(実施例1)
次に、本発明の第1の実施例を図1から図13までを参照して説明する。本実施例のフォークリフト10は、フォーク12が車体11の左右、正面の三方向の間を水平に旋回し、かつフォーク12が車体11の左右方向に移動(シフト)するタイプの三方向スタッキングトラックである。
ラック30はビーム30aによって複数段(本実施例では6段)の荷格納部30bが形成され、各ビーム30aの上部に荷34を載せたパレット32が置かれている。各段の荷34は、全てが同じ荷34になることもあれば、各段それぞれが異なる荷34になることもある。なお、各段の荷34が全て同じ荷34である場合、後述するカメラ20による撮影条件も全ての段で同じに設定されることになる。
フォークリフト10は、車体11とこの車体11の前方に立設されたマスト14とを備えている。マスト14に対して昇降キャリッジ15が昇降可能に設けられ、昇降キャリッジ15に対してヘッド部13が車体11の左右方向に移動可能に設けられている。ヘッド部13には2本のフォーク12が車体11の左右、正面に渡って水平方向に旋回可能に設けられている。図1を参照すると、フォークリフト10の左方向を記号x1、右方向を記号x2で示し、フォークリフト10の前方向を記号yで示している。図2を参照すると、フォークリフト10の上下方向を記号zで示している。
実際の荷取りでは、ラック30間の通路にフォークリフト10を進入させ、フォークリフト10の左側および右側に位置するラック30から荷34を取る作業となる。このため、フォーク12は左に90度旋回させて位置させるか、もしくは右に90度旋回させて位置させることになる。
フォーク12は略L字形状を成し、水平方向に延びるプレート部12aと垂直方向に延びるシャンク部12bとを備える。フォーク12のプレート部12aがパレット32の差込口に差し込まれることにより、フォーク12がパレット32およびパレット32上の荷34を持ち上げる。
車体11の右側に立ち乗り運転するための運転席9が設けられ、運転席9に乗り込んだ作業者は立った状態でステアリングハンドル8を左手で回転操作してフォークリフト10の進行方向を操作する。運転席9の前部にはアクセルレバー7が設けられおり、アクセルレバー7を前方側に倒すと、その倒した角度に応じた走行速度でフォークリフト10が前進し、アクセルレバー7を後方側に倒すと、その倒した角度に応じた走行速度でフォークリフト10が後進する。また、運転席9の上部にはヘッドガード5が設けれており、車体11から上方に延びる左右2本の脚5aによって支持されている。
運転席9のアクセルレバー7の隣には複数本の操作レバー6が設けられている。この例では、3本の操作レバーを備え、フォーク12を昇降操作させるためのリフトレバー6a、フォーク12を車体11の左右にシフト操作するためのシフトレバー6d、フォーク12を水平方向に旋回操作するためのローテートレバー6eを備えている(図4参照)。シフトレバー6dは請求項に記載したフォークシフト操作部のことである。ローテートレバー6eは請求項に記載したフォーク旋回操作部のことである。
作業者のローテートレバー6eの操作により、フォーク旋回駆動部46(図4参照)が駆動され、フォーク12が旋回するものである。また、作業者のシフトレバー6dの操作により、フォークシフト駆動部48(図4参照)が駆動され、フォーク12がシフトするものである。
本実施例のフォークリフト10は、自動揚高停止装置を備える。自動揚高停止装置は、フォーク12の停止揚高がフォーク12の高さに応じて複数記憶されたフォーク停止揚高記憶部44と、このフォーク停止揚高記憶部44に記憶されたフォーク12の各停止揚高のうち何れの停止揚高にフォーク12を位置させるかを選択するフォーク停止揚高選択部40と、フォーク12の揚高を検出するフォーク揚高検出部42と、フォーク停止揚高選択部40により選択されたフォーク12の停止揚高にフォーク12を位置させるべく昇降させ、フォーク揚高検出部42によりフォーク12が指定された停止揚高に達したことを検出したときフォーク12の昇降を停止させるフォーク制御部43と、を備える。
より具体的には、運転席9に乗り込んだ作業者の手が届く範囲に、フォーク停止揚高選択部40が設けられている。フォーク停止揚高選択部40には各種機能を備えるスイッチ類が設けられている。図5を参照すると、1〜6の数字が記載されたスイッチは、段数スイッチ40aであり、フォーク12の揚高を自動停止させるラック30の段数を指示するときに押す。1の数字が記載された段数スイッチ40aはラック30の1段目を指定するためのスイッチ、2の数字が記載された段数スイッチ40aはラック30の2段目を指定するスイッチであり、6の数字が記載された段数スイッチ40aまでの6種類の段数スイッチ40aが設けられている。
