JP3871645B2 - 元素状態のスズまたは酸化スズからのカルボン酸スズ(ii)の直接合成 - Google Patents

元素状態のスズまたは酸化スズからのカルボン酸スズ(ii)の直接合成 Download PDF

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    • C07F7/2224Compounds having one or more tin-oxygen linkages

Description

【0001】
近年、多種類のカルボン酸スズが合成されており、例えば、広く様々な製品の添加剤、反応体および触媒として多くの用途が見出されている。例えば、カルボン酸スズ(II)は、自動車、家具および敷物材料市場向けの成形弾性発泡体、及びマットレス等のスラブ材のポリエーテルベース弾性発泡体のような弾性ポリウレタン系の合成触媒として広く使用されている。具体的には、2−エチルヘキサン酸スズ(II)(スズ(II)の2−エチルヘキサン酸塩)、オクタン酸スズ(II)(スズ(II)のオクタン酸塩)、および他のスズ(II)のカルボン酸塩は、ポリウレタン系の標準的な触媒である。ポリウレタン化学業界で標準的に使用される触媒およびその作用の基礎となる機構の概要は、G.A.Mills、Advan.Catalysis、13、393(1962);J.H.Saunders and K.C.Frisch、Polyurethanes、Part I、Wiley−Interscience、New York、1962、Chapter VI;およびK.C.Frisch and L.P.Rumao、J.Macromol.Sci−Revs.Macromol Chem.、C5(1)、103−105(1970)に出ている。かかる金属触媒は、ウレタン形成用として非常に活性が高く、イソシアネート基とポリエーテルまたはポリエステルの水酸基との反応速度を増加させる。さらに、かかるカルボン酸スズ(II)は、他の反応の触媒としても使用されている(例えば、1973年2月13日に発行のCookのLow Concentration Stannous Carboxylate Catalysis of Polyesterificationという名称の米国特許第3,716,523号明細書を参照のこと)。カルボン酸スズ(II)はまた、一酸化炭素と酸素を二酸化炭素に変換するための酸化スズ(IV)触媒を調製するために使用される(1991年12月10日発行のKoltsのProcess for Preparation of Tin Dioxide Containing Catalyst Compositionという名称の米国特許第5,071,818号明細書)。
【0002】
さらに、ある種のスズ化合物は、ガソリン、原動機の燃料、ブレンド成分および軽質の留出物を製造するための炭化水素の接触分解に従来から利用されているクラッキング触媒を処理するために使用されることが知られている。かかる触媒上にある種の金属が存在すると有利であり得るが、一方、他の金属が存在すると有害になり、汚染した触媒をアンチモン、スズ、インジウムまたはビスマスを含む化合物で処理することにより、これらの有害な金属を不動態化することが可能である(例えば、米国特許第4,495,105号および4,257,919号明細書参照のこと)。スズ化合物は、特にバナジウムを不動態化する試薬として有用であり、特にドデカン酸スズ(II)およびオクタデカン酸スズ(II)が有用である。
【0003】
かかるカルボン酸スズ(II)(スズ(II)のカルボン酸塩)は、塩化物ベースの方法を用いて商業用に製造されている。これは、塩化スズ(II)をカルボン酸ナトリウムと反応させて、カルボン酸スズ(II)を生成させることからなるもので、塩化スズ(IV)を金属スズと反応させて塩化スズ(II)を形成させ、次にそれをカルボン酸ナトリウムと反応させて、カルボン酸スズ(II)を形成させることによるか、あるいは金属スズと塩酸水溶液を反応させて塩化スズ(II)を生成させ、次にカルボン酸ナトリウムと反応させてカルボン酸スズ(II)を形成させることによる。必ず塩化(または他のハロゲン化)スズの使用を包含するこのような商業的方法は、最終用途の妨げとなる可能性がある塩素不純物を含む生成物を生成し、塩酸または塩素ガスの使用が要求される。
【0004】
酢酸スズ(II)の調製方法は文献に開示されており、例えば、Gmelin、8th Ed.、1975、No.46、Part C 2、pp.220−221は、金属スズと氷酢酸の反応を開示しており、この反応は、環流条件で不活性ガスの環境下で80〜90時間進行させる。酢酸スズ(II)が唯一の生成物である。
【0005】
1985年1月22日に発行のMillerのPreparation of Higher Tin Carboxylates on Improved Yields Using an Inert Gasという名称の米国特許第4,495,105号明細書は、(a)酸化スズ(II)または酸化スズ(IV)を低級カルボン酸無水物と反応させ、(b)この(a)の生成物を少なくとも1つ高級カルボン酸と反応させ、(c)高級カルボン酸のカルボン酸スズを回収することによって、高級カルボン酸のカルボン酸スズを調製する方法に関する。
