JP3894402B2 - 車両用折り畳みシートの取付構造 - Google Patents

車両用折り畳みシートの取付構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、シートバックを前倒可能に構成し、シートバックとともにシートクッションを前方に起立可能に形成した車両用折り畳みシートの取付構造に係り、車体への組み付け時に、容易に組み付けることができるようにした車両用折り畳みシートの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のリヤシートには、シートバックを前倒可能に構成し、このシートバックとともにシートクッションを前方に起立させるようにしたものがある。こうして、リヤシート後方の荷室を拡大するようにしている。
図8は、荷室空間の拡大を目的として、折り畳み可能に構成されたシート100を示している。
シート100は、シートバック101とシートクッション102とから構成され、シートクッション102の前端部下面に装着された脚103をフロア104にボルト105により螺着して固定されている。
【0003】
以下に一般的なシート100の折り畳み方法を説明する。
図9に示すように、シートバック101を前方に倒し、シートクッション102に重ねる。つぎに、フロア104上に設けられたストライカ106から、シートクッション102の後部に取り付けられたロック107を解除し、図10に示すようにシート100全体を起こす。
最後に、図11に示すように、シートクッション102に一端が固定され、他端が車体側に設けられた車体側ハンガー108に引っかけるように構成された固定バンド109によってシート100を立てた状態で、車体に固定する。
【0004】
以上の手順により、シート100は折り畳まれ、シート100が置かれていた部分のフロア104は荷室として使用することができる。
しかしながら、シート100は固定バンド109のみで押さえられているため、固定バンド109がしっかりと車体側ハンガー108に掛けられていないとシート100が倒れる虞があった。
【0005】
そこで、従来の対策方法として、図12に示すように脚110の回転中心であるヒンジセンター111にスプリング112を取り付けることにより、常にシート100が起きる方向にテンションを掛ける方法がとられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術では、スプリング112を取り付けたことにより、シート100をフロア104へ取り付ける際は、図10に示すようにシート100を不安定な立てた状態で組み付けなければならず、シート100を支える者と、ボルト105を締める者の2人の作業者が必要になるという問題が残る。
また、修理、廃車時のリサイクルなどでシート100を取り外す必要が生じた場合、図13に示すようにボルト105を緩めると、スプリング112のばね力により脚110が突然跳ね上がり、ボルト105が飛ばされたり、工具にぶつかる虞がある。脚110の不意な跳ね上がりを防止する方法としては、図14に示すように、仮留め冶具113を脚110に差込み、脚110の跳ね上がりを抑える方法がある。しかしながら、冶具113の取付け、取り外しの工数がかかり、また、冶具113の保管等の問題が残る。
【0007】
本発明は上記課題を解決し、一人の作業者で容易に組み付けを行うことができ、かつ取り外しの際の不意な脚部材の跳ね上がりを防止できる車両用折り畳みシートの取付構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、脚部材を介してシートクッションを回動可能にフロアに固定し、前記脚部材は前記シートクッションの前端部下面に装着される上端部と、フロアに固定される下端部とを備え、前記上端部と前記下端部とを回動可能に軸支する支持軸にスプリングを装着することにより、前記シートクッションを前方側に起立可能に付勢した車両用折り畳みシートの取付構造において、前記シートクッションの脚部材の前記下端部の後壁部の後面に、下方向に向けて引っ掛け部を設け、該引っ掛け部に係合する壁部を前端部に備えたブラケットを、前記脚部材の後方側のフロア面に設けたことにある。
また、本発明は、前記引っ掛け部の下端部を湾曲または円弧状に形成したことにある。
