JP3883966B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。とりわけ耐傷付き性、難燃性、加工安定性に優れた難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系重合体は、一般に電気的特性、機械的性質、加工性等が優れているところから、電気絶縁材料として広く使用されている。とくに電線、ケーブル、床材などの建材等の用途には、強度、低温特性、耐傷付き性、硬度等のバランスが良好であるところから、エチレン・酢酸ビニル共重合体やエチレン・アクリル酸エチル共重合体などのエチレン・不飽和エステルランダム共重合体が広く使用されている。
【0003】
このようなエチレン共重合体は易燃性であるため、用途によっては難燃化する必要があり、そのため古くはハロゲン系難燃剤を配合することにより対処してきた。しかしながらこのような配合物は燃焼時に有害ガスを発生するという問題があり、近年では非ハロゲン系の水酸化マグネシウム等の金属水酸化物難燃剤を配合する処方が採用されるようになってきた。ところが金属水酸化物難燃剤は、かなり大量に配合しないと充分な難燃効果を発揮することができないため、往々にしてエチレン共重合体の耐傷付き性、その他機械的特性を犠牲にすることがあった。
【0004】
これら問題点を解決する手段はこれまでに数多く検討されている。中でも酸変性樹脂を併用する処方が一般的であるが、それら処方は無機系難燃剤との反応に基づく凝集力向上による耐傷付き性の改良策であり、そのため大量に配合すると加工性を著しく低下させてしまうという問題点があった。例えば樹脂成分として、オレフィン系樹脂に50重量%以下のカルボキシル基を含む樹脂を配合したものを使用する難燃性樹脂組成物が知られており、カルボキシル基を含む樹脂としてエチレン・メタクリル酸共重合体やアイオノマー樹脂が使用できることが記載されている(例えば特許文献1及び2参照)。これら特許文献においては、樹脂成分としてエチレン・メタクリル酸共重合体を50重量%又はそれ以上配合したものを使用した場合には、加工性が良好でないというデータが示されている。またアイオノマー樹脂については、亜鉛アイオノマーやカルシウムアイオノマーが使用できる旨の記載があるが、具体的な配合例は示されていない。またこれら具体的に開示された方法によっては、充分な耐磨耗性を得るまでには至っていない。
【0005】
このため出願人は先に一層耐傷付き性が優れ、しかも加工性、機械的強度等が優れると共に、難燃性、燃焼時のチャー形成性等に優れた難燃性樹脂組成物として、酸含量とメルトフローレートが特定の関係にあるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーをベース樹脂として使用する処方を、特願2001−397830号において提案した。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−168644号公報
【特許文献2】
特開平2−53845号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記先願の難燃性樹脂組成物においては、配合処方によっては溶融状態に維持した場合に経時的に溶融粘度が上昇するものが認められた。そこで本発明者らは、充分な難燃性、耐傷付き性、機械的特性等を示すと共に、安定した加工を可能とするため、溶融時における流動性の経時変化が少ない難燃性樹脂組成物を得るべく、鋭意検討を行った。その結果、無機系難燃剤として水酸化アルミニウムを選択すると共に特定のマグネシウムアイオノマーを樹脂成分として使用するときに、所望物性の難燃性樹脂組成物が得られることを見出すに至った。
【0008】
したがって本発明の目的は、難燃性、耐傷付き性、機械的強度等が優れると共に、加工安定性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明によれば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマーであって、その中和度が10〜60%、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)(JIS K6760に準拠)が1〜500g/10分の範囲にあるマグネシウムアイオノマー(A1)又は(A1)と(A1)に対して等重量以下のその他の熱可塑性樹脂(A2)からなる樹脂成分(A)100重量部当たり、水酸化アルミニウム(B)を、マグネシウムアイオノマー(A1)の中和度が10%以上35%未満の場合50〜200重量部、マグネシウムアイオノマー(A1)の中和度が35〜60%の場合120〜200重量部、配合してなる難燃性樹脂組成物が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、中和度が5〜60%、好ましくは10〜50%、190℃、2160g荷重におけるMFRが1〜500g/10分、好ましくは1〜100g/10分のマグネシウムアイオノマー(A1)が必須成分として使用される。マグネシウムアイオノマーとして中和度が上記範囲より小さいものを使用する場合あるいはマグネシウムアイオノマーの代わりにエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を使用する場合には、加工安定性あるいは耐傷付き性に優れた樹脂組成物を得ることが難しい。また中和度が上記範囲より大きいものを使用すると、加工性に優れた樹脂組成物を得ることが難しい。さらにマグネシウムアイオノマー(A1)として上記のようなMFRのものを使用することにより、加工性、難燃性、機械的特性に優れた樹脂組成物を得ることができる。マグネシウムアイオノマーの代わりに他の金属原子を陽イオンとするアイオノマーを使用しても、本発明のような加工安定性に優れた樹脂組成物を得ることはできない。
