JP3905082B2 - ビフィドバクテリウム属細菌及びこれを用いた発酵食品 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、攪拌処理を施されながら保存された場合であっても高い生残性を有するビフィドバクテリウム属細菌、及びこれを含有する発酵食品に関する。
背景技術
ビフィドバクテリウム属細菌は偏性嫌気性菌であり、酸素に弱く、発酵製品においては、製造時の増殖や保存時の生残性等、取り扱いに困難な点が多い。ビフィドバクテリウム属細菌の生理効果(整腸効果等)を得るには、できるだけ多くの菌が生きたまま腸に到達する必要があると考えられており、特に発酵食品中での菌の生残性、飲食後の腸への到達率を高めることが、この種の食品製造において重要なファクターとされている。
近年、各種方法による菌株の改良により、増殖性や生残性が改善された菌株が作製されている。また、製造方法の改良や各種生残性改善剤、例えばN−アセチルグルコサミン、パントテン酸、パンテチン、パンテテイン、ペプチド類、ラクチュロース等の添加により、発酵食品レベルでの生残性改善も行われている。
しかしながら、発酵食品の製造現場では、生産コスト、作業性の面から、ビフィドバクテリウム属細菌の発酵物をすべて即日充填することが難しく、現状では他の添加物等と調合した半製品として、好気的なストレージタンクで数日保存されている。このような好気的環境下に置かれても、高い生菌数を規格とし、生残性の良好な製品を安定して提供するためには、さらに生残性を改善する必要がある。
ところが、好気条件又は酸添加等の過酷な条件下において生き残った菌が生残性が高まっているわけではなく、これまで以上に生残性の優れた菌株を得ることは非常に困難であった。また、製造方法の改良や、各種生残性改善剤の添加によっても、製造現場において好気的に保存された発酵食品中の菌の生残性を製品の出荷後まで十分に高めておくことは困難であった。
従って、本発明の目的は、菌を発酵した後に、容器への充填や市場への出荷等がなされるまで、任意の期間保存された場合であっても、生菌数が高く、生残性の良好なビフィドバクテリウム属細菌、及びこれを用いて製造された発酵食品を提供することにある。
発明の開示
斯かる実情に鑑み本発明者らは鋭意研究を行い、発酵乳の出荷前の保存時には、発酵食品の均一性を保持するため、タンク内で攪拌処理が施される場合が多いことに注目した。発酵食品の製造に際しては、ビフィドバクテリウム属細菌は該菌にとって過酷な環境下にさらされていると考えられる。そこで、攪拌を伴う好気保存を行った後の生残率の高いビフィドバクテリウム属細菌を選択し、これを用いて発酵した発酵物を攪拌保存した場合に、発酵物中の菌の生残性が顕著に改善されることを見出した。また、当該発酵物を用い、発酵食品とした場合にも、その保存時の菌の生残性が顕著に改善されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、乳を主成分とする培地中で生菌数1×10cfu/mL以上となるまで培養された後、10℃で14日間攪拌を伴う好気条件下にて保存された場合の生残率が30%以上であるビフィドバクテリウム属細菌を提供するものである。
また、本発明は、前記ビフィドバクテリウム属細菌により発酵された発酵物を含有することを特徴とする発酵食品を提供するものである。
また、本発明は、前記ビフィドバクテリウム属細菌の1又は2以上により発酵された発酵物を含む発酵食品であって、製造直後の当該食品中のビフィドバクテリウム属細菌数が1×10cfu/mL以上であり、10℃で14日間攪拌を伴う好気条件下にて保存した場合の当該ビフィドバクテリウム属細菌のいずれかの生残率が30%以上であるビフィドバクテリウム属細菌含有発酵食品を提供するものである。
発明を実施するための最良の形態
本発明のビフィドバクテリウム属細菌は、乳を主成分とする培地中で生菌数1×10cfu/mL以上となるまで培養された後、10℃で14日間攪拌を伴う好気条件下にて保存された場合の生残率が30%以上のものである。ここで、乳を主成分とする培地とは、乳を主たる栄養源として含み、ビフィドバクテリウム属細菌の生育可能な培地であり、乳としては、牛乳(全脂乳)、その加工品である脱脂乳等が挙げられる。
このような培地中でビフィドバクテリウム属細菌を培養する際の培養条件は特に限定されず、用いるビフィドバクテリウム属細菌の生育条件に合わせて適宜設定すればよいが、概ね30〜40℃、好ましくは33〜37℃で嫌気的に培養するのが好ましい。また、ビフィドバクテリウム属細菌の中には、乳のみを栄養源としては生育が困難な株もあるが、そのような場合には、各種糖質やイーストエキストラクト、ペプチド類等、ビフィドバクテリウム属細菌の必須栄養源や増殖促進物質等を培地に添加してもよい。また、ビフィドバクテリウム属細菌と共に培養することでその増殖を助ける、ラクトコッカス・ラクチス等の乳酸菌等と同時に培養することもできる。
また、ビフィドバクテリウム属細菌の培養に用いる培地のうち、一般的に用いることのできるものとしては、20重量%(以下単に%と記載する)脱脂粉乳及び0.03%ミーストを含む液体培地が挙げられる。このような培地中であれば、ほぼ全てのビフィドバクテリウム属細菌が生育可能であり、本発明の菌であれば1×10cfu/mL以上まで培養された後、前記のような攪拌保存を行っても30%以上の生残率を示す。
