JP3900887B2 - 産業車両の作業モード切替装置及び産業車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業車両の作業モード切替装置及び産業車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォークリフト等の産業車両の分野において、高所に位置するフォークの位置合わせを支援するシステムが開発されている。このシステムの一種として、例えば米国特許5586620号には、フォークを支持するキャリッジにカメラを取り付け、このカメラで撮影した画像を運転席から表示装置の画面を通して見られる技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カメラで撮影した画像を基にフォークを自動で位置合わせする技術が考えられる。フォークリフトの荷役作業には、フォークにより荷を取る荷取り作業と、フォーク上の荷を所定位置に置く荷置き作業とがあるため、フォークを自動で位置合わせする場合には、荷役作業に応じて作業モードとして荷取りモードと荷置きモードを設定する必要があった。そして、その作業モードは荷役作業に応じた正確なモードに設定する必要があった。
【0004】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、荷役作業を自動で行う際に実際の荷役作業と異なる作業モードが設定されても、その作業モードを正しく設定できる産業車両のモード切替装置及び産業車両を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、産業車両により行われる各種作業のうち、所定作業が自動で実行される産業車両の作業モード切替装置であって、前記所定作業を自動で行う際に、その作業状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出値に基づき、前記所定作業の作業内容に応じて予め設定された複数種の作業モードのうち1つの作業モードを設定する作業モード設定手段と、前記作業モード設定手段により設定された前記作業モードを手動で切替えるための切替手段と、アタッチメントを動かすために駆動される少なくとも1つのアクチュエータと、前記荷役作業の作業状態を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により取り込まれた画像データを基に、前記作業モード設定手段又は切替手段により設定された作業モードに応じて決まる位置検出のための標識を画像認識処理し、画面座標における前記標識の座標位置を算出する標識位置算出手段と、前記標識位置算出手段の算出結果を基に実座標における前記アタッチメントの座標位置を算出し、目標位置に対して前記アタッチメントの動かすべき距離を算出する移動距離算出手段と、前記アタッチメントが前記目標位置に位置するように、前記移動距離算出手段により算出された距離だけ前記アタッチメントを移動させるべく前記アクチュエータを駆動する制御手段とを備えた。
【0006】
この発明によれば、荷役作業を自動で行う際には、荷役作業の作業状態を検出する検出手段からの検出値に基づき、作業モード設定手段により複数種の作業モードのうち1つの作業モードが設定される。そして、作業モード設定手段により設定された作業モードが実際の荷役作業と異なる場合には、手動で切替手段を操作して作業モードが切替えられるので、検出手段の誤認識により作業モードが誤設定されても正しいモードに設定変更が行える。また、標識位置算出手段は撮影手段により設営された画像データを基に、作業モード設定手段又は切替手段により設定された作業モードに応じて決まる位置検出のための標識を画像認識処理し、画面座標における標識の座標位置を算出する。そして、移動距離算出手段は標識位置算出手段の算出結果を基に、実座標におけるアタッチメントの座標位置を算出し、目標位置に対してアタッチメントの動かすべき距離を算出する。続いて、制御手段は移動距離算出手段により算出された距離だけアタッチメントを移動させるべくアクチュエータを駆動し、その結果、アタッチメントが目標位置に位置する。従って、画像認識処理を用いてアタッチメントが自動で位置合わせされる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記作業モード設定手段により設定された作業モードを報知する報知手段を備えた。
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、作業モード設定手段により設定された作業モードが報知手段によって報知される。そして、報知手段からの報知に従って作業モードが実際の荷役作業と異なる場合には、手動で切替手段を操作することで作業モードが正しいモードに設定変更される。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記報知手段は、前記作業モード設定手段により設定された作業モードを視覚的に報知する表示手段である。
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、報知手段は作業モード設定手段により設定された作業モードを視覚的に報知するので、作業モードの確認が視覚的に行える。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記検出手段は、アタッチメント上の荷重を検出する荷重検出手段であって、前記モード設定手段は前記荷重検出手段の検出結果から求まる荷重に基づき、前記作業モードが荷取りモードか荷置きモードであるかを設定し、前記切替手段を操作することによって前記作業モードが手動で前記荷取りモードと荷置きモードの間で切替えられる。
【0009】
この発明によれば、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、荷重検出手段からの検出値に基づき、作業モード設定手段によって作業モードが荷取りモードと荷置きモードのうち一方に設定される。そして、切替手段を操作することで、作業モードが手動により作業モードが荷取りモードと荷置きモードの間で切替えられる。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記アタッチメントの位置合わせを自動で行う産業車両の作業モード切替装置であって、前記作業モード設定手段は、前記アタッチメントを位置合わせする際に、予め設定された複数種の作業モードのうち1つの作業モードを設定する。
