JP3823551B2 - 有機エレクトロルミネセンス素子 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネセンス素子は、電気信号に応じて発光し、かつ発光物質として有機化合物を用いて構成された素子である。
【0003】
有機エレクトロルミネセンス素子は、基本的には有機発光層および該層を挾んだ一対の対向電極より構成されている。発光は電極の一方から電子が注入され、もう一方の電極から正孔が注入されることにより、発光層中の発光体がより高いエネルギー準位に励起され、励起された発光体が元の基底状態に戻る際に、その余分なエネルギーを光として放出する現象である。
【0004】
そして、発光効率を上げるために、上記基本的構成に加え、正孔を注入する電極にはさらに正孔注入層を設けたり、電子を注入する電極には電子輸送層を設けたりする構成が取られている。
【0005】
有機エレクトロルミネセンス素子の例としては、発光体として単結晶アントラセンなどが用いられたものが、米国特許第3530325号公報明細書に記載されている。
また、特開昭59−194393号公報には正孔注入層と有機発光体層を組み合わせたものが提案されている。
特開昭63−295695号公報には、有機質正孔注入輸送層、有機質電子注入輸送層を組み合わせたものが提案されている。
【0006】
これら積層構造の電界発光素子は、有機蛍光体と電荷輸送性の有機物(電荷輸送材)および電極を積層した構造となっており、それぞれの電極より注入された正孔と電子が電荷輸送材中を移動して、それらが再結合することによって発光する。有機蛍光体としては、8−キノリノールアルミニウム錯体やクマリン化合物など蛍光を発する有機色素などが用いられている。また、電荷輸送材としては、例えばN,N’−ジ(m−トリル)N,N’−ジフェニルベンジジンや1,1−ビス[N,N−ジ(p−トリル)アミノフェニル]シクロヘキサンといったジアミン化合物や、4−(N,N−ジフェニル)アミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン化合物等が挙げられる。さらに、銅フタロシアニンのようなポルフィリン化合物も提案されている。
【0007】
ところで、有機エレクトロルミネセンス装置は、高い発光特性を有しているが、発光時の安定性や保存安定性の点で充分ではなく、実用化には至っていない。素子の発光時の安定性、保存安定性における問題点の一つとして、電荷輸送材の安定性が指摘されている。電界発光素子の有機物で形成される層は数十〜数百ナノメーターと非常に薄く、単位厚さ当たりに加えられる電圧は非常に高い。また、発光や通電による発熱もあり、従って、電荷輸送材には電気的、熱的あるいは化学的な安定性が要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、発光強度が大きく、繰り返し使用しても安定した性能を発揮する有機エレクトロルミネセンス素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも陽極、正孔注入輸送層、有機発光層および陰極を設けた有機エレクトロルミネセンス素子において、前記正孔注入輸送層が、一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子:
【化2】
Figure 0003823551
(式中、Arは含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基を有するアリール基を表す;Ar、Ar、Arはそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基または複素環基を表す;R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す)に関する。
【0010】
一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物は発光機能、正孔輸送機能に優れており、本発明は有機エレクトロルミネセンス素子に下記一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を含有することを基本的な特徴にしている。
【0011】
Ar1はフェニル等のアリール基を表し、フェニル基が好ましい。Ar1の置換基である含フッ素アルキル基としては、モノ−、ジ−あるいはトリフルオロメチル等の含フッ素低級アルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基が挙げられる。含フッ素アルコキシ基としては、モノ−、ジ−あるいはトリフルオロメトキシ基、またはモノ−、ジ−あるいはトリフルオロエトキシ基等の含フッ素低級アルコキシ基が挙げられる。好ましくは、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基である。
【0012】
Ar2、Ar3、Ar4はそれぞれ独立して、フェニル基、ビフェニリル基あるいはナフチル等のアリール基またはチエニル基、フリル基、ピリジル基あるいはカルバゾリル基等の複素環基を表す。好ましくは、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチルまたはチエニル基等である。Ar2、Ar3、Ar4の基は、メチル基あるいはエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基等の低級アルコキシ基、モノ−、ジ−あるいはトリフルオロメチル等の含フッ素アルキル基、またはモノ−、ジ−あるいはトリフルオロメトキシ基またはモノ−、ジ−あるいはトリフルオロエトキシ基等の含フッ素アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0013】