【0011】
上記マグネシウムアイオノマー(A1)のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、不飽和カルボン酸含量が好ましくは2〜30重量%、とくに好ましくは5〜25重量%のものである。不飽和カルボン酸含量がこのような範囲のものを使用することにより、耐傷付き性、機械的特性、加工安定性等に優れたに難燃性樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0012】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレンと不飽和カルボン酸からなる2元共重合体のみならず、他の極性モノマーやスチレン系モノマーなどを共重合成分として含む多元共重合体であってもよい。上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などを例示することができる。これらの中では、とくにアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
【0013】
また上記他の極性モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステルなどを例示することができる。またスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルイソプロペニルトルエンなどを例示することができる。
【0014】
例えば上記のような他の極性モノマーは、共重合体の柔軟性付与には効果的であるが耐傷付き性等を損なうことがあるので、このような他の極性モノマーやスチレン系モノマーは共重合成分として含まれていたとしても、30重量%以下、とくに20重量%以下程度であることが好ましい。
【0015】
このようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
【0016】
本発明の難燃性樹脂組成物の樹脂成分(A)は、上記マグネシウムアイオノマー(A1)のみで構成されていてもよいが、耐傷付き性を勘案しつつ伸びのような引張特性、加工性その他物性の改良のために、マグネシウムアイオノマー(A1)に他の熱可塑性樹脂(A2)をマグネシウムアイオノマー(A1)の等重量以下、好ましくはマグネシウムアイオノマー(A1)の80重量%以下の割合で配合したものも使用することができる。
【0017】
このような他の熱可塑性樹脂(A2)の例としては、エチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体、例えば高圧法ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、とくに密度が940kg/m3以下の直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、上記(A1)以外のエチレンと極性モノマーとの共重合体、ポリオレフィン系エラストマーのようなオレフィン系重合体、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレンやABS樹脂のようなゴム強化スチレン系樹脂のようなスチレン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマーのようなポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、あるいはこれら2種以上の混合物などを例示することができる。
【0018】
これらの中では、難燃性樹脂組成物の加工性を考慮すると、エチレンの単独重合体あるいはエチレンを主体とするエチレンの共重合体を使用することが好ましい。
【0019】
上記好適なエチレン共重合体の例として、エチレンと不飽和エステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸nヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸N、N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチルのようなアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチルのようなメタクリル酸エステル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を例示することができる。このような共重合体は、さらにアクリルアミド、一酸化炭素のような他の極性モノマーがさらに共重合されたものであってもよい。
【0020】
上記エチレン・不飽和エステル共重合体は、通常不飽和エステル含量が1〜50重量%、好ましくは5〜46重量%、その他モノマーが通常0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%の割合で共重合されているものである。上記共重合体としてはまた、190℃、2160g荷重におけるMFRが通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜10g/10分のものが望ましい。
【0021】
このようなエチレン・不飽和エステル共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
【0022】