本発明のビフィドバクテリウム属細菌としては、このような培地中で1×10cfu/mL以上まで培養された後、30%以上の生残率を示すものが特に好ましい。
通常、発酵乳等のビフィドバクテリウム属細菌を含む飲食品等の製造にあたっては、少量で高い菌数を得ることが要求されることから、保存後であっても製品中の菌数を1×10cfu/mLを上回る程度に維持できるよう製品の設計がなされている。本発明のように、1×10cfu/mL以上の菌数で攪拌保存後の生残率が高い株は、高菌数の飲食品等においても高い攪拌耐性(生残率)を有するとともに、攪拌保存後静置保存された場合、すなわち商品形態となった後、保存された状態での生残率も顕著に高いものである。特に、1×10cfu/mL以上まで培養された後の生残率の高い株は、前記効果が良好である。
また、本発明において、攪拌保存とは、乳を主成分とする培地でビフィドバクテリウム属細菌を培養した培養物、又は適宜シロップ等と調合して作製した発酵食品を、好気的な状態で、攪拌子や攪拌羽根を用い、攪拌を継続して保存することである。
ビフィドバクテリウム属細菌の生残率を確認する際、具体的には、攪拌子を入れた300mLフラスコに、培養物又は発酵食品を300mL注ぎ、綿栓をし、このフラスコを10℃の恒温器中でマグネチックスターラーを用い、およそ120r/minで攪拌を継続して保存する方法を用いればよい。
また、生残率とは、保存後にどの程度生菌が存在しているかを示すものであり、生菌数は常法に従い求めることができる。例えば、適宜希釈した生菌を含む発酵物(食品)をTYL寒天平板培地に塗沫し、37℃で72時間嫌気的に培養した後の培地上のコロニーを測定することによって求めることができる。
本発明において、生残率とは、乳を主成分とする培地中で生菌数1×10cfu/mL以上となるまで培養された培養液、又は製造直後の発酵食品中の保存前の生菌数に対する、攪拌保存(10℃、14日)後の生菌数の割合である。
このような攪拌保存において30%以上の生残率を有するビフィドバクテリウム属細菌は、当該菌株を用いて発酵食品を製造した場合に、タンク内で攪拌保存された場合等であっても高い生残率が得られるばかりでなく、製品化し、保存した後まで生残性が高く維持され、非常に有用である。
本発明において、ビフィドバクテリウム属細菌の菌種は特に限定されず、例えばビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium.breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B.bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)、ビフィドバクテリウム・アニマーリス(B.animalis)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム(B.pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(B.adolescentis)等いずれも好適に使用することができる。中でも、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガムが、発酵食品製造後の生残性改善効果が高く、安全性等も十分に確認されていることから好ましく、特に、ビフィドバクテリウム・ブレーベが好ましい。
このような攪拌保存後の生残率の高い菌は、例えば、まず親株となるビフィドバクテリウム属細菌を培養し、得られた発酵物を2週間程度攪拌しながら保存し、生き残った菌の中から、耐性の高いものを選抜することにより、得ることができる。
このような方法により、攪拌保存後の生残率が特に高い菌株と認められた2株を、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 10001(FERM BP−8205)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 10002(FERM BP−8206)として、それぞれ平成13年8月14日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))に寄託した。
ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 10001及びYIT 10002は、以下のような菌学的性質を有する。
Figure 0003905082
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また、紫外線やニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホン酸(EMS)等突然変異誘導体等による処理を施して、攪拌保存後に高い生残率を有する株を選択することもできる。
