JP3895801B2 - 溶解性の優れたセルロースエステル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真感光材料、繊維、機能膜等の成型品の材料に有用な、溶解性の優れたセルロースエステル、特に酢酸セルロースに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
平均置換度の高い酢酸セルロース(ここで、平均置換度の高い酢酸セルロースとは、平均置換度2.60以上の酢酸セルロースを指し、以下、三酢酸セルロースと呼ぶ)は写真感光材料の支持フィルムや液晶保護フィルム、繊維、機能膜等の成型品の材料に現在用いられている。三酢酸セルロースは融点よりも分解温度の方が低いために、その成型方法は溶液法による。フィルムの製造は一般には塩化メチレンと、メタノールなどのアルコール類との混合溶媒が用いられているが、生産性向上を目的とした、流延されたフィルムの凝固速度を高める手法として、三酢酸セルロースに対する貧溶媒(例えばエタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン等)を多く加えて溶液のゲル化特性を高める方法が開発されている(米国特許第 2607704号、同第 2739069号、同第 2739070号)。この際、貧溶媒を多く用いるほどゲル化特性が高まるが、その一方で、例えば三酢酸セルロースに対する最も溶解性の良い塩化メチレン:メタノールの溶媒組成はおよそ9:1(重量比)といわれており、これ以上の貧溶媒の多用は三酢酸セルロースの溶解状態の悪化を招く結果、溶液に未溶解分が多く残り、溶液の濾過の際に濾材の目詰まりを引き起こすなどの新たな問題を発生させた。
【0003】
また、三酢酸セルロースに対する溶媒は、塩化メチレンやクロロホルム等であり、アルコール類などの三酢酸セルロースに対する貧溶媒に比べると一般に高価である上、毒性も強い。このため、作業の安全性を高め、生産コストを低減させる意味においても貧溶媒の多用は効果的であるが、上記したように三酢酸セルロースの溶解状態の維持とは相反するものである。従って、これらのことより、貧溶媒を多く含む溶媒に対しても溶解性の良好な三酢酸セルロースの開発が必要とされていた。
【0004】
さらに、溶液法による三酢酸セルロース成型の溶液には、生産効率の点から一般に濃厚溶液が用いられているが、従来の三酢酸セルロースは濃厚溶液における粘度が高く、成型の際のハンドリング性に欠けるといった欠点があった。ここで、濃厚溶液粘度の低減には、溶液の低濃度化と三酢酸セルロースの重合度低下が有効とされるが、溶液の低濃度化に関しては、生産効率の低下を引き起こす点から、また三酢酸セルロースの重合度低下に関しては、成型品の物性劣化を引き起こす点から、それぞれ困難であり、これまで濃厚溶液粘度を低減させる有効な手段は見出されていなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために、鋭意検討の結果、2位及び3位の合計平均置換度が1.97以下であり、なおかつ全平均置換度における6位の平均置換度の占める比率が31.0%以下であるセルロースエステル、特に三酢酸セルロースが従来の三酢酸セルロースよりも溶解性に優れ、なおかつ濃厚溶液粘度が低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、グルコース残基における全平均置換度が2.60以上の酢酸セルロースであって、グルコース残基の2位と3位における合計平均置換度が1.97以下であり、かつ6位における平均置換度が全平均置換度の31.0%以下であることを特徴とするセルロースエステルに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のセルロースエステルとしては、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、ニトロセルロース等が挙げられるが、これらの中でも酢酸セルロースが特に好ましい。よって、以下の説明においては、酢酸セルロースについて行うが、他のセルロースエステルについても同様である。
【0008】
従来の三酢酸セルロース(例えば触媒硫酸法など)は全平均置換度における6位の平均置換度の占める比率が31.0%よりも高いものである。これに対して、本発明の三酢酸セルロースは従来の三酢酸セルロースよりも全平均置換度における6位の平均置換度の占める比率が低く、31.0%以下であることを特徴とする。
【0009】
尚、酢酸セルロースの全平均置換度が一定値以下であると、全平均置換度における6位の平均置換度の占める比率に関係なく溶解性が向上するので、本発明の酢酸セルロースは全平均置換度が2.60以上の範囲に限定される。また、溶解性にかかわらず、耐湿寸法安定性や複屈折等の製品物性を維持するためにも酢酸セルロースの全平均置換度は2.60以上であること、すなわち、三酢酸セルロースが望ましい。
【0010】
溶解性の優れた及び濃厚溶液粘度の低い三酢酸セルロースの条件として、2位及び3位の合計平均置換度は高すぎない方が望ましい。従って、2位及び3位の望ましい合計平均置換度は1.97以下である。
