JP3905241B2 - 感圧記録材料及び感圧記録材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発色剤を含有するマイクロカプセルを含む発色剤層と顕色剤を含む顕色剤層を加圧接触させることにより、マイクロカプセルを破壊し発色反応を起こさせる感圧記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感圧記録材料としては、例えば、支持体の片面に発色剤層を形成した上用紙、支持体の片面に発色剤層を形成し、その反対側の面に顕色剤層を形成した中用紙、及び支持体の片面に顕色剤層を形成した下用紙の三種のシートをこの順に重ねた三枚コピー型のノンカーボン紙型記録材料が知られている。
図3は三枚コピー型のノンカーボン紙型記録材料の一例を模式的に示すものであり、支持体56の片面に発色剤層58を設けた上用紙50、支持体64の片面に顕色剤層62ともう1つの面に発色剤層66を設けた中用紙52、及び支持体70の片面に顕色剤層68を設けた下用紙54を重ねたものである。また、60は発色剤層中に含まれるマイクロカプセルを示す。
上用紙の上からボールペンなどにより記録を行うと、上用紙と中用紙、及び中用紙と下用紙の間において、発色剤層と顕色剤層が加圧接触してマイクロカプセルが破壊することにより発色反応が生じ、中用紙及び下用紙の上に発色反応に基づく記録が行われ、結局同時に三枚の記録を行うことができる。
前記マイクロカプセルは通常有機溶媒、例えば灯油、パラフィン、ナフテン油、アルキルナフタレン等の石油系溶媒に発色剤を溶解させたものを、ポリイソシアネート化合物等を用いてマイクロカプセル化したものが用いられている。溶媒としては、植物油のような天然オイルを使用できることも知られているが(特公昭46−13165号)、後に詳述するように常温における蒸気圧が低くカブリを起こしやすいため、実際には石油系溶媒が用いられているのが現状である。
【0003】
一方、近年あらゆる分野の工業製品の製造において、環境に対する負担がより小さい材料の使用が求められているといっても過言ではなく、感圧記録材料の分野においてもこの観点に基づき、前記発色剤を溶解させる溶媒として生分解性の植物油を用い、また顕色剤として天然に産出する活性白土を使用する試みがなされている(特開平8−142506号)。
【0004】
ところで、上記の様な上用紙、中用紙及び下用紙を用いる三枚コピーノンカーボン紙型記録材料の中用紙の顕色剤層の所定の部分に発色剤の作用を発揮させなくする減感インキの層を設け、中用紙上のその部分には記録像を形成させないようにしたノンカーボン紙型記録材料において、発色剤を溶解する溶媒として植物油を用いたマイクロカプセルを含む層を中用紙の反対側の面に発色剤層として形成すると、減感インキの層を設けた部分は発色することはないものの、減感インキの層が記録像(例えば文字)様に透明化し、記録した内容が判読(認識)可能となってしまう不都合があった。これは、中用紙の下側表面のマイクロカプセルが破壊されたとき、植物油が100%下用紙に転写せず、かつ植物油は室温ではほとんど蒸散しないため、植物油が中用紙の紙と顕色剤層を通って減感インキ層に達し、減感インキに作用してその部分を記録像様に透明化するからである。図2は破壊されたマイクロカプセルからの溶剤が移動する様子を模式的に説明するもので、図2中、30は紙支持体、32は発色剤層、34は色素を含有するマイクロカプセル、36は破壊されたマイクロカプセル、38は顕色剤層、40は減感インキ層を表し、上下の矢印は、破壊されたマイクロカプセルからの溶剤が下用紙に転写されるよりむしろ紙支持体を通って浸透しようとする量の方が多いことを示している。石油系有機溶媒の場合には、揮散速度が大きいため中用紙の支持体等を通って減感インキにまで到達することは少ないため上記のような不都合は生じにくい。
このように、環境に対する負担が小さい材料を用いた場合、上記のようなカブリや記録像様透明化の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点に鑑みなされたもので、その目的は、感圧記録材料に要求される発色濃度、加工汚れ等の一般的性能を犠牲にすることなく、環境に対する負担が小さい感圧記録材料であって、さらに顕色剤層の表面に減感インキ層を設けた場合、記録時マイクロカプセルの植物油が支持体の間を通って浸透し、減感インキ層を記録像様に透明化することがない感圧記録材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の感圧記録材料を提供することにより解決される。
(1)紙又は表面処理した紙の一方の面の上に植物油を77重量%〜100重量%含む溶媒中に溶解された電子供与性発色剤を内包するマイクロカプセルを含む発色剤層が設けられ、紙又は表面処理した紙のもう一方の面の上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤層が設けられた感圧記録材料において、前記紙又は表面処理した紙と発色剤層の間にラテックス系バインダーを主体とする層が設けられ、かつ前記顕色剤が活性白土であり、前記顕色剤層の上に減感インクの層が形成されていることを特徴とする感圧記録材料。
(2)前記減感インクが紫外線硬化樹脂を含有していることを特徴とする前記(1)に記載の感圧記録材料。
