JP3918959B2 - 塩水吸収性重合体の製造方法及び該重合体で被覆された吸収性材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は塩水吸収性重合体の製造方法及び該重合体で被覆された吸収性材料に関する。この重合体及び吸収性材料は純水だけでなく、尿、汗、地下水、海水等の電解質を含有する水溶液を吸収するのに特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
自重の数百倍もの水分を吸収する吸水性樹脂は紙おむつや生理用品等の吸収剤、農園芸用の保水材、土壌改良剤、止水剤等に使用されている。この様な吸水性樹脂としては、例えば、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体、カルボキシメチルセルロース架橋物、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体加水分解物、ポリアクリル酸塩架橋物等が一般的に使用されている。
【0003】
また、吸水性樹脂は主に粉体で供給されるが一部で繊維状のものが上市されており、その加工性の良さを生かして不織布、成形体、エレメント等に加工して種々の用途に展開されている。この様な吸水性繊維としては、特開昭54−138693号公報にアクリロニトリル系繊維を内層、ポリアクリル酸塩架橋体を外層とした芯−鞘2層構造の繊維が良好な繊維物性を維持しながら高吸水性を発現するものとして開示されている。また、特開平6−65810号公報にカルボキシル基を有するビニルモノマーとヒドロキシル基及び/またはアミノ基を有するビニルモノマーとの共重合体からなる高吸水性繊維が開示されている。
【0004】
この様な吸水性樹脂や吸水性繊維は純水やイオン交換水あるいは低濃度の電解質水溶液に対しては非常に優れた吸収性を示すが、海水や塩水、血液、汗、尿等の電解質を含んだ水溶液に対してはその吸収能力が低下するという欠点を有している。特に海水等の高濃度の電解質水溶液あるいは多価金属塩水溶液に対しては極端に吸収性能が低下するため、その用途が制限される。
【0005】
電解質水溶液に対する吸収能力を高めるためには、例えば、特開昭61−36309号公報にはスルホアルキル(メタ)アクリレートを含む架橋重合体が、また、特開昭62−266140号公報にはポリエーテルを側鎖に有する(メタ)アクリレートとスルホン酸基を有する単量体との架橋共重合体等が耐塩性吸水樹脂として提案されている。しかし、これらの吸水樹脂でも高濃度の電解質水溶液、あるいは多価金属塩水溶液に対しては吸収能力が低下してしまう。
【0006】
また、両性高分子電解質を利用することにより電解質水溶液に対する吸収性が向上することが知られている。両性高分子電解質としては酸性基を有する単量体と塩基性を有する単量体との共重合体、及び同一側鎖上に酸性基と塩基性基の両者を有するベタイン型官能基を有した重合体が挙げられ、これらの架橋重合体は電解質水溶液に対する吸収性が一般に高い。特開昭58−154710号公報には3級アミノ基を有するビニル単量体とカルボキシル基を有するビニル単量体との共重合体からなる両性高吸水性樹脂の製法が開示されており、特開平5−237377号公報にはベタイン構造を有する両性高分子電解質を用いたイオン封鎖性の吸水性樹脂が開示されている。しかしながら、これらの重合体は原料である塩基性単量体及びスルホベタイン型単量体またはカルボキシベタイン型単量体が比較的高価なため、衛生材料や止水材等の汎用用途においては工業的に使用することは現実的ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記の様な問題点を克服するために、電解質水溶液に対して高度に吸収性であり、且つ低コストで製造することができる吸水性樹脂について鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。電解質水溶液、特に高濃度の電解質水溶液、及び多価金属塩水溶液に対して優れた吸収性を有し、且つ低コストの樹脂を開発することは、従来の吸水性樹脂が使用されてきた分野だけに止まらず、これまで吸水性樹脂を使用することができなかった分野への応用、特に海水等の高濃度の電解質を含有する媒体を吸収させる様な用途への応用が可能となり、また、吸収能力の増大は電解質水溶液を吸収するのに必要な樹脂量を大幅に少なくすることができるため、吸収材の小型化や省資源化と共に使用者にとって経費の節約となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、カルボキシル基の20〜80モル%、より好ましくは40〜70モル%を水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)で中和したカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)と、重合同時架橋性または重合後架橋性の架橋性単量体(C)とを共重合し、次いで、未中和のカルボキシル基とアミノ化合物(B)の水酸基とをエステル化反応させて両性高分子化し、必要に応じて架橋反応を行うことを特徴とする、塩水吸収性重合体の製造方法により達成することができ、電解質水溶液に対して高度に吸収性である吸水性樹脂を提供することができる。また、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)を重合同時架橋性または重合後架橋性の架橋性単量体(C)と共重合し、共重合体中の単量体(A)部分のカルボキシル基の20〜80モル%、より好ましくは40〜70モル%を水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)で中和し、次いで、未中和のカルボキシル基とアミノ化合物(B)の水酸基とをエステル化反応させて両性高分子化し、必要に応じて架橋反応を行うことを特徴とする、塩水吸収性重合体の製造方法によっても本発明の目的は達成することができる。
