JP4852782B2 - 洗濯耐久性を有する高塩水吸収性繊維及びその製造方法 - Google Patents

洗濯耐久性を有する高塩水吸収性繊維及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高度な塩水吸収性能を有し、さらに繰り返し洗濯による塩水吸収性能の低下、重量変化がほとんどない高塩水吸収性繊維とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自重の数百倍もの水分を吸収する吸水性樹脂は紙おむつや生理用品等の吸収剤、農園芸用の保水材、土壌改良剤、止水材等に使用されている。この様な吸水性樹脂としては、例えば、デンプン-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン-アクリル酸グラフト共重合体、カルボキシメチルセルロース架橋物、酢酸ビニル-アクリル酸メチル共重合体加水分解物、ポリアクリル酸塩架橋物等が一般的に使用されている。
【0003】
また、吸水性樹脂は主に粉体で供給されるが一部で繊維状のものが上市されており、その加工性の良さを生かして不織布、成形体、エレメント等に加工して様々な用途に展開されている。この様な吸水性繊維としては、特開昭54-138693号公報にアクリロニトリル系繊維を内層、ポリアクリル酸塩架橋体を外層とした芯-鞘2層構造の繊維が良好な繊維物性を維持しながら高吸水性を発現するものとして開示されている。また、特開平6-65810号公報にカルボキシル基を有するビニルモノマーとヒドロキシル基及び/またはアミノ基を有するビニルモノマーとの共重合体からなる高吸水性繊維が開示されている。
【0004】
この様な吸水性繊維は高吸水性を示すものの、吸水膨潤した際の吸水性繊維自体の強度が非常に弱い。カルボキシル基を有するビニルモノマーとヒドロキシル基及び/またはアミノ基を有するビニルモノマーとの共重合体からなる高吸水性繊維であれば繊維形態そのものが破壊され粉状になる、あるいは芯-鞘2層構造を有するものであればポリアクリル酸架橋体からなる外層が剥がれ落ちてアクリロニトリル系繊維からなる内層部だけが残るという欠点を有している。
【0005】
汗、尿、生理食塩水等の塩水吸収性能が要求される介護、衣料用途に於いては、高い塩水吸収性能と共に繰り返し使用を想定した洗濯耐久性能が要求されるが従来の技術では上記欠点を有しているために要求を満たす塩水吸収性繊維は得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記のような問題点を克服するために、高い塩水吸収性能と洗濯による吸水繊維の物理的破壊がなく、従って繰り返し洗濯をしても塩水吸収性能が低下しない高塩水吸収性繊維について鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。かかる物性を有する高塩水吸収性繊維を開発することは、従来の吸水性繊維では困難であった塩水吸収性能と洗濯耐久性の両立を可能にし、該高塩水吸収性繊維を加工することで装身具、衣料、寝具、リビング用品、花粉症や風邪用マスク、切花輸送用包装材料、蓄冷剤、失禁者用シーツ、メディカル用シーツ、靴インソール汗取り、脇の下の汗取り材、前掛け、フェイスマスク、額、足、首などの冷却材、失禁パンツ、バスマット、歯科用、医療用、介護用吸水材料などの様々な用途への応用が可能となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を有するものである。
1. 被洗濯履歴を有しないときの生理食塩水吸収性能が自重の 5〜15倍であり、10回繰り返し洗濯後の、重量保持率が90%以上で生理食塩水吸収性能保持率が85%以上である高塩水吸収性繊維。
2. 繊維断面が、生理食塩水吸収性能を主に担当する表層吸収部と引張乾強度を主に担当する芯部の、2層で構成されていることを特徴とする上記1記載の高塩水吸収性繊維。
