JP2002348419A - ロール加工性及びカレンダー加工性に優れた高難燃性樹脂組成物 - Google Patents

ロール加工性及びカレンダー加工性に優れた高難燃性樹脂組成物

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JP2002348419A
JP2002348419A JP2001174641A JP2001174641A JP2002348419A JP 2002348419 A JP2002348419 A JP 2002348419A JP 2001174641 A JP2001174641 A JP 2001174641A JP 2001174641 A JP2001174641 A JP 2001174641A JP 2002348419 A JP2002348419 A JP 2002348419A
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flame
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ethylene
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JP2001174641A
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Nobuyuki Maki
伸行 牧
Shigenori Nakano
重則 中野
Chikara Ichinoseki
主税 一関
Masaki Aoyama
正貴 青山
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Dow Mitsui Polychemicals Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機化合物が配合されているにも拘らず、機
械強度、耐擦傷性、加工性、特にロール加工性、カレン
ダー加工性、高周波ウエルダー加工性等に優れており、
しかも難燃性と燃焼時におけるシェル形成性に優れたオ
レフィン系の難燃性樹脂組成物を提供することにある。 【解決手段】 エチレン及び酢酸ビニル或いは更に他の
極性基含有モノマーから成る共重合体(A)びオレフィ
ン及び不飽和カルボン酸エステル或いは更に他の極性基
含有モノマーから成る共重合体(B1及び/またはB
2)を含有するベース樹脂組成物100重量部当たり、
難燃性無機化合物(D)25乃至200重量部及び混合
リン酸エステル(E)0乃至10重量部を含有して成る
ことを特徴とする難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロール加工性及び
カレンダー加工性に優れたオレフィン系難燃性樹脂組成
物に関するものであって、より詳しくは、無機化合物が
配合されているにも拘らず、機械強度、耐擦傷性および
加工性に優れるとともに、燃焼時におけるシェル形成性
に優れた難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系重合体は、一般に電気的特
性、機械的特性ならびに加工性に優れていることから、
電気絶縁材料として広く使用されている。特に電線、ケ
ーブル等の用途には、強度、低温特性、耐擦傷性、硬度
等のバランスに優れた素材が求められ、その特性を備え
ていることから、エチレン・不飽和エステルランダム共
重合体が広く用いられている。
【0003】ところが、このようなエチレン系共重合体
は易燃性であるため、電気絶縁材料用途に供される場合
には、難燃化処理をする必要がある。エチレン系共重合
体の難燃化の方法としては、無機化合物を配合すること
が知られているが、十分な難燃化効果を奏し得るために
は、該無機化合物を大量に配合しなければならず、この
場合は、エチレン系共重合体本来の加工性や機械的特性
を損なってしまうという問題がある。
【0004】このような問題を避けるために、エチレン
系共重合体に配合する無機化合物の表面改質材の提案
や、マレイン酸等の不飽和カルボン酸をグラフトした変
性樹脂を添加する試みもなされているが、無機化合物の
表面を改質しても、機械的強度の改良は見られるもの
の、耐擦傷性の改良はなされないし、酸変性樹脂をブレ
ンドした場合には、機械的強度や耐擦傷性の改良効果は
見られるものの、この場合は、加工性が著しく低下して
しまうという問題がある。
【0005】そのほかにも、酸化アンチモンとハロゲン
化物をブレンドする方法も知られているが、この方法
は、いったん火災が起きると、有毒ガスが発生する危険
をはらんでおり、好ましい方法とは言えない。
【0006】また、特公平7−103273号公報に見
られるように、オレフィン重合体の樹脂および/または
エラストマー70〜20重量%と、アルミニウムおよび
/またはマグネシウムの水酸化物、あるいはこれらに炭
酸マグネシウムを30重量%以下添加した配合物30〜
80重量%との合計量100重量部に対して、エチレン
と不飽和カルボン酸、その誘導体およびビニルエステル
から選ばれた少なくとも1種のモノマーとの共重合体
(エポキシ基を合まない)0.02〜25重量部、およ
びエチレン性不飽和エポキシ化合物含量0.5〜50重
量%であるエチレンとエチレン性不飽和エポキシ化合物
との共重合体0.001〜3重量部を配合してなる自消
性重合体組成物が知られているが、この組成物は、白化
性の抑制、耐外傷性を損なうことなく耐寒性を向上させ
ることを目的にするものであり、機械強度、耐擦傷性、
加工性に優れ、燃焼時におけるシェル形成に優れる難燃
性樹脂組成物を目的とする本発明について示唆するもの
はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、無機化合物が配合されているにも拘らず、機械強
度、耐擦傷性、加工性、特にロール加工性、カレンダー
加工性、高周波ウエルダー加工性等に優れており、しか
も難燃性と燃焼時におけるシェル形成性に優れたオレフ
ィン系の難燃性樹脂組成物を提供することにある。本発
明において言うところの、燃焼時におけるシェル形成性
とは、燃焼時の状況を目視で観察したときに、シェルを
形成するもの、もしくはシェル自体が強固なものをい
い、シェルも形成せずに溶融しながらドリップするもの
は、シェル形成性が優れているとは言わない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、エチレ