揚高制限スイッチ40bは、フォーク12の自動揚高停止機能を使用または解除するときに押すスイッチである。押すとフォーク12の自動揚高停止機能を使用でき、もう一度押すとフォーク12の自動揚高停止機能を解除できる。メモリスイッチ40cは、フォーク12を自動停止させる揚高をセットする場合に押すスイッチである。メモリスイッチ40cを押すとメモリモードになり、このときにリフトレバー6aを手動操作してフォーク12を昇降させ、ラック30の各段数に合わせてフォーク12を停止させ、ラック30の段数に対応した上記段数スイッチ40aを押すことにより、この押された段数スイッチ40aとそのときのフォーク12の揚高が対応関係になる。メモリスイッチ40cをもう一度押すとメモリモードが解除される。上記メモリスイッチ40cによりセット操作されるフォーク12の停止揚高は、フォーク停止揚高記憶部44(図4参照)に記憶される。
荷取りスタートスイッチ40dは、ラック30に置かれた荷34を取りにいくときに押すスイッチであり、段数スイッチ40aを押して段数を指示した後、この荷取スタートスイッチ40dを押すことにより、荷取り位置までフォーク12を自動的に上昇させるスイッチである。荷降ろしスタートスイッチ40gは、荷34をラック30に降ろすときに押すスイッチであり、段数スイッチ40aを押して段数を指示した後、この荷降ろしスタートスイッチ40gを押すことにより、荷降ろし位置までフォーク12を自動的に上昇させるスイッチである。荷取りスタートスイッチ40dを押したときのフォーク12の停止揚高と、荷降ろしスタートスイッチ40gを押したときのフォーク12の停止揚高とは、同じ段数スイッチ40aが押された場合でも異なる。荷取りの場合のフォーク12の停止揚高は、ラック30に置かれたパレット32の差込口の高さとなり、荷降ろしの場合のフォーク12の停止揚高は、フォーク12が載せているパレット32および荷34をラック30に降ろす必要があるため、荷取りの場合の高さよりも少し停止揚高が高いものである。従って、フォーク停止揚高記憶部44には、各段数スイッチ40a毎に、荷取りの場合の高さと、荷降ろしの場合の高さの2種類が記憶されている。
停止スイッチ40eは、自動揚高停止機能を中止するためのスイッチである。フォーク水平スイッチ40fは、フォーク12を自動的に水平にするためのスイッチである。
自動揚高停止装置は、フォーク12の揚高を検出するフォーク揚高検出部42(図4参照)を備える。具体的には、マスト14に、回転に応じたパルス信号を出力する回転センサ(図示せず)が設けられている。この回転センサは、ワイヤを巻いたリールと、リールの回転を検出するエンコーダとからなっている。
フォーク制御部43は、フォーク停止揚高選択部40の複数の段数スイッチ40aのうちの何れかの段数スイッチ40aが押されたとき、その信号を受信し、何れの段数スイッチ40aが押されたのかを認識し、その段数スイッチ40aに対応したフォーク12の揚高を上記フォーク停止揚高記憶部44から取得する。次に荷取りスタートスイッチ40dが押されたとき、フォーク12を昇降させるための昇降装置17(図4参照)に作動指令信号を出してフォーク12を上昇させる。昇降装置17としては、リフトレバー6aを作業者が操作したときに、リフトレバー6aの倒し角に応じて回転駆動する油圧モータと、油圧モータにより伸縮する油圧シリンダ等とから成る油圧式の装置がある。また、他の昇降装置17としては、リフトレバー6aの操作により回転駆動する電気モータと、この電気モータにより駆動するラックピニオン等とから成る電気式の装置がある。フォーク12が上昇中はフォーク揚高検出部42により検出されたフォーク12の揚高を取得し続け、押された段数スイッチ40aに対応したフォーク12の揚高と比較演算する。そして、フォーク12の揚高が押された段数スイッチ40aのフォーク12の揚高に達したとき、昇降装置17に停止指令信号を出してフォーク12の上昇を停止させるものである。
本実施例のフォーク制御部43は、段数スイッチ40aが押され、その後に荷取りスタートスイッチ40dが押されることにより、フォーク12の上昇をスタートさせ、自動的に停止させるようにしているが、この他の構成でも良い。その1の例としては、フォーク制御部43が、段数スイッチ40aが押された時点でフォーク12の上昇をスタートさせ、自動的に停止させるようにしても良い。その2の例としては、フォーク制御部43が、段数スイッチ40aが押され、次に作業者によりリフトレバー6aが後方側に倒された時点でフォーク12の上昇をスタートさせ、段数スイッチ40aで指定したフォーク12の揚高になったとき、作業者がリフトレバー6aを後方側に倒したままであっても、フォーク12の上昇を自動的に停止させるようにしても良い。
