JP3890317B2 - 発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽極と陰極間に少なくとも一層の有機化合物層を備える発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
発光素子とは、陰極と陽極との間に流れる電流によって、両電極間に在る有機化合物が発光する、いわゆる有機エレクトロルミネッセンス素子のことである。
【0003】
発光素子の一般的な断面構造を、図1に示す。図中、1は透明基板、2は透明電極、3は正孔輸送層、4は発光層、5は電子輸送層、6は電子注入層、7は陰極をそれぞれ表している。
【0004】
この発光素子においては、陰極7から、電子注入・輸送層5、6、を通して、発光層4に注入された電子と、透明電極2から正孔輸送層3を通して発光層4へ注入された正孔との再結合によって励起子が生成される。この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
【0005】
このような発光素子の陰極7には、比較的仕事関数が小さく、電子注入特性が良好な材料、例えば、マグネシウム(Mg)のような単体金属や、Ag−Mg、Al−Li等の金属合金が用いられる。
【0006】
また、特許文献1では、ドナー(電子供与性)ドーパントとして機能する金属を有する有機層が、陰極に接してい設けられている構成が開示されている。そしてこのドナー(電子供与性)ドーパントとして用いられる金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類を含む遷移金属等が該特許文献1に開示されている。
【0007】
また、特許文献2では、金属酸化物あるいは金属塩をドーパントとして有する有機層が、陰極に接して設けられている構成が開示されている。
【0008】
これらの有機層に用いられる有機化合物としては、良好な電子輸送性を備えるバソフェナントロリン等が用いられる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−270171号公報(2頁、9−13行、第1図)
【特許文献2】
特開平10−270172号公報(2頁、2−7行、第1図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような発光素子における最も大きな課題は、素子を連続駆動する際の寿命である。特に、上記のバソフェナントロリンは、ガラス転移温度(Tg)が、約75℃前後と低い。そのため、バソフェナントロリンのような材料を有機層に用いた発光素子では、駆動時の発熱により、有機層を構成する薄膜形状が変化する。この薄膜形状の変化は、電極からのキャリア注入を阻害し、駆動電圧の上昇や、ダークスポット呼ばれる非発光部分を生じさせる一因となる。このような理由から、バソフェナントロリンを用いた発光素子は、発光輝度、発光効率等の面で良好な初期特性を示すが、連続駆動時の素子寿命は、短かった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、極めて高効率で高輝度な、そして耐久性のある発光素子を提供する。
【0012】
具体的に本発明は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に備えられている有機化合物層とから少なくとも構成されている発光素子であって、上記陰極電極と電気的に接している前記有機化合物層が少なくとも下記一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物の少なくとも一種と、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩とを含有することを特徴とする発光素子を提供する。
また、本発明は、陽極及び陰極とからなる一対の電極と、前記一対の電極間に配置されている発光層と、前記陰極電極と電気的に接している有機化合物層とから少なくとも構成されている発光素子の製造方法であって、前記発光層を形成する発光層の形成工程と、前記有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程とを有し、前記有機化合物層は下記一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物の少なくとも一種を含み、前記有機化合物層の形成工程は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩が加熱された状態で前記有機化合物層が形成される工程であることを特徴とする発光素子の製造方法を提供する。
【0013】
【外2】
Figure 0003890317
一般式[I]
(式中、R、R、R、R、RおよびRは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基またはハロゲン原子を表わす。R、R、R、R、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよい。ArおよびArは、置換あるいは無置換のフルオレニル基、置換あるいは無置換のフルオランテニル基、置換あるいは無置換のペリレニル基または置換あるいは無置換のカルバゾリル基を表わし、ArおよびArは、同じであっても異なっていてもよい。)
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、