【0011】
この発明によれば、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、アタッチメントの位置合わせを自動で行う際に、作業モード設定手段により設定された作業モードが誤設定となっても、切替手段を操作することで正しいモードに設定変更される。なお、定義として位置合わせとは、荷又は荷を置く位置に対してアタッチメントを高さ及び横方向でほぼ一致させることに限らず、決められた所定の高さや横方向位置にアタッチメントを位置させることも含むものとする。
【0012】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記切替手段は、荷役作業時に操作される荷役レバーに設けられている。
【0013】
この発明によれば、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、荷役レバーの操作に続いて切替手段の操作が行え、切替手段を操作する際に荷役レバーから手を離す必要がなくなる。特に、荷役作業時は荷役レバーを操作する頻度が多く、切替手段を荷役レバーに設けることで荷役作業時の一連の操作性が向上する。
【0018】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、アタッチメントを動かすために駆動される少なくとも1つのアクチュエータと、始動操作手段の操作信号により指定された揚高位置まで前記アタッチメントを上昇させる自動揚高装置とを備え、前記始動操作手段の操作信号により該当する高さが指定された際に、前記始動操作手段の操作信号と、前記作業モード設定手段又は切替手段により設定された作業モードとから決まる所定高さに、前記アタッチメントを移動させるべく前記アクチュエータを駆動する制御手段を備えた。
【0019】
この発明によれば、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、始動操作手段が操作されるとその操作信号により該当する高さが指定される。そして、始動操作手段の操作信号により指令された高さに対し、作業モード設定手段又は切替手段により設定された作業モードにより決まる所定高さが目標揚高として定まり、この目標揚高に向かってアタッチメントを所定位置に位置させるようにアクチュエータが駆動される。この結果、指令された高さに対し、作業モードに応じて決まる目標揚高位置にアタッチメントが位置合わせされる。
【0020】
請求項8に記載の発明では、産業車両は請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の作業モード切替装置を備える。
この発明によれば、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の作用と同様の作用が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した産業車両の作業モード切替装置の第1実施形態を図1〜図9に従って説明する。
【0022】
図1は、フォークリフトの斜視図である。産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラック(以下、単にフォークリフトと記す)1は、車体2の前側に左右一対のリーチレグ3を備え、リーチレグ3に沿ってマスト装置4が前後方向に移動(リーチ動作)可能となっている。車体2にはリーチシリンダ5が配設され、このリーチシリンダ5によりマスト装置4がリーチ動作される。マスト装置4はアタッチメントとしてのフォーク6を備え、フォーク6はマスト装置4のリーチ動作に伴い前後方向で位置調整される。
【0023】
マスト装置4はキャリッジ7を備え、キャリッジ7は左右一対のリフトシリンダ8(片側のみ図示)が駆動したときに、多段式(本例では3段式)のマスト9がスライド伸縮することで上下方向に移動する。フォーク6はキャリッジ7に取り付けられ、マスト9のスライド伸縮に伴い上下方向に位置調整される。キャリッジ7にはサイドシフタ10が配設され、サイドシフタ10はサイドシフトシリンダ11(図5参照)が駆動されることで左右方向に移動可能となっている。フォーク6は、サイドシフタ10のサイドシフトに伴い左右方向で位置調整される。また、キャリッジ7にはティルトシリンダ12(図5参照)が接続され、このティルトシリンダ12がティルト動作することによりフォーク6の傾動角が調整される。なお、リーチシリンダ5、リフトシリンダ8、サイドシフトシリンダ11、ティルトシリンダ12がアクチュエータを構成する。
【0024】
各リーチレグ3には、先端部に前輪(従動輪)13aが取り付けられ、車体2には後輪(駆動輪)13bが取り付けられている。後輪13bは操舵輪を兼ねており、車体2に配備されたバッテリ2aを電源として駆動される走行用モータ14の動力により走行駆動される。車体2の後部右部分には、立席タイプの運転席15が設けられ、ハンドル16を操作することで後輪13bが操舵される。
【0025】
フォークリフト1には、高所(高揚高範囲)におけるフォーク6の位置合わせ操作を支援する荷役操作支援装置(フォーク位置決め操作支援装置)17が設けられ、この荷役操作支援装置17はサイドシフタ10の前面中央部に組み付けられたカメラ昇降装置18を備えている。カメラ昇降装置18は、撮影手段としてのカメラ(CCDカメラ)19を内蔵したカメラユニット20を備え、カメラユニット20はキャリッジ7の前面中央部に組み付けられたハウジング21内に格納される格納位置と、ハウジング21の下端から突出する下降位置との間を昇降するようになっている。カメラユニット20は、フォーク6が高所にあるときに、荷物(パレット)を取り出す荷取り作業時に格納位置に、フォーク6上に載せられた荷物を所定位置に載置する荷置き作業時に下降位置に位置するように位置調整される。
【0026】
カメラユニット20は、カメラ19の撮影部(レンズ)22から、フォーク6の前方の荷役作業エリアを撮影することが可能となっている。また、ハウジング21の前面下部には撮影窓23が形成され、この撮影窓23を通して格納位置からでも荷役作業エリアの撮影が可能である。つまり、このカメラ19によって、格納位置と下降位置の二位置からフォーク6の正面(前方)を撮影できる。また、サイドシフタ10のサイドシフト時には、フォーク6とともにカメラ昇降装置18も左右方向に移動する。