フォーク制御部43は、後述するカメラ制御部54とも連携している。フォーク制御部43は、フォーク停止揚高選択部40の所定の段数スイッチ40aが押されたとき、押された段数スイッチ40aに対応した信号を受信すると共に、押された段数スイッチ40aに対応した信号をカメラ制御部54に出力する。カメラ制御部54は、この信号を受信することにより、どの段数スイッチ40aが押されたかを把握する。
次に、カメラ20について詳述する。カメラ20は、フォークリフト10のヘッド部13に対してカメラ取付ブラケット21を介して取り付けられている。カメラ20は、水平方向で2本のフォーク12間の中心に位置し、上下方向でフォーク12の上方に位置する。カメラ20はマスト14に沿って昇降する昇降キャリッジ15のヘッド部13に取り付けられていることにより、フォーク12と共に昇降可能である。これにより、カメラ20はフォーク12に対して固定された位置にあり、フォーク12の前方をフォーク12の上方から撮影できるものである。従って、カメラ20による映像はパレット32や荷34を俯瞰したものとなる。
本実施例のカメラ20は、ドーム型カメラである。ポリカーボネート製であって半球状のドームカバー部22の中にカメラ本体(図示せず)が収納されている。カメラ本体はドームカバー部22内部で水平方向の左右に360度回動可能であると共に、上下方向にティルト(首振り)も可能であり、自在に撮影方向を変更することができる。また、ズームインやズームアウトにより自在に撮影画角の変更も可能である。カメラ20からは同軸ケーブル(図示せず)が延長されており、車体11の内部にあるカメラ制御部54につながっている。また、必要に応じて暗い場所でも撮影できるようにカメラ20の近傍に照明装置を備え付けても良い。また、カメラ20は赤外線撮影できるカメラ20でも良い。
カメラ20で撮影された映像は、モニタ25に表示される。図2に示すように、モニタ25は、上記車体11に設けられたヘッドガード5の脚5aに取り付けられていると共に、運転席9にて立った状態で運転している作業者の目の高さに位置しており、画面は運転席9の作業者の方へ向けられている。上述のように、カメラ20による映像は、フォーク12の前方をフォーク12の上方から撮影したものであるから、モニタ25には、荷34およびパレット32が斜め上方から撮影された映像が表示されることとなる。これにより、作業者はモニタ25を通して荷34およびパレット32を俯瞰して見ることになる。モニタ25は、カラー表示であっても良いし、モノクロ表示であっても良い。
カメラ20は、フォーク12の旋回位置に応じてカメラ20の旋回位置を変更する。例えば、フォーク12の旋回位置が左方向x1、即ち左90度の位置に旋回した場合、カメラ20も左方向x1、即ち左90度の位置に旋回する。同様に、フォーク12の旋回位置が右方向x2、即ち右90度の位置に旋回した場合、カメラ20も右方向x2、即ち右90度の位置に旋回する。そのために、フォークリフト10は、フォーク12の旋回位置を検出するフォーク旋回位置検出部45と、このフォーク旋回位置検出部45からの信号を取得し、フォーク12の旋回角度とカメラ20の旋回角度とが同じになるようにカメラ駆動部57に駆動指令を出すカメラ制御部54とを備える。
図6を参照すると、上記カメラ駆動部57は、カメラ20を水平方向の左右旋回、垂直方向の上下ティルト、ズームインやズームアウトによる画角変更を行うための各駆動部分を総称した構成である。カメラ駆動部57にて水平方向に左右旋回させるとは、カメラ本体を水平方向に左右旋回させるカメラ旋回駆動部57aにてカメラ本体を水平方向に左右旋回させることを指し、カメラ駆動部57にて垂直方向に上下ティルトさせるとは、カメラ本体を垂直方向に上下ティルトさせるカメラティルト駆動部57bにてカメラ本体を垂直方向に上下ティルトさせることを指し、カメラ駆動部57にて画角を変更するとは、カメラ20の絞りに係るカメラ画角駆動部57cにて画角を変更することを指す。
図6を参照すると、カメラ制御部54は、カメラ駆動部57に駆動指令信号を出力する際、カメラ位置検出部55によるカメラ20の現在の位置信号を受信し、その偏差に基づいてカメラ駆動部57に駆動指令信号を出すフィードバック制御を行うものである。ここで、カメラ位置検出部55は、カメラ本体を水平旋回させるカメラ旋回駆動部57aの現在位置を検出するカメラ旋回位置検出部55aと、カメラ本体を上下ティルトさせるカメラティルト駆動部57bの現在位置を検出するカメラティルト位置検出部55bと、カメラ本体の画角を変更するカメラ画角駆動部57cの現在位置を検出するカメラ画角検出部55cと、を指す。
