JP7215394B2 - 荷役車両の操作支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、荷役車両の操作支援装置に関する。
荷役車両は、荷役装置に積載された荷の搬送を行う。モニタに表示された画像によって荷役車両の操作を支援する荷役車両の操作支援装置としては、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の荷役車両の操作支援装置は、カメラと、カメラにより撮像された撮像画像が表示されるモニタと、を備える。荷役車両の操作者は、モニタに表示された撮像画像を見ながら荷役車両を操作することができる。
特開2011-37536号公報
荷役車両による荷置き作業を行う際には、荷役装置に積載された荷を荷置き位置に置く。この際、荷置き位置の周囲に物体が存在していると、荷役車両の操作者は荷と物体とのクリアランスをモニタで確認しながら、荷と物体とが接触しないように荷を荷置き位置に置く。荷役車両による荷取り作業を行う際には、荷取り位置に置かれた荷を荷役装置に積載した後に、荷役車両を荷取り位置から後退させる。この際、荷取り位置の周囲に物体が存在していると、荷役車両の操作者は荷と物体とのクリアランスをモニタで確認しながら、荷と物体とが接触しないように荷役車両を後退させる。このように、荷役車両を用いた荷置き作業及び荷取り作業では、荷役装置に積載された荷と、この荷に隣り合う隣接物体とのクリアランスを確認しながら操作者が操作を行う必要がある。しかしながら、モニタに表示される撮像画像は二次元の画像であり、荷と隣接物体とのクリアランスを把握しにくい場合がある。即ち、荷役車両の操作者は、荷と隣接物体とが接触するか否かを判別しにくい場合がある。
本発明の目的は、荷と隣接物体とが接触するか否かを荷役車両の操作者が判別しやすい荷役車両の操作支援装置を提供することにある。
上記課題を解決する荷役車両の操作支援装置は、荷役装置に積載された荷の搬送を行う荷役車両の操作支援装置であって、センサと、水平方向のうち前記荷役車両の車幅方向に延びる軸をX軸、水平方向のうち前記X軸に直交する軸をY軸、鉛直方向に延びる軸をZ軸とする実空間上の座標系において、前記センサの検出結果から物体の一部を表す点の集合である点群を前記物体として抽出する物体抽出部と、前記実空間上の座標系において、前記荷役装置による荷役作業中に前記荷が占有する荷役空間を導出する荷役空間導出部と、前記物体抽出部により抽出された前記物体のうち前記荷役空間と前記X軸の延びる方向に隣り合う前記物体、及び前記物体抽出部により抽出された前記物体のうち前記荷役空間と前記Z軸の延びる方向に隣り合う前記物体の少なくともいずれかを隣接物体とすると、前記隣接物体と前記荷役空間とのクリアランスの寸法を導出するクリアランス導出部と、前記荷役車両の操作者に対して、前記クリアランスの寸法に関する情報を通知する通知部と、を備える。
実空間上の座標系は、X軸、Y軸及びZ軸による3軸直交座標系なので、物体抽出部により実空間上の座標系において物体を抽出し、荷役空間導出部により実空間上の座標系において荷役空間を導出することで、荷役空間と物体との位置関係を導出することができる。クリアランス導出部は、荷役空間と、荷役空間に隣接する隣接物体とのクリアランスの寸法を導出する。荷役空間と隣接物体とのクリアランスは、荷と隣接物体とがX軸の延びる方向、あるいは、Z軸の延びる方向に隣り合っている場合に荷と隣接物体との間に生じるクリアランスである。通知部は、導出部により導出されたクリアランスの寸法に関する情報を操作者に通知する。操作者は、クリアランスの寸法に関する情報から、荷と隣接物体とが接触するか否かを判別しやすい。
上記荷役車両の操作支援装置について、前記通知部は、前記荷役車両の操作者に視認可能な位置に配置されており、前記荷役車両に搭載されたカメラによって撮像されている撮像画像が表示されるモニタであり、前記撮像画像に前記クリアランスの寸法に関する情報を重畳して表示する表示部と、を備えていてもよい。
上記荷役車両の操作支援装置について、前記通知部は、前記クリアランスの寸法が予め定められた閾値未満か否かを前記操作者に対して通知するものでもよい。
本発明によれば、荷と隣接物体とが接触するか否かを荷役車両の操作者が判別しやすい。
遠隔操作システムの概略構成図。 フォークリフト、及び遠隔操作装置の概略構成図。 フォークリフトの平面図を模式的に示す図。 第1ステレオカメラの撮像範囲を模式的に示す図。 荷置き作業を行う際のラックと荷との関係を示す模式図。 遠隔操作システムで行われる処理を示すフローチャート。 荷役空間と隣接物体とのクリアランスを示す模式図。 モニタに表示されるクリアランスの寸法に関する情報を示す図。 クリアランスに応じたシンボルを示す図。
以下、荷役車両の操作支援装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、遠隔操作システム10は、荷役車両としてのフォークリフト20と、フォークリフト20を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置50と、を備える。フォークリフト20は荷の搬送等が行われる作業場に配置される。遠隔操作装置50は操作室にいる操作者による操作によりフォークリフト20を遠隔操作するための部材である。操作室は、作業場を直接視認できない場所、あるいは、作業場を直接視認しにくい場所である。なお、以下の説明において、前後左右とは、フォークリフト20の前後左右である。フォークリフト20の左右方向とは、フォークリフト20の車幅方向である。
本実施形態のフォークリフト20はリーチ式である。なお、フォークリフト20としては、カウンタ式のものが用いられてもよい。フォークリフト20は、車体21と、車体21に設けられた車輪22と、車体21の前方に向けて延びたリーチレグ23と、車体21の前方に設けられた荷役装置24と、を備える。リーチレグ23は、左右方向に離間して一対設けられている。荷役装置24は、リーチレグ23に対して起立したマスト25と、マスト25に取り付けられたバックレスト26と、バックレスト26に取り付けられたフォーク27と、を備える。フォーク27は、左右方向に離間して一対設けられている。フォーク27は、荷が積載される部材である荷役具である。
図1及び図2に示すように、フォークリフト20は、フォークリフト20に走行動作を行わせる駆動機構28と、フォークリフト20に荷役動作を行わせる荷役機構29と、メインコントローラ31と、荷役操作部32と、を備える。
駆動機構28は、車輪22を回転させる駆動源、及びフォークリフト20の操舵を行う操舵機構などを含む。荷役機構29は、マスト25を動作させる油圧シリンダに作動油を供給する荷役ポンプ、荷役ポンプを駆動させる駆動源、作動油の流通を制御するバルブなどを含む。荷役機構29は、マスト25をリーチレグ23に沿って前後方向に移動させるリーチ動作、マスト25を傾動させるティルト動作、マスト25を昇降させるリフト動作を荷役装置24に行わせることができる。荷役動作は、リーチ動作、ティルト動作、リフト動作のいずれか1つを含む動作である。
