JP3907303B2 - 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電荷潜像を現像するための静電荷像現像用トナー及びこのトナーを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、米国特許第2,297,691号明細書に記載されている如く多数の方法が知られている。一般には光導電性物質からなる感光体を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、ついで潜像をトナーを用いて現像を行って可視像とし、必要に応じて紙の如き転写材(記録材)にトナー画像を転写した後、熱及び/又は圧力により転写材上にトナー画像を定着して複写物又は印刷物を得るものである。トナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されている。例えば、所定の温度に維持された加熱ローラーと、弾性層を有し該加熱ローラーに圧接する加圧ローラーとによって、未定着のトナーの画像を表面に有する紙の如き転写材を挟持搬送しながら定着する方式が広く利用されている。しかし、この方式では、熱ローラー表面とトナー画像が溶融状態で加圧下で接触するためにトナー画像の一部が定着ローラー表面に付着、転移してしまい、次の転写材にこの付着したトナーが再転移する現象、所謂オフセット現象が生じやすい。
【0003】
さらに、オフセット現象を防止する方法として、例えば、特開平1−214872号公報、特開平2−204752号公報、特開平2−204723号公報、特開平3−77962号公報、特開平3−284867号公報、特開平4−81863号公報では、結着樹脂とワックスを含有する定着性及び耐オフセット性に優れたトナーが開示されている。例えば特開平5−6029号公報ではGPCによる分子量分布において、分子量5,000以下の領域が15%未満であり、分子量500万以上の領域が5%以上であり、分子量5,000〜10万の領域にメインピークを有し、重量平均分子量が500万以上であるトナーが提案されている。この場合、低温定着性、耐ブロッキング性、更に感光体へのフィルミングや融着の防止、現像特性が優れたものとなる。
【0004】
上記オフセット防止方法は、トナー製法分類においては粉砕法、すなわち、熱可塑性樹脂中に染料または顔料からなる着色剤を溶融混練し、均一に分散させた後、微粉砕装置により微粉砕し、微粉砕物を分級機により分級して所望のトナー粒径を有する方法によるものである。しかしながら、懸濁重合法、すなわち、重合性単量体、着色剤及び重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、電荷制御剤、その他添加剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物を調製した後、該単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば、水相中で適当な撹拌機を用いて分散し、重合反応を行わせ所望のトナー粒径を得る方法によっても、耐オフセット性をより効果的に高めることが可能である。例えば特開平5−88409号公報においては、上記単量体組成物中に低軟化点物質を均一に溶解または分散せしめ、且つ、当該低軟化点物質の水相中で極性を主要単量体より小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂または単量体を添加せしめることで、低軟化点物質を外郭樹脂で被膜した所謂コア/シェル構造を有するトナーを提案している。この場合、低温定着性を損なうことなく、感光体へのフィルミングや、キャリアのトナー担持体(現像スリーブ)の表面を汚染しにくい、耐久性、現像特性に優れたトナーが得られる。
【0005】
特にフルカラートナーを用い画像形成等を行う場合は、単色トナーを多層に重ね合わせた後、加熱溶融させることにより混色され、いわゆる二次色の発色をもたらす為に、あまりに高温の熱履歴を与えた場合はオフセット現象を生じたりする。
【0006】
従来、定着ローラー表面にトナーを付着させない目的では、例えばローラー表面をトナーに対して離型性の優れた材料(例えば、シリコーンゴムやフッ素系樹脂)で形成し、更にその表面にオフセット防止の為、及びローラー表面の疲労を防止する為にシリコーンオイルの如き離型性の良い液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われている。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液体を供給する為に装置が必要な為、定着装置が複雑になると言う問題点を有している。それ故、オフセット防止用液体の供給によってオフセットを防止する方向は好ましくなく、むしろ定着温度領域の広い耐オフセット性の高いトナーの開発が望まれているのが現状である。
【0007】
そこでトナーとして離型性を増す為に、加熱時に充分溶融する様な低分子量がポリエチレン又はポリプロピレンの如きワックスを添加する方法も行われている。ワックスの使用は、オフセット防止には有功である反面、トナーの凝集性が増し、帯電特性が不安定となり、耐久性の低下を招き易い。そこで他の方法としてバインダー樹脂に改良を加える工夫がいろいろと試みられている。
【0008】
例えば、オフセット防止の為に、トナー中の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)や分子量を高めトナーの溶融粘弾性を向上させる方法も知られている。しかしながら、この様な方法でオフセット現象を改善した場合、定着性が不十分となり、高速複写機や省エネルギー化において要求される低温度下での定着性(即ち低温定着性)が劣るという問題が生じる。
【0009】
このことからもトナーの定着性を改良するには、溶融時におけるトナーの粘度を低下させ、定着基材との接着面積を大きくする必要がある。この為に使用する結着樹脂のTgや分子量を低くすることが要求される。
【0010】
低温定着性とオフセット防止性とは相反する一面を有することから、これらの機能を同時に満足するトナーの開発は非常に困難なことである。
【0011】
これらの問題を解消する為に、例えば特公昭51−23354号公報には架橋剤と分子量調整剤を加え、適度に架橋されたビニル系共重合体からなるトナーが提案されている。特公昭55−6805号公報には、α、β−不飽和エチレン系単量体を構成単位とした重量平均分子量と数平均分子量との比が3.5〜40となる様に分子量分布を広くしたトナーが提案されている。更にはビニル系重合体において、Tg、分子量、ゲルコンテントを規定したブレンド系樹脂を使用したトナーが提案されている。
【0012】
確かに、これらの提案によるトナーは分子量分布の狭い単一の樹脂からなるトナーに比べて、定着下限温度(定着可能な最も低い温度)とオフセット温度(オフセットが発生し始める温度)の間の定着可能温度範囲は広がるものの、十分なオフセット防止性能を付与した場合には、その定着温度を十分低くすることが困難である。反対に低温定着性を重視するとオフセット防止性能が不十分となるという問題が存在した。
【0013】
例えば、特開昭56−158340号公報に、低分子量重合体と高分子量重合体とよりなるトナーが提案されている。この結着樹脂は、実際には架橋成分を含有させることが難しい為、高性能に耐オフセット性を向上させる為には、高分子量重合体の分子量を大きくするか、高分子量重合体の比率を増す必要がある。この方向は、樹脂組成物の粉砕性を著しく低下させる方向であり、実用上満足するものは得られにくい。
【0014】
更に低分子量重合体と架橋した重合体とをブレンドしたトナーに関し、特開昭58−86558号公報に、低分子量重合体と不溶不融性高分子量重合体を主要樹脂成分とするトナーが提案されている。その方法に従えば、トナーの定着性、樹脂組成物の粉砕性の改良は行われると思われる。しかしながら、低分子量重合体の重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が3.5以下と小さいこと、及び不溶不融性高分子量重合体が40〜90wt%と大きいことにより、トナーの耐オフセト性と樹脂組成物の粉砕性を共に高性能で満足することが難しい。実際上はオフセット防止用液体の供給装置を持つ定着機でなければ、定着性、耐オフセット性を充分満足するトナーを生成することは極めて困難である。更に不溶不融性高分子量重合体が多くなるとトナー作製時の熱混練で、溶融粘度が非常に高くなる為、通常より、はるかに高温で熱混練する必要があり、その結果、添加剤の熱分解によるトナー特性の低下という問題を有している。
【0015】
特開昭56−16144号公報には、GPCによる分子量分布において、分子量103 〜8×104 及び分子量105 〜2×106 のそれぞれの領域に少なくとも1つの極大値をもつ結着樹脂成分を含有するトナーが提案されている。この場合、結着樹脂成分の粉砕性、トナーの耐オフセット性、定着性、感光体へのフィルミングや融着防止、現像特性が優れている。更にはトナーにおける耐オフセット性及び定着性の向上が要望されている。特に定着性を更に向上させて、他の種々の性能を保つか或いは向上させつつ、今日の厳しい要求に対応するのは、該樹脂では難しい。
【0016】
この様にトナーの定着に関わる性能(低温定着性とオフセット防止性)を高性能で実現することは極めて困難である。
【0017】
しかしながら、最近の複写機やプリンターには、小型化、軽量化、高信頼性といった要求が強まり、トナー性能に対する要求も厳しいものとなってきている。例えば、低温定着性を損なうことなく、感光体へのフィルミングや、キャリアやスリーブの如きトナー担持体の表面をより一層汚染しにくい耐久性の優れたトナーが求められている。
【0018】
特開昭59−21845号公報、同59−218460号公報、同59−219755号公報、同60−28665号公報、同60−31147号公報、同60−45259号公報、同60−45260号公報及び特開平3−197971号公報では、トナーのTHFやトルエンの如き溶剤への不溶分を規定し、定着性の優れたトナーを提案している。しかしながら、低温定着性と耐久性の両立という観点から、現状では更なる改善が求められている。
【0019】
特開昭60−31147号公報及び特開平3−197971号公報では、さらに可溶分の分子量も規定している。しかしながら、耐久性という観点から現状では更なる改善が求められる。
【0020】
特開平3−251853号公報では、分子量分布が複数のピークを有し、最小分子量のピークの位置が5万以下では、最大分子量のピークの位置が20万以上である懸濁重合法により得られるトナーが提案されている。しかしながら、低温定着性という観点から現状では更なる改善が求められる。
【0021】
特開平3−39971号公報では、GPCにおいて、分子量500〜2,000の領域にピークMp1を有し、さらに、分子量10,000〜10万の領域にピークMp2を有し、重量平均分子量(Mw)が10,000〜80,000であり、数平均分子量(Mn)が1,500〜8,000であり、Mw/Mnの比が3以上であるカラートナーが提案されている。この場合には、耐オフセット性に優れ、且つ、彩度が高く鮮明なカラー画像の得られるカラートナーが得られるものであるが、低温定着性を損なうことなく、感光体へのフィルミングや、キャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面をより一層汚染しにくいトナーの開発が必要となってきている。
【0022】
一方、従来の電子写真プロセスにおいては、転写工程後、転写材上に転写されずに感光体上に残ったトナー粒子はクリーニング手段を用いたクリーニング工程により感光体上より除去されるのが一般的である。そのクリーニング手段としてはブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング又はローラークリーニングが用いられている。
【0023】
装置面からみると、かかるクリーニング装置を具備するために画像形成装置全体が必然的に大きくなり、装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
【0024】
さらには、エコロジーの観点より、トナーの有効活用と言う意味で廃トナーの出ないクリーニングレスシステムやトナーリユースシステムが望まれていた。
【0025】
従来、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術は、例えば、特公平5−69427号公報に記載されており、この方法では、感光体一回転につき一画像とすることで転写残余のトナーの影響が同一画像に現れないようにしている。特開昭64−20587号公報、特開平2−259784号公報、特開平4−50886号公報、特開平5−165378号公報では、転写残余のトナーを散らし部材により感光体上に散らし、非パターン化することで、一画像につき感光体同一表面が複数回利用される場合でも、画像上で顕在化しにくい構成を開示しているが、画質の劣化に問題点があった。特開平5−2287号公報では、感光体周りのトナー帯電量の関係を規定することで、画像上に転写残余のトナーの影響によるポジメモリ、ネガメモリが出ない構成にしたものであるが、具体的にどのような構成でトナー帯電量を制御するかが開示されていない。
【0026】
さらには、クリーナレスに関連する技術の開示を行っている特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開平2−302772号公報、特開平4−155361号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報においては、画像露光に関するものでは、高強度の光を照射するか又は、露光波長の光を透過するトナーを用いるなどの方法を提案している。しかしながら、露光強度を単に強くするだけでは、潜像自体のドット形成ににじみが生じ孤立ドット再現性が充分でなく、画質の面で解像度の劣る、特にグラフィック画像で階調性のない画像となる。露光波長の光を透過するようなトナーを用いる手段については、なるほど平滑化し、粒界のない定着したトナーについては光透過の影響が大きいが、露光をさえぎるメカニズムとしてはトナー自体の着色よりは、トナー粒子表面での散乱が主たるものであり効果は薄い。更には、トナーの着色剤の選択の範囲が挟まり、加えてカラー化を目指したときに少なくとも3種類の波長の異なる露光手段が必要であり、現像同時クリーニングの特徴のひとつである装置の簡素化に逆行する。
【0027】
感光体に接触して帯電を行う接触帯電方法及び、転写材を介して感光体に当接して転写を行う接触転写方法においては、一般的にオゾン発生が少なくエコロジーの観点からは望ましい構成である。転写部材は、転写材の搬送部材も兼ね、装置の小型化が容易になるという特徴を有する。しかし、現像部におけるクリーニングが不十分であると、帯電部材および転写部材は汚れやすく、感光体帯電不良による画像汚れ、転写材の裏汚れ、またはライン部の中央部が転写されない転写中抜けを生じる傾向があり、これが更に画像劣化に拍車をかけるという問題点があった。
【0028】
更に、本質的にクリーニング装置を有さない現像同時クリーニングでは、潜像保持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が必須であり、この為に長期間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、像担持体表面劣化または摩耗を引き起こし、耐久特性の劣化が問題点として残り、従来技術では充分な解決がなされず、耐久特性の改善技術が望まれていた。
【0029】
特に潜像保持体表面、すなわち感光体表面へのトナー汚染の改善が必要とされていた。従来、これらの問題に対しては、トナー或いは感光体に離型性や潤滑性を付与することが提案されてきた。例えば、特公昭57−13868号公報、特開昭54−58245号公報、特開昭59−197048号公報、特開平2−3073号公報、特開平3−63660号公報、米国特許第4,517,272号明細書には、トナーにシリコーン化合物を含有させる方法が開示されており、特開昭56−99345号公報には感光体表層に含フッ素化合物に代表される減摩物質を含有させる方法が開示されている。
【0030】
しかしながら、これらの方法を本質的にクリーニング装置を有さない所謂、クリーニングレス、現像同時クリーニングといわれるシステムに適用した例はない。
【0031】
近年、電子写真感光体の光導電性物質として種々の有機光導電物質が開発され、特に電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型のものが実用化され、複写機やプリンターやファクシミリの如き画像形成装置に搭載されている。このような電子写真法での帯電手段としては、コロナ放電を利用した手段が用いられていたが、多量のオゾンを発生することからフィルタを具備する必要性があり、装置の大型化またはランニングコストアップの問題点があった。
【0032】
この様な問題点を解決するための技術として、ローラーまたはブレードの帯電部材を感光体表面に当接させることにより、その接触部分近傍に狭い空間を形成し、所謂パッシェンの法則で解釈できる様な放電を形成することによりオゾン発生を極力抑さえた帯電方法が開発されている。この中でも特に帯電部材として帯電ローラーを用いたローラー帯電方式が、帯電の安定性という点から好ましく用いられている。
【0033】
具体的には、帯電部材から被帯電体への放電によって帯電が行なわれるため、ある閾値以上の電圧を印加することにより帯電が開始される。例えば感光層の厚さが25μmのOPC感光体に対して帯電ローラーを当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。以後この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。つまり、感光体表面電位Vdを得るためには、帯電ローラーにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。しかしながら、環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動する為、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0034】
この為、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報には、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加するAC帯電方式が開示されている。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境変動の如き外乱に影響され難い。
【0035】
しかしながら、この様な接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、帯電部材から感光体への放電現象を用いている為、先に述べた様に帯電に必要とされる電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされる。帯電均一化の為にAC帯電を行なった場合には、AC電圧の電界による帯電部材と感光体の振動・騒音が発生したり、放電による感光体表面の劣化が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0036】
特開昭61−57958号公報には、導電性保護膜を有する感光体を、導電性微粒子を用いて帯電する画像形成方法が開示されている。これには、感光体として107 〜1013Ωcmの抵抗を有する半導電性保護膜を有する感光体を用い、この感光体を1010Ωcm以下の抵抗を有する導電性微粒子を用いて帯電することにより、感光層中に電荷が注入することなく、放電により感光体をムラなく均一に帯電することができ、良好な画像再現を行うことができると記載されている。この方法によれば、AC帯電における問題であった振動・騒音は防止できるが、放電により帯電している為、放電による感光体表面の劣化が依然生じており、さらに高圧電源も必要であった。この為、感光体への電荷の直接注入による帯電が望まれていた。