3. 被洗濯履歴を有しない繊維の、窒素含有率が10〜15重量%、引張乾強度が1.0cN/dtex以上であることを特徴とする上記1または上記2記載の高塩水吸収性繊維。
4. アクリロニトリル系重合体でなる繊維を基材としてなることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の高塩水吸収性繊維。
5. アクリロニトリル系重合体でなる繊維をヒドラジンと水溶液がアルカリ性を示すアルカリ金属化合物(以下「水溶液がアルカリ性を示すアルカリ金属化合物」を、単にアルカリ性金属化合物と略称することがある。)を用いて処理し、繊維中に架橋構造の導入と、-COOX(X:アルカリ金属またはNH4)で示される塩型カルボキシル基の含有率が2.0〜5.0mmol/gとなるように加水分解を行わしめることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載する高塩水吸収性繊維の製造方法。
6. 前記の処理を、先ずヒドラジンにより窒素含有率の増加が0.1〜1.0重量%となるように処理し、次いで水溶液がアルカリ性を示すアルカリ金属化合物による処理と、逐次に行うことを特徴とする上記5記載の高塩水吸収性繊維の製造方法。
7. 上記5または上記6記載の処理に際し、被処理繊維表面に水溶液がアルカリ性を示すアルカリ金属化合物を繊維重量に対し2.5〜10.0meq/g付着せしめて行うことを特徴とする上記5または上記6記載の高塩水吸収性繊維の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を記述する。まず本発明の高塩水吸収性繊維は、洗濯耐久性を備えることが特徴であるが、未だ洗濯操作を受けていないとき即ち被洗濯履歴を有しないときでも高い塩水吸収性能を有している。本発明では塩水吸収性能を表現する物差しとして生理食塩水(測定条件は後述する)の繊維自重当りの吸収重量を用いるが、その吸収倍率で表示して被洗濯履歴を有しないときでは5〜15倍、より好ましくは8〜15倍を有する繊維である。
【0009】
また、本発明繊維の洗濯耐久性は、10回の繰り返し洗濯(洗濯条件は後述する)後で、繊維自重の重量保持率が90%以上且つ前記した生理食塩水の吸収倍率の当初(被洗濯履歴を有しないとき)のそれとの比率で表示した生理食塩水吸収性能保持率が85%以上というものである。
【0010】
従来の技術による吸水性繊維は、当初の吸水性能は高くても塩水例えば生理食塩水の吸収となると途端に性能が発現されず、また洗濯を受けると繊維自体の重量が激減して行く、即ち繊維の構成成分が溶出してしまい、洗濯経験後はほとんど塩水吸収性を有するとは言えないものとなってしまっていた。かかる現状の中で前述の洗濯耐久性を有し、しかも塩水吸収性である本発明繊維は画期的である。
【0011】
かかる本発明繊維の当初生理食塩水吸収性能は5〜15倍であるが、これが5倍未満であると高い塩水吸収性能を有しているとは言い難いため、15倍を超えると洗濯耐久性が発現できないため、いずれも本発明で解決しようとする課題を克服することはできない。また、繰り返し洗濯後の重量保持率が90%を下回ったり生理食塩水吸収性能保持率が85%未満では洗濯により該繊維が劣化していることは明らかであり洗濯耐久性を有しているといえるレベルから程遠く、本発明で解決しようとする課題を克服することはできない。
【0012】
かかる発明繊維の断面構造としては、表層吸収部と芯部のいわゆるシース・コア型2層構造でなるものが推奨される。この場合表層吸収部は本発明繊維の生理食塩水吸収性能を主に担当し、芯部は引張乾強度を主に担当すると言う機能分担が行われている。なおここで「主に」の表現は、通常用いられている意味で程度を表しており、例えば芯部は本発明繊維の引張乾強度のかなりの部分を担っているが、吸収性能は全く示さないのかと言うとそうではないという程の意味である。
【0013】