ン及び酢酸ビニル或いは更に他の極性基含有モノマーか
ら成る共重合体(A)30乃至98重量%、好適には4
0乃至95重量%、及びオレフィン及び不飽和カルボン
酸エステルから成る共重合体(B1)70乃至2重量
%、好適には60乃至5重量%を含有するベース樹脂組
成物100重量部当たり、難燃性無機化合物(D)25
乃至200重量部及び混合リン酸エステル(E)0乃至
10重量部を含有して成ることを特徴とする難燃性樹脂
組成物が提供される。本発明によればまた、エチレン及
び酢酸ビニル或いは更に他の極性基含有モノマーから成
る共重合体(A)70乃至99重量%、好適には75乃
至95重量%、及びオレフィン、不飽和カルボン酸エス
テル及び他の極性基含有モノマーから成る共重合体(B
2)30乃至1重量%、好適には25乃至5重量%を含
有するベース樹脂組成物100重量部当たり、難燃性無
機化合物(D)25乃至200重量部及び混合リン酸エ
ステル(E)0乃至10重量部を含有して成ることを特
徴とする難燃性樹脂組成物が提供される。本発明によれ
ばさらに、エチレン及び酢酸ビニル或いは更に他の極性
基含有モノマーから成る共重合体(A)20乃至98重
量%、好適には25乃至95重量%、オレフィン及び不
飽和カルボン酸エステルから成る共重合体(B1)50
乃至1重量%、好適には45乃至3重量%及びオレフィ
ン、不飽和カルボン酸エステル及び他の極性基含有モノ
マーから成る共重合体(B2)30乃至1重量%、好適
には25乃至2重量%を含有するベース樹脂組成物10
0重量部当たり、難燃性無機化合物(D)25乃至20
0重量部及び混合リン酸エステル(E)0乃至25重量
部を含有して成ることを特徴とする難燃性樹脂組成物が
提供される。本発明の難燃性樹脂組成物においては、 1.共重合体(A)がエチレンを20〜98重量%、酢
酸ビニルを2〜80重量%及び他の極性基含有モノマー
を0〜40重量%含有する共重合体であること、 2.共重合体(A)における他の極性基含有モノマーが
不飽和カルボン酸乃至その誘導体、一酸化炭素、或いは
ビニルアルコールであること、 3.前記共重合体(A)が190℃、2160g荷重に
おけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜100
g/10分の範囲にあるものであること、 4.共重合体(B1)がエチレンを20〜98重量%及
び不飽和カルボン酸アルキルエステルを80〜2重量%
含有する共重合体であること、 5.共重合体(B2)がエチレンを49〜98重量%、
不飽和カルボン酸アルキルエステルを1〜50重量%及
び他の極性基含有モノマーを1〜30重量%含有する共
重合体であること、 6.共重合体(B2)における他の極性基含有モノマー
が不飽和カルボン酸、その無水物、そのグリシジルエス
テル、(メタ)アクリロニトリル、或いは一酸化炭素で
あること、 7.前記共重合体(B2)がブタジエン0.1〜10重
量%、不飽和カルボン酸エステル5〜50重量%及び
(メタ)アクリロニトリル40〜95重量%を含有する
共重合体であること、 8.前記共重合体(B1或いはB2)が190℃、21
60g荷重におけるメルトフローレート(MFR)が
0.1〜100g/10分の範囲にあるものであるこ
と、 9.(D)難燃性無機化合物が、水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト型複合水酸化
物、またはこれらの表面を脂肪酸アミド、脂肪酸塩、脂
肪酸エステル、チタンカップリング剤もしくはシランカ
ップリング剤で処理したものの少なくとも1種であるこ
と、 10.混合リン酸エステル(E)が少なくともモノエス
テルとジエステルとを含む混合リン酸エステルであるこ
と、 11.混合リン酸エステル(E)がポリオキシエチレン
アルキルエーテルリン酸エステルであること、 が好ましい。本発明の樹脂組成物では、前記共重合体
(A)、共重合体(B1)及び共重合体(B2)以外の
熱可塑性樹脂(C)、特にエチレン系重合体を含有して
いてもよく、このような他のエチレン系重合体として
は、不飽和カルボン酸変性エチレン系重合体、直鎖状エ
チレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−ビニール
アルコール共重合体または芳香族基含有エチレン系共重
合体を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施形態】本発明では、エチレン及び酢酸ビニ
ル或いは更に他の極性基含有モノマーから成る共重合体
(A)と、オレフィン及び不飽和カルボン酸エステル或
いは更に他の極性基含有モノマーから成る共重合体(B
1及び/またはB2)とを一定の量比で組み合わせ、こ
れに難燃性無機化合物(D)及び混合リン酸エステル
(E)を含有させたことが特徴であり、これにより、何
れか一方の共重合体に難燃性無機化合物を配合した樹脂
組成物に比して、成形物の機械強度、耐擦傷性を向上さ
せ、また難燃性を向上させることができる。また、混合
リン酸エステル(E)を配合することにより、難燃性や
シェル形成性を実質上低下させることなく、ロール加工
性及びカレンダー加工性を一層向上させることができ
る。
【0010】一般に、多量の難燃性無機化合物を配合し
た樹脂成形体では、難燃性が向上する反面、耐擦傷性が
低下する。この耐擦傷性の程度は、テーパー摩耗で評価
できる。即ち、何れか一方の共重合体に難燃性無機化合
物を配合した樹脂組成物ではテーパー摩耗が200mg
/1000回を上回るのに対して、共重合体(A)及び
共重合体(B1及び/またはB2)を組み合わせた本発
明による樹脂組成物では、このテーパー摩耗を140m
g/1000回以下に抑制することができる。
【0011】また、樹脂組成物の難燃性の評価には酸素
指数(OI)が一般的に用いられており、この酸素指数
が大きいほど難燃性であることを示している。何れか一
方の共重合体に難燃性無機化合物を配合した樹脂組成物
では、この酸素指数が25以下であるのに対して、本発
明による樹脂組成物では、樹脂の組合せ使用のみで酸素
指数が2ポイント以上向上するという予想外の事実があ
る。更には、エチレン系共重合体は、燃焼カロリーが大
きいため、難燃化が難しく、最も厳しい難燃規格である
UL94等の規格をクリアするには難燃性無機化合物を
200部以上配合する必要があり、機械強度が著しく低
くなるため、実用性が乏しかったが、本発明では必要と