上記熱可塑性樹脂(A2)の他の好適例として、エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンとの共重合体を挙げることができる。これらはいかなる触媒系で製造されたものであってもよく、例えば過酸化物触媒による高温、高圧下でのラジカル重合、あるいは高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物成分とからなるマルチサイト触媒系やシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個以上有するジルコニウムの化合物からなる触媒成分と有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分とからなるシングルサイト触媒系でエチレンを重合又は共重合することによって製造されるたものであってもよい。
【0023】
上記エチレンの重合体又は共重合体としては、製造方法や共重合体のα−オレフィン含量に応じ種々の密度のものが使用可能であるが、一般には密度が870〜970kg/m3程度、とくに890〜960kg/m3、とりわけ900〜950kg/m3のポリエチレン又はエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体を使用することが好ましい。また加工性及び実用物性を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるMFRが0.1〜50g/10分、とくに0.2〜10g/10分のものの使用が好ましい。
【0024】
本発明においては、難燃性無機化合物として水酸化アルミニウム(B)が使用される。水酸化アルミニウムの代りに水酸化マグネシウムを単味で使用すると、加工性良好な難燃性樹脂組成物を得ることができない。
【0025】
水酸化アルミニウムとしては、例えば粒径が0.05〜20μm、好ましくは0.1〜5μm程度のものを使用するのがよい。水酸化アルミニウムとしてはまた、樹脂成分への分散性の点から、表面処理剤で処理されているものを使用することが好ましい。このような表面処理剤としては、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、例えばカプリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノール酸ナトリウムなど、高級脂肪酸、例えばカプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸など、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール、チタンカップリング剤、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルバイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなど、シランカップリング剤、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、シリコンオイルなどを例示することができる。
【0026】
本発明において水酸化アルミニウム(B)は、マグネシウムアイオノマー(A1)又は(A1)とその他熱可塑性樹脂(A2)からなる樹脂成分(A)100重量部当たり、20〜250重量部、好ましくは30〜200重量部、一層好ましくは50〜150重量部の範囲である。水酸化アルミニウム(B)の好適な配合割合は、マグネシウムアイオノマー(A)の性状、例えばベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の酸含量やマグネシウムアイオノマーの中和度、MFR等によっても異なるが、190℃、2160g荷重で測定した樹脂組成物のMFRが0.1〜300g/10分、好ましくは0.2〜100g/10分の範囲であって、UL−94準拠難燃試験でV−0〜V−2相当の難燃性を有するように選ぶのがよい。例えば、マグネシウムアイオノマー(A1)として、中和度が10%以上35%未満、MFR1〜50g/10分のものを使用する場合には、樹脂成分(A)100重量部当り、好ましくは水酸化アルミニウム(B)50〜200重量部、とくに60〜180重量部の割合で配合するのが好ましく、またマグネシウムアイオノマー(A1)として中和度が35〜60%、MFR1〜50g/10分のものを使用する場合には、樹脂成分(A)100重量部当り、好ましくは水酸化アルミニウム(B)120〜200重量部、とくに130〜180重量部の割合で配合するのが好ましい。
【0027】
本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、他の難燃剤や各種添加剤を配合することができる。このような他の難燃剤の例として2価金属化合物、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの化合物、具体的には水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトのような金属水酸化物、珪酸金属塩、ホウ酸金属塩、炭酸カルシウムなどを例示することができる。またその他添加剤の例として、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、ゼオライト、カーボンブラックなどの他の無機充填剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃助剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、発泡剤、発泡助剤、架橋剤、架橋助剤などを例示することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例及び比較例において用いた原料及び樹脂組成物の物性評価方法は次の通りである。
【0029】
1.原料
(1)樹脂成分
MgIO−1:エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマー(メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のマグネシウム中和度20%のアイオノマー、MFR:15g/10分)