メインコントローラ31は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。メインコントローラ31の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。メインコントローラ31は、駆動機構28及び荷役機構29を制御することで、フォークリフト20に走行動作及び荷役動作をさせる。
荷役操作部32は、リーチ動作、ティルト動作、リフト動作に対応して個別に設けられており、荷役操作部32に対応した荷役動作が行われる。荷役操作部32は、フォークリフト20の搭乗者によって操作される。図示は省略するが、フォークリフト20は、荷役操作部32の操作量を検出する操作量検出部を備え、操作量検出部の検出結果がメインコントローラ31に出力される。また、図示は省略するが、フォークリフト20は、搭乗者によって操作される走行操作部を備える。メインコントローラ31は、荷役操作部32及び走行操作部の操作に応じて駆動機構28及び荷役機構29の制御を行う。即ち、本実施形態のフォークリフト20は、遠隔操作装置50を用いた遠隔操作に加えて、フォークリフト20の搭乗者による操作も可能なフォークリフトである。
フォークリフト20は、カメラ41と、画像処理部42と、車両側無線機43と、無線ユニット44と、2つのステレオカメラ45,46と、を備える。カメラ41としては、例えば、CCDイメージセンサや、CMOSイメージセンサを用いたものが挙げられる。
カメラ41は、フォーク27に荷が積載されていない状態で、水平画角及び垂直画角により規定される撮像範囲にフォーク27が含まれるように取り付けられている。詳細にいえば、フォーク27に荷が積載されていない状態で、カメラ41の撮像範囲には2つのフォーク27の先端が含まれるようにカメラ41は取り付けられている。カメラ41は、フォーク27とともに昇降する部材に取り付けられている。本実施形態では、カメラ41は、バックレスト26に取り付けられている。カメラ41は、フォーク27よりも鉛直方向上方に設けられている。カメラ41は、フォークリフト20の前方を向いており、かつ、鉛直方向下方に向けて傾斜するように配置されている。従って、カメラ41は、鉛直方向上方からフォーク27を鳥瞰するように配置されているといえる。
本実施形態において、2つのステレオカメラ45,46は同一構成である。ステレオカメラ45,46は、それぞれ、CCDイメージセンサや、CMOSイメージセンサを用いたカメラを2つ備える。ステレオカメラ45,46はセンサとして機能している。ステレオカメラ45,46の備える2つのカメラは、互いの光軸が平行となるように配置されている。ステレオカメラ45,46の備える2つのカメラは、互いに離間しているため、2つのカメラによって撮像される画像では同一物体がずれて写ることになる。詳細にいえば、同一物体を撮像した場合、2つのカメラによって撮像される画像に写る物体には、2つのカメラ間の距離に応じた画素のずれが生じることになる。
ステレオカメラ45,46は、フォーク27とともに昇降する部材に取り付けられている。本実施形態では、ステレオカメラ45,46は、バックレスト26に取り付けられている。ステレオカメラ45,46は、フォーク27よりも鉛直方向上方に設けられている。ステレオカメラ45,46は、フォークリフト20の前方を向いており、かつ、鉛直方向下方に向けて傾斜するように配置されている。
図3に示すように、2つのステレオカメラ45,46は、互いに左右方向に離間して配置されている。本実施形態では、バックレスト26の左右両端に分かれて2つのステレオカメラ45,46は配置されている。2つのステレオカメラ45,46のうち一方を第1ステレオカメラ45、他方を第2ステレオカメラ46とする。第1ステレオカメラ45は、バックレスト26の左端に配置されている。第2ステレオカメラ46は、バックレスト26の右端に配置されている。
図4に示すように、ステレオカメラ45,46は、フォーク27に積載された荷70の側部及び荷70の上面が、水平画角及び垂直画角により規定される撮像範囲に含まれるように取り付けられている。荷70とは、フォーク27に積載される物である。本実施形態では、一例として搬送物71を積載したパレット72が荷70としてフォーク27に積載される場合について説明するが、パレット72のみがフォーク27に積載されていればパレット72が荷70である。
図4には、第1ステレオカメラ45の撮像範囲を模式的に示している。図4から把握できるように、フォーク27に荷70が積載された状態で、第1ステレオカメラ45の撮像範囲には、パレット72の左端L1、パレット72の上面T1、搬送物71の左端L2及び搬送物71の上面T2が含まれている。図示は省略するが、フォーク27に荷70が積載された状態で、第2ステレオカメラ46の撮像範囲には、パレット72の右端R1、パレット72の上面T1、搬送物71の右端R2及び搬送物71の上面T2が含まれている。
画像処理部42は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。画像処理部42の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。画像処理部42は、カメラ41から所定の間隔で画像データを取得する。画像データは、例えば、RGB形式のデータである。画像処理部42は、カメラ41から取得した画像データに対して画像処理を行う。画像処理部42は、各ステレオカメラ45,46から所定の間隔で画像データを取得する。画像データは、例えば、RGB形式のデータである。画像処理部42は、各ステレオカメラ45,46から取得した画像データに対して画像処理を行う。画像処理部42とメインコントローラ31とは、CAN:Controller Area NetworkやLIN:Local Interconnect Networkなどのプロトコルで互いに通信を行うことが可能である。
車両側無線機43は、遠隔操作装置50にカメラ41から取得した画像データを送信するための通信インターフェースである。車両側無線機43は、画像処理部42から出力された画像データを変調して無線信号を生成する。車両側無線機43は、無線信号を送信する。
無線ユニット44は、遠隔操作装置50と相互に通信を行うための通信インターフェースである。無線ユニット44は、メインコントローラ31や画像処理部42から出力されたデータを変調して無線信号を生成する変調部と、遠隔操作装置50から受信した無線信号を復調して、復調されたデータをメインコントローラ31に出力する復調部と、を含む。無線ユニット44は、フォークリフト20の周辺の情報や、フォークリフト20の情報を遠隔操作装置50に送信する。フォークリフト20の周辺の情報としては、例えば、荷70に関する情報が挙げられる。フォークリフト20の情報としては、例えば、フォークリフト20の操舵角やフォークリフト20の速度が挙げられる。
次に、遠隔操作装置50について説明する。
図2に示すように、遠隔操作装置50は、フォークリフト20を操作するための操作部51と、操作コントローラ52と、第1無線機53と、第2無線機54と、表示コントローラ55と、モニタ56と、を備える。操作部51、操作コントローラ52、表示コントローラ55、及びモニタ56は、操作室に設けられている。第1無線機53及び第2無線機54は、作業場に設けられている。