【0009】
さらに、架橋性単量体(C)が重合後架橋性であるときは、単量体(A)と該単量体(C)の共重合後に両性高分子化と架橋反応を同時に行うことにより、本発明はより良く達成される。また、本発明の吸収性材料提供の目的は、繊維、ヤーン、糸、不織布、織布、編み地、紙、シート、フィルム、またはこれらの複合構造体から選ばれる基材が、上記の方法で得られる塩水吸収性重合体により被覆されてなる吸収性材料により達成される。尚、塩または電解質とは、水その他の溶媒に溶解してその溶液がイオン電導を行うような物質を言い、塩水または電解質水溶液とはそのような物質が1種類以上溶解した水溶液を指す。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。まず、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)は、カルボキシル基を1つ以上とラジカル重合性の官能基を併せ有するものであって、単量体1種類以上が採用される。かかる単量体(A)としては、例えばアクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、イタコン酸及びその塩、マレイン酸及びその塩等のラジカル重合性の単量体が好適に採用される。また、加水分解等により容易にカルボキシル基を導入することができる単量体も採用することができるが、その場合、重合後に一旦カルボキシル基に変換した後水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)で中和する必要がある。この様なカルボキシル基を導入可能な単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類及び(メタ)アクリロニトリル等の単量体が挙げられる。
【0011】
本発明における水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)は、分子内に水酸基を1つだけ含有した置換基を有する1級〜4級のアミノ化合物であり、1種類以上が採用される。尚、水酸基を2つ以上含有するアミノ化合物を用いた場合は、エステル化反応の際に重合体間で架橋結合を形成して吸水性能が大きく低下するため、水酸基は1つである必要がある。かかるアミノ化合物(B)としては、例えば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミン、ジエチルプロパノールアミン、コリン、N−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヒドロキサイド、ジメチル−p−アミノフェノール、ジエチル−p−アミノフェノール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコール、ジメチルアミノエチルオキシポリエチレングリコール、ジエチルアミノエチルオキシポリエチレングリコール、N,N−ジメトキシポリエチレングリコールアミノエタノール等のアミノ化合物が本発明において好適に採用される。
【0012】
これらの水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)でカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)の20〜80モル%、より好ましくは40〜70モル%を中和した後、重合同時架橋性または重合後架橋性の架橋性単量体(C)と共重合し、次いで、未中和のカルボキシル基とアミノ化合物(B)の水酸基とをエステル化反応させて両性高分子化し、必要に応じて架橋反応を行うことにより本発明の塩水吸収性重合体を得ることができる。また、アミノ化合物(B)による中和に先立って、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)と重合同時架橋性または重合後架橋性の架橋性単量体(C)とを先ず共重合し、該共重合体中の単量体(A)部分のカルボキシル基の20〜80モル%、より好ましくは40〜70モル%をアミノ化合物(B)で中和し、次いで、未中和のカルボキシル基とアミノ化合物(B)の水酸基とをエステル化反応させて両性高分子化し、必要に応じて架橋反応を行うことによっても本発明の塩水吸収性重合体を得ることができる。すなわち、単量体(A)のカルボキシル基の中和は、共重合の前でも後でも行うことができ、重合体の使用形態、操作の容易さ、工程の設計等の都合でいずれでも採用しうる。ここで、アミノ化合物(B)による中和度が20モル%よりも少ないと本発明の目的である電解質水溶液に対する高吸収性が発現しないため、中和度は20モル%以上、好ましくは40モル%以上である。また、中和度が80モル%を超えると同じく電解質水溶液に対する高吸収性が発現しないため、中和度は80モル%以下、好ましくは70モル%以下である。
【0013】
