JP6159137B2 - 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。また、かかる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品に関する。
従来から、電気電子機器の筐体を形成するために帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物が検討されている(特許文献1、特許文献2)。
ここで、特許文献1および2では、ポリカーボネート樹脂に、ジグリセリン脂肪酸エステルと少量のリン酸、硼酸等の酸性物質を配合することによって、透過率が高く、黄色味を抑制でき(YI値が小さく)、表面抵抵抗率の低い成形品を提供できることを開示している。
特開2010−150457号公報 特開2010−150470号公報
ここで、本発明者が上述のようなジグリセリン脂肪酸エステルを配合した帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物について検討したところ、熱及び荷重を付加した後の流動性が急激に上昇する(滞留成形品の熱安定性が劣る)組成物があることが分かった。本発明はかかる課題を解決することを目的としたものであって、熱及び荷重を付加した後の流動性の急激な上昇を抑制する効果(滞留成形品の熱安定性)に優れ、かつ、一般成形および滞留成形のいずれを行っても、表面抵抗値が低い成形品を提供可能であって、さらに、ヘイズが低い成形品を提供できる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
かかる課題のもと、本発明者が検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂として、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂を用いることにより上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<11>により、上記課題は解決された。
<1>芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)0.8〜2.0質量部を含有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<2>前記ポリカーボネート樹脂(A)の末端OH基含有量が300〜1500ppmである、<1>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<3>さらに、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01質量部を超え5質量部以下を含有する、<1>または<2>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<4>炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)が炭素数10〜22の直鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸からなる酸性物質である、<3>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<5>ジグリセリン脂肪酸エステル(B)がモノエステル化合物である、<1>〜<4>のいずれかに記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<6>ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのエステル化合物である、<1>〜<5>のいずれかに記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<7>ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのモノエステル化合物であり、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)がステアリン酸及び/またはベヘン酸である<3>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<8><1>〜<7>いずれかに記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
<9>前記成形品が、電気電子機器の筐体である、<8>に記載の成形品。
<10>シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の3mm厚さの部分のIEC60093に従って測定した表面抵抗値が1015Ω以下である、<8>または<9>に記載の成形品。
<11>シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の2mm厚さの部分のISO14782およびISO13468−1に従って測定したヘイズが0.75%以下である、<8>〜<10>のいずれかに記載の成形品。
本発明により、熱及び荷重を付加した後の流動性の急激な上昇を抑制する効果(滞留成形品の熱安定性)に優れ、かつ、一般成形および滞留成形のいずれを行っても、表面抵抗値が低い成形品を提供可能であって、さらに、ヘイズが低い成形品を提供できる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を提供可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、単に、「本発明の組成物」ということがある)は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂(A)(以下、単に、「エステル交換法で得られたポリカーボネート樹脂」ということがある)100質量部に対し、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)0.8〜2.0質量部を含有することを特徴とする。
以下、本発明の組成物について詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂である。このようなエステル交換法で得られたポリカーボネート樹脂を用いることにより、得られる成形品のヘイズが低く、透明性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明で用いるポリカーボネート樹脂について、具体的に説明する。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的なものとして、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。さらに、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量併用することもできる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の他の原料の一つである炭酸ジエステルは、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表されるジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の末端OH基含有量(末端OH基濃度)は300〜1500ppm(質量基準)のポリカーボネート樹脂であることが好ましく、より好ましくは、400〜1200ppmである。かかる末端OH基含有量を満たすポリカーボネート樹脂を得るためには、例えば、これら炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸のエステルを含む。以下同じ。)を芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、過剰に用いることで達成される。すなわち、炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して好ましくは1.001〜1.3、より好ましくは1.01〜1.2の範囲内のモル比で用いられる。なお、末端OH基含有量の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。末端水酸基の測定方法は特に制限は無いが、四塩化チタン/酢酸法(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)が一般的である。