(1)陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物からなる層を少なくとも有する発光素子において、前記陰極電極と電気的に接している有機化合物層が下記一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物の少なくとも一種と、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩とを含有することを特徴とする発光素子である。
【0015】
【外3】
Figure 0003890317
一般式[I]
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基またはハロゲン原子を表わす。R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同じであっても異なっていてもよい。Ar1およびAr2は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基を表す。Ar1およびAr2は、同じであっても異なっていてもよい。)
【0016】
また
(2)一般式[I]のAr1およびAr2が、置換あるいは無置換のフルオレニル基、置換あるいは無置換のフルオランテニル基または置換あるいは無置換のペリレニル基から選ばれる(1)に記載の発光素子も好ましい。
【0017】
また
(3)一般式[I]のAr1およびAr2が、下記一般式[II]で示されるフルオレニル基である(1)あるいは(2)のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
【外4】
Figure 0003890317
一般式[II]
(式中、R7は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わす。R8およびR9は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、R8およびR9は、同じであっても異なっていてもよい。)
【0019】
また
)前記陰極が、可視光に透明であることを特徴とする(1)ないし()のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
【0020】
また
)前記陰極が、インジウム錫酸化物(ITO)電極であることを特徴とする()に記載の発光素子も好ましい。
【0021】
また
)前記陰極が、金あるいは銀あるいはアルミニウムの少なくともいずれかの電極であることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
【0022】
また
)前記陰極側から光を取り出すことを特徴とする(1)ないし()のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
【0023】
また
)前記陽極が、光を反射する機能を有する電極であることを特徴とする(1)ないし()のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
【0024】
また
)前記陽極が、クロム(Cr)を含む電極であることを特徴とする()に記載の発光素子も好ましい。
【0025】
また
10)前記陽極が、銀(Ag)を含む電極であることを特徴とする()に記載の発光素子も好ましい。
【0026】
また
11)前記陽極が反射性電極、前記陰極が透明電極であることを特徴とする(1)ないし(10)のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
【0027】
また
12)前記陽極がクロム、前記陰極がインジウム錫酸化物(ITO)からなる電極であることを特徴とする(11)に記載の発光素子も好ましい。
【0028】
また
13)前記陰極電極と電気的に実質接している有機化合物層と陽極との間に、前記有機化合物層とは別の発光層を有することを特徴とする(1)ないし(12)のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
【0029】
また
14)前記陰極電極と電気的に実質接している有機化合物層と発光層の間に別の有機化合物層を有することを特徴とする(13)に記載の発光素子も好ましい。
また
(15)前記炭酸塩が炭酸セシウムであることを特徴とする(1)ないし(14)のいずれかに記載の発光素子も好ましい。
また、本発明は
(16)陽極及び陰極とからなる一対の電極と、前記一対の電極間に配置されている発光層と、前記陰極電極と電気的に接している有機化合物層とから少なくとも構成されている発光素子の製造方法であって、
前記発光層を形成する発光層の形成工程と、
前記有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程とを有し、
前記有機化合物層は下記一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物の少なくとも一種を含み、
前記有機化合物層の形成工程は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩が加熱された状態で前記有機化合物層が形成される工程であることを特徴とする発光素子の製造方法である。
【化4】
Figure 0003890317
一般式[I]
