JP3880388B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンターのエコロジー対策、低価格化等の観点から、電子写真プロセスにおいて、ローラー帯電やブラシ帯電による接触帯電工程を行い、かつクリーニング工程を設けないシステムが主流となっている。しかしながら、このような帯電工程を採用するとローラーやブラシ等の帯電部材が感光体に強く押し付けられるため、特に低温低湿下における帯電部材や感光体表面へのトナー汚染が生じやすく、感光体の表面電位の低下により画質が悪化しやすい。このため、各種有機微粒子や無機微粉体の添加が検討されている(特開平4−274249号公報)が、クリーニング工程を有しないシステムにおいてはさらなる性能向上が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、接触帯電工程を有し、かつクリーニング工程を有していない画像形成方法においても帯電部材や感光体へのトナー汚染が生じることなく、高品質な画像を連続して得ることができる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂、着色剤及びアルミノシリケート粒子を含有してなり、静電荷像保持体と帯電部材とを当接させて外部より電圧を印加し、帯電を行う帯電工程を有する画像形成方法に用いられる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂がポリエステルであり、前記アルミノシリケート粒子が、
aM2 O・bAl2 3 ・cSiO2 ・dRmAn・yH2
(式中、MはNa、RはNa、はN 3 aは1〜6、bは2〜8、cは2〜12、dは0〜4、mは1、nは1、yは0〜32を示す)
で表わされる組成を有し、トナー表面に外添されてなる電子写真用トナーに関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定の組成を有するアルミノシリケート粒子が、帯電部材のトナー汚染の防止に非常に有効であるという驚くべき新規な知見を見出した点に特徴を有する。アルミノシリケート粒子は、相手材を傷つけず、適度な研磨性を有するため、帯電部材へのトナーの付着が効果的に防止されるものと推定される。
【0006】
本発明におけるアルミノシリケート粒子は、aM2 O・bAl2 3 ・cSiO2 ・dRmAn・yH2
(式中、MはNaおよび/またはK、RはNa、K、CaおよびMgからなる群より選ばれる1種以上、AはCO3 、SO4 、NO3 、OHおよびClからなる群より選ばれる1種以上、aは1〜6、bは2〜8、cは2〜12、dは0〜4、mは1〜2、nは1〜3、yは0〜32を示す)
で表わされる組成を有する。
【0007】
アルミノシリケート粒子において、Mは、好ましくはNaである。MがNaおよびKである場合、aM2 Oは、a1 Na2 O・a2 2 O(但し、a1 +a2 =a)で表わされる。
【0008】
アルミノシリケート粒子において、Rは、好ましくはNaである。
【0009】
アルミノシリケート粒子において、Aは、好ましくはCO3 またはNO3 である。
【0010】
アルミノシリケート粒子は、針状、板状又は柱状の形態を有するものが好ましい。ここで、針状結晶とは、太さが500nm以下で、長さが太さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいい、板状結晶とは、厚さが300nm以下で、板状径が厚みに対してアスペクト比で2.0以上のものをいい、柱状結晶とは、太さが50nm以上で、長さが太さに対してアスペクト比で1.0以上2.0未満のものをいう。
【0011】
このようなアルミノシリケート粒子は、製造条件によっては針状結晶、板状結晶又は柱状結晶の集合体として得られる。なお、アルミノシリケート粒子は、結晶が球状、テトラポッド状、塊状の集合体を形成したものが好ましく、これらの集合体の平均粒径は、0.1〜100μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。また、これらの二次集合体でもよい。なお、ここでいう平均粒径とは、電子顕微鏡を用いて測定される。
【0012】
アルミノシリケート粒子が球状の集合体である場合、球状の粒子形状を保つ観点から、d=0.365±0.015nmに主たるX線回折ピークを有するものが好ましい。ここで、「主たるX線回折ピーク」とは、最強のピークあるいは最も強い回折ピーク強度に対し20%以上の回折強度を示すピークをいう。
【0013】
また、アルミノシリケート粒子としては、多孔質な粒子を得る観点から、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards) No.20−379、20−743、25−776、25−1499、25−1500、30−1170、31−1272、34−176、35−479、35−653、38−513、38−514、38−515および45−1373からなる群より選ばれる1種以上のカンクリナイト様のX線回折パターンを有するものが好ましい。特に、針状結晶、板状結晶または柱状結晶のいずれかからなる多孔質度の高いアルミノシリケート粒子は、カンクリナイト様のX線回折パターンJCPDS No.38−513を示し、概略組成が、aが2〜3、bが3、cが6、dが1〜2、RがNa、mが1,nが1〜2である。
