JP3905006B2 - 熱融着性フィルムおよびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン重合体組成物から成形し、レトルト食品等の被包装物の包装材料として好適に用いられる熱融着性フィルムを用いた熱融着性積層フィルムに関する。すなわち耐ブロッキング性に優れ、剛性、耐低温衝撃性を有し、かつレトルト殺菌処理などの熱処理を行ってもヒートシール強度の低下が小さく、それから得られる包装体表面に凹凸の発生が軽減された、レトルト食品等用の包装材料として好適に用いられるフィルムを用いたレトルト食品、医薬品、ペットフード等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物用の包装材料に好適な熱融着性積層フィルムに関する。また本発明はその積層フィルムを用いて加熱・殺菌処理が必要な被包装物を包装した包装体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
高齢化、核家族化、単身赴任の増加、あるいは共働き世代の増加、さらには結婚年齢の高齢化、等々の社会変化の影響を受け、食文化が多様化し、また調理時間の短縮や調理への利便性に対する要望が高まって来ている。そこで、調理した食品をあらかじめ袋に入れて密封した後、加圧・加熱殺菌処理したいわゆるレトルト食品を購入しておき、必要な時にレトルト食品を袋ごと湯の中に入れて加熱し、内容物を取り出して食事に供する機会が増加している。そのようなレトルト食品は、一般家庭用のみならず業務用にも普及し始めており、そのために大量の食品を一度に包装できる包装材料が求められている。
【0003】
レトルト食品は、一般に長期間に亘る常温保存あるいは冷蔵・冷凍保存されることから、その包装材料に用いられるフィルムには、包装体のヒートシール部から破損しないように高いヒートシール強度と耐低温衝撃強度が求められている。また同時にレトルト食品は、その食品を充填し密封した後、100〜140℃程度の高温・高圧釜を用いてレトルト殺菌処理が行われているために、その処理に耐えられるようなヒートシール部の耐熱性とヒートシール強度の保持が、食品の品質管理面からも要求されている。
【0004】
この用途に従来使用されているフィルムは、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンド体から製造したフィルム、ポリプロピレンブロック共重合体から製造したフィルム、あるいは、そのポリプロピレンブロック共重合体とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンド体から製造したフィルム等であった。それらは、耐熱性と耐低温衝撃強度に優れてはいるが、いまだ耐低温衝撃強度と耐ブロッキング性とのバランスが十分とは言えず、またレトルト処理後にヒートシール強度が低下する傾向にあった。
【0005】
そこで、レトルト処理後のヒートシール強度低下を少しでも防止するために、特開2000−255012号公報には、ポリプロピレンブロック単位95〜70重量%とエラストマーブロック単位5〜30重量%とから構成されたプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体をヒートシール層に用いる提案がなされている。しかしながら、同公報に具体的に記載されているプロピレン含有量30〜70モル%のエラストマーブロック単位を含むプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体から成形されたフィルムは、耐低温衝撃強度が十分でなく、またレトルト処理後にシール強度が低下する傾向にあった。また、包装体表面に凹凸(いわゆる柚子肌)が発生し易く、外観不良の一原因にもなっている。
【0006】
また、特開2000−119480号公報には、レトルトフィルムの耐低温衝撃性、ヒートシール強度、耐熱性等を改良するために、パラキシレン可溶部の極限粘度[η]が1.5〜2.8(dl/g)のプロピレン・エチレンブロック共重合体90〜99重量%にエチレン・α−オレフィン共重合ゴムを1〜10重量%を添加した組成物が提案されている。このような組成物から得られるフィルムは、耐低温衝撃性は改良されるものの、耐ブロッキング性が良好でなく、レトルト処理後のシール強度の低下抑制効果も十分とは言い難いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、レトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装に好適な熱融着性フィルムを用いた熱融着性積層フィルムを提供することである。また本発明の目的は、剛性および耐低温衝撃性を有し、耐ブロッキング性とヒートシール強度に優れ、しかも加熱処理後にもヒートシール強度の低下が小さく、かつ包装体表面に凹凸の発生が防止ないし軽減された熱融着性フィルムを用いた熱融着性積層フィルムを提供することである。
【0008】
このように本発明の目的は、そのような熱融着性フィルムを1層として含む熱融着性積層フィルムを提供することである。さらに本発明の目的は、そのような熱融着性積層フィルムを用いた加熱・殺菌処理を必要とする被包装物の包装体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、プロピレン重合体成分(A)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)およびエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)とからなるプロピレン重合体組成物から得られるフィルムであって、その組成物中の成分は、
