JP6199599B2 - 熱融着性フィルム、積層体及び包装体 - Google Patents

熱融着性フィルム、積層体及び包装体 Download PDF

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Description

本発明は、プロピレン重合体組成物、当該組成物からなるレトルト食品等の被包装物の包装材料として好適に用いられる熱融着性フィルム、当該熱融着性フィルムを熱融着層に用いた積層フィルム、及び、当該積層フィルムを用いて加熱・殺菌処理が必要な被包装物を包装した包装体に関する。また、加熱・殺菌処理が必要でない重量のある食品用途、加熱・殺菌処理が必要となる輸液バックや血液バックなどのメデカル包装、電子部品などを入れる包装袋、プロテクトフィルム用粘着加工用のベースフィルム、自動車天井材などの内装材の素材として、多くの分野の用途に用いられる。
高齢化、核家族化、単身赴任の増加、あるいは共働き世代の増加、さらには結婚年齢の高齢化、等々の社会変化の影響を受け、食文化が多様化し、また調理時間の短縮や調理への利便性に対する要望が高まって来ている。そこで、調理した食品をあらかじめ袋に入れて密封した後、加圧・加熱殺菌処理したいわゆるレトルト食品を購入しておき、必要な時にレトルト食品を袋ごと湯の中に入れて加熱し、内容物を取り出して食事に供する機会が増加している。そのようなレトルト食品は、一般家庭用のみならず業務用にも普及し拡大し、日本の食文化がアジア・北米・西洋と拡大している。そのために大量の食品を一度に包装できる包装材料が求められている。
レトルト食品は、一般に長期間に亘る常温保存される。また場合によっては冷蔵・冷凍保存されることから、その包装材料に用いられるフィルムには、包装体のヒートシール部から破損しないように高いヒートシール強度と耐低温衝撃強度が求められている。また同時にレトルト食品は、その食品を充填し密封した後、例えば、100℃を越える温度から130℃程度で30分から60分、時には130〜140℃程度で数分〜10分程度の短時間で高温・高圧釜を用いてレトルト殺菌処理が行われているために、その処理に耐えられるようなヒートシール部の耐熱性とが必要である。食品を輸送や陳列台からの落下など内容物を保護する為に袋の強度を保持するため強いヒートシール強度が、食品の品質管理面からも要求されている。
この用途に従来使用されているフィルムは、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンド体から製造したフィルム、ポリプロピレンブロック共重合体から製造したフィルム、あるいは、そのポリプロピレンブロック共重合体とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンド体から製造したフィルム等であった。それらは、耐熱性と耐低温衝撃強度に優れてはいるが、いまだ耐低温衝撃強度と耐ブロッキング性とのバランスが十分とは言えず、またレトルト処理後にヒートシール強度が低下する傾向にあった。
そこで、レトルト処理後のヒートシール強度低下を少しでも防止するために、例えば、ポリプロピレンブロック単位95〜70重量%とエラストマーブロック単位5〜30重量%とから構成されたプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体をヒートシール層に用いること(特開2000−255012号公報:特許文献1)が提案されている。しかしながら、特許文献1に具体的に記載されているプロピレン含有量30〜70モル%のエラストマーブロック単位を含むプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体から成形されたフィルムは、耐低温衝撃強度が十分でなく、またレトルト処理後にシール強度が低下する傾向にあった。また、包装体表面に凹凸(いわゆる柚子肌)が発生し易く、外観不良の一原因にもなっている。
また、レトルトフィルムの耐低温衝撃性、ヒートシール強度、耐熱性等を改良するために、p−キシレン可溶部の極限粘度[η]が1.5〜2.8(dl/g)のプロピレン・エチレンブロック共重合体90〜99重量%にエチレン・α−オレフィン共重合ゴムを1〜10重量%を添加した組成物(特開2000−119480号公報:特許文献2)が提案されている。このような組成物から得られるフィルムは、耐低温衝撃性は改良されるものの、耐ブロッキング性が良好でなく、レトルト処理後のシール強度の低下抑制効果も十分とは言い難いものであった。
さらに、剛性及び耐低温衝撃性を有し、耐ブロッキング性とヒートシール強度に優れ、しかも加熱処理後にもヒートシール強度の低下が小さく、かつ包装体表面に凹凸の発生が防止ないし軽減された熱融着性フィルムを用いた熱融着性積層フィルムとして、プロピレン重合体成分(A)、プロピレン単位を70〜85重量%含有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)及びエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)とからなる、メルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつエチレン単位の含有量が10〜20重量%であるプロピレン重合体組成物からなる熱融着性フィルムを用いる方法(特許第3905006号公報:特許文献3)が提案されている。
しかしながら、上記提案されている組成物を用いても、耐ブロッキング性の改良は未だ不十分な場合があることが判った。
特開2000−255012号公報 特開2000−119480号公報 特許第3905006号公報
本発明の目的は、耐ブロッキング性及びヒートシール強度に優れ、しかも加熱処理後にもヒートシール強度の低下が小さく、且つ耐低温衝撃性を有する熱融着性フィルムを得るに好適なプロピレン重合体組成物、及び、当該組成物を用いた熱融着性積層フィルムを提供することである。