【0037】
帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電磁気ブラシの如き接触帯電部材に電圧を印加し、感光体表面にあるトラップ準位に電荷を注入して接触注入帯電を行なう方法は、Japan Hardcopy92年論文集P287の「導電性ローラを用いた接触帯電特性」に記載されている。この方法は、暗所絶縁性の感光体に対して、電圧を印加した低抵抗の帯電部材で注入帯電を行なう方法であり、帯電部材の抵抗値が十分に低く、更に帯電部材に導電性を持たせる材質(導電フィラー等)が表面に十分に露出していることが条件になっていた。
【0038】
この為、前記の文献においても帯電部材としてはアルミ箔や、高湿環境下で十分抵抗値が下がったイオン導電性の帯電部材が好ましいとされている。本出願人らの検討によれば感光体に対して十分な電荷注入が可能な帯電部材の抵抗値は1×103 Ωcm以下であり、これ以上では印加電圧と帯電電位の間に差が生じ始め帯電電位の収束性に問題が生じることがわかっている。
【0039】
しかしながら、この様な抵抗値の低い帯電部材を実際に使用すると、感光体表面に生じたキズ、ピンホール等に対して接触帯電部材から過大なリーク電流が流れ込み、周辺の帯電不良や、ピンホールの拡大、帯電部材の通電破壊が生じる。
【0040】
これを防止する為には帯電部材の抵抗値を1×104 Ωcm程度以上にする必要があるが、この抵抗値の帯電部材では先に述べた様に感光体への電荷注入性が低下し、帯電が行なわれないという矛盾が生じてしまう。
【0041】
そこで、接触方式の帯電装置もしくは該帯電装置を用いた画像形成方法について上記のような問題点を解消する、即ち、低抵抗の接触帯電部材を用いないと生じなかった電荷注入にによる良好な帯電性と、低抵抗の接触帯電部材では防止することのできなかった被帯電体上のピンホールリークという相反した特性を同時に両立することを可能とすることが望まれていた。
【0042】
さらに、接触帯電を用いる画像形成方法においては、帯電部材の汚れ(スペント)による帯電不良による画像欠陥を生じ、耐久性に問題が生じる傾向にあり、被帯電部材への電荷注入による帯電においても、帯電部材の汚れによる帯電不良の影響を防止することが多数枚のプリントを可能にする為、急務であった。
【0043】
接触帯電を用いて且つクリーニングレス、現像同時クリーニングと言われるシステムに適用した例としては、特開平4−234063号公報、特開平6−230652号公報がある。これらの公報には、背面露光同時現像方式において感光体上の転写残余トナーのクリーニングをも同時に行う画像形成方法が開示されている。
【0044】
しかしながら、これらの提案は帯電電位、現像印加バイアスを低電界とした画像形成プロセスに適用されるものであって、従来広く電子写真装置に適用されている、より高電界な帯電・現像印加バイアスでの画像形成ではリークによるスジ、ポチの如き画像欠陥を生じてしまう。
【0045】
さらに、転写残余トナーの帯電部材への付着による悪影響を非画像形成時に帯電部材に付着したトナーを感光体に移行させることで防ぐ方法が提案されているが、感光体に移行したトナーの現像工程での回収性の向上、現像工程でのトナー回収による現像への影響については触れられていない。
【0046】
更に、現像時に転写残トナーのクリーニング効果が不十分であれば、転写残トナーの存在する感光体表面上にトナーが現像されるため、周囲よりも濃度が高くポジゴーストが発生してしまい、更に転写残余のトナーが多過ぎると、現像部分で回収し切れずに画像上にポジメモリを生じるが、これらの問題点に対する本質的解決には至っていない。
【0047】
転写残トナーによる遮光が特に問題となるのは、一枚の転写材に対し感光体表面が繰り返し使用される場合、つまり感光体一周分の長さが転写材の進行方向長さよりも短い場合である。転写残トナーが感光体上に存在する状態で帯電露光現像をしなければならない為、転写残トナーの存在する感光体表面部での電位が十分落ちきらず現像コントラストが不十分になり、反転現像については周囲よりも濃度が低い、ネガゴーストとして画像上に現れる。静電転写を通過した感光体は概ねトナー帯電極性とは逆極性に帯電しており、繰り返し使用による感光体の電荷注入性の劣化によって、帯電部材中で正規の帯電極性に制御されない転写残余のトナーが、画像形成中に帯電部材から漏れて、露光を遮り、潜像を乱し所望の電位を得られず、画像上にネガメモリを発生させる。これらの問題点に対する本質的解決が求められている。
【0048】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低温定着性を損なうことなく、感光体へのフィルミングや、キャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面を汚染しにくく、且つ耐オフセット性及び耐久性の優れた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0049】
本発明の目的は、温度差及び湿度差等の環境差によらず、帯電安定性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0050】
本発明の目的は、鮮明なカラーOHP画像が得られる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0051】
本発明の目的は、定着オイルが不要なカラー画像が得られる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0052】
本発明の目的は、多数枚耐久においても、良好な帯電特性を維持できる帯電部材を有する画像形成方法を提供することにある。
【0053】
本発明の目的は、電子写真感光体と該感光体を注入帯電する部材を有し、該感光体に該注入帯電用部材から電圧を印加することにより帯電される帯電工程を有する画像形成方法において、長期に渡り良好な帯電特性を維持できる画像形成方法を提供することにある。
【0054】
本発明の目的は、電荷注入による良好な帯電性と、低抵抗の接触帯電部材では防止することのできなかった感光体上のピンホールによるリークという相反した特性を同時に両立させることを可能とした帯電工程を有する画像形成方法を提供することにある。
【0055】
本発明の目的は、プロセススピードの速い、高速画像形成が可能な画像形成方法を提供することにある。
【0056】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明の構成によって構成される。
【0057】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有している静電荷像現像用トナーにおいて、トナーのTHF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、該THF可溶成分が、分子量1,000乃至2,000未満の領域に少なくとも1つピークを有しており、分子量2,000乃至3000,000の領域に少なくとも1つピークを有しており、90,000乃至2,000,000の重量平均分子量(Mw)を有しており、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)と、分子量2,000乃至5,000の領域の分子量積分値(L)と、分子量3000,000以上の領域の分子量積分値(H)とが下記関係:
1≦(L/T)×100≦15
3≦(H/T)×100≦30
を満たしていることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。
【0058】
さらに、本発明は、静電潜像を保持するための潜像保持体の表面を帯電する工程;帯電された該潜像保持体の表面に静電潜像を形成する工程;該静電潜像をトナーによって現像し、トナー画像を形成する工程;現像された該トナー画像を中間転写体を介して又は介さずに記録材に転写する工程;及び転写された該トナー画像を該記録材に定着する工程;を有する画像形成方法において、該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有しており、トナーのTHF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、該THF可溶成分が、分子量1,000乃至2,000未満の領域に少なくとも1つピークを有しており、分子量2,000乃至300,000の領域に少なくとも1つピークを有しており、90,000乃至2,000,000の重量平均分子量(Mw)を有しており、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)と、分子量2,000乃至5,000の領域の分子量積分値(L)と、分子量300,000以上の領域の分子量積分値(H)とが下記関係:
1≦(L/T)×100≦15
3≦(H/T)×100≦30
を満たしていることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0059】
【発明の実施の形態】
一般に、トナーに定着性を持たせるためには、室温より高い温度すなわち定着温度では粘度が急激に減少し紙などの転写材上に流動し且つ転写材内部に一部浸透し、且つ室温程度では粘度が急速に回復し転写材に固着されるような樹脂を用い、この樹脂中の顔料を分散させたものをトナー主構成要素として用いればよい。このような樹脂は結着樹脂と呼ばれる。トナーに耐オフセット性を持たせるためには、室温から定着温度までの温度で粘度が急激に減少し始め、定着温度では上記結着樹脂よりもさらに流動性がよく、且つバインダーと定着ローラーとの間に容易に存在しうるような低軟化点物質をトナーの副構成要素として用いればよい。このような低軟化点物質は離型剤と呼ばれる。
【0060】
本発明者等は、結着樹脂及び離型剤を含有するトナーについて鋭意検討の結果、結着樹脂としては、GPCによる分子量分布において、分子量2,000〜300,000の領域にメインピークを有することが最適であることを見い出した。結着樹脂が分子量2,000未満の領域にメインピークを有する場合には、キャリア、スリーブ等トナー担持体の表面を汚染したり、感光体へのフィルミングが起こったりする。結着樹脂が分子量300,000を越える領域にメインピークを有する場合には、低温定着性が悪化する。
【0061】
加えて、本発明者等は鋭意検討の結果、離型剤としてのワックスとしては、GPCによる分子量分布において、分子量1,000〜2,000未満の領域にメインピークを有することが最適であることを見い出した。ワックスが分子量1,000未満の領域にメインピークを有する場合には、室温においてトナー外部にワックスが染みだすことから、耐久性、放置安定性に劣るトナーとなる。ワックスが分子量2,000以上の領域にメインピークを有する場合には、定着温度においても十分な流動性が生じず、バインダーと定着ローラとの間に十分な量の溶融ワックスが存在することが困難となる。
【0062】
これらバインダー及びワックスは、GPC測定において、互いに異なる位置にピークトップを有するものであるが、これらピークトップ間の谷となる部分を構成している成分がGPC測定上連続的、且つ多量にトナー中に存在する場合には、定着性と離型性の機能分離が困難となり、すなわち結着樹脂による定着性機能とワックスによる離型性機能が互いに効果を低減させてしまい、定着性、耐オフセット性共に劣るトナーとなる。さらに感光体、感光体と接触する接触帯電部材、接触転写部材、さらにトナー担持体への汚染が生じ易いような状態となるのである。
【0063】
一方、これらトップピーク間の谷となる部分を構成している成分がGPC測定上存在しない場合には、結着樹脂による定着性機能とワックスによる離型性機能は相殺することはない。しかしながら、この場合は、ワックスと結着樹脂とがなじみにくくなり、ワックス成分と結着樹脂成分が分離してしまうため、耐久性、放置安定性に劣るトナーとなる。
【0064】
本発明者等は鋭意検討の結果、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)に対する分子量2,000〜5,000の領域の分子量積分値(L)の割合(L/T)×100が1〜15、好ましくは1〜7であるトナーが、低温定着性を良好に維持すると共に、感光体へのフィルミングや、キャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面を汚染しにくいトナーであることを見い出した。
【0065】
つまり分子量2,000〜300,000の領域の成分を結着樹脂成分、分子量1,000〜2,000未満の領域の成分を離型剤成分と考えた場合、各々分子量領域にそれぞれピークを有する時に、各ピークの分子量分布がいずれもシャープな分布を呈することによって、結着樹脂成分の分子量2,000〜5,000の領域での存在量は、特に高速複写や連続通紙時を行なった場合の定着温度ダウン時に、低エネルギーでもトナーが紙に定着する為の必須成分となりうる。結着樹脂成分が隣接する離型剤成分の分布と連続的につながる場合には、この各ピークトップ間の谷となる部分を構成する成分が多くなりすぎると前述した通り、それぞれの有効成分が相互に打ち消される場合があることから、ピークトップ間の谷となる部分を構成する成分の存在量は、特定の割合でなければならない。
【0066】
上記の(L/T)×100の値が15を超える場合には、バインダー成分と離型効果を発生するワックス成分との機能分離が困難となり、定着機能と離型機能の間でお互いに効果を低減させてしまい定着性及び耐オフセット性の高度な両立が困難となる。(L/T)×100の値が1未満の場合には、バインダー成分とワックス成分が分離し易いことからトナーの帯電性が不安定となる。
【0067】
分子量300,000以上の領域の高分子量成分は、トナーを堅牢にしトナーに耐久性、放置安定性を与えるが、多量に存在すると定着温度が上昇し、好ましくない。本発明者等は鋭意検討の結果、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)に対する分子量300,000以上の領域の分子量積分値(H)の割合(H/T)×100が3〜30、好ましくは5〜25であることが、定着温度性を損なうことなく、耐久性の優れたトナーであることを見い出した。
【0068】
一般的に高分子量成分とされるこの様な分子量300,000以上の領域の成分は、その存在量が多い場合に定着性に悪影響を及ぼすだけでなく、トナー製造の不安定さをもたらす恐れがあることから、GPCクロマトグラムチャートにおいて、上記範囲付近の高分子量は、その分率において少なく且つピークは、横長の分布が好ましいとされている。しかしながら、トナーの保存安定性やトナー粒子そのものの表面強度的な面では相反する特性を示すことから、両者の特性を有効に引き出すことは困難である状況にある。
【0069】
しかしながら、本発明においては前述の如く、分子量分布においてトナーの定着性に大きく起因するであろう結着樹脂成分の低分子量領域が定着性を高めることが判明していることから、上記の様な保存安定性、表面強度を保つ為の高分子量成分が、上記の特定量で存在することが非常に有用である。
【0070】
上記の(H/T)×100の値が30を超える場合には、トナーの低温定着性が低下すると共に、トナーの帯電量変化が大きいことから、トナーを多層形成による画像出力の場合等においてオフセットを生じやすくなる。(H/T)×100の値が3未満の場合には、長期放置後のトナーブロッキング特性が悪化したり、帯電部材への汚染が生じ易くなる。さらに、本発明においては、分子量100,000以上の領域の樹脂成分は、トナーの耐ブロッキング特性及び保存安定性に対して作用する成分であり、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)に対する分子量100,000以上の領域の分子量積分値(M)の割合(M/T)×100が好ましくは、10〜50、より好ましくは15〜40であることが、上記の特性を満足し、且つ流動性を安定して維持できることで良好な帯電特性が得られる点で良い。
【0071】
上記の(M/T)×100の値が50を超える場合には、トナー製造時における着色剤や荷電制御剤の分散性が低下し、トナー粒子中での均一分散が難しくなる為に、所望の帯電量が得られ難くなり(M/T)×100の値が10未満の場合には、高温側にてオフセットが生じ易くなる。
【0072】
さらに、本発明においては、分子量800〜3,000の領域におけるMw/Mnが3.0以下であることが特に好ましい。
【0073】
本発明においては、該分子量分布において、分子量2,000〜300,000の領域におけるピークトップの高さ(Hb)と分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの高さ(Ha)との比(Hb/Ha)が好ましくは0.70〜1.30、より好ましくは、0.75〜1.25であることが良い。
【0074】
この高さ比(Hb/Ha)の関係としては、低軟化点物質である離型成分が多く存在していることが加熱定着ローラーに対し、トナーがより好ましい離型性を保つことが可能であることを意味する。この場合、前述の結着樹脂成分の分子量分布が低分子量側でシャープに切れ込んでいる状態を反映し、離型剤成分が結着樹脂成分の分子量に対し阻害性を示さないことで優れた低温定着性を維持しながら、加熱定着ローラーに対するトナーの高離型性を呈することが可能になる。
【0075】
Hb/Haが0.70未満では、常温条件下でワックスがトナー外部に流出しやすくなり、耐久性、放置安定性に劣るトナーとなる。また、Hb/Haが1.30を超えると、ワックスの含有量が十分ではなく、耐オフセット性に劣るトナーとなり、特に、フルカラー画像形成時の多層で構成される未定着画像が加熱定着ローラー部で加圧された場合にオフセットが生じ易くなる。
【0076】
さらに、該分子量分布において、分子量2,000〜300,000の領域におけるピークトップと分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの間に存在する分子量極小値の高さ(Hc)と分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの高さ(Ha)との比(Hc/Ha)が好ましくは0.01〜1.15、より好ましくは、0.01〜0.10、さらに好ましくは、0.01〜0.07よりさらに好ましくは0.02〜0.07であることが良い。
【0077】
Hc/Haが0.01未満では、ワックスとバインダーがなじみにくくなり、ワックス成分とバインダー成分がすぐ分離してしまい、耐久性、放置安定性に劣るトナーとなる。Hc/Haが0.15を超えると、バインダーとワックスの機能分離が困難、すなわちバインダー機能とワックス機能の間で互いに効果を低減させてしまい、定着性、耐オフセット性共に劣るトナーとなる。
【0078】
さらに、本発明においては、トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、重量平均分子量(Mw)が90,000〜2,000,000、好ましくは100,000〜1,500,000であることが良い。
【0079】
トナーの重量平均分子量(Mw)が90,000未満の場合には、トナーの耐ブロッキング特性が低下することに加えて、感光体表面へのフィルミングを生ずることがある。トナーの重量平均分子量が2,000,000〜を超える場合には、高温側でのオフセットが生じ易くなったり、着色剤の分散性が低下する傾向にあり、画像品質が低下することに加えて、トナー製造時に均一なトナー粒子が得られ難くなる。
【0080】
さらに、本発明においては、トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、数平均分子量(Mn)が、好ましくは8,200〜700,000、より好ましくは8,300〜500,000であることが良い。