【0014】
アルミノシリケート粒子を製造する方法としては、特に限定がないが、例えば、Al化合物とSi化合物をCO3 2- 、SO4 2- 、NO3 - 、Cl- 等の存在下、アルカリ溶液中で反応させる方法等があげられる。
【0015】
Al化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等があげられる。Si化合物としては、例えば、ケイ砂、ケイ石、水ガラス、ケイ酸ナトリウム等があげられる。あるいは、Al化合物およびSi化合物の両者の原料となるものとして、例えば、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、タルク等の粘土鉱物およびムライト等のアルミノケイ酸塩鉱物を用いてもよい。
【0016】
CO3 2- の原料としては、炭酸ガス、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等があげられ、SO4 2- の原料としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムカリウム等があげられ、NO3 - の原料としては、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等があげられ、Cl- の原料としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等があげられる。
【0017】
アルカリ溶液のアルカリとしては、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の酸化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩等が使用できる。必要に応じて、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素塩等を使用してもよい。
【0018】
アルミノシリケート粒子は、前記の各種化合物を所定の割合で配合し混合して得ることができる。配合の割合については、得られる所望のアルミノシリケート粒子の組成により、適宜決定される。特に、原料の配合比率は、各原料をaM2 O、bAl2 3 、cSiO2 、dRmAnで表示した場合(例えば、KOHはK2 O、NaOHはNa2 Oと換算する)、b/c=0.01〜10、a/c=0.01〜100およびd/c=0.01〜100の範囲であることが望ましい。
【0019】
また、反応中の前記組成で表されるアルミノシリケート粒子の固形分濃度は、0.1〜50重量%であることが望ましい。
【0020】
また、アルミノシリケート粒子を製造する際の反応温度は、アルミノシリケート粒子の結晶性を高め、アルミノシリケート粒子の形態を安定化させる観点および反応容器への化学的、耐圧的負荷を低減させる観点から、好ましくは15〜300℃、より好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。また、反応時間は、結晶化反応を完全に行わせる観点から、2時間以上、好ましくは8時間以上が望ましい。
【0021】
アリミノシリケート粒子がトナーに含有される態様は特に限定されず、トナー中に内添されていても、トナー表面に外添されていてもよいが、より効率的に所望の効果を得るためには、トナー表面に外添されているのが好ましい。
【0022】
アルミノシリケート粒子の含有量は、内添されている場合、トナー中、0.5〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。また、外添されている場合では、トナー中、0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましい。
【0023】
本発明において結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン及び2種以上の樹脂成分が部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が挙げられるが、これらの中では、本発明の効果が顕著に発揮されるポリエステル及びポリエステル成分とビニル系樹脂成分とからなるハイブリッド樹脂が好ましく、ポリエステルを主成分としているのがより好ましい。ポリエステル及び/又はハイブリッド樹脂の含有量は、結着樹脂中、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは100重量%である。
【0024】
ポリエステルは、原料モノマーとして、2価以上の多価アルコールからなるアルコール成分と2価以上の多価カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを重合させて得られる。
【0025】
2価の多価アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0026】
3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0027】