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基またはハロゲン原子を表わす。R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同じであっても異なっていてもよい。Ar1およびAr2は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基を表す。Ar1およびAr2は、同じであっても異なっていてもよい。
また
(17)前記炭酸塩が炭酸セシウムであることを特徴とする(16)に記載の発光素子の製造方法も好ましい。
【0030】
(第1の実施の形態)
本発明の第一の実施の形態に係る発光素子は、陽極及び陰極とからなる一対の電極と、該一対の電極の間に配置された発光層とを少なくとも有する発光素子において、前記陰極に接している有機化合物層が、一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物の少なくとも一種とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩とを含有していることを特徴とする。
【0031】
本発明で用いられるフェナントロリン化合物の代表例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
[化合物例]
【外5】
Figure 0003890317
一般式[I]
【0033】
【外6】
Figure 0003890317
【0034】
【外7】
Figure 0003890317
【0035】
これらのフェナントロリン化合物は、従来の化合物に比べ電子輸送性および耐久性の優れた化合物である。
【0036】
また、本発明の発光素子における有機化合物層は、上記のフェナントロリン化合物の他に、炭酸塩が含有されている。本発明で用いられる炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩であることが好ましい。その中でも、特に好ましく用いることができる炭酸塩としては、炭酸セシウム(CsCO)あるいは、炭酸リチウム(LiCO)の少なくともいずれか一方である。もちろんこの有機化合物層中には、それぞれの炭酸塩(アルカリ金属、アルカリ土類金属)を共に存在させてもよい。
【0037】
炭酸塩が好ましい理由として、得られる素子の耐久性が向上することを挙げてもよい。耐久性とは素子寿命のことである。炭酸塩は、分子量が比較的大きいため、素子駆動時に有機化合物層中を移動し難いと考えられるからである。さらに有機化合物層を構成する有機化合物、すなわちフェナントロリン化合物との親和性がよいことも炭酸塩を好ましく用いる理由としてよいかもしれない。
【0038】
このようなフェナントロリン化合物と炭酸塩を含有する、上記有機化合物層により、陰極から発光層へ電子が効率よく供給される。その結果、本実施形態では、陰極に用いる材料を選択する場合、材料の仕事関数を考慮して制限されることなく、すなわち比較的仕事関数が高い材料を陰極に用いることができる。具体的には、インジウム錫酸化物(ITO)、金、銀や、それら合金を選択した場合でも、発光素子への良好な電子注入が可能となる。
【0039】
特に、陰極をインジウム錫酸化物(ITO)に、そして該インジウム錫酸化物(ITO)電極と、電気的に実質接する有機化合物層が、上記フェナントロリン化合物と炭酸塩を含有している発光素子では、陰極及び有機化合物層が光学的に良好な透過率を備えていることから、陰極から光を取り出すことが出来、いわゆるトップエミッション型発光素子に好適である。もちろん本発明の発光素子は、陽極から光を取り出す形態の発光素子であってもよい。
【0040】
また、フェナントロリン化合物と炭酸塩を含む有機化合物層の膜厚は、0.1〜1000nm(0.1nm以上1000nm以下という意味、以下同様)の範囲、好ましくは1〜500nmの範囲である。なお、発光層の膜厚はいくらでも良い。高い発光効率を得るためには、発光層の膜厚方向に十分な再結合領域があることが望ましい。
【0041】
また、陰極とこの有機化合物層の間に別な層を設けてもよい。この別な層とは有機層あるいは無機層あるいは、有機・無機の混合層でもよい。更に具体的には、LiF層であってもよい。なお、そのような別の層を設けることで、電子注入が更に改善される。そして、この別な層が設けられていても陰極とこの有機化合物層は、電気的に接していると言える。
【0042】
ところで、フェナントロリン化合物と炭酸塩とからなる有機化合物層を形成する場合、両者を共蒸着することが好ましい。特に炭酸塩を加熱した状態で、有機化合物層が形成されることが好ましい。炭酸塩が加熱された状態で有機化合物層が形成されることで、発光素子の電流密度が実用に好ましいレベルに至る。加熱して用いる場合もやはり、炭酸セシウム、炭酸リチウムのような炭酸塩がおよそ150℃以上700℃以下で加熱できる。この温度範囲は比較的低温の温度範囲である。この温度領域(範囲)は、炭酸塩の融点、分解点、分解開始点のいずれかの温度領域であってもよい。
【0043】
炭酸塩を加熱することが好ましい理由は、今のところ断言できないが、フェナントロリン化合物と炭酸塩が相互に作用し、電子が効率よく陰極から発光層へと供給できるのかもしれない。
【0044】
あるいは、炭酸塩は加熱されると共に、フェナントロリン化合物を還元するのかもしれない。そして、安定な金属である金(Au)や、銀(Ag)や、インジウム錫酸化物(ITO)を用いても、陰極からの電子注入障壁を小さくさせることができ、素子の駆動電圧を下げることができるのかもしれない。
【0045】
また金属単体(例えばセシウム金属単体)に比べても炭酸塩(CsCO)は好ましい。これは炭酸塩のほうが金属単体に比べ分子量が大きく(即ち重たく)、セシウム元素が移動しにくいからではないかと考える。
