JP3888219B2 - 住宅情報盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅情報盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、マンション等の集合住宅には、共同玄関に設置されるロビーインターホン並びに各住戸の玄関戸外に設置されるドアホンと、各住戸内に設置される住宅情報盤との間で通話を行う住宅情報盤システムが設置されるようになっている。図5は従来の住宅情報盤システムの一例を概略的に示すシステム構成図である。
【0003】
この住宅情報盤システムは、共同玄関に設置されるロビーインターホン102と、管理人室等に設けられる警報監視盤103と、各住戸に設置される住宅情報盤100…と、各住戸の玄関戸外に設置されるドアホン101…とを備える。ロビーインターホン102と警報監視盤103との間、ロビーインターホン102と住宅情報盤100…の各々との間は信号線を介して接続されており、ロビーインターホン102、警報監視盤103、ロビーインターホン102及び住宅情報盤100……の各々との間で信号の伝送が可能となっている。
【0004】
また、各住戸の玄関戸外に設けられる各ドアホン101…は、対応する住戸内の各住宅情報盤100…と信号線を介して接続されている。ロビーインターホン102は、テンキー等の外部入力手段102aや、マイク102bや、スピーカ102cや、呼出ボタン102d等を備える。
【0005】
そして、来訪者が、ロビーインターホン102に設けられた外部入力手段102aから、訪問先の住戸の住戸番号を入力し、呼出釦102dを押操作すると、入力された住戸番号の住戸内に設置されている住宅情報盤100…から呼出音が発せられ、当該住戸の在宅者が呼出音に応答して住宅情報盤100…の応答釦を押操作した場合には、ロビーインターホン102のマイク102bやスピーカ102cと、住宅情報盤100…が具備するマイクやスピーカとにより、来訪者と在宅者とが通話できるようになっている。
【0006】
また、警報監視盤103は、テンキー等の外部入力手段103aや、ハンドセット103bや、警報発令手段(図示せず)や、各住戸に設けられた火災感知器等の各種セキュリティセンサ(図示せず)の状態を監視する監視手段(図示せず)等を備える。そして、管理人等が警報監視盤103に設けられた外部入力手段103aから、何れかの住宅番号を入力すると、この住戸番号の住戸内に設置された住宅情報盤100…から呼出音が発せられ、当該住戸の在宅者が呼出音に応答して住宅情報盤100…の応答釦を押操作した場合には、警報監視盤103のハンドセット103bと、住宅情報盤100…が具備するマイクやスピーカとにより、管理人等と在宅者とが通話できるようになっている。
【0007】
また、各住宅情報盤100…は、マイク並びにスピーカ、警報釦等を備えている。そして、各住宅情報盤100…に設けられたテンキー等の外部入力手段(図示せず)から、例えば、警報監視盤103の住戸番号を入力すると、警報監視盤103から呼出音が発せられ、管理人等が呼出音に応答して警報監視盤103のハンドセット103bを取った場合には、住宅情報盤100…のマイクならびにスピーカと、警報監視盤103のハンドセット103bとにより、在宅者と管理人等とが通話できるようになっている。
【0008】
また、ドアホン101は、呼出釦101aや、マイク101bや、スピーカ101c等を備える。そして、来訪者が、ドアホン101の呼出釦101aを押操作した場合には、その住戸内の住宅情報盤100…から呼出音が発せられ、在宅者が呼出音に応答して住宅情報盤100…の応答釦を押操作した場合には、ドアホン101のマイク101bならびにスピーカ101cと、住宅情報盤100…のマイク並びにスピーカとにより、来訪者と在宅者とが通話できるようになっている。
【0009】
ところで、住宅情報盤100では住戸内に設けられた1乃至複数の火災感知器の発報を監視しており、何れかの火災感知器の発報を検出したときには、警報音や予め記憶している音声メッセージ(警報メッセージ)を出力するなどして最初に住戸内の在宅者に火災感知器が作動したことを報知した後、信号線を介して警報監視盤103に対して火災感知器が作動したことを示す信号(火災感知器作動信号)を出力する。
【0010】
また、住宅情報盤100は、火災感知器作動信号を出力した後、在宅者が所定の火災確定操作を行ったとき、あるいは火災感知器作動信号を出力した後、所定時間内に在宅者が所定の復旧操作を行わなかったときには、警報監視盤103に信号線を介して火災確定信号を出力する。この場合、火災の発生した住戸では、予めそれぞれの住宅情報盤100に記憶させた音声メッセージを出力して警報が行われる。
【0011】