本発明は、プロピレン重合体成分(A)と
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)と、
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)と、の混合物
からなるプロピレン重合体組成物からなる熱融着性フィルムであって、
前記プロピレン重合体組成物は、
(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が2〜3.8dl/gの範囲であって、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)であり、
(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.900未満(g/cm)であって、組成物中に2〜15重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、
(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%の範囲であり、
(5)プロピレン重合体成分(A)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が1.5〜2.5dl/gの範囲であり、
基材層と共に包装体を形成する用途に供される熱融着性フィルムに係る。
本発明のプロピレン重合体組成物から得られる熱融着性フィルムは、耐ブロッキング性及びヒートシール強度に優れ、しかも加熱処理後にもヒートシール強度の低下が小さく、且つ耐低温衝撃性を有する。
〈プロピレン重合体成分(A)〉
本発明のプロピレン重合体組成物の主成分であるプロピレン重合体成分(A)は、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと10重量%以下、好ましくは5重量%以下のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンであって、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテンを挙げることができる。これらの重合体の中でもプロピレン単独重合体を用いると、耐熱性に優れたフィルムを得ることができるので好ましい。
本発明に係るプロピレン重合体成分(A)は、二種以上用いてもよい。
本発明に係るプロピレン重合体成分(A)は、通常、デカリン溶媒中、135℃で測定した極限粘度[η]が、通常1.5〜2.5dl/g、好ましくは1.8〜2.3dl/gの範囲にある。
〈プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)〉
本発明のプロピレン重合体組成物の成分の一つであるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、プロピレンと前記したと同じプロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、エラストマー的な性状を有している。α−オレフィンとしては、特にエチレンが好ましい。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満、好ましくは58〜68重量%、α−オレフィン単位の含有量が30重量%を超え50重量%未満、好ましくは32〜42重量%の範囲にある。プロピレン単位の含有量が前記の範囲にあると、この共重合体成分を含む組成物から耐低温衝撃強度及び低温ヒートシール性に優れ、また熱処理後においても高いシール強度を保持するフィルムを成形することができる。なお、プロピレン単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析によって測定することができる。
プロピレン重合体組成物中に占める共重合体(B)の割合は、組成物サンプル(a:グラム)をデカンに完全に溶解させ、その後23℃で24時間放置した後、遠心分離によって析出物(b:グラム)を分離してから、サンプル中のデカン可溶部を共重合体(B)として次式によって算出することもできる。
共重合体(B)の割合={(a−b)/a}×100(重量%)
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、極限粘度[η]は、2〜3.8dl/g、好ましくは2.5〜3.7dl/gである。極限粘度[η]が前記の範囲にあると、それを含む組成物からは、フィッシュアイの発生を抑制しながら、耐ブロッキング性に優れたフィルムを製造することができる。
なお、極限粘度[η]は、前記の分別操作によって分離したデカン可溶部に過剰のアセトンを加えて溶解物を析出させ、回収した析出物についてデカリン溶媒中、135℃で測定した粘度から求めることができる。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、二種以上を用いてもよい。
〈エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分〉
本発明のプロピレン重合体組成物の成分の一つであるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、エチレンと炭素数4以上、好ましくは4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体である。α−オレフィンの具体例として、1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンを挙げることができる。これらの中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。これらα−オレフィンは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて含有していてもよい。また、異なるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体どうしの混合物であってもよい。
