反応が抑制され且つ熱安定性が付与される。
【0020】先ず、前段工程について説明する。前段工
程は、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレ
ート樹脂の混合物をエステル交換触媒の存在下に溶融混
合する工程より成る。ポリカーボネート樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂およびエステル交換触媒は、押
出機の前段供給口から供給される。
【0021】ポリカーボネート樹脂対ポリエチレンテレ
フタレート樹脂の組成比(混合比)は、60〜20:4
0〜80、好ましくは50〜30:50〜70の範囲で
なければならない。ポリカーボネート樹脂の組成比が6
0重量%を超える場合あるいは20重量%未満の場合
は、エステル交換反応が十分に進まず、本発明の目的と
する適度な透明度の樹脂組成物を製造することが困難で
ある。また、分散不良のために押出しストランドが安定
しないと言う問題も生じる。
【0022】エステル交換触媒の使用量は、ポリカーボ
ネート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂の合
計100重量部に対して0.001〜0.1重量部、好
ましくは0.0015〜0.05重量部の範囲でなけれ
ばならない。エステル交換触媒の使用量が上記の範囲よ
り少ない場合は、エステル交換反応が十分に進まず、本
発明の目的とする適度な透明度の樹脂組成物を製造する
ことが困難であり、また、上記の範囲より少ない場合
は、樹脂組成物の発泡、分解、着色などの問題が起こ
り、しかも、樹脂組成物の耐薬品性が低下する。
【0023】エステル交換触媒は、押出機前段において
ポリカーボネート樹脂およびポリエチレンテレフタレー
ト樹脂の反応時に存在していればよい。従って、エステ
ル交換触媒の添加方法は、特に制限されず、例えば、上
記の原料樹脂を供給口から供給する際に何れかの原料樹
脂にエステル交換触媒を混合して添加する方法あるいは
両原料樹脂を混合した後にエステル交換触媒を混合する
方法を採用することができる。また、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂の重合反応に使用されたエステル交換触
媒の一部または全部を利用することもできる。
【0024】本発明においては、押出機の前段供給口か
ら樹脂原料全量の35重量%以上、好ましくは50重量
%以上を供給することが望ましい。押出機の前段におけ
る樹脂原料が樹脂原料全量の35重量%未満の場合は、
十分な相溶化効果が得られない。
【0025】次に、後段工程について説明する。後段工
程は、前段工程で得られた溶融混合物に必要に応じてポ
リカーボネート樹脂及び/又はポリエチレンテレフタレ
ート樹脂を添加して所定組成比の混合物となし、当該混
合物を熱安定剤の存在下に溶融混合する工程より成る。
ポリカーボネート樹脂及び/又はポリエチレンテレフタ
レート樹脂と熱安定剤は、押出機の後段供給口から供給
される。
【0026】後段工程においては、ポリカーボネート樹
脂対ポリエチレンテレフタレート樹脂の組成比が最終的
には50〜80:50〜20(重量比)でなければなら
ない。ポリカーボネート樹脂が50重量%未満の場合
は、当該樹脂相がマトリックス相を形成せず、本発明の
目的とする適度な透明度の樹脂組成物を製造することが
困難であり、また、ポリエステル樹脂が20重量%未満
の場合は、耐薬品性の改良された樹脂組成物を製造する
ことが困難である。
【0027】熱安定剤の使用量は、ポリカーボネート樹
脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100
重量部に対して0.005〜0.5重量部、好ましくは
0.007〜0.3重量部の範囲である。熱安定剤の使
用量が上記の範囲より少ない場合は、熱安定性改良効果
が不十分であり、発泡、分解などの問題を生じ、また、
上記の範囲より多い場合は、低分子量の熱安定剤の添加
による種々の物性への悪影響が現れる。
【0028】熱安定剤は、押出機後段においてポリカー
ボネート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂の
エステル交換反応後に添加されるが、その添加方法は特
に制限されず、例えば、熱安定剤を単独添加する方法あ
るいは最終組成の調整のために必要に応じて添加される
ポリカーボネート樹脂および/またはポリエチレンテレ
フタレート樹脂に混合して添加する方法を採用すること
ができる。
【0029】また、本発明において、安定化添加剤が樹
脂原料と共に供給される場合、樹脂原料の内ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂については、その含量が20重量
%以下、好ましくは10重量%以下であることが望まし
い。ポリエチレンテレフタレート樹脂の含量が20重量
%を超える場合は、十分な相溶化が達成されず、透明性
などの物性に悪影響がある。
【0030】本発明の製造方法で得られる樹脂組成物
は、次式で示されるエステル交換率(α)が15〜50
であり、280℃で30分間熱処理後の(α)の変化が
15以下であることが好ましい。 α=[(WF−WS)/WF]×100
【0031】上記の式中、WFは、樹脂組成物中の仕込