【0081】
トナーの数平均分子量(Mn)が8,200未満の場合には、トナーの保存安定性に欠け、流動性が悪化する傾向にあり、トナーの数平均分子量(Mn)が700,000を超える場合には、トナーの製造安定性が不安定となり、均一なトナー粒子が得られ難くなり、トナーの摩擦帯電性に影響を与える。
【0082】
さらに、分子量分布の幅を示すMw/Mnは、好ましく4〜15、より好ましくは5〜13であることが良い。
【0083】
Mw/Mnが4未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する傾向にあり、Mw/Mnが15を超える場合には、バインダー成分の溶融特性が緩慢となることから、特にカラートナーとして用いる場合に、充分に発色させる為に必要なシャープメルト性が損なわれ、忠実な色再現性が得られ難く、他の色のカラートナーとの混色性も低下する。
【0084】
本発明において、トナーのTHF可溶成分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムの分子量分布は以下の条件で測定される。
【0085】
予めトナーをソックスレー抽出器を用いてトルエン溶剤で20時間抽出を行い、得られた抽出液をロータリーエバポレーターを用いてトルエンを留去せしめた後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶させ、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.3〜0.5μm、例えばマイショリディスクh−25−2東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンスジャパン社製が好ましく利用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなる様に調製する。
【0086】
GPC測定装置において、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いは昭和電工社製の分子量が102 〜107 程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,808Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(Hx1),G2000H(Hx1),G3000H(Hx1),G4000H(Hx1),G5000H(Hx1),G6000H(Hx1),G7000H(Hx1),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0087】
上記の方法で得られたGPCによる分子量分布から、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)、分子量2,000〜5,000の領域の分子量積分値(L)、分子量100,000以上の領域の分子量積分値(M)及び分子量300,000以上の領域の分子量積分値(H)を算出する。
【0088】
さらに上記の方法で得られたGPCによる分子量分布から、分子量2,000〜300,000の領域におけるピークトップの高さ(Hb)と分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの高さ(Ha)との比(Hb/Ha)及び、分子量2,000〜300,000の領域におけるピークトップと分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの間に存在する分子量極小値の高さ(Hc)と分子量1,000〜2,000の領域におけるピークトップの高さ(Ha)との比(Hc/Ha)を以下の方法により算出する。
【0089】
得られた分子量分布の分子量1,000〜2,000未満の領域及び分子量2,000〜3,000,000の領域の各極大値よりベースラインへ向けて垂線を下ろす。分子量2,000〜300,000の領域において最も高いピーク(ピークトップ)から引かれる垂線の長さを、分子量2,000以上の領域におけるピークトップの高さ(Hb)とする。また、分子量1,000〜2,000未満の領域において最も高いピーク(ピークトップ)から引かれる垂線の長さを、分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの高さ(Ha)とする。
【0090】
得られた分子量分布の分子量2,000〜300,000の領域におけるピークトップと分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの間の分子量極小値よりベースラインへ向けて垂線を下ろし、上記領域で最も低い点(最下点)から引かれる垂線の長さを、分子量2,000〜300,000の領域におけるピークトップと分子量1,000〜2,000未満の領域におけるピークトップの間に存在する分子量極小値の高さ(Hc)とする。
【0091】
これらHa、Hb、Hcを用いて、Hb/HaおよびHc/Haを算出した。
【0092】
さらに、本発明においては、トナーの樹脂成分は、トルエン不溶成分(すなわちゲル成分)を含有していることが、定着時に耐オフセット性の向上のために、及び定着溶融時にトナーを変形させやすいという点で好ましい。
【0093】
本発明において、トナーの樹脂成分は、トルエン不溶成分を樹脂成分の重量を基準として、好ましくは、2〜30重量%、より好ましくは、3〜25重量%含有していることが良い。
【0094】
トナーの樹脂成分のトルエン不溶成分の含有量が2重量%未満の場合には、離型性を損ねるため、高温定着時にトナーの流動(流出)してしまうことがあり、トルエン不溶成分の含有量が30重量%を超える場合には、定着溶融時に変形しずらくなり、低温定着性が低下する。
【0095】
本発明において、トナーの樹脂成分におけるトルエン不溶成分の含有量は、上述したGPC測定に用いるソックスレー抽出器を用いてトルエン溶剤でトナーを20時間抽出後の抽出残分の重量から、着色剤及び荷電制御剤の重量を引いた重量をソックスレー抽出前のトナーの重量から着色剤及び荷電制御剤の重量を引いた重量で割って100倍した値である。
【0096】
具体的には、本発明における樹脂成分のトルエン不溶成分の含有量は、具体的には、以下に記す測定法によるものである。
【0097】
試料1gを円筒濾紙(東洋濾紙、No.86R使用)に精秤する。これを1lのトルエンに浸漬し、沸騰状態で20hr抽出する。抽出後の濾紙を乾燥後秤量し、以下の計算式に基づいてトルエン不溶成分を算出する。
【0098】
【外1】
Figure 0003907303
0 :円筒濾紙重量(g)
1 :抽出前の(試料+円筒濾紙)重量(g)
2 :抽出・乾燥後の円筒濾紙重量(g)
試料中に、樹脂成分以外の成分が含まれている場合には、重量W1 及びW2 からそれぞれ樹脂成分以外の成分の重量を引いた重量W1 ′及び重量W2 ′を使用してトルエン不溶成分を算出する。
【0099】
本発明の静電荷像現像用トナーに用いられる離型剤である低軟化点物質としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如きポリメチレンワックス;アミドワックス;高級脂肪酸;長鎖アルコール;エステルワクス;及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられる。これらは低分子量成分が除去されたDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。
【0100】
好ましく用いられるワックスとしては、単素数15〜100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいは、モンタン系誘導体が挙げられる。これらワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0101】
さらに、好ましく用いられるワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又は、その他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素ポリマーの蒸留残分から、あるいは、蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素から、特定の成分を抽出分別したポリメチレンワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。
【0102】
本発明に使用される離型剤は、DSC吸熱曲線において、好ましくは40〜120℃、より好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは、45〜85℃の温度領域に最大吸熱ピークを有することが好ましい。極大吸熱ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなり好ましくない。極大吸熱ピークが120℃を超えると定着温度が高くなり、更に、造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を乱す為、好ましくない。
【0103】
さらに、離型剤の最大吸熱(ピークは、半値幅が好ましくは10℃以内、より好ましくは5℃以内)であるシャープメルト性の低軟化点物質が良い。
【0104】
本発明において、離型剤のDSC測定は、ASTM D3418−8に準拠して行う。
【0105】
具体的には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用い、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い対照用に空パンをセットし、温度30℃〜200℃まで昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0106】
特に、離型剤としては、炭素数15〜45個の長鎖アルキルアルコールと炭素数15〜45個の長鎖アルキルカルボン酸とのエステル化合物を主成分とするエステルワックスがOHP用シートでの透明性と定着時の低温定着性及び耐高温オフセット性の点から好ましい。
【0107】
本発明において、離型剤の含有量は、トナーの結着樹脂100重量部に対し、好ましくは3〜40重量部、より好ましくは5〜35重量部であることが、耐オフセット性及びトナー製造時の安定性の点で良い。
【0108】
トナーの離型剤の含有量が3重量部未満の場合には、充分な高温オフセット性が得られ難く、さらに記録材の両面への画像定着時に2回目(裏面)の定着時に1回目(表面)の画像のオフセットが生じることがある。離型剤の含有量が40重量部を超える場合には、トナーの製造時に粉砕法でトナー粒子を製造する場合には、トナー製造装置内へのトナー成分の融着が生じ易く、重合法でトナー粒子を製造する場合には、造粒時に造粒性が低下すると共に、トナー粒子同士の合一が生じ易い。
【0109】
離型剤は耐久性の観点から、トナー粒子内部に内包化されていることが好ましい。離型剤を内包せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要重合性単量体より離型剤の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は重量性単量体を添加せしめることで、離型剤のコア表面を外殻樹脂のシェルで被覆したコア/シェル構造を有するトナー粒子を得ることができる。
【0110】
トナー粒子のコア/シェル構造を確認する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を充分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー粒子の断層形態を観察する。本発明においては、用いる離型剤と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため、四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。
【0111】
本発明のトナーは、重合性単量体組成物を重合することによりトナー粒子を製造する重合法によって得られる重合トナーであることが好ましい。重合トナーは、粉砕トナー製造時の溶融混練、粉砕といった工程で生じる、高分子量成分の分子鎖の切断や粉砕性等の問題がなく、本発明の特徴である各成分の割合をコントロールすることが容易な為である。
【0112】
重合法でトナー粒子を製造する場合には、トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、水系媒体中に添加する難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法;水系媒体中での造粒時に用いる機械的装置条件、例えばローターの周速・パス回数・攪拌羽根形状の如き攪拌条件や容器形状;水溶液中での固形分濃度を制御すること;により、適宜コントロールすることが可能である。
【0113】
本発明に用いられる重合性単量体としては、スチレン、o(m−、p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチレンスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。
【0114】
これらの重合性単量体は、単独又は、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版−P139〜192(JohnWiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が40〜80℃を示す様に単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、理論ガラス転移温度が80℃を超える場合には定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0115】
本発明において、重合法によってコア/シェル構造を有するトナー粒子を製造する場合には、極性樹脂を添加せしめることが好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレン(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、重合性単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。
【0116】
本発明においては、トナー粒子の表面にさらに最外殻樹脂層を設けても良い。該最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性のさらなる向上のためシェルを構成する外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設定されること、及び定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。該最外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
【0117】
該最外殻樹脂層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが例えば以下のような方法が挙げられる。
【0118】
1.重合反応後半、または終了、反応系中に必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤等を溶解、分散したモノマーを添加し重合粒子に吸着させ、重合開始剤を添加し重合を行う方法。
【0119】
2.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を反応系中に添加し、重合粒子表面に凝集、必要に応じて熱等により固着させる方法。
【0120】
3.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
【0121】
極性樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0122】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアンの有彩色着色剤を用い黒色に色調されたものが利用される。
【0123】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180が好適に用いられる。
【0124】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾール化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0125】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0126】
これらの着色剤は、単独又は混合し、更には固溶体の状態で用いることができる。
【0127】
本発明の着色剤は、カラートナーの場合、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性及びトナー粒子中への分散性の点を考慮して選択される。該着色剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対し好ましくは1〜20重量部添加して用いられる。
【0128】
黒色の着色剤としては磁性体を用いた場合には、他の着色剤を含有する場合と異なり結着樹脂100重量部に対し好ましくは40〜150重量部添加して用いられる。
【0129】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、カラートナーとする場合は、特に無色でトナーの帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に、重合法により得られるトナーの場合、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。
【0130】
具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸、それらの誘導体の金属化合物、スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレンが利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が利用できる。
【0131】
該荷電制御剤は結着樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部が好ましい。
しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではない。例えば、ニ成分系現像法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、一成分系現像方法を用いた場合においては、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0132】
本発明で使用される重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチルニトリルの如きアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロキシペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。
【0133】
該重合開始剤の添加量は、本発明の目的とする成分比により変化するが一般的には重合性単量体に対し0.5〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%であることが良い。開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