本発明繊維を別の観点からの特徴で記述すれば、洗濯前当初繊維の構成成分のうち窒素成分の含有率が繊維重量に対し10〜15重量%であり、引張乾強度は1.0cN/dtex以上であることが挙げられる。この乾強度は上述の通り発明繊維の芯部によって主に担われているが、それ故に該繊維が塩水吸収した時にも大きくは影響を受けず、発明繊維の使用の場における強さを担保することになる。
【0014】
かかる本発明の繊維は、出発材料としてアクリロニトリル系重合体でなる繊維を基材としたとき最も工業的有利に実現される。その理由は該重合体がニトリル基という化学修飾に対して活性な基を有していることに依る。以下本発明繊維の製造方法について説明する。
【0015】
まず、アクリロニトリル系重合体でなる繊維(以下アクリロニトリル系繊維という)を構成するアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルを80重量%以上、好ましくは85重量%以上含む重合体が望ましい。共重合モノマーとしては塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類:アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸及びこれらの塩類:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類:ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、P-スチレンスルホン酸等のエチレン系不飽和スルホン酸及びこれらの塩類:(メタ)アクリルアミド、シアン化ビニリデン、メタアクリロニトリル等のビニル化合物類等があげられる。
【0016】
繊維直径としては、吸収速度、不織布加工、紡績加工した場合の柔軟性の観点からできるだけ細いものが好ましいが、繊維物性等の兼ね合いから概ね3〜100μm、好ましくは5〜50μmのものが推奨される。また繊維の断面形状としては、丸、扁平、三角など限定されることなく用いることができる。
【0017】
該アクリロニトリル系繊維を出発物質として使用し、目的とする高塩水吸収性を付与するためには、ヒドラジン架橋処理後、加水分解処理またはヒドラジン架橋、加水分解同時処理することが必要である。本発明にて加水分解に使用する水溶液がアルカリ性を示すアルカリ金属化合物とは、アルカリ金属化合物の1.0wt%水溶液のpHが7.5以上を示す物質をいい、かかる物質の例としては、Na、K、Li等のアルカリ金属の水酸化物または炭酸、酢酸、ギ酸等の有機酸のNa、K、Li等のアルカリ金属塩をあげることができる。次に上述処理の詳細を説明する。
【0018】
はじめにアクリロニトリル系繊維にヒドラジン架橋を導入した後、次いで加水分解を行う方法について説明を行う。アクリロニトリル系繊維にヒドラジン架橋を導入する方法としては、窒素含有率の増加が0.1〜1.0重量%に調整しうる手段である限り採用できるが、ヒドラジン(N2H4純分換算)濃度0.1〜10.0重量%、温度50〜120℃で5〜120分間処理する手段が工業的に好ましい。ここで窒素含有率の増加とは、原料アクリロニトリル系繊維の窒素含有率とヒドラジン架橋アクリロニトリル系繊維の窒素含有率の差を言う。
【0019】
なお窒素含有率の増加が上記下限に満たない場合には、最終的に加水分解を施した後に得られる塩水吸収性繊維が吸水して膨潤した際の表層吸収部はゲル状態にあるが、該ゲルの物理的強度(以下ゲル強度という)が低く、従って洗濯耐久性を有する高塩水吸収性繊維が得られない。上限を超えると、最終的に加水分解を施した後に得られる塩水吸収性繊維の塩水吸収性能が低く目的とする高塩水吸収性繊維は得られない。ここに使用するヒドラジンとしては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン等が例示される。
【0020】