みのポリカーボネート樹脂の割合(重量%)、WSは、
樹脂組成物中の仕込みのポリカーボネート樹脂の割合
(重量%)を表し、エステル交換率(α)は、エステル
交換反応の進行に伴って塩化メチレンに不溶化したポリ
カーボネート樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂と
の反応により共重合体となったポリカーボネート樹脂)
の割合を表現したものである。
【0032】そして、上記のWSの測定法は次の通りで
ある。先ず、樹脂組成物のペレット(2g)を1,1,
2,2−テトラクロロエタン(40ml)に溶解し、エ
タノール(500ml)中に沈殿析出させて粉末を得
る。次いで、上記の粉末1gを塩化メチレン(100m
l)にて6時間ソックスレー抽出する。そして、塩化メ
チレン可溶部の赤外吸収スペクトルを測定し、1780
cm-1のポリカーボネートのカルボニルの吸光度(A17
80)と1720cm-1のポリエステルのカルボニルの吸
光度(A1720)を求める。上記の吸光度比Ar[A
1780/(A1780+A1720)]より、全組成
に対する塩化メチレン可溶部中のポリカーボネート樹脂
の量(WS(重量%))を求める。
【0033】また、280℃で30分間熱処理後の
(α)は、樹脂組成物のペレットを280℃、30分間
メルトインデクサー中で保持した後に、再度押出してペ
レットのサイズに切断後、上記の方法に従って求める。
そして、エステル交換率(α)が15〜50であり、2
80℃で30分間熱処理後の(α)の変化が15以下の
本発明の樹脂組成物は、実用上重要な耐熱性と機械的物
性が極めて良好にバランスし、透明性にも優れている。
【0034】なお、ポリカーボネート樹脂とポリエチレ
ンテレフタレート樹脂との間のエステル交換反応は、添
加する触媒量、前段工程における上記両原料樹脂の組成
比、押出機のスクリュー回転数、原料樹脂の供給速度、
混練温度、スクリュー構成などの押出条件によって調整
でき、一方、熱安定性化は、前段工程でのエステル交換
反応の進行度に応じて添加される熱安定剤の量を変える
ことで調整できる。
【0035】本発明においては、本発明の目的とする樹
脂組成物の物性を損なわない範囲で他の熱可塑性ポリエ
ステル樹脂を加えることができる。これらの熱可塑性ポ
リエステル樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂、シクロヘキサンジメタノールとテレフタ
ル酸より成る熱可塑性ポリエステル樹脂、ビスフェノー
ル類とテレフタル酸および/またはイソフタル酸より成
るポリアリレート樹脂等を挙げることができる。更に、
本発明においては、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止
剤、光安定剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、充填剤、強化
剤、エラストマー等を添加することができる。
【0036】本発明の製造方法による熱可塑性樹脂組成
物は、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレ
ート樹脂が適度にエステル−カーボネート交換反応して
部分相溶化されると共に熱安定化処理が施されており、
その結果、適度な透明度と優れた熱安定性を有する。従
って、各種電気電子部品、自動車部品、雑貨、フィル
ム、シート等の成形材料として好適である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により更
に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以
下の諸例において使用した押出機および原料樹脂等は、
次の通りである。
【0038】(1)押出機東芝機械(株)社製2軸押出
機(TEM−35B)を用いた。 上記の軸押出機は、バレルの全長が120cmであり、
押出機の手前側に第1の供給口(前段供給口)、当該供
給口から約60cm先端側に第2供給口(後段供給口)
を備え、これらの供給口の間のほぼ中間位置にニーディ
ングディスクを備えた構造のものである。
【0039】(2)原料樹脂等 (A)ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAポリカ
ーボネート樹脂) 三菱化成(株)社製、商品名「ノバレックス7022P
J」 (粘度平均分子量Mv=20,000) (B)ポリエチレンテレフタレート樹脂 日本エステル(株)社製、商品名「Sチップ」(極限粘
度=1.0) (C)エステル交換触媒:酢酸カルシウム・1水和物 (D)熱安定剤(有機燐酸エステル) アデカアーガス(株)社製、商品名「マークイX−7
1」
【0040】実施例1〜12及び比較例1〜6 表1〜3中に示す組成条件下、前段供給口からポリカー
ボネート樹脂(PC樹脂)、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂(PET樹脂)及びエステル交換触媒を供給し、
後段供給口からPC樹脂および/またはPET樹脂と熱
安定剤とを供給し、シリンダー温度310℃、スクリュ
ー回転数200rpmにて混練した後ペレット化した。
【0041】得られたペレットのエステル交換率を測定
してその結果を表1〜3に示した。エステル交換率の測
定は、本文中に記載の方法に従って、製造直後のペレッ