自動揚高停止装置は、フォーク停止揚高選択部40の荷取りスタートスイッチ40dが1度目に押されると、上述のように、決められた揚高までフォーク12が自動的に上昇し、自動的に停止する。この後、作業者が手動でフォーク12をパレット32に向けてシフトさせ(以下、シフトアウトという)、フォーク12をパレット32の差込口に差し込む。次に2度目に荷取りスタートスイッチ40dが押されると、自動的にフォーク12が少しの高さだけ上昇し、フォーク12によりパレット32が持ち上げられる。引き続き自動的にフォーク12がラック30の中から車体11正面側にシフトされ(以下、シフトインという)、次に自動的にフォーク12が下降される。即ち、フォーク12の上昇、フォーク12のシフトアウト、フォーク12の僅上昇、フォーク12のシフトイン、フォーク12の下降、のうち、シフトアウトのみが手動で行われ、その他は自動で行われる。本実施例では荷取り時における、フォーク12の上昇のときの撮影条件、フォーク12のシフトアウトのときの撮影条件、フォーク12の僅上昇のときの撮影条件、フォーク12のシフトインのときの撮影条件、フォーク12の下降のときの撮影条件のそれぞれは、予めカメラ撮影条件記憶部58に設定されている。そして、フォーク12の各動作は予め設定されたプログラムに従って行われる。
また、自動揚高停止装置は、フォーク停止揚高選択部40の荷降ろしスタートスイッチ40gが押されると、上述のように、決められた揚高までフォーク12がパレット32および荷34を載せて自動的に上昇し、自動的に停止する。この後、作業者が手動でフォーク12をラック30の荷格納部30bに向けてシフトアウトさせ、フォーク12をラック30の荷格納部30b内に位置させる。次に再度荷降ろしスタートスイッチ40gが押されると、自動的にフォーク12が少しの高さだけ下降し、パレット32がラック30のビーム30a上に置かれる。パレット32の下降が停止したとき、フォーク12だけは引き続き下降し、パレット32の差込口の上下方向の高さの中心近傍で停止する。次に、引き続き自動的にフォーク12がシフトインされた後停止し、次に自動的にフォーク12が下降される。即ち、フォーク12の上昇、フォーク12のシフトアウト、フォーク12の僅下降、フォーク12のシフトイン、フォーク12の下降、のうち、シフトアウトのみが手動で行われ、その他は自動で行われる。本実施例では荷降ろし時における、フォーク12の上昇のときの撮影条件、フォーク12のシフトアウトのときの撮影条件、フォーク12の僅下降のときの撮影条件、フォーク12のシフトインのときの撮影条件、フォーク12の下降のときの撮影条件のそれぞれは、予めカメラ撮影条件記憶部58に設定されている。そして、フォーク12の各動作は予め設定されたプログラムに従って行われる。
図7を参照すると、カメラ20の水平方向の左右旋回位置は、車体11の左方向x1の旋回位置、車体11の前方向yの旋回位置、車体11の右方向x2の旋回位置の3方向の何れかになるように初期設定されており、カメラ撮影条件記憶部58に記憶されている。また、カメラ20の垂直方向の上下ティルト位置は、水平方向の0度、水平方向0度から下向きに15度、水平方向0度から下向きに30度の何れかになるように初期設定されており、カメラ撮影条件記憶部58に記憶されている。また、画角は、撮影対象物をズームインした画角、標準の画角、撮影対象物からズームアウトした画角の何れかになるように初期設定されており、カメラ撮影条件記憶部58に記憶されている。
次に、図8を参照して本自動揚高停止装置を使用したときの、荷取り動作時の撮影条件を説明する。荷取り動作を区分すると、フォーク12の上昇、フォーク12のシフトアウト、フォーク12の僅上昇、フォーク12のシフトイン、フォーク12の下降があり、この各動作区分によってカメラ20による撮影条件を変更させる。ここでは、図3において、フォークリフト10の右側にあるラック30から荷34を取り出す場合を想定して説明する。
まず、フォーク12の上昇時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角がズームアウトした組合せである。カメラ20の左右旋回位置が右90度であるのは、取ろうとしている荷34がフォークリフト10から見て右側にあるからである。このことは、次以降の各動作区分でも同様である。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのは、フォーク12のシフトアウト前であり荷34とカメラ20との距離がまだあり、少しのティルト位置で荷34全体を撮影できるからである。カメラ20の画角がズームアウトであるのは、取ろうとしている荷34の全体概観および周囲を把握し易くするためである。