また、2価のカルボン酸化合物としては、例えばマレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、テトラプロペニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0028】
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0029】
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
【0030】
ポリエステルの軟化点は、好ましくは90〜150℃、より好ましくは90〜130℃であり、ガラス転移点は、好ましくは50〜80℃、より好ましくは57〜65℃である。
【0031】
また、ポリエステルの酸価は、好ましくは1〜40mgKOH/g、より好ましくは4〜30mgKOH/gである。
【0032】
また、本発明において、ハイブリッド樹脂は、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーから得られたものであっても、さらに2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。
【0033】
従って、ハイブリッド樹脂としては、各々独立した反応経路を有する二つの重合系樹脂の原料モノマー、好ましくはポリエステルの原料モノマーとビニル系樹脂の原料モノマーを混合し、該二つの重合反応を行わせることにより得られる樹脂が好ましく、具体的には、特開平10−087839号公報に記載のハイブリッド樹脂が好ましい。
【0034】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明において、トナーは黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0035】
さらに、本発明のトナーには、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0036】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられる。本発明のトナーの帯電性は正帯電性及び負帯電性のいずれであってもよく、正帯電性荷電制御剤と負帯電性荷電制御剤とが併用されていてもよい。
【0037】
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して含有されていてもよい。
【0038】
本発明のトナーの製造方法は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法であってもよいが、製造の容易な点から混練粉砕法が好ましい。なお、混練粉砕法による粉砕トナーの場合、結着樹脂、着色剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができ、乳化転相法では、結着樹脂、着色剤等を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。さらに、得られた粉体を、流動性向上剤等の外添剤と混合し、トナー表面に外添剤を付着させてもよい。トナーの体積平均粒子径は、3〜15μmが好ましい。なお、アルミノシリケート粒子は、前記の如く、結着樹脂や着色剤とともに混合してトナー中に内添させてもよく、外添剤としてトナー表面に外添させてもよい。
【0039】
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子が挙げられ、これらの中では、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカ粒子が好ましい。
【0040】
シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。疎水化処理剤の処理量は、無機微粒子の表面積当たり1〜7mg/m2 が好ましい。
【0041】
シリカの平均粒径は、5〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
【0042】
シリカの含有量は、外添剤により処理する前のトナー(未処理トナー)100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0043】
本発明のトナーは、本発明の効果が特に顕著に発揮される接触帯電工程を有する画像形成方法、即ち静電荷像保持体と帯電部材とを当接させて外部より電圧を印加し、帯電を行う帯電工程を有する画像形成方法に用いられるのが好ましく、接触帯電工程を有し、かつクリーニング工程を有していない画像形成方法に用いられるのがより好ましい。
【0044】
なお、接触帯電工程に用いられる装置としては、抵抗値調整した導電性部材を接触帯電部材(接触帯電手段)として被帯電体に接触させて配設し、該接触帯電部材に所定の電圧(帯電バイアス)を印加することで、被帯電体表面を所定の極性・電位に帯電させる装置が好ましい。
【0045】