好ましい共重合体(C)の具体例としては、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体を挙げることができる。
共重合体(C)は、その密度が、0.865〜0.910g/cm、好ましくは0.875〜0.900g/cmである。
共重合体(C)中のエチレン単位の含有量は、好ましくは70〜95モル%、より好ましくは80〜93モル%、α−オレフィン単位の含有量は、好ましくは5〜30モル%、より好ましくは7〜20モル%の範囲にある。
この共重合体成分(C)は、次に記すいずれかの物性を有することが望ましく、それを含むプロピレン重合体組成物からは、より耐低温衝撃強度と落下衝撃強度に優れたフィルムを得ることができる。
(1)ASTM D 1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート値が、好ましくは0.01〜5g/10分、より好ましくは0.1〜3g/10分である。
(2)X線回折法によって測定される結晶化度が、好ましくは5〜40%、より好ましくは7〜30%である。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)が、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
(4)示差走査型熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分での条件で測定した吸熱曲線から求めた融点が、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは60〜90℃である。
《プロピレン重合体組成物》
本発明のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体成分(A)、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)、及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)を含み、
(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5、好ましくは84/16〜88/12の範囲にあって、
(2)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)の含有量が、プロピレン重合体組成物中に2〜15重量%、好ましくは、4〜12重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、
(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%、好ましくは8〜13重量%の範囲にある。
プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との重量比、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)の量、及び、プロピレン重合体組成物のエチレン単位の含有量が上記範囲を満たすプロピレン重合体組成物は、熱融着性フィルムに用いた場合に、耐ブロッキング性、耐低温衝撃強度、初期ヒートシール強度及び熱処理後のヒートシール強度に優れたフィルム、特にレトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装用に好適なフィルムを得ることができる。
本発明のプロピレン重合体組成物は、ASTM D 1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは2〜10g/10分、より好ましくは2.5〜8g/10分の範囲にある。そのようなメルトフローレートを有する組成物は、フィルム成形性が良好であると共に、耐低温衝撃強度に優れたフィルムを製造することができる。
《プロピレン重合体組成物の製造方法》
本発明のプロピレン重合体組成物は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)前記プロピレン重合体成分(A)、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)、及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)の各々を予め製造しておき、その後各成分を所定の配合割合で混合する方法。
(2)前記プロピレン重合体成分(A)と前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物を予め調製し、その後、前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)を所定の配合割合で混合する方法。
