JP4686034B2 - レール高さ調整ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レールの高さを調整するレール高さ調整ユニットに関し、引戸等の戸の円滑な開閉が行えるように開発されたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来における引違い戸等の戸においては、施工時において、戸車レールが設置される設置部、例えば敷居等が傾いていると、これに設置された戸車レールも水平度が出ず、その結果、引違い戸の開閉が円滑に行い難くなるという問題がある。
また、設置後においても、戸車レールの摩耗の度合いが戸車レールの長手方向位置で異なる(通常、中央部寄りが両端部寄りに比べて摩耗し易く、沈み込んだのと同じような結果を招来する)と、実質的に車輪が戸車レールの条溝とマッチングしなくなり、引違い戸の開閉が円滑に行い難くなる問題と、引違い戸等が戸車レールの低い側へ動き易くなり、戸の締まり具合が悪くなるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するべく、本願発明者は、レールの高さを調整する調整ねじを備えたものを提供した(実用新案登録第3001761号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、調整ねじの軸方向に沿ってレール高さを調整するので、ねじの1回転でねじピッチ分だけレール高さが変わることになり、微調整が困難であるという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、容易にレール高さを微調整することができるレール高さ調整ユニットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、上下に貫通する止めねじによって設置部に固定されるレールの高さを調整するユニットであって、設置部に沿って配置される第1の部材と、レールを受ける第2の部材とを備え、これら第1及び第2の部材を互いに逆向きの傾斜状カム面を介して互いにスライド自在に連結してあり、操作部からの操作を受けて第1及び第2の部材を相対スライドさせることにより、第2の部材を上下させる駆動機構をさらに備え、上記駆動機構は、第1及び第2の部材の何れか一方に上下方向に沿う軸線の回りに回動自在に支持されて操作部により回動操作可能なピニオンと、他方に形成されてピニオンに噛み合うラックとを含むことを特徴とするもである。
【0006】
本発明では、操作部を操作すると、レールを受ける第2の部材が、設置部に沿う第1の部材の傾斜状カム面に沿って相対スライドしつつ上下する。傾斜状カム面の傾斜を緩やかにしておくことにより、操作部の操作量に対して第2の部材の上下量を相対的に小さくすることができ、レールの高さを容易に微調整することが可能となる。逆にいうと、調整後に、第1及び第2の部材が上下方向の荷重を受けても、両部材を相対スライドさせる力は小さくなり、従って、調整後の狂いが生じ難い。レールは戸車の車輪を転動させるためのレールであっても良いし、襖障子等を滑らすためのレールであっても良い。
【0007】
また、上記駆動機構は、第1及び第2の部材の何れか一方に上下方向に沿う軸線の回りに回動自在に支持されて操作部により回動操作可能なピニオンと、他方に形成されてピニオンに噛み合うラックとを含むので、下記の利点がある。すなわち、レールに上下に挿通する孔を設けておけば、この孔を通して上下方向からピニオンを操作することにより、第1及び第2の部材を相対スライドさせつつ、レール高さを容易に調整することができる。ラックとピニオンであれば、駆動方向を変換する機構として優れている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1において、上記ピニオンは止めねじ挿通用の挿通孔を有し、上記操作部は挿通孔に設けられることを特徴とするものである。本発明では、ピニオンを操作してレール高さを調整した後、ピニオンに止めねじを挿通して設置部にねじ込むことにより、高さ調整後のレールを容易に止定することができる。ピニオン操作用の孔と止めねじ挿通用の孔を併用して、レールに設ければ良いので、全体としての構造を簡素化でき、見栄えも良い。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1において、上記第1及び第2の部材の他方に、上下に貫通する横長溝が形成され、この横長溝の内側面に上記ラックが形成され、第1及び第2の部材の相対スライド時にピニオンが横長溝内を相対移動するようにしてあることを特徴とするものである。本発明によれば、ラックを設けた横長溝内を相対移動するようにピニオンを横長溝内に収容してあるので、全体を小型化することができ、ユニットとしての汎用性が高まる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施の形態のレール高さ調整ユニットの分解斜視図である。図1を参照して、本調整ユニット1は、上下に貫通する止めねじ2によって、設置溝等の設置部3に固定されるレール4の高さを調整するユニットである。
