JP3892915B2 - スクロール式機械 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明はスクロール式機械、特に吐出ポートの寸法及び／または形状を変更するための吐出ポート挿入物を備えたスクロール式機械に、関するものである。
【０００２】
【発明の背景】
流体圧縮用または膨張用のスクロール式機械は普通、それぞれの生成軸線まわりで生成されたインボリュート形の、互いに噛合されている２個の直立する螺旋翼ないしスクロールを、備えている。各スクロールは端板上に設けられ、相手側のスクロールの端板に接するかほぼ接する翼先を有する。各スクロールはさらに相手側のスクロールの翼側面に隣接する翼側面であって、相手側スクロールの翼側面に対し可動に線接触またはほぼ線接触して複数の移動する流体ポケットを形成する翼側面を、有する。両スクロール間の相対旋回運動に依存して流体ポケットは、流体圧縮のために両スクロールの放射方向外端位置から放射方向内端位置へと移動せしめられるか、或は流体膨張のために両スクロールの放射方向内端位置から放射方向外端位置へと移動せしめられる。流体ポケットを形成するため両スクロールは、駆動機構によって相対旋回運動を付与される。片方のみのスクロールが旋回動してもよいし、両スクロールが互いに偏心的に回転動してもよい。
【０００３】
非旋回スクロールを有する仕様の典型的なスクロール式機械は非旋回スクロールと噛合う旋回スクロール、旋回スクロールに加わる軸線方向の負荷を支えるスラストベアリング、両スクロール間の相対回転を阻止する運動制御部材、及び上記スラストベアリングを含む機械の種々の可動要素を潤滑するための潤滑油供給系統を、含んでいる。
【０００４】
スクロール式機械は現在、冷凍用途及び空調・ヒートポンプ用途を含む様々な用途及び分野で使用されている。各特定の用途はスクロール式機械ないしスクロール式圧縮機の特定の動作点に対し敏感である。例えば空調用圧縮機に関し、屋外での用途のように周囲温度条件が変動する用途においては圧縮機を中間的な温度で動作させるように設計しなければならず、このため同圧縮機は周囲温度が両極端の温度にあるときは若干能率悪く稼働することになる。
【０００５】
したがってスクロール式機械の性能を各特定の用途に対し、それぞれの用途ごとに特別に設計した機械を製作する場合の高いコストを招くことなく最適化することができれば、極めて有益であろう。
【０００６】
【発明の要約】
この発明は非旋回及び旋回スクロールの何れかまたは両者に付設する多機能式のインサート機構によって吐出ポートの形状及び寸法を、特定の圧縮比等の要素に合せて変更ないし調整可能とし、もってスクロール式機械の性能を各特定の用途に適合させて最適化できることとするものである。
【０００７】
スクロール中に本来の吐出ポートを機械加工により形成した後に上記のようなインサート機構をスクロール機械中に組込むこととすることによって、スクロール式機械についてコスト上で有利である機械加工及び組立てが可能とされ、また特定の動作点に影響を受け易い用途に適合させて機械性能を最適化するためのコスト上有利な方法が与えられ、さらに変動する屋内及び屋外周囲温度条件等の機械稼働条件の範囲内でスクロール式機械の性能もしくは効率を調整できる方策が与えられる。
【０００８】
この発明の他の特徴と長所は、現在のところこの発明を実施する最適の態様であると信じられる数実施例を示してある図面を参照して行う以下の説明から、明瞭に理解される。
【０００９】
【実施例】
図面において全図を通じ同一の符号は、類似或は対応する部分を指す。図１には円筒状の外殻１２を有する圧縮機１０を示してあり、外殻１２は上端にキャップ１４を、下端に基台部１６を、それぞれ溶着してあるものとされ、基台部１６には複数の据付け脚（図示せず）を一体形成してある。キャップ１４には通例の吐出弁（図示せず）を内部に有していてもよい冷媒吐出管接手１８を設けてある。外殻１２に取付けられている他の主な構成要素としてはキャップ１４と同一の点で外殻１２に外周端を溶着してある横向きの仕切り壁２０、入口管接手２２、外殻１２に対し適宜の方法で固定してある主軸受箱２４、及び放射方向の外向きに張出す複数の脚部のそれぞれを外殻１２に対し適宜の方法で固定してある下部軸受箱２６がある。横断面形状がほぼ正方形状であるが角部を円弧状に面取りしてあるモータ固定子２８を、外殻１２中に圧嵌めして設けてある。この固定子２８の面取り角部間の平坦面は該固定子２８と外殻１２間に、外殻１２内の頂部から底部への潤滑油の流れを促進する通路を附与する。
【００１０】
上端に偏心するクランクピン３２を有する駆動軸ないしクランク軸３０を、主軸受箱２４中の軸受３４及び下部軸受箱２６中の第２の軸受３６に回転可能に支承させてある。クランク軸３０はその下端部中に比較的大径の同心の穴３８を有し、この穴３８は、放射方向の外向きに傾斜させてクランク軸上端にまでかけて穿設されているより小径の穴ないし通路４０に対し連通させてある。穴３８内には攪拌器４２を配設してある。外殻１２内の下部には潤滑油を満たしてあり、穴３８は、クランク軸３０内で通路４０中へ潤滑油を汲上げ最終的には潤滑を必要とする圧縮機の種々の部分の全てに潤滑油を供給することとするポンプとして働く。
【００１１】
クランク軸３０は前記固定子２８、この固定子２８中を貫通している巻線４４、及びクランク軸３０上に圧力嵌めされていると共に上下の釣合い重り５０，４８を有する前記回転子４６を含む電動モータによって、回転駆動される。
【００１２】
主軸受箱２４の上面には平坦なスラスト受け面５２を形成してあり、このスラスト受け面５２上に、上面側に通常の螺旋翼５６を有する旋回スクロール部材５４が配置されている。このスクロール部材５４の下面から平軸受５８を内部に有する円筒状のハブを下方向きに突出させてあり、このハブ中に穴６２を有する駆動ブッシュ６０を回転可能に配設して、穴６２中にクランクピン３２を嵌合してある。クランクピン３２は穴６２の内周面の一部に形成してある平坦面と当接する平坦面（以上、図示せず）を外面上に有し、これによって本願出願人の所有に係る米国特許Ｎｏ．４，８７７，３８２に示されているような放射方向で融通性を有する駆動機構が提供されている。
【００１３】
螺旋翼６６を有する非旋回スクロール部材６４を、翼６６を旋回スクロール部材５４の翼５６と噛合せるように配置して設けてある。この非旋回スクロール部材６４は中心に配置の吐出通路６８を有し、この吐出通路６８は上端開放の凹溝７０と連通させてあって、凹溝７０が、キャップ１４と仕切り壁２０とにより区画形成された吐出消音室７９と連通している。非旋回スクロール部材６４には環状凹溝７４も形成してあり、この環状凹溝７４内にはシール機構７６を配設してある。凹溝７０，７４とシール機構７６は翼５６，６６により圧縮された加圧流体を受入れる軸線方向付勢用の２つの室を形成し、同室内の加圧流体によって非旋回スクロール部材６４に対し軸線方向下方向きの付勢力が及ぼされることとして、それぞれの翼５６，６６の翼先を対向する端板面に対し密封当接するように付勢している。本シール機構７６は、本願出願人を譲受人とする米国特許Ｎｏ．５，１５６，５３９に開示されているタイプのものであるのが好ましい。非旋回スクロール部材６４は主軸受箱２４に例えば前述の米国特許Ｎｏ．４，８７７，３８２、又は本願出願人を譲受人とする米国特許Ｎｏ．５，１０２，３１６に開示されているような適当した方式で、支持させるものとされている。
【００１４】
オルダム接手８０も、旋回スクロール部材５４と主軸受箱２４間に配置して設けられている。このオルダム接手８０は旋回スクロール部材５４と非旋回スクロール部材６４との両者に対し、非旋回スクロール部材６４に対する旋回スクロール部材５４の相対回転を阻止するようにキー止めされている。オルダム接手８０は、本願出願人を譲受人とする１９９０年１０月１日付の米国特許出願Ｎｏ．５９１，４４３「スクロール圧縮機用のオルダム接手」に開示されているタイプのものであるのが好ましい。
【００１５】
図示の圧縮機はガス入口２２を介して導入される吸入ガスが一部、外殻１２内へと逃げてモータの冷却を援ける「側部低圧（ｌｏｗ ｓｉｄｅ）」型式のものである。戻り吸入ガスの適切な流れがある限り、モータは所期の温度限界内に留められる。しかし同流れが著しく低下すると、冷却の消失により温度センサから制御装置に対し信号が送られて機械が停止されるように、図られている。