また、プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、プロピレン重合体成分(A)及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とを互いに異なった重合工程で製造した後、混合することにより調製することができる。プロピレン重合体成分(A)の重合工程とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)の重合工程とは、直列であってもよく、また並列に行ってもよい。前者の場合には、いずれの工程が先にきても差し支えなく、好ましくはプロピレン重合体成分(A)の重合工程を最初にした方が、プロピレン重合体成分(A)として高結晶性重合体が製造できるために好ましい。また、第一の重合工程はバッチ重合法でも連続重合法でも行うことが出来るが、連続重合法の方が好ましい。連続重合工程は、1つの重合器からなる単段でもよいし、複数の重合器を多段に用いる方法であってもよい。このような重合工程を経て得られるプロピレン重合体成分(A)及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、通常、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体とも呼ばれており、製造・販売されている。
また、本発明に係るプロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、プロピレン重合体成分とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分を含むプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体として製造・販売されているプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体を二種以上適宜混合して、プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との重量比が上記範囲になるように調整してもよい。
前記のプロピレン重合体成分(A)及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒のようなオレフィン立体規則性重合触媒を用いて製造することができる。重合触媒の一例として、活性マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン化合物、及び内部電子供与体を必須成分とする固体チタン触媒成分を有機または無機担体に担持させ、それに周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物成分を加え、さらに外部電子供与体を加えた触媒系を挙げることができる。この触媒系は、プロピレン等の本重合に先だって、オレフィンの予備重合を予め行ってもかまわない。前記の固体チタン触媒成分としては、アルコールを含有するマグネシウム化合物と、四塩化チタンとを炭化水素溶媒中で反応させた反応生成物が好ましく、また外部電子供与体としては、ジエーテル化合物及び/またはシラン化合物が好ましい。ここに記した重合触媒は、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造にも使用することができる。
重合方法としては、炭化水素溶媒下での懸濁重合、プロピレン溶媒下での懸濁重合、気相重合、それらの組み合わせ等、いずれの方法をも採用することができる。例えば、第1段の工程はプロピレン溶媒下で懸濁重合を行い、引き続く第2段の工程を気相重合で行うこともできる。
プロピレン重合体成分(A)及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、前記の重合工程を経ずに、予め製造したプロピレン重合体成分(A)及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とを溶融混練することによっても得られる。
また、高度の耐衝撃性フィルムが要求される用途では、前記したプロピレン重合体組成物にさらにエラストマー成分を含有させることができる。配合可能なエラストマー成分としては、一般の熱可塑性ゴムが使用できる。その例として、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム、エチレン・1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン・1−オクテン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン・ジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体あるいはスチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物を挙げることができる。
また、フィルム成形に先だち、本発明の目的を損なわない範囲で、プロピレン重合体組成物に酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料等を配合してもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等を挙げることができる。アンチブロッキング剤としては、酸化アルミニウム、微粉末シリカ、ポリメチルメタアクリレート粉末、シリコン樹脂等を挙げることができる。
スリップ剤としては、エチレンビスステアロアマイド等のビスアマイド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド等を挙げることができる。滑剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等を挙げることができる。核剤としては、ジベンジリデンソルビトール、ロジン酸の部分金属塩等のロジン系核剤、アルミニウム系核剤、タルク等を挙げることができる。
《熱融着性フィルム》
本発明の熱融着性フィルムは、前記本発明のプロピレン重合体組成物からなフィルムである。フィルムを製造する方法は、特に限定されるものではなく、通常採用されている方法によって行うことができる。例えば、1軸または2軸の押出機を用いて前記プロピレン重合体組成物のペレットまたはパウダーを溶融し、押出機の先端に設けられたTダイもしくは環状のダイから溶融樹脂をフィルム状に押出すことによって製造することができる。押出機中の溶融樹脂温度は、通常、200〜300℃、好ましくは200〜280℃の範囲である。