される難燃性無機化合物が200部以下で、EVA等の
約60〜70%程度の配合で済むため、従来難しかった
難燃性と機械強度の両立が可能となる。
【0012】建材、一般用産業用シートなどでの分野で
は、火災により樹脂成形品が燃焼した後に不燃性のシェ
ルが形成されることが好ましい。というのは、このシェ
ルが燃焼の拡大抑制に効果があるためである。エチレン
−酢酸ビニル共重合体に難燃性無機化合物を配合した樹
脂組成物は、耐熱性に乏しく、また燃焼の際のドリップ
傾向が大きく、シェル形成能を全く有していないのに対
して、本発明による樹脂組成物では、耐熱性に優れてい
ると共に、シェル形成能にも優れている。
【0013】エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)
は単独では、ロール加工性やカレンダー加工性を有して
いるとしても、十分な難燃性付与に必要な程度に多量の
無機系難燃剤を配合した場合には、ロール加工性やカレ
ンダー加工性に劣ったものとなる。これに対して、EV
Aにオレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体
(B1及び/またはB2)を組合せ、更に混合リン酸エ
ステル(E)を配合することにより、無機系難燃剤の配
合をロール加工やカレンダー加工に適した範囲まで低下
させることが可能となり、樹脂組成物はロール加工性や
カレンダー加工性に顕著に優れたものとなる。
【0014】更に、耐熱性に優れたポリオレフィン類を
配合すると、樹脂組成物のロール加工性やカレンダー加
工性が低下し、また難燃性も低下する傾向が現れるが、
本発明では、これらの加工性や難燃性を実質上低下させ
ることなく、その他の熱可塑性樹脂(C)として挙げた
ポリオレフィン類を配合することができ、樹脂組成物の
耐熱性を向上させることができる。
【0015】[エチレン/酢酸ビニル系共重合体]本発
明の樹脂組成物は、一方の樹脂成分として、エチレン及
び酢酸ビニル或いは更に他の極性基含有モノマーから成
る共重合体(A)を含有する。このエチレン・酢酸ビニ
ル系共重合体(A)では、エチレン成分が20乃至98
重量%、好ましくは50乃至95重量%の量で存在し、
酢酸ビニル成分が2乃至80重量%、好ましくは5乃至
50重量%の量で存在する。
【0016】この共重合体(A)には、酢酸ビニル以外
の他の極性モノマー成分が共重合されていてもよく、こ
のような極性モノマー成分としては、酢酸ビニル以外の
モノマーであって、O、N、S、Pなどの元素を含む極
性基を持つものである。例えば、好適な極性基含有モノ
マーとしては、不飽和カルボン酸、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、シトラコン酸などや、アルキルエステル以外の誘導
体、例えば酸無水物、他のエステル、アミド、金属塩、
特に無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン
酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、
ジカルボン酸ハーフエステル、例えば、マレイン酸モノ
メチル、マレイン酸モノエチルなどが挙げられる。金属
塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムのような
アルカリ金属や、マグネシウム、カルシウム等のアルカ
リ土類金属、亜鉛、銅、コバルト、二ッケルのような2
価の金属、アルミニウムのような3価の金属を挙げるこ
とができ、これらの金属でカルボン酸に対して中和度が
0より大で100モル%となるように中和されているこ
とができる。その他一酸化炭素、ビニルアルコール、ア
クリロニトリル、二酸化硫黄などを例示することができ
る。他の極性モノマーの含量は40重量%以下、とくに
30重量%以下のものが好ましい。
【0017】エチレン・酢酸ビニル系共重合体(A)の
190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート
(MFR)は、0.1乃至100g/10分、好ましく
は0.2乃至50g/10分である。
【0018】エチレン・酢酸ビニル系共重合体(A)
は、エチレン及び酢酸ビニル或いは更に他の極性モノマ
ーを、高温、高圧下でラジカル共重合させることによっ
て得ることができる。また、極性モノマー成分の内、ビ
ニルアルコール単位は、酢酸ビニル単位を鹸化させるこ
とにより形成される。また、極性モノマー成分は、ラン
ダム重合のみならず、グラフト共重合によっても共重合
体中に導入することができる。
【0019】[オレフィン/不飽和カルボン酸エステル
系共重合体]本発明の樹脂組成物は、他方の樹脂成分と
して、オレフィン及び不飽和カルボン酸エステルから成
る共重合体(B1)或いは更に他の極性基含有モノマー
から成る共重合体(B2)を含有する。上記共重合体
(B1、B2)におけるオレフインとしては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、4−メチ
ルー1−ペンテンのような脂肪族モノオレフィン、ブタ
ジエン、イソプレンのような脂肪族ジオレフイン、スチ
レン、α−メチルスチレンのような芳香族オレフィンな
どを挙げることができる。共重合体(B1、B2)を構
成する不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては(メ
タ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和カ
ルボン酸の炭素数1〜12、とくに炭素数1〜8程度の
アルキルエステルを使用するのが好ましい。尚、(メ
タ)アクリル酸とは、アクリル酸或いはメタアクリル酸
を意味する。より具体的には、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イ
ソプロピル、(メタ)アクリル酸nブチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチル
ヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルな
どを例示することができる。
【0020】共重合体(B2)には、不飽和カルボン酸
アルキルエステル及び酢酸ビニル以外の他の極性モノマ
ー成分が共重合されていてもよく、このような極性モノ