【0134】
本発明のトナーは、例えば、開始剤の量を低減することで連鎖移動剤として働く開始剤を減らし、、分子量300,000以上の領域の樹脂成分を積極的に合成すると共に、高分子成長反応が長時間持続するため分子量2,000〜5,000の重合体がほとんど成長しないことが確認されている反応系に、分子量2,000〜5,000の間にトップピークを持つ重合体を造粒前に単量体組成物に適量添加することにより得ることができる。また、例えば、40℃以上、より好ましくは50〜90℃の温度において一定時間重合を行い重合反応前半に高分子量体を合成せしめた後、緩やかな温度勾配で昇温することによって重合反応後半に最適な低分子量体を合成せしめることにより得ることができる。
【0135】
いずれの場合にも重合反応時の水系媒体中の溶有酸素濃度が好ましくは、0.1〜0.8mg/lとなるように厳密にコントロールすることが良い。この溶有酸素濃度のコントロールは、水系媒体中に窒素をバブリングすることにより行うことができる。
【0136】
本発明においては、トナーの樹脂成分の分子量分布を制御するため公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤を更に添加し用いることも好ましい。
【0137】
本発明のトナーを得るには懸濁重合を利用する場合には、用いる分散剤としては、無機系化合物及び有機系化合物のいずれを用いることも可能である。
【0138】
無機系化合物としては、例えば、リン酸カルシウム塩、リン酸マグネシウム塩、リン酸アルミニウム塩、リン酸亜鉛塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライトが挙げられる。
【0139】
有機系化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。
【0140】
これら分散剤は、重合性単量体組成物100重量部に対して好ましくは0.2〜10重量部を使用することが良い。
【0141】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かな均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速攪拌下にて該無機化合物を生成させて得ることもできる。
【0142】
例えば、リン酸カルシウム塩の場合、高速攪拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることができる。
【0143】
これら分散剤に、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
【0144】
本発明において、重合トナーの製造方法としては、重合性単量体中に離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤及びその他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機の如き混合機によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中で、ホモミキサーの如き分散機により分散せしめる。単量体組成物からなる液滴が所望のトナー粒子のサイズが得られた段階で、造粒を停止する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。本発明においては、分子量分布のコントロールの目的で、重合反応後半に昇温しても良く、更に、未反応の重合性単量体、副生成物を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100重量部に対して水300〜3,000重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0145】
本発明のトナーを製造するには、上記の重合法の他に、結着樹脂,離型剤,着色剤,荷電制御剤及びその他の添加剤を加圧ニーダーやエクストルーダー又はメディア分散機の如き分散機を用い均一に分散せしめた後、機械的粉砕機により又はジェット気流下でターゲットに衝突させる衝突式粉砕機により、所望のトナー粒径に微粉砕化せしめた後、更に分級工程を経て粒度分布をシャープ化せしめトナー化する所謂粉砕法により得ることができる。
【0146】
各種トナー特性付与を目的としてトナー粒子に外添される外添剤としては、トナーの耐久性の点から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の平均粒径であることが好ましい。この添加剤の平均粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその個数平均粒径を意味する。
【0147】
外添剤としては、例えば以下のようなものが用いられる。
【0148】
例えば金属化合物(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛)、窒化物(窒化ケイ素)、炭化物(炭化ケイ素)、金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウム)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム)、カーボンブラック及びシリカが挙げられる。
【0149】
これら外添剤は、トナー粒子100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部が良い。これら外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。外添剤は、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0150】
本発明において、トナー粒子は、重量平均粒径(D4 )が、好ましくは4〜10μm、より好ましくは5〜8μmであることが、高画質化を達成するためのより微小な潜像ドットを忠実に再現できる点で良い。トナー粒子の重量平均粒径(D4 )が4μm未満の場合には、転写効率が低下し、感光体表面での転写残トナーが多く発生し、画像の不均一ムラが生じ易くなったり、感光体表面へのトナー融着が発生し易くなり、トナー粒子の重量平均粒径(D4 )が10μmを越える場合には、微小ドットの再像性が低下し、画像品質が低下することに加えて各種部材へのトナー係数による融着が生じ易くなる。
【0151】
トナー粒子の重量平均粒径はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いる測定する。本発明においては、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電界液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電界水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。
試料を懸濁した電界液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い前記コールターカインターTA−II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4 :各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)を求めた。
【0152】
本発明の上述したトナーは、一成分系現像剤として用いることも、トナーとキャリア粒子とを混合して二成分系現像剤として用いることも可能である。
【0153】
二成分系現像剤のキャリア粒子としては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き磁性金属、それらの合金、それらの酸化物及びフェライトが使用できる。その製造方法として特別な制約はない。
【0154】
更に、帯電調整等の目的で上記キャリア粒子の表面を樹脂を有する被覆材で被覆することも好ましい。その方法としては、樹脂を有する被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法又は単に粉体で混合する方法の如き従来公知の方法がいずれも適用できるが、被覆層の安定の為には、被覆材を溶剤中に溶解して塗布する方法の方が好ましい。
【0155】
上記キャリアの表面への被覆材としては、トナー材料により異なるが、例えば、アミノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、或いはそれらの樹脂とスチレン系樹脂との共重合体が好適である。
【0156】
負帯電性の被覆材を形成するための樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデンが帯電系列において負側に位置し、好適であるが、必ずしもこれに制約されない。これら化合物の被覆量は、キャリアの帯電付与特性が満足する様に適宜決定すれば良いが、一般には総量でキャリアに対し好ましくは0.1〜30重量%より好ましくは0.3〜20重量%であることが良い。
【0157】
本発明に用いられるキャリアの材質としては、98%以上のCu−Zn−Fe(組成比〔5〜20〕:〔5〜20〕:〔30〜80〕の組成からなるフェライト粒子等が代表的なものであるが、その性能を損なうものでなければ何ら制約のあるものではない。さらに結着樹脂,金属酸化物,磁性金属酸化物から構成される樹脂キャリアの如き形態のものであっても構わない。
【0158】
これらキャリアの平均粒径は好ましくは35〜65μm、より好ましくは40〜60μmであることが良い。更に、体積分布で粒径26μm以下の粒子の含有量が2〜6%であり、粒径35〜43μmの粒子の含有量が5%〜25%であり、粒径74μm以上の粒子の含有量が2%以下である時に良好な画像を形成することができる。
【0159】
上述のキャリアとトナー粒子の混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として2〜9重量%、好ましくは3〜8重量%にすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2重量%未満では画像濃度が低く実用不可となり、9重量%を超えるとカブリや機内飛散が増加し、現像剤の耐用寿命が短くなる。
【0160】
キャリアの平均粒径の測定は、市販の乾式粒度分布測定装置を用いて測定することができ、具体的には、レーザ回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子社製)に乾式分散装置RODOS(日本電子社製)を装備し、分散圧3.0barの条件下で各サンプルについて3回の測定を行い、体積分布に基づく50%粒径の平均値を平均粒径とする。
【0161】
本発明のトナーを用いた画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0162】
図7は、本発明の画像形成方法を実施可能な画像形成装置の概略図を示す。
【0163】
画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が潜像、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
【0164】
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について図8に示す第1画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
【0165】
第1の画像形成ユニットPaは、潜像保持体としての電子写真感光体ドラム1aを具備し、この感光体ドラム1aは矢印a方向へ回転移動される。2aは帯電手段としての一次帯電器であり、感光体ドラム1aと接触の帯電ローラーが用いられている。17aは、一次帯電器2aにより表面が均一に帯電されている感光体ドラム1aに静電潜像を形成するための潜像形成手段としてのレーザ光を回転することによって走査するポリゴンミラーである。3aは、感光体ドラム1a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー画像を形成するための現像手段としての現像器であり各色のカラートナーを保持している。4aは、感光体ドラム1aの表面に形成されたカラートナー画像をベット状の記録材担持体8によって搬送されて来る転写材としての記録材6の表面に転写するための転写手段としての転写ブレードであり、この転写ブレード4aは、記録材担持体8の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
【0166】
21aは感光体ドラム1aの表面を除電するための除電手段としてのイレース露光器である。
【0167】
この第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電器2aによって感光体ドラム1aの感光体を均一に一次帯電した後、潜像形成手段17aにより感光体に静電潜像を形成し、現像器3aで静電潜像をカラートナーを用いて現像し、この現像されたトナー画像を第1の転写部(感光体と記録材の当接位置)で記録材6を担持搬送するベルト状の記録材担持体8の裏面側に当接する転写ブレード4aから転写バイアスを印加することによって転写材6の表面に転写する。
【0168】
感光体上に存在するカラートナーは、感光体表面に当接するクリーニングブレードの如きクリーニング手段によって感光体上から除去することも可能であるが、現像時に現像手段によって回収するものである。従って、転写残トナーを有する感光体は、イレース露光器21aによって除電され、再度、上記画像形成プロセスが行われる。
【0169】
画像形成装置においては、図7に示すように上記のような第1の画像形成ユニットPaと同様の構成であり、現像器に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにマゼンタトナー、第2の画像形成ユニットPbにシアントナー、第3の画像形成ユニットPcにイエロートナー及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行われる。この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一記録材上に一回の記録材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器14によって記録材担持体8上から記録材6が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着器7に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0170】
定着器7は、一対の定着ローラー71と加圧ローラー72を有し、定着ローラー71及び加圧ローラー72は、いずれも内部に加熱手段75及び76を有している。73、74は各定着ローラー上の汚れを除去するウェップであり、77はシリコーンオイルの如き離型性オイル78を定着ローラー71の表面に塗布するためのオイル塗布手段としての塗布ローラーである。
【0171】
記録材6上に転写された未定着のカラートナー画像は、この定着器7の定着ローラー71と加圧ローラー72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により記録材6上に定着される。
【0172】
尚、図7において、記録材担持体8は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、10の駆動ローラーによって矢印e方向に移動するものである。9は、転写ベルトクリーニング装置であり、11はベルト従動ローラーであり、12は、ベルト除電器である。13は記録材ホルダー60内の記録材6を記録材担持体8に搬送するための一対のレジストローラー13である。17は、ポリゴンミラーであり、図示しない光源装置から発せられたレーザ光をこのポリゴンミラーによって走査し、反射ミラーによって光束を変向した走査光を感光体ドラムの母線上に集光するfθレンズを介して画像信号に応じた潜像の形成を行う。
【0173】
本発明においては、感光体を一次帯電するための帯電手段としては、ローラー、ブレードまたは磁気ブラシの如き感光体に接触して帯電を行う接触帯電部材を用いることが帯電時のオゾンの発生量を制御でき好ましいがコロナ帯電器の如き感光体に非接触で帯電を行う非接触帯電部を用いることも可能である。
【0174】
転写手段としては、記録材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えてローラー状の転写ローラーの如き記録材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
【0175】
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている記録材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。
【0176】
しかしながら、転写バイアス時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることがより好ましい。
【0177】
上記の画像形成装置においては、中間転写体を用いず潜像保持体上に形成されたトナー画像を直接記録材に転写するタイプの画像形成方法を採用するものである。
【0178】
次に、潜像保持体上に形成されたトナー画像を中間転写体に第1の転写を行い、中間転写体上に転写されたトナー画像を記録材に第2の転写を行う画像形成方法について、図9に示す画像形成装置を用いて説明する。
【0179】
図9において、潜像保持体としての感光体ドラム141に対抗し接触回転する帯電ローラー142により感光体ドラム141上に表面電位を持たせ露光手段143により静電潜像を形成する。静電潜像は現像器144,145,146,147によりマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーの4色のトナーによって、現像されトナー画像が形成される。該トナー画像は一色ごとに中間転写体148上に転写され、複数回繰り返されることにより、多重トナー像が形成される。
【0180】
中間転写体148はドラム状のものが用いられ、外周面に保持部材を張設したもの、基材上に導電付与部材、例えばカーボンブラック,酸化亜鉛,酸化錫,炭化珪素又は酸化チタン等を十分分散させた弾性層(例えばニトリルブタジエンラバー)を有するものが用いられる。ベルト状の中間転写体を用いても良い。
【0181】
中間転写体148は硬度が10〜50度(JIS K−6301)の弾性層150から構成されることや、転写ベルトの場合では記録材への第2の転写部でこの硬度を有する弾性層150を持つ支持部材155で構成されていることが好ましい。
【0182】
感光体ドラム141から中間転写体148への転写は、電源149より中間転写体148の支持部材としての芯金155上にバイアスを付与することで転写電流が得られトナー画像の転写が行われる。保持部材、ベルトの背面からのコロナ放電やローラー帯電を利用しても良い。
【0183】
中間転写体148上の多重トナー画像は、転写手段151により記録材S上に一括転写される。転写手段はコロナ帯電器や転写ローラー、転写ベルトを用いた接触静電転写手段が用いられる。
【0184】
トナー画像を有する記録材Sは、加熱体156を内部に有する定着部材としての定着ローラー157とこの定着ローラー157と圧接する加圧ローラー158とを有する加熱定着装置の定着ローラー157と加圧ローラー158との当接ニップ部を、記録材Sが通過することにより、記録材Sにトナー画像の定着が行われる。
【0185】
次に本発明に使用可能な現像器の構成について図面を用いて詳細に説明する。
【0186】