(3)紙又は表面処理した紙の一方の面の上にラテックス系バインダーを主体とする層を設ける工程、前記層上に植物油を77重量%〜100重量%含む溶媒中に溶解された電子供与性発色剤を内包するマイクロカプセルを含む発色剤層を設ける工程、紙又は表面処理した紙のもう一方の面の上に活性白土を含む顕色剤層を設ける工程、及び前記顕色剤層上に減感インキの層を形成する工程、を有する感圧記録材料の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の感圧記録材料は、発色剤層と紙又は表面処理した紙(以下において「支持体」という。)の間にラテックス系バインダーを主体とする層を設けたことを特徴とする。
図1は、支持体と発色剤層の間にラテックス系バインダーを主体とする層を設けた感圧記録材料の一例を示す模式図であり、支持体10の片面にラテックス系バインダーを主体とする層12と、植物油に溶解された電子供与性発色剤を含むマイクロカプセル14を含有する発色剤層20をこの順に設け、また支持体10のもう一方の面には電子受容性顕色剤を含む顕色剤層16を設け、さらに顕色剤層表面の所定の位置に減感インキ層18を設けたものである。
本発明の感圧記録材料において、ラテックス系バインダーを主体とする層に用いられるラテックスとしては、植物油と親和性を有するラテックス系バインダーなら、どんな種類のラテックスでも使用することができる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、アクリル酸エステル系ラテックス等を挙げることができるが、発色性能の観点からはスチレン−ブタジエン共重合体系ラテックス(SBR)が好ましい。SBRとしてはスチレンモノマーを30〜60重量%含むものが好ましく用いられ、分子中にカルボキシル基、アクリロニトリル基を有するSBRもバインダー力向上の観点から好ましく用いられる。
【0008】
ラテックス系バインダーを主体とする層は、例えばバインダーラテックスに周知の助剤、例えばアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムのような分散剤、粘度調節剤、及び界面活性剤、消泡剤を加えて塗布液とすることができる。
また、本発明においては、前記塗布液に塗布性を改善するために水溶性高分子化合物を含ませることが好ましい。水溶性高分子化合物を加えることにより、特に塗布手段としてカーテンコート法を採用した場合に膜安定性が向上する。前記水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、無水マレイン酸−スチレン共重合体、デンプン、カゼイン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の合成あるいは天然高分子物質を好ましく挙げることできる。これらの水溶性高分子化合物は一種あるいはに二種以上併用することも可能である。発色性の観点からポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
【0009】
支持体に表面に前記ラテックス系バインダーを主体として含む塗布液が塗布・乾燥され、ラテックス系バインダーを主体とする層が支持体表面に形成される。次に、この層の上に発色剤層が塗設される。
支持体と発色剤層の間に形成されるラテックス系バインダーを主体とする層は、ラテックス系バインダーが乾燥重量で0.1〜3.0g/m2 、好ましくは0.3〜1.5g/m2 、特に好ましくは0.5〜1.0g/m2 の塗布量となるように塗設される。塗布量が0.1より少ないと上記の植物油の浸透防止及び/又は植物油の拡散促進の作用を発現せず、また3.0より多いと加工時、発色汚れが発生しやすくなるためこの範囲にあることが望まれる。
【0010】
図1で示される本発明の感圧記録材料は、上記のように発色剤層と支持体の間にラテックス系バインダーを主体とする層を設けることにより、植物油が支持体を通って浸透するのを防ぐこと、及び/又は植物油をラテックス系バインダーを主体とする層中で拡散、膨潤させることなどにより、植物油が減感インキ層に達して減感インキを透明化させることを防ぐことができる。また、植物油がある程度浸透して減感インキ層が透明化したとしても、前記ラテックス系バインダーを主体とする層における植物油の拡散作用により植物油が記録像様に浸透することは回避され、減感インキ層が記録像様に透明化することを防ぐことができる。
【0011】
次に、上記図1で示される感圧記録材料の発色剤層、顕色剤層、支持体及び減感インキ層について詳細に説明する。
本発明の感圧記録材料における発色剤層は植物油に溶解された電子供与性発色剤を内包するマイクロカプセルを含む。前記マイクロカプセルとしては、通常感圧記録材料において用いるものを特に制限なく使用することができる。
【0012】