【0046】
有機化合物層の成膜方法は、いかなる薄膜形成方法であってよい。例えば蒸着法やスパッタ法が使用できる。これらの方法は炭酸塩を加熱できるので好ましい方法である。
【0047】
また、本実施形態の発光素子は、複数の発光素子を有する発光素子アレイ、ディスプレイ(モノカラーフルカラー問わず)等の表示素子、および電子写真方式(例えばレーザービームプリンタや複写機)の感光体への露光光源として適用できる。
【0048】
又、本発明の実施形態の発光素子において、陰極電極に用いる材料として、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、インジウム錫酸化物(ITO)、あるいはそれら1種を少なくとも含む合金等を挙げることが出来る。他にもマグネシウム(Mg)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、セレン(Se)、イリジウム(Ir)、酸化錫、そしてヨウ化銅あるいはそれらを少なくとも1つ含む混合金属(例えば合金)を用いることが出来る。
【0049】
本発明の実施形態の発光素子は、陰極電極と、それに接する有機化合物層を成膜する順序に限定を受けず、該成膜順序を自在に選択できる。
【0050】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態を示す模式図である。本実施形態は第1の実施形態である発光素子の一部を陽極まで含めた層構成にまで説明を広げたものである。同図において、本発明の発光素子は、基板10上に、陽極となる電極11、正孔輸送性を有する正孔輸送層12、発光層13、フェナントロリン化合物と炭酸塩から構成される有機化合物層14、陰極となる電極15を積層して構成されている。
【0051】
この他、上記有機化合物層の構成としては、電極(陽極)/発光層/有機化合物層/電極(陰極)、電極(陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/有機化合物層/電極(陰極)、電極(陽極)/正孔注入層/発光層/有機化合物層/電極(陰極)、電極(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/有機化合物層/電極(陰極)、電極(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/有機化合物層/電極(陰極)等が挙げられるが、本発明による発光素子は、有機化合物層14を陰極15との界面に備える構成であれば、いかなる素子構成であっても良い。更に、具体的には層の構成が、陰極、有機化合物層、電子輸送層の順であることがよい(もちろん製造の順番から言えば電子輸送層の次に有機化合物層そしてそのあとに陰極といった順に各層を製造することもある)。特にこの層構成の場合、本発明の有機化合物層に含有されるフェナントロリン化合物を、電子輸送層として好ましく用いることができる。また、Alq3及びPBO等の金属錯体化合物、オキサゾール、トリアゾール、キノキサリン、トリアジン、トリアゾール、シロール等のヘテロ環化合物、ヘテロ縮合環化合物の少なくともいずれか一つを電子輸送層として用いてもよい。
【0052】
このような電子輸送層を更に設けることで、陰極から発光層へ電子を供給する効率が更に改善される。その場合電子輸送層の材料と有機化合物層を構成する主たる有機化合物は別々の化合物であってもよいが、同じ化合物であることが好ましい。
【0053】
正孔輸送層12及び正孔注入層として使用できる有機化合物としては、特に限定はないが、例えばトリフェニルジアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポリフィリル誘導体、スチルベン誘導体等を用いることができるが、これに限られるものではない。
【0054】
発光層13の材料として使用できる有機化合物としては、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリーレン、芳香族縮合多環化合物、芳香族複素環化合物、芳香族複素縮合環化合物、金属錯体化合物等及びこれらの単独オリゴ体あるいは複合オリゴ体等から採用できる。またこれらの発光材料の一種以上を正孔注入層や、正孔輸送層又は、電子輸送層にドーピングして用いることもできる。これら材料、構成は、いずれもこれに限定されない。
【0055】
陽極となる電極11としては、仕事関数の大きなものが望ましく、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、酸化錫、金(Au)、白金(Pt)クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、セレン(Se)、イリジウム(Ir)、ヨウ化銅等や、合金等を用いることができる。
【0056】
上記、正孔注入層、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層の成膜は、いかなる薄膜形成方法であってもよく、例えば蒸着法やスパッタ法、CVD法、分子線蒸着法(MBE法)、ディッピング法、スピン塗布法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法、インクジェット法等が使用できる。
【0057】
また、本発明の本実施形態で述べた発光素子において、有機材料や無機材料からなる保護層を設け、素子を酸素や湿気から守る構成を取ることも可能であり、何ら本発明の特徴を阻害するものとはならない。また、不活性ガスで素子を封入する等により、素子の耐環境性の向上を図ることも可能である。