溶融樹脂をTダイから押出した場合には、押し出されたフィルムは、水または他の媒体で一定温度に設定したロールに接触させて冷却・固化させ、その後巻き取られる。環状ダイから押出した場合には、環状フィルムの外部及び/または内部を冷却媒体、例えば冷却された空気あるいは水等で冷却し、その後フィルムをスリットしてから、あるいはそのままの状態で巻き取って目的のフィルムを製造する。このようにして得られたフィルムは、その厚みが、通常20〜1000μm、好ましくは30〜200μm、より好ましくは40〜100μmの範囲が望ましい。
本発明の熱融着性フィルムは、単層のままで一般包装用フィルムとして使用することもでき、特にレトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装袋のシーラントフィルムに好適である。また基材になり得る層に本発明の熱融着性フィルムを積層して、積層体の形で同様の用途に使用することができる。
また、本発明の熱融着性フィルムは、熱融着層に本発明のプロピレン重合体組成物からなるフィルム層を有する限り、熱融着層に前記プロピレン重合体成分(A)、あるいはプロピレン重合体組成物などのプロピレン系重合体を含む層を積層した多層フィルム構造であってもよい。
《熱融着性積層体》
本発明の熱融着性積層体は、前記した本発明の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されている積層体である。基材層としては、包装材料として使用可能なものであれば特に制限されず、その形状はシート、フィルム、トレー、容器等々いずれであってもよいが、フィルムであることが好ましい。
使用可能な基材層の材料例として、アルミニウム、紙、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルクロライドフィルム、及びポリ塩化ビニリデンフィルムなどが挙げられる。基材層の形態としては熱可塑性樹脂フィルムやシート、シートを熱成形したトレーやカップ状容器、あるいはアルミニウム箔や紙から形成した同様の形状物を挙げることができる。フィルムの例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂のフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドのフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルクロライドフィルム、ポリビニリデンクロライドフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムを挙げることができる。
基材層がフィルム形状の場合、そのフィルムは、無延伸フィルムであってもよいし、一軸または二軸方向に延伸されたフィルムであってもよい。さらに、熱可塑性樹脂フィルムは、それにアルミニウムや亜鉛等の金属、シリカや酸化アルミニウムのような酸化物あるいは無機物を蒸着したフィルムであってもよい。さらに、それらを組み合わせた複合体や積層体であってもよい。
基材層の表面に本発明に係わる熱融着性フィルム層を形成させて積層フィルムを成形する方法としては、一般に行われる積層方法をそのまま採用することができ、その際両層の中間に接着層を設けることができる。例えば、基材層にウレタン系やイソシアネート系のアンカーコート剤を塗布してからその上に熱融着性フィルムをドライラミネートしたり、あるいはプロピレン重合体組成物を直接基材層上へ押し出してラミネートないし押出しコーティングする方法で製造することもできる。また基材層が熱可塑性樹脂から形成される場合には、共押出し法によって両樹脂から直接積層フィルムへと成形することもできる。なお、レトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装用積層フィルムの場合には、通常熱融着性フィルムの一方の面に基材層を積層するが、別の包装材として利用する場合には、熱融着性フィルムの一方の面とは限らず両面に基材層を積層することもある。
このようにして得られた積層フィルムは、包装材料として用いた時に熱融着性フィルム層のヒートシール強度(ヒートシール部の剥離強度)が高く、しかも高温・高圧下で行われるレトルト処理等の加熱処理の後にも高いヒートシール強度を保持しており、例えば少なくとも35(N/15mm)の剥離強度を保持している。
また基材層の種類によっては高いガスバリヤー性や機械的強度等がさらに付与されることから、レトルト食品包装を含む広い用途分野で利用可能である。また、この積層体は、フィルム形状のままで使用したり、あるいはトレーや容器の形状に変えてから包装材として使用することもできる。
《包装体》
本発明に係わるレトルト食品、医薬品、医療用器具、ペットフード等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装体は、基材層に前記の特性を有する熱融着性フィルムを積層した積層フィルムを少なくとも一つの包装材料として用い、その熱融着性フィルム層を内表面側に位置するように配置し、内容物になるレトルト食品等を被包装物として充填ないし包装し、熱融着性フィルム層をヒートシールすることによって被包装物が包装されているものである。
包装材としては、熱融着性フィルム単層であってもよいが、前記した熱融着性積層フィルムの方が基材層の持つ諸特性を利用できるので好ましい。その熱融着性積層フィルムをレトルト食品等の包装体の製造に使用する場合、積層フィルムの具体例として次に記す基材層と熱融着性フィルム層との組み合わせを挙げることができる。
ポリエステル層/熱融着性フィルム、ポリアミド層/熱融着性フィルム、ポリエステル層/アルミニウム箔/熱融着性フィルム、ポリエステル層/ポリアミド層/アルミニウム箔/熱融着性フィルム、ポリアミド層/ポリ塩化ビニリデン層/ポリエステル層/熱融着性フィルムなど。