マー成分としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル
及び酢酸ビニル以外のモノマーであって、O、N、S、
Pなどの元素を含む極性基を持つものである。例えば、
好適な極性基含有モノマーとしては、不飽和カルボン
酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などや、アルキル
エステル以外の誘導体、例えば酸無水物、エステル、ア
ミド、金属塩、特に無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、無水イタコン酸、アクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジル、ジカルボン酸ハーフエステル、例え
ば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなど
が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム、カリウ
ム、リチウムのようなアルカリ金属や、マグネシウム、
カルシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、コバル
ト、二ッケルのような2価の金属、アルミニウムのよう
な3価の金属が挙げられ、カルボン酸に対して中和度が
0より大で100モル%以下となるように中和されてい
ることができる。その他、極性基含有モノマー成分とし
ては、一酸化炭素、ビニルアルコール、(メタ)アクリ
ロニトリル、二酸化硫黄などを例示することができる。
他の極性モノマーの含有量は40重量%以下、とくに3
0重量%以下のものが好ましい。
【0021】共重合体(B1)の好適な例として、エチ
レンを20〜98重量%、好適には25〜95重量%及
び不飽和カルボン酸アルキルエステルを80〜2重量
%、好適には75〜5重量%含有する共重合体を挙げる
ことができる。
【0022】また、共重合体(B2)の好適な例とし
て、エチレンを49〜98重量%、不飽和カルボン酸ア
ルキルエステルを1〜50重量%及び他の極性基含有モ
ノマーを1〜30重量%含有する共重合体を挙げること
ができる。さらに、共重合体(B2)の他の好適な例と
して、ブタジエン0.1〜10重量%、不飽和カルボン
酸エステル5〜50重量%及び(メタ)アクリロニトリ
ル40〜95重量%を含有する共重合体を挙げることが
できる。
【0023】その他に、エチレン・不飽和カルボン酸ア
ルキルエステル共重合体やエチレン・不飽和カルボン酸
アルキルエステル・マレイン酸共重合体などの存在下
に、他の極性モノマー、例えぱアクリロニトリルや、芳
香族オレフィン、例えばスチレンなどを共重合したグラ
フト共重合体を挙げることができる。
【0024】共重合体(B1、B2)の190℃、21
60g荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、
0.1乃至100g/10分、好ましくは0.2乃至5
0g/10分である。
【0025】オレフィン・不飽和カルボン酸アルキルエ
ステル系共重合体(B1、B2)も、オレフィン及び不
飽和カルボン酸アルキルエステル或いは更に他の極性モ
ノマーを、高温、高圧下でラジカル共重合させることに
よって得ることができる。また、極性モノマー成分は、
ランダム重合のみならず、グラフト共重合によっても共
重合体中に導入することができる。
【0026】[他の熱可塑性樹脂]本発明の樹脂組成物
には、前述した共重合体(A)及び共重合体(B1及び
/または)に加えて、それ以外の熱可塑性樹脂(C)を
配合することができる。このような熱可塑性樹脂(C)
としては、共重合体(A)及び共重合体(B1、B2)
以外のエチレン系重合体が適している。
【0027】エチレン系重合体の適当な例としては、高
・中・低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン
共重合体などが挙げられる。ポリエチレンは、高圧法、
中圧法、低圧法で製造されたものであってもよく、また
いかなる触媒系を使用して製造されたものでもよいが、
とくに、メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状エチレ
ン−α−オレフィン共重合体(メタロセンLLDPE)
が好ましく用いられる。エチレン系重合体の他の例とし
ては、エチレン・プロピレン共重合体やエチレン・プロ
ピレン・ジエン共重合体などが好ましく用いられ、さら
に、前述した極性モノマーを含有するエチレン系重合
体、例えばエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチ
レン・ビニルアルコール共重合体、酸変性エチレン系重
合体などが挙げられる。このタイプのエチレン系重合体
はエチレン含有量30モル%以上で、極性モノマー含有
量が0.1〜70モル%のものが好ましい。エチレン系
重合体の更に他の例として、エチレン単位を含む芳香族
基含有共重合体を挙げることができる。例えばエチレン
・スチレン共重合体や、スチレン・ブタジエン・スチレ
ンブロック共重合体の水素添加によって得られるスチレ
ン・エチレン/ブテン・スチレンブロック共重合体(S
EBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共
重合体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン
/プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)
やスチレン・ブタジエン・イソプレン・スチレン共重合
体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン・エ
チレン/プロピレン・スチレンブロック共重合体(SE
EPS)などを好適例として挙げることができる。この
ような共重合体では、スチレン単位を2〜55モル%含
有するものが好適である。上に例示した芳香族基含有共
重合体は、エチレン・酢酸ビニル系共重合体(A)やオ
レフィン・不飽和カルボン酸アルキルエステル系共重合
体(B1、B2)との相溶性に優れている。
【0028】上記熱可塑性樹脂(C)の230℃、21
60g荷重におけるMFRは、一般に0.1〜100g
/10分の範囲にあることが好ましい。
【0029】[ベース樹脂組成物]本発明に用いる好適