レール4としては、例えば下向きに開放する溝形のレールベース4aと、このレールベース4aにより受けられる図6に示すような平坦な軌道部材4bとを備えるものであっても良いし、軌道部材4bとして、戸車の車輪を転動させるための条溝等を有するものであっても良い。
【0013】
図1、図2並びに図3(a)及び(b)を参照して、調整ユニット1は、設置部3の底5に沿って配置される第1の部材6と、レールベース4aを受ける第2の部材7とを備えている。
図2を参照して、第1の部材6の上面に形成される傾斜状カム面8と、第2の部材7の下面に形成される傾斜状カム面9とは互いに逆向きをなして沿わされ、これら傾斜状カム面8,9を介して第1及び第2の部材6,7が、図3(a)及び(b)に示すように、互いに水平方向にスライド自在に連結されている。第1及び第2の部材6,7の相対スライド範囲に応じて、両部材6,7の合計高さが最小高さL〔図3(a)参照〕から最大高さH〔図3(b)参照〕まで調整されるようになっている。
【0014】
図1及び図5を参照して、両傾斜状カム面8,9の対応する側部には、互いにあいじゃくり状に噛み合うアングル部10,11がそれぞれ形成され、これにより、第1及び第2の部材6,7の相対スライドがスムーズに案内されるようになっている。第1の部材6のアングル部10は第1の部材6の長手方向の半分に形成され、第2の部材7のアングル部11は長手方向の全域に形成されている。
図1、図3(a)及び図4(b)を参照して、第1の部材6には上下に貫通すると共に長手方向に延びる横長溝12が形成されている。この横長溝12の一方の内側面13にはラック14が形成され、このラック14には横長溝12内を移動するピニオン15が噛み合わされている。
【0015】
図2及び図5を参照して、ピニオン15は、横長溝12及び第2の部材7の下面の収容凹部26に跨がって収容される主体部16を備え、この主体部16の外周に歯が形成されている。主体部16から上方に延びる延設部17が形成され、延設部17の上部には環状フランジ18が形成されている。
また、主体部16及び延設部17を上下に貫く挿通孔19が形成され、この挿通孔19の周縁部には、放射状に形成されるノッチ等の操作部N〔図4(a)参照〕が設けられる。すなわち、挿通孔19は、取車レール4の挿通孔20を挿通して設置部3にねじ込まれる止めねじ2を挿通させるための孔と、ドライバ等の外部の操作部材21(図5参照)の係合用の孔とを兼用することになる。
【0016】
図1、図2、図4(a)及び図5を参照して、ピニオン15の環状フランジ18と主体部16との間に形成される周溝22には、ピニオン15を第1の部材6に回動自在に取り付けるための取付部材として、例えばE型リング等のスナップリング23が嵌め合わされる。
第2の部材7には、ピニオン15の延設部17を挿通させるための挿通孔24が形成されている。第2の部材7の上面7aにおいて、挿通孔24の周囲は段付き状に凹まされて、周溝22に嵌められたスナップリング23を受ける座面25となっている。
【0017】
ラック14とピニオン15により、第1及び第2の部材6,7を相対スライドさせることにより、第2の部材7を上下させるための駆動機構Dを構成している。
レールの設置時には、図5に示すように、設置部3に本調整ユニット1を載置し、その上からレールベース4aを載せる。このとき、レールベース4aの挿通孔20とピニオン15の挿通孔19とを位置合わせしておく。そして、ドライバ等の操作部材21をレールベース4aの挿通孔20を通して、ピニオン15の操作部Nに係合させ、ピニオン15を回転駆動する。
【0018】
すると、第2の部材7が第1の部材6の傾斜状カム面9に沿って相対スライドしつつ上下し、レールベース4aの高さが調整できる。調整後は、図6に示すように、レールベース4a及びピニオン15の各挿通孔20,19を通して、止めねじ2を設置部3の底5にねじ込み、調整ユニット1及びレールベース4aを一体的に固定する。次いで、レールベース4a上に、敷居溝の底となる軌道部材4bを設置し、作業が完了する。
【0019】
本実施の形態によれば、傾斜状カム面8,9の傾斜を緩やかにしておくことにより、操作部材21の操作量に対して第2の部材7の上下量を相対的に小さくすることができ、レール4の高さを容易に微調整することが可能となる。逆にいうと、調整後に、第1及び第2の部材6,7が上下方向の荷重を受けても、両部材6,7を相対スライドさせる力は小さくなり、従って、調整後の狂いが生じ難い。