次に、フォーク12のシフトアウト時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下30度、カメラ20の画角がズームインした組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下30度であるのは、フォーク12がシフトアウトし、荷34とカメラ20との距離が近づくため、カメラ20から見た荷34がよりカメラ20より下側になるからである。これにより、荷34を確認し易くすると共に、パレット32の差込口とフォーク12との位置関係を確認する。カメラ20の画角がズームインであるのは、荷34の見え方を大きくしてより確認し易くすると共に、パレット32の差込口とフォーク12との位置関係をより確認し易くするためである。
次に、フォーク12の僅上昇時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角が標準の組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのは、フォーク12の上昇によりパレット32および荷34が上昇するため、荷34の上方側も安全確認できるようにするためである。カメラ20の画角が標準であるのは、前の動作でズームインして荷34をしっかりと確認済みであり、いったん引いて荷34を見るためである。
次に、フォーク12のシフトインの撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角がズームインした組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのは、フォーク12のシフトインによりパレット32および荷34の移動方向が変わってラック30内より取り出されるため、荷34の上方側も安全確認し、荷34とラック30のビーム30aとの干渉を確認するためである。カメラ20の画角がズームインであるのは、シフトイン動作の荷34とラック30のビーム30aとの干渉を確認するためである。
次に、フォーク12の下降時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角がズームアウトした組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのは前の動作区分時のティルト位置を維持することにより慣れたティルト位置で見ることができるようにするためである。カメラ20の画角がズームアウトであるのは、荷34全体を確認し易くするためである。
次に、図9の表を参照して本自動揚高停止装置を使用したときの、荷降ろし動作時の撮影条件を説明する。荷降ろし動作を区分すると、フォーク12の上昇、フォーク12のシフトアウト、フォーク12の僅下降、フォーク12のシフトイン、フォーク12の下降があり、この各動作区分によってカメラ20による撮影条件を変更させる。ここでは、図3において、今度はフォークリフト10の右側にあるラック30に荷34を置く場合を想定して説明する。
まず、フォーク12の上昇時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角がズームアウトした組合せである。カメラ20の左右旋回位置が右90度であるのは、ラック30に降ろそうとしている荷34がフォークリフト10から見て右側にあるからである。このことは、次以降の各動作区分でも同様である。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのは、フォーク12のシフトアウト前であり荷34とカメラ20との距離がまだあり、少しのティルト位置で荷34全体を撮影できるからである。カメラ20の画角がズームアウトであるのは、降ろそうとしている荷34の全体概観および周囲を把握し易くするためである。
次に、フォーク12のシフトアウト時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角がズームインした組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのは、フォーク12がシフトアウトするため、パレット32上の荷34と荷34上にあるラック30のビーム30aとの干渉を安全確認するためである。カメラ20の画角がズームインであるのは、荷34の見え方を大きくしてより安全確認し易くするためである。