なベース樹脂の一例では、エチレン及び酢酸ビニル或い
は更に他の極性基含有モノマーから成る共重合体(A)
30乃至98重量%、好適には40乃至95重量%、及
びオレフィン及び不飽和カルボン酸エステルから成る共
重合体(B1)70乃至2重量%、好適には60乃至5
重量%を含有する。好適なベース樹脂の他の例では、エ
チレン及び酢酸ビニル或いは更に他の極性基含有モノマ
ーから成る共重合体(A)70乃至99重量%、好適に
は75乃至95重量%、及びオレフィン、不飽和カルボ
ン酸エステル及び他の極性基含有モノマーから成る共重
合体(B2)30乃至1重量%、好適には25乃至5重
量%を含有する。好適なベース樹脂の更に他の例では、
エチレン及び酢酸ビニル或いは更に他の極性基含有モノ
マーから成る共重合体(A)20乃至98重量%、好適
には25乃至95重量%、オレフィン及び不飽和カルボ
ン酸エステルから成る共重合体(B1)50乃至1重量
%、好適には45乃至3重量%、及びオレフィン、不飽
和カルボン酸エステル及び他の極性基含有モノマーから
成る共重合体(B2)30乃至1重量%、好適には25
乃至2重量%を含有する。また、上記以外の熱可塑性樹
脂(C)はベース樹脂当たり50重量%以下、好適には
40重量%以下の量で含有させることができる。
【0030】エチレン・酢酸ビニル系共重合体(A)の
混合比が上記範囲を下回ると、無機化合物配合樹脂組成
物の耐擦傷性が上記範囲内にある場合に比して悪くなる
傾向があり、また、ロール加工性やカレンダー加工性も
低下する傾向がある。オレフィン・不飽和カルボン酸ア
ルキルエステル系共重合体(B1、B2)の混合比が上
記範囲を下回ると、難燃性及びシェル形成性が上記範囲
内にある場合に比して低下し、また加工性も低下する傾
向があり、何れも好ましくない。また、熱可塑性樹脂
(C)の混合比が上記範囲を上回ると、共重合体(A)
及び共重合体(B1、B2)を組み合わせ使用すること
による前述した利点が減殺される傾向があるので好まし
くない。
【0031】[難燃性無機化合物]難燃性無機化合物と
しては、樹脂との組み合わせで用いて、樹脂に難燃性を
付与できる無機化合物、例えば水酸化物系乃至酸化物系
無機難燃剤、ホウ酸塩系難燃剤、錫酸塩系難燃剤、アン
チモン系難燃剤などが、単独或いは2種以上の組み合わ
せで使用される。水酸化物乃至酸化物系難燃剤として
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性
炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト型複合金属水酸
化物乃至その乾燥乃至焼成物等が挙げられる。ホウ酸塩
系難燃剤としては、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム等
が挙げられる。錫酸塩系難燃剤としては、錫酸亜鉛、ヒ
ドロキシ錫酸亜鉛などが使用される。アンチモン系難燃
剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン及び
アンチモン酸ナトリウム等が使用される。これらの難燃
性無機化合物としては、水酸化物系難燃剤、特に水酸化
マグネシウムが本発明の目的に好適なものである。
【0032】上記難燃性無機化合物の混和性、難燃樹脂
組成物から得られる成形物外観などを考慮すると、無機
化合物として、平均粒径が0.05〜20μm、とくに
0.1〜5μm程度のものを使用するのが望ましい。ま
た同様の理由で、無機化合物の表面が、脂肪酸、脂肪酸
アミド、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、脂肪族アルコー
ル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シ
リコーンオイル、リン酸エステル等で表面処理されたも
のを使用するのが好ましい。
【0033】本発明では、上記無機系難燃剤を、所望に
より、ハロゲン系難燃剤、赤リン、ポリリン酸アンモニ
ウム、リン酸エステル系難燃剤、ハロゲン化リン酸エス
テル系難燃剤等の有機系難燃剤との組み合わせで使用す
ることも可能である。更に、上記難燃性無機化合物は、
難燃性を補助するシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、
タルク、クレイ、ゼオライト、カーボンブラック、ガラ
ス繊維などの充填剤と組み合わせで用いることもでき
る。カーボンブラックや赤リン等を必須成分としないた
め、それらを配合しない場合には、着色性に優れた組成
物が得られる。
【0034】[混合リン酸エステル]本発明に用いる混
合リン酸エステルは、少なくともリン酸モノエステルと
リン酸ジエステルとを含有するものであり、リン酸トリ
エステルは含有されていなくても、或いは微量乃至少量
含有されていてもよい。このリン酸エステルは、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルであるこ
とが好ましい。
【0035】このリン酸エステルは、下記一般式(1) 式中、Rは炭素数8乃至30のアルキル基であり、nは
酸化エチレンの平均付加モル数であり、mは1乃至3の
数である、で表される化学的構造を有しており、外観は
一般に液状乃至ワックスに似た固体状である。
【0036】混合リン酸エステルにおけるモノエステル
とジエステルとのモル比は、一般に0.9:0.1乃至
0.1:0.9であり、これらのモノエステルとジエス
テルとの合計量当たり10モル%以下、特に5モル%以
下のトリエステルが含有されていてもよい。
【0037】リン酸エステル混合物の好適なものとし
て、例えば、東邦化学工業(株)より製造販売され、化
粧品の乳化剤等として使用されている商品名フォスファ
ノールRL−210がある。このフォスファノールRL
−210は、同社の製品安全データシートの記載内容を
引用すると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン
酸混合エステル約80%とポリオキシエチレンアルキル
エーテル約20%からなるものである。尚、このポリオ
キシエチレンアルキルエーテルリン酸混合エステルは、
上述した通りモノ,ジ−混合エステルであり、その比率
はおよそ0.52:0.48である。
【0038】[難燃性樹脂組成物]難燃性無機化合物
(D)の配合量は、エチレン・酢酸ビニル系共重合体
(A)、エチレン・不飽和カルボン酸アルキルエステル
