JP3870894B2 - 電解質水溶液吸収用両イオン性重合体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は両イオン性側鎖基を有する架橋された電解質水溶液吸収用の両イオン性重合体に関する。この両イオン性重合体は電解質水溶液を吸収するのに有用である。
【0002】
【従来の技術】
自重の数百倍もの水分を吸収する吸水性樹脂は紙おむつや生理用品等の吸収剤、農園芸用の保水材、土壌改良剤、止水剤等に使用されている。この様な吸水性樹脂としては例えば、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体、カルボキシセルロース架橋物、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体加水分解物、ポリアクリル酸塩架橋物等が知られている。
【0003】
しかし、これらの吸水性樹脂は純水やイオン交換水に対しては非常に優れた吸収性を示すが、海水や塩水、血液、汗、尿等の電解質を含んだ水溶液に対してはその吸収能力が低下するという欠点を有している。特に高濃度の電解質水溶液あるいは多価金属塩水溶液に対しては極端に吸水性能が低下するため用途が制限されてしまう。
【0004】
電解質水溶液に対する吸収能力を高めるためには例えば、特開昭61−36309にはスルホアルキル(メタ)アクリレートを含む架橋重合体が、また、特開昭62−266140にはポリエーテルを側鎖に有する(メタ)アクリレートとスルホン酸基を有する単量体との架橋共重合体等が耐塩性吸水剤として提案されている。しかし、これらの吸水樹脂でも高濃度の電解質水溶液、あるいは多価金属塩水溶液に対しては吸収能力が低下してしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記の様な問題点を克服するために、電解質水溶液に対して高度に吸収性である重合体について鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。電解質水溶液、特に高濃度の電解質水溶液、及び多価金属塩水溶液に対して優れた吸収性を持つ吸水樹脂を開発することは、これまで吸水樹脂を使用することができなかった分野への応用が可能となり、また、吸収能力の増大は電解質水溶液を吸収するのに必要な樹脂量を大幅に少なくすることができるため、省資源化と共に使用者にとって経費の節約となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は仕込み単量体組成が両イオン性ビニル系単量体(A)好ましくはスルホベタイン型官能基を有するビニル系単量体10モル%〜99.995モル%、非両イオン性ビニル系単量体(B)好ましくは親水性官能基を有する水溶性の単量体0モル%〜89.995モル%、架橋性単量体(C)0.005モル%〜1モル%である混合単量体が重合されてなることを特徴とする両イオン性重合体によって達成でき、電解質水溶液に対して優れた吸収性を有する重合体を提供することができる。ここで、電解質とは水その他の溶媒に溶解してその溶液がイオン電導を行うような物質を言い、電解質水溶液とはそのような物質が1種類以上溶解した水溶液を言う。
【0007】
以下、本発明を詳述する。まず、両イオン性ビニル系単量体(A)は、同一単量体単位中にアニオン性基とカチオン性基の両者を併せ有するものであって、単量体1種類以上が採用される。アニオン性基とは水性媒体中において電離し陰イオンとなる性質を有するもので例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基があり、カチオン性基とは水性媒体中において電離し陽イオンとなる性質を有するもので例えば、アミノ基、2級及び3級アミン基、4級アンモニウム基が例示できる。
【0008】
かかる単量体(A)としては、以下に示す化6〜化10(但し、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基、R5 は炭素数2から10の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、R6 は炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、Xは置換もしくは無置換のフェニレン基、Yは−O−または無し、Zは−O−または−NH−を示す。尚、化9及び化10のピリジン環の置換基の位置は何処でも良い)で表されるものが好適に採用される。
【0009】
【化6】
Figure 0003870894
【化7】
Figure 0003870894
【0010】
【化8】
Figure 0003870894
【0011】
【化9】
Figure 0003870894
【0012】
【化10】
Figure 0003870894
【0013】
本発明における両イオン性ビニル系単量体(A)は、一般にスルホベタイン型単量体として知られており、その単独重合体の溶液物性に関して数多くの報告がある。例えば、POLYMER,1978,Vol.19,1157.、POLYMER,1984,Vol.25,254.等の文献がある。多くの場合、スルホベタイン型単量体は対応する3級アミン型単量体とスルトン類との反応によって合成される。例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレートと1,3−プロパンスルトンをジメチルホルムアミド中、30℃で7日間反応させることによってジメチル−(2−メタクリロイルオキシエチル)−1−(3−スルホプロピル)アンモニウム内部塩が合成できる。また、3級アミン型単量体にアルデヒドまたはケトン類と酸性亜硫酸ナトリウムとの縮合物を反応せしめる、あるいは3級アミン型単量体とハロアルカンスルホン酸との反応、さらに水酸基を有する4級アンモニウム型単量体の硫酸エステル化反応によっても本発明の両イオン性ビニル系単量体(A)を合成することができる。その他、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(2−スルホベンジル)イミダゾリウム内部塩、2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−メチル−5−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、ジエチル−(2−メタクリロイルオキシエチル)−1−(3−スルホプロピル)アンモニウム内部塩、3−{3−[2−(メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル]ピリジニオ}プロパンスルホネート内部塩、ジメチル−(2−アクリロイルオキシエチル)−1−(3−スルホプロピル)アンモニウム内部塩等の両イオン性ビニル系単量体が本発明における両イオン性ビニル系単量体(A)として好適に使用することができる。