次に、フォーク12の僅下降時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角が標準の組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのは、シフトアウト時の荷34の見え方をそのまま維持し、荷34を見易くするためである。カメラ20の画角が標準であるのは、前の動作でズームインして荷34をしっかりと確認済みであり、いったん引いて荷34を見るためである。
次に、フォーク12のシフトインの撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下30度、カメラ20の画角がズームインした組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下30度であるのは、パレット32からフォーク12が抜かれていくに際して、パレット32の差込口とフォーク12とを確認するためである。カメラ20の画角がズームインであるのは、パレット32の差込口とフォーク12とを確認し易くするためである。
次に、フォーク12の下降時の撮影条件は、カメラ20の左右旋回位置が右90度、カメラ20の上下ティルト位置が水平角度0度から下15度、カメラ20の画角がズームアウトした組合せである。カメラ20の上下ティルト位置が下15度であるのはパレット32からフォーク12が抜き終わったことで、フォーク12とパレット32の差込口との干渉確認が終わり、今度は荷34を確認し易くするためである。カメラ20の画角がズームアウトであるのは、荷34全体を確認し易くするためである。
上記荷取り時および荷降ろし時の各動作時の撮影切換えは、各動作が開始されると同時に行われる。本実施例の具体的な構成として、本実施例のカメラ制御部54は、荷取りスタートスイッチ40dからの信号を直接受信可能としている。また、本実施例のカメラ制御部54は、段数スイッチ40aからの信号を直接受信可能としている。荷取りスタートスイッチ40dからの1度目の信号がカメラ制御部54に入ると、上記フォーク12の上昇時の撮影条件となる。次に手動によるフォーク12のシフトアウトが終了した時点で、荷取りスタートスイッチ40dからの2度目の信号がカメラ制御部54に入ると、上記フォーク12の僅下降の撮影条件となる。次のフォーク12のシフトインのプログラム動作に移ると、フォーク制御部43からフォーク12のシフトインに移行したことを知らせる信号がカメラ制御部54に入り、上記フォーク12のシフトインの撮影条件となる。次のフォーク12の下降のプログラム動作に移ると、フォーク制御部43からフォーク12の下降に移行したことを知らせる信号がカメラ制御部54に入り、上記フォーク12の下降の撮影条件となる。これらの構成および動作は荷降ろし時でも略同様である。
次に、図10および図11のフローチャートを参照して本実施例のカメラ制御部54の制御を荷取りの場合を例に説明する。まず、図10を参照すると、揚高制限スイッチ40bが押されて自動揚高停止機能が使用可能状態になると、カメラ制御部54が制御を開始(ステップS1)する。段数スイッチ40aが押されると、その信号がカメラ制御部54に直接入力され、カメラ側一時記憶部56に記憶される(ステップS2)。次に、フォーク旋回位置検出部45によりフォーク12が右90度に旋回しているのか、左90度に旋回しているのかを取得する(ステップS3)。次に、カメラ撮影条件記憶部58から、押された段数スイッチ40aに対応し、かつ、フォーク12の旋回位置に対応する撮影条件を取得する(ステップS4)。次に、予め取得しておいたカメラ20の旋回位置をカメラ側一時記憶部56から取得する(ステップS5)。次に、ステップS4でカメラ撮影条件記憶部58から取得した撮影条件と、ステップS5でカメラ側一時記憶部56から取得したカメラ20の旋回位置とを比較演算する(ステップS6)。次に、荷取りスタートスイッチ40dが押されると、その信号がカメラ制御部54に直接入力される(ステップS7)。カメラ制御部54はこの信号を受けて、カメラ駆動部57に駆動指令信号を出す(ステップS8)。
次に、カメラ位置検出部55(各検出部55a,55b,55c)による検出からカメラ駆動部57の現在位置を取得する(ステップS9)。次に、カメラ撮影条件記憶部58からの撮影条件、即ち、目的の撮影条件にするためのカメラ駆動部57の移動量と、カメラ駆動部57の現在の移動量とを比較する(ステップS10)。次に、カメラ駆動部57の移動量が、目的の撮影条件にするための移動量になったか否かを判断する(ステップS11)。目的の撮影条件になれば次のステップS12に進み、そうでなければステップS8、S9、S10、S11を繰り返す。次に、撮影条件になっていればカメラ駆動部57に停止指令を出す(ステップS12)。