系共重合体(B)、その他の熱可塑性樹脂(C)等の重
合体成分の合計量100重量部に対し、25〜250重
量部、好ましくは50〜200重量部、一層好ましくは
70〜150重量部の範囲である。難燃性無機化合物の
配合量が過少であると充分な難燃性を付与することが難
しく、またその配合量が過大となると、加工性良好な組
成物を得ることが難しくなる。
【0039】混合リン酸エステル(E)の配合量は、重
合体成分の合計量100重量部に対し、0〜10重量
部、好ましくは0.05〜5重量部、一層好ましくは
0.1〜3重量部の範囲である。混合リン酸エステルの
配合量が過小であると、樹脂組成物のロール加工性やカ
レンダー加工性が不十分となる傾向があり、一方混合リ
ン酸エステルの配合量が過大になると、活性過多となる
傾向があるので好ましくない。
【0040】本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の
目的を損なわない範囲において他の重合体を配合するこ
とができる。また必要に応じ各種添加剤を配合すること
ができる。このような添加剤の例として、酸化防止剤、
光安定剤、紫外線吸収剤、難燃助剤、顔料、染料、滑
剤、ブロッキング防止剤、発泡剤、発泡助剤、架橋剤、
架橋助剤などを例示することができる。
【0041】本発明の樹脂組成物は、ヒンダードフェノ
ール系抗酸化剤を含有することが、二次加工等を可能に
する熱安定性を付与し、且つ持続滑性機能を向上させる
上で好ましい。
【0042】ヒンダードフェノール系抗酸化剤としては
様々のものが挙げられ、例えばオクタデシル3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート;ペンタエリスチリル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕;1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン;1,3,5−トリス−〔エチレン
−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕−s−トリアジン−2,4,6
−(1H,3H,5H)トリオン;1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノ
−ルブタン;4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−
t−ブチルフェノール);ヘキサメチレングリコール−
ビス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェノール)プロピオネート〕6−(4−ヒドロキシ−
3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オ
クチル−チオ−1,3,5−トリアゾール;2,2’−
チオ〔ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート〕;2,
2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ノニルフ
ェノール)などを挙げることができ、これらを単独で若
しくは混合して用いることができる。
【0043】ヒンダードフェノール系抗酸化剤は樹脂1
00重量部に対して0.01乃至1重量部、特に0.1
乃至0.3重量部の量で用いるのがよい。
【0044】本発明の難燃性樹脂組成物は、上記各成分
をバンバリーミキサー、加圧ニーダー、単軸押出機、二
軸押出機、ロール等の自体公知の混練機で溶融混練し、
必要に応じてペレット化するなどの工程を径て、ロール
成形、カレンダー成形などの目的物に応じた成形加工手
段で難燃性樹脂成形品とされる。また、電子線照射によ
る架橋も可能である。
【0045】
【実施例】本発明を、次の実施例を挙げて更に説明する
が、以下の実施例に制限されるものではない。以下の実
施例で使用した材料及び試験方法は次の通りである。
【0046】1.使用樹脂 1)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA) EVA−1 エチレン/酢酸ビニル=81/19(重量
%) MFR 2.5(g/10分) EVA−2 エチレン/酢酸ビニル=72/28(重量
%) MFR 1.0(g/10分) 2)酸エステル共重合体 共重合体−1 エチレン/エチルアクリレート=91/
9(重量%) MFR 5.0(g/10分) 共重合体−2 エチレン/エチルアクリレート=85/
15(重量%) MFR 0.5(g/10分) 共重合体−3 エチレン/ブチルアクリレート/一酸化
炭素=60/30/10(重量%) MFR 8(g/10分) 共重合体−4 ブタジエン/エチルアクリレート/アク
リロニトリル=5/15/80(重量%) MFR 0.4(g/10分) 3)ポリオレフィン(PO) 商品名 エポリューSP2040 三井化学製 密度9
18kg/m MFR 4(g/10分) 4)難燃性無機化合物 水酸化マグネシウム 平均粒径 0.7μm 5)酸化防止剤 商品名 イルガノックス1010(I
r1010)(チバスペシャリティ・ケミカルズ株式会
社製) 6)加工助剤 混合リン酸エステル 商品名 フォスファノールRL−
210(東邦化学工業株式会社製)
【0047】2.物性評価方法 1)加工性の評価として、MFR及びロール加工性の評
価を行った。 A)MFR JIS K6760(1981)試験法に準拠して測定 測定条件:190℃、2160g荷重 B)ミキシングロール評価条件 6インチミキシングロールを用いてロール加工性を評価
した。 ・加工条件 ロール表面温度:160℃/160℃ ロール回転比 :1:1.2(フロントロール20rp
m) 材料仕込量 :120g/パッチ 混練時間 :10分 ・判定方法 a) 離ロール性:V字カット=フロントロールに樹脂
を巻付かせ、真鍮ヘラでカットした時の剥離状況及び、
距離。 判定 4:カット部がロールから自重で80%以上剥離
する 3:カット部がロールから自重で60〜80%剥離する 2:カット部がロールから自重で40〜60%剥離する 1:カット部がロールから自重で40%以下剥離する b) 剥離点:=フロントロール断面の円盤時計をイメ
ージした離ロール点での剥離性。 判定 4:5′00″〜6′00″ 3:4′00″〜5′00″ 2:3′00″〜4′00″ 1:<3′00″ c) プレーアウト=ミキシングロール表面への付着物