【0058】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る発光素子は、有機化合物層と発光層との間に別の層を設ける形態である。それ以外は第2の実施の形態と同じである。本実施形態は、第2の実施の形態において説明した層構成のうち電極(陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/有機化合物層/電極(陰極)、電極(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/有機化合物層/電極(陰極)等の層構成が本実施の形態にの範疇に含まれるが、その他に発光層と有機化合物層との間にブロック層、より具体的にはホールブロッキング層としての機能を有する層を設けても良い。なおこのホールブロッキング層は、先の電子輸送層と同一であってもよいし、別に設けても良い。
【0059】
このホールブロック層を用いることで、素子発光層に、各電子や正孔(ホール)、励起子を有効に閉じ込め、素子の発光効率が向上する。
【0060】
本発明の有機化合物層に備えるフェナントロリン化合物から構成される層を、発光層と有機化合物層の間に形成すると、ホールブロック層兼、電子輸送層として好適に用いることができ、このような発光素子は、良好な発光効率を得ることができる。
【0061】
また有機化合物層を構成する有機化合物とは、別な有機化合物をホールブロック層として用いることも可能であり、その場合Alq3及びPBO等の金属錯体化合物、オキサゾール、トリアゾール、キノキサリン、トリアジン、トリアゾール、シロール等のヘテロ環化合物、ヘテロ縮合環化合物の少なくともいずれか一つをホールブロッキング層として用いてもよい。
【0062】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る発光素子は、基板と反対側に設ける電極から光を取り出す、いわゆるトップエミッション型発光素子の形態である。
【0063】
本実施形態では、基板側に備えられる下面電極を、発光が反射する反射電極、基板と反対側に設けられる上面電極を、発光を外部へ取り出す透明電極とした。それ以外は、本発明の第1、第2もしくは、第3の実施形態と同一である。本実施形態においては、下面電極が陽極、上面電極が陰極である。
【0064】
本発明の実施の形態の発光素子において、陽極となる電極11としては、反射率が高く、かつ仕事関数が大きなものが望ましく、例えばクロム(Cr)や金(Au)、銀(Ag)や、それらの合金等を用いることができる。
【0065】
また、本発明の実施の形態の発光素子において、陰極となる電極15に用いる材料としては、透過率が高いものが望ましく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(IZO)等や、それらの複合物が用いられる。
【0066】
本発明のフェナントロリン化合物と炭酸塩を含有した有機化合物層は、光学的に良好な透過率を備えていることから、該有機化合物層に接して備えられる透明な陰極から発光の取り出しの妨げとならず、前記陰極から良好に発光を取り出すことができる。
【0067】
さらに、本発明の前記有機化合物層は、陰極に用いる材料の仕事関数に制限されない、したがって、ITOやIZO等の比較的仕事関数が高い材料を陰極に用いた場合でも、発光素子への良好な電子注入が可能である。
【0068】
このような理由から、本発明の一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物と炭酸塩を含有する有機化合物層は、トップエミッション型の発光素子でも好ましく用いることができる。
【0069】
なお、本実施形態では、下面電極が陽極、上面電極が陰極の場合を示したが、発光素子の積層構成を適宜対応させることで、下面電極が反射機能を有する陰極、上面電極が、光透過性の陽極であるトップエミッション型発光素子を提供することも可能である。
【0070】
【実施例】
以下に、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例では、炭酸塩として炭酸セシウムを例示して説明するが、炭酸リチウムも適用可能であり即ち本発明は本実施形態に限られない。
【0071】
(実施例1)
図2、第一の実施例を示す。図中、10は陽極側の透明基板であり、11は正孔注入用の陽極電極としてのITO層を示し、12は正孔輸送層、13は発光層、14は有機化合物層、15は陰極電極である。
【0072】
透明基板10上に酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜し、透明な陽極電極11を得た。その後、該基板をアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した。
【0073】
次いで、真空蒸着装置[真空機工社製]を用いて、洗浄後の該基板を上に正孔輸送性を有する下記化学式1:
【外8】
Figure 0003890317
で表されるαNPDを真空蒸着法により35nmの膜厚で成膜し正孔輸送層12を形成した。蒸着時の真空度は、1.0×10−6Torr、成膜速度は、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。次に、前記正孔輸送層12の上に、下記化学式2:
【外9】
Figure 0003890317