【0027】
車体2の上部を覆うルーフ24には、運転席15に立つ運転者からよく見える位置に報知手段(表示手段)としての表示装置(液晶ディスプレイ装置)25が取り付けられている。表示装置25の画面には、荷役作業時にカメラ19によって撮影されたフォーク6の前方のエリアの画像が映し出される。運転者は、この表示装置25の画面を見ながら荷役作業が行えるようになっている。
【0028】
図2は、カメラ19を備えたフォークリフト1で荷役作業を行うときの模式側面図である。荷26の荷役作業は、パレット27に載置された状態で行われる。また、荷26を載置するための棚28は多段構造となっており、その全長高さがフォークリフト1の高さの2倍以上のものもある。このように棚28の全長が高いと、高所に位置する棚部29で荷役作業を行うときに、運転者が運転席15から荷役作業を見ることができない場合がある。これを解消するために、カメラ19を備えたこのフォークリフト1では、カメラ19によってフォーク6の前方のエリアを撮影し、この撮影された画像を基にしてフォーク6の位置合わせを自動で行うことで荷役作業を支援している。
【0029】
図3は、フォーク6の位置合わせを自動で行うフォーク自動位置制御についての説明図である。パレット27および棚28には、パレット27、棚28に対するフォーク6の相対位置を求めるための標識としてのマークM1,M2が付されている。つまり、パレット27の側面(正面)には、2つの差込孔27a,27aの間の中央にマークM1が付されている。一方、棚28の棚部29には、その正面中央にマークM2が付されている。
【0030】
マークM1はパターンP1,P1を2個並べて構成され、マークM2はパターンP2,P2を2個並べて構成されている。ここでは、マークとは全体の模様、パターンとはマークを構成する2つの模様を指す。2つのマークM1,M2の各パターンP1,P2は、互いに白と黒が反転した模様となっている。各パターンP1,P2は、一点を中心として放射状に真っ直ぐ延びる複数本の境界線によって白と黒に色分けされた模様である。本実施形態の各パターンP1,P2は、正方形の2本の対角線により区画された4つの領域を白と黒で色分けした模様である。
【0031】
そして、フォーク6の位置合わせを自動で行うフォーク自動位置制御が実行されると、これらマークM1,M2を目標にフォーク6が自動で位置合わせされる。要するに、荷取り作業を行う「荷取りモード」時は、パレット27に付されたマークM1を目標にして、フォーク6がパレット27の差込孔27aに相対するように自動で位置合わせが行われる。また、荷置き作業を行う「荷置きモード」時は、棚28に付されたマークM2を目標にして、フォーク6が棚部29の棚面(荷置き面)29aの上方所定高さ(棚面29aから例えば10〜20cm上方の高さ)に位置するとともに、2つのフォーク6の中間点がマークM2と左右方向でほぼ同じ位置となるように自動で位置合わせが行われる。フォーク6の位置合わせは、リフトシリンダ8を駆動することで上下方向(同図ではZ方向)に、サイドシフトシリンダ11を駆動することで左右方向(同図ではY方向)に移動させることにより行われる。
【0032】
図4は、運転席の斜視図である。運転席15の前部にはインストルメントパネル30が設けられ、このインストルメントパネル30にリフトレバー31、ティルトレバー32、リーチレバー33、サイドシフトレバー34、アクセルレバー35が配設されている。フォーク6は、リフトレバー31を操作することで上下方向に、リーチレバー33を操作することで前後方向に、サイドシフトレバー34を操作することで左右方向にそれぞれ移動し、ティルトレバー32を操作することで傾動する。なお、これらレバー31〜34が荷役レバーに相当する。
【0033】
リフトレバー31はレバー本体31aを備え、そのレバー本体31aの上部にグリップ部(ノブ)36が形成されている。グリップ部36の上面36aには、作動スイッチ37が設けられ、作動スイッチ37を押すことによってフォーク6が自動で動き始めて位置合わせが行われる。また、グリップ部36の側面36bには、切替手段としてのモード切替スイッチ38が設けられている。フォーク自動位置制御の作動モードは、モード切替スイッチ38を押すことにより、荷物を取り出す荷取りモードと、荷物を所定位置に置く荷置きモードの間で切替えられる。
【0034】
図5は、フォークリフト1の電気構成図である。荷役操作支援装置17はコントローラ39を備え、このコントローラ39は画像制御部40、制御手段及び作業モード設定手段を構成する荷役制御部41、駆動回路42,43、ソレノイド駆動回路44を備えている。画像制御部40は、入力側にカメラ19、出力側に表示装置25およびスピーカ45が接続されており、カメラ19からの映像信号(画像信号)を基にして表示装置25の画面25a(図8及び図9参照)に映像画像を表示させたり、スピーカ45から所定のアナウンスを報知させる。
【0035】
一方、荷役制御部41には上限位置検知スイッチ46、下限位置検知スイッチ47、各レバー31〜34のポテンショメータ48〜51、作動スイッチ37、モード切替スイッチ38、さらに揚高センサ52、検出手段(荷重検出手段)としての荷重センサ53、サイドシフトセンサ54、ティルト角センサ55等が接続されている。また、荷役制御部41には駆動回路42,43を介して電動アクチュエータ56および荷役モータ(電動モータ)57がそれぞれ接続されるとともに、ソレノイド駆動回路44を介してオイルコントロールバルブ58に組み付けられた各種電磁切換弁59〜62のソレノイドが接続されている。
【0036】
荷役制御部41は、各ポテンショメータ48〜51からの信号を基に電磁切換弁59〜62の電流値制御と荷役モータ57の駆動制御を行う。荷役モータ57が作動することで荷役ポンプ(油圧ポンプ)63が駆動され、オイルコントロールバルブ58に作動油が供給される。そして、各レバー31〜34の操作時に出力される信号を基に、その操作に対応する各電磁切換弁59〜62が切換制御され、リーチシリンダ5、リフトシリンダ8、サイドシフトシリンダ11、ティルトシリンダ12が油圧制御され、フォーク6の昇降操作、リーチ操作、サイドシフト操作、ティルト操作が行われる。