より好ましくは、Ar3が上記したようなAr1と同様の含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基を有するアリール基であり、Ar2およびAr4が上記したような、置換基を有してもよい、アリール基または複素環基である場合である。
【0014】
1、R2はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基あるいはエチル基等の低級アルキル基またはメトキシ基あるいはエトキシ基等アルコキシ基を表す。好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基である。より好ましくは水素原子、メチル基である。
【0015】
一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物は、公知の方法で製造することが可能で、例えば、下記一般式(II):
【化3】
Figure 0003823551
(式中、Ar1は一般式(I)と同意義を表す;Xはハロゲン原子を表す)で表されるハロゲン化合物と、下記一般式(III):
【化4】
Figure 0003823551
(式中、Ar2、Ar3、Ar4,R1およびR2は一般式(I)と同意義を表す)で表されるアミノ化合物を反応させることによって製造することができる。
【0016】
また、一般式(IV)で表されるジアミノ化合物:
【化5】
Figure 0003823551
(式中、Ar1、Ar2は一般式(I)と同意義を表す)と下記一般式(V)で表されるハロゲン化合物:
【化6】
Figure 0003823551
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R1、R2、Ar3、Ar4は一般式(I)と同意義を表す)を反応させることによっても製造することができる。
【0017】
反応は、例えば塩基性化合物または遷移金属化合物触媒、溶媒の存在下、Ullmann反応により行うことができる。
【0018】
反応に用いる塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコラートなどが一般的に用いられるが、第4級アンモニウム化合物や脂肪族アミンや芳香族アミンのような有機塩基を用いることも可能である。このなかでアルカリ金属や第4級アンモニウムの炭酸塩や炭酸水素塩が好ましいものとして用いられる。さらに、反応速度および熱安定性という観点からアルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩が最も好ましい。
【0019】
反応に用いる遷移金属または遷移金属化合物としては、例えばCu、Fe、Co、Ni、Cr、V、Pd、Pt、Ag等の金属およびそれらの化合物が用いられるが、収率の点から銅およびパラジウムとそれらの化合物が好ましい。銅化合物としては特に限定はなく、ほとんどの銅化合物が用いられるが、ヨウ化第一銅、塩化第一銅、酸化第一銅、臭化第一銅、シアン化第一銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、水酸化第二銅、酸化第二銅、臭化第二銅、リン酸第二銅、硝酸第一銅、硝酸第二銅、炭酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅などが好ましい。その中でも特にCuCl、CuCl、CuBr、CuBr2、Cul、CuO、Cu2O、CuSO4、Cu(OCOCH32は容易に入手可能である点で好適である。パラジウム化合物としても、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩などを用いることができる。遷移金属およびその化合物の使用量は、反応させるハロゲン化合物の0.5〜500モル%である。
【0020】
反応に用いられる溶媒は、一般的に用いられる溶媒であればよいが、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒が好ましく用いられる。
【0021】
反応は、一般的には常圧下100〜250℃での温度で行われるが、加圧下に行ってももちろん構わない。反応終了後、反応液中に析出した固形物を除去した後、溶媒を除去し、生成物を得ることができる。
【0022】
本発明において使用する一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物としては、具体的には以下のものが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0023】
【化7】
Figure 0003823551
【0024】
【化8】
Figure 0003823551
【0025】
【化9】
Figure 0003823551
【0026】
【化10】
Figure 0003823551
【0027】
【化11】
Figure 0003823551
【0028】
【化12】
Figure 0003823551
【0029】
【化13】
Figure 0003823551
【0030】
【化14】
Figure 0003823551
【0031】
【化15】
Figure 0003823551
【0032】
【化16】
Figure 0003823551
【0033】
【化17】