マイクロカプセルに内包される発色剤を溶解するため使用される溶媒は、植物油が使用される。一般に10〜60重量%のオレイン酸残基含有量の脂肪酸残基組成を有する植物油である。このような植物油としては、例えば、大豆油(脂肪酸残基組成中のオレイン酸残基含有量(OA)=20〜35重量%)、トウモロコシ油(OA=25〜45重量%)、菜種油(OA=10〜35重量%)、綿実油(OA=15〜30重量%)、ゴマ油(OA=35〜46重量%)、落花生油(OA=35〜60重量%)、ヒマワリ油(OA=15〜35重量%)等を挙げることができる。中でも特に、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、綿実油等が、使用される発色剤の溶解性が高い、顕色剤と反応させたときの発色性が高い、工業的に容易に入手できる等の点で好ましく、中でも菜種油が発色剤の溶解性が高い点で最も好ましく用いられる。これらの植物油は単独で使用しても混合して使用してもよい。
オリーブ油(OA=70〜85重畳%)等のように、脂肪酸残基組成中のオレイン酸含有量が60重量%より大きい植物油は、発色剤を溶解する力(溶解力)が低く余り好ましくない。
【0013】
溶媒として前記のような植物油と共に従来使用されている植物油以外の溶媒を、記録媒体に不快臭を与えないような量(一般に、植物油の30重量%以下の量)で使用してもよい。
【0014】
マイクロカプセルの形成に使用される発色剤は、上記植物油を主成分とする溶媒に溶解することができる公知の発色剤を使用することが好ましい。
本発明で使用される発色剤としては、上記植物油に溶解し易い下記の一般式(1)で表されるインドリルフタリド化合物又はインドリルアザフタリド化合物
【0015】
【化1】
【0016】
(但し、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R13は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R14は置換基として炭素原子数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、R11、R12、R13及びR14で表される基の合計炭素原子数が10以上であり、環Aは無置換のベンゼン環又はピリジン環を表す)
及び下記一般式(2)で表わされるフルオラン化合物
【0017】
【化2】
【0018】
(但し、R21は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R22は炭素原子数4〜12の分枝鎖アルキル基又はテトラヒドロフルフリル基を表し、R21とR22とは同一であることはなく、R23及びR24はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す)
が好ましい。
【0019】
前記一般式(1)で表されるインドリルフタリド化合物又はインドリルアザフタリド化合物は、前記のような植物油に対する溶解性が大きく、顕色剤と反応して生成する発色像の濃度が大きく、そして容易に且つ安価に合成することができる化合物である。
【0020】
前記一般式(1)で表されるインドリルフタリド化合物の特に好ましい具体例としては、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−デシル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−[1−(2−エチルヘキシル)−2−メチルインドール−3−イル]フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−イソペンチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジプロピルアミノ−2−プロポキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジブチルアミノ−2−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジヘキシルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−β−エトキシエチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−ブトキシフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−N−エチル−N−イソブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等を挙げることができる。
【0021】
前記一般式(1)で表されるインドリルアザフタリド化合物の特に好ましい具体例としては、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−又は−7−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)−4−又は−7−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−デシル−2−メチルインドール−3−イル)−4−又は−7−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−〔1−(2−エチルヘキシル)−2−メチルインドール−3−イル〕−4−又は−7−アザフタリド、3−(4−ジブチルアミノ−2−ブトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−又は−7−アザフタリド、3−(4−ジブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−β−エトキシエチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−又は−7−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−ブトキシフェニル)−3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−又は−7−アザフタリド、3−(4−N−エチル−N−イソブチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−又は−7−アザフタリド等を挙げることができる。