【0006】
1991年11月26日に発行のRufのMethod for the Preparation of Anhydrous Tin−(IV)−Carboxylatesという名称の米国特許第5,068,373号明細書は、金属スズまたは酢酸スズ(II)を過剰の酢酸無水物と反応させて、酢酸スズ(IV)を生成する方法に関する。酢酸スズ(IV)を、反応混合物から分離して、分離したまま使用し、あるいは所望ならば、続いて適切なカルボン酸と反応させて、4個以上の炭素原子を有するカルボン酸スズ(IV)に変換する。
【0007】
本発明の第1の目的は、廉価で単純に実施されるカルボン酸スズ(II)およびカルボン酸スズ(IV)の一般的な製造方法を提供することである。本発明の目的の1つは、一般に、ハロゲン化スズ、他の有機金属化合物、またはカルボン酸無水物を必要とせず、カルボン酸スズの製造技術を改善することである。本発明の目的の1つは、容易に入手できる反応物を使用し、所望のカルボン酸スズを高収率で与える、高級カルボン酸スズの調製方法を提供することである。本発明のもう1つの目的は、生成されるカルボン酸スズが有害な不純物を実質的に含まず、高レベルの熱安定性を有する、調製方法を提供することである。本発明のこれらおよび他の目的、諸態様および利点は、下記の本発明の説明から、当分野の技術者には明らかになるだろう。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、これらの目的を実現し、また本明細書に記載した特徴および利点を示す。
【0009】
本発明の一態様は、式(RCOO)2-nSn(OOCR’)n(式中、それぞれのRは、同じでも異なっていてもよく、水素またはC1〜C40のヒドロカルビル基であり、それぞれのR’は同じでも異なっていてもよく、C1〜C40のヒドロカルビル基であり、nは0、1または2である)のカルボン酸スズ(II)を含有する生成物を製造する方法を含み、本方法は、
(a)元素状態のスズ(elemental tin)、促進剤(promoter)および一種または複数種の式R(CO)X(式中、Rは水素またはC1〜C40のヒドロカルビル基であり、Xはヒドロキシル基、ハロゲン原子またはO(CO)R’−(R’は、C1〜C40のヒドロカルビル基である)である)のカルボキシレート含有化合物を組み合わせることによって、反応混合物を形成すること、
(b)反応混合物を加熱して、加熱された反応混合物を形成すること、
(c)加熱された反応混合物を酸素含有のガスを用いて酸化して、カルボン酸スズ(II)並びにカルボン酸スズ(IV)を含有する酸化された反応混合物を形成すること、および
(d)スズ(II)化合物が所望の場合、酸化された反応混合物を元素状態のスズで還元して、少なくとも一部分のカルボン酸スズ(IV)をカルボン酸スズ(II)に変換すること、を含む。
【0010】
本発明のある実施形態では、ステップ(a)で形成された反応混合物に添加する元素状態のスズのモル数は、式R(CO)Xのカルボキシレート含有化合物と反応してスズ(IV)またはスズ(II)化合物を生成することのできる化学量論的なモル数と等しいか又はそれより大きい。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、促進剤は、ヒンダードフェノール、過酸化物、ヒドロペルオキシド、および酸化して過酸化物およびヒドロペルオキシドを形成する炭化水素から成る群から選択される。特に好ましい促進剤は、4−t−ブチルカテコールおよび2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンである。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態では、促進剤は反応混合物または担体にそのまま加える。本発明の好ましい一実施形態では、担体はグリコール、アルコール、カルボン酸またはポリグリコールである。特に好ましい担体は、2−エチル−1 ヘキサン酸およびジプロピレングリコールである。本発明の好ましい実施形態では、酸素を含有するガスは、空気である。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態では、元素状態のスズは、インゴット、バー、シート、ホイル、ロッド、ワイヤ、細片、削りくず、ショット、ビーズ、顆粒、モーシィーのスズ(モーシィーチン(mossy tin))、粉末および粉塵から成る群から選択される形態である。本発明のもう1つの好ましい実施形態では、酸化ステップ(c)を約100℃〜約200℃で行う。なおもう1つの好ましい実施形態では、該酸化ステップ(c)が、該ステップ(c)中に生成した水の一部分を除去することをさらに含む。