で表される、アルミキレート錯体(以下Alq3という)を真空着法により15nmの膜厚で成膜し発光層13を、正孔輸送層12を成膜するときと同じ条件で形成した。次に、前記発光層13の上に、有機化合物層14として、下記化学式3:
【外10】
Figure 0003890317
で表される、フェナントロリン化合物と炭酸セシウム(Cs2CO3)を膜厚比9:1の割合で混合されるよう、各々の蒸着速度を調整して35nmの厚さに成膜した。最後に、前記有機化合物層14の上に陰極電極15として、アルミニウム(Al)を蒸着速度1nm/secの条件で150nm蒸着した。
【0074】
このようにして、透明基板10上に、陽極電極11、正孔輸送層12、発光層13、有機化合物層14、および陰極電極15を設け、発光素子を得た。続いて、この発光素子において、ITOを陽極電極11、アルミニウムを陰極電極15として、直流電圧を印加し、素子の発光特性を調べた。
【0075】
その結果この素子は、印加電圧8Vにて最高輝度13665cd/m2、電流密度1494mA/cm2を示した。また、印加電圧5Vにて、1.01lm/wの発光効率を示した。この時の電圧―輝度特性を図3に示す。
【0076】
さらに、素子を流れる電流を電流密度100mA/cm2になるように保ち、初期輝度の減衰変化と経過時間の関係を調べた。結果を表1に示す、表1は、初期輝度が所定割合減衰するまでに要した経過時間を示している。表1より、本実施例1の発光素子の初期輝度が半減するまでに要した時間は、206時間であった。
【0077】
【表1】
Figure 0003890317
【0078】
(比較例1)
本比較例は、有機化合物層に用いる有機化合物を、本発明のフェナントロリン化合物から、従来例で用いられていたバソフェナントロリンと変更し、比較検討した例である。
【0079】
実施例1と同様な条件にて、陽極電極11であるITO上にまず正孔輸送層12として
α―NPDを35nmの膜厚で成膜し、その上に、発光層13としてAlq3を15nmの膜厚で成膜した。次に、有機化合物層14として下記化学式4:
【外11】
Figure 0003890317
で表される、フェナントロリン化合物と炭酸セシウム(Cs2CO3)を膜厚比9:1の割合で混合されるよう、各々の蒸着速度を調整して35nmの厚さに成膜した。最後に、前記有機化合物層14の上に陰極電極15として、アルミニウム(Al)を蒸着速度1nm/secの条件で150nm蒸着した。
【0080】
このようにして、透明基板10上に、陽極電極11、正孔輸送層12、発光層13、有機化合物層14、および陰極電極15を設け、発光素子を得た。続いて、この発光素子において、ITOを陽極電極11、アルミニウムを陰極電極15として、直流電圧を印加し、素子の発光特性を調べた。
【0081】
その結果この素子は、印加電圧8Vにて最高輝度9833cd/m2、電流密度1428mA/cm2を示した。この時の電圧―輝度特性を図3に示す。また、印加電圧5Vの時、0.77lm/wの発光効率を示した。
【0082】
さらに、素子を流れる電流を電流密度100mA/cm2になるように保ち、初期輝度の減衰変化と経過時間の関係を調べた。結果を表1に示す。表より、本比較例1の発光素子の初期輝度が半減するまでに要した時間は、128時間であった。
【0083】
(比較例2)
本比較例は、陰極に接する層を、本発明の有機化合物層から、従来広く一般的に用いられているAl−Liに、電子輸送層をバソフェナントロリンとして、比較検討した例である。
【0084】
実施例1と同様な条件にて、陽極電極11であるITO上にまず正孔輸送層12としてα―NPDを35nmの膜厚で成膜し、その上に、発光層13としてAlq3を15nmの膜厚で成膜した。続いて、フェナントロリン化合物を35nmの厚さに成膜した。その上に、Al−Liを12nmの膜厚で成膜した。最後に、前記Al−Liの上に陰極電極15として、アルミニウム(Al)を蒸着速度1nm/secの条件で150nm蒸着した。
【0085】
このようにして得た、発光素子において、ITOを陽極電極11、アルミニウムを陰極電極15として、直流電圧を印加し、素子の発光特性を調べた。
【0086】
その結果この素子は、印加電圧14Vにて最高輝度6437cd/m2、電流密度423mA/cm2を示した。この時の電圧―輝度特性を図3に示す。また、印加電圧11Vの時、0.42lm/wの発光効率を示した。
【0087】
さらに、素子を流れる電流を電流密度100mA/cm2になるように保ち、初期輝度の減衰変化と経過時間の関係を調べた。結果を表1に示す。表より、本比較例2の発光素子の初期輝度が半減するまでに要した時間は、55時間であった。
【0088】
図3に示した実施例1および比較例2の電圧―輝度特性の比較より、実施例1に示した本発明の有機化合物層にフェナントロリン化合物と炭酸塩を含有する発光素子は、比較例1の素子と同等以上で、比較例2の素子に比して良好な発光特性を有していることが判る。また、一定電流を素子に流し、初期輝度の減衰に要する経過時間の比較(表1)より、本発明の有機化合物層を備えた素子は、バソフェナントロリンを素子中に備えた比較例1及び比較例2の発光素子に比して、一定条件下で、輝度減衰に要する時間が長くなっており、素子の耐久性能(寿命)も改善されていることが判る。実施例1で用いたフェナントロリン化合物のガラス転移温度(Tg)は、140℃前後であり、また比較例2及び比較例3で用いたバソフェナントロリンのガラス転移温度(Tg)75℃前後である。
【0089】
このような有機化合物層に用いる化合物のガラス転移温度の向上が、素子耐久性能の改善へ少なからず影響しているものと本発明者らは、推察している。