本発明において、現像領域で感光体表面に現像剤担持体に担持される現像剤を接触させて現像を行う接触現像方式と、現像領域で感光体表面に現像剤担持体に担持されている現像剤を感光体と現像剤層が非接触となるような間隔に設定した現像剤担持体から飛翔させて現像を行う非接触ジャンピング現像方式のいずれを用いることも可能である。
【0187】
接触現像方式としては、トナー及びキャリアを有する二成分系現像剤を用いる現像方法と一成分系現像剤を用いる現像方法が挙げられる。
【0188】
接触二成分系現像方法としては、トナーと磁性キャリアとを混合した二成分系現像剤を例えば図10に示すような現像装置120を用い、現像を行うことができる。
【0189】
現像装置120は、二成分系現像剤128を収納する現像容器126、現像容器126に収納されている二成分系現像剤128を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体としての現像スリーブ121、現像スリーブ121上に形成されるトナー層の層厚を規制するための現像剤層厚規制手段としての現像ブレード127を有している。
【0190】
現像スリーブ121は、非磁性のスリーブ基体122内にマグネット123を内包している。
【0191】
現像容器126の内部は、隔壁130によって現像室(第1室)R1 と攪拌室(第2室)R2 とに区画され、攪拌室R2 の上方には隔壁130を隔てトナー貯蔵室R3 が形成されている。現像室R1 及び攪拌室R2 内には現像剤128が収容されており、トナー貯蔵室R3 内には補給用トナー(非磁性トナー)129が収容されている。なお、トナー貯蔵室R3 には補給口131が設けられ、補給口131を経て消費されたトナーに見合った量の補給用トナー129が攪拌室R2 内に落下補給される。
【0192】
現像室R1 内には搬送スクリュー124が設けられており、この搬送スクリュー124の回転駆動によって現像室R1 内の現像剤128は、現像スリーブ121の長手方向に向けて搬送される。同様に、攪拌室R2 内には搬送スクリュー125が設けられ、搬送スクリュー125の回転によって、補給口131か攪拌室R2 内に落下したトナーを現像スリーブ121の長手方向に沿って搬送する。
【0193】
現像剤128は、非磁性トナーと磁性キャリアとを有した二成分系現像剤である。
【0194】
現像容器126の感光体ドラム119に近接する部位には開口部が設けられ、該開口部から現像スリーブ121が外部に吐出し、現像スリーブ121と感光体ドラム119との間には間隙が設けられている。非磁性材にて形成される現像スリーブ121には、バイアスを印加するためのバイアス印加手段132が配置されている。
【0195】
スリーブ基体122に固定された磁界発生手段としてのマグネットローラー、即ち磁石123は、上述したように、現像磁極S1 とその下流に位置する磁極N3 と、現像剤128を搬送するための磁極N2 、S2 、N1 とを有する。磁石123は、現像磁極S1 が感光体ドラム119に対抗するようにスリーブ基体122内に配置されている。現像磁極S1 は、現像スリーブ121と感光体ドラム119との間の現像部の近傍に磁界を形成し、該磁界によって磁気ブラシが形成される。
【0196】
現像スリーブ121の上方に配置され、現像スリーブ121上の現像剤128の層厚を規制する規制ブレード127は、アルミニウム、SUS316の如き非磁性材料で作製される。非磁性ブレード127の端部と現像スリーブ121面との距離Aは300〜1000μm、好ましくは400〜900μmである。この距離が300μmより小さいと、磁性キャリアがこの間に詰まり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行うのに必要な現像剤を塗布することができず濃度の薄いムラの多い現像画像しか得られないという問題点がある。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためには、400μm以上が好ましい。1000μmより大きいと現像スリーブ121上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行えず、感光体ドラム119への磁性キャリア粒子の付着が多くなると共に現像剤の循環、非磁性の現像ブレード127による現像規制が弱まりトナーのトリボが不足しカブリやすくなるという問題点がある。
【0197】
この二成分系現像装置120の現像は、交番電界を印加しつつ、トナーと磁性キャリアとにより構成される磁気ブラシ潜像担持体(例えば、感光体ドラム)119に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)121と感光体ドラム119との距離(S−D間距離)Bは100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁石S1 からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。
【0198】
交番電界のピーク間の電圧は500〜5000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hz、好ましくは500〜3000Hzであり、それぞれプロセスに適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、或いはDuty比を変えた波形から選択して用いることができる。印加電圧が、500Vより低いと十分な画像濃度がえられにくく、非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。5000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、静電像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
【0199】
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるために感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが150V以下、より好ましくは100V以下が良い。
【0200】
コントラスト電位としては、十分画像濃度ができるように200V〜500Vが好ましく用いられる。
【0201】
周波数が500Hzより低いとプロセススピードにも関係するが、キャリアへの電荷注入が起こるためキャリア付着、あるいは潜像を乱すことで画質を低下させる場合がある。10000Hzを超えると電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
【0202】
十分画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために現像スリーブ121上の磁気ブラシの感光体ドラム119との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像ニップCが3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと、現像剤のパッキングが起き機械の動作を留めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑えることが困難になる。現像ニップの調整方法としては、現像剤規制部材127と現像スリーブ121との距離Aを調整したり、現像スリーブ121と感光体ドラム119との距離Bを調整することでニップ幅を適宜調整する。
【0203】
尚、感光体上の転写残トナーは、上記の現像器のトナーとキャリアとからなる磁気ブラシによって、現像時に回収される。
【0204】
接触一成分現像方法としては、非磁性トナーを用いて、例えば図11に示すような現像装置80を用い現像することが可能である。
【0205】
現像装置80は、磁性又は非磁性のトナーを有する一成分現像剤88を収容する現像容器81、現像容器81に収納されている一成分現像剤88を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体82、現像剤担持体上に現像剤を供給するための供給ローラー85、現像剤担持体上の現像剤層厚を規制するための現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード86、現像容器81内の現像剤88を攪拌するための攪拌部材87を有している。
【0206】
現像剤担持体上82としては、ローラー基体83上に、発泡シリコーンゴムの如き弾性を有するゴム又は樹脂の如き弾性部材によって形成された弾性層84を有する弾性ローラーを用いることが好ましい。
【0207】
この弾性ローラー82は、潜像保持体としての感光体ドラム89の表面に圧接して、弾性ローラー表面に塗布されている一成分系現像剤88により感光体に形成されている静電潜像を現像すると共に、転写後に感光体上に存在する不要な一成分現像剤88を回収する。
【0208】
本発明において、現像剤担持体は実質的に感光体表面と接触している。これは、現像剤担持体から一成分系現像剤を除いたときに現像剤担持体が感光体と接触しているということを意味する。このとき、現像剤を介して、感光体と現像剤担持体との間に働く電界によってエッジ効果のない画像が得られると同時にクリーニングが行われる。現像剤担持体としての弾性ローラー表面或いは、表面近傍が電位を持ち感光体表面と弾性ローラー表面間で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、又は導電性ローラーの表面層に薄層の誘電層を設ける方法も利用できる。さらには、導電性ローラー上に感光体表面と接触する外表面側の面を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブ或いは、絶縁性スリーブで感光体と接触しない内面側の面に導電層を設けた構成も可能である。
【0209】
この一成分系現像剤を担持する弾性ローラーは、感光体ドラムと同方向に回転しても良いし、逆方向に回転しても良い。その回転が同方向である場合、感光体ドラムの周速に対して、周速比で100%より大きいことが好ましい。100%以下であるとラインの鮮明性が悪いなどの画像品質に問題を生じやすい。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給される現像剤の量は多く、静電潜像に対し現像剤の着脱頻度が多くなり、不要な部分の現像剤は掻き落とされ、必要な部分には現像剤が付与されるという繰り返しにより、静電潜像に忠実な画像が得られる。さらに好ましくは周速比は100%以上が良い。
【0210】
現像剤層厚規制部材186は、現像剤担持体182の表面に弾性力で圧接するものであれば、弾性ブレードに限られることなく、弾性ローラーを用いることも可能である。
【0211】
弾性ブレード、弾性ローラーとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体;ステンレス、鋼の如き金属弾性体が使用できる。さらに、それらの複合体であっても使用できる。
【0212】
弾性ブレードの場合には、弾性ブレード上辺部側である基部は現像剤容器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性に抗して現像スリーブの順方向或いは逆方向にたわめ状態にしてブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリーブ表面に適度に弾性押圧をもって当接させる。
【0213】
供給ローラー85はポリウレタンフォームの如き発泡材より成っており、現像剤担持体に対して、順又は逆方向に0でない相対速度をもって回転し、一成分系現像剤の供給とともに、現像剤担持体上の現像後の現像剤(未現像現像剤)の剥ぎ取りも行っている。
【0214】
現像領域において、現像剤担持体上の一成分系現像剤によって感光体の静電潜像を現像する際には、現像剤担持体と感光体ドラムとの間に直接及び/又は交流の現像バイアスを印加して現像することが好ましい。
【0215】
次に非接触ジャンピング現像方式について説明する。
【0216】
非接触ジャンピング現像方式としては、磁性トナー又は非磁性トナーを有する一成分系現像剤を用いる現像方法が挙げられる。
【0217】
ここでは、非磁性トナーを有する一成分系非磁性現像剤を用いる現像方法を図12に示す概略構成図に基づいて説明する。
【0218】
現像装置170は、非磁性トナーを有する非磁性一成分系現像剤176を収容する現像容器171、現像容器171に収容されている一成分系非磁性現像剤176を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体172、現像剤担持体上に一成分系非磁性現像剤を供給するための供給ローラー173、現像剤担持体上の現像剤層厚を規制するための現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード174、現像容器171内の一成分系非磁性現像剤176を撹拌するための撹拌部材175を有している。
【0219】
169は静電潜像保持体であり、潜像形成は図示しない電子写真プロセス手段又は静電記録手段によりなされる。172は現像剤担持体としての現像スリーブであり、アルミニウム或いはステンレスからなる非磁性スリーブからなる。
【0220】
現像スリーブは、アルミニウム、ステンレスの粗管をそのまま用いてもよいが、好ましくはその表面をガラスビーズを吹き付けて均一に荒らしたものや、鏡面処理したもの、或いは樹脂でコートしたものが良い。
【0221】
一成分系非磁性現像剤176は現像容器171に貯蔵されており、供給ローラー173によって現像剤担持体172上へ供給される。供給ローラー173はポリウレタンフォームの如き発泡材より成っており、現像剤担持体に対して、順又は逆方向に0でない相対速度をもって回転し、現像剤の供給とともに、現像剤担持体172上の現像後の現像剤(未現像現像剤)の剥ぎ取りも行っている。現像剤担持体172上に供給された一成分系非磁性現像剤は現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード174によって均一且つ薄層に塗布される。
【0222】
弾性塗布ブレードと現像剤担持体との当接圧力は、現像スリーブ母線方向の線圧として0.3〜25kg/m、好ましくは0.5〜12kg/mが有効である。当接圧力が0.3kg/mより小さい場合、一成分系非磁性現像剤の均一塗布が困難となり、一成分系非磁性現像剤の帯電量分布がブロードとなりカブリや飛散の原因となる。当接圧力が25kg/mを超えると、一成分系非磁性現像剤に大きな圧力がかかり、一成分系非磁性現像剤が劣化するため、一成分系非磁性現像剤の凝集が発生するなど好ましくない。また、現像剤担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。即ち、当接圧力を0.3〜25kg/mに調整することで、本発明のトナーを用いた一成分系非磁性現像剤の凝集を効果的にほぐすことが可能になり、さらに、一成分系非磁性現像剤の帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。
【0223】
現像剤層厚規制部材は、弾性ブレード、弾性ローラーを用いることができ、これらは所望の極性に現像剤を帯電するのに適した摩擦帯電系列の材質のものを用いることが好ましい。
【0224】
本発明において、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴムが好適である。さらに、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、メラミン、メラミン架橋ナイロン、フェノール樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂の如き有機樹脂層を設けても良い。導電性ゴム、導電性樹脂を使用し、さらに金属酸化物、カーボンブラック、無機ウイスカー、無機繊維の如きフィラーや荷電制御剤をブレードのゴム中・樹脂中に分散することにより適度の導電性、帯電付与性を与え、一成分系非磁性現像剤を適度に帯電させることができ好ましい。
【0225】
この非磁性一成分現像方法において、ブレードにより現像スリーブ上に一成分系非磁性現像剤を薄層コートする系においては、十分な画像濃度を得るために、現像スリーブ上の一成分系非磁性現像剤層の厚さを現像スリーブと潜像保持体との対抗空隙長βよりも小さくし、この空隙に交番電場を印加することが好ましい。即ち図10に示すバイアス電源177により、現像スリーブ172と潜像保持体169との間に交番電場又は交番電場に直流電場を重畳した現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ上から潜像保持体への一成分系非磁性現像剤の移動を容易にし、更に良質の画像を得ることができる。
【0226】
上記の画像形成方法で用いた潜像保持体表面を一次帯電するための接触帯電部材を用いた帯電工程について、以下詳細に説明する。
【0227】
本発明において接触帯電により保持体表面を一次帯電する為には、表面が108 〜1015Ωcmの体積抵抗値を有する電荷注入層を有する感光体に対して、導体の回転体の基体に接触させた動的抵抗測定方法における体積抵抗値が、|V−VD|/dか|V|/dのどちらか高い方の電界をV1(V/cm)とした時、20〜V1(V/cm)の印加電界範囲中において、104 Ωcm〜1010Ωcmの範囲中である接触帯電部材を当接させて電圧を印加して帯電を行う。ここで、Vは接触帯電部材に印加する印加電圧、VDは感光体と接触帯電部材のニップ部に突入する際の感光体上の電位、dは接触帯電部材の電圧印加部分と感光体との距離である。
【0228】
本発明に係わる上記帯電部材と感光体を用いる構成をとることによって、帯電開始電圧Vhが小さく、感光体帯電電位を、帯電部材に印加する電圧のほとんど90%以上までに帯電させることが可能となる。例えば、帯電部材に絶対値で100〜2000Vの直流電圧を印加した時、電荷注入層を有する電子写真感光体の帯電電位を印加電圧の80%以上、さらには90%以上にすることができる。これに対し、従来の放電を利用した帯電によって得られる感光体の帯電電位は、印加電圧が640V以下ではほとんど0Vであり、640V以上では印加電圧から640Vを引いた値の帯電電位程度しか得られなかった。
【0229】
接触帯電部材の電圧印加部分と感光体との距離(d)は、300μm〜800μmであることが良好な帯電性が得られる点で好ましい。
【0230】
この様に本発明では、ピンホールリークや帯電部材の感光体への付着を防止する為に中抵抗の接触帯電部材を用いながら、感光体への電荷注入帯電効率を向上させる手段として、感光体への電荷注入を助ける為の電荷注入層を感光体表面に設ける構成とすることが好ましい。
【0231】
電荷注入層としては、絶縁性のバインダーに光透過性でかつ導電性の粒子を適量分散させて中抵抗とした材料で構成するもの、絶縁性のバインダーに光透過性の高いイオン導電性を持つ樹脂を混合もしくは共重合させて構成するもの、または中抵抗で光導電性のある樹脂単体で構成するものが考えられるが、これらで構成された電荷注入層がいずれも108 〜1015Ωcm程度の抵抗を持つことが好ましい。
【0232】
以上の様な構成をとることによって、従来は接触帯電部材の103 Ωcmの抵抗値以下でなければ起きなかった電荷注入による帯電と、逆に104 Ωcm以上でないと防止することができなかったピンホールリークの防止を両立することができる。
【0233】
本発明は従来では低抵抗の接触帯電部材を用いないと生じなかった電荷注入による良好な帯電性と、低抵抗の接触帯電部材では防止することのできなかった感光体上のピンホールによるリークという特性を同時に満足し、十分な電位収束性を得る為に、電荷注入層を有した感光体に接触して、注入により帯電を行う接触帯電部材の抵抗値が、上記20〜V1(V/cm)の印加電界範囲中において、104 Ωcm〜1010Ωcmの範囲中にある接触帯電部材を用いることが好ましい。尚、測定環境は23℃/65%の環境下で行った。