一方、警報監視盤103は、いずれかの住戸から信号線を介して火災感知器作動信号を受信したときには、火災感知器作動信号に付加されたアドレスを識別して当該信号を出力した住戸を特定し、火災感知器作動信号を出力した住宅情報盤100が設置された住戸番号を表示部に表示し、予告警報を同時に出力することによって管理人等にその旨を知らせる。
【0012】
また、住宅情報盤100が更に火災確定信号を出力すると、警報監視盤103では信号線を通じてこの火災確定信号を受信するので、火災確定信号を出力した住宅情報盤100の設置された近隣住戸の住宅情報盤100を指定して、信号線を通じて警報制御信号を出力し、近隣住戸(火災確定信号を出力した住宅情報盤100が設置された住戸と同一階、あるいは、直上階の住戸)に設置された住宅情報盤100からは、例えば、「火事です。火事です。火災が発生しました。安全を確認の上避難して下さい。」といった、音声メッセージを住宅情報盤100のスピーカを通じて出力させることができる。
【0013】
ところで、上述のような音声メッセージや呼出音あるいは警報音をスピーカから出力させるに当たり、従来はCPUから音声ICにコマンドを与えて音声ICによって音声メッセージや呼出音あるいは警報音を出力させる構成であった。しかしながら、この従来構成では、CPUによって音声ICの動作状態を監視することができず、呼出音と警報音との出力のタイミングをCPUで制御しようとしても音声ICの動作状態とCPUからのコマンド送出とにタイムラグが生じて呼出音と警報音とが重畳してしまう虞があった。
【0014】
これに対して本出願人は、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)で構成される音声信号処理部で音声に関する信号処理を行い、CPUを主構成要素とする主制御部では主に音声以外の信号処理と信号処理演算部の制御を行う構成とし、信号処理演算部を構成するDSP内部の時間管理に基づいたソフトウェア処理によって呼出音や警報音を出力する際のタイムラグをほぼゼロとすることで上述のような呼出音と警報音の重畳を回避可能とした住宅情報盤を既に提案している(特願2001−165636参照)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、DSPからなる信号処理演算部とCPUを主構成要素とする主制御部とを備えた上記構成においては、DSPを信号処理演算部として機能させるプログラムや信号処理演算部の動作に関連する各種のパラメータ等のデータを格納するためのメモリと、CPUで実行するプログラムや主制御部の動作に関連する各種のパラメータ等のデータを格納するためのメモリとがそれぞれ必要となってコストが上昇してしまう。これに対して信号処理演算部と主制御部とで1つのメモリを共用することで使用するメモリの個数を減らすことが考えられるが、この場合に信号処理演算部及び主制御部がそれぞれ個別にメモリにアクセスするとすれば、アドレスバスやデータバスが各々個別に必要となって回路規模が大幅に増大し、また、チップセレクトの構成が複雑になるなどの問題が生じてしまう。
【0016】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的は、回路規模を増大させたり回路構成を複雑にすることなく、メモリ部の個数を減らしてコストダウンが図れる住宅情報盤を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、集合住宅の各住戸に設置され、少なくとも集合住宅の共同玄関に設置されるロビーインターホン並びに各住戸の玄関戸外に設置されるドアホンとの間で通話を行うとともに、住戸内に設置されるセキュリティセンサの出力を検出して警報音を発する住宅情報盤において、デジタル・シグナル・プロセッサで構成され、音声に関する信号処理を行う信号処理演算部と、主に音声以外の信号処理を行うとともに信号処理演算部の制御を行う主制御部と、信号処理演算部に接続されるフラッシュROMからなるメモリ部と、マイク部及びスピーカ部と、信号処理演算部との間で音声に関する信号の入出力処理を行う入出力ブロックとを備え、信号処理演算部は、主制御部からの要求に応じてメモリ部にアクセスし主制御部から与えられるデータをメモリ部に格納するとともにメモリ部から読み出したデータを主制御部に受け渡すメモリアクセス手段を具備し、入出力ブロックは、ロビーインターホン若しくはドアホンからの呼出音と警報音を時間的に区切られた連続する複数の期間で交互に信号処理演算部に出力し、メモリ部には、圧縮された複数の音声メッセージデータ並びにメロディ音データ、主制御部の制御動作に関する設定データが格納され、メモリ部から読み出した音声メッセージデータを伸長する音声メッセージ伸長部と、メモリ部から読み出したメロディ音データを伸長するメロディ音伸長部とが信号処理演算部に設けられたことを特徴とし、主制御部が必要とするデータを信号処理演算部に接続されたメモリ部に格納することで主制御部に専用のメモリを設ける必要が無くなり、メモリ部の個数を減らしてコストダウンが図れる。また、主制御部から信号処理演算部に接続されたメモリ部に直接アクセスする構成に比較して回路構成の簡素化が図れる。