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態では、本方法は、(e)式(RCOO)2Snのカルボン酸スズ(II)を含有する生成物から、未反応の元素状態のスズおよび式R(CO)Xの未反応のカルボキシレート含有化合物を分離して、精製された式(RCOO)2Snのカルボン酸スズ(II)を含有する生成物を生成させるステップをさらに含む。本発明の好ましい一実施形態では、分離ステップ(e)は、式(RCOO)2Snのカルボン酸スズ(II)を含有する生成物を重力沈降、濾過および真空ストリッピングすることにより実施される。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態では、式(RCOO)2Snのカルボン酸スズ(II)を含有する生成物は、少なくとも80重量%の(RCOO)2Sn、より好ましくは少なくとも90重量%の(RCOO)2Sn、さらに好ましくは少なくとも95重量%の(RCOO)2Sn、最も好ましくは少なくとも97重量%の(RCOO)2Snを含有する。
【0016】
本発明のもう1つの態様は、式(RCOO)4-tSn(Y)t(式中、Rは水素またはC1〜C40のヒドロカルビル基であり、Yは下記に定義するX、またはその誘導体であり、tは0、1または2である)のカルボン酸スズ(IV)を含有する生成物を製造する方法を含み、本方法は、
(a)元素状態のスズ、促進剤および一種または複数種の式R(CO)X(式中、Rは水素またはC1〜C40のヒドロカルビル基であり、Xはヒドロキシル基、ハロゲン原子またはO(CO)R’(R’は、C1〜C40のヒドロカルビル基である)である)のカルボキシレート含有化合物を組み合わせることによって、反応混合物を形成すること、
(b)反応混合物を加熱して、加熱された反応混合物を形成すること、および
(c)加熱された反応混合物を酸素含有のガスを用いて酸化して、カルボン酸スズ(IV)を含有する酸化された反応混合物を形成すること、を含む。
【0017】
本明細書の記載から、本発明によれば、個々のカルボン酸またはカルボン酸無水物から対応するカルボキシレートが生成することが、当業者に理解されよう。例えば、式CH3CH2CH2COOHのカルボン酸は、式(CH3CH2CH2COO)2Snのカルボン酸スズ(II)または式(CH3CH2CH2COO)4-tSn(Y)tのカルボン酸スズ(IV)を生成するであろう。要するに、式R(CO)OHのカルボン酸または式R(CO)O(CO)Rの無水物のカルボキシレートのRおよびR’部分は、それに対応する式(RCOO)2Snのカルボン酸スズ(II)または式(RCOO)4Snのカルボン酸スズ(IV)を生成する。当業者には理解されるように、式R(CO)Xの2種以上のカルボキシレート含有化合物の混合物は、使用される式R(CO)Xのカルボキシレート含有化合物のR基が何であるかに応じて、それに対応するカルボン酸スズ(II)またはカルボン酸スズ(IV)の混合物を生成するであろう。さらに、RとR’が異なる式R(CO)O(CO)R’の無水物を使用する場合、式(RCOO)2Sn、(R’COO)2Snおよび(RCOO)Sn(OOCR’)のカルボン酸スズ(II)の混合物が生成されることになるであろう。さらに、RCOO−およびR’COO−基を有するカルボン酸スズ(IV)の同様の複雑な混合物が生成されることになるであろう。
【0018】
本明細書で使用する、変更を加えられていない、用語「元素状態のスズ」、「スズ金属」または「スズ」は、いかなる同素体の形態であろうと、元素状態のスズ(tin in the elemental state)(Sn)を意味し、すなわち、元素状態のスズは、灰色スズ(α−Sn)および白色スズ(βスズ)の両方またはどちらかを含むが、白色スズが好ましい。元素状態のスズは、適当などんなバルク(bulk)の形態であってもよく、元素状態のスズの形態は好ましくは、インゴット、バー、シート、ホイル、ロッド、ワイヤ、細片、削りくず、ショット、ビーズ、顆粒、粉末および粉塵から成る群から選択される。工業用グレードのスズは一般に不純物を含み、ほとんどの場合鉛を含み、これは一般に最終生成物中に残存するが、所望ならば、プロセス前、またはプロセス中のある段階で除去することもできる。本発明の方法で使用される元素状態のスズは、大概は工業グレードのスズであり、これは錫鉱(錫石)から得られ、錫鉱中に存在していたあるいは錫鉱の処理によって導入されたある濃度の不純物を含む。当業者には理解されるように、純度の高いスズ、例えば鉛を低濃度含有するまたは含有しないものを使用すると、それに対応して鉛を低濃度含有するまたは含有しないカルボン酸スズ生成物が生成される。本方法では、純スズ、ある程度の不純物を含むスズ、およびスズ含有合金を使用するが、かかる形態は全て、本明細書で使用する元素状態のスズ、スズ金属またはスズという語に包含される。
【0019】