【0234】
帯電部材の抵抗値は一般的に、帯電部材に印加される印加電界によって変動し、特に高い印加電界では抵抗が低く、低い印加電界では抵抗が高くなるという挙動を示し、印加電界の依存性が認められる。
【0235】
該感光体に電荷を注入することにより帯電を行う場合において、該感光体と帯電部材のニップ部に、該感光体の帯電される面が突入(帯電部材からみて上流側)した場合、突入前の感光体の帯電電位と帯電部材に印加される電圧の電圧差は大きく、その為に帯電部材に係る印加電界は高くなる。しかし感光体がニップ部を通過することにより、感光体に電荷が注入され、ニップ部内において帯電が徐々に行われることにより、感光体上の電位が、帯電部材に印加される印加電圧に徐々に近づき、電圧印加部分に印加される印加電圧と感光体上との電位との差が小さく、差が0Vの方向に近づく為、それだけ帯電部材にかかる印加電界は小さくなる。つまり、感光体を帯電させる工程において帯電部材にかかる印加電界が帯電部材のニップ部の上流側と下流側では異なり、上流側では帯電部材にかかる印加電界は高く、下流側では低いということになる。
【0236】
従って、帯電工程を行う前に前露光などの電荷を除去する工程を経た場合は、帯電部材のニップ部に突入する際の感光体上の電位がほぼ0Vである為、上流側の印加電界はほぼ帯電部材に印加される印加電圧によって決定されるが、その様な電荷を除去する工程を設けない場合は、帯電と転写の印加電圧、極性により、つまり転写後の感光体上の電位と、帯電部材に印加される印加電圧によって決定される。
【0237】
すなわち、感光体上に電荷を注入して帯電を行う場合においては、帯電部材の抵抗値が、ある1点の印加電界において、104 Ωcm〜1010Ωcmの範囲であっても、例えば帯電部材に印加される印加電圧の30%の印加電圧における印加電界0.3×(|V|/d)(V/cm)以下の範囲で1010Ωcmを超える抵抗になってしまうと、帯電部材のニップ部の下流側での注入による帯電が著しく低下してしまい、印加電圧の70%までの帯電は良好であるが、残り30%は電荷の注入性が悪化し、電荷を感光体上に注入しずらくなり、所望の電位まで帯電できず、帯電不良になってしまう。つまり、より低電界印加における抵抗値が感光体への電荷の注入性に大きな影響を及ぼすということである。
【0238】
従って、該接触帯電部材の、帯電部材を導体の回転体の基体に接触させた動的抵抗測定方法における体積抵抗値が、|V−VD|/dか|V|/dのどちらか高い方の電界をV1(V/cm)とした時、20〜V1(V/cm)の印加電界範囲中において、104 Ωcm〜1010Ωcmの範囲中である接触帯電部材を用いることが必要になり、ほぼ感光体上に印加電圧と同等の電位を得ることができる。
【0239】
一方、帯電部材に印加される印加電圧における印加電界で104 Ωcm未満になってしまうと感光体表面に生じたキズ、ピンホール等に対して接触帯電部材から過大なリーク電流が流れ込み、周辺の帯電不良や、ピンホールの拡大、帯電部材の通電破壊が生じる。感光体上のキズやピンホール部は感光体の導電層(金属基体)が表面に露出していることから感光体上の電位は0Vであり、従って帯電部材に係る最大印加電界は帯電部材に印加される印加電圧により決定される。
【0240】
つまり、帯電部材の抵抗値をある1点の印加電界において104 Ωcm〜1010Ωcmの範囲に制御しても、帯電不良、耐圧性が悪いという結果になってしまう。
【0241】
従って、該感光体を帯電させる為に、帯電部材に係る最大電界、つまり帯電部材ニップ部の上流側における感光体電位と帯電部材に印加される印加電圧の電圧差によって決定される印加電界か、前露光工程を設置或いは感光体上に傷等によりピンホールが存在する場合の帯電部材に印加される印加電圧により決定される印加電界のどちらか高い方の印加電界V1(V/cm)とした時、20〜V1(V/cm)の印加電界範囲中において、抵抗値が104 Ω〜1010Ωの範囲になければならないのである。
【0242】
帯電部材と感光体とのニップ幅を広くすればするほど帯電部材と感光体との接触面積が増し、接触時間も増すことから、感光体表面への電荷注入は良好に行われ、帯電が良好に行われる。しかし、ニップ幅を狭くしても十分な電荷注入性を得る為に、帯電部材の抵抗値は、その印加電界の範囲内において、印加電界による抵抗値の最大R1と最小R2とした時、R1/R2≦1000の範囲内であることが好ましい。帯電がニップ内で行われる工程において、急激に抵抗が変化することで、感光体への電荷の注入が追随せず、ニップ部を通過してしまい、十分な帯電が行われない場合がある為である。
【0243】
接触帯電部材に印加される電圧では、AC放電ではトナーの帯電を正規のトナー帯電極性に揃える効果が十分でなく、DC放電ではトナーの帯電は正規のトナー帯電極性に揃うが、トナーの帯電が過剰となる傾向があり現像への悪影響が懸念されるのに対して、本発明では上述のような感光体と接触帯電部材を用いた構成により、転写残余のトナーの帯電を正規のトナー帯電極性に揃え、帯電量も適性に制御されることにより、転写残余のトナーの回収性に優れ、安定した現像の繰り返し特性を有する画像形成方法が可能となった。
【0244】
本発明においては、接触帯電部材の感光体との摩擦帯電極性が感光体の帯電極性と同じであることが好ましい。本発明者らの知見によれば、電荷注入による帯電工程における感光体の帯電電位は、その注入性に接触帯電部材の感光体との摩擦帯電が加算されたものとなる。接触帯電部材の感光体との摩擦帯電極性が感光体の帯電極性と逆であると、感光体電位が摩擦帯電分だけ低下することで、接触帯電部材と感光体表面の間に電位差を生じる。摩擦帯電による感光体電位の低下はほぼ数十Vまでであるが、この電界により接触帯電部材の転写残余トナーの回収性・保持性の低下、接触帯電部材が磁性粒子等からなる場合はこれらの感光体への転移等を引き起こし、ポジゴースト・カブリの画像欠陥の原因となる。
【0245】
本発明においては、接触帯電部材が感光体に対して周速差をもって移動することが好ましい。接触帯電部材の周速表面の移動速度と該感光体表面移動速度が異なる様にすることにより、帯電安定性を長期間にわたり得ながら、感光体の高寿命を保ちつつ、且つ帯電ローラーの高寿命を同時に達成することが可能であり、帯電の高安定化、画像形成システムの高寿命化が達成できる。即ち、接触帯電部材の表面にはトナーが付着し易く、この付着トナーが帯電を阻害する傾向にあり、感光体表面移動速度と接触帯電部材表面移動速度を異ならせることにより、同一感光体表面に対し実質的により多くの接触帯電部材表面を供給できる為に帯電阻害に対し効果を得る。つまり、転写残トナーが帯電部位に来た場合、感光体との付着力の小さいトナーは電界によって帯電部材の方へ移動し、帯電部材表面の抵抗が局所的に変化する為、放電経路が遮断されて、感光体表面に電位がのりにくくなり、その結果帯電不良を発生させるという問題点を効果的に解消する。
【0246】
現像同時クリーニングという観点からは、接触帯電部材と感光体との間の周速差により、感光体表面とトナーの付着部分を物理的に引き剥がし、電界により回収する効率を向上させる効果も期待でき、転写残余のトナーをより高効率に帯電制御して現像での回収性の向上を図ることができる。
【0247】
感光体表面と接触帯電部材表面に速度差を設けると互いの摺擦効果により、感光体表面又は接触帯電部材表面の摩耗あるいは汚染を防止する為に、感光体表面に対する水の接触角が85度以上、好ましくは90度以上の感光体が効果的である。
【0248】
感光体表面移動速度と接触帯電部材表面移動速度を異ならせる場合、好ましくは、感光体とローラーの接触部における、感光体表面移動速度をV、ローラー表面移動速度をvとした時に、v/Vの絶対値が1.1以上つまり、110%以上であると、帯電性において安定した特性を得られ、現像での転写残余のトナーの回収性の向上が見られる。
【0249】
接触帯電部材の形状は、ブレード状、ブラシ状でもよいが、周速差を適性に設定する上では、回転可能なローラー状、ベルト状、ブラシローラー状が有利と考えられる。
【0250】
ローラー状の接触帯電部材としては、材質として、例えば特開平1−211799号公報などに開示があるが、導電性基体として、鉄,銅、ステンレス等の金属、カーボン分散樹脂、金属或いは、金属酸化物分散樹脂が使用できる。
【0251】
弾性ローラーの構成としては、導電性基体上に弾性層、導電層、抵抗層を設けたものが用いられる。
【0252】
弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム、ブチルゴムの如きゴム又はスポンジやスチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢ビサーモプラスチックエラストマーの如きサーモプラスチックエラストマーで形成することができる。
【0253】
導電層としては、体積抵抗率を107 Ωcm以下、好ましくは106 Ωcm以下である。例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂、導電性樹脂が用いられる。具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅、鉄等の蒸着膜、導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、ニッケル、酸化チタン等の導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体ポリメタクリル酸メチル等の樹脂中に分散したものが挙げられる。導電性樹脂としては、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミンが挙げられる。
【0254】
抵抗層は、例えば、体積抵抗率が106 Ωcm〜1012Ωcmの層であり、半導性樹脂、導電性粒子分散絶縁樹脂等を用いることができる。半導性樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン、カゼインの樹脂が用いられる。導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム、酸化チタン等の導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチルの如き絶縁性樹脂中に少量分散したものが挙げられる。
【0255】
本発明の好ましい形態の一つは、接触帯電部材に回転可能なブラシロールを用いるものである。感光体との接触部が微細な繊維であることで、平滑な表面を有するローラーよりも感光体との接触点数が格段に増加し、感光体により均一な帯電電位を与えるうえで有利である。
【0256】
ブラシを形成する繊維集合体として好ましく用いられるものとしては、極細繊維発生型複合繊維からなる集合体、繊維が酸又はアルカリ又は有機溶剤にて化学的処理のなされている集合体、起毛した繊維絡合体、静電植毛体が挙げられる。
【0257】
本発明の中の本質的な帯電機構は、導電性帯電層が感光体表面の電荷注入層に接触することで導電性帯電層から電荷注入層に電荷注入を行うと考えられる。従って、帯電部材として要請される特性は、該電荷注入層表面に十分な密度と、電荷の移動に係る適正な抵抗を持つことである。
【0258】
従って、極細繊維発生型複合繊維を用い繊維密度を上げる方法、繊維の化学的エッチング処理により、繊維数を増加させる方法、繊維絡合体を起毛した部材或いは静電植毛体を用い表面に柔軟な繊維端を持たせる方法により、該電荷注入層への接触頻度を増加させる効果が得られ、一様で十分な帯電を可能とする。つまり、繊維密度をあげる、接触点を増加させる、繊維端が電荷注入層に接触する様な構成が本発明に好適に用いられる。
【0259】
極細繊維発生型複合繊維からなる集合体は、物理的或いは化学的に極細繊維を発生させていることが好ましく、起毛した繊維絡合体は該繊維絡合体が極細繊維発生型複合繊維であることが好ましく、該極細繊維発生型複合繊維は物理的或いは化学的に極細繊維を発生して起毛されていることが更に好ましい。
【0260】
静電植毛体は、その構成繊維が、酸又はアルカリ又は有機溶剤にて化学的処理がなされていることが好ましい。静電植毛体のもうひとつの好ましい形態は、構成繊維が、極細繊維発生型複合繊維であって物理的或いは化学的に極細繊維を発生させている形態である。
【0261】
本発明の好ましい形態の一つは、接触帯電部材に磁性粒子を用いるものである。更に、磁性粒子の体積抵抗値が104 Ωcm〜109 Ωcmである抵抗範囲に制御を施した導電性磁性粒子の形態が好ましい。
【0262】
該磁性粒子の平均粒径は5〜20μmが好ましい。5μmより小さいと、感光体への磁気ブラシの付着が生じやすく、また200μmより大きいと、スリーブ上での磁気ブラシの穂立ちの密度を密にできず、感光体への注入帯電性が悪くなる傾向にある。更に好ましくは10〜100μmであり、この粒径範囲内で、感光体上の転写残余のトナーをより効率的に掻き取り、より効率的に磁気ブラシ内に静電的に取り込み、より確実にトナーの帯電を制御するため一時的に磁気ブラシ内にトナーを保持することができる。更には、磁性粒子の平均粒径は10〜50μmがより好ましい。
【0263】
全体の平均粒径は、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡により、ランダムに100個以上抽出し、水平方向最大弦長をもって体積粒度分布を算出し、その50%平均粒径をもって平均粒径としてもよいし、また、レーザ回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて、0.05μm〜200μmの範囲を32対数分割して測定し、50%平均粒径をもって平均粒径としてもよい。
【0264】
これらの粒径を有する磁性粒子を接触帯電部材に用いれば、感光体との接触点数が格段に増加し、感光体により均一な帯電電位を与えるうえで有利である。更に、磁気ブラシの回転により感光体と直接接する磁性粒子に入れ代わりがあり、磁性粒子表面の汚れ等による電荷注入性の低下を大幅に低減できる点でも有利である。
【0265】
磁性粒子を保持する保持部材と感光体との間隙は0.2〜2mmの範囲が好ましい。0.2mmより小さいと磁性粒子がその間隙を通りにくくなり、スムーズに保持部材上を磁性粒子が搬送されずに帯電不良や、ニップ部に磁性粒子が過剰に溜り、感光体への付着が生じ易くなり、2mmより大きいと感光体と磁性粒子のニップ幅を広く形成し難いので好ましくない。更に好ましくは0.2〜1mm、特に0.3〜0.7mmが好ましい。
【0266】
本発明においては、接触帯電部材が磁性粒子を保持するためのマグネットを有し、該マグネットによって発生する磁界の磁束密度B(T:テスラ)と、該磁束密度B内での前記磁性粒子の最大磁化σB とが以下の関係式を満たすような各値に設定されることが好ましい。
【0267】
B・σB ≧4
上式を満たさない場合、磁性粒子に働く磁気力が小さい為に接触帯電部材の磁性粒子への保磁力が十分ではなく、磁性粒子が感光体に転移して失われる場合がある。
【0268】
本発明に係わる磁性粒子としては、磁気によって穂立ちさせて、この磁気ブラシを感光体に接触させて帯電させる為に、この材質として例えば鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す元素を含む合金或いは化合物、また、酸化処理、還元処理等を行って抵抗値を調整した例えば組成調整したフェライト、水素還元処理したZn−Cuフェライトが用いられる。フェライトの抵抗値を上述のような印加電界以下の範囲において上述の様な範囲内に収めるには、金属の組成を調整することによっても達成され、一般に2価の鉄以外の金属が増すと抵抗は下がり、急激な抵抗低下を起こしやすくなる。
【0269】
本発明に用いられる磁性粒子の摩擦帯電極性は、感光体の帯電極性と逆ではないことが好ましい。前述した様に摩擦帯電分による感光体帯電電位の低下が、磁性粒子の感光体への転移の方向の力となる為、磁性粒子の接触帯電部材へ保持の条件がより厳しくなる。磁性粒子の摩擦帯電性を制御する方法としては、磁性粒子表面コートによることが容易である。
【0270】
本発明に用いられる表面層を有する磁性粒子の形態は、該磁性粒子の表面を蒸着膜や、導電性樹脂膜、導電性顔料分散樹脂膜等でコートしたものである。この表面層は必ずしも該磁性粒子を完全に被覆する必要は無く、本発明の効果が得られる範囲で該磁性粒子が露出していても良い。つまり表面層が不連続に形成されていても良い。
【0271】
生産性、コスト等の観点から導電性顔料分散樹脂膜をコートするのが好ましい。
【0272】
更に、抵抗値の電界依存性を抑制するという観点から、高抵抗の結着樹脂に電子伝導性の導電性顔料を分散した樹脂膜をコートするのが好ましい。
【0273】
当然のことながら、コート後の磁性粒子の抵抗は、上述の範囲に収める必要があり、更に高電界側での急激な抵抗低下、また感光体上の傷の大きさ、深さによるリーク画像発生の許容範囲を広くするという観点から、母体の磁性粒子の抵抗も上述の範囲に収まっていることが好ましい。
【0274】
磁性粒子の被覆用に用いられる結着樹脂としては、スチレン、クロルスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルの如きビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体が挙げられる。特に代表的な結着樹脂としては、導電性微粒子の分散性やコート層としての成膜性、生産性という点等から、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。更にポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドが挙げられる。特にトナー汚染防止という観点から、臨界表面張力の小さい樹脂、例えばポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂を含んでいることがより望ましい。
【0275】
更に、高電界側の抵抗低下や感光体上の傷によるリーク画像防止の許容範囲を広く保つ観点から、磁性粒子にコートする樹脂は耐高電圧性のあるシリコーン樹脂等が好ましい。
【0276】
フッ素樹脂としては、例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフロオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレンと、他のモノマーが共重合した溶媒可溶の共重合体が挙げられる。
【0277】
シリコーン樹脂としては、例えば信越シリコーン社製KR271、KR282、KR311、KR255、KR155(ストレートシリコーンワニス)、KR211、KR212、KR216、KR213、KR217、KR9218(変性用シリコーンワニス)、SA−4、KR206、KR5206(シリコーンアルキッドワニス)、ES1001、ES1001N、ES1002T、ES1004(シリコーンエポキシワニス)、KR9706(シリコーンアクリルワニス)、KR5203、KR5221(シリコーンポリエステルワニス)や東レシリコーン社製のSR2100、SR2101、SR2107、SR2110、SR2108、SR2109、SR2400、SR2410、SR2411、SH805、SH806A、SH840が用いられる。
【0278】
磁性粒子の動的抵抗の測定方法は、図1に示すような装置を用いて測定した。即ち、導電性基体であるアルミドラム92と0.5mmの間隙94を有した磁性粒子保持部材であるマグネット内包スリーブ91に、磁性粒子97をアルミドラムとのニップ93が5mmになるように装着させ、実際に画像形成を行う際の回転速度、回転方向で帯電部材、感光体を回転させ、帯電部材に直流電圧を印加し、その系に流れた電流を測定することにより抵抗を求め、さらに間隙94とニップ93及び磁性粒子とアルミドラムとの接触している幅より動的抵抗を算出した。
【0279】
