JP2005298807A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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敏幸 前田
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Abstract

【課題】 加工性、機械物性、難燃性、非ドリップ性等に優れ、電線被覆材料や建築材料として好適な難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 メルトフローレートが0.01〜25g/10分のエチレン系共重合体を主成分とし、中和度が5〜60モル%、メルトフローレートが1〜500g/10分のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体マグネシウムアイオノマーを副成分とする樹脂成分100重量部に対し、20〜300重量部の金属水和物を配合した難燃性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン系共重合体をベース樹脂とする難燃性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、エチレン系共重合体の本来的に有する好ましい諸物性を実質的に損なうことなく、優れた難燃性と非ドリップ性が付与された、難燃シートや難燃電線被覆材などとして好適な難燃性樹脂組成物に関する。
電線や通信線などの難燃被覆材あるいは難燃性建築材料などの用途においては、ノンハロゲン化の要請に伴い、オレフィン系樹脂をベース樹脂として、これに水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの金属水和物を配合した難燃コンパウンドが広く使用されるようになってきた。中でもエチレン・ビニルエステル共重合体やエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体はフィラー充填性が良好であるところから、このようなベース樹脂として広く使用されている。しかしながら高度な難燃性を得るためには金属水和物を多量に配合する必要があり、このためしばしばエチレン系共重合体の優れた特性である加工性や機械物性の低下が余儀なくされていた。
金属水和物の配合量を減じても高度な難燃性を得る処方として、本出願人は先にエチレン系重合体としてエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーを使用する提案を行なった(特許文献1)。この提案においては、これら重合体とエチレン・ビニルエステル共重合体やエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体などとの混合使用についても述べられているが、混合使用の具体例としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を主成分とする配合例が開示されているだけであった。また燃焼試験の最も厳しい規格であるUL耐炎性試験については、記載がされていなかった。
特開2003−192849号公報
本発明者らは、エチレン・ビニルエステル共重合体やエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体が優れた加工性及び機械物性を有していることに着目し、その物性を実質的に損なうことなく、これらを主成分とし、しかもUL94耐炎性試験準拠の垂直燃焼性試験において、3mm厚の試験片でV−0相当の難燃性を達成できるような配合処方を見出すべく、鋭意検討を行なった。その結果、上記のようなエチレン系共重合体に、特定のアイオノマー樹脂と特定の難燃剤を特定割合で配合することにより、所望特性を有する難燃性樹脂組成物が得られることを見出すに至った。したがって本発明の目的は、加工性、機械物性、難燃性に優れ、難燃電線被覆材や難燃建築材料として好適に使用できる難燃性樹脂組成物を提供することにある。
すなわち本発明は、中和度が5〜60%、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が1〜500g/10分であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマー(A−1)0.1重量部以上50重量部未満及びメルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が0.01〜25g/10分であるエチレン系共重合体(A−2)50重量部越え99.9重量部以下からなる混合成分100重量部に対し、金属水和物(B)20〜300重量部を配合してなる難燃性樹脂組成物に関する。
本発明の好適態様によれば、上記難燃性樹脂組成物において、マグネシウムアイオノマー(A−1)とエチレン系共重合体(A−2)の合計量100重量部に対して、さらに不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたオレフィン系重合体(a)及び不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたスチレン系重合体(b)から選ばれる少なくとも一種の変性重合体が、25重量部以下の割合で配合される。
本発明によれば、加工性、機械物性、難燃性、非ドリップ性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することができる。具体的には、配合処方を適宜選択することにより、UL94耐炎性試験準拠の垂直燃焼試験において、3mm厚試験片でV−0相当の難燃性を達成することが可能である。さらに本発明の好適態様によれば、UL94耐炎性試験準拠の垂直燃焼試験において、1mm厚試験片でV−0相当の難燃性を達成することが可能である。また引張破断強度(JIS K6760)が2MPa以上、好ましくは5MPa以上、引張破断伸び(JIS K6760)が100%以上、好ましくは120%以上の難燃性樹脂組成物を容易に得ることができる。このような難燃性樹脂組成物は、高度な難燃性が要求される分野、例えば玩具、ホース、シート、テープ、壁紙、電線被覆材、建材などの用途に有効に利用することができる。より詳細には、例えば、玩具、人工芝、マット、止水シート、トンネルシート、ルーフィング等の土木分野、ホース、チューブ等のパイプ用途、パッキング、制振シート等の家電製品、カーペット等の裏打ち材、ドアパネル防水シート、泥よけ、モール等の自動車用途、壁紙、家具、床材、発泡シート等の建材用途、配線ケーブル、通信ケーブル、機器用ケーブル、電源コード、プラグ、耐火ケーブル、制御・計装ケーブル、収縮チューブ等のケーブル用途、粘着テープ等の接着用途等の分野で使用することができる。