本発明において、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)(重合後に中和する場合は重合後の単量体(A)部分)は、水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)と共にアミノ化合物(B)以外の有機及び/または無機の塩基を併用して中和することもできる。その場合、アミノ化合物(B)による中和度は20モル%以上であること、未中和のカルボキシル基は20モル%以上であることが必要である。すなわち、カルボキシル基の中和は、所定量をアミノ化合物(B)で中和し、未中和のカルボキシル基が所定量残っていれば、それ以外は諸物性の向上等を目的に他の塩基を採用してもよい。アミノ化合物(B)以外の有機及び/または無機の塩基としては、例えばアンモニア、トリメチルアミンやトリエチルアミン等のアルキルアミン、NaOHやKOH等のアルカリ金属の水酸化物等が例示できる。
【0014】
吸水性樹脂が水性媒体を吸収し、媒体に溶解する事無く膨潤状態を維持するためには、共有結合、あるいは静電結合、水素結合、分子鎖間の絡み合い等の物理結合によって重合体に架橋構造を導入することが必要である。本発明において、重合体に架橋構造を導入するために重合同時架橋性の架橋性単量体(C)としてジビニル化合物の様な多官能ラジカル重合性単量体を用いることができる。その場合、重合後にフィルムやシート状あるいは繊維状に成形することは事実上不可能であり、何らかの形状に成形する様な場合は重合と同時に成形が行われる必要がある。例えば、単量体組成物を型枠内に注型した後、その状態で重合を行う様な注型重合法が採用される。一般的には、重合と同時に架橋を行う場合、重合後に乾燥及び粉砕して粉体状の吸水性樹脂として用いられることが多い。
【0015】
多官能ラジカル重合性単量体としては、ビスアクリルアミド類、ジ(メタ)アクリル酸エステル類、ジアリル化合物類、ジビニル化合物類等が挙げられ、具体的には、N,N−ジアリルメタクリルアミド、ジアリルアミン、N,N−ビスアクリルアミド酢酸、N,N’−ビスアクリルアミド酢酸メチルエステル、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ベンジリデンビスアクリルアミド、ジアリルスクシネート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジアリルアクリルアミド、ジビニルベンゼン等の単量体が本発明において採用することができる。
【0016】
多官能ラジカル重合性単量体以外の重合同時架橋性単量体としては、アゾ基やパーオキサイド基の様なラジラル発生基を有するラジカル重合性単量体が挙げられる。この様な単量体としては、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルフマレイト等が採用される。これらの重合同時架橋性の架橋性単量体(C)の重合体中の組成は、水性媒体を吸収した重合体が媒体に溶解せず、且つ流動性あるいは粘着性を持たないために、好ましくは0.01重量%以上である。また、架橋性単量体の組成が高くなると吸収能力が低下してしまうため、1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下であることが望ましい。
【0017】
重合体に架橋構造を導入する他の方法として、重合後架橋性である官能基を有する単量体と共重合した後、該単量体を架橋化処理する方法がある。すなわち、重合後に適当な形態(粒子、繊維、フィルム、シート等)に成形した後、架橋化処理を行い架橋構造を導入する方法である。本発明において重合後架橋化処理可能な、すなわち、後処理により架橋構造を導入することが可能な単量体を架橋性単量体(C)として採用するときは、該単量体と化学的に結合し架橋構造を形成するような化合物を別途用いる場合があり、この化合物を架橋助剤と称する。また、共重合の際には架橋せず、熱処理等によって自己架橋する様な単量体を用いる場合は、重合後架橋性ではあるが架橋助剤は必ずしも必要としない。
【0018】
尚、重合後架橋性の架橋性単量体(C)はカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)と同一の単量体であってもよく、その場合、該架橋性単量体(C)とは単量体(A)中の架橋化処理後の架橋構造に寄与した単量体部分を言う。すなわち、単量体(A)が架橋化処理により架橋構造を導入することが可能であり、架橋化処理によりその一部が架橋構造を形成する場合、架橋構造を形成している単量体部分を架橋性単量体(C)とするのである。
【0019】
かかる重合後の架橋化処理により架橋構造を導入可能な単量体としては、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、メチロール基、グリシジル基、水酸基、イミノ基を含有する単量体、酸無水物系単量体が本発明において好適に使用することができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イミノールメタクリレート等の単量体が挙げられる。
【0020】