包装体では、熱融着性フィルム層が最内層に位置するように配置されてからヒートシールが行われるので、ヒートシール部のヒートシール強度は高く、また加熱処理後においても高いヒートシール強度が保持されている。
このように、本発明のプロピレン重合体組成物から得られる熱融着性フィルムは、高いヒートシール強度を有しており、加熱処理後においてもヒートシール強度の低下が極めて小さく、耐ブロッキング性にも優れており、耐低温衝撃強度を有している。さらに加熱・殺菌処理過程、輸送過程、さらには長期間に至る常温ないし冷蔵・冷凍保存条件下に置いても、シール部の剥離あるいは破袋し難い。
従って、被加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装体として用いる場合は、輸送時あるいは店頭や家庭等での取扱いに際しても、内容物であるレトルト食品等の被加熱・殺菌処理が必要な被包装物が漏れ出すおそれが少なく、常温あるいは冷蔵・冷凍下で長期間保存しても、内容物は変質しにくい。
なお、本発明の包装体の被包装物として、一般の食品は勿論のこと、レトルト食品、医薬品、医療用器具、ペットフード等の加熱・殺菌処理を必要とする被包装物全般が対象となる。
次に実施例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、重合体および重合体組成物の性状を示す物性値、およびフィルムや積層フィルムを評価するための物性値は、次に記す試験方法によって各々測定した。
(1)重合体物性の測定方法 (実施例1〜4,比較例1)
<エチレン含有量>
赤外線吸収スペクトルを用いて720cm−1の吸光度を測定し、その値から算出した。
<極限粘度[η]>
ウベローデ型粘度計を用い、重合体サンプルをデカリンに溶解させ、その溶液の粘度測定を135℃で行い、その測定値から極限粘度を求めた。
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D 1238に準拠して、190℃または230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
<デカン可溶分量>
組成物サンプルをデカンに完全に溶解させ、その後23℃で24時間放置した。さらに遠心分離によって析出物を分離し、サンプル重量からその析出物の重量を減じて算出した。
(2)単層構成フィルム物性の測定方法 (実施例1〜4,比較例1)
<耐ブロッキング性(N/5.2cm)>
予め、基材層として厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムを用い、当該基材層のコロナ面と厚さ70μmの熱融着性フィルムのコロナ面とを、ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートして、熱融着性積層フィルムを得た。
上記積層フィルムから、20×150mmの試験片を切り出し、2枚の試験片の熱融着性フィルム/熱融着性フィルム面,Ny/熱融着性フィルム面を重ね合わせ、5.2cmの面積に4kg荷重下、50℃,60℃,70℃で3日間放置した後、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTM−100を用いて、クロスヘッド速度300(mm/分)で剥離強度を測定した。
<ヒートシール強度(N/15mm)>
上記積層フィルムの、熱融着性フィルム層面どうしを重ね合わせ、テスター産業社製ヒートシーラーTP-701-Bを用いて、幅5mmのシールバーで、シール温度195℃および200℃、圧力0.2MPa、時間1秒の条件下でヒートシールを行った。
作成したヒートシール部(縦:サイド部)から15mm幅の試験片を切り取り、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTM−100を用いて、クロスヘッド速度500(mm/分)でヒートシール部を剥離し、その時の剥離強度をレトルト殺菌処理前のヒートシール強度(N/15mm)とした。
一方、レトルト殺菌処理した後のヒートシール強度の測定は、次の方法で行った。すなわち、熱水シャワー式の高圧高温殺菌処理装置に入れて121℃で30分間処理し、自然乾燥後、前記と同じ方法でヒートシール強度(N/15mm)を測定した。
<インパクト強度(KJ/m)>
熱融着性フィルムから、100×100mmの試験片を切り出し、東洋精機社製恒温相付フィルムインパクトテスターを用いて、測定温度−20℃、ハンマーの先端径を1/2インチとし測定を行った。
<耐屈曲白化性>
熱融着性フィルムをA4サイズにカットし、そのフィルムの両端を両手で持ち、30回もみほぐした後、フィルムの屈曲した部分が白化しているか否かを調べた。
<ヘーズ(%)>
Haze Meter(日本電色工業社製 NDH-300A)を使用して、熱融着性
フィルム1枚の曇り度をJIS
K 7105に準拠して測定した。
<表面粗さ(μm)>
非接触3次元表面形状粗さ計(WYKO)にて、Ra(平均粗さ),Rz(10点平均高さ)を測定した。
(3)多層構成フィルム物性の測定方法 (実施例5〜10,比較例2)
<耐ブロッキング性(N/5.2cm)>
予め、基材層として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)と、厚さ7μmのアルミニウム箔(AL)とを、ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートした積層体のアルミニウム箔面に、厚さ70μmの熱融着性フィルムのコロナ面とを、ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートして積層体を得た。
