JP2021080621A - 吸水性シート - Google Patents

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拓三 小見山
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拓三 小見山
山下 修
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Kenta Kataoka
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Abstract

【課題】従来の吸水性複合体においては、不織布基材等に高吸水性重合体を固着させることに加えて、高吸水性重合体が吸収性複合体の外部に漏れることを防止する目的で、不織布シート材等によって高吸水性重合体層を被包することが一般的であるが、その被包により薄型化の限界があるという課題があった。一方、不織布基材等を薄いものにすれば薄型化は可能であるものの、固着できる高吸水性重合体の量は少なくなるため、十分な吸水性能が得られない。本発明の目的は十分な吸水性能と薄さを両立する吸水性シートを提供することである。【解決手段】密度が0.25〜1.4g/cm3であり、カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維を30〜100重量%含有するシート状物であって、前記ポリアクリロニトリル系吸水性繊維が、繊維状態を保持しつつ、一様に圧着されていることを特徴とする吸水性シート。【選択図】図1

Description

本発明は、吸水性繊維を含有する吸水性シートに関するものであり、おむつや生理用品、美容シートをはじめ、農園芸、衛生材料、土木、食品、医療用等様々な分野に応用展開が可能である。
おむつや生理用品、美容シート等の吸水性物品においては、水分を吸収する吸収材として、パルプや高吸水性重合体が用いられている。近年では、着用感や装着時における外観の向上が求められ、吸収性物品の構成部材の中で比較的嵩高い吸収体を薄型化することが提案されている。
そのような薄型の吸収体として、特許文献1および2には、不織布基材等に高吸水性重合体(SAP)を固着(担持)させることで、SAPの比率を増加させた吸水性複合体等が報告されているが、不織布基材を用いているためその薄型化には限界がある。
また、特許文献3には、吸水性繊維を含む開繊ウェブをエンボス加工によってシート化した吸水シートが開示されている。しかし、かかるシートは、取り扱い性に優れたシート形状を採用しつつ、繊維間に多量の水(自由水)を保持できるようにするために、吸水時の繊維の三次元方向への広がりを抑制しないシート化手段としてエンボス加工を採用したものであって、高い圧力を加えて薄型化したものではない。
特許第3196933号公報 特開2013−39804号公報 特開2005−82904号公報
前記吸水性複合体等においては、不織布基材等にSAPを固着させることに加えて、粒状、粉末状のSAPが吸収性物品の外部に漏れることを防止する目的で、不織布シート材によってSAP層を被包することが一般的であるが、その不織布により薄型化の限界があるという課題があった。一方、不織布基材等を薄いものにすれば薄型化は可能であるものの、固着できるSAPの量は少なくなるため、十分な吸水性能が得られなくなる。また、特許文献3の吸水シートはエンボス加工よる凹凸があるため、薄型化に限界がある。
本発明は、前記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維においては、高い圧力により圧着して薄型シート化しても繊維本来の吸水性が損なわれることがないことを見出してなされたものであり、その目的は十分な吸水性能と薄さを両立する吸水性シートを提供することである。
本発明は、以下の構成を有するものである。
(1)密度が0.25〜1.4g/cmであり、カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維を30〜100重量%含有するシート状物であって、前記ポリアクリロニトリル系吸水性繊維が、繊維状態を保持しつつ、一様に圧着されていることを特徴とする吸水性シート。
(2)厚みが0.035〜1.0mmであることを特徴とする(1)に記載の吸水性シート。
(3)カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維のカルボキシル基量が1.0〜5.0mmol/gであることを特徴とする(1)または(2)に記載の吸水性シート。
(4)カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維の吸水倍率が2〜300倍であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の吸水性シート。
(5)熱プレスをすることで得られることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の吸水性シート。
上記手段を採用することにより、密度が非常に高く、薄型化が可能な吸水性シートが得られる。かかる本発明の吸水性シートは、生理用品やオムツなどの衛生物品だけでなく、配管やケーブルの止水材、産廃処分場の止水シート、シャッターやドアなどの隙間に差し込む防災用止水シート、コンクリート養生用シートなどの薄型吸水材が求められる用途に展開することができる。
実施例1の吸水性シートの走査型電子顕微鏡の写真(倍率300倍)である。 比較例3の吸水性シートの走査型電子顕微鏡の写真(倍率300倍)である。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