操作部51は、操作室にいる操作者によって操作される。操作部51は、例えば、傾倒可能なレバー式の操作部である。操作部51は、遠隔操作装置50によりフォークリフト20を操作する際に用いられる。操作部51には、フォークリフト20を走行動作させる際に操作される走行操作部と、フォークリフト20を荷役動作させる際に操作される荷役操作部と、が含まれる。操作部51の操作量は、図示しない操作量検出部により検出され、操作コントローラ52に出力される。
操作コントローラ52は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。操作コントローラ52の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。操作コントローラ52は、操作部51の操作量に応じて指令を生成する。
第1無線機53は、無線ユニット44と相互の通信を行うための通信インターフェースである。第1無線機53は、操作コントローラ52から出力されたデータを変調して無線信号を生成する変調部と、無線ユニット44から受信した無線信号を復調して、復調されたデータを操作コントローラ52に出力する復調部と、を含む。
操作コントローラ52は、操作部51の操作量に応じた指令を含むデータを第1無線機53に出力することで、第1無線機53及び無線ユニット44を介してメインコントローラ31に指令を与えることができる。メインコントローラ31は、操作コントローラ52からの指令を受信すると、指令に従って駆動機構28及び荷役機構29を制御する。これにより、操作室にいる操作者は、フォークリフト20を遠隔操作することが可能である。また、操作コントローラ52は、第1無線機53を介してフォークリフト20の周辺の情報やフォークリフト20の情報を認識可能である。本実施形態では、フォークリフト20は、操作室にいる操作者に操作される。操作室にいる操作者が、荷役車両の操作者となる。
第2無線機54は、車両側無線機43からの画像データを受信するための通信インターフェースである。第2無線機54は、車両側無線機43から受信した無線信号を復調し、復調された画像データを表示コントローラ55に出力する。
表示コントローラ55は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。表示コントローラ55の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。表示コントローラ55は、第2無線機54から取得した画像データをモニタ56に出力する。また、表示コントローラ55は、フォークリフト20の運転に必要となる情報を表示するためのデータをモニタ56に出力することも可能である。表示コントローラ55と操作コントローラ52とは、互いの情報を取得可能に構成されている。
モニタ56は、表示コントローラ55から出力された画像データを撮像画像として表示するディスプレイである。モニタ56は、操作室にいる操作者が視認可能な位置に配置されている。モニタ56は、表示コントローラ55から出力された画像データを撮像画像として表示することで、操作者にカメラ41に撮像されている撮像画像を視認させることができる。また、モニタ56には、フォークリフト20の操作を支援するための表示も行われる。操作室にいる操作者は、モニタ56を見ながらフォークリフト20を操作することが可能である。
次に、モニタ56への表示を行うために遠隔操作システム10で行われる処理について説明する。以下の説明において、フォークリフト20によって荷置き作業を行う場合を例に挙げて説明する。荷置き作業とは、荷役装置24に積載された荷70を荷置き位置に置く作業である。荷置き作業では、荷役装置24に積載された荷70を荷置き位置の鉛直方向上方に位置させた後に、フォーク27を下降させる。荷70が荷置き位置に置かれた後には、フォークリフト20を後退させることで、フォーク27を荷70から離間させる。
図5に示すように、一例として、ラック80に荷70を置く場合について説明する。ラック80は、柱81に棚板82を支持させたものである。操作者は、フォークリフト20を操作することで、フォーク27に積載された荷70を棚板82に移載する。本実施形態の荷70は、パレット72に搬送物71を積載したものである。棚板82には、荷役装置24に積載された荷70とは異なる荷73が既に置かれている。操作者は、棚板82のうち既に置かれた荷73と、柱81との間に荷役装置24に積載された荷70を移載する。棚板82のうち既に置かれた荷73と、柱81との間の位置P1が荷置き位置となる。
図6に示すように、ステップS1において、画像処理部42は、ステレオカメラ45,46から画像データを取得する。画像処理部42は、ステレオカメラ45,46毎に個別に画像データを取得する。
次に、ステップS2において、画像処理部42は、ステレオ処理を行うことで、視差画像を取得する。視差画像は、画素に対して視差[px]を対応付けたものである。視差画像とは、必ずしも表示を要するものではなく、視差画像における各画素に視差が対応付けられたデータのことを示す。視差は、ステレオカメラ45,46の備える2つのカメラによって撮像された画像データを比較し、各画像データに写る同一特徴点について画像データ間の画素数の差を導出することで得られる。なお、特徴点とは、物体のエッジなど、境目として認識可能な部分である。特徴点は、輝度情報などから検出することができる。画像処理部42は、ステレオカメラ45,46毎に個別にステレオ処理を行い、ステレオカメラ45,46毎に視差画像を取得する。
次に、ステップS3において、画像処理部42は、実空間上の座標系における特徴点の座標を導出する。実空間上の座標系は、フォークリフト20が水平面に位置している状態で水平方向のうちフォークリフト20の車幅方向に延びる軸をX軸、水平方向のうちX軸に直交する軸をY軸、鉛直方向に延びる軸をZ軸とする座標系である。特徴点の座標の導出は、ステレオカメラ45,46の基線長、ステレオカメラ45,46の焦点距離、及びステップS2で得られた視差画像からカメラ座標系における特徴点の座標を導出した後に、当該座標を実空間上の座標系における座標に変換することで行われる。画像処理部42は、ステップS2で取得した視差画像毎に個別に特徴点の座標を導出する。本実施形態では、図7に示すように、ラック80のエッジや、ラック80に置かれた荷73のエッジが特徴点Pとして抽出できる。なお、本実施形態では、第1ステレオカメラ45と、第2ステレオカメラ46とで座標軸の向きは同一となっているが、原点は一致させていない。従って、画像処理部42は、第1ステレオカメラ45と第2ステレオカメラ46で、個別の座標系で特徴点の座標を導出するといえる。なお、以下の説明において、座標とは、実空間上の座標系における座標を示す。また、実空間上の座標系における座標軸であるX軸の延びる方向をX軸方向、Y軸の延びる方向をY軸方向、Z軸の延びる方向をZ軸方向として説明を行う。