【0018】
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、集合住宅の各住戸に設置され、少なくとも集合住宅の共同玄関に設置されるロビーインターホン並びに各住戸の玄関戸外に設置されるドアホンとの間で通話を行うとともに、住戸内に設置されるセキュリティセンサの出力を検出して警報音を発する住宅情報盤において、デジタル・シグナル・プロセッサで構成され、音声に関する信号処理を行う信号処理演算部と、主に音声以外の信号処理を行うとともに信号処理演算部の制御を行う主制御部と、主制御部に接続されるEEPROMからなるメモリ部と、マイク部及びスピーカ部と、信号処理演算部との間で音声に関する信号の入出力処理を行う入出力ブロックとを備え、主制御部は、信号処理演算部からの要求に応じてメモリ部にアクセスし信号処理演算部から与えられるデータをメモリ部に格納するとともにメモリ部から読み出したデータを信号処理演算部に受け渡すメモリアクセス手段を具備し、入出力ブロックは、ロビーインターホン若しくはドアホンからの呼出音と警報音を時間的に区切られた連続する複数の期間で交互に信号処理演算部に出力し、メモリ部には、主制御部用の設定データ、信号処理演算部を構成するデジタル・シグナル・プロセッサのプログラム並びに設定データが格納されることを特徴とし、信号処理演算部が必要とするデータを主制御部に接続されたメモリ部に格納することで信号処理演算部に専用のメモリを設ける必要が無くなり、メモリ部の個数を減らしてコストダウンが図れる。また、信号処理演算部から主制御部に接続されたメモリ部に直接アクセスする構成に比較して回路構成の簡素化が図れる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は本実施形態の住宅情報盤における要部の構成を示したブロック図である。本実施形態の住宅情報盤は、信号処理演算部10との間で音声に関する信号(通話信号及び音声信号)の入出力処理を行う入出力ブロックBと、CPUを主構成要素とする主制御部1と、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)で構成される信号処理演算部10と、信号処理演算部10で取り扱う各種のデータ並びに主制御部1の制御動作に関する設定データ(パラメータ)を格納する不揮発性のメモリ部30とを備える。但し、従来例で説明した火災感知器等のセキュリティセンサを監視する手段、呼出信号や火災信号などの制御信号を信号線を介して伝送する伝送手段等については本発明の要旨ではなく、且つその構成は従来周知であるから図示並びに説明を省略する。
【0021】
入出力ブロックBは、マイク部40及びスピーカ部41と、マイク部40で集音されたアナログの通話信号をデジタルの通話信号に変換する第1のA/D変換手段たる第1A/D変換部42と、信号処理演算部10から出力されるデジタルの通話信号をアナログの通話信号に変換してスピーカ部41に出力する第1のD/A変換手段たる第1D/A変換部43と、信号処理演算部10から出力されるデジタルの音声信号(呼出音,警報音,音声メッセージ等の信号を指す。以下同じ)をアナログ信号に変換してスピーカ部41に出力する第2のD/A変換手段たる第2D/A変換部44と、信号処理演算部10から出力されるデジタルの通話信号をアナログの通話信号に変換する第3のD/A変換手段たる第3D/A変換部45と、信号処理演算部10から出力されるデジタルの音声信号をアナログの音声信号に変換する第4のD/A変換手段たる第4D/A変換部46と、ロビーインターホン、ドアホン又は警報監視盤からのアナログの通話信号をデジタルの通話信号に変換する第2のA/D変換手段たる第2A/D変換部47とを有する。ここで、例えば第1D/A変換部43及び第1A/D変換部42と第2A/D変換部47及び第3D/A変換部45とを1チップのCODEC回路で実現し、第2及び第4D/A変換部44,46を1チップの16ビットD/A変換回路で実現することも可能である。
【0022】