【0022】
前記一般式(2)で表されるフルオラン化合物の特に好ましい具体例としては、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソペンチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−イソペンチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−(2−エチルヘキシル)アミノフルオラン、2−トルイジノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−(2−エチルデシル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−プロピル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−(sec−ブチル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン等を挙げることができる。
【0023】
色相調整の目的で、一般式(1)で表されるインドリルフタリド化合物又はインドリルアザフタリド化合物及び/又は一般式(2)で表されるフルオラン化合物と共に、よく知られているトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物等の各種の発色剤を併用することができる。その際、一般式(1)で表されるインドリルフタリド化合物又はインドリルアザフタリド化合物及び/又は一般式(2)で表されるフルオラン化合物の含有量が発色剤合計量の50重量%以上になるようにすることが好ましい。即ち、このような発色剤組成とすることにより、植物油に容易に溶解させることができる。
【0024】
発色剤を含有するマイクロカプセルを製造するに際し、一般に、植物油に発色剤を溶解して発色剤溶液を調製するが、植物油に上記発色剤を溶解する際の温度は80〜130℃であることが好ましい。上記範囲よりも低い温度では発色剤が植物油に溶解し難く、上記範囲よりも高い温度では植物油が変質する恐れがある。また、上記発色剤溶液中の発色剤の濃度は植物油に対して、3〜12重量%、特に3〜8重量%であることが好ましい。
【0025】
植物油中に溶解した発色剤を含有するマイクロカプセルは、それ自体公知の任意の方法である界面重合法により製造することができる。マイクロカプセルの壁材としては、従来感圧記録材料の発色剤含有マイクロカプセルの壁材として使用されている水不溶性、油不溶性のポリマーであれば特に制限されることなく使用できるが、熱カブリに対する耐性が大きいことからポリウレタンウレア樹脂であることが特に好ましい。
発色剤を含有するポリウレタンウレア壁材のマイクロカプセルの分散液を調製する方法としては、例えば、上記のようにして調製した発色剤を溶解した植物油溶液に、ポリイソシアネート及び多価ヒドロキシ化合物(所望により紫外線吸収剤)を溶解した溶液を加えて一次溶液とし、これを親水性液体中に乳化分散させ、得られた乳化分散液中に多価アミンを添加し、乳化分散液中の植物油溶液の液滴をポリウレタンウレア樹脂で被覆してマイクロカプセル化する方法がある。多価ヒドロキシ化合物と多価アミンは両方を用いてもよく、何れか一方を用いてもよい。多価アミンを使用しない場合、一般にポリイソシアネートの水との反応する割合が増大する。
【0026】
本発明で使用される多価イソシアネートとしては、水添キシリレンジイソシアネート(一般に水添XDIと呼ばれる)のイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネート(一般にIPDIと呼ばれる)のイソシアヌレート体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、水添キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加体、イソホロンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加体、キシリレンジイソシアネートのビウレット体及びトリス−(p−イソシアネートフェニル)チオホスファイト等を挙げることができる。
【0027】
上記ポリイソシアネートと重合する分子中に2個以上の活性水素を有する化合物は、水、多価ヒドロキシ化合物及び/又は多価アミンである。