【0037】
荷役制御部41はフォーク自動位置制御を司る。そして、フォーク自動位置制御はフォーク6を一定高さ以上に上昇させて行われる高所の荷役作業を支援するためのものである。ちなみに、フォーク自動位置制御は揚高センサ52により検出された揚高が設定揚高(例えば約2メートル)以上であるときに限り実行される。
【0038】
揚高センサ52は、フォーク6が設定揚高以上の高さ(揚高)にあるか否かを検出するもので、例えば設定揚高でオン・オフが切換わる揚高スイッチからなる。なお、揚高センサ52は、フォーク6の揚高を連続的に検出可能なセンサであってもよい。例えば揚高センサ52として、キャリッジ7の昇降に合わせてワイヤが繰出し・巻取りされるリールの回転量を検出するリール型揚高センサや、リフトシリンダ8内の油中を伝播する超音波がピストンに反射して戻るまでの時間計測からシリンダストロークを検出する超音波式揚高センサを採用することができる。
【0039】
荷重センサ53は、フォーク6に積載された荷の重量(荷重)を検出するもので、本実施形態ではリフトシリンダ8内の油圧を検出する圧力センサからなる。荷重センサ53はフォーク6上の荷の重量に応じた電圧値の検出信号を出力する。また、ティルト角センサ55は、フォーク6の水平姿勢にあるときの角度(水平角)を基準とした傾斜角を検出するもので、例えばポテンショメータからなる。
【0040】
荷役制御部41は荷重センサ53からの検出値を基に、フォーク自動位置制御の作業モードを荷取りモードと荷置きモードのうちの一方に設定する。即ち、荷役制御部41は荷重センサ53の検出値から求まる荷重が設定値以下(荷重W≦設定値W0)のとき、フォーク6上に荷が載置されていない「荷無し」と判断して作業モードを「荷取りモード」に設定する。一方、荷役制御部41は荷重センサ53の検出値から求まる荷重が設定値を超える(荷重W>設定値W0)とき、フォーク6上に荷が載置されている「荷有り」と判断して作業モードを「荷置きモード」に設定する。これにより、操作者の操作に関係なく、フォーク6上の荷重に基づき自動で作業モードが設定される。
【0041】
荷重センサ53の検出値にはキャリッジ7等の重量分も含まれるので、空荷のときの検出値またはその検出値に少し余裕をみた値が設定値W0に設定されている。例えばパレット27のみを積んだときには「荷有り」と判定され得るしきい値W0を設定することが望ましい。なお、この作業モードの設定処理は一定時間(例えば数10msec.)ごとに実行される。
【0042】
荷役制御部41はカメラユニット20の昇降制御も実行し、フォーク6上に荷が無い荷取りモードではカメラユニット20を格納位置に配置し、フォーク6上に荷が有る荷置きモードではカメラユニット20を下降位置に配置する。カメラユニット20の昇降のため駆動された電動アクチュエータ56は、カメラユニット20が上限位置に達して上限位置検知スイッチ46がオンしたときと、カメラユニット20が下限位置に達して下限位置検知スイッチ47がオンしたときに駆動停止される。
【0043】
一方、画像制御部40には入力側にカメラ19が接続され、出力側に表示装置25およびスピーカ45が接続されている。画像制御部40はカメラ19により撮影された画像を表示装置25に表示させるとともに、スピーカ45に所定の音声を報知させる。また、画像制御部40はフォーク自動位置合わせ時にフォーク6のずれ量を求めるために、カメラ19により取り込まれた画像データを基に画像処理を実行する。
【0044】
画像制御部40は表示処理部64、画像処理部65、描画表示部66、描画データ記憶部67および音声合成部68を備えている。表示処理部64は、カメラ19により撮影された画像が画面に映し出されるようにカメラ19から入力した映像信号を表示装置25に出力する。画像処理部65は表示処理部64から画像データを入力し、その画像データを基に画像認識処理を行い、表示装置25の画面25a上(図6(a)に示す画面座標系)のマークM1,M2の座標位置を算出する。
【0045】
描画表示部66は画像処理部65の処理結果を基に、描画データ記憶部67に記憶された描画データとして画面25a上に移動目標点69やターゲット線70(ともに図8及び図9参照)等の描画を表示させる。この描画表示部66は作業モードが荷取りモードのとき画面25a上に「荷取りモード」と、作業モードが荷置きモードのとき「荷置きモード」とそれぞれ表示させる。また、音声合成部68は音声アナウンスなどのための音声合成処理を行ってスピーカ45に音声信号を出力する。
【0046】
画像処理部65は、画像認識処理部71、テンプレート記憶部72および画面座標位置算出部73を備えている。一方、荷役制御部41は実座標位置算出部74とずれ量算出部75とを備えている。以下、画像認識処理部71、画面座標位置算出部73、実座標位置算出部74およびずれ量算出部75が行う処理内容を図6及び図7に従って説明する。なお、画像認識処理部71、テンプレート記憶部72および画面座標位置算出部73が標識位置算出手段を構成し、実座標位置算出部74とずれ量算出部75が移動距離算出手段を構成する。
【0047】
図6(a)は画面上に設定された画面座標系を示す画面図であり、画面座標系では座標を画素の単位で取り扱うものとする。また、同図におけるHは表示装置25の画面25aの横方向画素数であり、Vは画面25aの縦方向画素数である。一方、図6(b)は実座標系を示す表示図であり、図6(a)の画面図と相似関係をとっている。
【0048】
テンプレート記憶部72にはマークM1用のテンプレートT1と、マークM2用のテンプレートT2が記憶されている。そして、画像認識処理部71はカメラ19により取り込んだ画像データを基に、荷取りモードのときテンプレートT1を、荷置きモードのときテンプレートT2を用いて画像認識処理(パターンマッチング処理)を行い、表示装置25の画面25a上、つまり画面座標系におけるマークM1,M2の認識を行う。
【0049】
即ち、図6(a)に示すように作業モードが荷取りモードでマークM1が認識される場合、画像認識処理部71はマークM1を構成する2つのパターンP1,P1に対しテンプレートT1により2箇所でマッチングし、各パターンP1,P1を認識する。なお、作業モードが荷置きモードの場合も同様に、マークM2を構成する2つのパターンP2,P2に対し、テンプレートT2による2箇所マッチングによって各パターンP2,P2が認識される。