本明細書で使用する、「アルキル」という語は、完全に飽和した線状(直鎖状)または分枝状の炭化水素基を指し、例えば、アルキルは、線状または分枝状のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシルおよびエイコシル基を含む。本明細書で使用する「アルケニル」という語は、線状または分枝状の少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む炭化水素基を指す。本明細書で使用する、「アルキニル」は線状または分枝状の少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む炭化水素基を指す。本明細書で使用する、「脂肪族」という語は、線状または分枝状、飽和または不飽和の炭化水素基であり、すなわちアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基である。本明細書で使用する、「シクロアルキル」または「環式アルキル」は、1、2、3個又はそれより多くの環を含む完全に飽和した炭化水素基を指す。本明細書で使用する、「シクロアルケニル」または「環式アルケニル基」という語は、1、2、3個あるいはそれより多くの環を含み、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を環内に含む炭化水素基を指し、例えばシクロヘキセニル基である。本明細書で使用する「脂環式」は、1、2、3個あるいはそれより多くの環を含む飽和または不飽和の炭化水素基を指し、すなわちシクロアルキル基およびシクロアルケニル基である。本明細書で使用する「アリール」という語は、1個または複数の芳香族環を含む基を指し、例えばアリールは、ビアリール(biaryl)、ビフェニルイル(biphenylyl)、フェニル、ナフチル、フェナントラニル(phenanthranyl)、アントラニル(anthranyl)およびアルキレン基で架橋した二つのアリール基を含む。本明細書で使用する、「アルカリール」または「アルキルアリール」という語は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル置換のアリール基を指す。本明細書で使用する「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリール基で置換されたアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を指す。
本明細書で使用する「ヒドロカルビル」という語は、脂肪族、脂環式、アリール、アルカリールおよびアラルキル基を指す。これらの分類は、必ずしも特定の基だけに限られるものではないことに留意されたい。したがって、炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合を含む線状脂肪族基は、アルケニル基、アルキニル基、または両方と考えることができる。環式構造、例えば、脂環式基およびアリール基は環を形成するために少なくとも3個の原子を必要とし、したがって「C1〜C40」という語は、かかる環式構造に適用されるまたはそれを修飾する、または例えばかかる環式基を含むヒドロカルビルという語に適用される場合、実際は、これらの環式基は3〜40個の炭素原子を含む環式基のみを指すことが理解されよう。
【0020】
本明細書で使用する、化合物中のスズの酸化状態を指示していない「カルボン酸スズ」、「ハロゲン化スズ」および同様の語は、スズ(II)およびスズ(IV)化合物の両方を示すことが意図されていることを意味する。これとは対照的に「カルボン酸スズ(II)」、「塩化スズ(II)」、「カルボン酸スズ(IV)」、および「塩化スズ(IV)」という語、および同様の語は、化合物中のスズの酸化状態を指示し、当業者に知られる通常の意味を有し、スズの酸化状態がこの語を用いる記載の意味の一面である場合に使用される。本発明では、式RC(O)X(Rは、水素またはヒドロカルビル基であり、Xは、水酸基またはハロゲン原子である)またはO(CO)R’(R’は、水素またはヒドロカルビル基である)のカルボキシレート含有化合物を、ステップ(a)で反応混合物に加える。化合物がカルボキシレート基を有し、あるいは例えば加水分解によりカルボキシレート基に変換できる限りにおいて、式RC(O)Xのカルボキシレート化合物が好ましいのであるが、化合物は式RC(O)Xの先に挙げたカルボキシレート化合物と等価であると考えることができることが企図され理解される。本明細書で使用する、「カルボキシレート含有化合物」という語は、構造内にカルボキシレート基(−C(O)O−)を有するいかなる化合物も意味する。カルボキシレート基は、それだけには限らないが、モノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸であるカルボン酸、カルボン酸の塩、カルボン酸無水物(「無水物」)およびエステルを含む、多くの周知の有機化学種に存在し、これらの化合物のそれぞれがカルボキシレート含有化合物と考えられる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、RおよびR’はそれぞれ独立に、水素およびC1〜C40の脂肪族、脂環式、アリール、アルカリールおよびアラルキル基、より好ましくは、水素およびC1〜C30の脂肪族、脂環式、アリール、アルカリールおよびアラルキル基、さらに好ましくは、水素およびC1〜C24の脂肪族、脂環式、アリール、アルカリールおよびアラルキル基、最も好ましくは、水素およびC1〜C22の脂肪族、脂環式、アリール、アルカリールおよびアラルキル基からなる群から選択される。RおよびR’の脂肪族、脂環式、アリール、アルカリールおよびアラルキル基は、それ自体他の基で置換されてもよく、また他の官能基、例えばハロゲン置換基やエーテル官能基を含むこともできるが、本発明の好ましい実施形態ではRおよびR’は、そのように置換または官能化されてない脂肪族、脂環式、アリール、アルカリールおよびアラルキル基から選択される。