上記の多価ヒドロキシ化合物の具体例としては、脂肪族又は芳香族の多価アルコール、ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリアルキレンエーテル、多価アミンのアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0028】
また上記の多価アミン化合物は、分子中に二個以上の−NH−基又は−NH2 基を有し、親水性液体に可溶性である化合物である。この多価アミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
【0029】
また、本発明のマイクロカプセルは有機溶剤として植物油を含むため、製造上の観点から、本発明のマイクロカプセルの壁材は、特に50℃において植物油に、植物油の重量の5重量%以上、好ましくは5〜10重量%溶解する性質を有する脂肪族ポリイソシアネートと分子中に2個以上の活性水素を有する化合物との重合により得られるポリウレタンウレア樹脂であることが好ましく、またこのポリウレタンウレア樹脂は熱カブリに対する耐性が特に大きい。
【0030】
上記脂肪族ポリイソシアネート化合物は、緻密なカプセル壁を形成するため、2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
上記脂肪族ポリイソシアネートは、分子中に炭素原子数4〜10(特に炭素原子数4〜8)のアルキレン基を有することが好ましい。また上記脂肪族ポリイソシアネートは、イソシアヌレートの骨格を有することも好ましい。また上記脂肪族ポリイソシアネートは、特に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレー卜体と該イソシアヌレートにウレタン結合により脂肪族ジオール(例、アルキレンジオール)が結合した化合物との混合物であることが好ましい。
植物油に5重量%以上溶解する脂肪族ポリイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を挙げることができる。このようなイソシアヌレート誘導体は、例えば、バーノックDN990S及びバーノックDN991S(大日本インキ化学工業(株)製)の商品名で販売されており、入手することができる。
【0031】
マイクロカプセルの形成において、上記特定の脂肪族ポリイソシアネートと共に、他のポリイソシアネートを全ポリイソシアネートの30重量%以下の量で、使用してもよい。その際、植物油中で緻密なカプセル壁を形成するためには、植物油と比較的親和性の高いポリイソシアネートを使用することが好ましい。
例えば、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート等を挙げることができる。あるいは、カプセル壁に強度を付与するため、芳香族ポリイソシアネート(たとえばジフェニルメタンジイソシアナート類)を少量使用してもよい。
【0032】
上記の、50℃において植物油に、植物油の重量の5重量%以上溶解する性質を有する脂肪族ポリイソシアネートを用いると、上記のように乳化分散後、植物油に溶解した発色剤の油滴を内包するように、分散媒中の水、あるいは多価ヒドロキシ化合物、多価アミンと重合して、油滴の周囲に選択的に緻密なポリウレタンウレアのカプセル壁を形成することができる。従って、こうして得られたマイクロカプセルを記録材料に用いることにより、発色時の汚れの発生が無くかつ高温高湿下でもカブリが発生しない記録材料を得ることができる。
【0033】
上記のようにして調製されたマイクロカプセルの分散液はそのまま発色剤層形成用塗布液とするか、又はこのマイクロカプセル分散液に更にバインダー、カプセル保護剤等を添加して発色剤層形成用塗布液を調製し、それ自体公知の方法によって支持体上に塗布し、乾燥することによりノーカーボン紙型感圧記録材料の発色剤層を形成する。バインダーとしては水溶性バインダー、ラテックス系バインダー等を使用することができ、カプセル保護剤としては、セルロース粉末、デンプン粒子、タルク等を使用することができる。
【0034】
特に、本発明の感圧記録材料において、発色剤層中にスチレン−ブタジエン系共重合ゴム(SBR)とポリビニルアルコールを加えて発色剤塗布液とすることが好ましい。
SBRとしてはスチレンモノマーを30〜60重量%のものが好ましく用いられ、また、分子中にカルボキシル基を有するSBRもバインダー力向上の点から好ましく用いられる。発色剤層形成用塗布液に添加するSBRは水分散液としたもの(SBRラテックス)を用いることが好ましい。添加量はSBR分散液のSBR固形分として、発色剤マイクロカプセル中に含まれる植物油に対し10〜150重量%、好ましくは20〜120重量%、特に好ましくは40〜100重量%添加される。添加量が10重量%より少ないと上記の浸透防止又は拡散促進の効果が発現せず、また150重量%より多いと発色濃度が低くなるので上記範囲にあることが好ましい。
また、ポリビニルアルコールとしては、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコールのいずれも用いることができるが、鹸化率80〜90%の部分鹸化ポリビニルアルコールがカプセル液の安定性向上及び疎水性向上の点で好ましく用いられる。
