JP5165013B2 - セルローストリアセテート - Google Patents

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Description

本発明は、本発明は、偏光板の保護フィルム、カラーフィルター、写真感光材料のフィルムや繊維材料として好適なセルローストリアセテート及びその製造方法に関する。
セルローストリアセテートから得られるフィルムは、強靱で寸法安定性、耐熱性に優れ、光学的等方性を有しているので、写真感光材料のような光学フィルムの支持体、液晶表示装置における偏光板保護フィルム、カラーフィルター等の用途に使用されている。また、セルローストリアセテートから得られる繊維は、風合いや光沢に優れるため、各種衣料用繊維として汎用されている。
このようなセルローストリアセテートは、通常、活性化処理、酢化処理及びケン化熟成処理の各工程を経た後、さらに精製乾燥処理を経て製造されている。これらの製造工程の中でケン化熟成工程は、酢化度を目的とするレベルまで低下させるためになされるが、処理時間を短縮するため、外部から加熱したり、内部に水蒸気を吹き込んだりして、60〜70℃の温度で行われる。
しかし、このようなケン化熟成工程を経たセルローストリアセテートは、濾過による除去が困難な細かな異物を含んでいる。よって、このような細かな異物の量が多い場合には、紡糸工程において紡糸ノズルの目詰まりが生じて生産性を低下させる。
特開平09−188701号公報 特開平08−337601号公報 特開平09−286801号公報 特開平10−036401号公報 特開平10−045802号公報 特開平10−045801号公報 特開平09−268201号公報 特開平06−157602号公報 特開平05−287120号公報
高分子工学講座4 化学繊維の紡糸とフィルム成形(II),株式会社地人書館,1965年10月11日,p.116-125
本発明は、濾過が困難な細かな異物の生成を抑制し、濾過により容易に異物を除去することができるセルローストリアセテート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ケン化熟成工程において細かな異物が生成する原因は、ケン化反応が不均一に進行するため、生成するセルローストリアセテートの酢化度にバラツキがあったり、高置換度成分(完全酢化されたグルコース単位)が多いためであることに着目した。そして、このような不均一反応は、反応系において温度むらが生じる、具体的には部分的に高温に曝されるためであることを見出した。酢化工程終了時における反応系は高粘度溶液状であるため、外部からの加熱方式を適用すると攪拌手段を併用した場合でも、容器内壁に接触する高粘度溶液の混合が不十分となって、その部分が高温に曝される時間が長くなる結果、低酢化度成分が生成しやすくなる。一方、過熱水蒸気による内部からの加熱方式を適用した場合には、過熱水蒸気の凝結水と接触する部分でセルローストリアセテートが析出して固相を形成するのでケン化反応が進まず、高酢化度成分が残存しやすくなる。そこで、かかる反応系の温度むらを防止するため、反応系全体に均一に生じる反応熱を利用することにより、細かな異物が少なく濾過性のよいセルローストリアセテートが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、酢化工程及びケン化熟成工程を含む製造方法により得られるセルローストリアセテートであって、
下記の方法により測定される閉塞恒数(K)が70以下、平均酢化度が59〜62.5%、粘度平均重合度が200〜400であるセルローストリアセテート。
(測定方法)
セルローストリアセテートをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、16重量%(固形分濃度)の溶液を得る。この溶液を金巾濾材を使用して濾過圧力3kg/cm2、温度25℃で定圧濾過し、経時的に測定した濾過量からt/V〜t〔tは濾過時間(秒)、Vは濾過量(ml)を示す〕で表される直線の勾配を算出し、K=勾配×2×104から閉塞恒数(K)を求める。
本発明のセルローストリアセテートは、濾過が困難な細かな異物量が非常に少ないため、孔径が小さな濾材によっても目詰まりすることなく、容易に異物を濾過することができる。このため、例えば本発明のセルローストリアセテートを用いて長時間連続紡糸した場合でも、紡糸ノズルが閉塞したりすることがなく、安定した断面形状の繊維を製造することができる。
本発明のセルローストリアセテートは、下記の方法により測定される閉塞恒数(K)が70以下のものであり、好ましくは60以下のものである。この閉塞恒数が70以下であると、濾過性が向上し、紡糸工程において不都合な異物を濾過により除去することが容易になる。
(測定方法)
セルローストリアセテートをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、16重量%(固形分濃度)の溶液を得る。この溶液を金巾濾材を使用して濾過圧力3kg/cm2、温度25℃で定圧濾過し、経時的に測定した濾過量からt/V〜t[tは濾過時間(秒)、Vは濾過量(ml)を示す]で表される直線の勾配を算出し、K=勾配×2×104から閉塞恒数(K)を求める。なお、t/V〜t直線については、例えば、「高分子工学講座4 化学繊維の紡糸とフィルムの形成(II)」(高分子学会編、116−125頁、1965年)に記載されている。