【0014】
本発明は重合体に対する高分子反応によって両イオン性官能基を該重合体中に導入した重合体も包含する。すなわち、3級アミン基を有する重合体とスルトン類との高分子反応によって両イオン性官能基を導入する方法、あるいは重合体と両イオン性官能基を有する化合物との反応によって導入する方法、重合体に両イオン性単量体(A)をグラフト重合する方法等の採用によっても電解質水溶液に対して高度に吸収性である重合体を得ることができる。
【0015】
両イオン性ビニル系単量体(A)を重合時の仕込み組成が10モル%〜99.995モル%の範囲内で含有することによって、本発明の課題である電解質水溶液に対して高度に吸収性である重合体が得られる。両イオン性ビニル系単量体(A)が10モル%未満では十分な電解質水溶液吸収性が得られないため、両イオン性ビニル系単量体(A)は10モル%以上、好ましくは30モル%以上であることが望ましい。両イオン性単量体(A)が99.995モル%を超えると重合体の架橋構造が減少して、水性媒体を吸収した後の重合体が溶液状あるいは半溶液状となり、不安定であるため望ましくない。
【0016】
本発明において、非両イオン性ビニル系単量体(B)は重合体の吸収性能を妨げない範囲内ではいかなる種類の単量体であっても良く、また使用する必要のない場合は使用しなくても良い。すなわち、使用目的に合わせて重合体の強度等の物性を改良する等の理由でラジカル重合性のビニル系単量体の中から適宜選択し使用することができる。
【0017】
非両イオン性ビニル系単量体(B)は重合体の吸収能力を高めるために親水性官能基を有する水溶性の単量体の中から選ばれることが好ましい。親水性の官能基としては、カルボキシル基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、4級アンモニウム基、ポリエチレングリコール基等がある。また、加水分解等により容易に親水性官能基を導入しうる単量体も同様に使用することができる。この様な親水性官能基を有する、及び導入可能な単量体としては例えば、アクリル酸及びそのアルカリ塩、メタクリル酸及びそのアルカリ塩、イタコン酸、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換アルキルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸及びそのアルカリ塩、メタアリルスルホン酸及びそのアルカリ塩、スチレンスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのアルカリ塩、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸及びそのアルカリ塩、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、3−メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩、2−メタクリロイルオキシエチルジメチルアミン及びその塩、2−メタクリロイルオキシエチルジエチルアミン及びその塩、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムロライド、N−ビニル−2−ピロリドン、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等があり、これらの単量体を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0018】
非両イオン性ビニル系単量体(B)の重合時の仕込み組成は電解質水溶液に対する吸収性を発現させるために0モル%〜89.995モル%、好ましくは0モル%〜69.995モル%の範囲内であることが望ましい。
【0019】
吸水樹脂が水性媒体を吸収し、媒体に溶解する事無く膨潤状態を維持するためには、共有結合、静電結合、あるいは水素結合等よって重合体に架橋構造を導入することが必要である。本発明において重合体に架橋構造を導入するために、架橋性単量体(C)としてジビニル化合物の様な多官能ラジカル重合性単量体を用いることができる。多官能ラジカル重合性単量体としては例えば、N,N−ジアリルメタクリルアミド、ジアリルアミン、N,N−ビスアクリルアミド酢酸、N,N’−ビスアクリルアミド酢酸メチルエステル、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ベンジリデンビスアクリルアミド、ジアリルスクシネート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジアリルアクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0020】