図6に示すように、ステップS4において、画像処理部42は、特徴点をクラスタ化することで物体の抽出を行う。画像処理部42は、物体の一部を表す点である特徴点のうち同一物体を表していると想定される特徴点の集合を1つの点群とし、当該点群を物体として抽出する。画像処理部42は、ステップS3で導出された特徴点の座標から、所定範囲内に位置する特徴点を1つの点群とみなすクラスタ化を行う。画像処理部42は、クラスタ化された点群を1つの物体とみなす。なお、ステップS4で行われる特徴点のクラスタ化は種々の手法で行うことができる。画像処理部42は、各ステレオカメラ45,46で得られた特徴点毎に個別に物体の抽出を行う。ステップS4の処理を行うことで、画像処理部42は、物体抽出部として機能している。
次に、ステップS5において、画像処理部42は、実空間上の座標系における荷70の位置を導出する。荷70の位置とは、実空間上の座標系における荷70の座標である。画像処理部42は、ステップS4で抽出された物体のうち荷70に該当する物体を特定する。ステレオカメラ45,46とフォーク27との位置は一定であるため、画像処理部42は実空間上の座標系での物体の座標からいずれの物体が荷70に該当するかを判定することができる。詳細にいえば、フォーク27に荷70が積載されている場合に荷70の特徴点が取り得る座標を予め把握可能であるため、この座標に一致する特徴点を含む点群を荷70と判定することができる。画像処理部42は、荷70に該当する物体を特定することで、特徴点の座標から荷70の位置を導出することができる。
荷70の位置は、荷70に該当すると判定された物体の座標から導出することができる。本実施形態では、荷70の位置として、荷70の下面、荷70の上面、荷70の左端、及び荷70の右端の位置を導出する。荷70の下面とは、パレット72の下面である。荷70の上面とは荷70で最も鉛直方向上方に位置する面であり、パレット72に搬送物71が積載されていなければパレット72の上面T1であり、パレット72に搬送物71が積載されていれば搬送物71の上面T2である。荷70の左端とは荷70で最も左方に位置する部位であり、パレット72に搬送物71が積載されていない場合やパレット72に積載された搬送物71がパレット72の左端よりも左方に突出していなければパレット72の左端L1である。一方で、パレット72に積載された搬送物71の一部がパレット72の左端L1よりも左方に突出していれば搬送物71の左端L2が荷70の左端である。荷70の右端とは荷70で最も右方に位置する部位であり、パレット72に搬送物71が積載されていない場合やパレット72に積載された搬送物71がパレット72の右端R1よりも右方に突出していなければパレット72の右端R1である。一方で、パレット72に積載された搬送物71の一部がパレット72の右端R1よりも右方に突出していれば搬送物71の右端R2が荷70の右端である。
ステレオカメラ45,46は、パレット72の上面T1が撮像範囲に含まれるように配置されている。このため、画像処理部42は、各ステレオカメラ45,46の画像データから得られた視差画像によってパレット72の上面T1の座標を導出できる。パレット72の寸法は規格で定まっており、既知の値である。従って、画像処理部42は、パレット72の上面T1の座標からパレット72の下面の座標を導出することができる。詳細にいえば、パレット72の上面T1の座標のうちZ座標を、パレット72の厚み分だけ鉛直方向下方にずらすことで、実空間上の座標系におけるパレット72の下面の座標を導出することができる。なお、パレット72の厚みとは、パレット72の下面とパレット72の上面とのZ座標の差である。
ステレオカメラ45,46は、荷70の上面が撮像範囲に含まれるように配置されている。このため、画像処理部42は、各ステレオカメラ45,46の画像データから得られた視差画像によって荷70の上面の座標を導出できる。
第1ステレオカメラ45は、撮像範囲に荷70の左端が含まれるように配置されている。このため、画像処理部42は、第1ステレオカメラ45の画像データから得られた視差画像によって荷70の左端の座標を導出できる。
第2ステレオカメラ46は、撮像範囲に荷70の右端が含まれるように配置されている。このため、画像処理部42は、第2ステレオカメラ46の画像データから得られた視差画像によって荷70の右端の座標を導出できる。
画像処理部42は、第1ステレオカメラ45の画像データから得られた視差画像から荷70の座標を導出することで、荷70の上面、荷70の下面、及び荷70の左端の座標を導出可能である。また、画像処理部42は、パレット72の右端R1等、荷70の右端が画像に写っていれば、荷70の右端の座標を導出することもできる。パレット72の寸法は規格で定まっているため、荷70の右端の座標は、荷70の左端の座標から導出することも可能である。なお、第1ステレオカメラ45は、荷70の左側を撮像するために設けられたものであり、荷70の右端の座標は導出できなくてもよい。
画像処理部42は、第2ステレオカメラ46の画像データから得られた視差画像から荷70の座標を導出することで、荷70の上面、荷70の下面、及び荷70の右端の座標を導出可能である。また、画像処理部42は、パレット72の左端L1等、荷70の左端が画像に写っていれば、荷70の左端の座標を導出することもできる。パレット72の寸法は規格で定まっているため、荷70の左端の座標は、荷70の右端の座標から導出することも可能である。なお、第2ステレオカメラ46は、荷70の右側を撮像するために設けられたものであり、荷70の左端の座標は導出できなくてもよい。
画像処理部42は、第1ステレオカメラ45の画像データから、第1ステレオカメラ45に写る範囲での荷70の座標を導出するといえる。画像処理部42は、第2ステレオカメラ46の画像データから、第2ステレオカメラ46に写る範囲での荷70の座標を導出するといえる。
図5及び図6に示すように、ステップS6において、画像処理部42は、実空間上の座標系における荷役空間91の位置を導出する。荷役空間91とは、荷役装置24による荷役作業中に荷70が占有する空間である。荷役作業には、荷置き作業及び荷取り作業が含まれる。荷置き作業を行う際の荷役空間91は、フォークリフト20が荷置き位置から離間した位置から荷置き位置に近づき、荷置き位置に荷70を置くまでに荷70が占有すると想定される空間である。荷置き作業を行う際の荷役空間91は、荷役装置24に積載された荷70によって占有される占有空間92と、占有空間92をY軸方向に延長した延長空間93と、を含む。占有空間92とは、荷70を構成する特徴点によって囲まれる空間であってもよいし、図5に示すように、パレット72の下面から、パレット72の下面を荷70の上面まで延長した空間であってもよい。荷役空間91の位置とは、荷役空間91を囲む外縁の座標であり、荷役空間91を囲む外縁の座標は荷役空間91の大きさを表しているともいえる。画像処理部42は、占有空間92のY座標を変更することで、実空間上の座標系における延長空間93を導出することができる。詳細にいえば、画像処理部42は、荷70によって占有される占有空間92をY軸方向のうちフォークリフト20の前方に向けて延長することで延長空間93を導出することができる。荷役空間91とは、ステップS1でステレオカメラ45,46から画像データを取得した時点での荷役装置24の状態でフォークリフト20を前進させた場合に、荷役装置24に積載された荷70が通過する空間ともいえる。なお、荷役装置24の状態とは、フォーク27の高さ、及び荷役装置24の向きである。画像処理部42は、第1ステレオカメラ45の画像データから得られた荷70の座標から荷役空間91を導出する。画像処理部42は、第2ステレオカメラ46の画像データから得られた荷70の座標から荷役空間91を導出する。画像処理部42は、第1ステレオカメラ45を基準とした座標系と、第2ステレオカメラ46を基準とした座標系とで個別に荷役空間91を導出するといえる。ステップS6の処理を行うことで、画像処理部42は、荷役空間導出部として機能している。