ト及び280℃、30分間熱処理後のペレットについて
行った。また、上記ペレットを熱風乾燥機にて120
℃、6時間乾燥した後、射出成形機により3mm厚の平
板を成形してヘーズを測定した。また、JIS K71
10に準拠してアイゾット衝撃強度(ノッチ付)も併せ
て測定した。測定結果を表1〜3に示した。
【0042】
【表1】 実 施 例 ───────────────────────── 1 2 3 4 5 6 7 ──────────────────────────────────── 前段供給口 PC樹脂(%) 30 35 15 15 55 20 10 PET樹脂(%) 40 30 50 20 40 30 40 触媒(10 -3%) 6 3 6 2 6 6 6 後段供給口 PC樹脂(%) 30 35 35 65 5 40 50 PET樹脂(%) 0 0 0 0 0 10 0 熱安定剤(10 -3%) 100 15 100 10 100 100 100 エステル交換率(%) 製造直後 35 38 25 32 29 33 45 熱処理後 36 37 28 32 31 35 44 ヘーズ(%) 15 26 40 20 32 21 11 Izod.(Kg・ cm/cm) 10 11 − 10 − − − ────────────────────────────────────
【0043】
【表2】 実 施 例 ────────────────── 8* 9 10* 11* 12* ───────────────────────────── 前段供給口 PC樹脂(%) 15 35 35 30 40 PET樹脂(%) 20 30 30 30 30 触媒(10 -3%) 2 20 20 20 20 後段供給口 PC樹脂(%) 65 35 35 40 30 PET樹脂(%) 0 0 0 0 0 熱安定剤(10 -3%) 10 110 110 110 110 エステル交換率(%) 製造直後 22 42 19 17 16 熱処理後 − − − − − ヘーズ(%) 38 16 41 45 50 Izod.(Kg・ cm/cm) 10 11 − 10 − ───────────────────────────── *押出機のスクリュー回転数:100rpm
【0044】
【表3】 比 較 例 ────────────────────── 1 2 3 4 5 6 ───────────────────────────────── 前段供給口 PC樹脂(%) 30 30 30 30 50 7 PET樹脂(%) 40 40 40 40 30 30 触媒(10 -3%) 0 6 150 6 6 6 後段供給口 PC樹脂(%) 30 30 30 30 20 63 PET樹脂(%) 0 0 0 0 0 0 熱安定剤(10 -3%) 0 0 500 700 100 100 エステル交換率(%) 製造直後 6 43 52 35 14 14 熱処理後 18 62 65 52 18 18 ヘーズ(%) 81 11 10 15 55 75 Izod.(Kg・ cm/cm) − − 8 9 7 102 ─────────────────────────────────
【0045】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、熱安定
性、透明性、耐薬品性、耐熱性等の諸物性がバランスし
た熱可塑性樹脂組成物の工業的有利な製造方法が提供さ
れ、本発明の工業的価値は大である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂(A)とポリエチ
    レンテレフタレート樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹
    脂組成物の製造方法であって、(A)対(B)の組成比
    が60〜20:40〜80(重量比)の混合物を(A)
    及び(B)の合計100重量部に対して0.001〜
    0.1重量部のエステル交換触媒の存在下に溶融混合す
    る前段工程、当該工程で得られた溶融混合物に必要に応
    じてポリカーボネート樹脂(A)及び/又はポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂(B)を添加して(A)対(B)
    の組成比が50〜80:50〜20(重量比)の混合物
    となし、当該混合物を(A)及び(B)の合計100重
    量部に対して0.005〜0.5重量部の熱安定剤の存
    在下に溶融混合する後段工程とを包含することを特徴と
    する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂組成物の次式で示されるエ
    ステル交換率(α)が15〜50であり、280℃で3
    0分間熱処理後の(α)の変化が15以下であることを
    特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方
    法。 α=[(WF−WS)/WF]×100 (式中、WFは、樹脂組成物中の仕込みのポリカーボネ
    ート樹脂の割合、WSは、樹脂組成物中の塩化メチレン
    可溶のポリカーボネート樹脂の割合を表す)
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