【００１６】
以上に説明したスクロール圧縮機の構造は、既に公知であるか本願出願人の係属中の特許出願の主題とされているところである。この発明の原理とするところを組込んである機械部分は独特の吐出ポート挿入物機構であり、その全体は符号２００で指してある。
【００１７】
この吐出ポート挿入物機構２００は図２，３に明瞭に示すように非旋回スクロール部材６４、非旋回スクロール・インサート２０２、旋回スクロール部材５４、及び旋回スクロール・インサート２０４を備えている。インサート２０４は第２のインサート部材に属する。図２に示す非旋回スクロール部材６４は、その端板に機械加工して形成してある固有の吐出ポート２０６を有する。この吐出ポート２０６は放射方向での切込み２０８を有し、この切込み２０８は以下に述べるようにインサート２０２を位置決めしその回転を阻止する。
【００１８】
非旋回スクロール・インサート２０２は、吐出ポート２０６に密嵌合する外面形状を有する。該スクロール・インサート２０２は放射方向に突出する突起２１０を有し、この突起２１０は、インサート２０２が吐出ポート２０６中に挿入されたとき切込み２０８に嵌合されて非旋回スクロール部材６４に対しインサート２０２を位置決めし相対回転を阻止する。スクロール・インサート２０２はまた、該インサート２０２を貫通していて前記吐出通路６８（図１）を形成する吐出穴２１２も、備えている。この吐出穴２１２の形状は圧縮機の稼働環境の様々な要求に対し適応させることができ、同吐出穴２１２は図２に示すように、インサート２０２の外径面に対し非同心的である非円形の形状のものとするのが好ましい。圧縮ガスが吐出室中に吐出穴２１２のみを通って入るようにするため、インサート２０２と非旋回スクロール部材６４間を密封関係に維持する必要がある。スクロール・インサート２０２は非旋回スクロール部材６４の吐出ポート２０６中に組込まれ、該スクロール部材６４に対し圧力嵌め、焼ばめ、エポキシ樹脂接合、ボルトないしネジ止め、溶接、リベット止め、或は他の公知の固定手段によって固定される。突起２１０は切込み２０８中に嵌合して、吐出穴２１２を周方向で位置決めすると共にポート２０６内でインサート２０２が何らかの回転運動を行うことを阻止する。図１に示すように旋回スクロール部材５４の螺旋翼５６を、インサート２０２に当接している。
【００１９】
以上よりして市場での実質的に全ての要求に応えるため、単一仕様の非旋回スクロール部材を製作し適当な吐出穴２１２を有するインサート２０２を組込むことによって個別の圧縮機を個別的な要求に対し適応させることが可能となる。
【００２０】
スクロール機械の製作において、非旋回スクロール部材６４内に配置の吐出通路に対応する吐出通路を旋回スクロール部材５４に設けるようなことは、普通に行われることでない。しかし旋回スクロール部材５４内に吐出通路を設けることによって、圧縮機の吐出領域中への吐出室の対称的な開口性が確保されることになる。図３に示す旋回スクロール部材５４も、その端板に機械加工して形成してある固有の吐出ポート２１６を有する。この吐出ポート２１６は放射方向での切込み２１８を有し、この切込み２１８は以下に述べるようにインサート２０４を位置決めしその回転を阻止する。
【００２１】
理解を容易とするため図３に３つの姿勢で画いてある旋回スクロール・インサート２０４は、吐出ポート２１６に密嵌合する外面形状を有する。該スクロール・インサート２０４は放射方向に突出する突起２２０を有し、この突起２２０は、インサート２０４が吐出ポート２１６中に挿入されたとき切込み２１８に嵌合されて旋回スクロール部材５４に対しインサート２０４を位置決めし相対回転を阻止する。スクロール・インサート２０４はまた、該インサート２０４中に部分的に入り込むものに形成してある吐出穴２２２も、備えている。この吐出穴２２２の形状は、非旋回スクロール・インサート２０２中の吐出穴２１２と類似させてある。吐出穴２２２がインサート２０４中に部分的にのみ入り込むものであることから、インサート２０４の吐出穴２２２側の面に対しては吐出圧力が作用しその反対側の面に対しては吸入圧力が作用する。したがってインサート２０４を通しての液密な密封関係を維持するため、該インサート２０４と旋回スクロール部材５４間の密封を行う必要がある。
【００２２】
吐出穴２２２の形状は吐出穴２１２の形状に対応しており、したがってこれらの両吐出穴の形状を、圧縮機の稼働環境の様々な要求に対し適応するものとできる。スクロール・インサート２０４は旋回スクロール部材５４の吐出ポート２１６中に組込まれ、該スクロール部材５４に対し圧力嵌め、焼ばめ、エポキシ樹脂接合、ポルトないしネジ止め、溶接、リベット止め、或は他の公知の固定手段によって固定される。突起２２０は切込み２１８中に嵌合して、吐出穴２２２を周方向で位置決めすると共にポート２１６に関しインサート２０４が何らかの相対回転変位を行うことを阻止する。図１に示すように非旋回スクロール部材６４の螺旋翼６６を、インサート２０４に当接している。
【００２３】
以上よりして非旋回スクロール部材６４と同様に単一仕様の旋回スクロール部材５４を、市場での実質的に全ての要求に応えるため製作し、次いで適当な吐出穴２２２を有するインサート２０４を組込むことによって個別の圧縮機を個別的な要求に対し適応させることが可能となる。圧縮機を特定の要求に対し適応したものとするため旋回スクロール部材５４中でインサート２０４を用いることは、非旋回スクロール部材６４中のインサート２０２と共に行え、また同インサート２０４は用いない場合もあり得る。
【００２４】
図４には、この発明に係る吐出ポート挿入物機構を組込んである他のスクロール圧縮機３００を示してある。この圧縮機３００は円筒状の密閉外殻３１２を有し、外殻３１２の下端にはカバー３１４を、上端にはキャップ３１６を、それぞれ溶着してある。キャップ３１６には通例の吐出弁（図示せず）を内部に有していてもよい冷媒吐出管接手３１８を、設けてある。密閉外殻３１２とカバー３１４及びキャップ３１６に固定支持させてある他の機械構成要素には吸入ガス入口管接手３２０、下部軸受箱３２２、中間軸受箱３２４、上部軸受箱３２６、及びモータ固定子３２８が含まれる。下部軸受箱３２２はその外周端で外殻３１２に対し、周知の方法で取付けられている。
【００２５】
クランク軸３３０を、下部軸受箱３２２内に配置の軸受３３２及び中間軸受箱３２４内に配置の軸受３３４に回転可能に支承させてある。図１に示した圧縮機１０におけるのと同様にクランク軸３３０は通例のポンプ穴（図示せず）を有し、円筒状外殻３１２内の下部には通例の態様で潤滑油を満たしてあり、クランク軸３３０内のポンプは潤滑を必要とする圧縮機３００の種々の部分の全てに潤滑油を給送する主ポンプとして働く。クランク軸３３０は貫通させてあるモータ巻線３３６を有する上記固定子３２８、及びクランク軸３３０上に圧力嵌めされているモータ回転子３３８を含む電動モータによって、回転駆動される。
【００２６】
中間軸受箱３２４はほぼ円筒状のものに形成してある中心部分３４４を有し、この中心部分３４４内でクランク軸３３０の上端部が軸受３３４によって回転可能に支承されている。直立する環状突部３４６を、中心部分３４４の外周端に隣接させて中間軸受箱３２４上に設けてあり、この環状突部３４６は上向きの受け面３４８を備えている。環状突部３４６からほぼ放射方向の外向きに延出する環状部分３５０が設けられ、この環状部分３５０には段部３５２を形成してある。対応する段部３５４を上部軸受箱３２６の下面部に設けてあって、これらの段部３５２，３５４は互いに係合して中間軸受箱３２４に対する上部軸受箱３２６の放射方向での位置決めを行うためのものとされている。環状部分３５０の外周面は外殻３１２に対し係合させるものに形成されており、これによって中間軸受箱３２４が外殻３１２内で固定支持されることとしてある。
【００２７】