有無。 判定 4:なし 1:あり d) 揮発分=揮発分、発煙の有無。 判定 4:なし 1:あり e) ロール/カレンダー加工性の総合判定 ◎:(a)〜(d)の合計が16 ○:(a)〜(d)の合計が13−15 △:(a)〜(d)の合計が10−13 ×:(a)〜(d)の合計が10未満 ◎、○を高速、良加工性タイプと判定
【0048】2) 難燃性 難燃性の指標として酸素指
数をJIS K7201に準拠して測定した。更に燃焼
時の殻の作りやすさを目視にて観察した。 ◎ 強固な殻を形成する ○ 殻を形成する △ 殻を形成するも脆い × 殻を形成しない、もしくは殻を形成しにくい 酸素指数が35を超えるものについては、併せてUL9
4垂直試験を実施した。 3)機械強度 実用性の指標として機械強度(破断点強度、伸び)をJ
IS K6760(1981)に準拠して測定を行った
【0049】[実施例1、2]エチレン・酢酸ビニル共
重合体、酸エステル系共重合体、難燃性無機化合物及び
その他添加剤を表1で示す割合で配合し、6インチミキ
シングロールで加熱、混練後ロール成形性(離ロール
性:V字カット、剥離点)、プレートアウト、揮発分の
評価を行った。ロール成形後の分出しシートを用い、1
80℃でプレス成形することにより、3mmシートを作
成し、難燃性(酸素指数:OI)の評価を実施した。ロ
ール成形性(離ロール性、プレートアウト、揮発分)、
難燃性の評価結果を表1に併記する。表1の結果から明
らかなように、実施例により得られた本発明の重合体組
成物は容易にかつ高速でロール加工を行うことができ
た。難燃性も極めて良好であり、燃え難さのみならず、
殻の形成性も優れていた。
【0050】[実施例3]実施例2と同様の原料に加工
助剤である混合リン酸エステル添加剤を表1に示す配合
比で添加した。極微量のリン酸エステル添加剤の添加に
より、難燃性を始めとする特性を損ねること無く、さら
にロールの加工性が向上した。
【0051】[実施例4]一般的にエチレン・不飽和エ
ステル共重合体単独では、融点が100℃以下であり、
耐熱性の一つの目安である100℃での使用が難しい。
実施例4で得られる樹脂組成物を、JIS K7212
(1999)に基づく耐熱性評価(100℃×48時間
の熱老化テスト)を行った結果、外観上の変化がみられ
ず、且つ強度及び伸びの残率が何れも80%以上保持さ
れるなど実用的な耐熱性を有していることが確認され
た。実施例4の組成物は、難燃性、加工性、機械強度に
優れているばかりではなく、耐熱性にも優れている。
【0052】[実施例5]共重合体−3の代わりに共重
合体−4を用いて実施例−2と同様の操作および評価を
行った。実施例−2同様、加工性、難燃性に優れた難燃
性樹脂組成物が得られた。
【0053】[実施例6−8]実施例1と同様の操作で表
2に示す配合比の組成物の評価を行った。得られた難燃
性樹脂組成物は、加工性、難燃性、強度に優れている。
また、難燃性において酸素指数が35を超え、難燃性の
評価で最も厳しい評価方法である、UL94垂直試験も
V−0やV−1相当の良好な性能を有する。
【0054】[比較例1]ロールやカレンダーで加工が
可能なEVAも、難燃性無機化合物を配合すると、加工
性が悪く、また、無機系難燃剤を100重量部配合して
いるにも関わらず、難燃性が低く実用的でない。
【0055】[比較例2]比較例−1に、加工助剤であ
るリン酸エステルを配合し、同様の操作および評価を行
った。加工性改善効果はみられるものの、満足の良く加
工性は得られない。また、難燃性も低いままである。
【0056】[比較例3]実施例6の樹脂組成物をEVA
単独に代え、実施例6同様の操作を行った。得られた組
成物は、加工性、難燃性が悪く実用的ではない。
【0057】[比較例4]比較例3の難燃性を改良すべ
く、比較例3の配合物に更に難燃剤および加工助剤を添
加し、同様の操作を行った。難燃性は改良されるが、加
工性は若干改良されるに留まり、機械強度も低く実用的
ではない。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、無機化合物が配合され
ているにもかかわらず、耐擦傷性、加工性、特にロール
加工性やカレンダー加工性に優れるとともに、基体ポリ
マーが本来有している機械強度を保持し、かつ燃焼時に
おけるシェル形成性に優れたオレフィン系難燃性樹脂組
成物が提供される。また、安価な無機化合物を用いるこ
とができるため、低価格の難燃性樹脂組成物を提供する
ことができる。本発明により提供されるオレフィン系難
燃性樹脂組成物は、前述した各種の成形方法によって、
難燃性が求められるさまざまな成形品とすることができ
る。また、この難燃性樹脂組成物は電気特性に優れてお
り、電線部品等の用途に好ましく用いることができる。
このような成形品の例としては、例えば、養生マット、
マット、止水シート、トンネルシート、ルーフィング等
の土木分野、パッキング、制振シート等の家電用品、玩
具、カーペットの裏打ち材、ドアパネル防水シート、巾
木、壁紙、家具、床材、化粧フィルム、つき板、発泡シ
ート等の建材用途、自動車、船舶、航空機、一般家屋、
プラント等の分野で高度な難燃性、機械強度と耐熱性が
要求されるシート等の分野で用いられるものが挙げられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 33/04 C08L 33/04 101/00 101/00 C09K 21/02 C09K 21/02 H01B 3/00 H01B 3/00 A 3/42 3/42 D 3/44 3/44 M P (72)発明者 一関 主税 千葉県市原市有秋台西2−5 (72)発明者 青山 正貴 千葉県市原市有秋台西2−5 Fターム(参考) 4H028 AA10 AA12 AA42 BA06 4J002 AA014 BB01X BB013 BB054 BB06W BB07X BB073 BB08X BB083 BB154 BB204 BB224 BC004 BE034 BF03W BG02X BG023 BG103 BG113 BH02X BH023 DE076 DE126 DE186 DE266 DE286 DK006 EW047 FB086 FB096 FB166 FB236 FB246 FB256 FB266 FD070 FD136 GQ01 5G303 AB20 BA12 CA09 CB01 CB02 CB03 CB17 CB20 CB24 CB28 CB31 CB38 CC08 5G305 AA14 AB25 BA15 CA04 CA06 CA51 CB08 CB23 CC03 CD13