おむつや生理用品においては、着用感や装着時における外観の観点から、吸水性シートが薄いことが望ましい。一方、漏れなどが発生しないように十分な量の吸水材を有していることが必要である。この「薄さ」と「吸水材の高含有」という相反する要請を両立するためには、高い密度をもった吸水性シートが必要となる。本発明は、表層部にカルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維を用いることで、薄型で密度が非常に高い吸水性シートが得られることを見出したものである。かかる本発明の吸水性シートの密度としては0.25〜1.4g/cmであり、好ましくは0.4〜1.0g/cmである。
本発明に採用するカルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維は水に浸した際に繊維表層部、繊維内部あるいは繊維全体が吸水、膨潤する特徴を有している。該吸水性繊維の吸水倍率は繊維の自重に対して2〜300倍、好ましくは30〜200倍であるものが好適に用いられる。吸水倍率が2倍未満であれば、吸水性シートとしての性能が十分でなく、また吸水倍率が300倍を超える場合には吸水時のゲル強度を強くすることが困難となる。
かかるポリアクリロニトリル系吸水性繊維としては上述した吸水倍率を満たしていればなんら限定はないが、具体的にはアクリロニトリル系繊維の表面を加水分解することで表面に塩型カルボキシル基を有する吸水層、中心部にアクリロニトリル系繊維部を残した芯鞘構造を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維や、かかる吸水性繊維に共有結合による架橋構造を導入せしめた芯鞘構造を有する架橋ポリアクリロニトリル系吸水性繊維等を挙げることができる。
特に上記の架橋ポリアクリロニトリル系吸水性繊維は、中心部にアクリロニトリル系繊維部が残るために繊維の物理的強度が強く加工時の取扱性が良好であるとともに膨潤時には繊維の長さ方向への変化が少ないため製品の寸法安定性が良好でありより好ましい。
かかるポリアクリロニトリル系吸水性繊維における共有結合による架橋構造の導入は、上述した繊維表面の加水分解前であっても、加水分解と同時であっても、加水分解後であっても構わない。また、架橋構造の導入においてはアクリロニトリル系繊維が有するニトリル基を、あるいは加水分解により生成したカルボキシル基を利用することができる。ただし、加水分解により生成したカルボキシル基を利用する方法では、加水分解により繊維表面に生成するゲル部位のゲル強度が弱く、架橋構造を導入する前の段階でゲルが脱落する、あるいは架橋されなかった一部のカルボキシル基含有ポリマーが流出するといった問題が起こりやすい。これに対し、加水分解前あるいは加水分解中にニトリル基を利用して架橋構造を導入すると、加水分解後のゲル強度が高く、また架橋されないカルボキシル基含有ポリマーが減少するため、工業的な取扱、環境への影響に対しても有利である。このことから、加水分解前あるいは加水分解中にニトリル基を利用して架橋構造を導入する方法が好ましい。
以下にニトリル基を利用して架橋構造を導入した架橋ポリアクリロニトリル系吸水性繊維の製造方法について詳述する。まず、原料となるアクリロニトリル系繊維を構成するアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルを80重量%以上、好ましくは85重量%以上含む重合体が望ましい。共重合モノマーとしては塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸及びこれらの塩類:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類:ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等のエチレン系不飽和スルホン酸及びこれらの塩類;(メタ)アクリルアミド、シアン化ビニリデン、メタアクリロニトリル等のビニル化合物類等が挙げられる。
ここで、アクリロニトリル系重合体の分子量としては、一般の衣料用繊維として用いられる程度の分子量のものでも、高強度繊維等に用いられるような高分子量のものでもかまわないが、汎用の衣料用繊維を用いるほうがコスト的に有利であることから、20万以下の重量平均分子量のものが好適に利用できる。
次に該アクリロニトリル系繊維を出発物質として使用し、ニトリル基を利用した架橋構造の導入を行い、目的とする吸水倍率を有する吸水性繊維を得る方法を詳細に説明する。この方法としてはニトリル基を利用した架橋処理後に加水分解処理を行う方法とニトリル基を利用した架橋と加水分解を同時処理する方法を挙げることができる。
はじめにニトリル基を利用した架橋処理後に加水分解処理を行う方法について説明を行う。アクリロニトリル系繊維にニトリル基を利用した架橋構造を導入する方法としては架橋剤濃度0.1〜10.0重量%の水溶液中、温度50〜120℃で5〜150分間処理する手段が工業的に好ましい。ここで架橋剤濃度、処理温度が下限値を切ると共有結合による架橋構造の導入量が不足し、逆に架橋剤濃度、処理温度が上限を超えると共有結合による架橋構造の導入量が多くなりすぎ、いずれの場合も本発明の吸水倍率の範囲にある吸水性繊維を得ることが難しい。
架橋剤はニトリル基と化学反応し共有結合を形成しうる官能基を1分子中に2個以上有する多官能性化合物であれば特に限定はないが、例えばアミノ基、エポキシ基等の官能基を2個以上有する多官能性化合物が挙げられる。具体的には水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン、ジアミノエタン、炭酸グアニジン、1、3−ジアミノプロパン、エチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