前記した重合後架橋化処理に使用される架橋助剤としては例えば、架橋性単量体(C)がカルボキシル基を有する場合には、水酸基、エポキシ基、アミノ基、メチロール基等のカルボキシル基と反応して化学結合を形成しうる官能基を2個以上有する多官能性化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、グリシジルアルコール、ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレンイミン、尿素等が挙げられる。また、ホルムアルデヒドによる架橋化も挙げられる。さらに、カルボキシル基と化学結合を形成しうる官能基を有する単量体をカルボキシル基を有する単量体と共に後架橋性の架橋性単量体(C)として併用して、両者間の結合により架橋化することもできる。
【0021】
架橋性単量体(C)が水酸基を有する場合には、カルボキシル基、酸無水物、アルデヒド基、イソシアネート基の様な水酸基と反応して化学結合を形成し得る官能基を2個以上有する多官能性化合物、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸及びそれらの酸無水物、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が架橋助剤として挙げられる。さらに、水酸基と化学結合を形成しうる官能基を有する単量体を、水酸基を有する単量体と共に後架橋性の架橋性単量体(C)として併用して、両者間の結合により架橋化することもできる。
【0022】
また、水酸基が水酸基同志、あるいはカルボキシル基と水素結合により架橋構造を形成する様な場合は架橋助剤を使用する必要はない。例えば、後架橋性の架橋性単量体(C)として酢酸ビニルあるいは(メタ)アクリル酸エステル等を用い、エステルの加水分解により水酸基あるいはカルボキシル基を生成させれば、熱処理によって水素結合性の微結晶構造を架橋点として、特に共有結合による架橋構造を導入しなくとも水性媒体を吸収し膨潤状態を維持することができ、この様な架橋構造の導入方法も本発明において採用することができる。
【0023】
また、カルボキシル基同志、カルボキシル基と水酸基、あるいは水酸基同志を脱水触媒を用いて、酸無水物を形成することによる架橋化、エステル結合による架橋化、あるいはエーテル結合による架橋化を行うことによっても架橋構造を導入することができる。
【0024】
後架橋性の架橋性単量体(C)がニトリル基を有する場合には、アミノ基の様なニトリル基と反応して化学結合を形成しうる官能基を2個以上有する多官能性化合物、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、両末端アミノ化ポリエチレングリコール等が架橋助剤として挙げられる。さらに、ニトリル基と化学結合を形成しうる官能基を有する単量体を、ニトリル基を有する単量体と共に後架橋性の架橋性単量体(C)として併用して、両者間の結合により架橋化することもできる。
【0025】
これらの後架橋性を有する架橋性単量体(C)の1種または2種以上を、水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)で中和した単量体(A)と共に重合を行い、重合後任意の方法により適当な形態に成形した後、架橋化処理を行い架橋構造を導入するという方法により、容易に本発明の高塩水吸収性重合体が作製できる。また、重合後に単量体(A)をアミノ化合物(B)で中和し、次いで、任意の方法により適当な形態に成形した後、架橋化処理を行い架橋構造を導入するという方法によっても、容易に本発明の高塩水吸収性重合体が作製できる。尚、本発明における架橋化処理は用いた架橋性単量体(C)の種類に応じて適宜選択すればよいが、乾熱処理による方法が簡便であるため好適に採用される。特に、カルボキシル基を有する単量体と水酸基を有する単量体を架橋性単量体(C)として併用した重合体を適当な形態に成形した後、乾熱処理により架橋構造を導入する方法は、架橋化処理の容易さ、処理条件の設定範囲が広いことから本発明においてさらに好適に採用される。
【0026】
本発明において、重合後架橋性の架橋性単量体(C)を用いて重合体を得た後、架橋化処理と同時に両性高分子化を行うことは、工程の短縮を図ることができるため好適に採用される。すなわち、架橋化処理と両性高分子化の反応条件が同じ場合には両反応を同時に行うことができる。この様な場合としては、後架橋性の架橋性単量体(C)としてカルボン酸基を有する単量体と水酸基を有する単量体の組み合わせ、カルボン酸基を有する単量体とアミノ基を有する単量体の組み合わせ、カルボン酸基を有する単量体とカルボン酸基を有する単量体の組み合わせ、水酸基を有する単量体と水酸基を有する単量体の組合せ等からの縮合反応の場合が挙げられ、両性高分子化のエステル化反応と同じ条件で架橋化処理を行うことができる様に重合体中の組成を設定すればよい。
【0027】
本発明において、重合体中にカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)及び架橋性単量体(C)以外の単量体を重合体の物性を向上させる等の理由により使用することができ、吸収性能を大きく妨げない範囲内ではその種類に制限はない。すなわち、使用目的に合わせてラジカル重合性のビニル系単量体の中から適宜選択し使用することができる。特に重合体に可塑性、柔軟性、強靱性を付与するために可塑化単量体を使用することが望ましい。
【0028】
かかる可塑化単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、スチレン等のラジカル重合性単量体が好適に使用することができる。
【0029】
