JP6159137B2 - 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
ここで、特許文献1および2では、ポリカーボネート樹脂に、ジグリセリン脂肪酸エステルと少量のリン酸、硼酸等の酸性物質を配合することによって、透過率が高く、黄色味を抑制でき(YI値が小さく)、表面抵抵抗率の低い成形品を提供できることを開示している。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<11>により、上記課題は解決された。
<1>芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)0.8〜2.0質量部を含有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<2>前記ポリカーボネート樹脂(A)の末端OH基含有量が300〜1500ppmである、<1>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<3>さらに、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01質量部を超え5質量部以下を含有する、<1>または<2>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<4>炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)が炭素数10〜22の直鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸からなる酸性物質である、<3>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<5>ジグリセリン脂肪酸エステル(B)がモノエステル化合物である、<1>〜<4>のいずれかに記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<6>ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのエステル化合物である、<1>〜<5>のいずれかに記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<7>ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのモノエステル化合物であり、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)がステアリン酸及び/またはベヘン酸である<3>に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
<8><1>〜<7>いずれかに記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
<9>前記成形品が、電気電子機器の筐体である、<8>に記載の成形品。
<10>シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の3mm厚さの部分のIEC60093に従って測定した表面抵抗値が1015Ω以下である、<8>または<9>に記載の成形品。
<11>シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の2mm厚さの部分のISO14782およびISO13468−1に従って測定したヘイズが0.75%以下である、<8>〜<10>のいずれかに記載の成形品。
以下、本発明の組成物について詳細に説明する。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂である。このようなエステル交換法で得られたポリカーボネート樹脂を用いることにより、得られる成形品のヘイズが低く、透明性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明で用いるポリカーボネート樹脂について、具体的に説明する。
1つの繰り返し単位の中に、2つ以上のXが存在する場合、それぞれのXは同一であっても良いし、異なっていても良い。
上記エステル交換触媒は、通常、溶媒に溶解した触媒溶液の形態で用いることが好ましい。溶媒としては、例えば、水、アセトン、アルコール、トルエン、フェノールの他、原料芳香族ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル等を溶解する溶媒が挙げられる。これらの溶媒のなかでは水が好ましく、特にアルカリ金属化合物を触媒とする場合には、水溶液とすることが好適である。
添加する酸性化合物又はその前駆体には特に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はその前駆体のうち、好ましくは、スルホン酸化合物又はそのエステル化合物であり、より好ましくは、アリールスルホン酸化合物またはそのエステル化合物であり、さらに好ましくは、トルエンスルホン酸またはトルエンスルホン酸アルキル(アルキルは、炭素数1〜10のアルキル基)である。このような化合物の具体例としては、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が例示される。
さらに、本発明ではこのような失活剤を採用するので、ジグリセリン脂肪酸エステルのOH基とポリカーボネートとのエステル交換反応を抑制し、ポリカーボネートの分子量低下を抑制でき、本発明の効果がより効果的に達成されるものと推定される。
また、本発明の組成物には、本発明の効果を損わない範囲でポリカーボネート樹脂以外の樹脂を配合することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。しかしながら、これらの樹脂は、本発明の組成物の5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、実質的に含まない方がさらに好ましい。
本発明の組成物は、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)を含む。ジグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とジグリセリンのエステル化合物である。
ジグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数5〜22が好ましく、炭素数が8〜18がより好ましい。炭素数5以上とすることにより、帯電防止性能の持続性がより向上する傾向にあり、炭素数を22以下とすることにより、帯電防止性がより向上する傾向にある。
ジグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖または分岐の脂肪酸であることが好ましく、直鎖の脂肪酸であることが好ましい。また、ジグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。
また、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)は、モノエステル化合物、ジエステル化合物またはトリエステル化合物であることが好ましく、モノエステル化合物であることがより好ましい。