上部軸受箱３２６はほぼ円筒状のものに形成してある中心部分３６０を有し、この中心部分３６０内で上方側スクロール部材３６２が軸受３６４によって回転可能に支持されている。中心部分３６０の下端から放射方向の外向きに延出する環状フランジ３６６を設けてあり、このフランジ３６６の下面によって上方側スクロール部材３６２用の受け面３６８が提供されている。この受け面３６８と上方側スクロール部材３６２間にはベアリング３７０を配設してある。中心部分３６０の上端から放射方向の外向きに延出する環状壁３７２を設けてあり、この環状壁３７２はその外周端で外殻３１２に対し周知の方法で固定支持させてある。シール３７４によって上方側の吐出領域３７６が下方側の吸入領域から密封されている。ほぼ円筒状の部分３８０を環状壁３７２から下方向きに延出させてあり、該部分３８０に段部３５２と係合する前記段部３５４を形成してある。円筒状部分３８０には、吸入圧力のガスを圧縮機構領域中に導入可能とする複数個の透孔３８２を形成してある。
【００２８】
クランク軸３３０に該軸３３０と一体回転するように固定して下方側スクロール部材３８４を設け、前記受け面３４８上でベアリング３８６によって支持させてある。下方側スクロール部材３８４は上方側スクロール部材３６２と噛合され、両者のスクロール部材３６２，３８４が一緒に、しかし互いに異なった軸線まわりで、回転し、これにより両スクロール部材の螺旋翼によって吸入領域３７８から吐出領域３７６にかけて次第に容積を減少して行く流体ポケットが形成されることとしてある。上方側スクロール部材３６２は中心に配置の吐出通路３９４を有し、この吐出通路３９４は上部軸受箱３２６中の開口３９６を介して吐出領域３７６と連通している。
【００２９】
以上に説明した圧縮機３００の構造も既に公知であるか、或は本願出願人の係属中の特許出願の主題とされているところである。この発明の原理とするところを組込んである機械部分は独特の吐出ポート挿入物機構であり、その全体は符号４００で指してある。この吐出ポート挿入物機構４００は前述した吐出ポート挿入物機構２００と、スクロール・インサートが両者とも回転するスクロール部材３６２及び３８４に組込むものとしてある点を除いて、実質的に一致している。上方側スクロール部材３６２には、固有の吐出ポート２０６と該ポート２０６内で固定支持してあるインサート２０２を設けてある。下方側スクロール部材３８４には、固有のポート２１６と該ポート２１６内で固定支持してあるインサート２０４を設けてある。
【００３０】
図５−１０にはこの発明の他の実施例を示してある。図１−４の実施例が特定形状の吐出穴を有するインサートを用いたものであるのに対し、図５−１０の実施例は固有の吐出通路の形状を変更するインサートを用いる。
【００３１】
図５，６は旋回スクロール部材５４を示しており、本スクロール部材５４は該部材５４の端板中で部分的に入り込む吐出ポート２３２を有する。吐出ポート２３２内でインサート２３４を固定支持して、吐出ポート２３２の形状を変更し該ポートを圧縮機の特定稼働条件に対し適応させてある。インサート２３４は第２のインサート部材に属する。
【００３２】
類似して図７，８は非旋回スクロール部材６４を示しており、このスクロール部材６４は該部材６４を完全に貫通している吐出ポート２４２を有する。吐出ポート２４２内でインサート２４４を固定支持して、吐出ポート２４２の形状を変更し該ポートを圧縮機の特定稼働条件に対し適応させてある。インサート２４４を旋回スクロール部材５４中のインサート２３４と組合せて利用するとき、インサート２３４，２４４の形状は圧縮機の性能に対する要求を満たすように選択される。
【００３３】
図９は図４に図示の圧縮機３００における下方側スクロール部材３８４を示しており、このスクロール部材３８４は、吐出ポート２３２内で固定支持され同吐出ポートの形状を変更して該ポート２３２を圧縮機の特定稼働条件に対し適応させるインサート２３４を、有する。図１０は図４に図示の圧縮機３００における上方側スクロール部材３６２を示しており、このスクロール部材３６２も、吐出ポート２４２内で固定支持され同吐出ポートの形状を変更して該ポート２４２を圧縮機の特定稼働条件に対し適応させるインサート２４４を、有する。インサート２４４を下方側スクロール部材３８４中のインサート２３４と組合せて利用するとき、インサート２４４，２３４の形状は圧縮機の性能に対する要求を満たすように選択される。
【００３４】
図１１−１８にはこの発明の別の実施例を示してある。図１−４の実施例が特定形状の吐出穴を有するインサートを用いたものであるのに対し、図１１−１８の実施例は、スクロール部材の端板に形成した複数の穴に嵌合される一連のプラグ形のインサートを用いている。
【００３５】
図１１−１３は旋回スクロール部材５４を示しており、このスクロール部材５４は該部材５４の端板中に延びる吐出ポート２５２を有する。複数の吐出穴２５４も、旋回スクロール部材５４の端板の一部分に入り込むようにして該端板に吐出ポート２５２に隣接位置させて形成されている。これらの吐出穴２５４にはそれぞれ、プラグ形のインサート２５６を嵌合することとある。インサート２５６は第２のインサート部材に属する。インサート２５６は各吐出穴２５４内で圧力嵌め、ねじ嵌め、又は他の周知の手段により固定されたものに形成されている。圧縮機の吐出ポートの形状は種々のインサート２５６を、対応する吐出穴２５４中に組込むことによって、容易に変更することができる。したがって吐出ポートを、全てのインサート２５６が存在する場合の最小寸法のものから全てのインサート２５６が除去された場合の、ポート２５２と複数穴２５４の合計である最大寸法のものまで、自在に変更調整可能である。
【００３６】
図１４−１６は非旋回スクロール部材６４を示しており、このスクロール部材６４は該部材６４の端板を貫通する吐出ポート２６２を有する。複数の吐出穴２６４も、非旋回スクロール部材６４の端板を貫通させて該端板に、吐出ポート２６２に隣接位置させて形成されている。これらの吐出穴２６４にはそれぞれ、プラグ形のインサート２６６を嵌合することとしてある。インサート２６６は各穴２６４内で圧力嵌め、ねじ嵌め、又は他の周知の手段により固定されるものに形成されている。圧縮機の吐出ポートの形状は種々のインサート２６６を、対応する穴２６４中に組込むことによって、容易に変更することができる。したがって吐出ポートを、全てのインサート２６６が存在する場合の最小寸法のものから全てのインサート２６６が除去された場合の、ポート２６２と複数穴２６４の合計である最大寸法のものまで、自在に変更調整可能である。圧縮機を特定の要求に適応させるために非旋回スクロール部材６４中でインサート２６６を使用することは、旋回スクロール部材５４中でのインサート２５６の使用と同時に、又は単独で、行える。
【００３７】
図１７は図４に図示の圧縮機３００における下方側スクロール部材３８４を示しており、このスクロール部材３８４は、圧縮機の特定稼働条件に対し吐出ポートを適応させるために複数の吐出穴２５４と該穴２５４中に組込まれた種々のインサート２５６とを、有している。図１８は図４に図示の圧縮機３００における上方側スクロール部材３６２を示しており、このスクロール部材３６２は、圧縮機の特定稼働条件に対し吐出ポートを適応させるために複数の吐出穴２６４と該穴２６４中に組込まれた種々のインサート２６６とを、有している。圧縮機を特定の要求に適応させるために上方側スクロール部材３６２中でインサート２６６を使用することは、下方側スクロール部材３８４中でのインサート２５６の使用と同時に、又は単独で、行える。
【００３８】
この発明の好ましい実施例について説明して来たが、この発明は添付の特許請求の範囲を適正に解釈した発明範囲から逸脱することなく、実施例に数多くの修正、変形及び変更を加えて実施可能である点が、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に従った吐出ポート挿入物機構を組込んである冷凍用のスクロール式圧縮機を、機械中心線を含む平面で縦断して画いた縦断正面図である。
【図２】図１のスクロール式圧縮機における非旋回スクロール部材の斜視図で、この発明に従った非旋回スクロール部材用の分離可能な吐出ポートインサートを示してある。
【図３】図１のスクロール式圧縮機における旋回スクロール部材の斜視図で、この発明に従った旋回スクロール部材用の分離可能な吐出ポートインサートを示してある。