添加量はポリビニルアルコール固形分として、発色剤マイクロカプセル中に含まれる植物油に対し5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは20〜60重量%添加される。添加量が5重量%より少ないと上記の浸透防止又は拡散促進の効果が発現せず、また100重量%より多いと発色濃度が低くなるので上記範囲にあることが好ましい。
【0035】
支持体としては、従来感圧記録材料の支持体として使用されている木材パルプからの紙及びこの紙を表面処理した紙を使用することができる。
【0036】
支持体に塗布する発色剤の最終塗布量は、0.05〜0.30g/m2 、好ましくは0.08〜0.20g/m2 が適当である。
【0037】
次に、本発明の感圧記録材料の顕色剤層について説明する。本発明において顕色剤層は顕色剤として活性白土を含む。活性白土は、有機顕色剤であるサリチル酸誘導体等に比較し、発色剤を溶解させる溶媒として植物油を用いた場合でも発色性に優れ、また天然に産出されるものであるので、エコロジー的観点からも優れている。
【0038】
上記顕色剤層を形成するための塗布液は、それ自体公知の方法により調製することができ、例えば、活性白土を公知の方法で水に分散させて得られる。この塗布液には更に、バインダーとして、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、アクリル酸エステル系ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、無水マレイン酸−スチレン−共重合体、デンプン、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の合成又は天然高分子物質が含有されていてもよい。前記のような支持体上への顕色剤層の形成もそれ自体公知の方法により行うことができる。
【0039】
支持体に塗布する顕色剤の最終塗布量は、0.1g/m2 〜4.0g/m2 、好ましくは0.2g/m2 〜3.0g/m2 が適当である。
【0040】
次に、本発明で使用しうる減感インキについて説明する。減感インキとしては、ノンカーボン紙に使用される減感インキは特に制限なく使用することができる。一般に減感インキとしては、減感剤、バインダー、顔料等を有機溶媒に溶解したものや、特に減感剤を使用せず、樹脂被膜による物理的遮蔽層を設けることにより、発色剤と顕色剤の接触を防止するものがあるが、本発明で使用しうる減感インキは前記のような減感剤を含むタイプのもの、あるいは含まないタイプのいずれも使用することができる。
【0041】
減感剤にバインダー、顔料等を加えて作られる減感インキに用いられる減感剤としては、従来用いられている減感剤が特に制限なく使用することができる。例えば、特公昭45−21488号のアルキル、またはジアルキル第4級アンモニウム塩、特公昭46−22651号の誘電率が大きいアミン類とグリコール類、特公昭47−38201号のポリオキシエチレングリコールのアルキルエーテル、アルキルエステル、あるいはアルキルフェノールエーテル、および/またはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの共重合体、特開昭50−37507号に記載の平均分子量400〜5000のポリプロピレングリコール、特開昭54−104912号に記載のアルコキシ化された求核化合物、特公昭55−1919号の平均分子量400〜5000のポリプロピレングリコール、特開昭55−46991号公報のプロピレングリコールとカルボン酸エステルよりなるもの、特開昭55−51586号のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体のアルキルエーテル、特開昭55−51587号のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体、特開昭56−67291号のアミンのアルキレンオキシド付加体であって、アルキレンオキシドの40%以上がブチレンオキシドのもの、特開昭56−142093号の尿素、アルキルアミド、またはアリルアミド等のアルキレンオキシド付加体であって、その40%以上がブチレンオキシドであるもの、特開昭62−268683号のポリアルキレンイミンのアルキレンオキサイド付加体、等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0042】
減感剤の添加量は減感インキ層に対して、10〜50重量%、好ましくは20〜45重量%である。
また減感剤とともに使用される顔料は、チタンホワイト、有機ベントナイト、シリカゲル、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、等の白色顔料が用いられる。添加量は減感インキの固形分に対し0〜50重量%、好ましくは3〜20重量%である。
減感インキのバインダーとしては、紫外線硬化樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、マレイン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチン等が用いられる。
バインダーは減感インキ層中5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%含まれるように、減感インキにバインダーが添加される。
【0043】