また、入出力ブロックBは、第1A/D変換部42から出力されるデジタルの通話信号と第2A/D変換部47から出力されるデジタルの通話信号を多重(時分割多重)化し、その多重化データTAを信号処理演算部10に出力するデジタル信号多重部48と、信号処理演算部10から出力される多重化データTBを通話信号と音声信号に分割して第1及び第3D/A変換部43,45に通話信号を出力するとともに第2及び第4D/A変換部44,46に音声信号を出力するデジタル信号分割部49と、第1D/A変換部43から出力されるアナログの通話信号と第2D/A変換部44から出力されるアナログの音声信号を多重化してスピーカ部41に出力するアナログ信号多重部50と、第2D/A変換部44からアナログ信号多重部50に出力されるアナログの音声信号を複数段階に設定される所定音量となるように減衰させる音声信号減衰手段たる音声信号減衰部54と、2線−4線変換を行う2線4線変換部51と、2線4線変換部51を介して第3D/A変換部45から出力されたアナログの通話信号又は第2D/A変換部44から出力されたアナログの音声信号と第4D/A変換部46から出力されたアナログの音声信号を多重化するアナログ信号多重部52と、アナログ信号多重部52から出力される多重化されたアナログ信号を信号線(図示せず)に送出してロビーインターホン,ドアホン又は警報監視盤に伝送するとともに信号線を介してロビーインターホン,ドアホン又は警報監視盤から伝送されたアナログ信号を取り込む外部インタフェース(I/F)部53とを有する。なお、外部I/F部53で取り込まれたアナログ信号(アナログの通話信号)はアナログ信号多重部52をスルーし、2線4線変換部51を経て第2A/D変換部47においてデジタルの通話信号に変換される。
【0023】
ここで、デジタル信号多重部48では、図2に示すようにクロック回路(図示せず)から出力する基準タイミング信号Tr(例えば、周期125μsec、オンデューティ比50%の方形パルス信号)の立ち上がりに同期し且つオン幅の2分の1の期間(以下、「第1データ期間」と呼ぶ)DT1に第1A/D変換部42から出力されるデジタルの通話信号(住宅情報盤からロビーインターホン等の通話相手機器に送る送話信号)X1を信号処理演算部10に出力し、基準タイミング信号Trの立ち下がりに同期し且つオフ幅の2分の1の期間(以下、「第3データ期間」と呼ぶ)DT3に第2A/D変換部47から出力されるデジタルの通話信号(通話相手機器から送られてきた受話信号)Y1を信号処理演算部10に出力する。すなわち、多重化データTAは図2(b)に示すように基準タイミング信号Trの立ち上がり及び立ち下がりに同期した第1及び第3データ期間DT1,DT3にそれぞれデジタルの通話信号X1,Y1が配置される。
【0024】
一方、信号処理演算部10は、DSPのハードウェアを専用のソフトウェアで制御することによって通話制御部11、入力制御部12、出力制御部13、呼出音生成部14、警報音生成部15、音声メッセージ伸長部16、メロディ音伸長部17、タイマ制御部18、動作制御部19、設定データ制御部20などの各部機能を実現している。通話制御部11は、エコーキャンセラや音声スイッチなどの機能を有し、入力制御部12で分割された通話信号(送話信号)X1と通話信号(受話信号)Y1に各種のデジタル処理(通話処理)を施して出力制御部13に出力し、マイク部40及びスピーカ部41を使ってロビーインターホン、ドアホン又は警報監視盤との間で拡声通話を可能とするものである。但し、このような機能を有する通話制御部11は従来周知であり、また本発明の要旨ではないので詳細な説明は省略する。
【0025】
呼出音生成部14は予め用意された複数の呼出音の中から適宜選択して生成したデジタルの呼出音を出力制御部13に出力する。なお、呼出音生成部14で生成可能な呼出音はメロディを有しない比較的に単純な音の組み合わせからなる。同じく、警報音生成部15は予め用意された複数の警報音の中から適宜選択して生成したデジタルの警報音を出力制御部13に出力する。なお、警報音生成部15で生成可能な警報音も呼出音と同様にメロディを有しない比較的に単純な音の組み合わせからなる。
【0026】
音声メッセージ伸長部16は、メモリ部30に圧縮して格納された複数の音声メッセージデータの中から適宜選択して読み出した音声メッセージデータを伸長して出力制御部13に出力する。同じく、メロディ音伸長部17はメモリ部30に圧縮して格納された複数のメロディ音データの中から適宜選択して読み出したメロディ音データを伸長して出力制御部13に出力する。なお、メロディ音伸長部17で伸長されたメロディ音データは呼出音として使用される。
【0027】