なお、アクリロニトリル系繊維をポンプ循環系を備えた容器内に充填し、ヒドラジン水溶液をポンプより循環しつつ反応を進めて上記ヒドラジン架橋を導入する手段が、装置上、安全性、均一反応性等の諸点から望ましい。かかる装置(ポンプ循環系を備えた容器)の代表例としては、オーバーマイヤー染色機が挙げられる。
【0021】
かくして得られたヒドラジン架橋アクリロニトリル系繊維を加水分解する手段は、アルカリ性金属化合物またはその水溶液を該繊維の乾燥重量に対し、純分のアルカリ性金属化合物量が2.5〜10.0meq/g、好ましくは5.0〜10.0meq/gの範囲内になるように付着させた繊維を調整し、該繊維を80℃以上の温度で5〜120分間加熱、好ましくは100〜150℃の湿熱雰囲気下で10〜40分間加熱する手段を採用することが望ましい。なお、アルカリ性金属化合物の水性溶液を作製する溶媒としては、工業上は水が好ましいが、アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒と水との混合溶媒でも良い。
【0022】
なお繊維の乾燥重量に対するアルカリ性金属化合物の付着量が上記下限に満たない場合は、加水分解により生成する塩型カルボキシル基量が2.0mmol/g未満となり高塩水吸収性能が得られない。上限を超えると加水分解により生成する塩型カルボキシル基量が5.0mmol/gを超え、繊維全体が加水分解されて芯部-表層吸収部2層構造の芯部分が消失、または部分的に2層構造の芯部が消失した塩水吸収性繊維が形成され、洗濯した際にこの1層構造部分が破壊され洗濯耐久性能が発現されない。
【0023】
続いてアクリロニトリル系繊維にヒドラジン架橋の導入と加水分解を同時に行う方法について説明を行う。ヒドラジンとアルカリ性金属化合物とを共存させた水性溶液を、繊維の乾燥重量に対し、アルカリ性金属化合物は付着量が2.5〜10.0meq/g好ましくは5.0〜10.0meq/g、ヒドラジン(N2H4純分換算)が0.1〜1.5重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%の範囲内になるように付着させた繊維を調整し、該繊維を80℃以上の温度で5〜120分間加熱、好ましくは100〜150℃の湿熱雰囲気下で10〜40分間加熱する手段を採用することが望ましい。なお、水性溶液を作製する溶媒としては、工業上は水が好ましいが、アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒と水との混合溶媒でも良い。
【0024】
なお乾燥繊維重量に対するヒドラジンの付着量が上記下限に満たない場合には、最終的に加水分解を施した後の塩水吸収性繊維のゲル強度が低く、従って洗濯耐久性を有する高塩水吸収性繊維が得られない。上限を超えると、最終的に加水分解を施した後の塩水吸収性繊維の塩水吸収性能が低く目的とする高塩水吸収性繊維は得られない。ここに使用するヒドラジンとしては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン等が例示される。
【0025】
なお繊維の乾燥重量に対するアルカリ性金属化合物の付着量が上記下限に満たない場合は、加水分解により生成する塩型カルボキシル基量が2.0mmol/g未満となり高塩水吸収性能が得られない。上限を超えると加水分解により生成する塩型カルボキシル基量が5.0mmol/gを超え、繊維全体が加水分解されて芯部-表層吸収部2層構造の芯部分が消失、または部分的に2層構造の芯部が消失した塩水吸収性繊維が形成され、洗濯した際にこの1層構造部分が破壊され洗濯耐久性能が発現されない。
【0026】
このようにして、出発アクリロニトリル系繊維の表層吸収部にヒドラジン架橋構造と2.0〜5.0mmol/gの塩型カルボキシル基のほとんどが導入された、生理食塩水吸収性能が自重の5〜15倍であり、1.0cN/dtex以上の引張乾強度を有し、10回繰り返し洗濯後の重量保持率が90%以上、生理食塩水吸収性能保持率が85%以上である洗濯耐久性を有する高塩水吸収性繊維を提供することができる。
【0027】