続いて、図11を参照して説明する。荷取りスタートスイッチ40dが押されると、フォーク12の上昇が開始されると同時に、カメラ20は図10に示すステップS7からステップS12までのステップを経て図8に示すフォーク12の上昇時の撮影条件となる。フォーク12は、図12および図13に示すステップを経て、押された段数スイッチ40aの揚高まで上昇した後に停止する。
ここで、図12および図13のフローチャートを参照して、自動揚高停止装置のフォーク制御部43の動作を説明する。上記自動揚高停止装置のフォーク停止揚高選択部40の揚高制限スイッチ40bが押されると、自動揚高停止機能が開始される(ステップS1)。次に、段数スイッチ40aが押されたか否かを判断する(ステップS2)。次に、押されていれば次のステップS3に進み、押されていなければこのステップS2を繰り返す。次に、ステップS2で段数スイッチ40aが押されたと判断されると、どの段数スイッチ40aが押されたかをフォーク側一時記憶部47に記憶する(ステップS3)。この例では数字が「5」の段数スイッチ40aが押されたとする。次に、どの段数スイッチ40aが押されたかをカメラ制御部54に伝える(ステップS4)。次に、押された段数スイッチ40aに対応するフォーク12の停止揚高をフォーク停止揚高記憶部44から取得する(ステップS5)。次に、荷取りスタートスイッチ40dが押されたか否かを判断する(ステップS6)。荷取スタートスイッチ40dが押されていれば次のステップS7に進み、押されていなければこのステップS6を繰り返す。
続いて図13を参照して、フォーク12を上昇させるための昇降装置17にフォーク12を上昇させるための駆動指令を出す(ステップS7)。次に、フォーク揚高検出部42から現在のフォーク12の揚高を取得する(ステップS8)。次に、フォーク停止揚高記憶部44から取得したフォーク12の停止揚高と、フォーク揚高検出部42から取得した現在のフォーク12の揚高とを比較する(ステップS9)。次に、フォーク停止揚高記憶部44から取得したフォーク12の停止揚高と、フォーク揚高検出部42から取得した現在のフォーク12の揚高とが同一になったか否かを判断する(ステップS10)。同一になれば次のステップS11に進み、同一でなければステップS7,S8,S9,S10を繰り返す。次に、揚高が同一になればフォーク12の上昇を停止させるために、フォーク12を上昇させている昇降装置17に停止指令を出し(ステップS11)、終了する(ステップS12)。
再び図11を参照すると、フォーク12の上昇が停止すると、作業者は次にシフトレバー6dを操作して、フォーク12をシフトアウトする。カメラ制御部54はこのシフトアウトのための指令を取得する(ステップS13)。シフトアウトの指令を取得する方法としては、作業者によるシフトレバー6dの動きを検出する方法や、シフトレバー6dの操作を受けてフォーク12をシフトアウトさせるフォーク制御部43からの信号を取得する方法等がある。シフトアウト指令を取得したカメラ制御部54は、カメラ撮影条件記憶部58から図8に示すフォーク12のシフトアウト時の撮影条件を取得する(ステップS14)。次に、図10のステップS8からステップS12までと同様にカメラ20に駆動指令を出し、そして停止させる(ステップS15)。
フォーク12のシフトアウトが終わって、作業者が2度目の荷取りスタートスイッチ40dを押すと、その信号がカメラ制御部54に直接入力され(ステップS16)、カメラ制御部54は、図8に示すフォーク12の僅上昇時の撮影条件を取得する(ステップS17)。次に、図10のステップS8からステップS12までと同様にカメラ20に駆動指令を出し、そして停止させる(ステップS18)。フォーク12の僅上昇が終了すると、プログラムに従ってフォーク制御部43は、次にフォーク12のシフトイン動作を行う。カメラ制御部54はフォーク制御部43からシフトイン動作を開始した信号を取得すると(ステップS19)、カメラ撮影条件記憶部58から図8に示すフォーク12のシフトイン時の撮影条件を取得する(ステップS20)。次に、カメラ20に駆動指令を出し、そして停止させる(ステップS21)。フォーク12のシフトインが終了すると、プログラムに従ってフォーク制御部43は、次にフォーク12の下降動作を行う。カメラ制御部54はフォーク制御部43から下降動作を開始した信号を取得すると(ステップS22)、カメラ撮影条件記憶部58から図8に示すフォーク12の下降時の撮影条件を取得する(ステップS23)。次に、カメラ20に駆動指令を出し、そして停止させて(ステップS24)、終了する(ステップS25)。