【0090】
その結果、従来の技術による発光素子と同等以上な発光特性を備えながら、良好な耐久性能を合わせ持つ発光素子を提供することが可能になる。
【0091】
(実施例2)
本実施例は、陽極に、反射電極として機能するクロム(Cr)、陰極に、透明な発光取り出し電極として機能するインジウム錫酸化物(ITO)を用いた発光素子、すなわちトップエミッション型素子への適用例を示す。
【0092】
図4に第二の実施例を示す。図中、20は陽極側の基板であり、21は正孔注入用の陽極であり、反射電極であるクロム(Cr)を示し、22は正孔輸送層、23は発光層、24は、電子輸送層、25は、有機化合物層、26は、発光取り出し用の透明電極であるITOを示している。
【0093】
基板20上にクロム(Cr)をスパッタ法にて200nmの膜厚で成膜し、陽極電極21を得た。その後、該基板にUV/オゾン洗浄を施した。続いて、実施例1と同様な条件にて、陽極電極21であるクロム(Cr)の上にまず正孔輸送層22としてα―NPDを50nmの膜厚で成膜し、その上に発光層23として、下記化学式5:
【外12】
Figure 0003890317
で表されるクマリン6(1.0wt%)とAlq3の共蒸着膜を30nmの膜厚で成膜した。次に、電子輸送層24として、化学式3で表されるフェナントロリン化合物を10nm成膜した。そして、有機化合物層25として、化学式3で表されるフェナントロリン化合物と炭酸セシウム(Cs2CO3)を膜厚比9:1の割合で混合されるよう、各々の蒸着速度を調整して40nmの厚さに成膜した。続いて、有機化合物層25まで成膜した基板を、別のスパッタ装置[大阪真空製]へ移動させ、前記有機化合物層25上にインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタ法にて150nm成膜し、透明な発光取り出し陰極電極26を得た。
【0094】
このようにして、基板20上に、陽極電極21、正孔輸送層22、発光層23、電子輸送層24、有機化合物層25、および陰極電極26を設け、発光素子を得た。本実施例において、電子注入層24は、ホールブロッキング層としての機能も兼ね備えている。
【0095】
続いて、この発光素子において、クロムを陽極電極21、ITOを陰極電極26として、直流電圧を印加し、素子の発光特性を調べた。その結果この素子は、印加電圧8Vにて8591cd/m2、電流密度112mA/cm2を示した。また、印加電圧3Vにて、7.4lm/wの発光効率を示した。この時の電圧―輝度特性を図5に示す。
【0096】
この素子の耐久特性を調べたところ、同一の膜厚構成で、従来のバソフェナントロリンを電子輸送層24、有機化合物層25に用いた素子に比して、良好な耐久特性を有することを確認した。これらは、化合物の備えるガラス転移温度の違いに起因すると考えている。またこの時、電圧−輝度や、効率等の発光特性には、大きな差異は無かった。
【0097】
以上のように、本発明の一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩とを含有する有機化合物層は、トップエミッション型素子へも好適に用いることができる。さらに、このトップエミッション型素子は、従来のバソフェナントロリンを用いた素子に比して、同等以上の発光特性、良好な耐久特性を合わせ持つ。その結果、良好な発光特性と高い信頼性を兼ね備えたトップエミッション型素子を提供することが可能となる。
【0098】
【発明の効果】
以上の説明のように、本発明の一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩とを含有する有機化合物層を備えた発光素子は、高輝度、高効率の発光が得られ、耐久性にも優れている。これにより、良好な発光特性と高い信頼性を兼ね備えたボトムエミッション、またはトップエミッションの発光素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の発光素子の積層構造例を示す模式図である。
【図2】本発明の発光素子の積層構造例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例1、比較例1及び比較例2の電圧―輝度特性を示す図である。
【図4】本発明における第2の実施例における発光素子の積層構造例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例2の電圧―輝度特性を示す図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 透明電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電子注入層
7 陰極
10 基板
11 陽極電極
12 正孔輸送層
13 発光層
14 有機化合物層
15 陰極電極
20 基板
21 陽極電極(クロム)
22 正孔輸送層
23 発光層
24 電子輸送層
25 有機化合物層
26 透明電極(ITO)

Claims (17)

  1. 陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された有機化合物層とから少なくとも構成されている発光素子において、前記陰極電極と電気的に接している前記有機化合物層が下記一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物の少なくとも一種とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩とを含有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0003890317