【0050】
パターン認識後、画面座標位置算出部73は画面座標系における各パターンP1,P1の中心点(放射中心点)の座標(I1,J1),(I2,J2)を算出する。そして、画面座標位置算出部73はこれら2つの座標値を基にマークM2の重心座標(I,J)を算出するとともに、パターンP1,P1の中心間距離Dを算出する。なお、作業モードが荷置きモードの場合もマークM1と同様の手順で、マークM2の重心座標とパターンP2,P2の中心間距離とが算出される。
【0051】
実座標位置算出部74は画面座標系の重心座標(I,J)と中心間距離Dの値を用い幾何変換を行って、図6(b)に示す実座標系(XYZ座標系)におけるカメラ19のマークMに対する3次元相対位置座標(Xc,Yc,Zc)を計算する。カメラ19の座標(Xc,Yc,Zc)は次式より算出される。
Xc==−Hd/(2Dtan α)
Yc=d/D(I−H/2)
Zc=d/D(J−V/2)
ここで、「α」は図7に示すカメラ19の水平画角の2分の1、dは実座標系においてマークM1の2つのパターンP1,P1の中心間距離である。H,V,α,d値は既知の値であるため、I,J,D値を算出すれば、カメラ19の3次元相対位置座標(Xc,Yc,Zc)が求まる。
【0052】
そして、ずれ量算出部75はこの実座標系で求めたカメラ19の相対位置座標(Xc,Yc,Zc)を基にフォーク6の位置ずれ量を算出する。そして、フォーク自動位置制御を実行するときには、荷役制御部41はずれ量算出部75で算出されたずれ量に基づきリフトシリンダ8とサイドシフトシリンダ11を駆動し、フォーク6の位置合わせを実行する。
【0053】
図8は荷取りモード時の表示装置25の画面図、図9は荷置きモード時の表示装置25の画面図である。画面25aには、フォーク6が位置合わせされたときにマークM1またはM2と重なった状態となる移動目標点69が描画されている。また、画面25aには略十字状のターゲット線70が表示され、このターゲット線70は作業モードが荷取りモード時にマークM1上に、荷置きモード時にマークM2上に表示される。
【0054】
画面25aの左側上部には作業モードが表示され、そのときの作業モードに応じて「荷取りモード」または「荷置きモード」が表示される。そして、リフトレバー31の作動スイッチ37を押してフォーク自動位置制御が実行され、フォーク6の位置合わせが完了すると、荷取りモード時には移動目標点69とマークM1が、荷置きモード時には移動目標点69とマークM2とが一致した状態となる。
【0055】
次に、前記のように構成された産業車両の作業モード切替装置の作用について説明する。
まず、荷置き作業を行う場合において、非常に軽量の荷を載せたパレット27を棚部29に載置する荷置き作業を行うとする。このとき、荷があまりに軽量過ぎる場合、荷重センサ53はセンサ感度上の問題から荷の荷重を検知できないことがある。また、フォーク6を下降させるときには下降速度(加速度)に応じた浮力が荷に働き、実際の荷重よりも小さい値が荷重センサ53により検出されることもある。よって、本来なら作業モードが荷置きモードに設定されるべきところを荷取りモードと誤設定され、図8に示すように表示装置25の画面25a上に荷取りモードと表示されてしまう。
【0056】
この荷置き作業時、操作者は表示装置25の画面25aで表示された作業モードを見て、現在行っている荷役作業に対し作業モードが正しく設定されているか否かを確認する。この場合、荷置き作業を行っているにも拘わらず、作業モードが荷取りモードに設定されていることから、操作者は作業モードを切替える必要があると判断してリフトレバー31のモード切替スイッチ38を押す。これにより、作業モードが荷取りモードから荷置きモードに切替わり、図9に示すように作業モードが荷置きモードに設定される。
【0057】
一方、荷取り作業を行う場合において、フォーク6を上昇させたときに上昇速度(加速度)に応じた負荷がフォーク6にかかり、荷重センサ53がその負荷を荷重として検出することがある。よって、本来なら作業モードが荷取りモードに設定されるべきところを荷置きモードと誤設定され、図9に示すように表示装置25の画面25a上に荷置きモードと表示されてしまう。しかし、操作者によってモード切替スイッチ38が押されると、作業モードが荷置きモードから荷取りモードに切替えられ、図8に示すように作業モードが荷取りモードに設定される。
【0058】
従って、荷重センサ53から求まる荷重に基づき作業モードが自動で設定される構成では、過度に軽量な荷をフォーク6上に載置したときや、フォーク6の昇降の際に実際と異なる荷重が検出されることがある。これらを原因として作業モードが実際の荷役作業と一致しない場合でも、リフトレバー31に設けられたモード切替スイッチ38を操作することで作業モードが荷役作業に応じた正確なモードに設定可能になる。
【0059】
従って、この実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)荷重センサ53の検出値から求まる荷重を基に、作業モードとして荷取りモードか荷置きモードであるかが自動設定され、その設定された作業モードが誤設定であるときに作業モードを手動で切替えるモード切替スイッチ38をリフトレバー31に設けた。ところで、荷重センサ53の検知感度が比較的鈍いことが原因で、荷があまりに軽量すぎる場合に荷重センサ53が荷を検出できないことや、フォーク6を昇降させる際の加速度が原因で、荷が実際よりも軽めにまたは重めに検出されたりすることで荷重センサ53が荷を誤認識することがある。しかし、荷重センサ53の誤認識により作業モードが誤設定されたとしても、モード切替スイッチ38を操作することで作業モードを荷役作業に応じた正しいモードに設定することができる。
【0060】
(2)画面25aには設定された作業モードが表示されるので、画面25a上に表示された作業モードを確認することにより、実際に行っている荷役作業に対して、設定された作業モードが正しいか否かを判断することができる。
【0061】