本発明において用いられるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマー(A−1)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部をマグネシウム(イオン)により中和してなるものであって、その中和度が5〜60モル%、好ましくは10〜50モル%、特に好ましくは15〜40モル%、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが1〜500g/10分、好ましくは1〜100g/10分、特に好ましくは1〜50g/10分のものである。マグネシウムアイオノマーとして中和度が上記範囲より小さいものを使用する場合あるいはマグネシウムアイオノマーの代わりにエチレン・不飽和カルボン酸共重合体や他のアイオノマーを使用する場合には、高度の難燃性を有する樹脂組成物を得ることが難しい。また中和度が上記範囲より大きいものを使用すると、加工性に優れた樹脂組成物を得ることが難しい。さらにマグネシウムアイオノマー(A−1)として上記のようなメルトフローレートのものを使用することにより、加工性、難燃性、機械的特性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
上記マグネシウムアイオノマー(A−1)のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、不飽和カルボン酸単位含量が好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、とくに好ましくは10〜25重量%のものが使用される。不飽和カルボン酸単位含量がこのような範囲のものを使用することにより、難燃性、機械的特性、加工性等に優れた難燃性樹脂組成物を容易に得ることができる。
ベースポリマーとして使用される上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレンと不飽和カルボン酸からなる2元共重合体のみならず、他の極性モノマーやスチレン系モノマーなどを共重合成分として含む多元共重合体であってもよい。共重合体を構成する不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などを例示することができる。これらの中では、とくにアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
また上記共重合体の任意共重合成分である他の極性モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステルなどを例示することができる。またスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルイソプロペニルトルエンなどを例示することができる。
例えば上記のような他の極性モノマーは、共重合体の柔軟性付与には効果的であり、その単位含量は、例えば30重量%以下、とくに20重量%以下程度であることが好ましい。
このようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
本発明においては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A−1)と共に、(A−1)以外のエチレン系共重合体(A−2)が使用される。エチレン系共重合体(A−2)は、エチレンを主体とし、これに極性モノマー又は炭素数3以上のα−オレフィンを共重合させたものである。
好適なエチレン系共重合体(A−2)の例として、エチレンと不飽和エステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸N、N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチルのようなアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチルのようなメタクリル酸エステル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を例示することができる。このような共重合体は、さらにアクリルアミド、一酸化炭素のような他の極性モノマーがさらに共重合されたものであってもよい。これら共重合体の中では、加工性、機械特性、フィラー充填性などを考慮すると、エチレン・酢酸ビニル共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を使用するのが好ましい。
上記エチレン・不飽和エステル共重合体は、通常不飽和エステル単位含量が1〜50重量%、好ましくは5〜46重量%、その他モノマー単位が通常0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%の割合で共重合されているものである。とくに上記共重合体がエチレン・酢酸ビニル共重合体の場合は、酢酸ビニル単位含量が5〜50重量%、好ましくは15〜46重量%、さらに好ましくは25〜46重量%のものを使用するのがよい。また上記共重合体がエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の場合は、(メタ)アクリル酸エステル単位含有量が、1〜50重量%、好ましくは8〜40重量%、さらに好ましくは8〜30重量%のものを使用するのがよい。上記共重合体としてはまた、難燃性、加工性、機械強度などを考慮すると、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが通常0.01〜25g/10分、好ましくは0.01〜10g/10分、さらに好ましくは0.05〜5g/10分のものを使用するのが望ましい。