本発明のセルローストリアセテートは、平均酢化度が好ましくは59〜62.5%、特に好ましくは59.5〜62.0%、さらに好ましくは60〜61.5%である。平均酢化度が59%以上であると、セルローストリアセテートの吸湿性を低くできるので成型品の弾性率や引張り破断強度等の機械的強度を高めることができる。平均酢化度が62.5%以下であると硫酸触媒を用いた無水酢酸による反応で得ることができる。
酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)の酢化度の測定方法に準拠して、測定できる。まず、乾燥したセルローストリアセテート1.9gを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒(容量比4:1)150mlに溶解した後、1N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを添加し、25℃で2時間ケン化する。次に、フェノールフタレイン溶液を指示薬として添加し、1N−硫酸で過剰の水酸化ナトリウムで滴定した後、下記式にしたがって酢化度を算出する。なお、同様の方法により、ブランクテストを行う。
酢化度(%)=〔6.005×(B−A)×F〕/W
(式中、Aは試料の滴定に要した1N−硫酸のml数、Bはブランクテストの滴定に要した1N−硫酸のml数、Fは1N−硫酸の濃度ファクター、Wは試料重量を示す)。
本発明のセルローストリアセテートは粘度平均重合度が好ましくは200〜400、特に好ましくは250〜400、さらに好ましくは270〜400、最も好ましくは270〜350である。平均重合度が200以上のものは、フィルム、繊維といった成型品の強度が高まり、平均重合度が400以下のものは溶液調製時の粘度が適度に保たれるので取り扱いが容易になる。
この粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。まず、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶媒にセルローストリアセテートを溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製する。次に、この溶液をオストワルド粘度計に注入し、粘度計の刻印間を溶液が通過する時間t(秒)を測定する。一方、前記混合溶媒単独についても同様にして濾過時間t0(秒)を測定し、下記式から粘度平均重合度(DP)を求める。
ηrel =t/t0
〔η〕=(ln ηrel)/c
DP=〔η〕/(6×10-4
(式中、tは試料溶液の落下秒数、t0は混合溶媒の落下秒数、cは試料溶液中のセルローストリアセテートの濃度(g/L)を示す。なお、ηrelは相対粘度、〔η〕は極限粘度を示す)。
本発明のセルローストリアセテートは、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶媒の6重量%溶液とした場合、粘度が好ましくは200〜700mPa・s、特に好ましくは250〜600mPa・s、さらに好ましくは250〜500mPa・sである。
次に、本発明のセルローストリアセテートの製造方法について説明する。
まず、セルロースに酢酸を添加して前処理活性化する。この前処理活性化における酢酸の使用量は、セルロース100重量部に対して、好ましくは10〜500重量部である。また、前処理活性化は、好ましくは密閉及び攪拌条件下、好ましくは20〜50℃で、0.5〜2時間行う。
次に、このようにして前処理活性化したセルロースを酢化する。この酢化反応は、セルロース100重量部に対して、硫酸5〜15重量部(好ましくは7〜13重量部、特に好ましくは8〜11重量部)と、無水酢酸200〜400重量部(好ましくは240〜280重量部)、酢酸300〜600重量部(好ましくは350〜500重量部)を添加して行う。酢化反応は、攪拌条件下、40〜90分かけて、ほぼ一定速度で昇温しながら、最終的に30〜55℃で15〜60分間保持して行うことが望ましい。
この酢化反応により、硫酸は硫酸エステルとしてセルロースに結合しているため、反応終了後、熱安定性向上のためこの硫酸エステルをケン化熟成工程において除去する。
ケン化熟成に際して、酢化応停止のために水又は酢酸水溶液を添加する。水の添加量は、反応系に存在する無水酢酸と反応して酢酸を生成させ、ケン化熟成処理後の反応系の水分量が2〜10重量%程度になるように添加する。
また、反応系における硫酸イオン濃度が高いと効率よく硫酸エステルを除去することができないため、酢酸マグネシウム等の酢酸のアルカリ土類金属塩の水溶液又は酢酸−水混合溶液を添加して不溶性の硫酸塩を形成させることにより、反応系の硫酸イオン濃度を0.2〜1.0%に調整することが好ましい。
なお、例えば、反応系に酢酸マグネシウムの酢酸−水混合溶液を添加することにより、酢化反応の停止と硫酸イオン濃度の低下を同時に行うこともできる。
ケン化熟成処理は、好ましくは40〜60℃、特に好ましくは45〜55℃で20〜120分間保持することにより行う。このときの反応温度は、外部から反応系の内外には一切の熱は加えず、上記したように添加した水と残存する未反応の無水酢酸との反応熱によってのみ保持する。
ケン化熟成工程においては、水と無水酢酸との反応熱を利用することにより、反応系全体を均一でかつ適正な温度に保持することができるため、酢化度が高すぎるものや低すぎるものが生成することが防止される。
その後、さらに公知の精製乾燥処理をすることにより、目的とする濾過性のよいセルローストリアセテートを得ることができる。