本発明においては、下記式(1)で表される正常な構造単位モル数に対する、下記式(2)及び(3)で表される異種構造単位の合計モル数の百分率(モル%)で、異種骨格構造の量(以下、「異種構造量」という。)を表示するが、エステル交換法ポリカーボネート樹脂の異種構造量は、好ましくは0.01〜1モル%であり、より好ましくは0.1〜0.5モル%である。異種構造量を0.01モル%以上とすることにより、よりヘイズが低下する傾向にあり、1モル%以下とすることにより、黄色味をより効果的に低下させることができる。
Figure 0006159137
(上記式中、Xは、単結合、炭素数1〜8の直鎖アルキレン基、炭素数3〜8の分岐アルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、又は、−O−、−S−、−CO−、−SO−及び−SO2 −からなる群から選ばれる2価の基である。)
1つの繰り返し単位の中に、2つ以上のXが存在する場合、それぞれのXは同一であっても良いし、異なっていても良い。
上記異種骨格構造の分析方法は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し、ナトリウムメトキシドメタノール溶液と純水の混合液で、室温で加水分解を行い、液体クロマトグラフ法で、検出波長280nmの紫外線検出器による。定量は、各成分の吸光係数より求める。簡便法としては、ビスフェノールAのピーク面積に対する各成分のピーク面積の比率から算出することもできる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、エステル交換触媒を用いる。使用するエステル交換触媒種には制限はないが、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物およびアミン系化合物から選択される少なくとも1種の塩基性化合物が使用されることが好ましい。エステル交換触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、好ましくは0.05〜200μモル、より好ましくは0.08〜10μモル、さらに好ましくは0.1〜2μモルの範囲内である。
上記エステル交換触媒は、通常、溶媒に溶解した触媒溶液の形態で用いることが好ましい。溶媒としては、例えば、水、アセトン、アルコール、トルエン、フェノールの他、原料芳香族ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル等を溶解する溶媒が挙げられる。これらの溶媒のなかでは水が好ましく、特にアルカリ金属化合物を触媒とする場合には、水溶液とすることが好適である。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の製法は、エステル交換法であれば、特に限定されるものではなく、公知の種々の方法が採用されるが、例えば、以下のような方法で製造できる。すなわち、通常、原料混合槽等で、両原料を均一に撹拌した後、触媒を添加して重合を行い、ポリカーボネート樹脂が生産される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式を組み合わせた何れの形式でも良い。
ポリカーボネート樹脂の重合反応(エステル交換反応)は、一般的には2以上の重合槽を用いて、2段階以上、通常3〜7段の多段工程で連続的に実施されることが好ましい。具体的な反応条件としては、温度150〜320℃、圧力常圧〜2Pa、平均滞留時間5〜150分の範囲とし、各重合槽においては、反応の進行とともに副生するフェノールの排出をより効果的なものとするために、上記反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。なお、得られるポリカーボネート樹脂の色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温、できるだけ短い滞留時間の設定が好ましい。
上記エステル交換反応において使用する装置は、竪型、横型、管型又は塔型のいずれの形式であってもよい。通常、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立製作所製)等を具備した1以上の竪型重合槽に引き続き、円盤型、かご型等の横型一軸タイプの重合槽やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、メガネ翼、格子翼((株)日立製作所製)、又はメガネ翼とポリマーの送り機能を持たせた、例えば、ねじりやひねり等の入った翼及び/又は傾斜がついている翼等を組み合わせたもの等を具備した、横型二軸タイプの重合槽を用いることができる。
エステル交換法で製造したポリカーボネート樹脂中には、通常、原料モノマー、触媒、エステル交換反応で副生する芳香族ヒドロキシ化合物等の低分子量化合物が残存している。なかでも、原料モノマーと芳香族ヒドロキシ化合物は、残留量が多く、耐熱老化性、耐加水分解性等の物性に悪影響を与えるので、製品化に際して除去されることが好ましい。ポリカーボネート樹脂中の残存モノマー量としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が、好ましくは150質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下、さらに好ましくは質量50ppm以下である。さらに炭酸ジエステル残存量は、好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは200質量ppm以下、さらに好ましくは150質量ppm以下である。
上記低分子量化合物を除去する方法は、特に制限はなく、例えば、ベント式の押出機により連続的に脱気することにより除去してもよい。その際、樹脂中に残留しているエステル交換触媒に対し、失活剤を配合して、失活させておくことにより、脱気中の副反応を抑え、効率よく原料モノマー及び芳香族ヒドロキシ化合物を除去することができる。失活剤としては、塩基性エステル交換触媒に対し、酸性化合物又はその前駆体が例示される。
添加する酸性化合物又はその前駆体には特に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はその前駆体のうち、好ましくは、スルホン酸化合物又はそのエステル化合物であり、より好ましくは、アリールスルホン酸化合物またはそのエステル化合物であり、さらに好ましくは、トルエンスルホン酸またはトルエンスルホン酸アルキル(アルキルは、炭素数1〜10のアルキル基)である。このような化合物の具体例としては、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が例示される。
さらに、本発明ではこのような失活剤を採用するので、ジグリセリン脂肪酸エステルのOH基とポリカーボネートとのエステル交換反応を抑制し、ポリカーボネートの分子量低下を抑制でき、本発明の効果がより効果的に達成されるものと推定される。
これらの酸性化合物又はその前駆体の添加量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に対して、好ましくは0.1〜50倍モル、より好ましくは0.5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法でもよい。