出力制御部13は、通話中においては通話制御部11で通話処理が施された通話信号(送話信号X2及び受話信号Y2)に呼出音(メロディ音も含む)や警報音あるいは音声メッセージ等の音声信号Z1,Z2を多重化して出力する。すなわち、出力制御部13では、図2(c)に示すように基準タイミング信号Trの立ち上がりに同期し且つオン幅の2分の1の第1データ期間DT1に通話相手機器に伝送する音声信号(呼出音(リングバックトーン)や警報音あるいは音声メッセージ等)Z1をデジタル信号分割部49に出力し、第1データ期間DT1の終了時点から基準タイミング信号Trの立ち下がりまでの期間(以下、「第2データ期間」と呼ぶ)DT2に通話制御部11から出力された送話信号X2をデジタル信号分割部49に出力し、第2データ期間DT2に続く第3データ期間DT3にスピーカ部41から出力される音声信号(呼出音や警報音あるいは音声メッセージ等)Z2をデジタル信号分割部49に出力し、さらに第3データ期間DT3の終了時点から基準タイミング信号Trの立ち上がりまでの期間(以下、「第4データ期間」と呼ぶ)DT4に通話制御部11から出力された受話信号Y2をデジタル信号分割部49に出力する。一方、デジタル信号分割部49は基準タイミング信号Trに同期して、第1データ期間DT1に入力された音声信号Z1を第4D/A変換部46に出力し、第2データ期間DT2に入力された送話信号X2を第3D/A変換部45に出力し、第3データ期間DT3に入力された音声信号Z2を第2D/A変換部44に出力し、さらに第4データ期間DT4に入力された受話信号Y2を第1D/A変換部43に出力する(図1参照)。なお、通話中以外では第1〜第4データ期間DT1〜DT4にそれぞれ任意の音声信号を出力制御部13からデジタル信号分割部49に出力し得るものである。
【0028】
タイマ制御部18は、基準タイミング信号Trをカウントすることで後述する通話切断時間等の種々の時間をカウントするものである。ここで、信号処理演算部10を構成するDSPでは基準タイミング信号Trに同期して内部で発生させた割込信号に基づいて各種の処理を実行しており、基準タイミング信号Trの同期ずれが通話音声の品質に大きく影響することから同期ずれが殆ど生じないクロック回路を用いて基準タイミング信号Trを生成している。よって、同期ずれが殆ど生じない基準タイミング信号Trをカウントするタイマ制御部18では正確な時間のカウントが可能である。
【0029】
DSP動作制御部19は、主制御部1との間のデータ伝送機能を有し、独自にあるいは主制御部1から伝送されるコマンドデータに応じて他の各部を制御するものであって、例えば、呼出音生成部14が生成する呼出音の選択や警報音生成部15が生成する警報音の選択、音声メッセージ伸長部16で伸長する音声メッセージデータの選択やメロディ音伸長部17で伸長するメロディ音データの選択等を決定して指示する。一例として、主制御部1が火災感知器の発報を検出して火災警報を発生させるためのコマンドデータを伝送した場合、DSP動作制御部19は当該コマンドデータに従って警報音生成部15に生成させた火災警報用の警報音や音声メッセージ伸長部16に伸長させた火災警報用の音声メッセージをスピーカ部41及び外付けの増設スピーカ部70(必要に応じて外部I/F部53を介してロビーインターホンやドアホンのスピーカ)から出力させるように各部を制御する。
【0030】
次に、通話信号及び音声信号の伝送経路に着目して本実施形態の基本動作を説明する。
【0031】
まず、住宅情報盤のマイク部40から出力される送話信号は、第1A/D変換部42でデジタルの送話信号X1に変換され、デジタル信号多重部48にて通話相手機器(ロビーインターホンやドアホン)からの受話信号Y1と多重化されて信号処理演算部10の入力制御部12に入力され、さらに通話制御部11で通話処理された後に出力制御部13からデジタル信号分割部49に出力され、第3D/A変換部45でアナログの送話信号に変換されて2線4線変換部51、アナログ信号多重部52を経て外部I/F部53から信号線に送出されて通話相手機器のスピーカから出力される。
【0032】
反対に、通話相手機器から信号線を介して伝送されて外部I/F部53にて取り込まれた受話信号は、アナログ信号多重部52並びに2線4線変換部51を経て第2A/D変換部47でデジタルの受話信号Y1に変換され、デジタル信号多重部48にてマイク部41からの送話信号X1と多重化されて信号処理演算部10の入力制御部12に入力され、さらに通話制御部11で通話処理された後に出力制御部13からデジタル信号分割部49に出力され、第1D/A変換部43でアナログの受話信号に変換されてアナログ信号多重部50を経てスピーカ部41から出力される。
【0033】
また、信号処理演算部10で生成される呼出音,警報音並びに音声メッセージ等の音声信号の内でスピーカ部41から出力されるべき音声信号Z2は、出力制御部13からデジタル信号分割部49に出力され、第2D/A変換部44でアナログの音声信号に変換された後、アナログ信号多重部50を経てスピーカ部41から出力される。
【0034】
同じく、信号処理演算部10で生成される呼出音,警報音並びに音声メッセージ等の音声信号の内で通話相手機器のスピーカから出力されるべき音声信号Z1は、出力制御部13からデジタル信号分割部49に出力され、第4D/A変換部46でアナログの音声信号に変換された後、アナログ信号多重部52を経て外部I/F部53から信号線に送出されて通話相手機器のスピーカから出力される。