(3)リフトレバー31のグリップ部36にモード切替スイッチ38が設けられているので、リフトレバー31から手を離すことなくスイッチ38を操作でき、フォーク自動位置制御時の作業効率を向上できる。特に、フォーク6の移動はリフトレバー31を用いて昇降させることが多く、リフトレバー31にスイッチ38を設けることで、作業モードの切替え作業をスムーズに行うことができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図10〜図12に従って説明する。この実施形態は、産業車両に装備された自動揚高装置に適用した例である。自動揚高装置とは、フォークの高さデータを予めメモリに操作ボタンと関連づけて登録しておき、ボタンを操作するとそれと対応する高さにフォークを自動で上昇させる制御を行う装置である。
【0063】
図11に示すように、フォークリフト1のインストルメントパネル30には、リフトレバー31と別操作でフォーク6を所定位置へ自動的に位置調整するためのコントロールパネル80が設けられている。コントロールパネル80には荷入(荷置き)時に発光するLED81と、荷出(荷取り)時に発光するLED82とが設けられている。コントロールパネル80は、セットキー91,3個の番号キー92a〜92c,荷入キー93,荷出キー94,水平キー95,高さ制限キー96,停止キー97および、各キーに対する隣接位置に設けられたLED98とから構成されている。なお、LED81,82が報知手段に相当する。
【0064】
セットキー91は荷出または荷入を行うときのフォーク6の揚高位置をセットしたり、フォーク6の高さ制限位置をセットするときに使用される。番号キー92a〜92cはフォーク6の揚高位置をセットするときや、フォーク6を自動的に揚高させるときに使用されるものであって、3箇所の揚高位置を「1,2,3」により区分できるようになっている。荷入キー93はフォーク6に荷が搭載された状態でフォーク6を自動的に揚高させて荷入するときや、揚高位置をセットするときに使用される。荷出キー94は所定高さに格納された荷を荷出する際に、フォーク6を自動的に揚高させるときや、揚高位置をセットするときに使用される。揚高位置は荷役作業の種別毎に区別してセットできるようになっている。
【0065】
この実施形態では、荷入キー93と荷出キー94は揚高位置をセットするときにだけ用いる。もちろん、揚高位置をセットする方法として番号キー92a〜92cを選択し、例えば荷出高さ(荷取高さ)をセットすればこれと所定距離上方位置に自動的に荷置高さを設定する方法を採用し、荷入キー93と荷出キー94を無くすこともできる。なお、番号キー92a〜92cは始動操作手段を構成する。
【0066】
図12は、この自動揚高装置の電気的構成を示す。前記第1の実施形態のカメラ昇降制御系と画像制御系の構成部分が無く、これに替え、コントロールパネル80が入力側に接続されている。荷役系の構成部分は第1の実施形態と同様である。揚高センサ52には連続的に揚高を検出可能なセンサが使用されている。
【0067】
荷置作業と荷取作業とではフォーク6の揚高位置が若干異なるが、荷重センサ53の検出値を基にフォーク6上の荷の有無を検知し、荷無し判定(荷重W≦設定値W0)のときは荷置モード(荷入作業)と判定し、荷有り判定(荷重W>設定値W0)のときは荷取モード(荷出作業)と判定する。そして、3個の番号キー92a〜92cを押すことにより、予め番号キー毎にセットされた荷取位置と荷置位置のうち検出荷重から決まる一方の位置までフォーク6が揚高する。
【0068】
高さ制限キー96はリフトレバー31の操作や自動揚高時におけるフォーク6の揚高高さを制限するときに使用される。各LED81,82,98は、揚高位置の設定時、自動揚高操作時、高さ制限設定時、水平停止操作時等において、各キーの押下に対応して、コントローラ39により点灯又は点滅制御される。
【0069】
コントローラ39の荷役制御部41はメモリ83を備え、このメモリ83には予めコントロールパネル80にて設定された目標位置データが記憶されている。つまり、目標位置データは荷入と荷出ごとに各番号キー92a〜92cに応じて設定されたデータであり、棚28が有する高さの異なる各棚部29に対して荷置目標位置データと荷取目標位置データとが設定されている。
【0070】
自動揚高でフォーク6を目標位置まで上昇させる場合には、その目標位置に応じた番号キー92a〜92cのいずれかを押下する。荷役制御部41は、荷重センサ53の検出値を基に荷の有無を判定し、荷置きモードであれば押下された番号キー92a〜92cに対応する荷置目標位置データを読出し、荷取りモードであれば押下された番号キー92a〜92cに対応する荷取目標位置データを読出す。そして、目標位置にフォーク6を移動させるようにコントロールバルブ58を作動させる。このリフトシリンダ8の駆動中、揚高センサ52からの検出信号に基づいて、荷役制御部41はフォーク6の揚高位置を所定時間毎に検出する。
【0071】
そして、フォーク6の揚高位置が目標位置の所定距離手前の高さに到達すると、荷役制御部41は電磁制御弁59の電流値を制御してリフトシリンダ8の伸長動作を停止させ、フォーク6を目標位置で停止させる。つまり、図10(a)に示すようにフォーク6上に荷26があれば棚面29aからΔL1離れた上方位置にフォーク6が停止され、その高さで荷入が行われる。また、図10(b)に示すようにフォーク6上に荷26が無ければ棚面29aからΔL2離れた上方位置に停止され、その高さで荷出が行われる。そして、その高さでの作業を終えると、フォーク6をその高さから移動させる。例えば、引き続き自動揚高を行うときには、そのまま次に番号キー92a〜92cのいずれかを押下してフォーク6を自動で次の目標位置まで移動させる。
【0072】
ところで、荷があまりに軽量過ぎる場合にセンサ感度上の問題から荷重センサ53が荷の荷重を検知できないことや、フォーク6を昇降させるときにその速度(加速度)に応じた浮力や負荷が荷に働くことにより、荷重センサ53が実際と異なる荷重を検出することがある。これにより、実際の荷役作業に対して作業モードが誤設定され、フォーク6上に荷が載っているにも拘わらず荷取りモードに設定されて荷出用のLED82が発光したり、フォーク6上に荷がないにも拘わらず荷置きモードに設定されて荷入用のLED81が発光してしまう。
【0073】
しかし、2つのLED81,82のうちコントロールパネル80上で発光するLEDが実際の荷役作業と異なる場合には、操作者(運転者)はリフトレバー31のモード切替スイッチ38を押して作業モードを切替える。従って、フォーク6上に荷が載っているにも拘わらず荷取りモードと設定されたときや、フォーク6上に荷がないにも拘わらず荷置きモードと設定された場合には、モード切替スイッチ38を押すことで作業モードが荷役作業に応じた正確なモードに設定可能になる。