(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、その極限粘度が2以上かつ3.5(dl/g)未満であって、プロピレン単位を70〜85重量%含有し、そして
(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.910(g/cm3)であって、組成物中に10〜30重量%を占め、
(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつエチレン単位の含有量が10〜20重量%である熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されていることを特徴とする熱融着性積層フィルムに関する。
【0010】
ここで、前記のプロピレン重合体組成物は、23℃でのp−キシレン可溶分が15〜30重量%であり、かつ50℃でのヘキサン可溶分が2.6重量%以下であることが望ましい。また、そのプロピレン重合体組成物は、そのメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつエチレン単位の含有量が10〜20重量%であることが好ましい。さらに、前記のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、そのメルトフローレート(190℃)が0.01〜5(g/10分)であることが好ましい。このようなフィルムは、低温耐衝撃性に優れ、加熱処理後においても高いヒートシール強度および良好な外観とを保持しているので、レトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物等の包装用として好適である。
【0011】
また前記の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されている熱融着性積層フィルムは、レトルト食品等の包装用として好適である。
【0012】
さらに本発明の熱融着性積層フィルムをヒートシールすることによって、被包装物、特に好ましくは加熱・殺菌処理を必要とする被包装物が包装されている包装体に関する。
【0013】
【発明の具体的説明】
次に本発明に用いられる熱融着性フィルム、そのフィルムを1層として含む積層フィルム、およびそれを用いた加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装体について順を追って具体的に説明する。
【0014】
プロピレン重合体組成物
本発明に係わる熱融着性フィルムは、基本的にはプロピレン重合体成分(A)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)およびエチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)とから構成されているプロピレン重合体組成物を原料とし、それから成形して得られるフィルムである。
【0015】
(A)と(B)との構成割合は、その重量比を(A)/(B)で表現すると、80/20〜95/5、好ましくは83/17〜90/10の範囲にある。また、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)がプロピレン重合体組成物中に占める割合は、10〜30重量%、好ましくは11〜23重量%、より好ましくは12〜20重量%である。このような重合体組成物からは、耐低温衝撃強度、剛性、初期ヒートシール強度および熱処理後のヒートシール強度に優れたフィルム、特にレトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装用に好適なフィルムを得ることができる。
【0016】
この組成物のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238に準拠して230℃、2.16kg荷重下で測定した値が、好ましくは2〜10(g/10分)、より好ましくは2.5〜8(g/10分)の範囲にある。そのようなメルトフローレート値を有する組成物は、フィルム成形性が良好であると共に、耐低温衝撃強度に優れたフィルムを製造することができる。また組成物中におけるエチレン単位の含有量は、好ましくは10〜20重量%、より好ましくは12〜18重量%である。
【0017】
このプロピレン重合体組成物において、さらに23℃におけるp−キシレン可溶分が15〜30重量%であり、かつ50℃におけるヘキサン可溶分が2.6重量%以下であるその組成物は、FDA等の「食品等の衛生性に関する規格適合条件」を満たしていることから、レトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物のための包装用フィルムの製造に好適である。
【0018】
次に、組成物を構成する各成分について具体的に説明する。
【0019】
<プロピレン重合体成分>
プロピレン重合体組成物の主成分になるプロピレン重合体(A)は、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと10重量%以下、好ましくは5重量%以下のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンであって、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテンを挙げることができる。これらの重合体の中でもプロピレン単独重合体を用いると、耐熱性に優れたフィルムを得ることができるので好ましい。
【0020】
<プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分>
また、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、プロピレンと前記したと同じプロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、エラストマー的な性状を有している。α−オレフィンとしては、特にエチレンが好ましい。
【0021】
この共重合体(B)中に占めるプロピレン単位の含有量は、70〜85重量%、好ましくは75〜83重量%、α−オレフィン単位の含有量は、15〜30重量%、好ましくは17〜25重量%の範囲にある。プロピレン単位の含有量が前記の範囲にあると、この共重合体成分を含む組成物から耐低温衝撃強度および低温ヒートシール性に優れ、また熱処理後においても高いシール強度を保持するフィルムを成形することができる。なお、プロピレン単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析によって測定することができる。
【0022】
ここでプロピレン重合体組成物中に占める共重合体(B)の割合は、組成物サンプル(a:グラム)をp−キシレンに完全に溶解させ、その後23℃で24時間放置した後、遠心分離によって析出物(b:グラム)を分離してから、サンプル中のp−キシレン可溶部を共重合体(B)として次式によって算出することができる。
共重合体(B)の割合={(a−b)/a}×100 (重量%)
【0023】
また、共重合体(B)の極限粘度[η]は、2以上かつ3.5(dl/g)未満、好ましくは2.5〜3.3(dl/g)である。極限粘度[η]が前記の範囲にあると、それを含む組成物からは、フィッシュアイの発生を抑制しながら、耐ブロッキング性に優れたフィルムを製造することができる。
【0024】
なお極限粘度[η]は、前記の分別操作によって分離したp−キシレン可溶部に過剰のアセトンを加えて溶解物を析出させ、回収した析出物についてデカリン溶媒中、135℃で測定した粘度から求めることができる。
【0025】
<エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分>
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、エチレンと炭素数4以上、好ましくは4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体である。α−オレフィンの具体例として、1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンを挙げることができる。これらの中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。これらα−オレフィンは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて含有していてもよい。また、異なるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体どうしの混合物であってもよい。
【0026】
好ましい共重合体(C)の具体例としては、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体を挙げることができる。
【0027】
共重合体(C)は、その密度が、0.865〜0.910(g/cm3)、好ましくは0.875〜0.900(g/cm3)である。
【0028】
共重合体(C)中のエチレン単位の含有量は、好ましくは70〜95モル%、より好ましくは80〜93モル%、α−オレフィン単位の含有量は、好ましくは5〜30モル%、より好ましくは7〜20モル%の範囲にある。
【0029】
この共重合体成分(C)は、次に記すいずれかの物性を有することが望ましく、それを含むプロピレン重合体組成物からは、より耐低温衝撃強度と落下衝撃強度に優れたフィルムを得ることができる。
【0030】
(1)ASTM D−1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート値が、好ましくは0.01〜5(g/10分)、より好ましくは0.1〜3(g/10分)である。
【0031】
(2)X線回折法によって測定される結晶化度が、好ましくは5〜40%、より好ましくは7〜30%である。
【0032】
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)が、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
【0033】
(4)示差走査型熱量計(DSC)を用い、昇温速度10(℃/分)での条件で測定した吸熱曲線から求めた融点が、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは60〜90℃である。
【0034】
<組成物の調製方法>
プロピレン重合体組成物は、例えば次の方法によって調製することができる。
【0035】
(1)プロピレン重合体成分(A)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)、およびエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)の各々を予め製造しておき、その後各成分を所定の配合割合で混合する。
【0036】
(2)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物を予め調製し、その後エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)を所定の配合割合で混合する。
