JP3880832B2 - 吊戸用ガイドローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として引戸式の吊戸における下面に沿って配置され床面や下枠などに配置されたガイドレールに沿って配置されるガイドローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、吊戸については、下端面に形成したガイド溝を床面や下枠などに突設したガイド突起に嵌装させることにより移動方向の案内をするものが主であったが、このようなガイド機構は開閉時にガイド溝とガイド突起との間に摩擦力が作用するとともに、ガイド突起で支持することから前後に振れたり円滑な開閉が困難であった。
【0003】
そこで、引戸の下端面に沿ってガイドローラを取り付け、ガイドローラの車輪を床面や下枠などに配置したガイドレールに嵌め込んで走行させることにより吊戸の開閉を円滑に行うことが行われている。
【0004】
そして、近頃は建て付け時に専門の職人がおらず、工場でガイドローラを始めとして各種部品を装着した状態の完成品として製作、販売されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記工場でガイドローラを装着した吊戸は、ガイドローラの一部が吊戸の下端面より突出した状態に装着される。そのため、保管時や搬送時に突出したガイドローラが邪魔になり、効率よく包装したり、保管、搬送がきわめて困難であった。
【0006】
また、従来のガイドローラは、吊戸を建て付けたときに床面や下枠などに設置されたガイドレールに嵌め込んで使用することから車輪の取り付け位置を少なくとも上下方向に調節可能としなければならず、機構が複雑であり、生産面並びに経済面でも不利である。
【0007】
更に、前記従来の車輪を有するガイドローラは、吊戸の下端面に取付用の彫込溝を形成する必要があり、多量生産に向いていない、という問題もあった。
【0008】
本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、保管、運搬時には取り付けた吊戸の下端面から突出することなしに邪魔になることがなく、取り付け時の上下方向の調整を必要としないばかりか吊戸への取り付けが簡単で吊戸の多量生産にも適したガイドローラを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、下方に開口を有するとともに一方の外周端縁に沿って取付け用のフランジが拡設されている円弧状ケースと、前記円弧状ケース内に一端が軸着されるとともに他端に車輪が軸着された内ケースと、前記車輪を前記開口から突出させる方向に前記内ケースを付勢するために前記円弧状ケース内に装着された弾性体と、前記内ケースを内側に回動させて前記車輪を前記円弧状ケース内に収納したとき前記車輪を所定位置に保持させておくための前記円弧状ケース内に配設された弾性係止部とを有し、前記車輪と弾性係止部との係脱により、前記車輪を円弧状ケース内に収納する上昇位置と前記車輪を円弧状ケースの開口から突出する下降位置とに変換することができることを特徴とする。
【0010】
保管時ならびに搬送時には、車輪を円弧状ケース内に収納し、建て付け時には、車輪を円弧状ケースの開口から突出させて床面や下枠などに配置したガイドレールに嵌め込んで走行させる。このとき、弾性体の付勢力により車輪を下方へ付勢することで車輪とガイドレールとが常時接触状態となり、車輪の上下方向の調節を不要とする。
【0011】
また、吊戸への取付部を下方に開口を有する円弧状ケースとすることにより、所定の径を有する回転切削工具のような工具により、吊戸における裏側の側面に、所定径と所定の深さを有する円弧状取付溝を形成するだけの簡単な作業で取り付けができ、多量生産にも適している。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図面は本発明の好ましい実施の形態の一例を示すものであり、ガイドローラ1は下方に開口21を有するとともに一方の側壁22の外周端縁に沿って取付け用のフランジ23が拡設されている円弧状ケース2内に、一端に軸31を有し他端に車輪4が軸着された側面が山形を有する端面コ字形の内ケース3が側壁22,24間に架設された前記軸31をにより円弧状ケース2内の偏芯位置に軸着されており、前記軸31を中心として回転する。