本発明において、感光体の電荷注入層は金属蒸着膜などの無機の層、或いは導電性微粒子を結着樹脂中に分散させた導電粉樹脂分散層等によって構成され、蒸着膜は蒸着、導電粉樹脂分散膜はディッピング塗工法、スプレー塗工法、ロールコート塗工法、及びビーム塗工法等の適当な塗工法にて塗工することによって形成される。絶縁性のバインダーに光透過性の高いイオン導電性を持つ樹脂を混合もしくは共重合させて構成するもの、又は中抵抗で光導電性のある樹脂単体で構成するものでもよい。導電性微粒子分散膜の場合、導電性微粒子の添加量は結着樹脂100重量部に対して2〜250重量部、より好ましくは2〜190重量部であることが好ましい。2重量部未満の場合には、所望の体積抵抗値を得にくくなり、また、250重量部を超える場合には膜強度が低下してしまい電荷注入層が削りとられ易くなり、感光体の寿命が短くなる傾向になるからであり、また、抵抗が低くなってしまい、潜像電位が流れることによる画像不良を生じ易くなるからである。
【0280】
電荷注入層のバインダーは下層のバインダーと同じとすることも可能であるが、この場合には電荷注入層の塗工時に電荷輸送層の塗工面を乱してしまう可能性がある為、コート法を特に選択する必要がある。
【0281】
本発明においては、電荷注入層が滑材粒子を含有することが好ましい。その理由は、帯電時に感光体と注入帯電部材の摩擦が低減される為に帯電ニップが拡大し、帯電特性が向上する為である。特に滑材粒子として臨界表面張力の低いフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、又はポリオレフィン系樹脂を用いるのがより望ましい。更に好ましくは四フッ化エチレン樹脂(PTFE)が用いられる。この場合、滑材粒子の添加量は、バインダー100重量部に対して2〜50重量部、望ましくは5〜40重量部が好ましい。2重量部未満では滑材粉末の量が十分ではない為に、帯電特性の向上が十分でなく、また、50重量部を超える場合では、画像の分解能、感光体の感度が大きく低下してしまうからである。
【0282】
本発明における電荷注入層の膜厚は0.1〜10μmであることが好ましく、特には1〜7μmであることが好ましい。
【0283】
本発明は、中抵抗の接触帯電部材で、中抵抗の表面抵抗を持つ感光体表面に電荷注入を行うものであるが、好ましくは感光体表面材質の持つトラップ電位に電荷を注入するものではなく、光透過性で絶縁性のバインダーに導電性微粒子を分散した電荷注入層の導電性微粒子に電荷を充電して帯電を行う。
【0284】
具体的には、電荷輸送層を誘電体、アルミ基板と電荷注入層内の導電性微粒子を両電極板とする微小なコンデンサーに、接触帯電部材で電荷を充電する理論に基づくものである。この際、導電性微粒子は、互いに電気的には独立であり、一種の微小なフロート電極を形成している。この為、マクロ的には感光体表面は均一電位に充電、帯電されている様に見えるが、実際には微小な無数の充電された導電性微粒子が感光体表面を覆っている様な状況となっている。故に、レーザによって画像露光を行なってもそれぞれの導電性微粒子は電気的に独立な為、静電潜像を保持することが可能になる。
【0285】
従って、従来の通常感光体表面に少ないながらも存在していたトラップ準位を導電性微粒子で代用することで、電荷注入性、電荷保持性が向上するのである。
【0286】
ここで電荷注入層の体積抵抗値の測定方法は、表面に導電膜を蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に電荷注入層を作製し、これを体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140B pAMATER)にて、23℃,65%の環境で100Vの電圧を印加して測定するというものである。
【0287】
【実施例】
実施例1
イオン交換水700重量部に、0.1M−Na3 PO4 水溶液450重量部を投入し、50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2 水溶液70重量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0288】
Figure 0003907303
上記処方を50℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、9,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1重量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0289】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、55℃,N2 雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて9500rpmで撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0290】
その後、バドル撹拌翼で撹拌しつつ、55℃で1時間反応後、1時間で60℃に昇温し、4時間反応後、昇温速度40℃/Hr.で80℃に昇温し4時間反応させた。重合反応中の水系媒体中に窒素を1時間ごとにバブリングし、水系媒体中の溶存酸素濃度が0.5〜1.0mg/lとなるように調整した。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、重量平均粒径7.0μmのシアン着色粒子(シアントナー粒子)を得た。
【0291】
得られたシアントナー粒子100重量部に対して、BET法による比表面積が200m2 /gである疎水性シリカを外添し、シアントナーAを得た。得られたシアントナーA5重量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95重量部を混合し、二成分系現像剤とした。この二成分系現像剤を用いて、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0292】
実施例2
実施例1で得られたシアントナーAを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0293】
比較例1
実施例1で、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3重量部加えた以外は、実施例1と同様にしてシアントナーB及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0294】
比較例2
比較例1で得られたシアントナーBを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0295】
比較例3
実施例1で、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部を加え、且つ、低分子量物質である低分子量ポリスチレンを加えない以外は、実施例1と同様にしてシアントナーC及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0296】
比較例4
比較例3で得られたシアントナーCを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0297】
比較例5
実施例1で、低分子量物質である低分子量ポリスチレンを加えない以外は、実施例1と同様にしてシアントナーD及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0298】
比較例6
比較例5で得られたシアントナーDを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0299】
比較例7
実施例1で、低分子量物質である低分子量ポリスチレン15重量部加える以外は、実施例1と同様にしてシアントナーE及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0300】
比較例8
比較例7で得られたシアントナーEを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0301】
比較例9
実施例1において、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の使用量3を重量部に変え、低分子量物質である低分子量ポリスチレンを加えずに重合性単量体組成物を調製した。
【0302】
重合性単量体組成物の造粒時の水系媒体の温度を60℃に変更し、造粒後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、1時間で80℃に昇温し、10時間反応させるように重合条件を変更し、さらに重合反応中に水系媒体中への窒素のバブリングを行なわなかったことを除いては、実施例1と同様にしてシアントナーF及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。尚、重合反応中の水系媒体中の溶存酸素濃度は、1.5mg/lであった。
【0303】
比較例10
比較例9で得られたシアントナーFを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0304】
比較例11
Figure 0003907303
【0305】
上記処方を60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、9,000rpmにて均一に溶解、分散し重合性単量体組成物を調製した。
【0306】
実施例1で用いた重合性単量体組成物に代えて、上記の重合性単量体組成物を用い、造粒時の水系媒体の温度を60℃に変更し、1時間かけて造粒後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で7時間反応後、0.5時間で80℃に昇温し、4時間反応させるように重合条件を変更し、さらに重合反応中に水系媒体中への窒素のバブリングを行なわなかったことを除いては、実施例1と同様にしてシアントナーG及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。尚、重合反応中の水系媒体中の溶存酸素濃度は、5mg/lであった。
【0307】
比較例12
比較例11で得られたシアントナーGを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0308】
実施例3
イオン交換水800重量部に、0.1M−Na3 PO4 水溶液500重量部を投入し、50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2 水溶液70重量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0309】
Figure 0003907303
上記処方を50℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、9,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1重量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0310】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、55℃,N2 雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて9500rpmで撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0311】
その後バドル撹拌翼で撹拌しつつ、55℃で1時間反応後、1時間で60℃に昇温し、4時間後、昇温速度40℃/Hr.で80℃に昇温し4時間反応させた。重合反応中の水系媒体中に窒素を1時間ごとにバブリングし、水系媒体中の溶存酸素濃度が0.5〜1.0mg/lとなるように調整した。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、重量平均粒径7.2μmのイエロー着色粒子(イエロートナー)を得た。
【0312】
得られたイエロー着色粒子100重量部に対して、BET法による比表面積が200m2 /gである疎水性シリカを外添し、イエロートナーHを得た。得られたイエロートナーH5重量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95重量部を混合し、二成分系現像剤とした。この二成分系現像剤を用いて、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0313】
実施例4
実施例3で得られたイエロートナーHを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0314】
比較例13
実施例3で、離型剤であるエステルワックスを90重量部加える以外は、実施例3と同様にしてイエロートナーI及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0315】
比較例14
比較例13で得られたイエロートナーIを下記の評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0316】
比較例15
実施例3で、離型剤であるエステルワックスを加えない以外は、実施例3と同様にしてイエロートナーJ及び二成分系現像剤を得、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0317】
比較例16
比較例15で得られたイエロートナーJを評価機Bにて耐久評価を行なった。結果を表1及び2に示した。
【0318】
実施例5
イオン交換水700重量部に、0.1M−Na3 PO4 水溶液450重量部を投入し、50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2 水溶液70重量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
【0319】
Figure 0003907303
上記処方を50℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、9,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4重量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0320】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、55℃,N2 雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて9500rpmで撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0321】
その後、バドル撹拌翼で撹拌しつつ、55℃で1時間反応後、1時間で60℃に昇温し、4時間後、昇温速度5℃/Hr.で80℃に昇温し4時間反応させた。重合反応中の水系媒体中に窒素を1時間ごとにバブリングし、水系媒体中の溶存酸素濃度が0.5〜1.0mg/lとなるように調整した。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、重量平均粒径7.0μmのシアン着色粒子(シアントナー)を得た。
【0322】
得られたシアン着色粒子100重量部に対して、BET法による比表面積が200m2 /gである疎水性シリカを外添し、シアントナーKを得た。得られたシアントナーK5重量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95重量部を混合し、二成分系現像剤とした。この二成分系現像剤を用いて、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0323】
実施例6
四つ口フラスコに、窒素置換した水180重量部とポリビニルアルコールの0.2wt%水溶液20重量部を投入したのちに、スチレン77重量部、アクリル酸−n−ブチル23重量部、ベンゾイルパーオキサイド3重量部、ジビニルベンゼン0.01重量部を加え、撹拌し懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素で置換した後に、80℃に昇温し同温度に10時間保持し重合反応を行なった。
【0324】
該重合体を水洗した後、温度を65℃に保ちつつ減圧環境にて乾燥し樹脂を得た。該樹脂88重量部、含金属アゾ染料2重量部、カーボンブラック5重量部、パラフィンワックス8重量部、低分子量ポリスチレン(重量平均分子量(Mw)2,800、分子量分布(Mw/Mn)5.2)2重量部を固定槽式乾式混合機により混合し、ベント口を吸引ポンプに接続し吸引しつつ、二軸押し出し機にて溶融混練を行った。
【0325】
この溶融混練物を、ハンマーミルにて粗粉し1mmメッシュパスのトナー組成物の粗砕物を得た。さらに、この粗砕物を機械式粉砕機により、体積平均径20〜30μmまで粉砕を行った後に、旋回流中の粒子間衝突を利用したジェットミルにて粉砕を行い、表面改質機において、熱的及び機械的な剪断力によりトナー組成物を改質し、多段割分級機により分級を行い重量平均粒径6.9μmの黒色トナー粒子を得た。
【0326】
この黒色トナー粒子98.6重量部に、コロイダルシリカ1.4重量部を加え、混合し黒色粉砕トナーLを得た。この黒色トナーL5重量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95重量部を混合し、二成分系現像剤とした。この二成分系現像剤を用いて、下記の評価機Aにて、定着試験及び耐久評価を行った。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0327】
比較例17
四つ口フラスコに、窒素置換した水180重量部とポリビニルアルコールの0.2wt%水溶液20重量部を投入したのちに、スチレン77重量部、アクリル酸−n−ブチル23重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.5重量部、ジビニルベンゼン0.01重量部を加え、撹拌し懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素で置換した後に、70℃に昇温し同温度に10時間保持し重合反応を行なった。
【0328】
該重合体を水洗した後、温度を65℃に保ちつつ減圧環境にて乾燥し樹脂を得た。該樹脂88重量部、サリチル酸金属化合物2重量部、キナクリドン5重量部、パラフィンワックス9重量部、低分子量ポリスチレン(重量平均分子量(Mw)3,500、分子量分布(Mw/Mn)4.5)1重量部を固定槽式乾式混合機により混合し、ベント口を吸引ポンプに接続し吸引しつつ、二軸押し出し機にて溶融混練を行なった。
【0329】
この溶融混練物を、ハンマーミルにて粗粉し1mmメッシュパスのトナー組成物の粗砕物を得た。さらに、この粗砕物を機械式粉砕機により、体積平均径20〜30μmまで粉砕を行った後に、旋回流中の粒子間衝突を利用したジェットミルにて粉砕を行い、表面改質機において、熱的及び機械的な剪断力によりトナー組成物を改質し、多段割分級機により分級を行い重量平均粒径7.5μmのマゼンタトナー粒子を得た。
【0330】
このマゼンタトナー粒子98.6重量部に、コロイダルシリカ1.4重量部を加え、混合しマゼンタ粉砕トナーMを得た。このマゼンタトナーM5重量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95重量部を混合し、二成分系現像剤とした。この二成分系現像剤を用いて、下記の評価機Aにて、定着試験及び耐久評価を行なった。トナー物性及び評価結果を表1及び2に示した。
【0331】
(評価方法)
評価機A
二成分系現像剤を使用する市販のフルカラー複写機CLC−500(キヤノン社製)改造機を用いて、記録材上に未定着画像を形成した。