特に、この様な可塑化単量体の少なくとも1種類としてアクリロニトリルを使用することにより、本発明の重合体に良好な物性を付与することができる。すなわち、アクリロニトリルを共重合することにより、重合体に柔軟性と物理的強度及び低吸湿性を付与することができ、さらに吸水後のゲル強度も向上させることができる。
【0030】
可塑化単量体の重合体中の組成が高いほど上記した重合体物性の向上が図れるが、吸水性能を大きく低下させないために、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下の仕込み組成であることが望ましい。
【0031】
また、重合体の吸収性能を向上させる、架橋成分として使用する等の理由により、カルボキシル基含有ビニル系単量体(A)以外の親水性単量体を重合体中に含有させることは、塩水に対する吸収性能を極端に低下させない範囲内において推奨される。この様な親水性単量体としては、アミド基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、1級・2級・3級アミノ基、4級アンモニウム基、ポリエチレングリコール基、カルボキシベタイン型官能基、スルホベタイン型官能基等の親水性の官能基を有するビニル系単量体が挙げられる。
【0032】
この様な親水性官能基を有する単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換アルキルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸及びそのアルカリ塩、メタアリルスルホン酸及びそのアルカリ塩、スチレンスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのアルカリ塩、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸及びそのアルカリ塩、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、3−メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩、2−メタクリロイルオキシエチルジメチルアミン及びその塩、2−メタクリロイルオキシエチルジエチルアミン及びその塩、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ビニル−2−ピロリドン、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N,N−ジメチル−N−(3−アクリルアミドプロピル)−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等が挙げられ、これらの単量体を1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。この様な親水性単量体の重合体中の組成は、電解質水溶液に対する高吸収性を大きく低下させなければ特に制限はないが、40重量%以下の範囲内であることが望ましい。
【0033】
本発明の重合体は従来より行われているラジカル重合法のいずれの方法を用いて調整してもよい。すなわち、塊状重合、水系沈殿重合、懸濁重合、逆相懸濁重合、乳化重合、溶液重合のいずれの方法を用いてもよく、目的に応じて、得られる重合体の形態を考慮して適宜選択すればよい。しかし、一般には水を媒体とした重合系がコスト、環境面から望ましい。ラジカルの発生方法はラジカル重合触媒を用いる方法、放射線、電子線、紫外線を照射する方法等が挙げられる。ラジカル重合触媒としては例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等のラジカル発生剤、及びこれらのラジカル発生剤と亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤が挙げられる。重合媒体としては例えば、水、電解質水溶液、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド等が挙げられるが、重合方法に応じて適宜選択すればよい。
【0034】
本発明において、塩水吸収性を発現するためには重合体を両性高分子化することが必須である。すなわち、重合体中の中和されていない未中和の単量体(A)のカルボキシル基と、単量体(A)と中和塩を形成している水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)の水酸基及び/または遊離のアミノ化合物(B)の水酸基との間でエステル結合を形成させることにより、高分子鎖上にカルボキシル基とアミノ基の両者を有する両性高分子電解質となる。エステル化の方法としては乾熱処理、脱水触媒を用いる方法、減圧下での熱処理等の方法が挙げられる。エステル化の反応条件としては、採用する方法に応じて適宜条件を選択し十分にエステル化が進行して塩水吸収性が発現すれば特に制限はない。例えば、乾熱処理の場合は120℃以上、好ましくは150℃以上の温度でエステル化が十分進行するまで熱処理を行えばよい。熱処理時間は処理温度が高いほど短縮することができるが、重合体の耐熱性及び基材に被覆して用いる場合は基材の耐熱性が問題となるため、適当な温度条件及び処理時間を採用する必要がある。
【0035】