上記積層フィルムから、20×150mmの試験片を切り出し、2枚の試験片の熱融着性フィルム/熱融着性フィルム面,PET/熱融着性フィルム面を重ね合わせ、5.2cmの面積に4kg荷重下、50℃,60℃,70℃で3日間放置した後、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTM−100を用いて、クロスヘッド速度300(mm/分)で剥離強度を測定した。
<製袋品ヒートシール強度(N/15mm)>
前記熱融着性フィルム積層体の製袋加工を行い、袋サイズ125mm×175mmの
三方シール袋を得た。前記製袋品の、横ヒートシール部(サイド部)、底ヒートシール部(ボトム部)から、15mm幅の試験片を切り取り、クロスヘッド速度500(mm/分)でヒートシール部を剥離し、その時の剥離強度をレトルト殺菌処理前のヒートシール強度(N/15mm)とした。レトルト殺菌処理後のヒートシール強度の測定は、前記記載方法とした。
<落下破袋強度(回)>
作成した三方シール袋に水200CC充填し、上記、テスター産業社製ヒートシーラーTP-701-Bを用いて、幅10mmシールバー、シール温度200℃、圧力0.2MPa、時間2秒の条件下でヒートシールを行った。また、熱水シャワー式の高圧高温殺菌処理装置に入れて121℃で30分間処理し自然乾燥後、5℃雰囲気下で保管し、同条件下で、高さ40cm、重り1.0kgを資料の上に添えて破袋するまで平面落下させて、破袋した時の落下回数をカウントした。
本発明の実施例及び比較例で用いた重合体を以下に示す。
(1)プロピレン重合体組成物−1(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
:(P-1)
メルトフローレート(230℃):2.5g/10分。
・プロピレン重合体成分(a1−1):72質量%
・プロピレン・エチレンランダム共重合体成分(a2−1):13質量%
エチレン単位の含量:22質量%、極限粘度〔η〕:3.2dl/g
・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(a3−1):15質量%
密度:0.885g/cm3、エチレン単位の含量:79質量%
(2)プロピレン重合体組成物−2(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
:(P−2)
メルトフローレート(230℃):3.2g/10分。
・プロピレン重合体成分(b1−1):85質量%
・プロピレン・エチレンランダム共重合体成分(b2−1):15質量%
エチレン単位の含量:22質量%、極限粘度〔η〕:3.2dl/g
(3)プロピレン重合体組成物−3(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
:P−3)
メルトフローレート(230℃):8.5g/10分
・プロピレン重合体成分(c1−1):87.5質量%
・プロピレン・エチレンランダム共重合体成分(c2−1):12.5質量%
エチレン単位の含量:43質量%、極限粘度〔η〕:3.6dl/g
(実施例1)
前記プロピレン重合体組成物−1:70質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:30質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−I)を調整した後、40mmφ押出機を備えた無延伸フィルム成形機を用い、250℃の押出温度で、270℃のTダイより押し出し、40℃のキャスティングロールで急冷し、片面をコロナ処理して厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:60質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:40質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−II)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:50質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:50質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−III)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:30質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:70質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−IV)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:70質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−2:30質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−V)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。
表1に示すように、実施例の熱融着性フィルムではブロッキング性、レトルト処理前後で変化の少ないヒートシール性、低温衝撃性、屈曲白化性に優れていることがわかる。
Figure 0006199599
注:( )内の数字は、マトリックスとゴムドメインの合計を100wt%とした
ときの量比を示す。
(実施例5)