【図４】この発明に従った吐出ポート挿入物機構を組込んである両スクロール旋回型のスクロール式圧縮機を示す縦断正面図である。
【図５】図１のスクロール式圧縮機における旋回スクロール部材についての他の実施例を示す平面図である。
【図６】図５の６−６線に沿う断面図である。
【図７】図５の旋回スクロール部材と組合せるように設計してある非旋回スクロール部材を示す平面図である。
【図８】図７の８−８線に沿う断面図である。
【図９】図４のスクロール式圧縮機における下方側スクロール部材についての他の実施例を示す平面図である。
【図１０】図４のスクロール式圧縮機における上方側スクロール部材についての他の実施例を示す平面図である。
【図１１】図１のスクロール式圧縮機における旋回スクロール部材についての別の実施例を示す平面図である。
【図１２】図１１の１２−１２線に沿う断面図である。
【図１３】図１１の旋回スクロール部材の吐出ポート領域を示す拡大平面図である。
【図１４】図１１の旋回スクロール部材と組合せるように設計してある非旋回スクロール部材を示す平面図である。
【図１５】図１４の１５−１５線に沿う断面図である。
【図１６】図１４の非旋回スクロール部材の吐出ポート領域を示す拡大平面図である。
【図１７】図４のスクロール式圧縮機における下方側スクロール部材についての別の実施例を示す平面図である。
【図１８】図４のスクロール式圧縮機における上方側スクロール部材についての別の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
１０ 圧縮機
３０ クランク軸
５４ 旋回スクロール部材
５６ 螺旋翼
６４ 非旋回スクロール部材
６６ 螺旋翼
６８ 吐出通路
２００ 吐出ポート挿入物機構
２０２ インサート
２０４ インサート
２０６ 吐出ポート
２１２ 吐出穴
２１６ 吐出ポート
２２２ 吐出穴
２３２ 吐出ポート
２３４ インサート
２４２ 吐出ポート
２４４ インサート
２５２ 吐出ポート
２５４ 吐出穴
２５６ インサート
２６２ 吐出ポート
２６４ 吐出穴
２６６ インサート
３００ 圧縮機
３３０ クランク軸
３６２ 上方側スクロール部材
３８４ 下方側スクロール部材
３９４ 吐出通路
４００ 吐出ポート挿入物機構
【産業上の利用分野】
この発明はスクロール式機械、特に吐出ポートの寸法及び／または形状を変更するための吐出ポート挿入物を備えたスクロール式機械に、関するものである。
【０００２】
【発明の背景】
流体圧縮用または膨張用のスクロール式機械は普通、それぞれの生成軸線まわりで生成されたインボリュート形の、互いに噛合されている２個の直立する螺旋翼ないしスクロールを、備えている。各スクロールは端板上に設けられ、相手側のスクロールの端板に接するかほぼ接する翼先を有する。各スクロールはさらに相手側のスクロールの翼側面に隣接する翼側面であって、相手側スクロールの翼側面に対し可動に線接触またはほぼ線接触して複数の移動する流体ポケットを形成する翼側面を、有する。両スクロール間の相対旋回運動に依存して流体ポケットは、流体圧縮のために両スクロールの放射方向外端位置から放射方向内端位置へと移動せしめられるか、或は流体膨張のために両スクロールの放射方向内端位置から放射方向外端位置へと移動せしめられる。流体ポケットを形成するため両スクロールは、駆動機構によって相対旋回運動を付与される。片方のみのスクロールが旋回動してもよいし、両スクロールが互いに偏心的に回転動してもよい。
【０００３】
非旋回スクロールを有する仕様の典型的なスクロール式機械は非旋回スクロールと噛合う旋回スクロール、旋回スクロールに加わる軸線方向の負荷を支えるスラストベアリング、両スクロール間の相対回転を阻止する運動制御部材、及び上記スラストベアリングを含む機械の種々の可動要素を潤滑するための潤滑油供給系統を、含んでいる。
【０００４】
スクロール式機械は現在、冷凍用途及び空調・ヒートポンプ用途を含む様々な用途及び分野で使用されている。各特定の用途はスクロール式機械ないしスクロール式圧縮機の特定の動作点に対し敏感である。例えば空調用圧縮機に関し、屋外での用途のように周囲温度条件が変動する用途においては圧縮機を中間的な温度で動作させるように設計しなければならず、このため同圧縮機は周囲温度が両極端の温度にあるときは若干能率悪く稼働することになる。
【０００５】
したがってスクロール式機械の性能を各特定の用途に対し、それぞれの用途ごとに特別に設計した機械を製作する場合の高いコストを招くことなく最適化することができれば、極めて有益であろう。
【０００６】
【発明の要約】
この発明は非旋回及び旋回スクロールの何れかまたは両者に付設する多機能式のインサート機構によって吐出ポートの形状及び寸法を、特定の圧縮比等の要素に合せて変更ないし調整可能とし、もってスクロール式機械の性能を各特定の用途に適合させて最適化できることとするものである。
【０００７】
スクロール中に本来の吐出ポートを機械加工により形成した後に上記のようなインサート機構をスクロール機械中に組込むこととすることによって、スクロール式機械についてコスト上で有利である機械加工及び組立てが可能とされ、また特定の動作点に影響を受け易い用途に適合させて機械性能を最適化するためのコスト上有利な方法が与えられ、さらに変動する屋内及び屋外周囲温度条件等の機械稼働条件の範囲内でスクロール式機械の性能もしくは効率を調整できる方策が与えられる。
【０００８】
この発明の他の特徴と長所は、現在のところこの発明を実施する最適の態様であると信じられる数実施例を示してある図面を参照して行う以下の説明から、明瞭に理解される。
【０００９】
【実施例】
図面において全図を通じ同一の符号は、類似或は対応する部分を指す。図１には円筒状の外殻１２を有する圧縮機１０を示してあり、外殻１２は上端にキャップ１４を、下端に基台部１６を、それぞれ溶着してあるものとされ、基台部１６には複数の据付け脚（図示せず）を一体形成してある。キャップ１４には通例の吐出弁（図示せず）を内部に有していてもよい冷媒吐出管接手１８を設けてある。外殻１２に取付けられている他の主な構成要素としてはキャップ１４と同一の点で外殻１２に外周端を溶着してある横向きの仕切り壁２０、入口管接手２２、外殻１２に対し適宜の方法で固定してある主軸受箱２４、及び放射方向の外向きに張出す複数の脚部のそれぞれを外殻１２に対し適宜の方法で固定してある下部軸受箱２６がある。横断面形状がほぼ正方形状であるが角部を円弧状に面取りしてあるモータ固定子２８を、外殻１２中に圧嵌めして設けてある。この固定子２８の面取り角部間の平坦面は該固定子２８と外殻１２間に、外殻１２内の頂部から底部への潤滑油の流れを促進する通路を附与する。
【００１０】
上端に偏心するクランクピン３２を有する駆動軸ないしクランク軸３０を、主軸受箱２４中の軸受３４及び下部軸受箱２６中の第２の軸受３６に回転可能に支承させてある。クランク軸３０はその下端部中に比較的大径の同心の穴３８を有し、この穴３８は、放射方向の外向きに傾斜させてクランク軸上端にまでかけて穿設されているより小径の穴ないし通路４０に対し連通させてある。穴３８内には攪拌器４２を配設してある。外殻１２内の下部には潤滑油を満たしてあり、穴３８は、クランク軸３０内で通路４０中へ潤滑油を汲上げ最終的には潤滑を必要とする圧縮機の種々の部分の全てに潤滑油を供給することとするポンプとして働く。
【００１１】
クランク軸３０は前記固定子２８、この固定子２８中を貫通している巻線４４、及びクランク軸３０上に圧力嵌めされていると共に上下の釣合い重り５０，４８を有する前記回転子４６を含む電動モータによって、回転駆動される。
【００１２】
主軸受箱２４の上面には平坦なスラスト受け面５２を形成してあり、このスラスト受け面５２上に、上面側に通常の螺旋翼５６を有する旋回スクロール部材５４が配置されている。このスクロール部材５４の下面から平軸受５８を内部に有する円筒状のハブを下方向きに突出させてあり、このハブ中に穴６２を有する駆動ブッシュ６０を回転可能に配設して、穴６２中にクランクピン３２を嵌合してある。クランクピン３２は穴６２の内周面の一部に形成してある平坦面と当接する平坦面（以上、図示せず）を外面上に有し、これによって本願出願人の所有に係る米国特許Ｎｏ．４，８７７，３８２に示されているような放射方向で融通性を有する駆動機構が提供されている。