ここで、-COOX(X:アルカリ金属またはNH4)で示される塩型カルボキシル基の量(mmol/g)は、十分乾燥した試料約0.4gを精秤(Xg)し、これに100mlの水と0.5gの塩化ナトリウムを加えた後、1mol/lの塩酸水溶液を添加してpH2にし、次いで0.1mol/lのNaOH水溶液で常法に従って滴定曲線を求め、該滴定曲線からカルボキシル基に消費されたNaOH水溶液消費量(Yml)を求め、また約0.4gを精秤した試料(X1g)に100mlの水と0.5gの塩化ナトリウムを加えた後、0.1mol/lのNaOH水溶液で上記と同様に滴定してNaOH水溶液消費量(Y1ml)を求め、以上の測定結果から、次式によって算出した。
Figure 0004852782
なお、多価カチオンが含まれる場合は、常法によりこれらのカチオンの量を求め、上式を補正する必要がある。
【0028】
なお、塩型カルボキシル基の種類としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;またはNH4の塩があげられる。かかる所望の型の塩型カルボキシル基の形成も、本発明では加水分解処理の一環として扱う。加水分解の仕上げとして塩の型を作為的に変える場合の変換手段としては、酸型カルボキシル基含有繊維をアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の塩基性塩、アンモニア等の水溶液で処理したり、アンモニアガスで処理する手段があげられる。なお、塩型カルボキシル基の量が前記範囲を満たしている限り、酸型カルボキシル基が共存していても差し支えない。
【0029】
なお、本発明で用いる塩水吸収性能の尺度である生理食塩水吸収倍率は、試料約0.5gを25℃の生理食塩水(本発明では0.9%NaCl水溶液を生理食塩水として使用した)300ml中に30分間浸漬した後、遠心脱水(160G×5分、ただしGは重力加速度)して調整した試料の重量を測定(W1g)し、次に該試料を80℃の真空乾燥機中で恒量になるまで乾燥した繊維の重量を測定(W2g)し、次式によって算出したものである。
(生理食塩水吸収倍率:倍)=(W1-W2)/W2
【0030】
なお、発明繊維加工品の使用時におけるへたり、目詰まり等の一層の改善や、カードがけ等の発明繊維の加工性の改善などの諸点から、捲縮を有する繊維を出発アクリロニトリル系繊維として使用し、最終的に概ね捲縮数4〜15個/25mm、捲縮度5〜25%の範囲内の捲縮特性を備えた高塩水吸収性繊維を形成させることが望ましい。
【0031】
また、実用上問題のない繊維物性を維持し、かつ高い塩水吸収性能を持たせながら洗濯に耐え得るゲル強度を付与するという二律背反した課題を同時に満たす本発明の繊維を提供するためには、特に下記特性を備えた出発アクリロニトリル系繊維を選択することが望ましい。
【0032】
すなわち、繊維を形成するAN系重合体分子が十分に配向しておりコンゴーレッド(以下CRという)二色性比が0.45以上、更に好ましくは0.5以上のアクリロニトリル系繊維を採択することが望ましい。なお、CR二色性比は、高分子化学23(252)193(1966)記載の方法に従って求めた。
【0033】
なお、かかるアクリロニトリル系繊維の製造手段に限定はなく、上記CR二色性比が満たされている限り、適宜公知の手段を用いることができるが、中でも全延伸倍率を6倍以上、好ましくは8倍以上とし、かつ工程収縮率を30%以下、好ましくは20%以下とする手段の採用により工業的有利に所望のアクリロニトリル系繊維を作製することができる。
【0034】
なお、得られた高塩水吸収性繊維は、最終形態に応じて適宜糸、不織布、編織物等に加工することができる。特に寸法安定性が求められる使途においては、本発明高塩水吸収性繊維と熱接着性繊維(好ましくは10〜80%の混用率)からなる不織布が推奨される。なお、熱接着性繊維としては、熱接着性を備えている限り使用でき、例えば低融点-高融点成分が、ポリエチレン(PE)-ポリプロピレン(PP)、PE-ポリエステル(PES)、PES-PES等で形成される繊維などが挙げられる。