このようなエチレン・不飽和エステル共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
エチレン系共重合体(A−2)の他の好適例として、エチレンと炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンとの共重合体を挙げることができる。これらはいかなる触媒系で製造されたものであってもよく、例えば過酸化物触媒による高温、高圧下でのラジカル重合、あるいは高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物成分とからなるマルチサイト触媒系やシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個以上有するジルコニウムの化合物からなる触媒成分と有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分とからなるシングルサイト触媒系でエチレンとα−オレフィンを共重合することによって製造されるたものであってもよい。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体としては、製造方法や共重合体のα−オレフィン含量に応じ種々の密度のものが使用可能であるが、一般には密度(JIS K7112−D法)が870〜970kg/m程度、とくに890〜960kg/m、とりわけ900〜950kg/mのエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体を使用することが好ましい。また加工性及び実用物性を考慮すると、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、とくに0.2〜10g/10分のものの使用が好ましい。
上記エチレン系共重合体(A−2)は1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また共重合体(A−2)の一部として、上記共重合体が不飽和シラン化合物などで変性されたものを使用することもできる。
本発明においては、難燃剤として金属水和物(B)が使用される。金属水和物(B)
として具体的には水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどを例示することができる。これらの中では水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの使用が好ましい。
金属水和物(B)としては、例えば粒径が0.05〜20μm、好ましくは0.1〜5μm程度のものを使用するのがよい。金属水和物(B)としてはまた、樹脂成分への分散性の点から、表面処理剤で処理されているものを使用することが好ましい。このような表面処理剤としては、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、例えばカプリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノール酸ナトリウムなど、高級脂肪酸、例えばカプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸など、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール、チタンカップリング剤、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルバイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなど、シランカップリング剤、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、シリコンオイル、各種リン酸エステルなどを例示することができる。
本発明においてマグネシウムアイオノマー(A−1)と上記エチレン系共重合体(A−2)は、前者0.1重量部以上、50重量部未満、好ましくは0.1〜20重量部、一層好ましくは0.5〜10重量部であるのに対し、エチレン系共重合体(A−2)が50重量部を越え99.9重量部以下、好ましくは80〜99.9重量部、一層好ましくは90〜99.5重量部(両者の合計で100重量部)の割合で使用される。このような配合割合とすることにより、エチレン系共重合体(A−2)の優れた特性、例えば加工性や機械特性を生かすことができると共に、これらの特性を大きく犠牲にすることなく、金属水和物(B)を多量に配合することが可能となり、また高度の難燃性を達成することができる。
金属水和物(B)は、上記マグネシウムアイオノマー(A−1)とエチレン系共重合体(A−2)の合計100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは50〜270重量部、一層好ましくは110〜250重量部の割合で配合される。金属水和物(B)の好適な配合割合は、マグネシウムアイオノマー(A−1)とエチレン系共重合体(A−2)の種類や配合割合などによっても異なるが、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重で測定した樹脂組成物のメルトフローレートが0.1〜300g/10分、好ましくは0.2〜100g/10分の範囲であって、UL−94準拠難燃試験でV−0相当の難燃性を有するように選ぶのがよい。
上記マグネシウムアイオノマー(A−1)、エチレン系共重合体(A−2)及び金属水和物(B)からなる難燃性樹脂組成物の難燃性を一層改善するために、(A−1)と(A−2)の合計量100重量部に対し、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたオレフィン系重合体(a)及び不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたスチレン系重合体(b)から選ばれる少なくとも一種の変性重合体を25重量部以下、好ましくは0.5〜25重量部、とくに好ましくは1〜10重量部の割合で配合するのが有効である。