【0037】
プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、プロピレン重合体成分(A)およびプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とを互いに異なった重合工程で製造した後、混合することにより調製することができる。プロピレン重合体成分(A)の重合工程とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)の重合工程とは、直列であってもよく、また並列に行ってもよい。前者の場合には、いずれの工程が先にきても差し支えなく、好ましくはプロピレン重合体成分(A)の重合工程を最初にした方が、プロピレン重合体成分(A)として高結晶性重合体が製造できるために好ましい。また、第一の重合工程はバッチ重合法でも連続重合法でも行うことが出来るが、連続重合法の方が好ましい。連続重合工程は、1つの重合器からなる単段でもよいし、複数の重合器を多段に用いる方法であってもよい。このような重合工程を経て得られるプロピレン重合体成分(A)およびプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、通常プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体とも呼ばれている。
【0038】
前記のプロピレン重合体成分(A)およびプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒のようなオレフィン立体規則性重合触媒を用いて製造することができる。重合触媒の一例として、活性マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン化合物、および内部電子供与体を必須成分とする固体チタン触媒成分を有機または無機担体に担持させ、それに周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物成分を加え、さらに外部電子供与体を加えた触媒系を挙げることができる。この触媒系は、プロピレン等の本重合に先だって、オレフィンの予備重合を予め行ってもかまわない。前記の固体チタン触媒成分としては、アルコールを含有するマグネシウム化合物と、四塩化チタンとを炭化水素溶媒中で反応させた反応生成物が好ましく、また外部電子供与体としては、ジエーテル化合物および/またはシラン化合物が好ましい。ここに記した重合触媒は、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造にも使用することができる。
【0039】
重合方法としては、炭化水素溶媒下での懸濁重合、プロピレン溶媒下での懸濁重合、気相重合、それらの組み合わせ等、いずれの方法をも採用することができる。例えば、第1段の工程はプロピレン溶媒下で懸濁重合を行い、引き続く第2段の工程を気相重合で行うこともできる。
【0040】
また、プロピレン重合体成分(A)およびプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、前記の重合工程を経ずに、予め製造したプロピレン重合体成分(A)およびプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とを溶融混練することによっても得られる。
【0041】
高度の耐衝撃性フィルムが要求される用途では、前記したプロピレン重合体組成物にさらにエラストマー成分を含有させることができる。配合可能なエラストマー成分としては、一般の熱可塑性ゴムが使用できる。その例として、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム、エチレン・1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン・1−オクテン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン・ジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体あるいはスチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物を挙げることができる。
【0042】
また、フィルム成形に先だち、本発明の目的を損なわない範囲で、プロピレン重合体組成物に酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料等を配合してもよい。
【0043】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等を挙げることができる。アンチブロッキング剤としては、酸化アルミニウム、微粉末シリカ、ポリメチルメタアクリレート粉末、シリコン樹脂等を挙げることができる。
【0044】
スリップ剤としては、エチレンビスステアロアマイド等のビスアマイド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド等を挙げることができる。滑剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等を挙げることができる。核剤としては、ジベンジリデンソルビトール、ロジン酸の部分金属塩等のロジン系核剤、アルミニウム系核剤、タルク等を挙げることができる。
【0045】
フ ィ ル ム