得られた重合体は必要に応じて乾燥及び粉砕し、未架橋の場合は必要に応じて架橋化処理を行い、粉体状の吸水性重合体として各種用途に対して使用することができる。また、未架橋の重合体溶液をフィルム状あるいは繊維状に成形した後、乾燥後架橋化処理を行ってフィルム状、繊維状の吸収性重合体として使用することもできる。さらに、未架橋の重合体溶液の状態で適当な基材に被覆し、乾燥後架橋化処理を行い、必要に応じて加工を施して吸収性材料として用いることもできる。被覆方法としては各種コーティング法、含浸法等が挙げられるが、基材に対する吸水性重合体の割合を多くするには含浸法が適している。基材としては、繊維、ヤーン、糸、不織布、織布、編み地、紙、シート、フィルム等が挙げられ、これらを必要に応じて単独、あるいは複合構造体として適宜選択して使用することができる。この様な、本発明の重合体を各種基材へ被覆した吸収性材料も本発明の範囲である。近年は粉体状の吸水性樹脂に対し、その取扱い上の困難さ、粉塵等の作業環境への影響等の問題があり、重合体溶液の基材への被覆法は安全且つ簡便でしかも低コストで製造することができる優れた方法である。
【0036】
【作用】
本発明の重合体が電解質水溶液に対して高度に吸収性である理由は十分に解明するに至っていないが以下のことが言える。本発明の重合体は、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)の一部を水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)で中和し、未中和のカルボキシル基とアミノ化合物(B)の水酸基とを反応させてエステル結合を形成させることにより、同一高分子鎖上にカルボキシル基と1〜4級のアミノ基の両者を有する弱酸−弱塩基型の両性高分子電解質となっている。この様な両性高分子電解質は、通常の同一符号のイオン性基のみを含むモノイオン性の高分子電解質と比べて、ポリマーの溶解性に与える添加塩の影響を受けにくいために、重合体が架橋構造を有する場合は電解質水溶液に対して優れた吸収性能を発揮すると考えられる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲がこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0038】
実施例1
本実施例において、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)としてアクリル酸(以下AAと略す)及びメタクリル酸(MAA)を使用した。水酸基を1つだけ含有するアミノ化合物(B)としてはジメチルアミノエタノール(DMAE)、ジエチルアミノエタノール(DEAE)、水酸化コリン(ChOH)を使用した。重合同時架橋性単量体(C)として、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)を使用した。重合後架橋性単量体(C)としては、単量体(A)であるAAとヒドロキシエチルアクリレート(HEA)との併用系と、AAあるいはMAAとHEA及びN−メチロールアクリルアミド(N−MAM)とを併用した系について実施した。さらに、その他の単量体としてアクリルアミド(AAm)、アクリロニトリル(AN)及びメチルアクリレート(MA)を使用した。また、架橋助剤としてポリエチレングリコール(PEG;平均分子量400)及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEDG;共栄社油脂化学工業株式会社製エポライト400E)を用いた。
【0039】
AA及びMAAは重合する前に各種アミノ化合物(B)で中和して重合に使用した。また、AA及びMAAを重合前には中和せず、重合後に各種アミノ化合物(B)で中和した系についても実施した。さらに、比較例としてアミノ化合物(B)で中和せずにNaOHで中和した系についても実施した。
【0040】
所定量の各種単量体を蒸留水及びメタノ−ルに溶解させ(総単量体濃度18重量%)、重合溶媒が蒸留水の場合は開始剤として過硫酸カリウム(KPS)を、メタノ−ルの場合は2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AVN)を総単量体重量に対し0.3重量%添加し、重合同時架橋性の架橋性単量体を用いた場合は静置下で、重合後架橋性の架橋性単量体を用いた場合は攪拌下で65℃にて6時間重合を行った。重合溶媒としてはAN及びMAを用いる場合にはメタノールを、それ以外の場合には蒸留水を用いた。重合後、重合同時架橋性の架橋性単量体を用いた場合は、ゲル状の重合体を適当な大きさに切断し乾燥機に入れて乾燥した後、粉砕してから180℃で十分にエステル化反応が進行するまで乾熱処理を行い粉体状の重合体を得た。また、重合後架橋性の架橋性単量体を用いた場合は、重合後の溶液に必要に応じて架橋助剤を加えた後、テフロン板上に流延して乾燥しフィルムを作製した。次に、180℃で十分にエステル化反応及び架橋が進行するまで乾熱処理を行い吸水性のフィルムを得た。尚、架橋助剤としてPEDGを用いた場合は、フィルムが形成された時点で架橋構造が導入されており、架橋とエステル化反応は別々に行われるが、それ以外の場合については、架橋とエステル化反応を同一の条件により同時に行っている。表1に各重合体の単量体仕込み組成、アミノ化合物(B)の種類と中和度、使用した架橋助剤とその添加量を示す。尚、重合体14は重合後にアミノ化合物(B)で中和した系であり、それ以外の重合体は全て重合前に中和した系である。
【0041】
【表1】
【0042】