また、重合体に架橋構造を導入する他の方法として、重合後後架橋可能な官能基を有する単量体の架橋化処理がある。本発明において架橋化処理可能な単量体を架橋性単量体(C)として採用するときは、単量体(C)と化学的に結合し架橋構造を形成するような化合物を用いる場合があり、この化合物を架橋助剤と称する。尚、熱等によって自己架橋する様な単量体を用いる場合は架橋助剤は必ずしも必要としない。かかる架橋化処理可能な単量体としては例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イミノールメタクリレート等が挙げられる。架橋助剤としては例えば、架橋性単量体(C)がカルボキシル基を有する場合には、水酸基、エポキシ基、アミノ基、メチロール基等のカルボキシル基と反応して化学結合を形成しうる官能基を2個以上有する多官能性化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、グリシジルアルコール、ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレンイミン、尿素等がある。また、ホルムアルデヒドによる架橋化、多価金属イオンによる架橋もできる。
【0021】
架橋性単量体(C)が水酸基を有する場合には、カルボキシル基、無水酸基、アルデヒド基、イソシアネート基の様な水酸基と反応して化学結合を形成し得る官能基を2個以上有する多官能性化合物、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸及びそれらの酸無水物、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が架橋助剤として挙げられる。また、水酸基が水酸基同志、あるいはカルボキシル基と水素結合により架橋構造を形成する様な場合は架橋助剤を使用する必要はない。例えば、非両イオン性ビニル系単量体(B)として酢酸ビニルあるいは(メタ)アクリル酸エステル等を用い、加水分解により水酸基あるいはカルボキシル基を生成させれば、水素結合による微結晶構造を架橋点として、特に共有結合による架橋構造を導入しなくとも水分を吸収し膨潤状態を維持することができ、この様な架橋構造の導入方法も本発明において採用することができる。また、カルボキシル基同志、カルボキシル基と水酸基、あるいは水酸基同志を脱水触媒を用いて、酸無水物を形成することによる架橋化、エステル結合による架橋化、あるいはエーテル結合による架橋化を行うことによっても架橋構造を導入することができる。
【0022】
架橋性単量体(C)がニトリル基を有する場合には、アミノ基の様なニトリル基と反応して化学結合を形成しうる官能基を2個以上有する多官能性化合物、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、両末端アミノ化ポリエチレングリコール等が架橋助剤として挙げられる。
【0023】
架橋性単量体(C)の重合時の仕込み組成は、水性媒体を吸収した重合体が媒体に溶解せず、媒体を吸収した重合体が流動性を持たないために0.005モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であることが望ましい。また、架橋性単量体(C)の重合体中の組成が高くなると吸収能力が低下してしまうため、架橋性単量体(C)は1モル%以下、好ましくは0.1モル%以下であることが望ましい。
【0024】
本発明の両イオン性重合体は従来より行われているラジカル重合法のいずれの方法を用いて調整してもよい。すなわち、水系沈殿重合、懸濁重合、逆相懸濁重合、乳化重合、溶液重合のいずれの方法を用いてもよく、目的に応じて、得られる重合体の形態を考慮して適宜選択すればよい。ラジカルの発生方法はラジカル重合触媒を用いる方法、放射線、電子線、紫外線を照射する方法等が挙げられる。ラジカル重合触媒としては例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等のラジカル発生剤、及びこれらのラジカル発生剤と亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤が挙げられる。重合媒体としては例えば、水、電解質水溶液、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド等が挙げられるが、重合方法に応じて適宜選択すればよい。
【0025】
本発明の両イオン性重合体が電解質水溶液に対して高度に吸収性である理由は十分に解明するに至っていないが、概ね次の様であろうと考えられる。すなわち、架橋していない線状の両イオン性単量体(A)の単独重合体が純水には溶解せず一定濃度以上の電解質水溶液に溶解することから、両イオン性側鎖基内で塩を形成しているアニオン性基とカチオン性基が低分子イオンの存在によってその結合が切れるために高分子鎖が伸びて溶解すると考えられるため、架橋構造を有する重合体においても低分子イオンの存在下で膨潤し、そのため電解質水溶液を吸収するものと思われる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲がこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0027】
実施例1本実施例において両イオン性ビニル系単量体(A)として、ジメチル−(2−メタクリロイルオキシエチル)−1−(3−スルホプロピル)アンモニウム内部塩(DMPS)、ジメチル−(2−アクリロイルオキシエチル)−1−(3−スルホプロピル)アンモニウム内部塩(DAPS)、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩(VIPS)、4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩(VPPS)をPOLYMER,1977,Vol.18,1058.に記載の方法と同様にして、各単量体の対応する3級アミン型単量体とプロパンスルトンから合成した。また、3−{3−[2−(メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル]ピリジニオ}プロパンスルホネート内部塩(MAPS)をMakromol.Chem.,1986,187,1691.に記載の方法と同様にして合成した。非両イオン性ビニル系単量体(B)としてはアクリル酸(AA)、アクリルアミド(AAm)を、また、架橋性単量体(C)としてはN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)を用いた。所定量の単量体混合物と開始剤としてアゾビスシアノ吉草酸(ACVA)を0.5mol/lのNaCl水溶液に溶解し(総単量体濃度=1mol/l)、窒素雰囲気下、65℃で24時間重合を行い重合体を得た。また、両イオン性ビニル系単量体(A)を含む本願発明の範囲外の重合体、及び両イオン性ビニル系単量体(A)を含まない重合体も上記と同様の条件で重合し重合体を得た。各重合体の単量体仕込み組成と重合条件を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003870894