【0020】
また、駆動機構Dとして、ラック14とピニオン15を用いるので、上下方向からの操作で第1及び第2の部材6,7を容易に相対スライドさせることができる。
また、レールベース4aの挿通孔20を通して、ピニオン15を操作すると共に止めねじ2を取り付けるので、孔の数を少なくでき、その結果、全体としての構造を簡素化でき、見栄えも良くすることができる。
【0021】
また、ピニオン15の大部分が、ラック14を設けた横長溝12内を相対移動するように収容されるので、全体を小型化することができ、調整ユニット1としての汎用性が高まる。なお、上記の実施の形態では、駆動機構Dとして、ラックアンドピニオン機構を用い、上下方向からの操作で高さ調整するようにしたが、これに限らず、図7の参考形態に示すように、ねじ式の駆動機構D1を用いて水平方向から高さ調整するようにしても良い。
【0022】
具体的には、駆動機構D1は、第1の部材6に回動操作可能に支持される水平なねじ軸30と、このねじ軸30にねじ結合し、ねじ軸30の回動に応じて第2の部材7を伴って水平方向に移動するスライダ31とを備えている。
ねじ軸30は横長溝12を貫通している。ねじ軸30の頭部32は、横長溝12内から第1の部材6の端部に突出し、ドライバ等の外部の操作部材21を係合するための操作部Nを有している。また、ねじ軸30の先端は第1の部材6の端壁に回動自在に支持されている。
【0023】
横長溝12内においてねじ軸30の頭部32寄りに設けられた周溝には、スナップリング34が係合され、このスナップリング34と頭部32との間で第1の部材6の端壁を挟持することにより、ねじ軸30の第1の部材6に対する軸方向移動が規制されている。すなわち、ねじ軸30は第1の部材6に対して空回りするように結合されている。
一方、スライダ31は、横長溝12の内側面に当接することにより、回転が規制される一方、横長溝12内を水平方向に摺動できるようにされている。さらに、スライダ31は第2の部材7に形成される縦孔35内に上下に摺動自在に侵入した状態で、縦孔35の内周面に係合している。
【0024】
本参考形態によれば、水平方向からねじ軸30を操作することにより、前述の実施の形態と同様にして、レール高さを容易に微調整することができる。なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、第1の部材と第2の部材の上下関係は逆でも良く、その他、本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のレール高さ調整ユニットの分解斜視図である。
【図2】調整ユニットの一部破断側面図である。
【図3】(a)及び(b)は調整ユニットの動作を示す斜視図である。
【図4】(a)及び(b)は調整ユニットの平面図及び底面図である。
【図5】調整ユニットを用いてレール高さを調整する動作を示す断面図である。
【図6】調整が完了したレール構造を示す断面図である。
【図7】本発明の参考形態の調整ユニットの概略断面図である。
【符号の説明】
1 調整ユニット
2 止めねじ
3 設置部
4 レール
4a レールベース
4b 軌道部材
5 底
6 第1の部材
7 第2の部材
8,9 傾斜状カム面
12 横長溝
13 内側面
14 ラック
15 ピニオン
19,20 挿通孔
N 操作部
21 操作部材
D,D1 駆動機構
30 ねじ軸
31 スライダ
34 縦孔
Claims (3)
- 上下に貫通する止めねじによって設置部に固定されるレールの高さを調整するユニットであって、
設置部に沿って配置される第1の部材と、レールを受ける第2の部材とを備え、これら第1及び第2の部材を互いに逆向きの傾斜状カム面を介して互いにスライド自在に連結してあり、
操作部からの操作を受けて第1及び第2の部材を相対スライドさせることにより、第2の部材を上下させる駆動機構をさらに備え、
上記駆動機構は、第1及び第2の部材の何れか一方に上下方向に沿う軸線の回りに回動自在に支持されて操作部により回動操作可能なピニオンと、他方に形成されてピニオンに噛み合うラックとを含むことを特徴とするレール高さ調整ユニット。 - 上記ピニオンは止めねじ挿通用の挿通孔を有し、上記操作部は挿通孔に設けられることを特徴とする請求項1記載のレール高さ調整ユニット。
- 上記第1及び第2の部材の他方に、上下に貫通する横長溝が形成され、この横長溝の内側面に上記ラックが形成され、第1及び第2の部材の相対スライド時にピニオンが横長溝内を相対移動するようにしてあることを特徴とする請求項1記載のレール高さ調整ユニット。
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