特に減感剤を使用せず樹脂被膜による物理的遮蔽層を設けることにより、発色剤と顕色剤の接触を防止するタイプの減感インキとしては、例えば、光架橋型化合物または光重合型化合物に増感剤、重合禁止剤などを加えて得られる紫外線硬化樹脂が用いられる。
【0044】
本発明においては、減感剤を含みかつバインダーとして紫外線硬化樹脂を使用する減感インキが透明化防止のために好ましく用いられる。
市販されている減感インキとしては、例えば、減感剤を含みバインダーとして紫外線硬化樹脂を用いる「UV減感インキ」(富士写真フイルム(株)製)、オフセット用および凸版兼用タイプの減感インキとして「FN104」(富士写真フイルム(株)製)、タフネス専用減感インキとして「FN300」(富士写真フイルム(株)製)、水なし平版用減感インキとして「FN1000VS」(富士写真フイルム(株)製)等を挙げることができる。中でも「UV減感インキ」や「FN300」が好ましく用いられる。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
〔発色剤層形成用塗布液−Aの調製〕
発色剤として、クリスタルバイオレットラクトン4.0g、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド2.5g及びベンゾイルロイコメチレンブルー1.0gを、菜種油120gに130℃で1時間加熱して溶解した。得られた油性液を60℃まで冷却し、次いで脂肪族イソシアネートであるバーノックDN990S(固形分:100%、大日本インキ化学工業(株)製)8g、芳香族イソシアネートであるコスモネートLK(三井東圧化学(株)製、固形分100%)1.0g、並びにアミンのアルキレンオキサイド付加物としてエチレンジアミンのブチレンオキサイド付加物(エチレンジアミンに対するブチレンオキサイドの付加モル数16.8モル、分子量1267)1.6gを溶解し、一次溶液を調製した。
【0046】
次に、水140gにポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「PVA−205」)15gを溶解して二次溶液を調製した。二次溶液を激しく攪拌しながら、これに上記一次溶液を注いで水中油滴型エマルジョンを形成させた。オイルドロップレットのサイズが8.0μmになったところで攪拌を弱め、次いでこの乳化物中に5重量%のテトラエチレンペンタミン水溶液10gと20℃の水100gを添加した後、系の温度を徐々に80℃にまで上昇させ、この温度で90分間維持した。
【0047】
このようにして得られたカプセル液にポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「PVA−217E」)の10%水溶液200g、カルボキシ変性SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製、商品名ノーガテックス2752E)を固形分として120g、及び小麦デンプン粒子(平均粒径20μm)70gを添加した。次いで水を添加して固形分濃度を20重量%に調節して、発色剤層形成用塗布液−Aとした。
【0048】
〔顕色剤層形成用塗布液−Aの調製〕
水100gに20重量%水酸化ナトリウム水溶液5gと10重量%ヘキサメタリン酸ソーダ1gを添加した。得られた溶液に、酸化マグネシウム2gと顕色剤として活性白土(水澤化学工業(株)製、商品名「シルトンF−242」)60gを添加して、ホモジナイザー(AM−7、日本精機(株)製)を用いて10000rpmにて5分間分散し、顕色剤分散液を得た。
小麦粉5gに1重量%水酸化ナトリウム水溶液100gに溶解して澱粉水溶液を調製した。上記顕色剤分散液100gに澱粉水溶液35g及びSBRラテックス15g(固形分)を添加し、さらに水を加えて固形分濃度が20重量%になるように調整して顕色剤層形成用塗布液Aを調製した。
【0049】
〔顕色剤シートAの作製〕
50g/m2 の原紙の片面に、上記顕色剤層形成用塗布液−Aを5.0g/m2 の固形分が塗布されるようにバーコーターを使用して塗布し、乾燥して、顕色剤シートAを作製した。
【0050】
〔中用紙の作製〕
顕色剤シートAの裏面に、カルボキシ変性SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)商品名ノーガテックス2752E)を、固形分として2.0g/m2 が塗布されるように、バーコーターを使用して塗布し乾燥した。
このカルボキシ変性SBRラテックスを塗布した表面上に発色剤層形成用塗布液−Aを4.0g/m2 の固形分が塗布されるようにバーコーターを使用して重層塗布し、乾燥して中用紙を得た。
【0051】
実施例2
顕色剤シートAの裏面に、カルボキシ変性SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製、商品名:ノーガテックス2752E)とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名:PVA−217E)の混合比率が固形分で8:2となるように混合した塗布液を、固形分として2.0g/m2 が塗布されるように、カーテンコーターを使用して塗布乾燥した。
次いで、この塗布面上に発色剤層形成用塗布液−Aを4.0g/m2 の固形分が塗布されるようにバーコーターを使用して塗布し、乾燥して中用紙を得た。