本発明に係わる熱融着性フィルムは、前記したプロピレン重合体組成物から得られるフィルムである。フィルムを製造する方法は、特に限定されるものではなく、通常採用されている方法によって行うことができる。例えば、1軸または2軸の押出機を用いて前記プロピレン重合体組成物のペレットまたはパウダーを溶融し、押出機の先端に設けられたTダイもしくは環状のダイから溶融樹脂をフィルム状に押出すことによって製造することができる。押出機中の溶融樹脂温度は、通常200〜300℃、好ましくは200〜280℃の範囲である。
【0046】
溶融樹脂をTダイから押出した場合には、押し出されたフィルムは、水または他の媒体で一定温度に設定したロールに接触させて冷却・固化させ、その後巻き取られる。環状ダイから押出した場合には、環状フィルムの外部および/または内部を冷却媒体、例えば冷却された空気あるいは水等で冷却し、その後フィルムをスリットしてから、あるいはそのままの状態で巻き取って目的のフィルムを製造する。このようにして得られたフィルムは、その厚みが、通常20〜1000μm、好ましくは30〜200μm、より好ましくは40〜100μmの範囲が望ましい。
【0047】
このフィルムは、それ単層のままで一般包装用フィルムとして使用することができ、特にレトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装用フィルムに好適である。また基材になり得る層に積層して、積層体の形で同様の用途に使用することができる。
【0048】
積 層 フ ィ ル ム
本発明の積層フィルムは、前記した本発明の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されている積層体である。基材層としては、包装材料として使用可能なものであれば特に制限されず、その形状はシート、フィルム、トレー、容器等々いずれであってもよい。
【0049】
使用可能な基材層の例として、熱可塑性樹脂フィルムやシート、シートを熱成形したトレーやカップ状容器、あるいはアルミニウム箔や紙から形成した同様の形状物を挙げることができる。フィルムの例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂のフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドのフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルクロライドフィルム、ポリビニリデンクロライドフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムを挙げることができる。
【0050】
基材層がフィルム形状の場合、そのフィルムは、無延伸フィルムであってもよいし、一軸または二軸方向に延伸されたフィルムであってもよい。さらに、熱可塑性樹脂フィルムは、それにアルミニウムや亜鉛等の金属、シリカや酸化アルミニウムのような酸化物あるいは無機物を蒸着したフィルムであってもよい。さらに、それらを組み合わせた複合体や積層体であってもよい。
【0051】
基材層の表面に本発明に係わる熱融着性フィルム層を形成させて積層フィルムを成形する方法としては、一般に行われる積層方法をそのまま採用することができ、その際両層の中間に接着層を設けることができる。例えば、基材層にウレタン系やイソシアネート系のアンカーコート剤を塗布してからその上に熱融着性フィルムをドライラミネートしたり、あるいはプロピレン重合体組成物を直接基材層上へ押し出してラミネートないし押出しコーティングする方法で製造することもできる。また基材層が熱可塑性樹脂から形成される場合には、共押出し法によって両樹脂から直接積層フィルムへと成形することもできる。なお、レトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装用積層フィルムの場合には、通常熱融着性フィルムの一方の面に基材層を積層するが、別の包装材として利用する場合には、熱融着性フィルムの一方の面とは限らず両面に基材層を積層することもある。
【0052】
このようにして得られた積層フィルムは、包装材料として用いた時に熱融着性フィルム層のヒートシール強度(ヒートシール部の剥離強度)が高く、しかも高温・高圧下で行われるレトルト処理等の加熱処理の後にも高いヒートシール強度を保持しており、例えば少なくとも35(N/15mm)の剥離強度を保持している。
【0053】
本発明に係わる積層フィルムは、耐熱性、耐低温衝撃強度、高いヒートシール強度、剛性等の特性を有するヒートシール層が表面に形成されており、また基材層の種類によっては高いガスバリヤー性や機械的強度等がさらに付与されることから、レトルト食品包装を含む広い用途分野で利用可能である。また、この積層フィルムは、フィルム形状のままで使用したり、あるいはトレーや容器の形状に変えてから包装材として使用することもできる。
【0054】
包 装 体
本発明に係わるレトルト食品、医薬品、医療用器具、ペットフード等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装体は、基材層に前記の特性を有する熱融着性フィルムを積層した積層フィルムを少なくとも一つの包装材料として用い、その熱融着性フィルム層を内表面側に位置するように配置し、内容物になるレトルト食品等を被包装物として充填ないし包装し、熱融着性フィルム層をヒートシールすることによって被包装物が包装されているものである。
【0055】
包装材としては、熱融着性フィルム単層であってもよいが、前記した積層フィルムの方が基材層の持つ諸特性を利用できるので好ましい。その積層フィルムをレトルト食品等の包装体の製造に使用する場合、積層フィルムの具体例として次に記す基材層と熱融着性フィルム層との組み合わせを挙げることができる。