Figure 0003823551
【0034】
【化18】
Figure 0003823551
【0035】
【化19】
Figure 0003823551
【0036】
【化20】
Figure 0003823551
【0037】
【化21】
Figure 0003823551
【0038】
【化22】
Figure 0003823551
【0039】
【化23】
Figure 0003823551
【0040】
【化24】
Figure 0003823551
【0041】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は電極間に少なくとも有機発光層および所望により正孔注入輸送層や電子注入輸送層等が形成される。
【0042】
図1〜図4に本発明による有機エレクトロルミネセンス素子を模式的に示した。図中、(1)は陽極であり、その上に、正孔注入輸送層(2)と有機発光層(3)および陰極(4)が順次積層された構成をとっており、該有機発光層または正孔注入輸送層に上記一般式(I)で表される化合物を含有する。
【0043】
図2において、(1)は陽極であり、その上に、正孔注入輸送層(2)と有機発光層(3)、電子注入輸送層(5)および陰極(4)が順次積層された構成をとっており、該正孔注入輸送層または有機発光層に上記一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を含有する。
【0044】
図3において、(1)は陽極であり、その上に、有機発光層(3)と電子注入輸送層(5)および陰極(4)が順次積層された構成をとっており、該有機発光層に上記一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を含有する。
【0045】
図4において、(1)は陽極であり、その上に、有機発光層(3)および陰極(4)が順次積層された構成をとっており、該有機発光層に有機発光材料(6)と電荷輸送材料(7)が含ま れており、該電荷輸送材料または発光材料に上記一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を使用する。
【0046】
上記構成の有機エレクトロルミネセンス素子は陽極(1)と陰極(4)がリード線(8)により接続され、陽極(1)と陰極(2)との間に電圧を印加することにより有機発光層(3)が発光する。
【0047】
有機エレクトロルミネセンス装置の陽極(1)として使用される導電性物質としては、4eVよりも大きい仕事関数をもつものがよく、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、タングステン、銀、錫、金などおよびそれらの合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、亜鉛ジルコニウムなどの導電性金属化合物が用いられている。
【0048】
陰極(4)を形成する金属としては4eVよりも小さい仕事関数を持つものがよく、マグネシウム、カルシウム、チタニウム、イットリウムリチウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ルテニウム、マンガンおよびそれらの合金が用いられる。
【0049】
有機エレクトロルミネセンス素子においては、発光が見られるように、少なくとも陽極(1)あるいは陰極(4)は透明電極にする必要がある。この際、陰極に透明電極を使用すると、透明性が損なわれやすいので、陽極を透明電極にすることが好ましい。
【0050】
透明電極を形成する場合、透明基板上に、上記したような導電性物質を用い、蒸着、スパッタリング等の手段やゾルゲル法あるいは樹脂等に分散させて塗布する等の手段を用いて所望の透光性と導電性が確保されるように形成すればよい。
【0051】
透明電極としては適度の強度を有し、有機エレクトロルミネセンス装置作製時、蒸着等による熱に悪影響を受けず、透明なものであれば特に限定されないが、係るものを例示すると、ガラス基板、透明な樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等を使用することも可能である。ガラス基板上に透明電極が形成されたものとしてはITO、NESA等の市販品が知られているが、これらを使用してもよい。
【0052】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の一例として図1の構成において一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を正孔注入輸送層に用いた場合を説明する。
【0053】
まず、上記した陽極(1)上に正孔注入輸送層(2)を形成する。正孔注入輸送層(2)は、前記した一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を蒸着して形成していてもよいし、該一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を溶解した溶液や適当な樹脂とともに溶解した液をディップコートやスピンコートして形成してもよい。
【0054】
蒸着法で形成する場合、その厚さは、通常1〜500nmであり、塗布法で形成する場合は、5〜1000nm程度に形成すればよい。形成する膜厚が厚いほど発光させるための印加電圧を高くする必要があり、発光効率が悪く、有機エレクトロルミネセンス素子の劣化を招きやすい。また、膜厚が薄くなると発光効率はよくなるが、ブレイクダウンしやすくなり有機エレクトロルミネセンス素子の寿命が短くなる。