【0011】
また、6位の平均置換度が低すぎると、おのずと2位及び3位の合計平均置換度が高くなりすぎる結果、溶解性の低下を招くので、全平均置換度における6位の平均置換度の占める比率は、好ましくは31.0%以下、さらに好ましくは29.0〜31.0%である。
【0012】
全平均置換度における6位の平均置換度の占める比率が通常の三酢酸セルロースよりも低いものを使用した場合に、溶解性が優れる理由は以下のように推定することができる。
【0013】
即ち、6位の平均置換度が一定以下である場合、三酢酸セルロース分子の形成する結晶構造中、本来6位のアセチル基が位置されるべき場所があく結果、結晶の欠陥が生成すると考えられる。このうような欠陥へは溶媒が非常に侵入しやすくなり、その結果、三酢酸セルロース分子の溶媒和が容易になり、溶解性に優れる特性を持つと考えられる。また、全体の平均置換度が小さくなれば、小さいなりの細密充填をとるような結晶構造を形成すると考えられるので、溶解性に優れるための6位の最適平均置換度も全体の平均置換度に応じて小さくなると考えられる。
【0014】
本発明の三酢酸セルロースの粘度平均重合度(DP)は、 290以上(例えば、 290〜400)、さらに好ましくは 250〜350(例えば、 300〜350)程度であるのが好ましい。
【0015】
本発明の三酢酸セルロースの製造法は、例えば、先行文献(Brian R. Harkness and Derek G. Gray, Macromolecules, 1990, 23, 1452-1457) などによると、セルロースをトリチル化すると6位の水酸基に選択的に導入されるため、トリチル化によりセルロース(もしくは酢酸セルロース)の6位の水酸基を保護した後に、アセチル化を行い、その後再び保護基を外す(脱トリチル化する)方法が挙げられるが、特に限定されるものではなく、その他各種の方法によって製造することも可能である。また、このようにして得られた三酢酸セルロースを加水分解することにより、全平均置換度のより低い三酢酸セルロースを得てもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明のセルロースエステルは溶解性に優れるため、例えば、セルロースエステルに対する貧溶媒を多く含んだ多成分溶媒への溶解性が従来のセルロースエステルよりも優れる。また、従来のセルロースエステルに対して濃厚溶液粘度が低いため、ハンドリング性に優れる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1
セルロース 100重量部に対して硫酸 7.8重量部、無水酢酸 260重量部及び酢酸 400重量部を加え、40℃で40分間アセチル化を行った。その後、反応物を大過剰の水により沈殿、洗浄し、乾燥を行い、DMSO1500重量部に溶解させた。これに、ヒドラジン1水和物27重量部とDMSO 100重量部の混合物を加え、50℃で5時間、部分加水分解を行った。その後、反応物を大過剰の水により沈殿、洗浄し、乾燥することにより、反応物(I)を得た。なお、反応物(I)は酢酸セルロースであり、この全平均置換度を滴定により求めたところ、 2.0であった。尚、以下に滴定による全平均置換度の測定方法を示す。
【0019】
〈滴定による全平均置換度測定〉
乾燥した酢酸セルロースを精秤し、アセトンと水の混合溶媒(容量比9:1)に溶解した後、所定量の1N−水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時間ケン化した。フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N−硫酸(濃度ファクター;F)で過剰の水酸化ナトリウムを滴定した。また、上記と同様の方法により、ブランクテストを行った。そして、下記式に従って全平均置換度(−)を算出した。
【0020】
【数1】
Figure 0003895801
【0021】
式中、Aは試料の滴定に要した1N−硫酸量(ml)、Bはブランクテストに要した1N−硫酸量(ml)、Fは1N−硫酸のファクター、Wは試料重量を示す。
【0022】
次に、反応物(I) 100重量部をピリジン3000重量部に 100℃で溶解した。これに塩化トリチル 8.5重量部を加え、90℃に調温し、25時間攪拌し、トリチル化を行った。その後、さらに4−ジメチルアミノピリジン90重量部及び無水酢酸50重量部を加え、60℃で20時間攪拌し、アセチル化を行った。その後、反応物を大過剰の水により沈殿後、1000重量部のメタノールによる洗浄を3回行った。反応物を乾燥した後、クロロホルム3000重量部に溶解した。これに30重量%臭化水素酸の酢酸溶液40重量部を加え、25℃で5分間攪拌することにより、脱トリチル化を行った。反応物を大過剰の水により沈殿後、1000重量部のメタノールによる洗浄を3回行い、乾燥することにより、三酢酸セルロースを得た。
【0023】
実施例2