【0056】
ポリエステル層/熱融着性フィルム
ポリアミド層/熱融着性フィルム
ポリエステル層/アルミニウム箔/熱融着性フィルム
ポリエステル層/ポリアミド層/アルミニウム箔/熱融着性フィルム
ポリアミド層/ポリ塩化ビニリデン層/ポリエステル層/熱融着性フィルム
【0057】
包装体では、熱融着性フィルム層が最内層に位置するように配置されてからヒートシールが行われるので、ヒートシール部のヒートシール強度は高く、また加熱処理後においても高いヒートシール強度が保持されている。
【0058】
従って、この被加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装体は、輸送時あるいは店頭や家庭等での取扱いに際しても、内容物であるレトルト食品等の被加熱・殺菌処理が必要な被包装物が漏れ出すおそれが少なく、常温あるいは冷蔵・冷凍下で長期間保存しても、内容物は変質しにくい。なお、本発明において被包装物は、一般の食品は勿論のこと、レトルト食品、医薬品、医療用器具、ペットフード等の加熱・殺菌処理を必要とする被包装物全般を含むものである。
【0059】
【実施例】
次に実施例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0060】
なお、重合体および重合体組成物の性状を示す物性値、およびフィルムや積層フィルムを評価するための物性値は、次に記す試験方法によって各々測定した。
【0061】
(1)重合体物性の測定方法
<エチレン含有量>
赤外線吸収スペクトルを用いて720cm−1の吸光度を測定し、その値から算出した。
【0062】
<極限粘度[η]>
ウベローデ型粘度計を用い、重合体サンプルをデカリンに溶解させ、その溶液の粘度測定を135℃で行い、その測定値から極限粘度を求めた。
【0063】
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D−1238に準拠して、190℃または230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
【0064】
<p−キシレン可溶分量>
組成物サンプルをp−キシレンに完全に溶解させ、その後23℃で24時間放置した。さらに遠心分離によって析出物を分離し、サンプル重量からその析出物の重量を減じて算出した。
【0065】
<ヘキサン可溶分量>
組成物サンプル2gを1リットルのヘキサンに装入し、50℃で2時間攪拌した後、濾過により固液分離を行った。溶液部のヘキサンを揮発させることによってヘキサン可溶分を採取し、その重量より算出した。
【0066】
(2)フィルム物性の測定方法
<耐低温衝撃強度>
厚み70μmのフィルムを用い、安田精機製フィルムインパクトテスターを使用して、測定温度を−10℃、ハンマーの先端径を1インチ、ハンマーのエネルギーを3ジュールの条件下においた以外はASTM D−3420に準拠して測定を行なった。
【0067】
<耐ブロッキング性>
厚み70μmのフィルムを用い、ASTM D−1893に準拠して、40kg荷重下、60℃で7日間放置した後、ブロッキングの程度を測定した。
【0068】
<耐屈曲白化性>
フィルムをA4サイズにカットし、そのフィルムの両端を両手で持ち、30回もみほぐした後、フィルムの屈曲した部分が白化しているか否かを調べた。
【0069】
<ヘイズ>
ASTM D−1003に準拠して測定した。
【0070】
(3)積層フィルムの物性測定方法
<ヒートシール強度>
2枚の積層体の熱融着性フィルム層面どうしを重ね合わせ、内容物の入る部分の大きさが積層体の縦方向105mm×横方向155mmになるようにヒートシールして、三方シール袋を作成した。ヒートシールは、幅5mmのシールバーを用いて、シール温度200℃および210℃、圧力0.2MPa、時間1秒の条件で行った。
【0071】
作成した三方シール袋の縦ヒートシール部(縦:サイド部)および横ヒートシール部(横:底部)から15mm幅の試験片を切り取り、クロスヘッド速度500(mm/分)でヒートシール部を剥離し、その時の剥離強度をレトルト殺菌処理前のヒートシール強度(N/15mm)とした。
【0072】
一方、レトルト殺菌処理した後のヒートシール強度の測定は、次の方法で行った。すなわち、前記の方法で作成した三方シール袋の開口部から水9:サラダ油1の割合で混合した液200mlを内容物として封入し、開口部も前記と同じ条件でヒートシールした。この袋を熱水シャワー式の高圧高温殺菌処理装置に入れて121℃で30分間処理し、その後冷却した。次いで、内容物を捨て、洗剤で油分を洗い流し、自然乾燥させた。この袋について、レトルト殺菌処理前に測定した箇所と同じ箇所から試験片を切り取り、前記と同じ方法でヒートシール強度(N/15mm)を測定した。
【0073】
<落下衝撃強度>
2枚の積層体の熱融着性フィルム層面同士を重ね合わせ、内容物の入る部分の大きさが積層体の縦方向105mm×横方向155mmになるように幅10mmのシ−ルバ−により、200℃の温度、0.2MPaの圧力、2秒間の条件でヒートシ−ルして、三方シ−ル袋を作成した。
【0074】
その袋の中に水9:サラダ油1の割合で混合した液200mlを内容物として入れ、口部をヒートシールした。このような袋を10袋準備し、前記と同様のレトルト殺菌処理を施し、その後5℃の冷蔵庫中に7日間保存した。
【0075】
落下テストは、5℃の冷蔵庫内で、1袋のサンプル上に同じ大きさで重さが1kgのおもりをそえて、高さ80cm(条件a)および高さ60cm(条件b)の所から、コンクリート床上に置いたステンレス製トレー中へと自然落下させて行った。この落下テストを繰り返し、袋が破袋するまでの落下回数を数えた。10袋の落下テストを行った後、各袋が破袋に要した落下回数の平均値を求め、その平均値(回数)を落下衝撃強度とした。