【0035】
【作用】
本発明に係る洗濯耐久性を有する高塩水吸収性繊維とその製造方法が、洗濯により重量減少をほとんど起こさない、また生理食塩水吸収性能低下をほとんど起こさない理由は概ね次のように考えられる。
【0036】
即ち、本発明に関わる繊維は、アクリロニトリル系繊維に予め、または加水分解反応時にヒドラジン架橋構造を適量導入することで、最終的に繊維表面に形成される架橋構造と-COOX基を併せ有する表層吸収部の塩水吸収性能が損なわれない範囲で、ゲル強度を洗濯中に起こると予想される物理的な摩擦力で剥がれない程度にしていると考えられる。
【0037】
また、アルカリ性金属化合物またはその水溶液を該繊維の乾燥重量に対し、純分のアルカリ性金属化合物量が、2.5〜10.0meq/g好ましくは5.0〜10.0meq/gの範囲内になるように付着させ加水分解を行うことで生成する塩型カルボキシル基量が5.0mmol/g以内になるよう調整されている。このことにより加水分解が過度に進行し引張乾強度を主に担当する芯部が消失することがなく、繊維断面が生理食塩水吸収性能を主に担当する表層吸収部と引張乾強度を主に担当する芯部の2層となり、洗濯中に起こると予想される物理的なせん断力に対しても繊維形態を崩すことなく保持するものと考えられる。
【0038】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが本発明の範囲は、これら実施例のみに限定されるものではない。実施例中の部及び百分率は、断りのない限り重量基準で示す。
【0039】
なお、洗濯試験は、JIS L 0217 103記載の洗い方を利用し、中性洗剤を使用して実施した。なお、塩水吸収性繊維はお茶パック(スバル株式会社製)に0.5g入れて、入り口をホチキスで止めて封をしてから洗濯試験にかけた。
【0040】
窒素含有率の増加率は、原料アクリロニトリル系繊維の窒素含有率とヒドラジン架橋アクリロニトリル系繊維の窒素含有率を元素分析により求めた値の差を言う。
【0041】
実施例1〜4,比較例1〜5
AN90%及びアクリル酸メチル(以下MAという)10%からなるAN系重合体(30℃ジメチルホルムアミド中での極限粘度[η]:1.2)10部を48%のロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液を、常法に従って紡糸、延伸(全延伸倍率:10倍)した後、乾球/湿球=120℃/60℃の雰囲気下で乾燥(工程収縮率14%)し、機械捲縮付与後、カット(繊維長51mm)してアクリロニトリル系繊維である原料繊維1(CR二色性比0.58)を得た。
次に、原料繊維1を表1に示した条件でヒドラジン水溶液処理次いでNaOH水溶液の処理を施した。ここでヒドラジン処理の場合、原料繊維と処理液の重量比率は1/10であり、オーバーマイヤー染色機にて処理を行ない、NaOH水溶液処理の場合は前記処理済みの繊維の表面に処理液を付着させた後、湿熱処理する方法によった。
得られた繊維の特性値を表1に示した。なお、これらの例のカルボキシル基の塩型はいずれもNaである。
【0042】
【表1】
Figure 0004852782
【0043】
実施例1〜4は生理食塩水吸収性能と共に10回繰り返し洗濯後の重量保持率と生理食塩水吸収性能保持率で評価できる洗濯耐久性に優れた性能を有していることが判る。
これに対して窒素含有率の増加率の大きい比較例1は優れた洗濯耐久性を有するものの生理食塩水吸収性能は低い。
窒素含有率の増加率の少ない比較例2は高い生理食塩水吸収性能を有するものの洗濯耐久性は低い。洗濯により表層吸収部であるゲル層が剥離しているのが確認された。
【0044】
塩型カルボキシル基量が少ない比較例3は優れた洗濯耐久性を有するものの生理食塩水吸収性能は低い。
塩型カルボキシル基量が多い比較例4、5は高い生理食塩水吸収性能を有するものの洗濯耐久性は低い。洗濯により繊維形態が破壊され粉体状になった。また引張強度が低く、脆い繊維でカードがけ等の加工に耐える物性を有するものではなかった。