【0014】
また、前記内ケース3の軸31と車軸41との間に位置する頂部には透孔32が架設されているとともに、この透孔32の頭部が円弧状ケース2のフランジ23側の側壁22に形成した前記内ケース3の軸31の取付部を中心とした円弧状を呈する透窓状のガイド溝25に露出しており、図2に示すように、透孔32がガイド溝25の上昇位置にあるときに内ケース3と車輪4とが円弧状ケース2内に収納され、図3に示すように、透孔32がガイド溝25の下降位置にあるときに内ケース3と車輪4の一部が円弧状ケース2の下端に形成した開口21から突出する。特に、本実施の形態では、図5に示すように前記透孔32に嵌め込み可能な棒状の操作具33をガイド溝25から透孔32に差し込んでガイド溝25に沿って移動させることにより、内ケース3を軸31を中心として回動させて透孔32の位置を変化させることで車輪4を簡単に上昇位置と加工位置とに変化させることが可能であり、内ケース3の加工も透孔32を形成するだけでよく製造も簡単である。勿論、例えば透孔32の位置にガイド溝25に嵌合するガイドピンのような操作具を予め設けた構成であってもよい(図示せず)が、上昇位置と加工位置との変換は取り付け時などに一時的な場合が多く、本実施の形態のように透孔32を用いた場合が経済的であるとともにデザイン的にも優れており、必要であればガイド溝25をカバー体で覆った構成としてもよい(図示せず)。
【0015】
更に、前記内ケース3に設けられた前記軸31には円弧状ケース2における車輪4側の内側頂部26と、内ケース3のコ字形の連結部とに両端をそれぞれ架設したはさみバネからなる弾性体6が配設されている。この弾性体6は車輪4を下方、つまり、開口21から突出させる方向へ付勢している。
【0016】
更にまた、円弧状ケース2の前記車輪4の対向側には、前記操作具33により透孔32をガイド溝25の上昇位置として内ケース3と車輪4とを円弧状ケース2内に収納した状態のときに前記車輪4を係止する弾性係止部27とを有し、前記車輪4と弾性係止部27との係脱により、車輪4を円弧状ケース2内に収納する上昇位置と車輪4を円弧状ケース2の開口21から突出する下降位置とに変換することができる。
【0017】
特に、本実施の形態では、円弧状ケース2並びにフランジ23は適宜の硬度と適宜の弾性を有する硬質のポリアミド樹脂などにより形成され、成型時に弾性係止部27も一体に形成される。
【0018】
以上のように構成される本実施の形態であるガイドローラ1は、まず、図7(A)に示すように、取り付けようとする吊戸7の所定の位置に、ガイドローラ1の円弧状ケース2の径に等しい外径を有する回転切削工具8を用いて吊戸7の裏側の側面71に下端面72に開口した円弧状取付溝73を形成する。
【0019】
次に、図7(B)に示すように、形成した円弧状取付溝73にガイドローラ1の円弧状ケース2の部分を図7(C)に示すようにフランジ23が吊戸7の側面71に接するように嵌め込んで、フランジ23に形成したねじ孔28,28に止ねじ29,29を貫通して螺締することにより、ガイドローラ1を引戸7に取り付ける。
【0020】
このように、本実施の形態であるガイドローラ1は吊戸7における裏側の側面71側から取り付けるものであることから、所定の径を有する回転切削工具8のような工具により、吊戸7の側面71に所定径と所定の深さを有する円弧状取付溝72を形成するだけの簡単な作業で取り付けができ、工場において簡単に完成品を作成することができる。
【0021】
特に、本実施の形態は、吊戸7における裏側の側面71に取り付けることから、引戸7の表側の側面71からは全く見えることがなく、美観的にも優れているので、特に、吊戸7の裏側の側面71が露出することのない収納庫などの吊戸用として最適である。
【0022】
本実施の形態のガイドローラを取り付けた吊戸7は、工場出荷時には、透孔32を上昇位置にして、内ケース3と車輪4を円弧状ケース2内に収容した状態に拘束した図2に示した状態にすることにより、吊戸7の下端面72は内ケース3や車輪4が突出することがなく平坦であることから包装、更には保管や運搬に支障をきたす心配がない。