【0022】
Xが塩素又は臭素原子を表す場合、一般式(RCOO)SnClまたは(RCOO)SnBrおよび(RCOO)2SnCl2または(RCOO)2SnBr2の混合したカルボキシレート塩化物、またはカルボキシレート臭化物が形成される。
【0023】
温度依存性の還元条件が存在する場合、還元ステップが起きる。一般にかかる還元ステップは、酸素含有ガスが、反応中に酸素を部分的または完全に使い果たしたため、あるいは酸素および/または酸素含有ガスが、部分的または完全に真空で除かれた、あるいは窒素、二酸化炭素、または希ガスなどの不活性ガスで置換されたために、酸素がない状態のとき、または酸素の濃度が低い場合に起きる。
【0024】
本発明に従って製造される有機スズ塩の例には、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、2−エチルヘキサン酸スズ(II)、オレイン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、アジピン酸スズ(II)、シュウ酸スズ(II)、コハク酸スズ(II)、フタル酸スズ(II)、安息香酸スズ(II)、ナフテン酸スズ(II)、酪酸スズ(II)、ヘキサン酸(II)などがある。触媒は、個別にあるいは任意の組合せで使用できる。さらに、かかるスズ塩は第三級アミンと組み合わすことができる。というのはこの場合にしばしば触媒活性に関して相乗効果が観察されるからである。
【0025】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カルボン酸スズの新規な合成方法およびかかる方法によって製造されるカルボン酸スズを対象とする。本発明は、カルボン酸スズ(II)およびカルボン酸スズ(IV)の廉価で直接的な一般的製造方法を提供する。
【0026】
従来の方法とは対照的に、本方法は金属ハロゲンを中間体または出発材料として使用または製造しない。さらに本方法は、金属置換反応にいかなる有機金属化合物も使用せず、又、金属とカルボン酸の直接反応に使用される煩わしい反応条件を用いない。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本方法はバルク形態(例えば、金属ショット(metal shot)、削りくず(shaving)または粉末)の金属の空気酸化で形成された、いかなる従来の方法でも生成されない酸化スズ中間体を介して進行するものと想定されている。
【0027】
本方法は、バルク金属から直接にカルボン酸金属を製造することにより、塩化物またはハロゲン化物の使用を不要にし、そのため一般に製造コストが低減する。従来のカルボン酸スズを製造する工業的方法は全て、塩化スズまたはハロゲン化スズを出発材料として使用し、したがってその製造物はプロセス中に製造されたスズ以外のイオン、一般にナトリウム(Na+)およびクロライド(Cl-)を高濃度含有している。商業用カルボン酸スズ生成物中に高濃度のナトリウムおよびクロライドが存在することは、かかる生成物が、塩化スズ(II)または塩化スズ(IV)方法ルートを用いて製造されたことを示唆する。本発明は、ハロゲン化スズを介して進行せずまたはそれを使用しないので、従来のハロゲン化スズ合成法によって製造されるカルボン酸スズと比較して、本発明の方法は、最終生成物中にスズ以外の塩を比較的低濃度しか含まない(また、この方法で使用された元素状態スズ中の鉛の量に応じて中位の濃度の鉛を含む)。一般にこの金属は、インゴット、バー、シート、ホイル、ロッド、ワイヤ、細片、削りくず、ショット、ビーズ、顆粒、粉末、粉塵、液体などいかなる形態でも使用できるが、ある種の形態が下記に説明するように好ましいであろう。
【0028】
高い製造コストは、カルボン酸スズ(II)を合成するためにクロライドベースの方法を使用することに伴うものであり、塩化スズ(II)(本発明の方法では必要ない)を製造する原材料コストが高いこと、およびナトリウムとクロライドの濃度を減らすためにカルボン酸スズ(II)生成物を洗浄する製造コストの高いことに起因している。本方法は、カルボン酸スズをスズ金属から直接に製造し、したがって原材料コストが非常に低い。さらに、スズ金属から直接に製造されるカルボン酸スズ(II)は、水洗の必要がなく、塩化スズベースの方法で製造したものより、ナトリウムとクロライドの含有量が非常に低い。そのうえ、この直接的な方法は、塩化スズの使用を、したがって加水分解による塩化水素の生成を避けることによって、装置の腐食の問題が生じない。