【0035】
ここで、従来技術で説明したような火災感知器の発報の検出とロビーインターホンやドアホンなどからの呼出とが同時に発生する状況が起こった場合を想定する。この場合、信号処理演算部10の出力制御部13は、図3に示すように第1及び第3データ期間DT1,DT3に警報音(火災警報音)を出力するとともに第2及び第4データ期間DT2,DT4に呼出音(例えば、ロビーインターホンからの呼出音)を出力するから、警報音と呼出音が重畳することを防いで警報音を確実に聞かせることができる。なお、従来では主制御部1を構成するCPUから音声ICにコマンドを与えて呼出音並びに警報音を出力させる構成が採用されていたが、この従来構成ではCPUで音声ICの動作状態を監視することができず、呼出音と警報音との出力のタイミングをCPUで制御しようとしても音声ICの動作状態とCPUからのコマンド送出とにタイムラグが生じて呼出音と警報音との重畳を回避することが困難であった。これに対して本実施形態では、信号処理演算部10を構成するDSP内部の時間管理に基づいたソフトウェア処理によって呼出音及び警報音を出力するためにタイムラグがほぼゼロとなり、上述のように警報音と呼出音の重畳が確実に防止できる。
【0036】
次に、本発明の要旨となる構成について説明する。すなわち本実施形態は、フラッシュROMのような書き換え可能な不揮発性の記憶素子からなるメモリ部30を信号処理演算部10に接続し、主制御部1の制御動作に関する設定データ(パラメータ)をメモリ部30に格納するとともに、主制御部1が信号処理演算部10を介してメモリ部30にアクセスすることにより設定データの読み書きを行うようにした点に特徴があって、DSP動作制御部19及び設定データ制御部20によりメモリアクセス手段を構成している。ここで、主制御部1の制御動作に関する設定データとしては、例えば、ロビーインターホン又はドアホンから呼出があった場合に出力する呼出音の種類を指定するパラメータ、スピーカ部41から出力される通話音や呼出音等の音量を設定するパラメータ、ロビーインターホンや警報監視盤等との間で呼出信号や火災信号などの制御信号を信号線を介して伝送する際のアドレスなどがある。
【0037】
而して、主制御部1がDSP動作制御部19に対して設定データをメモリ部30に格納させるためのコマンドデータと格納する設定データを送信すると、このコマンドデータを受信したDSP動作制御部19が設定データ制御部20に受信した設定データを渡し、設定データ制御部20によりメモリ部30にアクセスさせて主制御部1の設定データが格納される領域に設定データを書き込む。また、主制御部1が必要な設定データをメモリ部30から読み出す場合には、DSP動作制御部19に対して設定データをメモリ部30から読み出させるためのコマンドデータと読み出す設定データのアドレスを送信すると、このコマンドデータを受信したDSP動作制御部19が設定データ制御部20に受信した設定データのアドレスを渡し、設定データ制御部20によりメモリ部30にアクセスさせて上記アドレスに格納されている設定データを読み出し、読み出した設定データがDSP動作制御部19を通じて主制御部1に返送される。
【0038】
このような構成とすれば、従来のように設定データを格納するための専用のEEPROMを設ける必要が無くなってコストダウンが図れる。なお、信号処理演算部10を介さずに主制御部1からメモリ部30に直接アクセスする構成も可能であるが、このような構成であると主制御部1からメモリ部30をアクセスするためのアドレスバスやデータバスが必要となって回路規模が大幅に増大し、また、チップセレクトの構成が複雑になるなどの問題が生じてしまう。これに対して信号処理演算部10を介してメモリ部30にアクセスする構成とすれば、上述のような問題が生じることを回避できる。
【0039】
(実施形態2)
図4は本実施形態の住宅情報盤における要部の構成を示したブロック図である。本実施形態は、EEPROMのような書き換え可能な不揮発性の記憶素子からなるメモリ部31を主制御部1に接続し、信号処理演算部10の動作プログラムや各種のパラメータ等のデータをメモリ部31に格納するとともに、信号処理演算部10が主制御部1を介してメモリ部31にアクセスすることによりプログラムやデータの読み書きを行うようにした点に特徴がある。なお、これ以外の点は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