本発明の発酵食品は、前記のようなビフィドバクテリウム属細菌により発酵された発酵物を少なくとも1種以上含有するものであり、製造直後の当該食品(ビフィドバクテリウム属細菌数1×10cfu/mL以上)を10℃で14日間攪拌を伴う好気条件下にて保存した場合の当該ビフィドバクテリウム属細菌の生残率が30%以上のものである。発酵食品としては、例えば発酵乳、発酵豆乳、発酵果汁、発酵植物乳液等が挙げられ、特に発酵乳、発酵豆乳であれば、製品保存後まで生残性が著しく改善されるので好ましい。
発酵食品としては、培養後の培養物中にビフィドバクテリウム属細菌を1×10cfu/mL以上含み、他の成分を加えて製品化した直後には、1×10cfu/mL以上含むものが好ましい。この程度まで菌を増殖させた場合には、他の株(例えば親株)を用いた場合と比べ、特に優れた生残性改善効果を得ることができる。
発酵食品の製造には、本発明のビフィドバクテリウム属細菌以外の微生物を併用することもできる。かかる微生物としては、例えばラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ(L.delbrueckii subsp.delbrueckii)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリクス(L.delbrueckii subsp.bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.helveticus)、ラクトバチルス・ゼアエ(L.zeae)、ラクトバチルス・サリバリウス(L.salivalius)等のラクトバチルス属細菌;ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌;ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus.lactis subsp.lactis)等のラクトコッカス属細菌;バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属細菌;サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyses cerevisiae)、トルラスポラ・デルブルエッキー(Torulaspora delbrueckii)、キャンジダ・ケフィア(Candida kefyr)等のサッカロマイセス属、トルラスポラ属、キャンジダ属等に属する酵母などが挙げられる。
これらのうち、ラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス属細菌及びラクトコッカス属細菌から選ばれる1種以上を併用して発酵乳製品を製造すると、高い嗜好性が得られるため継続的な飲用が容易であり、また、生残率の向上効果も高いため好ましい。
本発明の発酵食品は、通常の方法により、製造することができる。例えば、発酵乳を製造するには、まず殺菌した乳培地にビフィドバクテリウム属細菌を単独又は他の微生物と同時に接種培養し、これを均質化処理して発酵乳ベースを得る。次に、別途調製したシロップ溶液を添加混合し、ホモゲナイザー等で均質化し、更にフレーバーを添加して最終製品に仕上げれば良い。
このようにして得られる本発明の発酵乳は、プレーンタイプ、ソフトタイプ、フルーツフレーバータイプ、固形状、液状等のいずれの形態の製品とすることもできる。
本発明の発酵食品には、通常の発酵食品に用いられる食品素材、例えば各種糖質、乳化剤、増粘剤、甘味料、酸味料、果汁等を適宜配合することができる。具体的には、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類;蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤;カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、ローカストビーンガム等の増粘(安定)剤;クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料;レモン果汁、オレンジ果汁、ベリー系果汁等の果汁類等が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類や、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類等を添加することができる。
実施例
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
ビフィドバクテリウム・ブレーベA株(YIT 4065:FERM BP−6223:平成8年2月29日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)に寄託した。))(セファロシン・ストレプトマイシン耐性株)を親株とし、20%脱脂粉乳を用い、ラクトコッカス・ラクチスとともに接種し、37℃で24時間混合培養して、菌液を調製した。この菌液に、20%脱脂粉乳を用いてストレプトコッカス・サーモフィルスを37℃で20時間培養した菌液を加え(混合比1:2)、最後に終濃度5%となるよう還元麦芽糖水あめを含むシロップ液を加えた発酵乳製品を調製した。この発酵乳製品をガラス容器に注ぎ、綿栓をした好気的な環境で、保存期間中スターラーによる攪拌を行った。この状態で、10℃2週間保存し、生残菌を培地上に塗沫し、単一のコロニーを2000株分離した。