【0052】
比較例1
顕色剤シートAの裏面に、発色剤層形成用塗布液−Aを4.0g/m2 の固形分が塗布されるようにバーコーターを使用して塗布し、乾燥して中用紙を得た。
【0053】
〔評価試験〕
(1)減感インキ印刷部の印字部の透明化レベル評価
実施例及び比較例で得られたそれぞれの感圧記録用シート(中用紙)を用いてRIテスターにて感圧複写紙用減感インキ(FN300:富士フイルム(株)製)を顕色剤塗布面に、盛り量3g/m2 になるように印刷した。
感圧記録用シート(上用紙、富士写真フイルム(株)製、AN40W)と、前記のように減感インキ層を印刷した感圧記録用シート(中用紙)を重ね、沖電機(株)製のドットインパクトプリンター(マイクロライン8340SV)を使用して、加圧印字を行った。中用紙の減感印刷部の印字部が透明化して文字として判読できるかどうか目視で観察し、その程度を下記の基準で評価した。
【0054】
A:全く透明化していない。
B:若干透明化しているが、透明化部分から印字内容を判読することは不可能
であり、実用上問題はない。
C:透明化しており、透明化部分から印字内容をかなりの部分判読することが
可能であり、実用上問題がある。
D:透明化が著しく、印字内容はほとんど判読され、実用不可である。
【0055】
(2)印刷カブリレベル評価
実施例1及び2、比較例1から得られた感圧記録用シート(中用紙)を用い、その顕色剤層の表面に黄色インキで凸版印刷を行い、黄色インキがカブリで変色するかどうか目視で観察した。
A:全く黄色インキが変色していない。
B:やや黄色インキが変色しているが、実用上の問題はない。
C:黄色インキの変色がはげしく、実用上問題がある。
D:黄色インキの変色がはげしく、実用不可である。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例1及び2で作製された記録材料(中用紙)はいずれも、減感インキ印刷部の印字部の透明化レベルが非常に小さく、印字内容は全く判読できないものであり、また、その他の一般性能、例えば発色濃度、加工時の発色汚れも何ら悪化することがなかった。一方、支持体と発色剤層の間にラテックス系バインダーを主体とする層を設けない感圧記録材料は、透明化が著しくかつ印字内容がほとんど判読され、実用不可であった。印刷カブリについても本発明のものが優れていることが分かる。
また、実施例1及び2の記録材料において、発色濃度、加工時の発色汚れ等の特性は前記ラテックス系バインダーを主体とする層を設けない一般の感圧記録材料と何ら遜色のないものであった。
さらに、実施例2においてはラテックス系バインダーを主体とする層をカーテンコーター法を用いて形成したが、良好な膜を形成することができた。
【0058】
実施例3
減感インキとして、富士写真フイルム社製の減感インキ(商品名「UV減感インキ」)を使用する他は、実施例1と同様にして中用紙を作製した。
上記と同様にして透明化および印刷カブリレベルの評価試験を行った。その結果、両者ともAランクの評価を得た。
【0059】
【発明の効果】
本発明は上記のごとく、感圧記録材料において支持体と発色剤層の間にラテックス系バインダーを主体とする層を設けることにより、感圧記録材料に要求される一般的性能、例えば発色濃度、加工時の発色汚れ等を悪化させることなく、記録時、減感インキ層が記録像様に透明化することを防止して記録内容を判読不可能にさせるという効果を有しており、また、改善された耐印刷カブリ性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】支持体と発色剤層の間にラテックス系バインダーを主体とする層を設けた本発明の感圧記録材料の一例を示す模式的断面図である。
【図2】中用紙の下面の発色剤層のマイクロカプセルが破壊されたときの溶媒の移動を示す概念図である。
【図3】上用紙、中用紙、及び下用紙を重ねた感圧記録材料の模式的断面図である。
【符号の説明】
10 支持体
12 ラテックス系バインダーを主体とする層
14 マイクロカプセル
16 顕色剤層
18 減感インキ層
20 発色剤層
Claims (3)
- 紙又は表面処理した紙の一方の面の上に植物油を77重量%〜100重量%含む溶媒中に溶解された電子供与性発色剤を内包するマイクロカプセルを含む発色剤層が設けられ、紙又は表面処理した紙のもう一方の面の上に電子受容性顕色剤を含む顕色剤層が設けられた感圧記録材料において、前記紙又は表面処理した紙と発色剤層の間にラテックス系バインダーを主体とする層が設けられ、かつ前記顕色剤が活性白土であり、前記顕色剤層の上に減感インクの層が形成されていることを特徴とする感圧記録材料。
- 前記減感インクが紫外線硬化樹脂を含有していることを特徴とする請求項1に記載の感圧記録材料。
- 紙又は表面処理した紙の一方の面の上にラテックス系バインダーを主体とする層を設ける工程、前記層上に植物油を77重量%〜100重量%含む溶媒中に溶解された電子供与性発色剤を内包するマイクロカプセルを含む発色剤層を設ける工程、紙又は表面処理した紙のもう一方の面の上に活性白土を含む顕色剤層を設ける工程、及び前記顕色剤層上に減感インキの層を形成する工程、を有する感圧記録材料の製造方法。
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