実施例1で用いた組成物−Iを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例2で用いた組成物−IIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例3で用いた組成物−IIIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例4で用いた組成物-IVを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例2で用いた組成物−IIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−2(P−2)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。
(実施例10)
実施例2で用いた組成物−IIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−3(P−3)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。
(比較例2)
比較例1で用いた組成物−Vを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。表2に示すように実施例の熱融着性積層積層体は、ブロッキング性、レトルト処理前後で変化の少ないヒートシール性、落下破袋強度に優れていることがわかる。
Figure 0006199599
本発明の熱融着性フィルム及びその積層体は、汎用包装フィルムとして使用できることは 勿論のこと、レトルト食品等の加熱・殺菌処理を必要とする被包装物の包装フィルムとしても好適に使用できる。さらには必ずしも加熱・殺菌処理を必要としない重量のある食品用途、加熱・殺菌処理が必要となる輸液バックや血液バックなどのメデカル包装、電子部品などを入れる包装袋、プロテクトフィルム用粘着加工用のベースフィルム、自動車天井材など内装材の素材として、多くの分野の用途に用いられる。
以下、参考形態の例を付記する。
<1> プロピレン重合体成分(A)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)及びエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)とからなるプロピレン重合体組成物であって、(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、2〜3.8dl/gの範囲であって、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)であり、(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.910(g/cm3)であって、組成物中に2〜15重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%の範囲であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
<2> <1>記載のプロピレン重合体組成物からなる熱融着性フィルム。
<3> <1>記載のプロピレン重合体組成物を熱融着層に含む2層以上の多層構成である熱融着性フィルム。
<4> <2>または<3>のいずれかに記載の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されていることを特徴とする熱融着性積層体。
<5> <4>に記載の熱融着性積層体を用いた包装体。

Claims (5)

  1. プロピレン重合体成分(A)と
    プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)と、
    エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)と、の混合物からなるプロピレン重合体組成物からなる熱融着性フィルムであって、
    前記プロピレン重合体組成物は、
    (1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、
    (2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が2〜3.8dl/gの範囲であって、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)であり、
    (3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.900未満(g/cm であって、組成物中に2〜15重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、
    (4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%の範囲であり、
    (5)プロピレン重合体成分(A)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が1.5〜2.5dl/gの範囲であり、
    基材層と共に包装体を形成する用途に供される熱融着性フィルム。
  2. レトルト食品の包装体に用いられる、請求項1に記載の熱融着性フィルム。
  3. 前記(3)において、成分(B)は、αオレフィン含有量が32〜42重量%であって、プロピレン単位の含有量が58重量%以上68重量%以下の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)である請求項1または2記載の熱融着性フィルム。
  4. 請求項1ないし3いずれか一項に記載の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されている、熱融着性積層体。
  5. 請求項4に記載の熱融着性積層体を用いた包装体。
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