本発明で用いるジグリセリン脂肪酸エステル(B)の具体例としては、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノカプレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノステアレート等が例示され、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノカプリレートおよびジグリセリンモノカプレートが好ましい。
本発明の組成物において、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.8〜2.0質量部含まれており、1.0〜1.6質量部含まれていることが好ましい。ジグリセリン脂肪酸エステルは、1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。2種類以上含まれている場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の組成物は、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を含むことが好ましい。ここで、本発明における有機脂肪酸とは、直鎖または分岐の炭化水素基を有するカルボン酸を意味する。
このような酸性物質を配合することにより、滞留成形品の熱安定性がより向上する傾向にある。特に、熱及び荷重を付加した後の流動性の急激な上昇を抑制する効果が顕著に向上する傾向にある。これらの理由は定かではないが、ジグリセリン脂肪酸エステルのOH基とポリカーボネートとのエステル交換反応を抑制することで、ポリカーボネートの分子量低下を抑制することによるものと推定される。
炭化水素基は飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよいが、飽和炭化水素基であることが好ましい。また、直鎖の炭化水素基であることが好ましい。本発明における有機脂肪酸は、モノカルボン酸であることが好ましい。
有機脂肪酸の炭素数は、15〜22であることが好ましく、17〜22であることがさらに好ましい。
炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)の具体例としては、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が例示され、ステアリン酸およびベヘン酸が好ましい。
本発明の組成物が、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01質量部を超え5質量部以下の範囲で含まれていることが好ましく、0.05〜1.00質量部含まれていることがより好ましい。炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質は、1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。2種類以上含まれている場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の組成物は、リン系安定剤を含んでいることが好ましい。リン系安定剤は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性向上に有効である。特に、ヘイズを低く保ちつつ、滞留安定性を向上させることができる。
その他、特開2012−251084号公報の段番号0090〜0093の記載も参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
一般式(1)
R2は、炭素数1〜15の分岐のアルキル基が好ましく、炭素数5〜12の分岐のアルキル基がより好ましい。
n1は2が好ましく、従って、n3は1が好ましい。n2は0〜5の整数であり、0または1であることが好ましく、0がより好ましい。
本発明の組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、無機充填材、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤(ジグリセリン脂肪酸エステルを除く)、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。これらのその他の成分は、組成物の10質量%以下の割合で配合されることが好ましく、5質量%以下の割合で配合されることが好ましい。
本発明の組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、離型剤(但し、上記酸性物質に該当するものは除く)を含んでいてもよい。本発明で用いられる離型剤としては、特開2013−043908号公報の段落番号0100〜0106の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、特開2012−251061号公報の段落番号0128〜0136の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)およびリン系安定剤(D)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
本発明の組成物は、通常、任意の形状に成形して成形品として用いる。この成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明の成形品は、電気電子機器の筐体として好ましく用いられる。より具体的には、リレー、スイッチ、コネクター、ターミナルスイッチ、センサー、アクチュエーター、マイクロスイッチ、マイクロセンサーおよびマイクロアクチュエーター等の電気電子機器の筐体として好ましく用いることができる。例えば、パソコン、パチンコ機、ゲーム機、テレビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。また、アミューズメント向けの筐体、例えば、パチンコ、パチスロ、アーケード用ゲーム機器の筐体、およびそれら内部回路基板の偽造防止保護カバー等に用いられる。
本発明の成形品は、ポリカーボネート樹脂の優れた性質を損なうことなく、低い表面抵抗値を達成できる。具体的には、発明の成形品は、シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した成形品の3mm厚さの部分のIEC60093に従って測定した表面抵抗値を1015Ω以下とすることができ、特に、1012〜1014Ωの表面抵抗値を有する成形品とすることができる。また、本発明の成形品は、ヘイズ値を低くすることができ、例えば、シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した成形品の2mm厚さの部分のISO14782およびISO13468−1に従って測定したヘイズを0.75%以下とすることができ、さらには0.65%以下とすることができる。
なお、本発明における「10xΩとは、1.0×10xΩ以上10×10xΩ未満」を意味する。
<原材料>