本発明のセルローストリアセテートは、必要に応じて有機溶媒に溶解させた後、各種成型品に成形することができる。
成型時に用いる有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;炭素原子数3〜12のエーテル類、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール;炭素原子数が3〜12のケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン;炭素原子数が3〜12のエステル類、例えば、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートを挙げることができる。
エーテル類、ケトン類及びエステル類は、環状構造を有していてもよく、エーテル類、ケトン類及びエステル類の官能基(−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する有機溶媒、例えば2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールを用いることができる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。さらに、有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。
また、エーテル類、ケトン類及びエステル類と他の有機溶媒を併用してもよい。併用できる有機溶媒としては、ニトロメタン、炭素原子数が1〜6のアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール)等を挙げることができる。
エーテル類、ケトン類及びエステル類と他の有機溶媒を併用する場合、混合溶媒中のエーテル類、ケトン類及びエステル類の割合は、10〜99.5重量%が好ましく、20〜99重量%が特に好ましく、40〜98.5重量%がさらに好ましく、60〜98重量%が最も好ましい。
溶媒の使用量は、成型しようとする目的物に応じて、成型性等を考慮して適宜設定することができる。例えば、セルローストリアセテートの濃度が、好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%、最も好ましくは15〜20重量%となる量である。
また、セルローストリアセテートを成形する際には、用途に応じて、可塑剤、劣化防止剤、紫外線防止剤、着色剤等の各種添加剤を配合することができる。
これらのうち可塑剤としては、リン酸エステル、例えば、トリフェニルフォスフェート及びトリクレジルフォスフェート;フタル酸エステル、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート;クエン酸エステル、例えば、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチル;その他のカルボン酸エステル、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステル等から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これらの中でもフィルムの耐湿熱性を向上させるため、フタル酸エステル系可塑剤が好ましく、ジエチルフタレートが特に好ましい。
次に、本発明のセルローストリアセテートを用いたフィルムや繊維等の成型品の製造方法の例について説明する。
セルローストリアセテートフィルムは、セルローストリアセテート溶液を用いてソルベントキャスト法により製造する。一般的なソルベントキャスト法では、調製したセルローストリアセテート溶液(ドープ)を鏡面状態に仕上げた支持体(例えば、ドラム、バンド)上に流延し、乾燥してからフィルムを剥ぎ取る。乾燥は、通常、常圧又は減圧下で、20〜250℃、好ましくは30〜200℃で行う。フィルムの厚さは、0.1〜250μmの厚さの範囲で用途に応じて適宜決定する。例えば、ICマスクの保護に用いられる光学用薄膜では厚さが0.1〜3μm、包装材用フィルムでは厚さが10〜50μm、写真用や光学用のフィルムでは厚さが50〜250μmである。
セルローストリアセテート繊維は、セルローストリアセテート溶液(ドープ)から紡糸し、溶媒を除去して製造することができ、乾式又は湿式紡糸を適用することができる乾式紡糸における溶媒の除去は、上記のフィルム製造と同じ乾燥条件で実施できる。セルロースエステル繊維の繊度は、1〜16デニールが好ましく、1〜10デニールが特に好ましく、2〜8デニールがさらに好ましい。セルロースエステル繊維の断面形状は、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状)にすることができ、中空状にすることもできる。
また、本発明のセルローストリアセテートは、プラスチック、塗料のラッカー、電気絶縁剤等の用途にも利用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例1
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸9重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が3.0重量%、硫酸イオン濃度が0.5重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が50℃まで上昇した。そのまま外部から反応系を加熱することなく、同温度で120分間ケン化熟成処理を行い、酢化度61.3%、粘度平均重合度298のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は57であった。