荷取り作業や荷降ろし作業では何のどこに気を付けてフォーク12や荷34を見なければならないか、といったポイントがある。例えば、荷取り時のフォーク12のシフトアウト時はパレット32の差込口にフォーク12が干渉せずに挿入されているかに気を付け、荷取り時のフォーク12のシフトイン時は荷34がラック30のビーム30aに当たっていないか気を付けるなどである。これらポイントは、作業者が直接目で見ることができる位置での荷取りや荷降ろしができる場合には確認できるが、高所位置では直接目で確認できない。そこで、本実施例のようにフォーク12の各動作に応じて、これらポイントに着目してカメラ20による撮影条件を切り換えることにより、作業者はモニタ25を通してこれらポイントに着目した確認作業を行うことができるものである。
以上のように、本実施例では、フォーク12の停止揚高によって撮影条件が設定されているのみならず、フォーク12が所定揚高で停止した後の各動作時によっても撮影条件が設定されている。言い換えれば、フォーク12の停止揚高と、フォーク12の旋回位置と、フォーク12のシフト位置とによって撮影条件が設定されているものである。これにより、フォーク12の各動作に従って撮影条件を最適に変更することができ、作業者はモニタ25を見ながらフォーク12の各動作に応じた最適な映像を見ることができる。これにより、作業者はより安全かつ確実に荷取り作業や荷降ろし作業を行うことができる。
(実施例2)
次に、図14を参照して第2の実施例を説明する。本第2の実施例は、上記第1の実施例に適用できる技術であって、荷取り時にフォーク12が上昇するときのカメラ20の撮影条件に係るものである。即ち、自動揚高停止装置の段数スイッチ40aが押され、荷取りスタートスイッチ40dが押されたとき、フォーク12の上昇が開始されるが、このフォーク12の上昇開始時から上昇中は、カメラ20の撮影条件として、押された段数にある荷34を常時撮影し続けるというものである。
このために、カメラ20および荷34間の水平距離Aと、段数毎の荷34の高さBと、フォーク12とカメラ20との高さ方向の距離Dと、が記憶されたカメラ撮影条件記憶部58を備える。また、フォーク12の現在の揚高Cを検出するフォーク揚高検出部42を備える。また、カメラ20のカメラ本体を駆動させるカメラ駆動部57を備える。また、カメラ20および荷34間の距離Aと、段数毎の荷34の高さBと、フォーク12とカメラ20との高さ方向の距離Dと、フォーク12の現在の揚高Cと、からカメラ20を指定された段数の荷34に向けるためのティルト角度Θを演算し、カメラ駆動部57に駆動指令を出すカメラ制御部54を備える。カメラ制御部54による演算式としては、例えば、tanΘ=(B−(C+D)/Aからティルト角度Θを求めることができる。
次に、動作を説明する。段数スイッチ40aが押された後に荷取りスタートスイッチ40dが押されると、カメラ制御部54による制御が開始され、カメラ20の上下ティルト角度Θが連続して演算され、カメラ20はフォーク12の上昇中、常時荷34を撮影し、作業者はモニタ25を通して荷34を見続ける。
これにより、作業者はフォーク12の上昇に伴いカメラ20が荷34に近づく様子をモニタ25を通して連続して見ることができ、目的の荷34であるか否かをフォーク12の上昇中でも把握することができると共に、1つの荷34を集中してカメラ20で撮影することにより、カメラ20の映像が急に切り換わったときのように、何の映像か一瞬把握しにくいといった事象がなく、荷34を容易に把握することができるものである。
以上のように、作業者はモニタ25の画面を見ながら、荷34および荷34の周囲の確認を行うことができる。自動的にフォーク12が動作していても、不測の原因で正常に荷取りや荷降ろしが行えなくなった場合、作業者はモニタ25で確認ができるため、状況に応じて自動揚高停止装置の停止スイッチ40eを押してフォーク12の動作を停止させることができる。また、自動揚高停止機能が働いていても、作業者の手動による操作が入った場合は、手動操作可能に切り換わり、フォーク12を作業者が直接操作できるようにしておいても良い。これにより、正常な荷取りや荷降ろしができなくなった状態からの復旧が可能なものである。
以上、本発明について実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。