【0055】
有機発光層(3)に用いられる有機発光体としては、公知のものを使用可能で、例えばエピドリジン、2,5−ビス[5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,2’−(1,4−フェニレンジビニレン)ビスベンゾチアゾール、2,2’−(4,4’−ビフェニレン)ビスベンゾチアゾール、5−メチル−2−{2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル」ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ペリノン、1,4−ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、2−(4−ビフェニル)−6−フェニルベンゾオキサゾール、アルミニウムトリスオキシン、マグネシウムビスオキシン、ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラールト)アルミニウムオキサイド、インジウムトリスオキシン、アルミニウムトリス(5−メチルオキシン)、リチウムオキシン、ガリウムトリスオキシン、カルシウムビス(5−クロロオキシン)、ポリ亜鉛−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリノリル)メタン、ジリチウムエピンドリジオン、亜鉛ビスオキシン、1,2−フタロペリノン、1,2−ナフタロペリノンなどを挙げることができる。
【0056】
また、一般的な蛍光染料、例えば蛍光クマリン染料、蛍光ペリレン染料、蛍光ピラン染料、蛍光チオピラン染料、蛍光ポリメチン染料、蛍光メシアニン染料、蛍光イミダゾール染料等も使用できる。このうち、特に、好ましいものとしては、キレート化オキシノイド化合物が挙げられる。
【0057】
有機発光層は上記した発光物質の単層構成でもよいし、発光の色、発光の強度等の特性を調整するために、多層構成としてもよい。また、2種以上の発光物質を混合したり発光層にドープしてもよい。
【0058】
有機発光層(3)は、上記のような発光物質を蒸着して形成してもよいし、該発光物質を溶解した溶液や適当な樹脂とともに、溶解した液をディップコートやスピンコートして形成してもよい。また、一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を発光物質として用いてもよい。
【0059】
蒸着法で形成する場合、その厚さは、通常1〜500nmであり、塗布法で形成する場合は、5〜1000nm程度に形成すればよい。形成する膜厚が厚いほど発光させるための印加電圧を高くする必要があり、発光効率が悪く、有機エレクトロルミネセンス素子の劣化を招きやすい。また、膜厚が薄くなると発光効率はよくなるが、ブレイクダウンしやすくなり、有機エレクトロルミネセンス素子の寿命が短くなる。
【0060】
次に、有機発光層の上に、前記した陰極を形成する。
【0061】
以上、陽極(1)上に正孔注入輸送層(2)、発光層(3)および陰極(4)を順次積層して有機エレクトロルミネセンス装置を形成する場合について説明したが、陰極(4)上に発光層(3)、正孔注入輸送層(2)および陽極(1)を順次積層したり、陽極(1)上に正孔注入輸送層(2)、発光層(3)、電子注入輸送層(5)および陰極(4)を順次積層したり(図2)、陰極(4)上に電子注入輸送層(5)、発光層(3)および陽極(1)を順次積層したりしても(図3)もちろん構わない。正孔注入輸送層は、正孔注入機能と正孔輸送機能を分離して、正孔注入層と正孔輸送層の2層構成としても良い。その際には、本発明の一般式(I)で表されるベンジジン化合物を正孔輸送層に用いることができる。電子注入輸送層も、電子注入機能と電子輸送機能を分離して、電子注入層と電子輸送層の2層構成としても良い。また、陽極上には正孔の注入性を改善する目的でバッファー層を形成してもよい。
【0062】
バッファー層形成に用いられる物質は銅フタロシアニン、ポリアニリン等であり、厚さ0.1〜20nm程度に形成される。
【0063】
陰極と陽極の1組の透明電極は、各電極にニクロム線、金線、銅線、白金線等の適当なリード線(8)を接続し、有機エレクトロルミネセンス装置は両電極に適当な電圧(Vs)を印加することにより発光する。
【0064】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、各種の表示装置、あるいはディスプレイ装置等に適用可能である。
【0065】
以下に実施例を記載し、本発明を説明する。
【0066】
実施例1
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上にバッファー層として銅フタロシアニンを真空蒸着法により厚さ15nmの薄膜を形成した。
次に、正孔注入輸送層として含フッ素ベンジジン化合物(3)を蒸着により厚さ50nmの薄膜を形成した。
次に、有機発光層としてアルミニウムトリスオキシンを蒸着により65nmの厚さになるように薄膜を形成した。
最後に、陰極としてマグネシウムを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス装置を作製した。
【0067】
実施例2〜4
実施例1において、含フッ素ベンジジン化合物(3)を使用する代わりに、化合物(8)、(10)、(11)に代えること以外は実施例1と全く同様にして有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0068】
実施例5