【００１３】
螺旋翼６６を有する非旋回スクロール部材６４を、翼６６を旋回スクロール部材５４の翼５６と噛合せるように配置して設けてある。この非旋回スクロール部材６４は中心に配置の吐出通路６８を有し、この吐出通路６８は上端開放の凹溝７０と連通させてあって、凹溝７０が、キャップ１４と仕切り壁２０とにより区画形成された吐出消音室７９と連通している。非旋回スクロール部材６４には環状凹溝７４も形成してあり、この環状凹溝７４内にはシール機構７６を配設してある。凹溝７０，７４とシール機構７６は翼５６，６６により圧縮された加圧流体を受入れる軸線方向付勢用の２つの室を形成し、同室内の加圧流体によって非旋回スクロール部材６４に対し軸線方向下方向きの付勢力が及ぼされることとして、それぞれの翼５６，６６の翼先を対向する端板面に対し密封当接するように付勢している。本シール機構７６は、本願出願人を譲受人とする米国特許Ｎｏ．５，１５６，５３９に開示されているタイプのものであるのが好ましい。非旋回スクロール部材６４は主軸受箱２４に例えば前述の米国特許Ｎｏ．４，８７７，３８２、又は本願出願人を譲受人とする米国特許Ｎｏ．５，１０２，３１６に開示されているような適当した方式で、支持させるものとされている。
【００１４】
オルダム接手８０も、旋回スクロール部材５４と主軸受箱２４間に配置して設けられている。このオルダム接手８０は旋回スクロール部材５４と非旋回スクロール部材６４との両者に対し、非旋回スクロール部材６４に対する旋回スクロール部材５４の相対回転を阻止するようにキー止めされている。オルダム接手８０は、本願出願人を譲受人とする１９９０年１０月１日付の米国特許出願Ｎｏ．５９１，４４３「スクロール圧縮機用のオルダム接手」に開示されているタイプのものであるのが好ましい。
【００１５】
図示の圧縮機はガス入口２２を介して導入される吸入ガスが一部、外殻１２内へと逃げてモータの冷却を援ける「側部低圧（ｌｏｗ ｓｉｄｅ）」型式のものである。戻り吸入ガスの適切な流れがある限り、モータは所期の温度限界内に留められる。しかし同流れが著しく低下すると、冷却の消失により温度センサから制御装置に対し信号が送られて機械が停止されるように、図られている。
【００１６】
以上に説明したスクロール圧縮機の構造は、既に公知であるか本願出願人の係属中の特許出願の主題とされているところである。この発明の原理とするところを組込んである機械部分は独特の吐出ポート挿入物機構であり、その全体は符号２００で指してある。
【００１７】
この吐出ポート挿入物機構２００は図２，３に明瞭に示すように非旋回スクロール部材６４、非旋回スクロール・インサート２０２、旋回スクロール部材５４、及び旋回スクロール・インサート２０４を備えている。インサート２０４は第２のインサート部材に属する。図２に示す非旋回スクロール部材６４は、その端板に機械加工して形成してある固有の吐出ポート２０６を有する。この吐出ポート２０６は放射方向での切込み２０８を有し、この切込み２０８は以下に述べるようにインサート２０２を位置決めしその回転を阻止する。
【００１８】
非旋回スクロール・インサート２０２は、吐出ポート２０６に密嵌合する外面形状を有する。該スクロール・インサート２０２は放射方向に突出する突起２１０を有し、この突起２１０は、インサート２０２が吐出ポート２０６中に挿入されたとき切込み２０８に嵌合されて非旋回スクロール部材６４に対しインサート２０２を位置決めし相対回転を阻止する。スクロール・インサート２０２はまた、該インサート２０２を貫通していて前記吐出通路６８（図１）を形成する吐出穴２１２も、備えている。この吐出穴２１２の形状は圧縮機の稼働環境の様々な要求に対し適応させることができ、同吐出穴２１２は図２に示すように、インサート２０２の外径面に対し非同心的である非円形の形状のものとするのが好ましい。圧縮ガスが吐出室中に吐出穴２１２のみを通って入るようにするため、インサート２０２と非旋回スクロール部材６４間を密封関係に維持する必要がある。スクロール・インサート２０２は非旋回スクロール部材６４の吐出ポート２０６中に組込まれ、該スクロール部材６４に対し圧力嵌め、焼ばめ、エポキシ樹脂接合、ボルトないしネジ止め、溶接、リベット止め、或は他の公知の固定手段によって固定される。突起２１０は切込み２０８中に嵌合して、吐出穴２１２を周方向で位置決めすると共にポート２０６内でインサート２０２が何らかの回転運動を行うことを阻止する。図１に示すように旋回スクロール部材５４の螺旋翼５６を、インサート２０２に当接している。
【００１９】
以上よりして市場での実質的に全ての要求に応えるため、単一仕様の非旋回スクロール部材を製作し適当な吐出穴２１２を有するインサート２０２を組込むことによって個別の圧縮機を個別的な要求に対し適応させることが可能となる。
【００２０】
スクロール機械の製作において、非旋回スクロール部材６４内に配置の吐出通路に対応する吐出通路を旋回スクロール部材５４に設けるようなことは、普通に行われることでない。しかし旋回スクロール部材５４内に吐出通路を設けることによって、圧縮機の吐出領域中への吐出室の対称的な開口性が確保されることになる。図３に示す旋回スクロール部材５４も、その端板に機械加工して形成してある固有の吐出ポート２１６を有する。この吐出ポート２１６は放射方向での切込み２１８を有し、この切込み２１８は以下に述べるようにインサート２０４を位置決めしその回転を阻止する。
【００２１】
理解を容易とするため図３に３つの姿勢で画いてある旋回スクロール・インサート２０４は、吐出ポート２１６に密嵌合する外面形状を有する。該スクロール・インサート２０４は放射方向に突出する突起２２０を有し、この突起２２０は、インサート２０４が吐出ポート２１６中に挿入されたとき切込み２１８に嵌合されて旋回スクロール部材５４に対しインサート２０４を位置決めし相対回転を阻止する。スクロール・インサート２０４はまた、該インサート２０４中に部分的に入り込むものに形成してある吐出穴２２２も、備えている。この吐出穴２２２の形状は、非旋回スクロール・インサート２０２中の吐出穴２１２と類似させてある。吐出穴２２２がインサート２０４中に部分的にのみ入り込むものであることから、インサート２０４の吐出穴２２２側の面に対しては吐出圧力が作用しその反対側の面に対しては吸入圧力が作用する。したがってインサート２０４を通しての液密な密封関係を維持するため、該インサート２０４と旋回スクロール部材５４間の密封を行う必要がある。
【００２２】
吐出穴２２２の形状は吐出穴２１２の形状に対応しており、したがってこれらの両吐出穴の形状を、圧縮機の稼働環境の様々な要求に対し適応するものとできる。スクロール・インサート２０４は旋回スクロール部材５４の吐出ポート２１６中に組込まれ、該スクロール部材５４に対し圧力嵌め、焼ばめ、エポキシ樹脂接合、ポルトないしネジ止め、溶接、リベット止め、或は他の公知の固定手段によって固定される。突起２２０は切込み２１８中に嵌合して、吐出穴２２２を周方向で位置決めすると共にポート２１６に関しインサート２０４が何らかの相対回転変位を行うことを阻止する。図１に示すように非旋回スクロール部材６４の螺旋翼６６を、インサート２０４に当接している。
【００２３】
以上よりして非旋回スクロール部材６４と同様に単一仕様の旋回スクロール部材５４を、市場での実質的に全ての要求に応えるため製作し、次いで適当な吐出穴２２２を有するインサート２０４を組込むことによって個別の圧縮機を個別的な要求に対し適応させることが可能となる。圧縮機を特定の要求に対し適応したものとするため旋回スクロール部材５４中でインサート２０４を用いることは、非旋回スクロール部材６４中のインサート２０２と共に行え、また同インサート２０４は用いない場合もあり得る。
【００２４】
図４には、この発明に係る吐出ポート挿入物機構を組込んである他のスクロール圧縮機３００を示してある。この圧縮機３００は円筒状の密閉外殻３１２を有し、外殻３１２の下端にはカバー３１４を、上端にはキャップ３１６を、それぞれ溶着してある。キャップ３１６には通例の吐出弁（図示せず）を内部に有していてもよい冷媒吐出管接手３１８を、設けてある。密閉外殻３１２とカバー３１４及びキャップ３１６に固定支持させてある他の機械構成要素には吸入ガス入口管接手３２０、下部軸受箱３２２、中間軸受箱３２４、上部軸受箱３２６、及びモータ固定子３２８が含まれる。下部軸受箱３２２はその外周端で外殻３１２に対し、周知の方法で取付けられている。