【0076】
<表面凹凸評価>
2枚の積層体の熱融着性フィルム層面同士を重ね合わせ、内容物の入る部分の大きさが積層体の縦方向105mm×横方向155mmになるように幅10mmのシ−ルバ−により、200℃の温度、0.2MPaの圧力、2秒間の条件でヒートシ−ルして、三方シ−ル袋を作成した。
【0077】
その袋に内容物として市販の丸美屋麻婆豆腐の素(辛口)を140g入れた。
同様の袋を5袋作り、高圧高温殺菌処理装置内に置き、前記と同じ条件でレトルト殺菌処理を行った。その後、袋外面(上面および下面)に発生する表面凹凸状態を目視で観察した。
【0078】
評価基準は次の通りとした。
◎:凹凸が殆ど発生していないもの
○:部分的に凹凸が発生しているもの
△:全面的に、面積が広く浅い凹凸が発生しているもの
×:全面的に、面積が狭く深い凹凸が発生しているもの
【0079】
(参考例1)
プロピレン重合体とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とを含む組成物として、次の性状を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体を用いた。また、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体として、次の性状を有するエチレン・1−ブテンランダム共重合体を用意した。
【0080】
プロピレン・エチレンブロック共重合体
プロピレン単独重合体成分 :85.9重量%
プロピレン・エチレンランダム共重合体成分 :14.1重量%
エチレン含有量 =19.5重量%
プロピレン含有量=80.5重量%
極限粘度[η] =3.1(dl/g)
ブロック共重合体のメルトフローレート(230℃)
=3.2(g/10分)
【0081】
エチレン・1−ブテンランダム共重合体
密度=0.885g/cm3、 エチレン含有量=89モル%、
結晶化度=13%、 融点=68℃、 Mw/Mn=2.0、
メルトフローレート(190℃)=0.5(g/10分)
なお、各重合体の物性を表1にまとめて示した。
【0082】
上記の各重合体に次に記す添加剤を加え、単軸押出し機を用いて造粒することによって組成物ペレットを得た。
【0083】
この組成物ペレットの性状は次の通りであった。
p−キシレン可溶分量(23℃) :25.7重量%
ヘキサン可溶分量 (50℃) : 1.7重量%
メルトフローレート(230℃) :2.8(g/10分)
なお、得られた組成物の物性を表1にまとめて記した。
【0084】
この組成物ペレットを押出機へ供給し、230℃で溶融し、T−ダイからフィルム状に押出した。その後、30℃の金属ロールに接触させて冷却固化してから巻き取り、厚さ70μmのフィルムを成形した。
得られたフィルムの物性を測定し、その結果を表1に示した。
【0085】
(比較例1)
原料として表1に記したプロピレン・エチレンブロック共重合体のみを使用する以外は実施例1と同様に行ない、厚さ70μmのフィルムを成形した。得られたフィルムの物性を測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0086】
(比較例2)
次の性状を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体およびエチレン・プロピレンランダム共重合体を用意した。
【0087】
プロピレン・エチレンブロック共重合体
プロピレン単独重合体成分 :84.0重量%
プロピレン・エチレンランダム共重合体成分 :16.0重量%
エチレン含有量 =26.0重量%
プロピレン含有量=74.0重量%
極限粘度[η] =1.9(dl/g)
ブロック共重合体のメルトフローレート(230℃)
=1.8(g/10分)
【0088】
エチレン・プロピレンランダム共重合体
密度=0.870g/cm3、 エチレン含有量=82.6モル%、
Mw/Mn=2.0、
メルトフローレート(190℃)=3.6(g/10分)
なお、各重合体の物性を表1にまとめて示した。
【0089】
参考例1において、プロピレン重合体組成物として前記したプロピレン・エチレンブロック共重合体95重量%およびエチレン・プロピレンランダム共重合体5重量%から構成された組成物を使用する以外は参考例1と同様に行い、厚さ70μmのフィルムを成形した。得られたフィルムの物性を測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0090】
(比較例3)
プロピレン重合体とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とを含む組成物として、次の性状を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体を用いた。また、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体として、次の性状を有するエチレン・1−ブテンランダム共重合体を用意した。
【0091】
プロピレン・エチレンブロック共重合体
プロピレン単独重合体成分 :85.9重量%
プロピレン・エチレンランダム共重合体成分 :14.1重量%
エチレン含有量 =19.5重量%
プロピレン含有量=80.5重量%
極限粘度[η]=3.8(dl/g)
ブロック共重合体のメルトフローレート(230℃)
=3.2(g/10分)
【0092】
エチレン・1−ブテンランダム共重合体