【0045】
実施例5〜9,比較例6〜9
原料繊維1を表2に示した条件でヒドラジンとNaOHが共存する水溶液で処理を行なった。混合溶液系処理液を用いた反応は繊維表面に処理液を付着させた後、湿熱処理を行なう方法を用いた。
得られた繊維の特性値を表2に示した。
【0046】
【表2】
Figure 0004852782
【0047】
実施例5〜9は生理食塩水吸収性能と共に10回繰り返し洗濯後の重量保持率と生理食塩水吸収性能保持率で評価できる洗濯耐久性に優れた性能を有していることが判る。
これに対し比較例6はヒドラジン付着量が少ないため高い生理食塩水吸収性能を有するものの洗濯耐久性は低い。洗濯により表層吸収部であるゲル層が剥離しているのが確認された。
比較例7はヒドラジン付着量が多いため優れた洗濯耐久性を有するものの生理食塩水吸収性能は低い。
【0048】
塩型カルボキシル基量が多い比較例8は高い生理食塩水吸収性能を有するものの洗濯耐久性は低い。洗濯により繊維形態が破壊され粉体状になった。また引張強度が低く、脆い繊維でカードがけ等の加工に耐える物性を有するものではなかった。
塩型カルボキシル基量が少ない比較例9は優れた洗濯耐久性を有するものの生理食塩水吸収性能は低い。
【0049】
【発明の効果】
本発明の塩水吸収性繊維は、高い生理食塩水吸収性能を示し、且つ洗濯によっても剥離を引き起こさないゲル強度を有し、なお且つ引張乾強度を主に担当する芯部があるために洗濯により繊維形態が破壊されるようなことはない。従ってこれまで困難であった、塩水吸収性能と洗濯耐久性の両立が可能となり、該高吸収性繊維を加工することで装身具、衣料、寝具、リビング用品、花粉症や風邪用マスク、切花輸送用包装材料、蓄冷剤、失禁者用シーツ、メディカル用シーツ、靴インソール汗取り、脇の下の汗取り材、前掛け、フェイスマスク、額、足、首などの冷却材、失禁パンツ、バスマット、歯科用、医療用、介護用吸水材料などの様々な用途への応用が可能となる。

Claims (5)

  1. アクリロニトリル系重合体でなる繊維を基材としてなり、被洗濯履歴を有しないときの生理食塩水吸収性能が自重の 5〜15倍であり、10回繰り返し洗濯後の、重量保持率が90%以上で生理食塩水吸収性能保持率が85%以上である高塩水吸収性繊維。
  2. 前記被洗濯履歴を有しない繊維の窒素含有率が12.1〜14.1重量%であり、ヒドラジン処理による窒素含有の増加率が0.4〜0.9重量%であり、繊維断面が、生理食塩水吸収性能を主に担当する表層吸収部と引張乾強度を主に担当する芯部の、2層で構成されていることを特徴とする請求項1記載の高塩水吸収性繊維。
  3. 被洗濯履歴を有しない繊維の、窒素含有率が12.1〜14.1重量%、引張乾強度が1.0cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の高塩水吸収性繊維。
  4. アクリロニトリル系重合体でなる繊維を、先ずヒドラジンにより窒素含有率の増加が0.1〜1.0重量%となるように、1.0%ヒドラジン水溶液中で35分〜45分の処理時間で処理し、次いで水溶液がアルカリ性を示すアルカリ金属化合物による処理と、逐次に行い、繊維中に架橋構造の導入と、-COOX(X:アルカリ金属またはNH4)で示される塩型カルボキシル基の含有率が2.0〜5.0mmol/gとなるように加水分解を行わしめることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載する高塩水吸収性繊維の製造方法。
  5. 請求項4記載の処理に際し、被処理繊維表面に水溶液がアルカリ性を示すアルカリ金属化合物を繊維重量に対し2.5〜10.0meq/g付着せしめて行うことを特徴とする請求項4記載の高塩水吸収性繊維の製造方法。
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