    一般式[I]
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基またはハロゲン原子を表わす。R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同じであっても異なっていてもよい。Ar1およびAr2は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基を表す。Ar1およびAr2は、同じであっても異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式[I]のAr1およびAr2が、置換あるいは無置換のフルオレニル基、置換あるいは無置換のフルオランテニル基または置換あるいは無置換のペリレニル基から選ばれる請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記一般式[I]のAr1およびAr2が、下記一般式[II]で示されるフルオレニル基である請求項1ないし請求項2のいずれか一項に記載の発光素子。
    Figure 0003890317
    一般式[II]
    (式中、R7は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わす。R8およびR9は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、R8およびR9は、同じであっても異なっていてもよい。)
  4. 前記陰極が、可視光に透明であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の発光素子。
  5. 前記陰極が、インジウム錫酸化物(ITO)電極であることを特徴とする請求項に記載の発光素子。
  6. 前記陰極が、金あるいは銀あるいはアルミニウムの少なくともいずれかの電極であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の発光素子。
  7. 前記陰極側から光を取り出すことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の発光素子。
  8. 前記陽極が、光を反射する機能を有する電極であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の発光素子。
  9. 前記陽極が、クロム(Cr)を含む電極であることを特徴とする請求項に記載の発光素子。
  10. 前記陽極が、銀(Ag)を含む電極であることを特徴とする請求項に記載の発光素子。
  11. 前記陽極が反射性電極、前記陰極が透明電極であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の発光素子。
  12. 前記陽極がクロム、前記陰極がインジウム錫酸化物(ITO)からなる電極であることを特徴とする請求項11に記載の発光素子。
  13. 前記陰極電極と電気的に接している有機化合物層と陽極との間に、前記有機化合物層とは別の発光層を有することを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の発光素子。
  14. 前記陰極電極と電気的に接している有機化合物層と発光層の間に別の有機化合物層を有することを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
  15. 前記炭酸塩が炭酸セシウムであることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の発光素子。
  16. 陽極及び陰極とからなる一対の電極と、前記一対の電極間に配置されている発光層と、前記陰極電極と電気的に接している有機化合物層とから少なくとも構成されている発光素子の製造方法であって、
    前記発光層を形成する発光層の形成工程と、
    前記有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程とを有し、
    前記有機化合物層は下記一般式[I]で示されるフェナントロリン化合物の少なくとも一種を含み、
    前記有機化合物層の形成工程は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩が加熱された状態で前記有機化合物層が形成される工程であることを特徴とする発光素子の製造方法。
    Figure 0003890317
    一般式[I]
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基またはハロゲン原子を表わす。R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同じであっても異なっていてもよい。Ar1およびAr2は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基を表す。Ar1およびAr2は、同じであっても異なっていてもよい。)
  17. 前記炭酸塩が炭酸セシウムであることを特徴とする請求項16に記載の発光素子の製造方法。
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