次に、ステップS7において、画像処理部42は、荷置き位置に位置する荷役空間91と、当該荷役空間91に隣り合う隣接物体とのクリアランスの寸法を導出する。荷置き位置に荷70を置く際には、ラック80の正面にフォークリフト20を位置させた後に、フォークリフト20を前進させて荷置き位置にフォークリフト20を近づけていく。即ち、荷置き位置に荷70を移載する際には、延長空間93が荷置き位置に位置する。前述したように、荷役空間91とは、ステップS1でステレオカメラ45,46から画像データを取得した時点での荷役装置24の状態でフォークリフト20を前進させた場合に、荷役装置24に積載された荷70が通過する位置である。従って、隣接物体と荷役空間91とのクリアランスとは、フォークリフト20を前進させて、荷70が荷置き位置の鉛直方向上方に位置した場合に、荷70と隣接物体との間に生じるクリアランスといえる。
本実施形態において、画像処理部42は、荷役空間91の上下左右に存在するクリアランスの寸法を導出する。図5に示す例では、荷役空間91の左方には荷73、荷役空間91の右方には柱81、荷役空間91の上下両側には棚板82が存在する。従って、荷73、柱81及び棚板82は荷役空間91に隣接する隣接物体となる。荷70、柱81及び棚板82は、ステップS4で行われたクラスタ化によって物体として抽出されている。画像処理部42は、荷役空間91の座標と、ステップS4で抽出された物体の座標から隣接物体を抽出可能である。ステップS4で抽出された物体のうち荷役空間91よりも鉛直方向上方に位置しており、かつ、Z座標が最も荷役空間91に近い物体は荷役空間91の鉛直方向上方に位置する隣接物体といえる。この隣接物体は、荷役空間91の鉛直方向上方に位置する棚板82である。ステップS4で抽出された物体のうち荷役空間91よりも鉛直方向下方に位置しており、かつ、Z座標が最も荷役空間91に近い物体は荷役空間91の鉛直方向上方に位置する隣接物体といえる。この隣接物体は、荷役空間91の鉛直方向下方に位置する棚板82である。ステップS4で抽出された物体のうち荷役空間91よりも左方に位置しており、かつ、X座標が最も荷役空間91に近い物体は荷役空間91の左方に位置する隣接物体といえる。この隣接物体は、棚板82に置かれた荷73である。ステップS4で抽出された物体のうち荷役空間91よりも右方に位置しており、かつ、X座標が最も荷役空間91に近い物体は荷役空間91の右方に位置する隣接物体といえる。この隣接物体は、柱81である。
図7に示すように、画像処理部42は、荷役空間91と、各隣接物体との間のクリアランスC1,C2,C3,C4の寸法d1,d2,d3,d4を導出する。なお、図7では、荷役空間91の上方に存在する隣接物体を省略している。画像処理部42は、荷役空間91の上下左右のそれぞれに存在するクリアランスC1~C4の寸法d1~d4を導出する。クリアランスC1~C4の寸法d1~d4は、荷役空間91の座標と、各隣接物体の座標から導出することができる。画像処理部42は、荷役空間91のZ座標と、荷役空間91の鉛直方向上方に位置する隣接物体のZ座標との差から、荷役空間91の上方に存在するクリアランスC1の寸法d1を導出できる。画像処理部42は、荷役空間91のZ座標と、荷役空間91の鉛直方向下方に位置する隣接物体のZ座標との差から、荷役空間91の下方に存在するクリアランスC2の寸法d2を導出できる。画像処理部42は、荷役空間91のX座標と、荷役空間91の左方に位置する隣接物体のX座標との差から、荷役空間91の左方に存在するクリアランスC3の寸法d3を導出できる。画像処理部42は、荷役空間91のX座標と、荷役空間91の右方に位置する隣接物体のX座標との差から、荷役空間91の右方に存在するクリアランスC4の寸法d4を導出できる。画像処理部42は、第1ステレオカメラ45を基準とした座標系と、第2ステレオカメラ46を基準とした座標系とで個別に荷役空間91と隣接物体とのクリアランスC1~C4の寸法d1~d4を導出する。この際、第1ステレオカメラ45を基準とした座標系では、荷役空間91の右方に存在するクリアランスC4の寸法d4を導出できなくてもよい。第2ステレオカメラ46を基準とした座標系では、荷役空間91の左方に存在するクリアランスC3の寸法d3を導出できなくてもよい。即ち、2つのステレオカメラ45,46は、互いの死角になり得る部分を補完できるように配置されることで、2つのステレオカメラ45,46によって荷役空間91の上下左右のクリアランスC1~C4を導出可能にされている。ステップS7の処理を行うことで、画像処理部42は、クリアランス導出部として機能している。
図6に示すように、ステップS8において、画像処理部42は、荷70と隣接物体とが接触するか否かを判定する接触判定を行う。接触判定は、ステップS7で導出されたクリアランスC1~C4の寸法d1~d4から行われる。画像処理部42は、荷70と隣接物体とのクリアランスC1~C4の寸法d1~d4が閾値未満の場合には、荷70と隣接物体とが接触すると判定する。なお、画像処理部42は、荷70と隣接物体との間にクリアランスC1~C4が存在しない場合であっても、クリアランスC1~C4が閾値未満と判定を行う。閾値としては、例えば、計測誤差やフォークリフト20の進行方向が路面の起伏等により僅かにずれたことによるずれ量や、マージンを考慮して設定される。画像処理部42は、荷役空間91の上下のクリアランスC1,C2であれば、Z軸方向に対する寸法d1,d2が閾値未満か否かを判定し、クリアランスC1,C2のZ軸方向の寸法d1,d2が閾値未満であれば荷70と隣接物体とが接触すると判定する。一方で、画像処理部42は、クリアランスC1,C2のZ軸方向の寸法d1,d2が閾値以上であれば荷70と隣接物体とが接触しないと判定する。画像処理部42は、荷役空間91の左右のクリアランスC3,C4であれば、クリアランスC3,C4のX軸方向の寸法d3,d4が閾値未満か否かを判定し、クリアランスC3,C4のX軸方向の寸法d3,d4が閾値未満であれば荷70と隣接物体とが接触すると判定する。一方で、画像処理部42は、クリアランスC3,C4のX軸方向の寸法d3,d4が閾値以上であれば荷70と隣接物体とが接触しないと判定する。画像処理部42は、第1ステレオカメラ45を基準とした座標系と、第2ステレオカメラ46を基準とした座標系とで個別に接触判定を行う。