【００２５】
クランク軸３３０を、下部軸受箱３２２内に配置の軸受３３２及び中間軸受箱３２４内に配置の軸受３３４に回転可能に支承させてある。図１に示した圧縮機１０におけるのと同様にクランク軸３３０は通例のポンプ穴（図示せず）を有し、円筒状外殻３１２内の下部には通例の態様で潤滑油を満たしてあり、クランク軸３３０内のポンプは潤滑を必要とする圧縮機３００の種々の部分の全てに潤滑油を給送する主ポンプとして働く。クランク軸３３０は貫通させてあるモータ巻線３３６を有する上記固定子３２８、及びクランク軸３３０上に圧力嵌めされているモータ回転子３３８を含む電動モータによって、回転駆動される。
【００２６】
中間軸受箱３２４はほぼ円筒状のものに形成してある中心部分３４４を有し、この中心部分３４４内でクランク軸３３０の上端部が軸受３３４によって回転可能に支承されている。直立する環状突部３４６を、中心部分３４４の外周端に隣接させて中間軸受箱３２４上に設けてあり、この環状突部３４６は上向きの受け面３４８を備えている。環状突部３４６からほぼ放射方向の外向きに延出する環状部分３５０が設けられ、この環状部分３５０には段部３５２を形成してある。対応する段部３５４を上部軸受箱３２６の下面部に設けてあって、これらの段部３５２，３５４は互いに係合して中間軸受箱３２４に対する上部軸受箱３２６の放射方向での位置決めを行うためのものとされている。環状部分３５０の外周面は外殻３１２に対し係合させるものに形成されており、これによって中間軸受箱３２４が外殻３１２内で固定支持されることとしてある。
【００２７】
上部軸受箱３２６はほぼ円筒状のものに形成してある中心部分３６０を有し、この中心部分３６０内で上方側スクロール部材３６２が軸受３６４によって回転可能に支持されている。中心部分３６０の下端から放射方向の外向きに延出する環状フランジ３６６を設けてあり、このフランジ３６６の下面によって上方側スクロール部材３６２用の受け面３６８が提供されている。この受け面３６８と上方側スクロール部材３６２間にはベアリング３７０を配設してある。中心部分３６０の上端から放射方向の外向きに延出する環状壁３７２を設けてあり、この環状壁３７２はその外周端で外殻３１２に対し周知の方法で固定支持させてある。シール３７４によって上方側の吐出領域３７６が下方側の吸入領域から密封されている。ほぼ円筒状の部分３８０を環状壁３７２から下方向きに延出させてあり、該部分３８０に段部３５２と係合する前記段部３５４を形成してある。円筒状部分３８０には、吸入圧力のガスを圧縮機構領域中に導入可能とする複数個の透孔３８２を形成してある。
【００２８】
クランク軸３３０に該軸３３０と一体回転するように固定して下方側スクロール部材３８４を設け、前記受け面３４８上でベアリング３８６によって支持させてある。下方側スクロール部材３８４は上方側スクロール部材３６２と噛合され、両者のスクロール部材３６２，３８４が一緒に、しかし互いに異なった軸線まわりで、回転し、これにより両スクロール部材の螺旋翼によって吸入領域３７８から吐出領域３７６にかけて次第に容積を減少して行く流体ポケットが形成されることとしてある。上方側スクロール部材３６２は中心に配置の吐出通路３９４を有し、この吐出通路３９４は上部軸受箱３２６中の開口３９６を介して吐出領域３７６と連通している。
【００２９】
以上に説明した圧縮機３００の構造も既に公知であるか、或は本願出願人の係属中の特許出願の主題とされているところである。この発明の原理とするところを組込んである機械部分は独特の吐出ポート挿入物機構であり、その全体は符号４００で指してある。この吐出ポート挿入物機構４００は前述した吐出ポート挿入物機構２００と、スクロール・インサートが両者とも回転するスクロール部材３６２及び３８４に組込むものとしてある点を除いて、実質的に一致している。上方側スクロール部材３６２には、固有の吐出ポート２０６と該ポート２０６内で固定支持してあるインサート２０２を設けてある。下方側スクロール部材３８４には、固有のポート２１６と該ポート２１６内で固定支持してあるインサート２０４を設けてある。
【００３０】
図５−１０にはこの発明の他の実施例を示してある。図１−４の実施例が特定形状の吐出穴を有するインサートを用いたものであるのに対し、図５−１０の実施例は固有の吐出通路の形状を変更するインサートを用いる。
【００３１】
図５，６は旋回スクロール部材５４を示しており、本スクロール部材５４は該部材５４の端板中で部分的に入り込む吐出ポート２３２を有する。吐出ポート２３２内でインサート２３４を固定支持して、吐出ポート２３２の形状を変更し該ポートを圧縮機の特定稼働条件に対し適応させてある。インサート２３４は第２のインサート部材に属する。
【００３２】
類似して図７，８は非旋回スクロール部材６４を示しており、このスクロール部材６４は該部材６４を完全に貫通している吐出ポート２４２を有する。吐出ポート２４２内でインサート２４４を固定支持して、吐出ポート２４２の形状を変更し該ポートを圧縮機の特定稼働条件に対し適応させてある。インサート２４４を旋回スクロール部材５４中のインサート２３４と組合せて利用するとき、インサート２３４，２４４の形状は圧縮機の性能に対する要求を満たすように選択される。
【００３３】
図９は図４に図示の圧縮機３００における下方側スクロール部材３８４を示しており、このスクロール部材３８４は、吐出ポート２３２内で固定支持され同吐出ポートの形状を変更して該ポート２３２を圧縮機の特定稼働条件に対し適応させるインサート２３４を、有する。図１０は図４に図示の圧縮機３００における上方側スクロール部材３６２を示しており、このスクロール部材３６２も、吐出ポート２４２内で固定支持され同吐出ポートの形状を変更して該ポート２４２を圧縮機の特定稼働条件に対し適応させるインサート２４４を、有する。インサート２４４を下方側スクロール部材３８４中のインサート２３４と組合せて利用するとき、インサート２４４，２３４の形状は圧縮機の性能に対する要求を満たすように選択される。
【００３４】
図１１−１８にはこの発明の別の実施例を示してある。図１−４の実施例が特定形状の吐出穴を有するインサートを用いたものであるのに対し、図１１−１８の実施例は、スクロール部材の端板に形成した複数の穴に嵌合される一連のプラグ形のインサートを用いている。
【００３５】
図１１−１３は旋回スクロール部材５４を示しており、このスクロール部材５４は該部材５４の端板中に延びる吐出ポート２５２を有する。複数の吐出穴２５４も、旋回スクロール部材５４の端板の一部分に入り込むようにして該端板に吐出ポート２５２に隣接位置させて形成されている。これらの吐出穴２５４にはそれぞれ、プラグ形のインサート２５６を嵌合することとある。インサート２５６は第２のインサート部材に属する。インサート２５６は各吐出穴２５４内で圧力嵌め、ねじ嵌め、又は他の周知の手段により固定されたものに形成されている。圧縮機の吐出ポートの形状は種々のインサート２５６を、対応する吐出穴２５４中に組込むことによって、容易に変更することができる。したがって吐出ポートを、全てのインサート２５６が存在する場合の最小寸法のものから全てのインサート２５６が除去された場合の、ポート２５２と複数穴２５４の合計である最大寸法のものまで、自在に変更調整可能である。
【００３６】
図１４−１６は非旋回スクロール部材６４を示しており、このスクロール部材６４は該部材６４の端板を貫通する吐出ポート２６２を有する。複数の吐出穴２６４も、非旋回スクロール部材６４の端板を貫通させて該端板に、吐出ポート２６２に隣接位置させて形成されている。これらの吐出穴２６４にはそれぞれ、プラグ形のインサート２６６を嵌合することとしてある。インサート２６６は各穴２６４内で圧力嵌め、ねじ嵌め、又は他の周知の手段により固定されるものに形成されている。圧縮機の吐出ポートの形状は種々のインサート２６６を、対応する穴２６４中に組込むことによって、容易に変更することができる。したがって吐出ポートを、全てのインサート２６６が存在する場合の最小寸法のものから全てのインサート２６６が除去された場合の、ポート２６２と複数穴２６４の合計である最大寸法のものまで、自在に変更調整可能である。圧縮機を特定の要求に適応させるために非旋回スクロール部材６４中でインサート２６６を使用することは、旋回スクロール部材５４中でのインサート２５６の使用と同時に、又は単独で、行える。