実施例1の方法により得られた三酢酸セルロース100重量部を塩化メチレン500重量部に溶解させた。これに96%酢酸水溶液1000重量部を加え、減圧により塩化メチレンを除去しながら、65℃で45分間、酢酸と水による三酢酸セルロースの部分加水分解を行った。反応物を大過剰の水により沈殿、洗浄し、乾燥することにより、実施例1記載の三酢酸セルロースよりも全平均置換度の低い三酢酸セルロースを得た。
【0024】
実施例3
実施例1の方法により得られた三酢酸セルロース100重量部を塩化メチレン500重量部に溶解させた。これに96%酢酸水溶液1000重量部を加え、減圧により塩化メチレンを除去しながら、65℃で 100分間、酢酸と水による三酢酸セルロースの部分加水分解を行った。反応物を大過剰の水により沈殿、洗浄し、乾燥することにより、実施例1及び2記載の三酢酸セルロースよりも全平均置換度の低い三酢酸セルロースを得た。
【0025】
実施例4
実施例1の方法により得られた三酢酸セルロース100重量部を塩化メチレン500重量部に溶解させた。これに96%酢酸水溶液1000重量部を加え、減圧により塩化メチレンを除去しながら、65℃で 115分間、酢酸と水による三酢酸セルロースの部分加水分解を行った。反応物を大過剰の水により沈殿、洗浄し、乾燥することにより、実施例1〜3のいずれに記載の三酢酸セルロースよりも全平均置換度の低い三酢酸セルロースを得た。
【0026】
比較例1
反応物(I) 100重量部に対して塩化トリチル10.5重量部、無水酢酸70重量部及び30重量%臭化水素酸の酢酸溶液50重量部を用いた以外は実施例1記載と同様の方法により、三酢酸セルロースを得た。
【0027】
実施例5
反応物(I) 100重量部に対して塩化トリチル12重量部、無水酢酸47重量部及び30重量%臭化水素酸の酢酸溶液50重量部を用いた以外は実施例1記載と同様の方法により、三酢酸セルロースを得た。
【0028】
実施例6
反応物(I) 100重量部に対して塩化トリチル13.6重量部、無水酢酸44重量部及び30重量%臭化水素酸の酢酸溶液60重量部を用いた以外は実施例1記載と同様の方法により、三酢酸セルロースを得た。
【0029】
比較例2
従来の三酢酸セルロースを製造することを目的として、セルロース 100重量部に対して硫酸 7.8重量部、無水酢酸 260重量部及び酢酸 400重量部を加え、通常の反応方法により三酢酸セルロースを製造した。
【0030】
比較例3
実施例2記載と同様の方法により、比較例2記載の三酢酸セルロースの部分加水分解を行い、比較例2記載の三酢酸セルロースよりも全平均置換度の低い三酢酸セルロースを得た。
【0031】
比較例4
反応物(I) 100重量部に対して塩化トリチル 7.9重量部及び無水酢酸44重量部を用いた以外は実施例1記載と同様の方法により三酢酸セルロースを得た。
【0032】
実施例1〜6及び比較例1〜4の三酢酸セルロースについて、13C−NMRにより各位置の置換度を測定した結果と粘度法による平均重合度の測定結果を表1に示す。尚、スペクトルの例は実施例1〜3及び比較例2、3の13C−NMRスペクトルを図1〜5に示し、各置換位置の置換度の測定方法及び三酢酸セルロースの粘度平均重合度の測定方法を以下に示す。
【0033】
〈各置換位置の置換度の測定〉
2,3,6位の置換度(グルコース環の炭素位置については下記の化学式を参照)はT. Sei, K.Ishitani, R.Suzuki, K.Ikematsu, Polym.J.,17,1065-1069(1985) に記載された方法で、13C−NMRスペクトルの測定結果により決定した。スペクトルの例は図2(実施例2)を用いて説明する。
2位の置換度は、図2中の酢酸セルロースのグルコース環の1位の炭素のシグナル(a+b)のうち2位がアセチル基で置換されたもののシグナル(b)の面積の割合から計算した。
3位の置換度はグルコース環の4位の炭素のシグナルのうち3位が未置換のもののシグナル(c)の面積を2,3,4,5位の4炭素分のシグナル(c+d+e+f+g+h+i+j)の全面積の4分の1の値で割って、1からこの値を引いて計算した。
6位の置換度は6位の炭素のシグナル(k+l)のうち、アセチル基で置換されているもののシグナル(k)の面積の割合から計算した。
これらの値は、Y.Tezuka, Y.Tsuchiya, Carbohydr.Res.,273,83-91(1995)に記載された方法で、酢酸セルロースの残存OH基をプロピオニル化することによりセルロースアセテートプロピオネートにして、アセチル基とプロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルの面積から計算したアセチル基の置換割合と同じ値になったため、各置換位置の置換度の精度は高いことが明らかになった。
【0034】
【化1】
Figure 0003895801
【0035】
〈三酢酸セルロースの粘度平均重合度(DP)の測定〉
絶乾した試料の約 0.2gを精秤し、塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒 100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式により求めた。
ηrel =T/T0
〔η〕=(lnηrel )/C