【0332】
記録材上に形成した未定着画像の定着は、市販のNP−6650(キヤノン社製)の定着器を定着スピード150mm/secに設定し、定着温度を5℃おきに変調(120℃〜220℃)できるように改造したものを用いた。記録材としては、市販の複写用紙キヤノンニュードライペーパー(キヤノン販売社販売、坪量:54g/m2 )を用いた。
【0333】
評価機B
市販の複写機NP−6030(キヤノン社製)を図5に示すように非磁性一成分系現像材を用いて現像する現像器に変更した改造機を用いて、記録材上に未定着画像を形成した。
【0334】
記録材上に形成した未定着画像の定着は、市販のNP−6650(キヤノン社製)の定着器を定着スピード150mm/secに設定し、定着温度を5℃おきに変調(120℃〜220℃)できるように改造したものを用いた。記録材としては、市販の複写用紙キヤノンニュードライペーパー(キヤノン販売社販売、坪量:54g/m2 )を用いた。
【0335】
尚、図5において、52は潜像保持体としての感光体ドラムであり、55は、感光体ドラム52の表面を一次帯電するためのコロナ帯電器であり、56は、一次帯電された感光体ドラム52表面に静電潜像を形成するための露光であり、51は感光体52上に形成された静電潜像を現像するためのトナーを有する非磁性一成分系現像剤を用いた現像装置であり、54は、トナー画像を転写する転写材としての記録材であり、53は、記録材54に感光体52のトナー画像を転写するためのコロナ転写器である。現像装置52としては、図12に示す現像装置を用い、以下の現像条件で行なった。
【0336】
現像条件
現像スリーブ:# 600のガラスビーズでブラスト処理したステンレススリーブ現像スリーブと感光体ドラム間の空隙β:500μm
弾性ブレード:ナイロン樹脂層を表面に設けたウレタンゴムブレート
現像スリーブ上の現像剤層厚:70μm
現像バイアス:ピーク電圧2KVの交流電界
プロセススピード:150m/sec
【0337】
上記の評価機A及びBを用いて、以下の評価項目について、評価を行った。
【0338】
(評価項目)
カブリ
カブリは、カブリ量を反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD社製 REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定(プリント後の白地部反射濃度最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとした時のDs−Drをカブリ量とした)した。カブリ量2%以下は実質的にカブリの無い良好な画像であり、5%を超えるとカブリの目立つ不鮮明な画像である。
【0339】
評価機A、評価機Bのそれぞれについての評価基準を以下に示す。
【0340】
(評価機Aの評価基準)
a:20,000枚プリント終了時に、カブリ量2%未満
b:20,000枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
c:15,000枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
d:10,000枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
e:5,000枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
【0341】
(評価機Bの評価基準)
a:3,000枚プリント終了時に、カブリ量2%未満
b:3,000枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
c:1,000枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
d:500枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
e:100枚プリント終了時に、カブリ量2%以上
【0342】
トナー融着
トナー融着についてはキャリア、スリーブ、感光体へのトナー汚染を目視し、以下の評価基準に基づいてトナー融着の程度を評価した。
【0343】
(評価機Aの評価基準)
a:20,000枚プリント終了時に、トナー融着発生せず
b:20,000枚プリント終了時に、トナー融着発生
c:15,000枚プリント終了時に、トナー融着発生
d:10,000枚プリント終了時に、トナー融着発生
e:5,000枚プリント終了時に、トナー融着発生
(評価機Bの評価基準)
a:3,000枚プリント終了時に、トナー融着発生せず
b:3,000枚プリント終了時に、トナー融着発生
c:1,000枚プリント終了時に、トナー融着発生
d:500枚プリント終了時に、トナー融着発生
e:100枚プリント終了時に、トナー融着発生
【0344】
トナー帯電量
トナーの帯電量の測定は以下の方法で行なった。
【0345】
評価機Aにおいては、耐久開始時と耐久終了時にCLC−500改造機内よりキャリアを含んだトナーを取り出し、下記の測定装置及び下記の測定方法、計算方法を用いてトナーの帯電量を測定した。
【0346】
評価機Bにおいては、常温常湿条件下で、トナー及びキャリアを一昼夜放置した後、下記の測定設置及び下記の測定方法、計算方法を用いてトナーの帯電量を測定した。
【0347】
図6はトナーのトリボ電荷量を測定する装置の説明図である。先ず、摩擦帯電量を測定しようとするトナーとキャリアの重量比1:19の混合物を50〜100mlのポリエチレン製のビンに入れ、5〜10分間手で浸透し、底に500メッシュのスクリーン203のある金属性の測定容器202に該混合物(現像剤)約0.5〜1.5gを入れ、金属性のフタ204をする。このときの測定容器202全体の重量を秤りW1 (g)とする。次に、吸引機201(測定容器202と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口207から吸引し風量調節弁206を調整して真空計205の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行ないトナーを吸引除去する。このときの電位計209の電位をV(ボルト)とする。ここで208はコンデンサーであり、容量をC(μF)とする。吸引機の測定容器全体の重量を秤りW2 (g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く計算される。
【0348】
【外2】
Figure 0003907303
【0349】
画像濃度
画像濃度については、(5mm角、500mm丸、ベタ)をマクベス濃度計(マクベス社製)にて測定した。
【0350】
定着開始濃度
定着開始温度の決定は、120℃から5℃おきに定着温度を変調して定着を行ない、得られた定着画像をシンボル紙で、往復10回、約100g荷重で察し、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)で10%以下となった温度とした。
【0351】
オフセット温度
オフセット温度の決定は、120℃から10℃おきに定着温度を変調し、複写用紙先端中央部に5cm×5cm面積のベタ画像(トナー量0.5〜0.6mg/cm2 )を作像したものを通紙したときに、複写用紙の通紙方向後端部に、該ベタ画像部のトナーが剥れ、再転写が生じた時点の温度とした。
【0352】
【表1】
Figure 0003907303
【0353】
【表2】
Figure 0003907303
【0354】
実施例7
実施例1で用いたC.I.ピグメントブルー15:3にえて着色剤としてC.I.ピグメントイエロー17を用いることを除いては、実施例1と同様にしてイエロートナーN及び二成分系現像剤を得た。
【0355】
実施例1で用いたC.I.ピグメントブルー15:3にえて着色剤としてキナクリドン顔料を用いることを除いては、実施例1と同様にしてマゼンタトナーO及び二成分系現像剤を得た。
【0356】
実施例1で用いたC.I.ピグメントブルー15:3にえて着色剤としてカーボンブラックを用いることを除いては、実施例1と同様にしてブラックトナーP及び二成分系現像剤を得た。
【0357】
上記のイエロートナーNを有する二成分系現像剤、マゼンタトナーOを有する二成分系現像剤及びブラックトナーPを有する二成分系現像剤に加えて、実施例1のシアントナーAを有する二成分系現像剤の4色の二成分系現像剤を評価機Aに用いて、フルカラー画像の形成を行なったところ、優れた色調及び階調性を示し、帯電部材への汚染も見られず、定着性も良好であった。
【0358】
実施例8
実施例で用いたシアントナーA、イエロートナーN、マゼンタトナーO及びブラックトナーPの4種のカラートナーを図9に示す画像形成装置に用いてフルカラー画像の形成を行なった。
【0359】
帯電部材としては、直径16mmの導電性スリーブの表面にポリウレタンをベースとした弾性層を形成した帯電ローラを用い以下の帯電条件で感光体表面を一次帯電した。
【0360】
帯電条件
帯電バイアス:AC電流値1900μAの定電流制御
感光体ドラムに対する帯電ローラの回転方向及び周速差:感光体ドラムに対し従動(周速差なし)
感光体表面電位:−500V
一次帯電された感光体表面にレーザ光を照射し、デジタル静電潜像を形成した。
【0361】
現像装置としては、図に示す非磁性一成分現像剤を用いる非接触現像方式を用いる現像装置を用い感光体上のデジタル静電潜像を下記の現像条件で反転現像を行ないトナー画像の形成を行なった。現像操作は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色順で4回行なった。
【0362】
現像条件
現像スリーブ:# 600のガラスビーズでブラスト処理したステンレススリーブ現像スリーブと感光体ドラム間の空隙β:500μm
弾性ブレード:ナイロン樹脂層を表面に設けたウレタンゴムブレート
現像スリーブ上の現像剤層厚:70μm
現像バイアス:ピーク電圧2KVの交流電界プロセススピード:150m/sec
【0363】
感光体上に現像されたトナー画像は、イエローカラトナー画像、マゼンタカラトナー画像、シアンカラートナー画像、ブラックカラートナー画像の順で中間転写体上に下記の転写条件で4回静電転写され(第1の転写工程)、4色のトナーを有するフルカラー画像を転写部材を用いて下記の転写条件で1回の転写操作(第2の転写工程)により、記録材上に静電転写した。
【0364】
中間転写体としては、直径186mmの導電性ドラムの表面に弾性層を形成した中間転写ドラムを用いた。
【0365】
第1の転写工程での転写条件としては、中間転写ドラムに100〜200Vの転写バイアスを印加してた。第2の転写工程での転写部材として、直径16mmの導電性ゴムローラーを用いた。
【0366】
第2の転写工程での転写条件
転写バイアス:1KVの直流電圧
中間転写体に対する転写ローラーの当接圧力:1kgf
記録材上に転写された4色のカラートナーを有するフルカラー画像を以下の定着器によって加熱定着した。
【0367】
定着器としては、定着濃度を5℃おきに変調可能な加熱ローラーと弾性層を有し、加熱ローラに圧接する加圧ローラを有する加熱ローラー定着器を用いた。
【0368】
その結果、耐オフセット性が高く、定着温度領域が広く、広い定着温度領域で良好なフルカラー画像が得られた。
【0483】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の静電荷電現像用トナーは、低温定着性と耐オフセット性とに優れている特性を損なうことなく、感光体へのフィルミングや、キャリアやスリーブの如きトナー担持体の表面を汚染しにくく、多数枚耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例12におけるマゼンタトナー粒子のGPCの分子量分布のチャートを示す図。
【図2】帯電部材製造例1〜8の磁性粒子の抵抗値の印加電界依存性を示すグラフである。
【図3】感光体製造例1の感光体特性を示すグラフである。
【図4】帯電部材である磁性粒子の測定方法に用いた装置の概略図である。
【図5】実施例の耐久性評価に用いた現像器の概略図である。
【図6】トナーのトリボ電荷量を測定する装置の説明図である。
【図7】本発明に使用した画像形成装置を示す概略図である。
【図8】第1の画像形成ユニットの概略図である。
【図9】本発明に使用した画像形成装置の他の例を示す概略図である。
【図10】二成分系現像剤を用いる画像形成装置の概略図である。
【図11】接触一成分現像方法による現像装置の概略図である。
【図12】非接触一成分現像方法による現像装置の概略図である。
【符号の説明】
Pa,Pb,Pc,Pd 画像形成部
1a,1b,1c,1d 感光ドラム
2a,2b,2c,2d ドラム帯電器
3a,3b,3c,3d 現像器
4a,4b,4c,4d 転写帯電器
5a,5b,5c,5d 感光帯クリーニング部
6 記録材
7 定着部
8 記録材担持体
9 転写クリーニング装置
10 ベルト駆動ローラー
11 ベルト従動ローラー
12 ベルト除電器
13 レジストローラー
14 分離帯電器
15 剥離帯電器
16 ファーブラシ
17 ポリゴンミラー
18 分離爪
21a,21b,21c,21d 露光ランプ
22a,22b,22c,22d 電位センサー
31a,31b,31c,31d フォトセンサー
41a,41b,41c,41d 転写押圧部材
51 現像器
52 感光体
53 コロナ転写帯電器
54 転写材
55 コロナ帯電器
56 露光
60 記録紙カセット
71 定着ローラー
72 加圧ローラー
73 クリーニング装置
74 クリーニング装置
75 ヒーター
76 ヒーター
77 オイル塗布ローラー
78 オイル溜め
79 サーミスター
91 スリーブ
91−a 導電スリーブ
91−b マグネットロール
92 アルミドラム
93 帯電部材とアルミドラムとのニップ幅
94 マグネット内包スリーブとアルミドラムとのギャップ
95 電流計
96 定電圧装置
97 帯電部材である磁性粒子

Claims (16)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有している静電荷像現像用トナーにおいて、
    該トナーのTHF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、該THF可溶成分が、分子量1,000乃至2,000未満の領域に少なくとも1つピークを有しており、分子量2,000乃至300,000の領域に少なくとも1つピークを有しており、90,000乃至2,000,000の重量平均分子量(Mw)を有しており、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)と、分子量2,000乃至5,000の領域の分子量積分値(L)と、分子量300,000以上の領域の分子量積分値(H)とが下記関係:
    1≦(L/T)×100≦15
    3≦(H/T)×100≦30
    を満たしていることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)と、分子量2,000乃至5,000の領域の分子量積分値(L)と、分子量300,000以上の領域の分子量積分値(H)とが、下記関係:
    1≦(L/T)×100≦7
    3≦(H/T)×100≦30
    を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)と、分子量2,000乃至5,000の領域の分子量積分値(L)と、分子量300,000以上の領域の分子量積分値(H)とが、下記関係:
    1≦(L/T)×100≦7
    5≦(H/T)×100≦25
    を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、分子量800以上の領域の分子量積分値(T)と、分子量100,000以上の領域の分子量積分値(M)とが、下記関係:
    10≦(M/T)×100≦50
    を満たしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、分子量1,000〜2,000未満の領域におけるトップピークの高さ(Ha)と分子量2,000〜300,000の領域におけるトップピークの高さ(Hb)とが、下記関係:
    0.70≦Hb/Ha≦1.30
    を満たしていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、分子量1,000〜2,000未満の領域におけるトップピークと分子量2,000〜300,000の領域におけるトップピークとの間に存在する分子量極小値の高さ(Hc)と分子量1,000〜2,000未満の領域におけるトップピークの高さ(Ha)とが、下記関係:
    0.01≦Hc/Ha≦0.15
    を満たしていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、100,000〜1,500,000の重量平均分子量(Mw)を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、8,200〜700,000の数平均分子量(Mn)を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、4〜15の重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 該トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量分布において、該THF可溶成分は、分子量800〜3,000の領域における重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 該離型剤は、40℃〜120℃の領域に、DSC測定による最大吸熱ピークを有するワックスを有していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 該トナーは、該結着樹脂100重量部に対し3〜40重量部の該離型剤を含有していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  13. 該トナーは、該離型剤のコア部表面を外殻樹脂のシェル部で被覆したコア/シェル構造を有するトナー粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  14. 該トナーは、重合性単量体、着色剤及び離型剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を重合開始剤の存在下で、液媒体中で重合して得られるトナー粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  15. 該トナーは、重合性単量体、着色剤、離型剤及び極性樹脂を少なくとも含有する重合性単量体組成物を重合開始剤の存在下で、水系媒体中で重合して得られるトナー粒子を有しており、
    該トナー粒子は、離型剤のコア部表面を外殻樹脂のシェル部で被覆したコア/シェル構造を有していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  16. 静電潜像を保持するための潜像保持体の表面を帯電する工程;
    帯電された該潜像保持体の表面に静電潜像を形成する工程;
    該静電潜像をトナーによって現像し、トナー画像を形成する工程;
    現像された該トナー画像を中間転写体を介して又は介さずに記録材に転写する工程;及び
    転写された該トナー画像を該記録材に定着する工程;
    を有する画像形成方法であって
    該トナー請求項1乃至15のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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