次に、ステップS9において、画像処理部42は、ステップS8で行われた接触判定の判定結果を含むデータを無線ユニット44から無線送信する。接触判定の判定結果とは、荷70の上下左右のうち隣接物体と接触するおそれのある部位を表示コントローラ55に認識させるための情報である。本実施形態では、画像処理部42は、第1ステレオカメラ45を基準とした座標系と、第2ステレオカメラ46を基準とした座標系とで個別に接触判定を行っている。このため、一方の座標系では荷70と隣接物体とが接触すると判定された場合であっても、他方の座標系では荷70と隣接物体とが接触しないと判定されるおそれがある。例えば、第1ステレオカメラ45を基準とした座標系では荷役空間91の上方に存在するクリアランスC1の寸法d1が閾値未満となり、第2ステレオカメラ46を基準とした座標系では荷役空間91の上方に存在するクリアランスC1の寸法d1が閾値以上となるおそれがある。このように、両座標系で、別の判定結果が得られた場合、画像処理部42は、荷70と隣接物体とが接触すると判定した判定結果を採用するようにしてもよい。
次に、ステップS10において、表示コントローラ55は、接触判定の判定結果に応じてモニタ56への表示を行う。なお、表示コントローラ55は、接触判定の判定結果を操作コントローラ52から取得してもよいし、第1無線機53から取得してもよい。
図8に示すように、表示コントローラ55は、荷70を模したシンボルSYを撮像画像Iに重畳してモニタ56に表示している。このシンボルSYは、モニタ56に常に表示されていてもよいし、荷役装置24が荷置き作業を行うときにのみ表示されてもよい。荷役装置24が荷置き作業を行うときにのみシンボルSYを表示する場合、表示コントローラ55は、例えば、荷置き位置を検出した場合にシンボルSYの表示を行う。荷置き位置の検出は、荷置き位置に設けられたマーカーや荷置き位置の形状を画像認識で抽出することで行われる。画像認識としては、例えば、画像処理部42のROM等に予め記憶されたテンプレート画像と画像データとの比較を行い、テンプレート画像に一致する度合いが高い領域を探索するパターンマッチングが用いられる。
表示コントローラ55は、荷役空間91と隣接物体との間のクリアランスC1~C4に応じて撮像画像Iに重畳して表示するシンボルを異ならせる。クリアランスC1~C4の寸法d1~d4の全てが閾値以上であれば、図8に示すように荷70を模したシンボルSYがモニタ56に表示される。
図9に示すように、荷役空間91と、荷役空間91の右側に位置する隣接物体とのクリアランスC4の寸法d4が閾値未満であれば、表示コントローラ55は、荷70を模したシンボルSYの右側に警告表示Aが表示されたシンボルSY1をモニタ56に表示する。図9に示す例では、シンボルSYの右側に円形の警告表示Aを表示することで、荷70の右側が隣接物体に接触する可能性があることを操作者に警告している。図9では、一例として円形の警告表示Aを表示しているが、円形以外の形状による警告表示Aや、シンボルSYの右側のみ色彩を変更する警告表示等、シンボルSYの右側を強調することができる表示であればどのような表示を警告表示としてもよい。
荷役空間91と、荷役空間91の左側に位置する隣接物体とのクリアランスC3の寸法d3が閾値未満であれば、表示コントローラ55は、荷70を模したシンボルSYの左側に警告表示Aが表示されたシンボルSY2をモニタ56に表示する。
荷役空間91と、荷役空間91の上側に位置する隣接物体とのクリアランスC1の寸法d1が閾値未満であれば、表示コントローラ55は、荷70を模したシンボルSYの上側に警告表示Aが表示されたシンボルSY3をモニタ56に表示する。
荷役空間91と、荷役空間91の下側に位置する隣接物体とのクリアランスC2の寸法d2が閾値未満であれば、表示コントローラ55は、荷70を模したシンボルSYの下側に警告表示Aが表示されたシンボルSY4をモニタ56に表示する。
荷役空間91と、荷役空間91の左右両側に位置する隣接物体とのクリアランスC3,C4の寸法d3,d4それぞれが閾値未満の場合にはシンボルSYの左右両側に警告表示Aをすればよい。このように、複数の隣接物体とのクリアランスが閾値未満の場合には、方向に対応して複数の警告表示Aを行えばよい。
なお、シンボルSY,SY1~SY4の重畳表示は、表示コントローラ55がシンボルSY,SY1~SY4を示すOSD:On Screen Displayデータを生成し、このOSDデータを画像データに合成することで行われる。本実施形態において、クリアランスC1~C4の寸法d1~d4が閾値未満か否かを示すシンボルSY,SY1~SY4が、クリアランスC1~C4の寸法に関する情報となる。撮像画像IにシンボルSY,SY1~SY4を重畳して表示する表示コントローラ55は、表示部として機能している。
モニタ56に撮像画像IとシンボルSY,SY1~SY4を表示することで、操作者はモニタ56の撮像画像Iを見ながらフォークリフト20を操作することができる。また、撮像画像Iのみでは荷70と隣接物体とのクリアランスC1~C4を把握しにくい場合、操作者はシンボルSY,SY1~SY4を見ながらフォークリフト20を操作することで、荷70と隣接物体との接触を抑制しながら荷役作業を行うことができる。モニタ56に表示されたシンボルSY,SY1~SY4によって、操作者にはクリアランスC1~C4の寸法d1~d4に関する情報が通知される。従って、モニタ56が通知部として機能している。
図2に示すように、遠隔操作システム10に用いられる荷役車両の操作支援装置60は、クリアランスC1~C4の寸法d1~d4に関する情報を操作者に通知する部材であるカメラ41、画像処理部42、車両側無線機43、ステレオカメラ45,46、第2無線機54、表示コントローラ55、及びモニタ56を備えているといえる。
本実施形態の作用について説明する。
ステレオカメラ45,46は、2つのカメラによって撮像された画像データの差から、画像処理部42に実空間上の座標系における特徴点の座標を導出させることができる。即ち、ステレオカメラ45,46は、画像処理部42に3次元計測を行わせることができる。画像処理部42は、特徴点を座標によってクラスタ化して点群とすることで、実空間上の座標系において物体を抽出することができる。また、ステレオカメラ45,46の撮像範囲に荷70が含まれるようにステレオカメラ45,46を配置することで、画像処理部42は、実空間上の座標系において荷70が占有する荷役空間91を導出することができる。実空間上の座標系は、X軸、Y軸及びZ軸による3軸直交座標系なので、実空間上の座標系における荷役空間91を導出することで、荷役空間91と物体との位置関係を導出することができる。荷役空間91と隣接物体とのクリアランスC1~C4は、荷役装置24に積載された荷70と隣接物体とがX軸方向、あるいは、Z軸方向に隣り合っている場合に荷70と隣接物体との間に生じるクリアランスである。従って、荷役空間91と隣接物体とのクリアランスC1~C4の寸法を導出することで、荷70と隣接物体とが接触するか否かを判定することができる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)表示コントローラ55は、荷役空間91と隣接物体との間のクリアランスC1~C4の寸法に関する情報として、クリアランスC1~C4が閾値未満か否かを操作者に通知するシンボルSY,SY1~SY4を表示するようにしている。従って、操作者は、クリアランスC1~C4の寸法に関する情報から、荷70と隣接物体とが接触するか否かを判別しやすい。
(2)表示コントローラ55は、クリアランスC1~C4の寸法に関する情報であるシンボルSY,SY1~SY4を撮像画像Iに重畳してモニタ56に表示している。フォークリフト20の操作者は、モニタ56に表示される撮像画像Iを見ながらフォークリフト20の操作を行う。このモニタ56にシンボルSY,SY1~SY4が表示されることで、クリアランスC1~C4の寸法に関する情報を操作者が把握しやすい。