メモリ部31はアドレスバスやデータバスにより主制御部1と接続されており、主制御部1はメモリ部31にアクセスしてデータの書き込み及び読み出しを行うメモリ制御部22と、信号処理演算部10との間でデータ通信を行う通信制御部23とを具備している。ここで、メモリ部31に格納される信号処理演算部10のデータは、上記動作プログラム(DSP用プログラム)や呼出音、警報音並びに音声メッセージの他、通話制御部11における通話処理に必要となるパラメータ等の設定データ等である。なお、信号処理演算部10は主制御部1の通信制御部23との間でデータ通信を行うための通信制御部21を具備している。
【0041】
而して、信号処理演算部10の起動時に主制御部1のメモリ制御部22がメモリ部31から読み出した動作用プログラムを通信制御部23を介して信号処理演算部10に送信し、信号処理演算部10では通信制御部21で受信した動作用プログラムを内蔵メモリにロードして実行する。また、ロビーインターホンやドアホンとの通話を開始する際、あるいは呼出音や警報音、音声メッセージを出力する際には、信号処理演算部10から主制御部1に対してメモリ部31に格納されている設定データの読み出しを要求するコマンドを通信制御部21より送信し、このコマンドを通信制御部23で受信した主制御部1では、メモリ制御部22がメモリ部31にアクセスして所望の設定データを読み出し、読み出した設定データを通信制御部23を通じて信号処理演算部10に送信する。そして、信号処理演算部10では通信制御部21で受信した設定データに基づいて通話制御部11が通話処理を行ったり、出力制御部13から呼出音等を出力するものである。すなわち、本実施形態においては主制御部1のメモリ制御部22並びに通信制御部23によりメモリアクセス手段を構成している。なお、主制御部1の制御動作に関する設定データはメモリ制御部22によって随時メモリ部31に書き込み、あるいは読み出される。
【0042】
本実施形態は上述のように構成したものであるから、信号処理演算部10の動作用プログラムや設定データを格納するための専用のメモリ部を設ける必要が無くなってコストダウンが図れるとともに、信号処理演算部10は主制御部1を通じてメモリ部31へのプログラムやデータの書き込み及び読み出しを行うため、回路規模の増大や回路構成の複雑化を回避することができる。また、実施形態1の構成では信号処理演算部10が異常動作しているときに主制御部1がメモリ部30から設定データを読み出すことができずに住宅情報盤全体の動作が停止してしまう虞があるが、本実施形態の構成であれば信号処理演算部10が異常動作しているときでも主制御部1がメモリ部31から設定データを読み出すことが可能であり、住宅情報盤全体の動作が停止してしまうといった事態を回避することができる。なお、本実施形態では呼出音や警報音あるいは音声メッセージのデータをメモリ部31に格納するようにしているが、例えば呼出音や警報音を限定したり音声メッセージの出力を行わないようにした場合には、メモリ部31に格納する信号処理演算部10の設定データの量が減少するから、メモリ部31として容量の少ないものを用いることができてコストダウンが図れる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明は、集合住宅の各住戸に設置され、少なくとも集合住宅の共同玄関に設置されるロビーインターホン並びに各住戸の玄関戸外に設置されるドアホンとの間で通話を行うとともに、住戸内に設置されるセキュリティセンサの出力を検出して警報音を発する住宅情報盤において、デジタル・シグナル・プロセッサで構成され、音声に関する信号処理を行う信号処理演算部と、主に音声以外の信号処理を行うとともに信号処理演算部の制御を行う主制御部と、信号処理演算部に接続されるフラッシュROMからなるメモリ部と、マイク部及びスピーカ部と、信号処理演算部との間で音声に関する信号の入出力処理を行う入出力ブロックとを備え、信号処理演算部は、主制御部からの要求に応じてメモリ部にアクセスし主制御部から与えられるデータをメモリ部に格納するとともにメモリ部から読み出したデータを主制御部に受け渡すメモリアクセス手段を具備し、入出力ブロックは、ロビーインターホン若しくはドアホンからの呼出音と警報音を時間的に区切られた連続する複数の期間で交互に信号処理演算部に出力し、メモリ部には、圧縮された複数の音声メッセージデータ並びにメロディ音データ、主制御部の制御動作に関する設定データが格納され、メモリ部から読み出した音声メッセージデータを伸長する音声メッセージ伸長部と、メモリ部から読み出したメロディ音データを伸長するメロディ音伸長部とが信号処理演算部に設けられたので、主制御部が必要とするデータを信号処理演算部に接続されたメモリ部に格納することで主制御部に専用のメモリを設ける必要が無くなり、メモリ部の個数を減らしてコストダウンが図れるとともに、主制御部から信号処理演算部に接続されたメモリ部に直接アクセスする構成に比較して回路構成の簡素化が図れるという効果がある。
【0048】
