JP5165013B2 - セルローストリアセテート - Google Patents
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Description
下記の方法により測定される閉塞恒数(K)が70以下、平均酢化度が59〜62.5%、粘度平均重合度が200〜400であるセルローストリアセテート。
(測定方法)
セルローストリアセテートをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、16重量%(固形分濃度)の溶液を得る。この溶液を金巾濾材を使用して濾過圧力3kg/cm2、温度25℃で定圧濾過し、経時的に測定した濾過量からt/V〜t〔tは濾過時間(秒)、Vは濾過量(ml)を示す〕で表される直線の勾配を算出し、K=勾配×2×104から閉塞恒数(K)を求める。
(測定方法)
セルローストリアセテートをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、16重量%(固形分濃度)の溶液を得る。この溶液を金巾濾材を使用して濾過圧力3kg/cm2、温度25℃で定圧濾過し、経時的に測定した濾過量からt/V〜t[tは濾過時間(秒)、Vは濾過量(ml)を示す]で表される直線の勾配を算出し、K=勾配×2×104から閉塞恒数(K)を求める。なお、t/V〜t直線については、例えば、「高分子工学講座4 化学繊維の紡糸とフィルムの形成(II)」(高分子学会編、116−125頁、1965年)に記載されている。
酢化度(%)=〔6.005×(B−A)×F〕/W
(式中、Aは試料の滴定に要した1N−硫酸のml数、Bはブランクテストの滴定に要した1N−硫酸のml数、Fは1N−硫酸の濃度ファクター、Wは試料重量を示す)。
ηrel =t/t0
〔η〕=(ln ηrel)/c
DP=〔η〕/(6×10-4)
(式中、tは試料溶液の落下秒数、t0は混合溶媒の落下秒数、cは試料溶液中のセルローストリアセテートの濃度(g/L)を示す。なお、ηrelは相対粘度、〔η〕は極限粘度を示す)。
まず、セルロースに酢酸を添加して前処理活性化する。この前処理活性化における酢酸の使用量は、セルロース100重量部に対して、好ましくは10〜500重量部である。また、前処理活性化は、好ましくは密閉及び攪拌条件下、好ましくは20〜50℃で、0.5〜2時間行う。
ケン化熟成に際して、酢化応停止のために水又は酢酸水溶液を添加する。水の添加量は、反応系に存在する無水酢酸と反応して酢酸を生成させ、ケン化熟成処理後の反応系の水分量が2〜10重量%程度になるように添加する。
また、反応系における硫酸イオン濃度が高いと効率よく硫酸エステルを除去することができないため、酢酸マグネシウム等の酢酸のアルカリ土類金属塩の水溶液又は酢酸−水混合溶液を添加して不溶性の硫酸塩を形成させることにより、反応系の硫酸イオン濃度を0.2〜1.0%に調整することが好ましい。
なお、例えば、反応系に酢酸マグネシウムの酢酸−水混合溶液を添加することにより、酢化反応の停止と硫酸イオン濃度の低下を同時に行うこともできる。
これらのうち可塑剤としては、リン酸エステル、例えば、トリフェニルフォスフェート及びトリクレジルフォスフェート;フタル酸エステル、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート;クエン酸エステル、例えば、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチル;その他のカルボン酸エステル、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステル等から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これらの中でもフィルムの耐湿熱性を向上させるため、フタル酸エステル系可塑剤が好ましく、ジエチルフタレートが特に好ましい。
セルローストリアセテートフィルムは、セルローストリアセテート溶液を用いてソルベントキャスト法により製造する。一般的なソルベントキャスト法では、調製したセルローストリアセテート溶液(ドープ)を鏡面状態に仕上げた支持体(例えば、ドラム、バンド)上に流延し、乾燥してからフィルムを剥ぎ取る。乾燥は、通常、常圧又は減圧下で、20〜250℃、好ましくは30〜200℃で行う。フィルムの厚さは、0.1〜250μmの厚さの範囲で用途に応じて適宜決定する。例えば、ICマスクの保護に用いられる光学用薄膜では厚さが0.1〜3μm、包装材用フィルムでは厚さが10〜50μm、写真用や光学用のフィルムでは厚さが50〜250μmである。
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸9重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が3.0重量%、硫酸イオン濃度が0.5重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が50℃まで上昇した。そのまま外部から反応系を加熱することなく、同温度で120分間ケン化熟成処理を行い、酢化度61.3%、粘度平均重合度298のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は57であった。
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸10重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が4.0重量%、硫酸イオン濃度が0.4重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が48℃まで上昇した。そのまま外部から反応系を加熱することなく、同温度で60分間ケン化熟成処理を行い、酢化度60.7%、粘度平均重合度308のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は46であった。
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸11重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が4.5重量%、硫酸イオン濃度が0.3重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が52℃まで上昇した。そのまま外部から反応系を加熱することなく、同温度で30分間でケン化熟成処理を行い、酢化度60.8%、粘度平均重合度302のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は53であった。
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸8重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が3.0重量%、硫酸イオン濃度が0.5重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が50℃まで上昇したが、さらに加熱蒸気を吹き込んで65℃まで加熱した後、40分間ケン化熟成処理を行い、酢化度60.9%、粘度平均重合度299のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は94であった。
実施例1〜3で得られたセルローストリアセテートを、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に、固形分濃度が20重量%となるように溶解させ、ドープを得た。このドープを、直径30μmの細孔を計200個有する紡糸ノズルから吐出線速度500m/分で24時間連続紡糸した。その結果、24時間経過後も開始時と同様の紡糸状態であり、24時間経過後の細孔を電子顕微鏡で観察したところ、全細孔の25%以下に堆積物が認められるのみであった。
一方、比較例1で得られたセルローストリアセテートを用いて同様にして紡糸試験を行ったところ、8時間後には紡糸不能となった。そのときの細孔を同様にして観察したところ、堆積物により殆どの細孔が閉塞されていた。
Claims (6)
- 酢化工程及びケン化熟成工程を含む製造方法により得られるセルローストリアセテートのフレークであって、
下記の方法により測定される閉塞恒数(K)が70以下、平均酢化度が59〜62.5%、粘度平均重合度が200〜400であるセルローストリアセテートのフレーク。
(測定方法)
セルローストリアセテートのフレークをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、16重量%(固形分濃度)の溶液を得る。この溶液を金巾濾材を使用して濾過圧力3kg/cm2、温度25℃で定圧濾過し、経時的に測定した濾過量からt/V〜t〔tは濾過時間(秒)、Vは濾過量(ml)を示す〕で表される直線の勾配を算出し、K=勾配×2×104から閉塞恒数(K)を求める。 - 閉塞恒数(K)が60以下、平均酢化度が59.5〜62.0%、粘度平均重合度が250〜400である請求項1記載のセルローストリアセテートのフレーク。
- 閉塞恒数(K)が57以下、平均酢化度が59.5〜62.0%、粘度平均重合度が250〜400である請求項1記載のセルローストリアセテートのフレーク。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルローストリアセテートのフレークを有機溶媒に溶解させて溶液を使用する成形体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルローストリアセテートのフレークを有機溶媒に溶解させて溶液を使用してフィルムを成形する製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルローストリアセテートのフレークを有機溶媒に溶解させて溶液を使用して紡糸する方法。
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