接触帯電部材としては、導電性ゴムをロール状にしたローラタイプ(帯電ローラ、導電ゴムローラ)、導電性ゴムをブレート状にしたブレードタイプ(帯電ブレート)、磁性粒子を用いた磁気ブラシタイプ(磁気ブラシ帯電器)、導電性の繊維をブラシ状に形成したファーブラシタイプ(ファーブラシ帯電器)等の各種形態のものが好ましい。
【0046】
また、クリーニング工程とは、一般に、クリーナーのブレードやローラ等のクリーニング部材により、トナー像転写後の感光ドラム等に残存したトナーやその他の汚染物を拭掃除去し、清浄面化を繰り返す工程をいう。
【0047】
本発明の電子写真用トナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として、また磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として使用され得る。
【0048】
【実施例】
〔軟化点〕
高化式フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)を用い、樹脂の半分が流出する温度を軟化点とする(試料:1g、昇温速度:6℃/分、荷重:1.96MPa、ノズル:1mmφ×1mm)。
【0049】
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて昇温速度10℃/分で測定する。
【0050】
〔酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法により測定する。
【0051】
〔重量平均分子量〕
GPC法(カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)、標準試料:単分散ポリスチレン)により測定する。
【0052】
樹脂製造例1
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2.2モル)1890g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(2.0モル)760g、テレフタル酸700g、トリメリット酸無水物200g、ドデセニルコハク酸無水物240g及び酸化ジブチル錫10gを、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に準拠して測定した軟化点が125℃に達するまで反応させて、樹脂Aを得た。樹脂Aのガラス転移点は61℃、酸価は1.3mgKOH/g、水酸基価は32.8mgKOH/gであった。
【0053】
アルミノシリケート粒子の製造例1
アルミン酸ナトリウム860g、水酸化ナトリウム1450gおよび硝酸ナトリウム1530gをイオン交換水27000mlに溶解させた溶液中で、3号ケイ酸ナトリウム(Na2 O=9.7重量%,SiO2 =29.7重量%,H2 O=60.6重量%)を添加混合し、攪拌下、80℃で24時間反応させた。反応後、生成したアルミノシリケート粒子を洗浄し、濾過し、乾燥して、アルミノシリケート粒子の粉体を得た。得られたアルミノシリケート粒子は、図1に示す針状結晶が集合した多孔質な球状形態を有しており、球状の集合体の平均粒径は6μmであった。これをアルミノシリケート1とする。
【0054】
アルミノシリケート粒子の製造例2
水酸化ナトリウム47gをイオン交換水1000mlに溶解させ、さらにアルミン酸ナトリウム溶液(Na2 O=20.31重量%、Al2 3 =25.82重量%、H2 O=53.87重量%)73gを混合した溶液に、水ガラス(Na2 O=9.7重量%、SiO2 =29.7重量%、H2 O=60.6重量%)119gを添加混合し、100℃で2時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム15gをイオン交換水50mlに溶解させ、硝酸(61%)57gを混合した溶液を、追加添加しさらに100℃で10時間反応させた。反応後、製造例1と同様にアルミノシリケート粒子の粉体を得た。得られたアルミノシリケート粒子は、図2に示すように、柱状結晶がテトラポッド状に発達した形態を有しており、テトラポッド状の集合体の平均粒径は3μmであった。なお、アルミノシリケート粒子の組成は、概略3Na2 O・3Al2 3 ・7SiO2 ・2NaNO3 ・4H2 Oであった。これをアルミノシリケート2とする。
【0055】
アルミノシリケート粒子の製造例3
水酸化ナトリウム94gをイオン交換水1000mlに溶解させ、さらに硝酸(61%)130gとアルミン酸ナトリウム溶液(Na2 O=20.31重量%、Al2 3 =25.82重量%、H2 O=53.87重量%)124gを混合した溶液に、水ガラス(Na2 O=9.7重量%、SiO2 =29.7重量%、H2 O=60.6重量%)127gを添加混合し、100℃で15時間反応させた。反応後、製造例1と同様にアルミノシリケート粒子の粉体を得た。得られたアルミノシリケート粒子は図3に示すように、針状結晶が集合した形態を有しており、かかる集合体の平均粒径は3μmであった。これをアルミノシリケート3とする。
【0056】
実施例1(参考例)