MgIO−2:エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマー(メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のマグネシウム中和度30%のアイオノマー、MFR:7.2g/10分)
MgIO−3:エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマー(メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のマグネシウム中和度40%のアイオノマー、MFR:3.3g/10分)
AC−1:エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体、MFR:60g/10分)
ZnIO−1:エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の亜鉛アイオノマー(メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体の亜鉛中和度21%のアイオノマー、MFR:16g/10分)
ZnIO−2:エチレン3元共重合体の亜鉛アイオノマー(メタクリル酸含量4重量%、アクリル酸イソブチル含量15重量%のエチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体の亜鉛中和度33%のアイオノマー、MFR:11.5g/10分)
【0030】
(2)水酸化アルミニウム(ATH)
平均粒径1.0μm、脂肪酸処理品
(3)酸化防止剤(AO)
(株)エーピーアイコーポレーション製ヨシノックスSR
【0031】
2.物性評価方法
(1)難燃性
プレスシート成形した厚み3mmの試験片に対して、米国における難燃性の指標であるUL−94垂直燃焼試験に準拠して評価した。
(2)加工安定性評価
MFR計にサンプルホールドして10分間のMFR(JIS K6760に準拠、190℃、2160g/10分荷重)経時変化を追跡し、次の基準により評価した。
◎:10分経過後、MFRの低下が極めて少ない。
×:10分経過後、MFR計より流出せず。
【0032】
[実施例1]
エチレン・メタクリル酸共重合体のマグネシウムアイオノマー(MgIO−1)、水酸化アルミニウム(ATH)、酸化防止剤(AO)を表1に示す配合比で配合し、ニーダー混練機にて、溶融温度160℃で混練を行うことにより、難燃性樹脂組成物を調製した。プレス成形により厚さ3mmのシートを作製し、難燃性の評価を行った。また前記組成物から加工安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
[実施例2〜3]
実施例1において、MgIO−1の配合量を表1のように変えた以外は実施例1と同様に難燃性樹脂組成物を調製し、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0034】
[実施例4〜5、比較例1〜3]
実施例3において、樹脂成分としてMgIO−1の代わりに表1に示すものに変えた以外は実施例3と同様に難燃性樹脂組成物を調製し、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、加工安定性、耐傷付き性、難燃性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することができる。このような難燃性樹脂組成物は、高度な難燃性が要求される分野、例えば玩具、ホース、シート、テープ、壁紙、電線被覆材、建材などの用途に有効に利用することができる。
【0037】
このような用途における成形品の具体例としては、例えば、玩具、人工芝、マット、止水シート、トンネルシート、ルーフィング等の土木分野、ホース、チューブ等のパイプ用途、パッキング、制振シート等の家電製品、カーペット等の裏打ち材、ドアパネル防水シート、泥よけ、モール等の自動車用途、壁紙、家具、床材、発泡シート等の建材用途、配線ケーブル、通信ケーブル、機器用ケーブル、電源コード、プラグ、耐火ケーブル、制御・計装ケーブル、収縮チューブ等のケーブル用途、粘着テープ等の接着用途等の分野で用いられるものが挙げられる。
Claims (3)
- エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマーであって、その中和度が10〜60%、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)(JIS K6760に準拠)が1〜500g/10分の範囲にあるマグネシウムアイオノマー(A1)又は(A1)と(A1)に対して等重量以下のその他の熱可塑性樹脂(A2)からなる樹脂成分(A)100重量部当たり、水酸化アルミニウム(B)を、マグネシウムアイオノマー(A1)の中和度が10%以上35%未満の場合50〜200重量部、マグネシウムアイオノマー(A1)の中和度が35〜60%の場合120〜200重量部、配合してなる難燃性樹脂組成物。
- マグネシウムアイオノマー(A1)のベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体が、不飽和カルボン酸含量が2〜30重量%のものである請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記難燃性樹脂組成物が、UL−94準拠難燃試験でV−0〜V−2相当の難燃性を有する請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物。
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