さらに、本発明は、上記引っ掛け部を脚部材の後面の一部を切り起こすことによって形成したことにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1ないし図5において、1はシートクッション2とシートバック3で構成された折り畳み式リヤシートである。この折り畳み式リヤシート1は、シートクッション2に対してシートバック3が前倒し可能に構成され、かつ、シートバック3とともにシートクッション2を前方に起立可能に形成したものである。
シートクッション2の前端部下面には、脚部材4が装着され、脚部材4を介してフロア面5に設置されている。
【0011】
脚部材4は、上端部4aを、シートクッション2の前端部左右の下面に回動可能に軸支されており、かつ下端部4bをフロア面5の段差部5aにボルト6を介して固定されている。この脚部材4は、段差部7を設けた後壁部4cと、後壁部4cの両側に設けられた側壁部4dで構成され、側壁部4d相互間に挿通された支持軸(ヒンジセンタ)8によってシートクッション2を支持している。上記支持軸8には、コイルスプリング9が装着されており、シートクッション2を前方側に起立可能に付勢している。
【0012】
上記脚部材4の後壁部4cの後面には、下方向に向けて引っ掛け部10を設けた仮留め用のシート側ブラケット11が装着されている。このシート側ブラケット11は、プレート11aの両側部11bを前方に向けて互いに対向するように折り曲げ、その先端部11cを互いに離れる方向に折り曲げてフランジ部11dを形成したものである。両側部11bには、下部側に切り欠き部12が形成されて、後述する車体側ブラケット13に係合する引っ掛け部10を構成している。
上記車体側ブラケット13は、平面視略コ字形状に形成されたもので、シート側ブラケット11を所定位置に保持するものである。この車体側ブラケット13は、脚部材4の後方側のフロア面5に、固定されており、前端部の壁部13aにシート側ブラケット11の引っ掛け部10を係合させてシートクッション2を仮保持するものである。上記切り欠き部12は開口端側の角部12aを円弧状に形成して組み付けを容易にしている。
【0013】
上記シートクッション2の後端部左右の下面には、ゴムなどのクッション材14が配設されており、かつシートクッション2の後面には、フロア面5に装着されたストライカ15に係合するロック装置16が設けられている。
【0014】
上記構成による車両用折り畳みシートの取付構造によると、折り畳み式リヤシート1をフロア面5に設置する場合、折り畳み式リヤシート1を持って、シート側ブラケット11の引っ掛け部10を車体側ブラケット13の壁部13aに係合させる。引っ掛け部10は、切り欠き部12の開口端側の角部12aを円弧状に形成しているので、引っ掛け部10を車体側ブラケット13の壁部13aに係合させると、車体側ブラケット13の壁部13aが自然に、切り欠き部12の内部に入り込む。そして、次に、ボルト6を介してフロア面5の段差部5aに脚部材4を固定する。一方、折り畳み式リヤシート1の後端部は、フロア面5に装着されたストライカ15にロック装置16を係合させることで固定される。
したがって、一人の作業者によって容易に折り畳み式リヤシート1を組み付けることができる。
また、シート側ブラケット11と車体側ブラケット13は互いに係合しているので、ボルト6を緩めても脚部材4が不意に跳ね上がる虞がない。
【0015】
次に、図6および図7は本発明の変形例であり、図3と同一部分には同符号を付して説明する。
図6に示したものは、脚部材4の後壁部4cの一部を切り起こして引っ掛け部17を形成したものである。引っ掛け部17は、脚部材4の後壁部4cに、四角形を描き、この四角形の上辺を除く下辺17aと左右の側辺17b、17cを切断し、後方に引き出したもので、下端部17dを折り返して湾曲させたものである。
また、図7に示したものは、脚部材4の後壁部4cの一部を左右に観音開きに切り起こして、引っ掛け部18を形成したものである。引っ掛け部18は、左右に切り起こした内側下端部18aを湾曲させて形成し、かつ内側上端部18bも湾曲させて形成している。
これらの引っ掛け部17および引っ掛け部18は、車体側ブラケット13の壁部13aに係合させることにより、折り畳み式リヤシート1を仮保持することができる。