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上にバッファー層として4,4’,4”−トリス[N,N’,N”−トリフェニル−N,N’,N”−トリス(3−メチルフェニル)]トリフェニルアミンを真空蒸着法により厚さ10nmの薄膜を形成した。
次に、正孔注入輸送層として含フッ素ベンジジン化合物(12)を真空蒸着法により厚さ50nmの薄膜を形成した。
次に、有機発光層としてアルミニウムトリスオキシンを蒸着により60nmの厚さになるように薄膜を形成した。
最後に、陰極としてマグネシウムを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0069】
実施例6〜8
実施例5において、含フッ素ベンジジン化合物(12)を使用する代わりに、化合物(14)、(18)、(25)に代えること以外は実施例5と全く同様にして有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0070】
実施例9
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上に正孔注入層として4,4’,4”−トリス[N,N’,N”−トリフェニル−N,N’,N”−トリス(3−メチルフェニル)]トリフェニルアミンを真空蒸着法により厚さ10nmの薄膜を形成した。
正孔輸送層として含フッ素ベンジジン化合物(29)を蒸着により厚さ30nmの薄膜を形成した。
次に、有機発光層として含フッ素ベンジジン化合物(29)にルブレンを5重量%ドープした層を共蒸着により20nm形成した。
次に、有機電子注入輸送層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体を蒸着により60nmの厚さになるように薄膜を形成した。
次に、陰極として10:1の原子比のMgおよびAgを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0071】
実施例10
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上に銅フタロシアニンを真空蒸着して、膜厚10nmのバッファー層を得た。さらに、含フッ素ベンジジン化合物(30)を真空蒸着して、膜厚40nmの正孔注入輸送層を得た。
次に、有機発光層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体にルブレンを5重量%ドープした層を共蒸着により50nmの厚さになるように薄膜を形成した。
次に、陰極として10:1の原子比のMgおよびAgを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0072】
実施例11〜12
実施例5において、含フッ素ベンジジン化合物(30)を使用する代わりに、化合物(31)、(38)に代えること以外は実施例5と全く同様にして有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0073】
実施例13
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上にポリアニリンをジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をスピンコーティングにより膜厚10nmのバッファー層を得た。
次に、含フッ素ベンジジン化合物(41)をジクロルメタンに溶解させ、スピンコーティングにより膜厚50nmの正孔注入輸送層を得た。さらに、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体にキナクリドンを5重量%ドープした層を共蒸着により60nmの厚さになるように発光層を形成した。
次に、陰極として10:1の原子比のMgおよびAgを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0074】
実施例14〜15
実施例12において、化合物(41)を使用する代わりに、化合物(49)、(55)に代えること以外は実施例1と同様にして有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0075】
実施例16
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上に含フッ素ベンジジン化合物(62)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体、ポリメチルメタクリレートを3:2:5の比率でテトラヒドロフランに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚100nmの発光層を得た。
次に、陰極として10:1の原子比のMgおよびAgを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0076】
比較例1
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上にバッファー層として銅フタロシアニンを真空蒸着法により厚さ15nmの薄膜を形成した。
次に、正孔注入輸送層としてベンジジン化合物(A)を蒸着により厚さ50nmの薄膜を形成した。
【化25】
Figure 0003823551
次に、有機発光層としてアルミニウムトリスオキシンを蒸着により65nmの厚さになるように薄膜を形成した。
最後に、陰極としてマグネシウムを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0077】