これらの粉体状及びフィルム状の重合体の吸水性能は、以下の方法によって蒸留水及び各種電解質水溶液に対する吸収倍率を測定し評価した。乾燥した重合体1gを蒸留水及び各種電解質水溶液500ml中に4時間浸漬した後、200メッシュ金網で濾過し、10分間水切りした後、水性媒体を吸収した重合体の重量を測定し、重合体1g当たりの吸収した水性媒体のグラム数を吸収倍率とした。電解質水溶液としては、0.9重量%のNaCl水溶液、人工海水(アクアマリンS、八州薬品(株)製)を用いた。また、比較のために市販品の高吸水性樹脂(市販品=アクアリックCA(日本触媒株式会社製))も同様に評価した。表2に各重合体の各種水性媒体に対する吸収倍率を示す。
【0043】
【表2】
【0044】
重合体1から10はAAを単量体(A)としてだけではなく、後架橋性の架橋性単量体(C)として用いて架橋助剤により架橋構造を導入した系である。重合体1はアミノ化合物(B)による中和度が本発明の範囲より少ないものであり、各種水性媒体とも全体に低い吸水倍率となっている。重合体2から9は本発明の範囲内の中和度のものであり、中和度及び架橋助剤の種類と添加量に依存するが高い塩水吸収性能を示す。重合体10は中和度が本発明の範囲より高いものであり、低い塩水吸収性能となっている。重合体11と12は重合同時架橋性の架橋性単量体(C)を用いた系であり単量体(C)の組成に依存して吸水倍率が変化するが優れた塩水吸収性能を示す。重合体13から21は後架橋性の架橋性単量体(C)としてAAとHEAを併用した系と、AAとHEA及びN−MAMとを併用した系であり、重合体17は単量体(A)としてMAAを用いたもの、重合体18、19、20はその他の単量体としてAAm、AN、MAをそれぞれ共重合したもの、また、重合体21はアミノ化合物(B)としてChOHを用いたものである。いずれの重合体も塩水吸収性能が優れており、本発明の重合体の優位性が認められる。一方、比較例である重合体22と23、市販品はいずれも塩水吸収性能が低く、特に人工海水に対する吸収性能が低いものであった。
【0045】
実施例2
実施例1で重合した重合体16の水溶液に、蒸留水を加えて濃度20重量%に希釈した。希釈液をバットに入れて、基材となる不織布に含浸させた後、マングルで絞ってからテフロン板上で乾燥した。次に、乾燥した不織布を180℃で架橋及びエステル化反応が十分に進行するまで乾熱処理を行って、本発明の重合体で被覆した吸水性材料を得た。基材不織布としては、レーヨン:ポリエステル混(混率70:30(重量%)、目付65g/m2 )、ポリエステル100%(目付130g/m2 )の2種類を用いた。得られた吸水性材料中の重合体16の割合は、レーヨン:ポリエステル混のもので60重量%、ポリエステル100%のもので55重量%であった。また、比較のために本発明の範囲外である重合体23をレーヨン:ポリエステル混不織布に被覆した吸水性材料も作製した。得られた吸水性材料中の重合体23の割合は60重量%であった。
【0046】
同様に、基材としてラップヤーン(レーヨン100%、ポリエステルラップ、1/7番手)を用い、重合体16の水溶液(濃度20重量%)を含浸させ、乾燥後架橋及びエステル化反応が十分に進行するまで乾熱処理を行って、本発明の重合体で被覆した吸水性材料を得た。得られた吸水性材料中の重合体16の割合は60重量%であった。
【0047】
これらの吸水性材料の吸水性能は、以下の方法によって蒸留水及び各種電解質水溶液に対する吸収倍率を測定し評価した。秤量した吸水性材料を蒸留水及び各種電解質水溶液500ml中に4時間浸漬した後、200メッシュ金網で濾過し、160Gで5分間遠心脱水して水性媒体を吸収した吸水性材料の重量を測定し、吸水性材料1g当たりの吸収した水性媒体のグラム数を吸収倍率とした。電解質水溶液としては、重合体の場合と同様に、0.9重量%のNaCl水溶液及び人工海水を用いた。結果を表3に示す。本発明の吸水性材料は、いずれも比較例と比べて電解質水溶液に対する吸収性能の高いものであり、本発明の優位性が認められる。
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】
本発明の塩水吸収性重合体は高い塩水吸収性能を有しており、これまで使用することができなかったような分野、用途へ極めて有効に使用することができる。特に、海水、汗、尿、血液、セメント水、塩類土壌地下水等の電解質を含有する水性媒体を吸収させる様な用途に絶大な効果を発揮するため、衛生材料等の生活用品だけでなく、一般土木・建築用止水材、各種資材用途にも有用である。例えば、紙おむつ、失禁用吸尿材、ナプキン、血液用フローストッパー、救急絆創膏、傷当て材、止水フィルター、農園芸・緑化用保水材、加湿材、消火・防災用資材、食品用ドリップ吸収シート、水分除去フィルター、塩類土壌改良材、地中止水材、ケーブル止水材、配管コンクリート成型物用目地材、住宅用目地材、バスタブ用目地材、結露吸収材(コンテナ天井、冷蔵・冷凍食品の包材等)、冷却剤(シート、マット、腹巻き、首巻き、帽子等)、鋼管矢板工法用止水材等の用途が挙げられるが、もちろんこれら用途に限定されるものではない。さらに、本発明の塩水吸収性重合体は、重合体そのものを粉体やシート状、繊維状に成形して用いることもできるが、各種基材へ被覆することにより、任意の形態への加工が容易に行えるため種々の用途への応用展開をより容易に行うことができる。
Claims (6)