不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたオレフィン系重合体(a)は、樹脂状あるいはエラストマー状のオレフィン系重合体を不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性又は共重合変性したものである。ベースポリマーとなるオレフィン系重合体は、オレフィンの単独重合体、2種以上のオレフィンの共重合体、オレフィンと極性モノマーの共重合体などである。具体的には、樹脂状オレフィン重合体として、高、中、低密度ポリエチレン、上記(A−2)成分として例示したエチレン・α−オレフィン共重合体、上記(A−2)成分として例示したエチレン・不飽和エステル共重合体などのエチレン系共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ−1−ブテンなどを挙げることができる。またエラストマー状オレフィン重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴムのようなエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムのようなエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体ゴム、規則性を制御したポリプロピレンにエチレン・プロピレン共重合体部を共重合したブロック共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体ゴム、エチレン・アクリル酸メチル・架橋サイトモノマー共重合体ゴムなどを挙げることができる。上記各共重合体におけるα−オレフィンとしては、炭素数2〜12程度のものが好ましい。
不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたスチレン系重合体(b)は、樹脂状あるいはエラストマー状のスチレン系重合体を不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性又は共重合変性したものである。ベースポリマーとなるスチレン系重合体としては、例えばポリスチレン、スチレン・ジエンブロック共重合体及びその水素添加物を挙げることができる。スチレン・ジエンブロック共重合体及びその水素添加物の具体例としては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)及びその水素添加物であるスチレン・エチレン/ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)及びその水素添加物であるスチレン・エチレン/プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレン・エチレン/プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEEPS)などを挙げることができる。
上記ベースポリマーのオレフィン系重合体やスチレン系重合体の変性に用いる不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物を例示することができる。変性されたオレフィン系重合体(a)やスチレン系重合体(b)におけるグラフトモノマー単位あるいは共重合モノマー単位の含有量は、変性重合体を基準として好ましくは0.01〜20重量%、とくに好ましくは0.1〜5重量%である。上記変性重合体としてはまた、ベースポリマーがエチレン系重合体の場合は、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、とくに0.2〜10g/10分のものを使用するのが好ましい。また変性重合体のベースポリマーがプロピレン系重合体やスチレン系重合体の場合は、JIS K7210−1999、230℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、とくに0.2〜10g/10分のものを使用するのが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、他の熱可塑性樹脂あるいは他の難燃剤や各種添加剤を配合することができる。このような他の難燃剤の例として2価金属化合物、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの化合物、具体的には珪酸金属塩、ホウ酸金属塩、炭酸塩などを例示することができる。またその他添加剤の例として、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、ゼオライト、カーボンブラックなどの他の無機充填剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃助剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、発泡剤、発泡助剤、架橋剤、架橋助剤などを例示することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、マグネシウムアイオノマー(A−1)、エチレン系共重合体(A−2)及び金属化合物(B)、必要に応じさらに他の樹脂、他の難燃剤あるいは各種添加剤を溶融混練することによって調製することができる。用いられる溶融混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロールなどが挙げられる。溶融混練は、通常、100〜300℃の温度で30秒〜1時間行われる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例及び比較例において用いた原料及び得られた樹脂組成物の物性評価方法は次の通りである。
1.原料
(1)アイオノマー
(イ)MgIO−1:メタクリル酸単位含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のマグネシウムアイオノマー、中和度20%、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重、以下同じ)15g/10分
(ロ)MgIO−2:アクリル酸単位含量15重量%のエチレン・アクリル酸共重合体のマグネシウムアイオノマー、中和度20%、メルトフローレート15g/10分