A−1:ノバレックスM7022J(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、エステル交換法で製造されたもの、粘度平均分子量22,000、末端OH基含有量500ppm)
A−2:ユーピロンS−3000(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、界面重合法で製造されたもの、粘度平均分子量21,000、末端OH基含有量150ppm)
B−1:ジグリセリンモノカプリレート(阪本薬品工業社製、グリスターSY MCA−150)、
C8H17COOCH2CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2OH
B−2:ジグリセリンモノラウレート(理研ビタミン社製、ポエムDL−100)、
C12H25COOCH2CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2OH
C−1:ステアリン酸、C17H35COOH(日油社製、NAA−180)
C−2:ベヘン酸(ベヘニン酸)、C21H43COOH(新日本理化社製)
D−1:ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスファイト(城北化学工業社製、JPM−308)
D−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製、アデカスタブ2112)
下記表に記載の各成分を表に記載の含有量(特に明記しない場合は全て質量部)で、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30XCT)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、樹脂温度として270〜300℃のストランド状に押出された樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化した。
上記で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(SG75MII)を用いてシリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で100×100×3mmの表面抵抗値試験片を成形した。
また、滞留試験片については、FANUC社製射出成形機(ROBOSHOT S−2000i−150B スクリューストローク176mm)を用いて、計量値24mmにてシリンダ温度300℃、金型温度80℃の条件で50×90mmの3段カラープレート(1mm厚/2mm厚/3mm厚)を成形サイクル5分にて7ショット成形した。
前述の製造方法で得られたペレットを、120℃で4時間以上乾燥させた後、島津製作所社製流動特性評価装置(フローテスターCFT−500D)を用いて、300℃、7分加熱後、試験圧力160kgf/cm2の条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10-2cc/sec)を測定し、流動性を評価した。また、加熱時間を14分とした時の流出量Q値も測定し、14分間加熱した場合と7分間加熱の場合の差Δ(14分−7分)の値を熱安定性の指標とした。Δの値が小さいほど熱安定性に優れていると言える。なお、オリフィスの穴径は直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
IEC60093に従い、100×100×3mmの表面抵抗値試験片(一般成形品)および滞留試験片(滞留成形品)を用いて、表面抵抗値を測定した(単位:Ω)。
ISO14782およびISO13468−1に従い、50×90mmの3段カラープレート(1mm厚/2mm厚/3mm厚)の2mm厚さの部分を用いて、ヘイズの値を測定した(単位:%)。
一方、ポリカーボネート樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂でない場合、滞留成形品の熱安定性が劣り、かつ、滞留成形品にはシルバーと呼ばれる銀条痕が発生してしまい正確にヘイズできなかった(比較例1〜5)。
さらに、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を配合することにより、熱及び荷重を付加した後の流動性の急激な上昇を抑制する効果(滞留成形品の熱安定性)が顕著に向上した。
Claims (10)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合によって重合されたポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ジグリセリン脂肪酸エステル(B)0.8〜2.0質量部を含有し、
さらに、炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)を、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01質量部を超え5質量部以下を含有する、帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。 - 前記ポリカーボネート樹脂(A)の末端OH基含有量が300〜1500ppmである、請求項1に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)が炭素数10〜22の直鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸からなる酸性物質である、請求項1または2に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ジグリセリン脂肪酸エステル(B)がモノエステル化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのエステル化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ジグリセリン脂肪酸エステル(B)が炭素数8〜18の脂肪酸とジグリセリンのモノエステル化合物であり、前記炭素数10〜22の有機脂肪酸からなる酸性物質(C)がステアリン酸及び/またはベヘン酸である請求項1または2に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 前記成形品が、電気電子機器の筐体である、請求項7に記載の成形品。
- シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の3mm厚さの部分のIEC60093に従って測定した表面抵抗値が1015Ω以下である、請求項7または8に記載の成形品。
- シリンダ温度280℃、金型温度80℃で成形した前記成形品の2mm厚さの部分のISO14782およびISO13468−1に従って測定したヘイズが0.75%以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の成形品。
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