DP=〔η〕/Km
(式中、T ;測定試料の落下秒数
0 ;溶媒単独の落下秒数
C ;濃度(g/リットル)
Km;6×10-4
を示す)
【0036】
【表1】
Figure 0003895801
【0037】
尚、表1中のそれぞれの位置の平均置換度は小数点第3位を四捨五入した値であり、全平均置換度及び2,3位の合計平均置換度は小数点第3位の精度でそれぞれの位置の平均置換度から計算し、小数点第3位を四捨五入した値である。
【0038】
〈貧溶媒を多く含む塩化メチレン主体の混合溶媒に対する濾過度評価〉
実施例7〜12及び比較例5〜8
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた三酢酸セルロースについて、2mmのメッシュを通過し、なおかつ1mmのメッシュを通過しない粒径の試料を調製して乾燥した後、試料70gを 500mlの溶解用容器に入れ、メタノール30g及びエタノール36gを添加し、15分間静置した。その後、塩化メチレンを 264g添加し、2rpm の速度で容器を回転することにより溶解を開始した。溶解開始6時間後に、25℃に調温し、3kg/cm2 の圧力下、金巾(s618)を3枚重ねたろ布(直径15mm、濾過面積1.77cm2)を用いて溶液を濾過した。この時、濾過開始後20分までの濾過量をP1(g)、20分より60分までの濾過量をP2(g)として測定し、下記式により濾過度Kw (g-1) を計算した。結果を表2に示す。尚、併せて粘度平均重合度と濾過度Kw との関係を図6に示す。
【0039】
【数2】
Figure 0003895801
【0040】
ここで、溶解状態が良好である、すなわち未溶解分の少ない溶液は、濾過抵抗が小さいために濾過開始後60分までの全濾過量(P1+P2)が大きく、また、濾布の目詰まりが少ないため、濾過時間20分以降の濾過速度低下の度合いが小さい、すなわち(P2/P1)が大きい。(P1+P2)が大きいほど、また、(P2/P1)が大きいほどKw は小さくなることから、溶解状態が良好である溶液のKw は溶解状態が良好でない溶液よりも小さな値をとる。
【0041】
【表2】
Figure 0003895801
【0042】
このように、本発明の三酢酸セルロースは、塩化メチレンを主体とした混合溶媒が貧溶媒エタノール及びメタノールを多く含んだ場合においても溶解性に優れるため、比較例の三酢酸セルロースに比べ、濾過量(P1+P2)が大きく、また、(P2/P1)も大きい結果、濾過度Kw が小さい。
【0043】
〈三酢酸セルロースの濃厚溶液粘度評価(η)〉
実施例13〜18及び比較例9〜12
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた三酢酸セルロースについて、三酢酸セルロースを15重量%となるように、塩化メチレン/メタノール/イソプロパノール=80:16:4(重量比)の混合溶媒に溶解し、溶液を内径 2.6cmの粘度管に注入し、25℃に調温後、溶液中に直径3.15mm、 0.135gを剛球を落下させて、間隔10cmの標線間を通過する時間(秒)を測定して、濃厚溶液粘度(η)とした。結果を表3に示す。尚、併せて粘度平均重合度と濃厚溶液粘度(η)との関係を図6に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0003895801
【0045】
このように、本発明の三酢酸セルロースは貧溶媒メタノール及びイソプロパノールを多く含んだ塩化メチレン主体の混合溶媒においても溶解性に優れる上、濃厚溶液粘度ηが低く、成型の際のハンドリング性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例2における13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】実施例3における13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】比較例2における13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】比較例3における13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】実施例及び比較例における粘度平均重合度と濾過度Kw との関係を示すグラフである。
【図7】実施例及び比較例における粘度平均重合度と濃厚溶液粘度(η)との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. グルコース残基における全平均置換度が2.60以上の酢酸セルロースであって、グルコース残基の2位と3位における合計平均置換度が1.97以下であり、かつ6位における平均置換度が全平均置換度の31.0%以下であることを特徴とする三酢酸セルロース
  2. 6位における平均置換度が全平均置換度の29.0〜31.0%であることを特徴とする請求項1記載の三酢酸セルロース
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