【００３７】
図１７は図４に図示の圧縮機３００における下方側スクロール部材３８４を示しており、このスクロール部材３８４は、圧縮機の特定稼働条件に対し吐出ポートを適応させるために複数の吐出穴２５４と該穴２５４中に組込まれた種々のインサート２５６とを、有している。図１８は図４に図示の圧縮機３００における上方側スクロール部材３６２を示しており、このスクロール部材３６２は、圧縮機の特定稼働条件に対し吐出ポートを適応させるために複数の吐出穴２６４と該穴２６４中に組込まれた種々のインサート２６６とを、有している。圧縮機を特定の要求に適応させるために上方側スクロール部材３６２中でインサート２６６を使用することは、下方側スクロール部材３８４中でのインサート２５６の使用と同時に、又は単独で、行える。
【００３８】
この発明の好ましい実施例について説明して来たが、この発明は添付の特許請求の範囲を適正に解釈した発明範囲から逸脱することなく、実施例に数多くの修正、変形及び変更を加えて実施可能である点が、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に従った吐出ポート挿入物機構を組込んである冷凍用のスクロール式圧縮機を、機械中心線を含む平面で縦断して画いた縦断正面図である。
【図２】図１のスクロール式圧縮機における非旋回スクロール部材の斜視図で、この発明に従った非旋回スクロール部材用の分離可能な吐出ポートインサートを示してある。
【図３】図１のスクロール式圧縮機における旋回スクロール部材の斜視図で、この発明に従った旋回スクロール部材用の分離可能な吐出ポートインサートを示してある。
【図４】この発明に従った吐出ポート挿入物機構を組込んである両スクロール旋回型のスクロール式圧縮機を示す縦断正面図である。
【図５】図１のスクロール式圧縮機における旋回スクロール部材についての他の実施例を示す平面図である。
【図６】図５の６−６線に沿う断面図である。
【図７】図５の旋回スクロール部材と組合せるように設計してある非旋回スクロール部材を示す平面図である。
【図８】図７の８−８線に沿う断面図である。
【図９】図４のスクロール式圧縮機における下方側スクロール部材についての他の実施例を示す平面図である。
【図１０】図４のスクロール式圧縮機における上方側スクロール部材についての他の実施例を示す平面図である。
【図１１】図１のスクロール式圧縮機における旋回スクロール部材についての別の実施例を示す平面図である。
【図１２】図１１の１２−１２線に沿う断面図である。
【図１３】図１１の旋回スクロール部材の吐出ポート領域を示す拡大平面図である。
【図１４】図１１の旋回スクロール部材と組合せるように設計してある非旋回スクロール部材を示す平面図である。
【図１５】図１４の１５−１５線に沿う断面図である。
【図１６】図１４の非旋回スクロール部材の吐出ポート領域を示す拡大平面図である。
【図１７】図４のスクロール式圧縮機における下方側スクロール部材についての別の実施例を示す平面図である。
【図１８】図４のスクロール式圧縮機における上方側スクロール部材についての別の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
１０ 圧縮機
３０ クランク軸
５４ 旋回スクロール部材
５６ 螺旋翼
６４ 非旋回スクロール部材
６６ 螺旋翼
６８ 吐出通路
２００ 吐出ポート挿入物機構
２０２ インサート
２０４ インサート
２０６ 吐出ポート
２１２ 吐出穴
２１６ 吐出ポート
２２２ 吐出穴
２３２ 吐出ポート
２３４ インサート
２４２ 吐出ポート
２４４ インサート
２５２ 吐出ポート
２５４ 吐出穴
２５６ インサート
２６２ 吐出ポート
２６４ 吐出穴
２６６ インサート
３００ 圧縮機
３３０ クランク軸
３６２ 上方側スクロール部材
３８４ 下方側スクロール部材
３９４ 吐出通路
４００ 吐出ポート挿入物機構
Claims (32)
- 端板から突出する第１の螺旋翼を有し、第１の中心ポートを形成する第１のスクロール部材、
上記第１の中心ポートの形状を変更するために該中心ポート内に配置し、第２のスクロール部材の螺旋翼と当接させる第１のインサート部材、
端板から突出する第２の螺旋翼を有する第２のスクロール部材、
を備えており、上記第１及び第２のスクロール部材を相対旋回可能に、且つ、上記第１及び第２の螺旋翼が互いに噛合されて外側ポートを形成するように、支持してあり、また
上記第１及び第２のスクロール部材を相対的に旋回させて、上記第１及び第２の螺旋翼により上記した両ポート間で容積を変更しつつ移動して行く流体ポケットが形成され、該流体ポケットに上記両ポートのうちの一方のポートで流体が受入れられ、他方のポートでその流体が吐出されることとする駆動部材、
を備えていて、第２のスクロール部材の螺旋翼を第１のインサート部材と当接させて、機械の性能を最適化するスクロール式機械。 - 前記第２のスクロール部材が第２の中心ポートを形成しており、該第２の中心ポートの形状を変更するための第２のインサート部材を設けてあって、第１のスクロール部材の螺旋翼を第２のインサート部材と当接させて、機械の性能を最適化する請求項１のスクロール式機械。
- 前記第２のインサート部材が、前記第２の中心ポート内に固定配置されたインサートを有するものである請求項２のスクロール式機械。
- 前記インサートが、インサート中心ポートを有するものである請求項３のスクロール式機械。
- 前記第２のインサート部材が、前記第２の中心ポートに隣接させて前記第２のスクロール部材に形成した穴に選択的に挿入可能な少なくとも１個のプラグ状インサートを備えている請求項２のスクロール式機械。
- 前記第２のインサート部材が、前記第２の中心ポートに隣接させて前記第２のスクロール部材に形成した対応する穴に選択的に挿入可能な複数個のプラグ状インサートを備えている請求項２のスクロール式機械。
- 前記第１のインサート部材が、前記第１の中心ポート内に固定配置されたインサートを有するものである請求項１のスクロール式機械。
- 前記インサートが、インサート中心ポートを有するものである請求項７のスクロール式機械。
- 前記第１のインサート部材が、前記第１の中心ポートに隣接させて前記第１のスクロール部材に形成した穴に選択的に挿入可能な少なくとも１個のプラグ状インサートを備えている請求項１のスクロール式機械。
- 前記第１のインサート部材が、前記第１の中心ポートに隣接させて前記第１のスクロール部材に形成した対応する穴に選択的に挿入可能な複数個のプラグ状インサートを備えている請求項１のスクロール式機械。
- 前記第１及び第２のスクロール部材がそれぞれ、互いに異なった第１及び第２の軸線まわりで回転動されるものである請求項１のスクロール式機械。
- 前記第１のスクロール部材が旋回スクロール部材であり前記第２のスクロール部材が非旋回スクロール部材であって、前記駆動部材が、旋回スクロール部材を非旋回スクロール部材に対し旋回動させるものである請求項１のスクロール式機械。
- 端板から突出する第１の螺旋翼を有し、第１の吐出ポートを形成する第１のスクロール部材、
端板から突出する第２の螺旋翼を有し、外側ポートを形成するように第１の螺旋翼と互いに噛合する該第２の螺旋翼とともに相対的に旋回運動するように設置される第２のスクロール部材、
上記第１の吐出ポート内に配置され且つ第２の吐出ポートを有し、第２の吐出ポートは第１の吐出ポートと非同心状である第１のインサート、及び
上記第１及び第２のスクロール部材を相対的に旋回させて、上記第１及び第２の螺旋翼により上記した外側ポートと吐出ポート間で容積を変更しつつ移動して行く流体ポケットが形成され、該流体ポケットに外側ポートと吐出ポートとのうちの一方のポートで流体が受入れられ、他方のポートでその流体が吐出されることとする駆動部材、