(ハ)MgIO−3:メタクリル酸単位含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のマグネシウムアイオノマー、中和度30%、メルトフローレート7g/10分
(ニ)NaIO−1:メタクリル酸単位含量11重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマー、中和度38%、メルトフローレート10g/10分
(ホ)ZnIO−1:メタクリル酸単位含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体の亜鉛アイオノマー、中和度21%、メルトフローレート16g/10分
(2)エチレン・酢酸ビニル共重合体
(イ)EVA−1:酢酸ビニル単位含量33重量%、メルトフローレート0.2g/10分のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(ロ)EVA−2:酢酸ビニル単位含量28重量%、メルトフローレート1g/10分のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(ハ)EVA−3:酢酸ビニル単位含量28重量%、メルトフローレート4g/10分のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(3)変性EVA:酢酸ビニル単位含量19重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体の無水マレイン酸グラフト変性物(無水マレイン酸単位グラフト量1重量%、メルトフローレート2.9g/10分)
(4)難燃剤
(イ)水酸化アルミニウム:ハイジライトH−42S(昭和電工社製)
(ロ)水酸化マグネシウム:キスマ5A(協和化学工業社製)
(5)酸化防止剤
イルガノックス1010(チバスペシャルティケミカル社製)
2.物性評価方法
(1)加工性
メルトインデクサー(JIS K7210−1999法、190℃、10kg荷重)から得られる難燃性樹脂組成物のストランドを目視観察し、次の基準により評価した。
○:肌荒れなし
△:多少肌荒れしている
×:肌荒れしている(又はメルトインデクサーから流出せず)
(2)機械物性
引張破断点強度及び破断点伸びをJIS K6760法により測定した。
(3)燃焼性
UL94燃焼試験機(スガ試験機社製)を用い、試料片の厚み3mm(実施例7のみ1mm)でUL94垂直燃焼試験を行ない、評価した。また燃焼時のドリップは目視観察した。
[実施例1〜7、比較例1〜6]
表1に示す割合でアイオノマーとエチレン・酢酸ビニル共重合体(実施例7ではさらに変性EVA)を予めヘンシェルミキサーでブレンドした後、L/Dが28の一軸押出機を用い、樹脂温度160℃で2分間、溶融混練してペレタイズした(実施例1〜7、比較例1〜4)。次に得られた混練樹脂のペレット(比較例5〜6においてはエチレン・酢酸ビニル共重合体のペレット)と表1に示す量の難燃剤及び酸化防止剤を、加圧ニーダーを用い、樹脂温度180℃で20分間混練し、ロールでシーティングした後、ペレタイズして難燃性樹脂組成物を得た。
さらに、得られた組成物ペレットを熱板温度160℃に設定したプレス成形機にて、圧力100kg/cm(ゲージ圧)の条件で10分間プレス成形し、厚さ1mm及び3mmの150mm角のプレスシートを作成した。
上記難燃性樹脂組成物及びそのプレスシートを前記評価方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005298807

Claims (8)

  1. 中和度が5〜60モル%、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が1〜500g/10分であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウムアイオノマー(A−1)0.1重量部以上50重量部未満及びメルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が0.01〜25g/10分であるエチレン系共重合体(A−2)50重量部越え99.9重量部以下からなる混合成分100重量部に対し、金属水和物(B)20〜300重量部を配合してなる難燃性樹脂組成物。
  2. マグネシウムアイオノマー(A−1)のベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の不飽和カルボン酸単位含量が、2〜30重量%である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. エチレン系共重合体(A−2)が、エチレン・ビニルエステル共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 金属水和物(B)が、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜3記載の難燃性樹脂組成物。
  5. マグネシウムアイオノマー(A−1)とエチレン系共重合体(A−2)の合計量100重量部に対して、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたオレフィン系重合体(a)及び不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたスチレン系重合体(b)から選ばれる少なくとも一種の変性重合体を25重量部以下の割合で配合されてなる請求項1〜4記載の難燃性樹脂組成物。
  6. UL94耐炎性試験準拠の垂直難燃性試験において、3mm厚の試験片でV−0相当の難燃性を有する請求項1〜5記載の難燃性樹脂組成物。
  7. UL94耐炎性試験準拠の垂直難燃性試験において、1mm厚の試験片でV−0相当の難燃性を有する請求項5記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 引張破断点強度(JIS K6760)が2MPa以上、引張破断点伸び(JIS K6760)が100%以上である請求項1〜7記載の難燃性樹脂組成物。
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