【0074】
この実施形態によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(3)と同様の効果が得られるとともに、以下の効果を得ることができる。
(4)番号キー92a〜92cのいずれかを押下すれば、荷取りモードのときには「荷取位置」を目標位置としてフォーク6が上昇し、荷置きモードのときには「荷置位置」を目標位置としてフォーク6が上昇する。
よって、荷取りか荷置きかを操作者が判断して操作すべきキーを選択する必要がなく、番号キー92a〜92cのうち希望する高さの1つを押下するだけで、フォーク6を自動で所望の位置まで上昇させることができる。
【0075】
なお、実施形態は前記に限定されず、例えば、次の態様に変更してもよい。
○ 前記各実施形態において、自動で行われる制御はマークM1(M2)に対するフォーク6の位置や、自動揚高装置によりフォーク6の高さを位置合わせするものに限定されない。例えば、フォーク6をリーチ動作して棚28の荷をフォーク6によって取り出す動作や、フォーク6上の荷を棚28に置くときの動作を自動化するようにしてもよい。そして、このときに設定される複数の作業モードをモード切替スイッチ38により手動で切替えてもよい。
【0076】
○ 前記各実施形態において、作業モードは荷取りモードと荷置きモードに限定されず、荷役作業、運搬作業等の各種作業において必要なモードであればどのようなものでもよい。また、検出手段も荷重センサ53に限定されず、荷取りモードおよび荷置きモード以外のモードを設定する際に必要な検出値を求めるものであればどのようなものでもよい。
【0077】
○ 前記各実施形態において、作業モードは荷取りモードと荷置きモードの2つに限定されず、この2つに所定のモードを加えた3つ以上であってもよい。この場合、作業モードはモード切替スイッチ38を一回ずつ押すごとに順に切替わるものでもよいし、各モードごとに専用のスイッチを設けてもよい。
【0078】
○ 前記各実施形態において、表示装置25や報知用のLED81,82により、そのときに設定された作業モードを報知する必要は必ずしもない。つまり、この種の報知手段を搭載せずに作業モードを目視で確認し、その目視の結果として作業モードが実際の荷役作業と異なっている場合に、モード切替スイッチ38を操作して作業モードを切替えてもよい。
【0079】
○ 前記各実施形態において、画像認識処理によりフォーク6の位置合わせを行う機能と自動揚高装置との両方をフォークリフト1に搭載してもよいし、どちらか一方を搭載するようにしてもよい。
【0080】
○ 前記各実施形態において、荷役レバーは操作機能ごとにレバーが異なる構成に限定されず、一つのレバーでリーチ操作、リフト操作、サイドシフト操作、ティルト操作を行うことが可能なマルチレバーであってもよい。そして、このマルチレバーの所定位置にモード切替スイッチ38を設けてもよい。
【0081】
○ 前記各実施形態において、切替手段であるモード切替スイッチ38はリフトレバー31に設けられることに限らず、リフトレバー31以外にティルトレバー32、リーチレバー33、サイドシフトレバー34等に設けてもよい。また、例えばインストルメントパネル30等、レバー以外の箇所に設けてもよい。
【0082】
○ 前記各実施形態において、切替手段であるモード切替スイッチ38はスイッチ式であることに限定されず、例えばオンオフ式のレバーやタッチパネル式のものなど作業モードが切替えられるものであればよい。
【0083】
○ 前記各実施形態において、切替手段は、荷取りモードと荷置きモードとの間で作業モードを切替える一つのスイッチであることに限定されない。即ち、荷取りモード用のスイッチと、荷置きモード用のスイッチとを別々に設けてもよい。
【0084】
○ 前記各実施形態において、荷重検出手段は荷重に応じた検出値を出力する荷重センサ53に限定されず、例えば荷検知手段としてリミットスイッチや近接スイッチ等の荷の有無を検出するセンサであってもよい。
【0085】
○ 前記各実施形態において、アクチュエータは本例のフォーク自動位置制御を行う際に駆動される各種シリンダ5,8,11,12に限定されず、例えばモータ等であってもよい。
【0086】
○ 前記各実施形態において、報知手段は視覚的に報知する表示装置25やLED81,82に限らず、例えば、設定された作業モードをスピーカ45から音声により出力することで聴覚的に報知してもよい。この場合、スピーカ45が報知手段に相当する。また、視覚的に報知するにしても文字表示に限定されず、LED等のランプを点灯させて放置するようにしてもよい。
【0087】
○ 前記第1実施形態において、マークM1(M2)を画像認識処理する方式に限定されない。例えば、パレット27や棚28を標識として画像認識処理し、その処理結果に基づきカメラ19の実座標位置を求めてフォーク6のずれ量を算出するようにしてもよい。
【0088】
○ 前記第2実施形態において、リフトレバー31を操作して操作者が所定位置までフォーク6を上昇させ、その後、番号キーを押して所望の揚高位置まで自動で上昇させてもよい。この場合、フォーク6の揚高位置が揚高センサにより逐次検出され、番号キーが押された時点から目標揚高位置までの高さを求めて、その分だけフォーク6を上昇させるようにする。
【0089】
○ 前記各実施形態において、産業車両はリーチ型フォークリフトトラック1に限定されず、カウンタバランス式のフォークリフトでもよい。また、アタッチメントもフォーク6に限定されず、ロールクランプなどの他のものを採用してもよい。
【0090】
前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(1)アタッチメントを動かすために駆動される少なくとも1つのアクチュエータと、前記所定作業を自動で行う際に前記アクチュエータを駆動する制御手段とを備えた。この場合、アクチュエータを駆動して荷役作業を自動で行うことができる。
【0091】
(2)前記荷役レバーは前記アタッチメントを昇降させるリフトレバーである。この場合、アタッチメントの昇降操作に続けて、レバーを離すことなく作業モードの切替えを行うことができる。