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン及び酢酸ビニル或いは更に他の
    極性基含有モノマーから成る共重合体(A)30乃至9
    8重量%及びオレフィン及び不飽和カルボン酸エステル
    から成る共重合体(B1)70乃至2重量%を含有する
    ベース樹脂組成物100重量部当たり、難燃性無機化合
    物(D)25乃至200重量部及び混合リン酸エステル
    (E)0乃至10重量部を含有して成ることを特徴とす
    る難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エチレン及び酢酸ビニル或いは更に他の
    極性基含有モノマーから成る共重合体(A)70乃至9
    9重量%、オレフィン、不飽和カルボン酸エステル及び
    他の極性基含有モノマーから成る共重合体(B2)30
    乃至1重量%を含有するベース樹脂組成物100重量部
    当たり、難燃性無機化合物(D)25乃至200重量部
    及び混合リン酸エステル(E)0乃至10重量部を含有
    して成ることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 エチレン及び酢酸ビニル或いは更に他の
    極性基含有モノマーから成る共重合体(A)20乃至9
    8重量%、オレフィン及び不飽和カルボン酸エステルか
    ら成る共重合体(B1)50乃至1重量%、及びオレフ
    ィン、不飽和カルボン酸エステル及び他の極性基含有モ
    ノマーから成る共重合体(B2)30乃至1重量%を含
    有するベース樹脂組成物100重量部当たり、難燃性無
    機化合物(D)25乃至200重量部及び混合リン酸エ
    ステル(E)0乃至25重量部を含有して成ることを特
    徴とする難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 共重合体(A)がエチレンを20〜98
    重量%、酢酸ビニルを2〜80重量%及び他の極性基含
    有モノマーを0〜40重量%含有する共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の難燃性
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 共重合体(B1)がエチレンを20〜9
    8重量%及び不飽和カルボン酸アルキルエステルを80
    〜2重量%含有する共重合体であることを特徴とする請
    求項1または3に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 共重合体(B2)がエチレンを49〜9
    8重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステルを1〜5
    0重量%及び他の極性基含有モノマーを1〜30重量%
    含有する共重合体であることを特徴とする請求項2また
    は3に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 共重合体(B2)における他の極性基含
    有モノマーが、不飽和カルボン酸、その無水物、そのグ
    リシジルエステル、(メタ)アクリロニトリル、或いは
    一酸化炭素であることを特徴とする請求項6に記載の難
    燃性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 共重合体(B2)がブタジエンを0.1
    〜10重量%、不飽和カルボン酸エステルを5〜50重
    量%及び(メタ)アクリロニトリルを40〜95重量%
    含有する共重合体であることを特徴とする請求項2また
    は3に記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 共重合体(A)、共重合体(B1)及び
    共重合体(B2)以外の他の熱可塑性樹脂(C)を更に
    含有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記
    載の樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記熱可塑性樹脂が不飽和カルボン酸
    変性エチレン系重合体、直鎖状エチレン・α−オレフィ
    ン共重合体、エチレン−ビニールアルコール共重合体ま
    たは芳香族基含有エチレン系共重合体であることを特徴
    とする請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 難燃性無機化合物(D)が、水酸化マ
    グネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト
    型複合水酸化物、塩基性炭酸マグネシウムまたはこれら
    の表面を脂肪酸アミド、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、チ
    タンカップリング剤もしくはシランカップリング剤で処
    理したものの少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項1乃至10の何れかに記載の難燃性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 混合リン酸エステル(E)が少なくと
    もモノエステルとジエステルとを含む混合エステルであ
    ることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の
    難燃性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 混合リン酸エステル(E)がポリオキ
    シエチレンアルキルエーテルリン酸エステルであること
    を特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
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