【0023】
そして、現場において吊戸7を建て付けるときに、透孔32を挟みバネ6の付勢力に抗して下降位置にした図3に示した状態として内ケース3と車輪4を円弧状ケース2の開口21から突出させて床面や下枠などに配置したガイドレール9に嵌め込んで走行させることにより吊戸7の開閉を円滑に行うことができる。
【0024】
このとき、鋏みバネ6の付勢力により車輪4を下方へ付勢することで車輪4とガイドレール9とが常時接触状態となる。そのため、車輪4の上下方向の調節が不要であり、建て付けに関する熟練者を必要としなくとも円滑な開閉状態で吊戸を設置することができる。
【0025】
また、本実施の形態は、吊戸7を建て付けた後で前記操作具33を用いて(c必ず専用の操作具33を用いる必要はなく、例えばドライバーのような工具でも良い)透孔32を上昇位置にすることにより、車輪4とガイドレール9との嵌装状態を解除するとともに車輪を吊戸7内に収納した状態に保持することから、着取り外しならびに再建て付けもきわめて容易に行うことができ、更に、内ケース3と車輪4を円弧状ケース2内に収容した状態とすることにより、例えばマジ記のパネルのように吊戸を引戸形式から開き戸形式に連続的に変更使用する場合にも即座に対応することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、内ケースの位置を上昇位置として車輪を弾性係止部に係止させて円弧状ケース内に収納、保持することにより完成品の吊戸の下端面に車輪などが突出することがなく、きわめて効率よく保管ならびに運搬することができる。
【0027】
また、現場での建て付け時には、車輪と弾性係止部との係合を解除させて内ケースの位置を下降位置として車輪を円弧状ケースの開口から突出させて床面や下枠などに配置したガイドレールに嵌め込むだけの簡単な作業で吊戸を円滑に安定した状態で走行させることができ、鋏みバネの付勢力により車輪を下方へ付勢することで車輪とガイドレールとが常時接触状態となり、複雑な上下調整機構を必要としないばかりか、車輪の上下方向の調節も不要である。
【0028】
また、吊戸への取付部を下方に開口を有する円弧状ケースとすることにより、所定の径を有する回転切削工具のような工具により、吊戸における裏側の側面に、所定径と所定の深さを有する円弧状取付溝を形成するだけの簡単な作業で取り付けができ、多量生産にも適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の車を収納した状態を示す側面図。
【図2】図1に示した実施の形態の車を収納した状態を示す縦断面図。
【図3】図1に示した実施の形態の車を突出した状態を示す側面図。
【図4】図1に示した実施の形態の車を突出した状態を示す縦断面図。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図。
【図6】図1に示した実施の形態の底面図。
【図7】図1に示した実施の形態の使用状態の説明図。
【符号の説明】
1 ガイドローラ
2 円弧状ケース
3 内ケース
4 車輪
6 弾性体
8 内ケース
21 開口
23 フランジ
25 ガイド溝
26 内側頂部
32 透孔
Claims (1)
- 下方に開口を有するとともに一方の外周端縁に沿って取付け用のフランジが拡設されている円弧状ケースと、前記円弧状ケース内に一端が軸着されるとともに他端に車輪が軸着された内ケースと、前記車輪を前記開口から突出させる方向に前記内ケースを付勢するために前記円弧状ケース内に装着された弾性体と、前記内ケースを内側に回動させて前記車輪を前記円弧状ケース内に収納したとき前記車輪を所定位置に保持させておくための前記円弧状ケース内に配設された弾性係止部とを有し、前記車輪と弾性係止部との係脱により、前記車輪を円弧状ケース内に収納する上昇位置と前記車輪を円弧状ケースの開口から突出する下降位置とに変換することができることを特徴とする吊戸用ガイドローラ。
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