脱気に用いられる押出機は、単軸でも二軸でもよい。また、二軸押出機としては、噛み合い型二軸押出機で、回転方向は同方向回転でも異方向回転でもよい。脱気の目的には、酸性化合物添加部の後にベント部を有するものが好ましい。ベント数に制限は無いが、通常は2段から10段の多段ベントが用いられる。また、該押出機では、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を添加し、樹脂と混練することもできる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、12,000〜50,000であることが好ましく、さらに好ましくは15,000〜40,000、特に好ましくは17,000〜32,000である。粘度平均分子量が12,000未満では機械的強度が低く、50,000を超えると成形性が低下する傾向にある。
ポリカーボネート樹脂(A)は、本発明の組成物の全量に対し、80質量%以上含まれていることが好ましく、95質量%以上含まれていることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂は、1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。2種類以上含まれている場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の樹脂成分>
また、本発明の組成物には、本発明の効果を損わない範囲でポリカーボネート樹脂以外の樹脂を配合することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。しかしながら、これらの樹脂は、本発明の組成物の5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、実質的に含まない方がさらに好ましい。
<ジグリセリン脂肪酸エステル(B)>
本発明の組成物は、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)を含む。ジグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とジグリセリンのエステル化合物である。
ジグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数5〜22が好ましく、炭素数が8〜18がより好ましい。炭素数5以上とすることにより、帯電防止性能の持続性がより向上する傾向にあり、炭素数を22以下とすることにより、帯電防止性がより向上する傾向にある。
ジグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖または分岐の脂肪酸であることが好ましく、直鎖の脂肪酸であることが好ましい。また、ジグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。
また、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)は、モノエステル化合物、ジエステル化合物またはトリエステル化合物であることが好ましく、モノエステル化合物であることがより好ましい。
本発明で用いるジグリセリン脂肪酸エステル(B)の具体例としては、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノカプレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノステアレート等が例示され、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノカプリレートおよびジグリセリンモノカプレートが好ましい。
本発明の組成物において、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.8〜2.0質量部含まれており、1.0〜1.6質量部含まれていることが好ましい。ジグリセリン脂肪酸エステルは、1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。2種類以上含まれている場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)>
本発明の組成物は、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を含むことが好ましい。ここで、本発明における有機脂肪酸とは、直鎖または分岐の炭化水素基を有するカルボン酸を意味する。
このような酸性物質を配合することにより、滞留成形品の熱安定性がより向上する傾向にある。特に、熱及び荷重を付加した後の流動性の急激な上昇を抑制する効果が顕著に向上する傾向にある。これらの理由は定かではないが、ジグリセリン脂肪酸エステルのOH基とポリカーボネートとのエステル交換反応を抑制することで、ポリカーボネートの分子量低下を抑制することによるものと推定される。
炭化水素基は飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよいが、飽和炭化水素基であることが好ましい。また、直鎖の炭化水素基であることが好ましい。本発明における有機脂肪酸は、モノカルボン酸であることが好ましい。
有機脂肪酸の炭素数は、15〜22であることが好ましく、17〜22であることがさらに好ましい。
炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)の具体例としては、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が例示され、ステアリン酸およびベヘン酸が好ましい。
本発明の組成物が、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01質量部を超え5質量部以下の範囲で含まれていることが好ましく、0.05〜1.00質量部含まれていることがより好ましい。炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質は、1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。2種類以上含まれている場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(D)リン系安定剤>
本発明の組成物は、リン系安定剤を含んでいることが好ましい。リン系安定剤は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性向上に有効である。特に、ヘイズを低く保ちつつ、滞留安定性を向上させることができる。
本発明で用いるリン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み、黄色味抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましく、ホスファイトがより好ましい。