樹脂A89.0重量部、荷電制御剤「ボントロンE−84」(オリヱント化学工業社製)1.0重量部、カルナバワックス(加藤洋行社製)2.0重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)5.0重量部及びアルミノシリケート1 3.0重量部を予めヘンシェルミキサーを用いて混合後、2軸エクストリューダーにより溶融混練し、衝突板式粉砕機、ディスパージョンセパレーターを用いて、粉砕、分級を行い、平均粒径が8.0μmの未処理トナーを得た。
【0057】
得られた未処理トナー100重量部に疎水性シリカ「R−972」(日本アエロジル製)0.5重量部を添加し、10L容のヘンシェルミキサーで3分間混合して、トナーを得た。
【0058】
実施例2
樹脂Aの使用量を92.0重量部に変更し、アルミノシリケート1を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして平均粒径が8.0μmの未処理トナーを得た。
【0059】
得られた未処理トナー100重量部にアルミノシリケート1 0.5重量部を添加し、10L容のヘンシェルミキサーで3分間混合して、トナーを得た。
【0060】
実施例3
実施例2と同様にして得られた未処理トナー100重量部に、アルミノシリケート1 0.5重量部、疎水性シリカ「R−972」(日本アエロジル製)0.5重量部を添加し、10L容のヘンシェルミキサーで3分間混合して、トナーを得た。
【0061】
実施例4
実施例2と同様にして得られた未処理トナー100重量部に、アルミノシリケート2 0.5重量部、疎水性シリカ「R−972」(日本アエロジル製)0.5重量部を添加し、10L容のヘンシェルミキサーで3分間混合して、トナーを得た。
【0062】
実施例5
実施例2と同様にして得られた未処理トナー100重量部に、アルミノシリケート3 0.5重量部、疎水性シリカ「R−972」(日本アエロジル製)0.5重量部を添加し、10L容のヘンシェルミキサーで3分間混合して、トナーを得た。
【0063】
実施例6(参考例)
樹脂Aの代わりに、スチレン(St)−ブチルメタクリレート(BMA)共重合樹脂(重量平均分子量:67,000、St/BMA(重量比)=65/35、軟化点:143℃、ガラス転移点:64℃)92.0重量部を使用した以外は、実施例3と同様にして、トナーを得た。
【0064】
比較例1
アルミノシリケート1を使用しない以外は、実施例3と同様にして、トナーを得た。
【0065】
試験例1
ブラシ帯電による接触帯電工程を有し、クリーニング工程を有していない「V−940」(村田機械(株)製)の黒色現像プロセスにトナーを実装し、低温低湿(室温10℃、相対湿度20%)下で、印字率5%の画像を1万枚連続印刷した。1万枚目の画像を目視にて観察し、以下の評価基準に従って画質を評価した。なお、帯電ローラーや感光体に汚れが発生すると、感光体の帯電が不十分になり、画像汚れが発生する。結果を表1に示す。
【0066】
〔評価基準〕
◎:画像汚れはなく、実使用上極めて良好である。
○:若干の画像汚れがあるものの、実使用上問題ない。
×:画像汚れのため、実使用には不適切である。
【0067】
【表1】
Figure 0003880388
【0068】
以上の結果より、比較例と対比して、実施例では、画像汚れが生じることなく、高品質な画像が連続して得られることが分かる。特に、実施例1〜3の結果を対比することにより、アルミノシリケート粒子を外添し、さらにシリカをともに外添することにより、より一層優れた効果が得られることは明らかである。
【0069】
【発明の効果】
本発明により、接触帯電工程を有し、かつクリーニング工程を有していない画像形成方法においても帯電部材や感光体へのトナー汚染が生じることなく、高品質な画像を連続して得ることができる電子写真用トナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、アルミノシリケート粒子の製造例1で得られた粒子の結晶構造を示す写真である。
【図2】図2は、アルミノシリケート粒子の製造例2で得られた粒子の結晶構造を示す写真である。
【図3】図3は、アルミノシリケート粒子の製造例3で得られた粒子の結晶構造を示す写真である。

Claims (3)

  1. 結着樹脂、着色剤及びアルミノシリケート粒子を含有してなり、静電荷像保持体と帯電部材とを当接させて外部より電圧を印加し、帯電を行う帯電工程を有する画像形成方法に用いられる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂がポリエステルであり、前記アルミノシリケート粒子が、
    aM2 O・bAl2 3 ・cSiO2 ・dRmAn・yH2
    (式中、MはNa、RはNa、はN 3 aは1〜6、bは2〜8、cは2〜12、dは0〜4、mは1、nは1、yは0〜32を示す)
    で表わされる組成を有し、トナー表面に外添されてなる電子写真用トナー。
  2. アルミノシリケート粒子が、針状又は柱状のいずれかの形態を有する請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. さらに、シリカ粒子がトナー表面に外添されてなる請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
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