かくして得られた架橋アクリロニトリル系繊維を加水分解する手段は、アルカリ性金属化合物またはその水溶液を該繊維の乾燥重量に対し、アルカリ性金属化合物量が2.5〜10.0mmol/g、好ましくは5.0〜10.0mmol/gの範囲内になるように付着させた繊維を調整し、該繊維を80℃以上の温度で5〜180分間加熱、好ましくは100〜150℃の湿熱雰囲気下で10〜120分間加熱する手段を採用することが望ましい。なお、かかる加水分解処理においては必要に応じて架橋剤を添加しておいてもよく、後述する架橋と加水分解を同時処理する方法をそのまま採用してもよい。
ここで使用するアルカリ性金属化合物とは、アルカリ金属化合物の1.0重量%水溶液のpHが7.5以上を示す物質をいい、かかる物質の例としては、Na、K、Li等のアルカリ金属の水酸化物または炭酸、酢酸、ギ酸等の有機酸のNa、K、Li等のアルカリ金属塩をあげることができる。なお、アルカリ性金属化合物の水性溶液を作成する溶媒としては、工業的は水が好ましいが、アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒と水との混合溶媒でも良い。
続いてニトリル基を利用した架橋と加水分解を同時処理する方法について説明を行う。架橋剤とアルカリ性金属化合物とを共存させた水性溶液を、アクリロニトリル系繊維の乾燥重量に対し、アルカリ性金属化合物量が2.5〜10.0mmol/g、好ましくは5.0〜10.0mmol/gの範囲、架橋剤が0.1〜1.5重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%の範囲内になるように付着させた繊維を調整し、該繊維を80℃以上の温度で5〜180分間加熱、好ましくは100〜150℃の湿熱雰囲気下で10〜120分間加熱する手段を採用することが望ましい。
上述の様にして加水分解された繊維にはカルボキシル基量が1.0〜5.0mmol/g、望ましくは1.5〜4.0mmol/g含まれていることが望ましい。カルボキシル基量が1.0mmol/gに満たないと満足する吸水性が得られないことがあり、5.0mmol/gを超えると、繊維物性が悪く取扱いが困難となる場合がある。
このようにして、ニトリル基を利用した架橋構造を導入した吸水倍率が2〜300倍の範囲にある架橋ポリアクリロニトリル系吸水性繊維を製造することができる。
本発明の吸水性シートは、上述した本発明に採用するポリアクリロニトリル系吸水性繊維を、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%、さらに好ましくは50〜100重量%含有するものである。該吸水性繊維の含有率が高いほど単位重量あたりの保水量が増加し、薄型化が可能となる。一方、該吸水性繊維の含有率が30重量%に満たない場合には吸水性シートの単位重量あたりの吸水量が少なくなるため薄型化が困難となる。
また、本発明の吸水性シートにおいてポリアクリロニトリル系吸水性繊維と混用することのできる繊維としては、特に限定はないが、コスト面から考えてポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ビニロン、コットン、レーヨン、羊毛、ガラス繊維等の汎用繊維を用いるのが好ましい。
また、本発明の吸水性シートは、上述したポリアクリロニトリル系吸水性繊維が、繊維状態を保持しつつ、一様に圧着されているものである。本発明において「圧着」とは加圧により塑性変形して、接合している状態のこといい、「一様に圧着されている」とは圧着されていない部分や他の箇所に比べて明らかに圧着の弱い部分がない状態をいう。なお、塑性変形させる観点からは加熱下で加圧する熱圧着が望ましい。
上述してきた本発明の吸水性シートの製造方法としては、上述のポリアクリロニトリル系吸水性繊維、または該吸水性繊維と他の繊維を混綿したものをカード機によって解繊ウェブとした後、該解繊ウェブを直接熱プレスする方法や該解繊ウェブをニードルパンチ工程を通過させ、次いで熱プレスする方法等が挙げられる。ここで、熱プレスには、一様に圧着する観点から、平滑なカレンダーロールや平板プレス機を用いることが望ましい。
上述のように熱プレスすることにより吸水性シートの薄型化が可能となり、これに伴いシートの密度が高くなる。すなわち、シートの密度は薄型化の指標となり、本発明においては0.25〜1.4g/cm、好ましくは0.4〜1.0g/cmの場合に使用上好ましい薄さとなる。密度が0.25g/cmに満たない場合には薄型化不十分でシートが厚くなり、着用感や装着時における外観不良が起こる可能性がある。また、使用する吸水性繊維のそのものの密度の観点から、吸水性シートの密度が1.4g/cmを超えるようにすることは困難である。
熱プレスの温度としては好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃である。100℃未満ではシートの密度が上がらず、薄型化が不十分となる場合があり好ましくない。また、200℃を超える場合は繊維の物性が低下し、シートの物性や吸水性能が低下する可能性があり好ましくない。
熱プレスの圧力としては線圧として好ましくは50〜500kgf/cm、より好ましくは100〜400kgf/cmで行うことが望ましい。50kgf/cm未満ではシートの密度が上がらず、薄型化が不十分となる場合があり好ましくない。また、500kgf/cmを超える場合は吸水量や吸水速度性が遅くなる可能性があり好ましくない。