本発明で用いるリン系安定剤としては、具体的には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロジェンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールドデシルホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールトリデシルホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールテトラデシルホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールペンタデシルホスファイト、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス−(p−トリル)ホスフィン、トリス−(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリス−(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル−(ヒドロキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(アセトキシメチル)−ホスフィン、ジフェニル−(β−エチルカルボキシエチル)−ホスフィン、トリス−(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス−(p−フルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフェニル−β−シアノエチルホスフィン、ジフェニル−(p−ヒドロキシフェニル)−ホスフィン、ジフェニル−1,4−ジヒドロキシフェニル−2−ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等が挙げられる。
また、例えば、Irgafos168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商標)、Irgafos12(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商標)、Irgafos38(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商標)、ADKSTAB C(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB 329K(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB PEP36(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB PEP−8(株式会社ADEKA製、商標)、JC263(城北化学工業株式会社製、商標)、Sardstab P−EPQ(クラリアント社製、商標)、Weston 618(GE社製、商標)、Weston 619G(GE社製、商標)及びWeston 624(GE社製、商標)等の市販品を挙げることができる。
その他、特開2012−251084号公報の段番号0090〜0093の記載も参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明で用いるリン系安定剤としては、特に、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。このような化合物を用いることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
一般式(1)
Figure 0006159137
(一般式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜15の直鎖または分岐のアルキル基であり、n1およびn3は、それぞれ、1または2を表し、n1とn3の合計は3である。n2は、0〜5の整数を表す。)
1は、炭素数1〜10の直鎖アルキル基が好ましい。
2は、炭素数1〜15の分岐のアルキル基が好ましく、炭素数5〜12の分岐のアルキル基がより好ましい。
n1は2が好ましく、従って、n3は1が好ましい。n2は0〜5の整数であり、0または1であることが好ましく、0がより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ジフェニル(2−エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトが例示され、ジフェニル(2−エチルヘキシル)フォスファイトが好ましい。
本発明の組成物がリン系安定剤を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.001〜0.3質量部含まれており、0.003〜0.3質量部含まれていることが好ましく、0.006〜0.150質量部含まれていることがより好ましい。リン系安定剤は、1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。2種類以上含まれている場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、無機充填材、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤(ジグリセリン脂肪酸エステルを除く)、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。これらのその他の成分は、組成物の10質量%以下の割合で配合されることが好ましく、5質量%以下の割合で配合されることが好ましい。
<<離型剤>>
本発明の組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、離型剤(但し、上記酸性物質に該当するものは除く)を含んでいてもよい。本発明で用いられる離型剤としては、特開2013−043908号公報の段落番号0100〜0106の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<<紫外線吸収剤>>
本発明の組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、特開2012−251061号公報の段落番号0128〜0136の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明の組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)およびリン系安定剤(D)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明の組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
<成形品>
本発明の組成物は、通常、任意の形状に成形して成形品として用いる。この成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明の成形品は、電気電子機器の筐体として好ましく用いられる。より具体的には、リレー、スイッチ、コネクター、ターミナルスイッチ、センサー、アクチュエーター、マイクロスイッチ、マイクロセンサーおよびマイクロアクチュエーター等の電気電子機器の筐体として好ましく用いることができる。例えば、パソコン、パチンコ機、ゲーム機、テレビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。また、アミューズメント向けの筐体、例えば、パチンコ、パチスロ、アーケード用ゲーム機器の筐体、およびそれら内部回路基板の偽造防止保護カバー等に用いられる。
本発明の成形品の製造方法は、特に限定されず、本発明の組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
本発明の成形品は、ポリカーボネート樹脂の優れた性質を損なうことなく、低い表面抵抗値を達成できる。具体的には、発明の成形品は、シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した成形品の3mm厚さの部分のIEC60093に従って測定した表面抵抗値を1015Ω以下とすることができ、特に、1012〜1014Ωの表面抵抗値を有する成形品とすることができる。また、本発明の成形品は、ヘイズ値を低くすることができ、例えば、シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した成形品の2mm厚さの部分のISO14782およびISO13468−1に従って測定したヘイズを0.75%以下とすることができ、さらには0.65%以下とすることができる。