【0092】
(3)前記検出手段は、荷の有無を検知する荷検知手段である。この場合、荷検知手段のオンオフ信号により荷の有無を検知できる。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、手動で作業モードを切替える切替手段を設けたので、荷役作業を自動で行う際に実際の荷役作業と異なる作業モードが設定されても、切替手段を操作することにより作業モードを正しく設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態におけるフォークリフトの斜視図。
【図2】 カメラを備えたフォークリフト1で荷役作業を行うときの模式側面図。
【図3】 フォークの位置合わせを自動で行うフォーク自動位置制御についての説明図。
【図4】 運転席の斜視図。
【図5】 フォークリフトの電気構成図。
【図6】 (a)は画面上に設定された画面座標系を示す画面図、(b)は実座標系を示す表示図。
【図7】 カメラ位置を求める際の算出方法を説明するための説明図。
【図8】 荷取りモード時の表示装置の画面図。
【図9】 荷置きモード時の表示装置の画面図。
【図10】 第2実施形態における(a)は荷入(荷置き)時の作業状態を示す説明図、(b)は荷出(荷取り)時の作業状態を示す説明図。
【図11】 コントロールパネルの平面図。
【図12】 フォークリフトの電気構成図。
【符号の説明】
1…産業車両としてのフォークリフト、5…アクチュエータを構成するリーチシリンダ、6…アタッチメントとしてのフォーク、8…アクチュエータを構成するリフトシリンダ、11…アクチュエータを構成するサイドシフトシリンダ、12…アクチュエータを構成するティルトシリンダ、25…報知手段(表示手段)としての表示装置、25a…画面、31〜34…荷役レバーを構成する各種レバー、38…切替手段としてのモード切替スイッチ、41…制御手段及び作業モード設定手段を構成する荷役制御部、53…検出手段(荷重検出手段)としての荷重センサ、71…標識位置算出手段を構成する画像認識処理部、72…標識位置算出手段を構成するテンプレート記憶部、73…標識位置算出手段を構成する画面座標位置算出部、74…移動距離算出手段を構成する実座標位置算出部、75…移動距離算出手段を構成するずれ量算出部、81,82…報知手段としてのLED、92a〜92c…始動操作手段を構成する番号キー、M1,M2…標識としてのマーク。
Claims (8)
- 産業車両により行われる各種作業のうち、所定作業が自動で実行される産業車両の作業モード切替装置であって、
前記所定作業を自動で行う際に、その作業状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出値に基づき、前記所定作業の作業内容に応じて予め設定された複数種の作業モードのうち1つの作業モードを設定する作業モード設定手段と、
前記作業モード設定手段により設定された前記作業モードを手動で切替えるための切替手段と、
アタッチメントを動かすために駆動される少なくとも1つのアクチュエータと、
前記荷役作業の作業状態を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により取り込まれた画像データを基に、前記作業モード設定手段又は切替手段により設定された作業モードに応じて決まる位置検出のための標識を画像認識処理し、画面座標における前記標識の座標位置を算出する標識位置算出手段と、
前記標識位置算出手段の算出結果を基に実座標における前記アタッチメントの座標位置を算出し、目標位置に対して前記アタッチメントの動かすべき距離を算出する移動距離算出手段と、
前記アタッチメントが前記目標位置に位置するように、前記移動距離算出手段により算出された距離だけ前記アタッチメントを移動させるべく前記アクチュエータを駆動する制御手段と
を備えた産業車両の作業モード切替装置。 - 前記作業モード設定手段により設定された作業モードを報知する報知手段を備えた請求項1に記載の産業車両の作業モード切替装置。
- 前記報知手段は、前記作業モード設定手段により設定された作業モードを視覚的に報知する表示手段である請求項2に記載の産業車両の作業モード切替装置。
- 前記検出手段は、アタッチメント上の荷重を検出する荷重検出手段であって、
前記モード設定手段は前記荷重検出手段の検出結果から求まる荷重に基づき、前記作業モードが荷取りモードか荷置きモードであるかを設定し、前記切替手段を操作することによって前記作業モードが手動で前記荷取りモードと荷置きモードの間で切替えられる請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の産業車両の作業モード切替装置。 - 前記アタッチメントの位置合わせを自動で行う産業車両の作業モード切替装置であって、
前記作業モード設定手段は、前記アタッチメントを位置合わせする際に、予め設定された複数種の作業モードのうち1つの作業モードを設定する請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の産業車両の作業モード切替装置。 - 前記切替手段は、荷役作業時に操作される荷役レバーに設けられている請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の産業車両の作業モード切替装置。
- アタッチメントを動かすために駆動される少なくとも1つのアクチュエータと、
始動操作手段の操作信号により指定された揚高位置まで前記アタッチメントを上昇させる自動揚高装置とを備え、
前記始動操作手段の操作信号により該当する高さが指定された際に、前記始動操作手段の操作信号と、前記作業モード設定手段又は切替手段により設定された作業モードとから決まる所定高さに、前記アタッチメントを移動させるべく前記アクチュエータを駆動する制御手段を備えた請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の産業車両の作業モード切替装置。 - 請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の作業モード切替装置を備えた産業車両。
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