分離した株と親株であるビフィドバクテリウムA株とで、上記と同様に発酵乳製品を調製した。これらを攪拌子を入れた300mLフラスコに300mL入れ、綿栓をし、スターラーを用いて120rpmで攪拌しながら保存し、保存中の生残性を比較したところ、A株と比較して優れた生残性を示す2株を得た。攪拌保存2週間後の生残率を表3に示すが、これら2株(YIT 10001、YIT 10002)は、攪拌保存2週間で30%以上の生残率を示していた。なお、菌数測定には、表4に示す組成のTYL培地を用いた。
Figure 0003905082
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実施例2 生残性試験
ビフィドバクテリウム属細菌として、ビフィドバクテリウム・ブレーベYIT 10001、YIT 10002及びA株をそれぞれ用い、発酵乳製品を調製した。
すなわち、2.5Lジャーファーメンターに、20%乳培地を2L入れ、上記ビフィドバクテリウム属細菌各々とラクトコッカス・ラクチス YIT 2027株のシードスターターをそれぞれ2%、0.01%接種し、37℃で24時間培養し、15Mpaで均質化して菌液を調製した。また、20%脱脂粉乳を用いてストレプトコッカス・サーモフィルスを37℃で20時間培養し、15Mpaで均質化した菌液を調製した。これらの菌液を1:2の割合で混合し、終濃度5%となるよう還元麦芽糖水あめを含むシロップ液を加えた発酵乳製品を調製した(菌数は、A株が5.65×10cfu/mL、YIT 10001が5.34×10cfu/mL、YIT 10002が5.45×10cfu/mL)。
これらを実施例1と同様にして、10℃で攪拌保存又は調製後1週間攪拌してから試験管に充填し、気相を窒素で置換して嫌気保存したときの生菌数を測定した。結果を図1及び図2に示す。
その結果、YIT 10001及びYIT 10002を14日間保存した際の生残性は30%を超え、A株に比べ改善されていた。また、両株を攪拌保存した後、静置保存した場合の生残性も、A株に比べ顕著に改善されていた。
実施例3
2.5Lジャーファーメンターに、24%乳培地を2L入れ、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 10001及びラクトコッカス・ラクチス YIT 2027のシードスターターをそれぞれ2%、0.01%接種し、37℃で24時間培養し、15Mpaで均質化して菌液を調製した。また、20%脱脂粉乳にラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルスのシードスターターをそれぞれ0.5%接種し、37℃で24時間培養し、15Mpaで均質化した菌液を調製した。これらの菌液を2:3の割合で混合し、終濃度10%となるようにパラチノースを含むシロップ液を加えた発酵乳製品を調製した(YIT 10001の初発菌数は5.76×10cfu/mL)。
この発酵乳製品は、実施例1と同様に、10℃で攪拌しながら2週間保存しても、YIT 10001の生残率は30%以上であり、風味も良好であった。
産業上の利用可能性
本発明のビフィドバクテリウム属細菌は、攪拌保存しても高い生残率を示すものであり、生菌を多く含む発酵食品を製造することができる。従って、本発明の発酵食品は、生菌数が多く、ビフィドバクテリウム属細菌の有する、腸内有害菌の抑制、整腸作用等の生理効果が高いものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例2において、各菌株を含有する発酵乳製品を10℃で攪拌保存したときの生菌数を示す図である。
図2は、実施例2において、各菌株を含有する発酵乳製品を10℃で1週間攪拌保存してから充填し、嫌気的に静置保存したときの生菌数を示す図である。

Claims (6)

  1. 乳を主成分とする培地中で生菌数1×108cfu/mL以上となるまで培養された後、10℃で14日間攪拌を伴う好気条件下にて保存された場合の生残率が30〜33%であるビフィドバクテリウム・ブレーベ
  2. ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 10001(FERM BP−8205)又はビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 10002(FERM BP−8206)。
  3. 請求項1又は2記載のビフィドバクテリウム・ブレーベの1種以上により発酵された発酵物を含有することを特徴とする発酵食品。
  4. 請求項1又は2記載のビフィドバクテリウム・ブレーベの1以上により発酵された発酵物を含む発酵食品であって、製造直後の当該食品中のビフィドバクテリウム・ブレーベの細菌数が1×108cfu/mL以上であり、10℃で14日間攪拌を伴う好気条件下にて保存した場合の当該細菌のいずれかの生残率が30〜33%であるビフィドバクテリウム・ブレーベ含有発酵食品。
  5. 発酵乳である請求項3又は4記載の発酵食品。
  6. 更に、甘味料を含有する請求項3〜5のいずれか1項記載の発酵食品。
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