請求項2の発明は、集合住宅の各住戸に設置され、少なくとも集合住宅の共同玄関に設置されるロビーインターホン並びに各住戸の玄関戸外に設置されるドアホンとの間で通話を行うとともに、住戸内に設置されるセキュリティセンサの出力を検出して警報音を発する住宅情報盤において、デジタル・シグナル・プロセッサで構成され、音声に関する信号処理を行う信号処理演算部と、主に音声以外の信号処理を行うとともに信号処理演算部の制御を行う主制御部と、主制御部に接続されるEEPROMからなるメモリ部と、マイク部及びスピーカ部と、信号処理演算部との間で音声に関する信号の入出力処理を行う入出力ブロックとを備え、主制御部は、信号処理演算部からの要求に応じてメモリ部にアクセスし信号処理演算部から与えられるデータをメモリ部に格納するとともにメモリ部から読み出したデータを信号処理演算部に受け渡すメモリアクセス手段を具備し、入出力ブロックは、ロビーインターホン若しくはドアホンからの呼出音と警報音を時間的に区切られた連続する複数の期間で交互に信号処理演算部に出力し、メモリ部には、主制御部用の設定データ、信号処理演算部を構成するデジタル・シグナル・プロセッサのプログラム並びに設定データが格納されるので、信号処理演算部が必要とするデータを主制御部に接続されたメモリ部に格納することで信号処理演算部に専用のメモリを設ける必要が無くなり、メモリ部の個数を減らしてコストダウンが図れるとともに、信号処理演算部から主制御部に接続されたメモリ部に直接アクセスする構成に比較して回路構成の簡素化が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1の要部の構成を示したブロック図である。
【図2】 同上の動作説明図である。
【図3】 同上の動作説明図である。
【図4】 実施形態2の要部の構成を示したブロック図である。
【図5】 従来の住宅情報盤システムの一例を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
1 主制御部
10 信号処理演算部
19 DSP動作制御部
20 設定データ制御部
30 メモリ部
Claims (2)
- 集合住宅の各住戸に設置され、少なくとも集合住宅の共同玄関に設置されるロビーインターホン並びに各住戸の玄関戸外に設置されるドアホンとの間で通話を行うとともに、住戸内に設置されるセキュリティセンサの出力を検出して警報音を発する住宅情報盤において、デジタル・シグナル・プロセッサで構成され、音声に関する信号処理を行う信号処理演算部と、主に音声以外の信号処理を行うとともに信号処理演算部の制御を行う主制御部と、信号処理演算部に接続されるフラッシュROMからなるメモリ部と、マイク部及びスピーカ部と、信号処理演算部との間で音声に関する信号の入出力処理を行う入出力ブロックとを備え、信号処理演算部は、主制御部からの要求に応じてメモリ部にアクセスし主制御部から与えられるデータをメモリ部に格納するとともにメモリ部から読み出したデータを主制御部に受け渡すメモリアクセス手段を具備し、入出力ブロックは、ロビーインターホン若しくはドアホンからの呼出音と警報音を時間的に区切られた連続する複数の期間で交互に信号処理演算部に出力し、メモリ部には、圧縮された複数の音声メッセージデータ並びにメロディ音データ、主制御部の制御動作に関する設定データが格納され、メモリ部から読み出した音声メッセージデータを伸長する音声メッセージ伸長部と、メモリ部から読み出したメロディ音データを伸長するメロディ音伸長部とが信号処理演算部に設けられたことを特徴とする住宅情報盤。
- 集合住宅の各住戸に設置され、少なくとも集合住宅の共同玄関に設置されるロビーインターホン並びに各住戸の玄関戸外に設置されるドアホンとの間で通話を行うとともに、住戸内に設置されるセキュリティセンサの出力を検出して警報音を発する住宅情報盤において、デジタル・シグナル・プロセッサで構成され、音声に関する信号処理を行う信号処理演算部と、主に音声以外の信号処理を行うとともに信号処理演算部の制御を行う主制御部と、主制御部に接続されるEEPROMからなるメモリ部と、マイク部及びスピーカ部と、信号処理演算部との間で音声に関する信号の入出力処理を行う入出力ブロックとを備え、主制御部は、信号処理演算部からの要求に応じてメモリ部にアクセスし信号処理演算部から与えられるデータをメモリ部に格納するとともにメモリ部から読み出したデータを信号処理演算部に受け渡すメモリアクセス手段を具備し、入出力ブロックは、ロビーインターホン若しくはドアホンからの呼出音と警報音を時間的に区切られた連続する複数の期間で交互に信号処理演算部に出力し、メモリ部には、主制御部用の設定データ、信号処理演算部を構成するデジタル・シグナル・プロセッサのプログラム並びに設定データが格納されることを特徴とする住宅情報盤。
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