【0016】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、たとえば、折り畳み式リヤシート1は、リヤシートに限らず、ワンボックスカーなどでは、中間位置のシートに適用することもできる。また、引っ掛け部10、引っ掛け部17および引っ掛け部18は、車体側ブラケット13の壁部13aに係合させるものであれば、特にその形状が限定されるものではなく、また、大きさも任意に設定することができる。等、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜、変更して実施し得ることは言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による車両用折り畳みシートの取付構造によると、以下のような効果を奏することができる。
請求項1において、脚部材を介してシートクッションを回動可能にフロアに固定し、前記脚部材は前記シートクッションの前端部下面に装着される上端部と、フロアに固定される下端部とを備え、前記上端部と前記下端部とを回動可能に軸支する支持軸にスプリングを装着することにより、前記シートクッションを前方側に起立可能に付勢した車両用折り畳みシートの取付構造において、前記シートクッションの脚部材の前記下端部の後壁部の後面に、下方向に向けて引っ掛け部を設け、該引っ掛け部に係合する壁部を前端部に備えたブラケットを、前記脚部材の後方側のフロア面に設けたので、引っ掛け部をフロア側のブラケットに係合させて、折り畳みシートの取付に際して仮保持することができることから、一人の作業者により容易に組み付けることができる。
請求項3において、上記引っ掛け部を脚部材の後面の一部を切り起こすことによって形成したので、部品点数の削減を図り、組み付け作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による車両用折り畳みシートの取付構造を示す側面図である。
【図2】図1の脚部材を拡大して示す側面図である。
【図3】引っ掛け部と車体側ブラケットを示す部分拡大斜視図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図1の車両用折り畳みシートの取付構造の動作を示す概念図である。
【図6】本発明の他の実施の形態による車両用折り畳みシートの取付構造を示す部分拡大斜視図である。
【図7】本発明の他の実施の形態による車両用折り畳みシートの取付構造を示す部分拡大斜視図である。
【図8】従来の車両用折り畳みシートを示す斜視図である。
【図9】従来の車両用折り畳みシートの取付構造のシートバックを倒した状態を示す側面図である。
【図10】従来の車両用折り畳みシートの取付構造のシートバックとともにシートクッションを前方に起立させた状態を示す側面図である。
【図11】従来の車両用折り畳みシートの取付構造のシートバックとともにシートクッションを前方に起立させた状態で固定する方法を示す側面図である。
【図12】従来の車両用折り畳みシートの取付構造の脚を示す側面図である。
【図13】脚が跳ね上がる状態を示す概念図である。
【図14】脚が跳ね上がる状態を防ぐ方法を示す概念図である。
【符号の説明】
1 シート
2 シートクッション
3 シートバック
4 脚部材
5 フロア面
6 ボルト
7 段差部
8 支持軸(ヒンジセンタ)
9 コイルスプリング
10、17、18 引っ掛け部
11 シート側ブラケット
12 切り欠き部
13 車体側ブラケット
14 クッション材
15 ストライカ
16 ロック装置

Claims (3)

  1. 脚部材を介してシートクッションを回動可能にフロアに固定し、前記脚部材は前記シートクッションの前端部下面に装着される上端部と、フロアに固定される下端部とを備え、前記上端部と前記下端部とを回動可能に軸支する支持軸にスプリングを装着することにより、前記シートクッションを前方側に起立可能に付勢した車両用折り畳みシートの取付構造において、前記シートクッションの脚部材の前記下端部の後壁部の後面に、下方向に向けて引っ掛け部を設け、該引っ掛け部に係合する壁部を前端部に備えたブラケットを、前記脚部材の後方側のフロア面に設けたことを特徴とする車両用折り畳みシートの取付構造。
  2. 前記引っ掛け部の下端部を湾曲または円弧状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用折り畳みシートの取付構造。
  3. 上記引っ掛け部を脚部材の後面の一部を切り起こすことによって形成したことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の車両用折り畳みシートの取付構造。
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