【0029】
これらステップのそれぞれの詳細な合成手順を、下記に詳細に示すが、これらの手順は全て例示的であり、下記に示した実施例のみに本発明が限定されないことを理解されたい。当業者にはよく理解されるように、多くの異なる合成方法、分離方法および分析方法、ならびに様々な装置および設備が当業者には知られており、それらは下記で使用する例示的手順および方法と同様のまたは同じ結果を導くであろう。したがって、下記に示す例示的な手順は、本発明または本明細書中の開示の本質を逸脱することなく、当業者に知られた方法で改変、補充、置き換えることができる。例えば、本明細書で示されたバッチ手順を改変して連続プロセスを得るよう最適化することができる。連続プロセスでは、反応物を連続的に加え、加熱、酸化、還元および分離のステップを1台または一連の装置中で連続的に実施する。かかる手順および方法はすべて、添付の特許請求の範囲に包含されるものと意図される。
【0030】
(合成の概要および実施例)
カルボン酸スズ(II)などのカルボン酸スズは、過剰のスズ金属のショットまたは粉末、カルボン酸、及び促進剤であって、一般にそのままで加えた、あるいはジオール、グリコール、カルボン酸、例えばジプロピレングリコールおよび2−エチル−1−ヘキサン酸などの担体中のものとして加えた、4−t−ブチルカテコールや2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどの促進剤を反応器に導入することによって生成される。促進剤の量は、導入されたスズ金属の1〜20%であり、好ましくは1〜2%である。ヒンダードフェノール、過酸化物、ヒドロペルオキシド、および酸化して過酸化物とヒドロペルオキシドを生成する炭化水素など他の同様な化合物も促進剤として使用できる。この反応物全体を、それが室温である場合は、例えば60℃に加熱し、空気などの酸素含有ガスを導入する。次に反応物全体の温度を一般に140℃〜180℃に上昇させる。ただし、反応熱も温度を上昇させる。
【0031】
カルボン酸スズ(IV)生成物を所望する場合、選択された終点に達するまで、例えば生成物の総スズ濃度(total tin level)の5〜20%、好ましくは10〜15%が達成され、総スズの60〜90%、好ましくは85〜90%がスズ(IV)タイプのものになるまで、酸化を進行させる。このとき酸化は完了したと見なされ、生成物の混合物が回収される。所望ならば、その後カルボン酸スズ(IV)を未反応のスズ、反応物、酸化スズおよびカルボン酸スズ(II)から分離して、精製したカルボン酸スズ(IV)生成物を回収する。
【0032】
カルボン酸スズ(II)生成物が所望の場合は、選択された終点に達するまで例えば生成物の総スズ濃度の5〜20%、好ましくは10〜15%が達成され、総スズの60〜90%好ましくは85〜90%がスズ(II)タイプのものになるまで、酸化を継続する。かかる終点において、温度を例えば140〜170℃に保ち、窒素などの不活性ガスを酸素含有ガスの代わりに反応物全体に導入する。本明細書で使用する「不活性ガス」という語は、反応物全体と反応しないガスを意味し、それだけには限らないが、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスなどを含む。本プロセスの還元または不均化ステップの間、所望の終点に達するまで不活性ガスの流量を一定に保つ。次に例えば、反応生成物を濾過し、真空下でストリッピングして未反応の酸を取り除くことによって、反応物全体を精製または分離手順にかけてもよい。必要ならば、第2の濾過を行って、未反応のスズおよび酸化スズ(II)または酸化スズ(IV)があれば取り除く。
【0033】
一般に、使用されるスズ金属の形態が、本方法で使用する反応条件に影響を与える。スズ金属をより微細に分割された形態(例えば粉末)にすると、表面積がより大きくなり、スズショットやスズインゴットよりも反応性が高くなり、より穏やかな反応条件を使用することが可能になる。例えば、本発明に従って、スズショットの代わりにスズパウダを使用してカルボン酸スズ(II)を合成すると、スズショット合成では140℃〜180℃が必要になるが、スズパウダ合成の酸化ステップをより低い温度で(例えば100℃〜120℃)行うことが可能になる。実際、かかるより低い温度では、カルボン酸スズ生成物の色がより薄くなることがあり、これは商業的にもより望ましい。
【0034】
洗浄を用いて促進剤(例えば、4−t−ブチルカテコール)を除去することができ、水と4−t−ブチルカテコールを共沸させることにより、より低温での蒸留が可能になる。ただし、うまく設計されたストリッパや他の分離方法ではこれらの洗浄が不要になるかもしれない。その上、分離を必要とするいかなるプロセスでも、どの方法が最も廉価で最高の性質の製品を製造するかに応じて、当技術分野で公知の任意の分離方法(例えば、重力沈降、濾過、遠心分離など)を使用できる。例えば、過剰の酸の容易な除去を促すために、カルボン酸のストリッピング除去の前に白色鉱油が使用されてきたが、これは、蒸留に関連したプロセスコストの低減に役立つ。