(3)表示コントローラ55は、クリアランスC1~C4の寸法に関する情報として、クリアランスC1~C4が閾値未満であることを操作者に通知する表示を行っている。クリアランスC1~C4の寸法に関する情報として、クリアランスC1~C4の寸法を表示する場合に比べて、荷70と隣接物体が接触するか否かを操作者に認識させやすい。
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○荷役車両の操作支援装置60は、荷取り作業を行う際に、荷役空間91と隣接物体とのクリアランスを導出して、クリアランスの寸法に関する情報を操作者に通知するものであってもよい。荷取り作業とは、フォーク27に荷70を積載する作業である。即ち、パレット72の孔にフォーク27を差し込んだ後にフォーク27を上昇させることでフォーク27にパレット72を支持させる作業である。荷取り作業では、荷取り位置に置かれた荷70をフォーク27に積載する。この際、荷取り位置に置かれた荷70に隣接する隣接物体と荷70とが接触するおそれがある。また、カメラ41の取付角度や荷取り位置の周辺環境によってはモニタ56に表示される撮像画像Iから荷70と隣接物体とのクリアランスを視認しにくい場合がある。従って、荷取り作業を行う際にも、荷置き作業を行う場合と同様に、クリアランスの寸法に関する情報を操作者に通知することで、操作者の支援を行ってもよい。
荷取り作業を行う際に、荷役空間91と隣接物体とのクリアランスを導出する場合、荷役空間91は荷役装置24に積載される荷70によって占有される占有空間92となる。荷取り作業を行う場合、荷置き位置に置かれている荷70と、隣接物体とのクリアランスの寸法を導出するため、占有空間92をY軸方向に延長させる必要がない。荷取り作業を行う際に荷役装置24に積載される荷70によって占有される占有空間92を導出する場合、パレット72の孔にフォーク27を差し込んだ段階で、画像処理部42は占有空間92を導出可能である。なお、占有空間92の導出は、実施形態と同様の手法で行うことができる。画像処理部42は、占有空間92を導出すると、占有空間92と隣接物体とのクリアランスを導出する。占有空間92と隣接物体とのクリアランスは、占有空間92の座標と隣接物体との座標から導出することができる。占有空間92と隣接物体とのクリアランスが導出された後の処理は、実施形態と同様である。
なお、荷役車両の操作支援装置60は、荷取り作業を行う際にのみ、荷役空間91と隣接物体とのクリアランスを導出して、クリアランスの寸法に関する情報を操作者に通知するものであってもよい。荷役車両の操作支援装置60は、荷置き作業を行う際にのみ、荷役空間91と隣接物体とのクリアランスを導出して、クリアランスの寸法に関する情報を操作者に通知するものであってもよい。荷役車両の操作支援装置60は、荷取り作業、及び荷置き作業の両方を行う際に、荷役空間91と隣接物体とのクリアランスを導出して、クリアランスの寸法に関する情報を操作者に通知するものであってもよい。即ち、荷役車両の操作支援装置60は、荷取り作業及び荷置き作業の少なくともいずれかの荷役作業中に、荷役空間91と隣接物体とのクリアランスを導出して、クリアランスの寸法に関する情報を操作者に通知するものであればよい。
○画像処理部42は、荷役空間91とX軸方向に隣り合う物体、及び荷役空間91とZ軸方向に隣り合う物体のうち少なくともいずれかを隣接物体とすればよく、隣接物体は荷役空間91とX軸方向に隣り合う物体のみであってもよいし、荷役空間91とZ軸方向に隣り合う物体のみであってもよい。隣接物体とは、荷役空間91と鉛直方向に隣り合う物体のみであってもよいし、荷役空間91と左右方向に隣り合う物体のみであってもよいといえる。即ち、画像処理部42は、荷役空間91の上下に存在するクリアランスの寸法のみを導出してもよいし、荷役空間91の左右に存在するクリアランスの寸法のみを導出してもよい。
○荷役車両の操作支援装置は、操作者としてフォークリフト20の搭乗者を支援するものであってもよい。この場合、モニタ56は、フォークリフト20の搭乗者の視認可能な位置=運転席から視認可能な位置に配置される。また、フォークリフト20に表示コントローラ55を設けて、撮像画像I及びクリアランスの寸法に関する情報の表示を行えるようにする。画像データを遠隔操作装置50に送信する必要がないため、遠隔操作装置50、車両側無線機43、及び無線ユニット44は設けられていなくてもよい。この場合、荷役車両の操作支援装置は、カメラ41と、画像処理部42と、ステレオカメラ45,46と、フォークリフト20に設けられたモニタ56と、モニタ56に撮像画像I及びクリアランスの寸法に関する情報を表示する表示コントローラ55と、を備えていればよい。
○クリアランスが閾値未満であることを操作者に通知する表示として、シンボルSY,SY1~SY4に代えて、文字による表示を行ってもよい。
○クリアランスの寸法に関する情報は、クリアランスの寸法そのものであってもよい。表示コントローラ55は、クリアランスに応じたシンボルSY,SY1~SY4に代えて、クリアランスの寸法を撮像画像Iに重畳して表示する。これにより、操作者は、荷70と隣接物体とが接触するか否かを判別することができる。
○クリアランスの寸法に関する情報としては、クリアランスの寸法が閾値未満であるクリアランスが存在していることを通知するものでもよく、荷役空間91のいずれの方向のクリアランスが閾値未満であるかを特定して警告を行わなくてもよい。
○通知部としては、操作者にクリアランスの寸法に関する情報を通知できれば、どのような部材であってもよい。例えば、音によって操作者にクリアランスの寸法に関する情報を通知するものであってもよい。この場合、通知部としては、警告音を生じさせる発音部材であってもよい。発音部材は、荷役空間91と隣接物体との間のクリアランスが閾値未満の場合に作動させられる。また、通知部としては、音声によって操作者にクリアランスの寸法に関する情報を通知するものであってもよい。この場合、荷役空間91のいずれの方向のクリアランスが閾値未満かを音声によって通知するようにしてもよい。また、通知部としては、振動することによって操作者にクリアランスの寸法に関する情報を通知する振動部材であってもよい。振動部材は、荷役空間91と隣接物体との間のクリアランスが閾値未満の場合に作動させられる。