実施例2
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸10重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が4.0重量%、硫酸イオン濃度が0.4重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が48℃まで上昇した。そのまま外部から反応系を加熱することなく、同温度で60分間ケン化熟成処理を行い、酢化度60.7%、粘度平均重合度308のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は46であった。
実施例3
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸11重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が4.5重量%、硫酸イオン濃度が0.3重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が52℃まで上昇した。そのまま外部から反応系を加熱することなく、同温度で30分間でケン化熟成処理を行い、酢化度60.8%、粘度平均重合度302のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は53であった。
比較例1
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した。
その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸8重量部を添加し、酢化処理を行った。
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸−水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が3.0重量%、硫酸イオン濃度が0.5重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応系の温度が50℃まで上昇したが、さらに加熱蒸気を吹き込んで65℃まで加熱した後、40分間ケン化熟成処理を行い、酢化度60.9%、粘度平均重合度299のセルローストリアセテートを得た。得られたセルローストリアセテートの閉塞恒数は94であった。
試験例1
実施例1〜3で得られたセルローストリアセテートを、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に、固形分濃度が20重量%となるように溶解させ、ドープを得た。このドープを、直径30μmの細孔を計200個有する紡糸ノズルから吐出線速度500m/分で24時間連続紡糸した。その結果、24時間経過後も開始時と同様の紡糸状態であり、24時間経過後の細孔を電子顕微鏡で観察したところ、全細孔の25%以下に堆積物が認められるのみであった。
一方、比較例1で得られたセルローストリアセテートを用いて同様にして紡糸試験を行ったところ、8時間後には紡糸不能となった。そのときの細孔を同様にして観察したところ、堆積物により殆どの細孔が閉塞されていた。

Claims (6)

  1. 酢化工程及びケン化熟成工程を含む製造方法により得られるセルローストリアセテートのフレークであって、
    下記の方法により測定される閉塞恒数(K)が70以下、平均酢化度が59〜62.5%、粘度平均重合度が200〜400であるセルローストリアセテートのフレーク
    (測定方法)
    セルローストリアセテートのフレークをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、16重量%(固形分濃度)の溶液を得る。この溶液を金巾濾材を使用して濾過圧力3kg/cm2、温度25℃で定圧濾過し、経時的に測定した濾過量からt/V〜t〔tは濾過時間(秒)、Vは濾過量(ml)を示す〕で表される直線の勾配を算出し、K=勾配×2×104から閉塞恒数(K)を求める。
  2. 閉塞恒数(K)が60以下、平均酢化度が59.5〜62.0%、粘度平均重合度が250〜400である請求項1記載のセルローストリアセテートのフレーク
  3. 閉塞恒数(K)が57以下、平均酢化度が59.5〜62.0%、粘度平均重合度が250〜400である請求項1記載のセルローストリアセテートのフレーク。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルローストリアセテートのフレークを有機溶媒に溶解させて溶液を使用する成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルローストリアセテートのフレークを有機溶媒に溶解させて溶液を使用してフィルムを成形する製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載のセルローストリアセテートのフレークを有機溶媒に溶解させて溶液を使用して紡糸する方法。
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