【0035】
スズ(II)/スズ(IV)のスズ比および全スズの測定は、湿式ヨウ素還元滴定(iodometric wet method titration)によって行ったが、手動および自動化電位差滴定、X線蛍光分析、IR分析または比色分析(colorimetry)測定を含めて、任意の適切な分析方法を使用することができる。
【0036】
合成での重要なパラメータは、過剰のスズ金属および促進剤の使用である。促進剤(例えば、4−t−ブチルカテコール)は、酸化ステップ中でスズ金属の酸化スズ(II)/カルボン酸スズ(II)への酸化を促進し、還元ステップ中でもカルボン酸スズ(II)の形成を促進するために過剰のスズ金属とともに必要でもある。したがって、促進剤は、カルボン酸スズ(II)を形成するための触媒として働くように思われ、同時に還元/不均化ステップ中でスズ(II)の酸化の抑制剤として働く。
【0037】
合成実施例
実施例1:スズショット(tin shot)から2−エチルヘキサン酸スズ(II)
2L反応器にスズショット500g、2−エチル−1−ヘキサン酸1250g、4−t−ブチルカテコール15g、ジプロピレングリコール15gを仕込み、混合物を60℃に加熱した。空気を反応物全体の表面下に導入し、反応物混合物を155〜170℃に加熱した。4時間の酸化後、反応物混合物を分析すると、スズ(II)が15.1%、全スズが16.7%であった。次に反応物全体を、165℃に加熱し、空気を窒素ガスで置き換えた。1.5時間後、反応物全体を分析するとスズ(II)が17.3%、全スズが17.4%であった。反応混合物から、未反応のスズショットをデカンテーションにより除去し、次に真空下(2〜5mmHg)、165℃でストリッピングして、未反応の2−エチル−1−ヘキサン酸を除去し、次に濾過助剤を用いて濾過した。濾過した生成物はスズ(II)を28.5%、全スズを28.7%含んでいた。最終的物質収支は下記の通りであった:2−エチルヘキサン酸スズ758g、未反応のスズショット222g、未反応の2−エチル−1−ヘキサン酸711g。
【0038】
実施例2:スズパウダおよびスズショットから2−エチルヘキサン酸スズ(II)
6Lの反応器にスズパウダ400g、スズショット1600g、2−エチル−1−ヘキサン酸3000gおよび4−t−ブチルカテコール10gを仕込んだ。混合物を60℃に加熱し、混合物の表面下に空気を導入した。次に反応温度を80℃〜120℃に10時間保ち、スズ(II)含有量を分析すると、全スズ(15%)のうち86%であった。次に空気を窒素ガスで置き換えて、ジプロピルグリコールを15g加えた。全スズの98.3%がスズ(II)になるまで混合物の反応温度を155℃に2時間保った。次に反応物全体から、未反応のスズをデカンテーションにより除去し、少量の酸化スズ(II)を除去するために濾過した。次に反応物全体を2mmHgの真空下、145℃でストリッピングして、スズ(II)が28%、全スズが29%であるオクチル酸スズ(II)(スズ(II)オクトエート(stannous octoate))生成物を1812g得た。
【0039】
実施例3:オレイン酸スズ(II)
1Lの反応器にオレイン酸500g、スズショット150g、4−t−ブチルカテコール1.5gを仕込んだ。この反応混合物を80℃に加熱し、空気を導入した。スズ(II)の濃度が15%に達するまで、反応温度を徐々に140℃に上げた。次にこの混合物を、濾過して未反応のスズ(II)酸化物を全て除去すると、生成物が575g得られた。
【0040】
実施例4:ステアリン酸スズ(II)
1Lの反応器にスズショット130g、スズパウダ20g、ステアリン酸330gおよび4−t−ブチルカテコール5gを仕込んだ。この反応混合物を80℃に加熱し、空気を導入した。スズ(II)が13.4%、全スズが17.6%の濃度に達するまで、反応温度を徐々に140℃に上げた。次に空気を窒素で置き換え、温度を140℃から160℃に上げた。2時間後、反応混合物は、スズ(II)を16.2%、全スズを17.6%含有していた。反応物全体から、未反応のスズをデカンテーションにより除去し、次に140℃で濾過すると、生成物が398g得られた。
【0041】
実施例5:ココナッツ酸スズ(II)(stannous coconutate)
1Lの反応器にスズショット225g、ココナッツ酸(coconut acid)600gおよび4−t−ブチルカテコール5gを仕込んだ。この反応混合物を80℃に加熱し、空気を導入した。反応物全体を140〜160℃に加熱し、スズ(II)濃度が14.5%、全スズが17.5%に達した。空気を窒素で置き換え、スズ(II)濃度が21.8%、全スズ濃度が22.3%に達するまで反応を続行した。次に反応物全体から、未反応のスズショットをデカンテーションにより除去し、濾過すると、生成物が770g得られた。
【0042】