密度=0.885g/cm3、 エチレン含有量=89モル%、
結晶化度=13%、 融点=68℃、 Mw/Mn=2.0、
メルトフローレート(190℃)=0.5(g/10分)
なお、各重合体の物性を表1にまとめて示した。
【0093】
上記の各重合体を用いる以外は実施例1と同様に行なって、組成物ペレットを得た。得られた組成物ペレットの性状は次の通りであった。
p−キシレン可溶分量(23℃) :25.5重量%
ヘキサン可溶分量 (50℃) : 1.6重量%
エチレン単位の含有量 :15.3重量%
メルトフローレート(230℃) :2.8(g/10分)
なお、得られた組成物の物性を表1にまとめて記した。
【0094】
この組成物ペレットから参考例1と同様にしてフィルムを成形したところ、フィルムにはフィッシュ・アイが多数発生していることが観察された。従って、このフィルムは、包装用フィルムとしては使用できないことがわかったので、フィルム物性は測定しなかった。
【0095】
【表1】
【0096】
(実施例1)二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(PET)(厚さ12μm)とアルミニューム箔(厚さ7μm)とをウレタン系接着剤を用いてドライラミネ−ションした積層体のアルミニューム箔面に、実施例1で得たフィルムをウレタン系接着剤を用いてドライラミネ−ションして積層体を得た。得られた積層体の物性を測定し、その結果を表2に示した。
【0097】
(比較例4〜5)
実施例1において、二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムとアルミニューム箔との積層体のアルミニューム箔面に、比較例1および2で得た各フィルムをドライラミネ−ションする以外は実施例2と同様に行なった。得られた積層体の物性を測定し、その結果を表2に示した。
【0098】
【表2】
【0099】
【発明の効果】
本発明に用いられる熱融着性フィルムは、高いヒートシール強度を有しており、しかも加熱処理後においてもヒートシール強度の低下が小さく、耐ブロッキング性や耐屈曲白化性にも優れており、また高い剛性および耐低温衝撃強度を有している。
【0100】
従って、本発明の熱融着性積層フィルムは、前記の特性を有する熱融着性フィルムがヒートシール層として表面に形成されているので、レトルト食品を初めとして各種の被包装物の包装材として適している。
【0101】
さらに、本発明に係わるレトルト食品等の加熱・殺菌処理を必要とする被包装物の包装体は、加熱処理後においても高いシール強度を保持し、包装体表面における凹凸の発生が防止ないしは軽減され、外観も優れており、かつ前記の特性を有している。従って、この包装体は、輸送過程や、長期間に亘る常温ないし冷蔵・冷凍保存条件下に置いても、内容物をほとんど変質させることなく保存することができる。
Claims (6)
- プロピレン重合体成分(A)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)およびエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)とからなるプロピレン重合体組成物から得られるフィルムであって、
その組成物中の成分は、
(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、その極限粘度が2以上かつ3.5(dl/g)未満であって、プロピレン単位を70〜85重量%含有し、そして
(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.910(g/cm3)であって、組成物中に10〜30重量%を占め、
(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつエチレン単位の含有量が10〜20重量%であることを特徴とする熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されていることを特徴とする熱融着性積層フィルム。 - 前記のプロピレン重合体組成物は、23℃でのp−キシレン可溶分が15〜30重量%であり、かつ50℃でのヘキサン可溶分が2.6重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱融着性積層フィルム。
- 前記のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、そのメルトフローレート(190℃)が0.01〜5(g/10分)であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱融着性積層フィルム。
- 前記の積層フィルムの基材層が、アルミニウム、紙、ポリエステル樹脂のフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドのフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルクロライドフィルム、及びポリビニリデンクロライドフィルムから選ばれる基材層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱融着性積層フィルム。
- 前記の積層フィルムは、被加熱・殺菌包装物の包装用であることを特徴とする請求項4に記載の熱融着性積層フィルム。
- 請求項5に記載の熱融着性積層フィルム層をヒートシールすることによって被加熱・殺菌包装物が包装されていることを特徴とする包装体。
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