【0029】
得られた各重合体について、以下の方法によって純水及び各種電解質水溶液に対する吸収倍率を測定した。乾燥した各重合体0.5gを純水及び各種電解質水溶液500ml中に2時間浸漬した後、200メッシュ金網で濾過し、10分間水切りした後、金網上の媒体を吸収した重合体の重量を測定し、重合体1g当たりの吸収した媒体のグラム数を吸収倍率とした。電解質水溶液としては、0.5MのNaCl水溶液、2MのNaCl水溶液、0.5MのCaCl2 水溶液、合成海水(組成:CaSO4 =1.38g/l,MgSO4 =2.10g/l,MgCl2 =3.32g/l,KCl=0.71g/l,NaCl=26.69g/l)を用いた。また、比較のために市販の吸水樹脂を2種類(市販品A=アクアリックCA(日本触媒(株)製)、市販品B=アクアリックCS(日本触媒(株)製))についても同様の方法で吸収倍率を求めた。結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 0003870894
【0031】
重合体1は架橋性単量体(C)の仕込み組成が本願発明の範囲より少ないものであり、電解質水溶液に対して溶解してしまい吸水樹脂として相応しくない。重合体6は架橋性単量体(C)の仕込み組成が本願発明の範囲を超えたものであり、吸収倍率が低いためこれも相応しくない。重合体10は両イオン性ビニル系単量体(A)の仕込み組成が本願発明の範囲より少ないものであり、純水に対しては吸収倍率が高いものの電解質水溶液に対しては極端に吸収倍率が低下しておりこれも相応しくない。重合体15と16はそれぞれ両イオン性ビニル系単量体(A)を含有しないAAとAAmの架橋重合体であり、どちらも電解質水溶液に対しては吸収倍率が低いものであった。また、市販品Aと市販品Bも電解質水溶液に対しては低い吸収倍率を示した。以上の各重合体に対して、重合体2〜5、7〜9、11〜14は本願発明の範囲内であり、いずれの重合体も優れた電解質水溶液吸収性を示した。さらに、重合体7〜9は純水に対しても優れた吸収性を有していた。この様に本願発明の重合体は必ずしも純水に対して優れた吸収能力を有している必要は無いが、非両イオン性ビニル系単量体(B)の種類、及び仕込み組成によって純水に対しても優れた吸収性を有する重合体を提供することができるのである。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した本発明の両イオン性重合体は優れた電解質水溶液吸収性を有するため、海水、血液、汗、尿等だけではなく、高濃度の電解質水溶液や多価金属塩水溶液に対しても高い吸収性を有する。従って、本発明の両イオン性重合体は紙おむつや生理用品等の吸収剤、農園芸用保水剤、土壌改良剤、止水剤等電解質水溶液を吸収させるような用途に優れた使用効果を発揮する。

Claims (4)

  1. 仕込み単量体組成が両イオン性ビニル系単量体(A)10モル%〜99.995モル%、非両イオン性ビニル系単量体(B)0モル%〜89.995モル%、架橋性単量体(C)0.005モル%〜1モル%である混合単量体が重合されてなり、両イオン性ビニル系単量体(A)が化1乃至化5(但し、R 1 は水素原子またはメチル基、R 2 は炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、R 3 及びR 4 はそれぞれ独立に炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基、R 5 は炭素数2から10の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、R 6 は炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基または置換もしくは無置換のフェニレン基、Xは置換もしくは無置換のフェニレン基、Yは−O−または無し、Zは−O−または−NH−を示す。尚、化4及び化5のピリジン環の置換基の位置は何処でもよい)から選ばれたものであることを特徴とする両イオン性重合体を用いた電解質水溶液吸収体。
    Figure 0003870894
    Figure 0003870894
    Figure 0003870894
    Figure 0003870894
    Figure 0003870894
  2. 非両イオン性ビニル系単量体(B)がカルボキシル基、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、4級アンモニウム基、ポリエチレングリコール基から選ばれる親水性官能基を有する単量体であることを特徴とする請求項1記載の両イオン性重合体を用いた電解質水溶液吸収体。
  3. 架橋性単量体(C)がラジカル重合時に架橋可能である多官能ラジカル重合性単量体及び/または重合後後架橋可能な官能基を有する単量体であることを特徴とする請求項1又は2記載の両イオン性重合体を用いた電解質水溶液吸収体。
  4. 重合後後架橋可能な官能基を有する単量体がアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イミノールメタクリレートから選ばれるものであることを特徴とする請求項に記載の両イオン性重合体を用いた電解質水溶液吸収体。
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