比較例2
インジウムスズ酸化物被覆ガラスの基板上にバッファー層として銅フタロシアニンを真空蒸着法により厚さ15nmの薄膜を形成した。
次に、正孔注入輸送層としてベンジジン化合物(B)を蒸着により厚さ50nmの薄膜を形成した。
【化26】
Figure 0003823551
次に、有機発光層としてアルミニウムトリスオキシンを蒸着により65nmの厚さになるように薄膜を形成した。
最後に、陰極としてマグネシウムを蒸着により200nmの厚さになるように薄膜を形成した。
このようにして、有機エレクトロルミネセンス素子を作製した。
【0078】
評価
実施例1〜16および比較例1〜2で得られた有機エレクトロルミネセンス素子を、そのガラス電極を陽極として、直流電圧を徐々に電圧に印加した時に発光を開始する電圧(V)および10Vの直流電圧をかけた時の発光輝度(cd/m2)を測定した。
また、5mA/cm2の電流密度で5時間作動させた時の初期出力の維持率(%)(5時間後の出力(mW/cm2)/初期出力(mW/cm2)×100)を求めた。
測定結果を表1にまとめて示す。
【0079】
【表1】
Figure 0003823551
【0080】
表1から分かるように、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は低電位で発光を開始し、良好な発光輝度を示した。
また、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は出力低下が少なく、寿命の長い安定な発光を観測することができた。
【0081】
一般式(I)で表される特定の化合物はイオン化ポテンシャルが一般的に正孔輸送材料よりも大きいが、ホール輸送能が大きいため、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は安定して長時間の発光が可能であると考えられる。また、一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を有機発光体として用いた場合には、一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物自体の発光体としての機能と熱的安定性が寄与しているものと考えられる。
【0082】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は発光効率、発光輝度の向上と長寿命化を達成するものであり、併せて使用される発光物質、発光補助材料、電荷輸送材料、増感剤、樹脂、電極材料等および素子作製方法に限定されるものではない。
【0083】
【発明の効果】
本発明により、有機エレクトロルミネセンス素子に一般式(I)で表される特定の化合物を含有させると、発光強度が大きく発光寿命が長い耐久性に優れた有機エレクトロルミネセンス素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の一構成例の概略断面図。
【図2】 本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の一構成例の概略断面図。
【図3】 本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の一構成例の概略断面図。
【図4】 本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の一構成例の概略断面図。
【符号の説明】
1:陽極、2:正孔注入輸送層、3:有機発光層、4:陰極、5:電子注入輸送層、6:有機発光材料、7:電荷輸送材料、8:リード線

Claims (5)

  1. 少なくとも陽極、正孔注入輸送層、有機発光層および陰極を設けた有機エレクトロルミネセンス素子において、前記正孔注入輸送層が、一般式(I)で表される含フッ素ベンジジン化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子:
    Figure 0003823551
    (式中、Arは含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基を有するアリール基を表す;Ar、Ar、Arはそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基または複素環基を表す;R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す)。
  2. 前記陽極と、前記正孔注入輸送層との間に、バッファー層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  3. 前記一般式(I)中、Ar が、含フッ素アルコキシ基を有するアリール基であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  4. 前記一般式(I)中、R およびR が、水素原子であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  5. 前記一般式(I)中、Ar が、含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基を2位に有するアリール基であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
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