○画像処理部42は、ステップS1でステレオカメラ45,46から取得した画像データを遠隔操作装置50に無線送信することで、表示コントローラ55にステップS2以降の処理を行わせてもよい。画像処理部42は、ステップS2でステレオ処理によって得られた視差画像を遠隔操作装置50に無線送信することで、ステップS3以降の処理を表示コントローラ55に行わせてもよい。画像処理部42は、ステップS3で導出した特徴点の座標を遠隔操作装置50に無線送信することで、ステップS4以降の処理を表示コントローラ55に行わせてもよい。画像処理部42は、ステップS4でクラスタ化により得られた物体の座標を遠隔操作装置50に無線送信することで、表示コントローラ55にステップS5以降の処理を行わせてもよい。画像処理部42は、ステップS4でクラスタ化により得られた物体の座標とステップS5で導出された荷70の位置を遠隔操作装置50に無線送信することで、表示コントローラ55にステップS6以降の処理を行わせてもよい。画像処理部42は、ステップS4でクラスタ化により得られた物体の座標とステップS6で導出された荷役空間91の位置を遠隔操作装置50に無線送信することで、表示コントローラ55にステップS7以降の処理を行わせてもよい。画像処理部42は、ステップS7で導出したクリアランスの寸法を遠隔操作装置50に無線送信することで、表示コントローラ55にステップS8以降の処理を行わせてもよい。このように、ステレオカメラ45,46から取得した画像データを用いたクリアランスの導出や、導出されたクリアランスを用いた接触判定は、フォークリフト20側で行われてもよいし、遠隔操作装置50側で行われてもよい。
○カメラ41から取得した画像データを画像処理する画像処理部と、ステレオカメラ45,46から取得した画像データを画像処理する画像処理部とは、個別に設けられていてもよい。
○フォークリフト20は、メインコントローラ31及び画像処理部42に代えて、メインコントローラ31の機能及び画像処理部42の機能の両方を備えた1つの装置を備えていてもよい。
○遠隔操作装置50は、操作コントローラ52及び表示コントローラ55に代えて、操作コントローラ52の機能及び表示コントローラ55の機能の両方を備えた1つの装置を備えていてもよい。
○荷役車両の操作支援装置は、操作室にいる操作者、及びフォークリフト20の搭乗者の両方を支援するものであってもよい。この場合、モニタ56は、フォークリフト20の搭乗者の視認可能な位置にも設けられる。フォークリフト20が搭乗者により操作されている場合には、フォークリフト20の搭乗者の視認可能なモニタ56にカメラ41によって撮像された撮像画像I及びクリアランスの寸法に関する情報が表示されるようにする。フォークリフト20が操作室にいる操作者により操作されている場合には、操作室のモニタ56にカメラ41によって撮像された撮像画像I及びクリアランスの寸法に関する情報が表示されるようにする。
○画像処理部42は、第1ステレオカメラ45の原点と第2ステレオカメラ46の原点とを一致させて処理を行ってもよい。この場合、第1ステレオカメラ45に撮像された画像データから得られた特徴点の座標と、第2ステレオカメラ46に撮像された画像データから得られた特徴点の座標とをマージして荷役空間91と隣接物体との間のクリアランスの寸法を導出することができる。即ち、単一の実空間上の座標系を用いて荷役空間91と隣接物体とのクリアランスの寸法を導出することができる。
○フォークリフト20は、人が搭乗できないフォークリフトであってもよい。言い換えれば、フォークリフト20は、遠隔操作装置50による操作専用のフォークリフトであってもよい。
○センサとして、ステレオカメラ45,46以外の3次元カメラを用いてもよい。3次元カメラとは、3次元計測を行うことが可能なカメラであり、ステレオカメラ45,46及びToF:Time of Flightカメラを含む。また、センサとしては、3次元計測を行うことが可能なものであればよく、LIDAR:Laser Imaging Detection and Rangingやミリ波レーダーを用いてもよい。LIDARは、照射角度を変更しながらレーザーを照射し、レーザーが当たった部分から反射された反射光を受光することで周辺環境を認識可能な距離計である。LIDARを用いる場合、物体の一部を表す点とは、レーザーが当たった点である。ミリ波レーダーとは、所定の周波数帯域の電波を周囲に照射することで周辺環境を認識可能なセンサである。ミリ波レーダーを用いる場合、物体の一部を表す点とは、電波が当たった点となる。即ち、物体の一部を表す点とは、センサによって実空間上の座標系における座標を検出できる点といえる。また、センサとしては、3次元カメラとLIDARとの組み合わせ等、複数のセンサを組み合わせたものであってもよい。
○ステレオカメラは、1つであってもよい。この場合、荷役空間91を導出できるように、荷70の全体がステレオカメラの撮像範囲に含まれるようにすることが好ましい。また、荷役空間91とZ軸方向に隣り合う隣接物体と、荷役空間91とのクリアランスの寸法を導出する場合等、X軸方向のクリアランスを導出しなくてもいい場合には、ステレオカメラが1つであってもよい。
○ステレオカメラ45,46によって撮像された撮像画像Iがモニタ56に表示されるようにしてもよい。この場合、3次元計測を行うためのセンサと、カメラに表示する撮像画像Iを撮像するカメラとしてステレオカメラ45,46を兼用することができる。
○カメラ41の配置位置や数は適宜変更してもよい。
○荷役具としてフォーク27以外を用いてもよい。例えば、荷役具は、クランプやラムなどのアタッチメントでもよい。
○物体抽出部、荷役空間導出部、及びクリアランス導出部はそれぞれ別の装置であってもよい。
○荷役車両の操作支援装置としては、クレーン車等、フォークリフト20以外の荷役車両の操作する操作者を支援するためのものであってもよい。
C1~C4…クリアランス、d1~d4…寸法、I…撮像画像、20…荷役車両としてのフォークリフト、24…荷役装置、41…カメラ、42…物体抽出部、荷役空間導出部、及びクリアランス導出部としての画像処理部、45,46…ステレオカメラ、55…表示部としての表示コントローラ、56…通知部としてのモニタ、60…荷役車両の操作支援装置、70…荷、91…荷役空間。

Claims (3)

  1. 荷役装置に積載された荷の搬送を行う荷役車両の操作支援装置であって、
    センサと、
    水平方向のうち前記荷役車両の車幅方向に延びる軸をX軸、水平方向のうち前記X軸に直交する軸をY軸、鉛直方向に延びる軸をZ軸とする実空間上の座標系において、前記センサの検出結果から物体の一部を表す点の集合である点群を前記物体として抽出する物体抽出部と、
    前記実空間上の座標系において、前記荷役装置による荷役作業中に前記荷が占有する荷役空間を導出する荷役空間導出部と、
    前記物体抽出部により抽出された前記物体のうち前記荷役空間と前記X軸の延びる方向に隣り合う前記物体、及び前記物体抽出部により抽出された前記物体のうち前記荷役空間と前記Z軸の延びる方向に隣り合う前記物体の少なくともいずれかを隣接物体とすると、前記隣接物体と前記荷役空間とのクリアランスの寸法を導出するクリアランス導出部と、
    前記荷役車両の操作者に対して、前記クリアランスの寸法に関する情報を通知する通知部と、を備える荷役車両の操作支援装置。
  2. 前記通知部は、前記荷役車両の操作者に視認可能な位置に配置されており、前記荷役車両に搭載されたカメラによって撮像されている撮像画像が表示されるモニタであり、
    前記撮像画像に前記クリアランスの寸法に関する情報を重畳して表示する表示部と、を備える請求項1に記載の荷役車両の操作支援装置。
  3. 前記通知部は、前記クリアランスの寸法が予め定められた閾値未満か否かを前記操作者に対して通知する請求項1又は請求項2に記載の荷役車両の操作支援装置。
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