を備えたスクロール式機械。 - 前記第２のスクロール部材が第３の吐出ポートを形成しており、この第３の吐出ポート内に、第４の吐出ポートを有する第２のインサートを配置してある請求項１３のスクロール式機械。
- 前記第１及び第２のスクロール部材がそれぞれ、互いに異なった第１及び第２の軸線まわりで回転動されるものである請求項１３のスクロール式機械。
- 前記第１のスクロール部材が非旋回スクロール部材であり前記第２のスクロール部材が旋回スクロール部材であって、前記駆動部材が、旋回スクロール部材を旋回スクロール部材に対し旋回動させるものである請求項１３のスクロール式機械。
- 端板から突出する第１の螺旋翼を有し、第１の吐出ポートを形成する第１のスクロール部材、
端板から突出する第２の螺旋翼を有する第２のスクロール部材、
を備えており、上記第１及び第２のスクロール部材を相対旋回可能に、且つ、上記第１及び第２の螺旋翼が互いに噛合されて外側ポートを形成するように、支持してあり、また
上記第１の吐出ポート内に配置され該吐出ポートの形状を変更する第１のインサート、及び
上記第１及び第２のスクロール部材を相対的に旋回させて、上記第１及び第２の螺旋翼により上記した両ポート間で容積を変更しつつ移動して行く流体ポケットが形成され、該流体ポケットに上記両ポートのうちの一方のポートで流体が受入れられ、その流体が他方のポートで吐出されることとする駆動部材、
を備えていて、第２のスクロール部材の螺旋翼を第１のインサートと当接させて、機械の性能を最適化するスクロール式機械。 - 前記第２のスクロール部材が第２の吐出ポートを形成しており、この第２の吐出ポートの形状を変更する第２のインサートを、該第２の吐出ポート内に配置してある請求項１７のスクロール式機械。
- 前記第１及び第２のスクロール部材がそれぞれ、互いに異なった第１及び第２の軸線まわりで回転動されるものである請求項１７のスクロール式機械。
- 前記第１のスクロール部材が非旋回スクロール部材であり前記第２のスクロール部材が旋回スクロール部材であって、前記駆動部材が、旋回スクロール部材を非旋回スクロール部材に対し旋回動させるものである請求項１７のスクロール式機械。
- 端板から突出する第１の螺旋翼を有し、第１の吐出ポートを形成する第１のスクロール部材、
端板から突出する第２の螺旋翼を有する第２のスクロール部材、
を備えており、上記第１及び第２のスクロール部材を相対旋回可能に、且つ、上記第１及び第２の螺旋翼が互いに噛合されて外側ポートを形成するように、支持してあり、また
前記第１の吐出ポートに隣接させて前記第１のスクロール部材に形成してある穴に選択的に挿入可能な少なくとも１個のプラグ状インサート、及び
上記第１及び第２のスクロール部材を相対的に旋回させて、上記第１及び第２の螺旋翼により上記した両ポート間で容積を変更しつつ移動して行く流体ポケットが形成され、該流体ポケットに上記両ポートのうちの一方のポートで流体が受入れられ、その流体が他方のポートで吐出されることとする駆動部材、
を備えたスクロール式機械。 - 前記第２のスクロール部材が第２の吐出ポートを形成しており、この第２の吐出ポートに隣接させて第２のスクロール部材に形成した穴に選択的に挿入可能な少なくとも１個のプラグ状インサートを、設けてある請求項２１のスクロール式機械。
- 前記第１及び第２のスクロール部材がそれぞれ、互いに異なった第１及び第２の軸線まわりで回転動されるものである請求項２１のスクロール式機械。
- 前記第１のスクロール部材が非旋回スクロール部材であり前記第２のスクロール部材が旋回スクロール部材であって、前記駆動部材が、旋回スクロール部材を非旋回スクロール部材に対し旋回動させるものである請求項２１のスクロール式機械。
- 端板から突出する第１の螺旋翼を有し、複数個の第１の中心ポートを形成する第１のスクロール部材、
複数個の第１の中心ポートのうちの少なくとも１個のポートに挿入されるのに適している第１のインサート部材、
端板から突出する第２の螺旋翼を有する第２のスクロール部材、
を備えており、上記第１及び第２のスクロール部材を相対旋回可能に、且つ、上記第１及び第２の螺旋翼が互いに噛合されて外側ポートを形成するように、支持してあり、また
上記第１及び第２のスクロール部材を相対的に旋回させて、上記第１及び第２の螺旋翼により上記した外側ポートと中心ポート間で容積を変更しつつ移動して行く流体ポケットが形成され、該流体ポケットに外側ポートと中心ポートとのうちの一方のポートで流体が受入れられ、他方のポートでその流体が吐出されることとする駆動部材、
を備えたスクロール式機械。 - 前記第２のスクロール部材が複数個の第２の中心ポートを形成しており、該第２の中心ポートのうちの少なくとも１個のポートが、第２のインサート部材を受け入れるのに適している請求項２５のスクロール式機械。
- 前記第２のインサート部材が前記第２の中心ポートのうちの１個のポート内に配置されている請求項２６のスクロール式機械。
- 前記第１のインサート部材を、前記第１の中心ポートのうちの１個のポート内に配置してある請求項２５のスクロール式機械。
- 前記第１及び第２のスクロール部材がそれぞれ、互いに異なった第１及び第２の軸線まわりで回転動されるものである請求項２５のスクロール式機械。
- 前記第１のスクロール部材が非旋回スクロール部材であり前記第２のスクロール部材が旋回スクロール部材であって、前記駆動部材が、旋回スクロール部材を非旋回スクロール部材に対し旋回動させるものである請求項２５のスクロール式機械。
- 端板から突出する第１の螺旋翼を有し、第１の中心ポートを形成する第１のスクロール部材、
上記第１の中心ポート内に、該中心ポートの形状を変更し機械の性能に影響を及ぼすように配置されている第１のインサート部材であって、上記第１の中心ポート内に固定配置され該中心ポートに対し非同心的であるポート穴を有するインサートを備えている第１のインサート部材、
端板から突出する第２の螺旋翼を有する第２のスクロール部材、を備えていて、上記第１及び第２のスクロール部材を相対旋回可能に、且つ、上記第１及び第２の螺旋翼が互いに噛合されて外側ポートを形成するように、支持してあり、また
上記第１及び第２のスクロール部材を相対的に旋回させて、上記第１及び第２の螺旋翼により上記した外側ポートと第１の中心ポート間で容積を変更しつつ移動して行く流体ポケットが形成され、外側ポートと第１の中心ポートとのうちの一方のポートで該流体ポケットに受入れられた流体が他方のポートで吐出されることとする駆動部材、
を備えたスクロール式機械。 - 前記第２のスクロール部材が第２の中心ポートを形成しており、この第２の中心ポート内に、該中心ポートの形状を変更し機械の性能に影響を及ぼすように配置されている第２のインサート部材であって、上記第２の中心ポート内に固定配置され該中心ポートに対し非同心的であるポート穴を有するインサートを備えている第２のインサート部材を、設けてある請求項３１のスクロール式機械。
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Legal Events
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| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060613 |
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| A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060823 |
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| A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20060928 |
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| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
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