なお、本発明における「10xΩとは、1.0×10xΩ以上10×10xΩ未満」を意味する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<原材料>
A−1:ノバレックスM7022J(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、エステル交換法で製造されたもの、粘度平均分子量22,000、末端OH基含有量500ppm)
A−2:ユーピロンS−3000(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、界面重合法で製造されたもの、粘度平均分子量21,000、末端OH基含有量150ppm)
B−1:ジグリセリンモノカプリレート(阪本薬品工業社製、グリスターSY MCA−150)、
817COOCH2CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2OH
B−2:ジグリセリンモノラウレート(理研ビタミン社製、ポエムDL−100)、
1225COOCH2CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2OH
C−1:ステアリン酸、C1735COOH(日油社製、NAA−180)
C−2:ベヘン酸(ベヘニン酸)、C2143COOH(新日本理化社製)
D−1:ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスファイト(城北化学工業社製、JPM−308)
D−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製、アデカスタブ2112)
<ペレットの作成>
下記表に記載の各成分を表に記載の含有量(特に明記しない場合は全て質量部)で、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30XCT)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、樹脂温度として270〜300℃のストランド状に押出された樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化した。
<試験片の作製>
上記で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(SG75MII)を用いてシリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で100×100×3mmの表面抵抗値試験片を成形した。
また、滞留試験片については、FANUC社製射出成形機(ROBOSHOT S−2000i−150B スクリューストローク176mm)を用いて、計量値24mmにてシリンダ温度300℃、金型温度80℃の条件で50×90mmの3段カラープレート(1mm厚/2mm厚/3mm厚)を成形サイクル5分にて7ショット成形した。
<熱および荷重を付加した後の流動性>
前述の製造方法で得られたペレットを、120℃で4時間以上乾燥させた後、島津製作所社製流動特性評価装置(フローテスターCFT−500D)を用いて、300℃、7分加熱後、試験圧力160kgf/cm2の条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10-2cc/sec)を測定し、流動性を評価した。また、加熱時間を14分とした時の流出量Q値も測定し、14分間加熱した場合と7分間加熱の場合の差Δ(14分−7分)の値を熱安定性の指標とした。Δの値が小さいほど熱安定性に優れていると言える。なお、オリフィスの穴径は直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
<表面抵抗値>
IEC60093に従い、100×100×3mmの表面抵抗値試験片(一般成形品)および滞留試験片(滞留成形品)を用いて、表面抵抗値を測定した(単位:Ω)。
<ヘイズ>
ISO14782およびISO13468−1に従い、50×90mmの3段カラープレート(1mm厚/2mm厚/3mm厚)の2mm厚さの部分を用いて、ヘイズの値を測定した(単位:%)。
結果を下記表に示す。
Figure 0006159137
上記表から明らかなとおり、本発明の組成物を用いた場合、熱及び荷重を付加した後の流動性の急激な上昇を抑制する効果(滞留成形品の熱安定性)に優れ、かつ、一般成形および滞留成形のいずれを行っても、表面抵抗値が低く、さらに、滞留成形品のヘイズが低くなった(実施例1〜8)。
一方、ポリカーボネート樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂でない場合、滞留成形品の熱安定性が劣り、かつ、滞留成形品にはシルバーと呼ばれる銀条痕が発生してしまい正確にヘイズできなかった(比較例1〜5)。
さらに、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を配合することにより、熱及び荷重を付加した後の流動性の急激な上昇を抑制する効果(滞留成形品の熱安定性)が顕著に向上した。

Claims (10)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)0.8〜2.0質量部を含有し、
    さらに、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01質量部を超え5質量部以下を含有する、帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記ポリカーボネート樹脂(A)の末端OH基含有量が300〜1500ppmである、請求項1に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)が炭素数10〜22の直鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸からなる酸性物質である、請求項1または2に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記ジグリセリン脂肪酸エステル(B)がモノエステル化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのエステル化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 前記ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのモノエステル化合物であり、前記炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)がステアリン酸及び/またはベヘン酸である請求項1または2に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 請求項1〜いずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
  8. 前記成形品が、電気電子機器の筐体である、請求項に記載の成形品。
  9. シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の3mm厚さの部分のIEC60093に従って測定した表面抵抗値が1015Ω以下である、請求項またはに記載の成形品。
  10. シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の2mm厚さの部分のISO14782およびISO13468−1に従って測定したヘイズが0.75%以下である、請求項のいずれか1項に記載の成形品。
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