本方法によって製造されたカルボン酸スズは通常、スズ(II)を97%含有する。これらスズ生成物は全て、クロライドの濃度が50ppm未満、しばしば20ppm未満であり、一方ナトリウムの濃度は通常50ppm未満、しばしば10ppm未満である。これとは対照的に、市販サンプルのオクチル酸スズ(II)は、おそらく塩化スズ中間体によって製造されており、クロライドの濃度が通常80ppmを超え、2000ppmを超えることもあり、一方ナトリウムの濃度は通常380ppmを超え、しばしば2000ppmを超える。
【0043】
金属またはカルボン酸の未使用または未反応の部分を回収することにより、この基本的方法の効率を高めることができることも理解されよう。期待される実利上およびプロセスの効率を実現することにより、この基本的バッチプロセスをそれぞれ連続プロセスに改変できることも理解されよう。
【0044】
上記のように、提供された実施例は、本発明の諸態様をさらに説明するためのものである。これらの実施例は例示のためのものにすぎず、本発明であると見なされる範囲を限定するものと解釈すべきではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれに相当するものによってのみ限定される。

Claims (16)

  1. 式(RCOO)2-nSn(OOCR’)n(式中、それぞれのRは、同じでも異なっていてもよく、水素またはC1〜C40のヒドロカルビル基であり、それぞれのR’は同じでも異なっていてもよく、C1〜C40のヒドロカルビル基であり、nは0、1または2である)のカルボン酸スズ(II)を含有する生成物を製造する方法であって、
    (a)元素状態のスズ、ヒンダードフェノール、過酸化物、ヒドロペルオキシド、および酸化して過酸化物およびヒドロペルオキシドを形成する炭化水素から成る群から選択される促進剤および一種または複数種の式R(CO)X(式中、Rは水素またはC1〜C40のヒドロカルビル基であり、Xはヒドロキシル基、ハロゲン原子またはO(CO)R’(R’は、C1〜C40のヒドロカルビル基である)である)のカルボキシレート含有化合物を組み合せることによって、反応混合物を形成すること、
    (b)反応混合物を加熱して、加熱された反応混合物を形成すること、
    (c)加熱された反応混合物を酸素含有のガスを用いて酸化して、カルボン酸スズ(II)並びにカルボン酸スズ(IV)を含有する酸化された反応混合物を形成すること、および
    (d)酸化された反応混合物を不活性ガスの存在下で還元して、少なくとも一部分のカルボン酸スズ(IV)をカルボン酸スズ(II)に変換し、カルボン酸スズ(II)を含有する生成物を形成すること、を含む上記方法。
  2. ステップ(a)で形成される反応混合物に添加される元素状態のスズのモル数が、式R(CO)Xのカルボキシレート含有化合物と反応してスズ(II)化合物を形成することのできる化学量論的なモル数と等しいか又はそれより大きい、請求項1に記載の方法。
  3. 促進剤が、4−t−ブチルカテコールまたは2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンである、請求項1に記載の方法。
  4. 促進剤が、反応混合物に加えられる前に担体に加えられる、請求項1に記載の方法。
  5. 担体がグリコール、アルコールまたはポリグリコールである、請求項に記載の方法。
  6. 担体がジプロピレングリコールである、請求項5に記載の方法。
  7. 酸素含有ガスが空気である、請求項に記載の方法。
  8. 元素状態のスズが、インゴット、バー、シート、ホイル、ロッド、ワイヤ、細片、削りくず、ショット、ビーズ、顆粒、粉末および粉塵から成る群から選択される形態である、請求項1に記載の方法。
  9. 酸化ステップ(c)を100℃〜200℃で行う、請求項1に記載の方法。
  10. 酸化ステップ(c)が、該ステップ(c)の間に生成した水の少なくとも一部分を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. (e)促進剤、未反応の元素状態のスズおよび式R(CO)Xの未反応のカルボキシレート含有化合物をカルボン酸スズ(II)を含有する生成物から分離して、精製されたカルボン酸スズ(II)を含有する生成物を生成すること、をさらに含む請求項1に記載の方法。
  12. 分離ステップ(e)がカルボン酸スズ(II)を含有する生成物を水で洗浄することにより実施される、請求項11に記載の方法。
  13. カルボン酸スズ(II)を含有する生成物が少なくとも80重量%のカルボン酸スズ(II)を含む、請求項に記載の方法。
  14. カルボン酸スズ(II)を含有する生成物が少なくとも90重量%のカルボン酸スズ(II)を含む、請求項13に記載の方法。
  15. カルボン酸スズ(II)を含有する生成物が少なくとも95重量%のカルボン酸スズ(II)を含む、請求項14に記載の方法。
  16. カルボン酸スズ(II)を含有する生成物が少なくとも97重量%のカルボン酸スズ(II)を含む、請求項15に記載の方法。
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