- カルボキシル基の20〜80モル%を水酸基を1つだけ含有する2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミン、ジエチルプロパノールアミン、コリン、N−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヒドロキサイド、ジメチル−p−アミノフェノール、ジエチル−p−アミノフェノール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコール、ジメチルアミノエチルオキシポリエチレングリコール、ジエチルアミノエチルオキシポリエチレングリコール及びN,N−ジメトキシポリエチレングリコールアミノエタノールからなる群より選ばれた1種以上のアミノ化合物(B)で中和したアクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、イタコン酸及びその塩、およびマレイン酸及びその塩からなる群より選ばれた1種以上のカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)と、N,N−ジアリルメタクリルアミド、ジアリルアミン、N,N−ビスアクリルアミド酢酸、N,N’−ビスアクリルアミド酢酸メチルエステル、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ベンジリデンビスアクリルアミド、ジアリルスクシネート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジアリルアクリルアミド、ジビニルベンゼン、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレイトからなる群より選ばれた1種以上の重合同時架橋性またはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート及びイミノールメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上の重合後架橋性の架橋性単量体(C)とを共重合し、次いで、未中和のカルボキシル基とアミノ化合物(B)の水酸基とをエステル化反応させて両性高分子化し、必要に応じて架橋反応を行うことを特徴とする、塩水吸収性重合体の製造方法。
- アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、イタコン酸及びその塩、およびマレイン酸及びその塩からなる群より選ばれた1種以上のカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(A)をN,N−ジアリルメタクリルアミド、ジアリルアミン、N,N−ビスアクリルアミド酢酸、N,N’−ビスアクリルアミド酢酸メチルエステル、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ベンジリデンビスアクリルアミド、ジアリルスクシネート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリ レート、ジアリルアクリルアミド、ジビニルベンゼン、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレイトからなる群より選ばれた1種以上の重合同時架橋性またはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート及びイミノールメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上の重合後架橋性の架橋性単量体(C)と共重合し、共重合体中の単量体(A)部分のカルボキシル基の20〜80モル%を水酸基を1つだけ含有する2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミン、ジエチルプロパノールアミン、コリン、N−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヒドロキサイド、ジメチル−p−アミノフェノール、ジエチル−p−アミノフェノール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコール、ジメチルアミノエチルオキシポリエチレングリコール、ジエチルアミノエチルオキシポリエチレングリコール及びN,N−ジメトキシポリエチレングリコールアミノエタノールからなる群より選ばれた1種以上のアミノ化合物(B)で中和し、次いで、未中和のカルボキシル基とアミノ化合物(B)の水酸基とをエステル化反応させて両性高分子化し、必要に応じて架橋反応を行うことを特徴とする、塩水吸収性重合体の製造方法。
- 重合後架橋性の架橋性単量体(C)を用い、重合後に両性高分子化と架橋反応を同時に行うことを特徴とする、請求項1または2記載の塩水吸収性重合体の製造方法。
- 単量体(A)部分のカルボキシル基のアミノ化合物(B)による中和度が40〜70モル%の範囲内であることを特徴とする、請求項1から3いずれかに記載の塩水吸収性重合体の製造方法。
- 請求項1〜4いずれかに記載の製造方法によってえられることを特徴とする塩水吸収性重合体。
- 繊維、ヤーン、糸、不織布、織布、編み地、紙、シート、フィルム、またはこれらの複合構造体から選ばれる基材が、請求項5記載の塩水吸収性重合体により被覆されてなる吸収性材料。
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