また、本発明の吸水性シートの厚みとしては、好ましくは0.035〜1.0mm、より好ましくは0.06〜0.5mm、さらに好ましくは0.06〜0.3mmである。厚みを0.035mm未満とすることは使用する吸水性繊維の繊度の観点から容易ではない。一方、厚みが1.0mmを超える場合には、例えば、生理用品などに使用した場合、着用感や装着時の外観向上の効果が十分に得られない場合がある。
上述してきた本発明の吸水性シートは、熱プレスにより高密度薄型化されているにも関わらず、カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維の吸水性能が阻害されることなく発現される。これは、本発明の吸水性シートにおいて、前記吸水性繊維が圧着されているのみで融着せずに繊維状態を保持している状態にあるためであると考えられる。
カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維が上述のような特性を有する理由は定かではないが、該繊維に含まれるアクリロニトリル系重合体はガラス転移点が低く、熱プレス温度で軟化を起こすため、熱プレス時においても繊維形状が破壊されることなく扁平状に変形すると考えられる。さらに、アクリロニトリル系重合体は溶融もしないため、熱プレス後においても繊維1本1本が独立した状態を保つと考えられる。
また、本発明の効果の一側面としては、カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維を採用することにより、熱融着性繊維を用いずとも十分な強度を有するシートを成形が可能であることが挙げられ、実使用において非常に有利である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。実施例中の部および百分率は、断りのない限り重量基準で示す。
<吸水倍率の測定方法>
試料約0.5gを25℃の脱イオン水300ml中に30分間浸漬した後、遠心脱水(160G×5分、ただしGは重力加速度)して調整した試料の重量(Y1(g))を測定し、次に該試料を80℃の真空乾燥機中で恒量になるまで乾燥した繊維の重量(Y2(g))を測定し、次式によって算出したものである。
吸水倍率(倍)=(Y1−Y2)/Y2
<カルボキシル基量の測定方法>
試料をpH2〜3の硫酸水溶液に30分浸漬後、十分水洗し80℃乾燥機にて乾燥し、その後、試料約0.4gを秤取り(X1(g))、これを100mlの脱イオン水に0.5gの塩化ナトリウムを溶解した液に入れて30分間攪拌する。続いて0.1mol/LのNaOHを30ml滴下した後に、フェノールフタレインを数滴滴下して赤色に着色するのを確認後、引き続き30分間攪拌する。その後、金網メッシュを使用して吸水性繊維と分散液を分離して分散液を回収する。分散液に0.1mol/LのHClを赤色が消失するまで滴下する(X2(ml))。次式に従ってカルボキシル基量を算出する。
全カルボキシル基量(mmol/g)=(30−X2)×0.1/X1
<シートの密度の測定方法>
シートの厚み(mitutoyo製ダイヤルゲージ(コードNo.2046F)を使用して測定)と、目付(g/m)から算出した。
<ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aの作成>
繊度3.3dtex、繊維長51mmのアクリル繊維表面に35%の水酸化ナトリウム水溶液と0.1%のヒドラジン水溶液の混合水溶液をアクリル繊維重量と等量付着させ108℃で15分間加水分解することで表面に塩型カルボキシル基を有する吸水層、中心部にアクリロニトリル系繊維部を残した芯鞘構造を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aを作成した。このポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aの吸水倍率は125倍で、カルボキシル基量は1.8mmol/gであった。
<ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Bの作成>
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aの作成で使用したのと同じアクリル繊維を2.0%のヒドラジン水溶液に浸漬後、85℃で40分保持し共有結合による架橋構造の導入を行い架橋されたアクリル繊維を得た。その後、繊維表面に35%の水酸化ナトリウム水溶液と0.1%のヒドラジン水溶液の混合水溶液を架橋されたアクリル繊維の重量と等量付着させ113℃で18分間加水分解することで表面に塩型カルボキシル基を有する吸水層、中心部にアクリロニトリル系繊維部を残した芯鞘構造を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維Bを作成した。このポリアクリロニトリル系吸水性繊維Bの吸水倍率は10倍で、塩型カルボキシル基量は3.2mmol/gであった。
<ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Cの作成>
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aの作成で使用したのと同じアクリル繊維を2.0%のヒドラジン水溶液に浸漬後、85℃で40分保持し共有結合による架橋構造の導入を行い架橋されたアクリル繊維を得た。その後、繊維表面に35%の水酸化ナトリウム水溶液と0.1%のヒドラジン水溶液の混合水溶液を架橋されたアクリル繊維の重量の1/3の重量となるように付着させ113℃で18分間加水分解することで表面に塩型カルボキシル基を有する吸水層、中心部にアクリロニトリル系繊維部を残した芯鞘構造を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維Cを作成した。このポリアクリロニトリル系吸水性繊維Cの吸水倍率は2倍で、塩型カルボキシル基量は1.0mmol/gであった。
<ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Dの作成>
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aの作成で使用したのと同じアクリル繊維を用いて、35%の水酸化ナトリウム水溶液と0.1%のヒドラジン水溶液の混合水溶液をアクリル繊維重量の1.5倍の重量となるように付着させ108℃で15分間加水分解することで表面に塩型カルボキシル基を有する吸水層、中心部にアクリロニトリル系繊維部を残した芯鞘構造を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維Dを作成した。このポリアクリロニトリル系吸水性繊維Dの吸水倍率は300倍で、カルボキシル基量は2.5mmol/gであった。
<ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Eの作成>
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aの作成で使用したのと同じアクリル繊維を2.0%のヒドラジン水溶液に浸漬後、85℃で40分保持し共有結合による架橋構造の導入を行い架橋されたアクリル繊維を得た。その後、繊維表面に35%の水酸化ナトリウム水溶液と0.1%のヒドラジン水溶液の混合水溶液を架橋されたアクリル繊維の重量の1.5倍の重量となるように付着させ113℃で18分間加水分解することで表面に塩型カルボキシル基を有する吸水層、中心部にアクリロニトリル系繊維部を残した芯鞘構造を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維Eを作成した。このポリアクリロニトリル系吸水性繊維Eの吸水倍率は16倍で、塩型カルボキシル基量は5.0mmol/gであった。
(実施例1、7)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aを用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、金属製の平滑なカレンダーロールを用いて表1中の条件にて熱プレスを行い本発明の吸水性シートを作成した。得られた実施例1の吸水性シートの走査型電子顕微鏡の写真を図1に示す。繊維が圧着されて緻密となり、密度が高くなっているが、繊維状態を保持していることが分かる。
(実施例2)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Bを用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、金属製の平滑なカレンダーロールを用いて表1中の条件にて熱プレスを行い本発明の吸水性シートを作成した。
(実施例3)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Bと繊度3.3dtex、繊維長51mmのアクリル繊維とを重量比で30:70の割合で混ぜてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、金属製の平滑なカレンダーロールを用いて表1中の条件にて熱プレスを行い本発明の吸水性シートを作成した。
(実施例4)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Cを用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、金属製の平滑なカレンダーロールを用いて表1中の条件にて熱プレスを行い本発明の吸水性シートを作成した。
(実施例5)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Dを用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、金属製の平滑なカレンダーロールを用いて表1中の条件にて熱プレスを行い本発明の吸水性シートを作成した。
(実施例6)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Eを用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、金属製の平滑なカレンダーロールを用いて表1中の条件にて熱プレスを行い本発明の吸水性シートを作成した。
(比較例1)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aを用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、該解繊ウェブに熱プレスを行わずにそのまま吸水性シートとした。
(比較例2)
ポリアクリロニトリル系吸水性繊維Aを用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、ニードルパンチ機で加工することにより、熱プレスを行わない吸水性シートを作成した。
(比較例3)
アクリロニトリル系繊維部を有さない市販のポリアクリル酸系吸水性繊維(帝人フロンティア社製、銘柄名ベルオアシス、カルボキシル基量7.0mmol/g)を用いてカード解繊機で50g/mの解繊ウェブを作り、金属製の平滑なカレンダーロールを用いて表1中の条件にて熱プレスを行い、吸水性シートを作成した。得られた吸水性シートの走査型電子顕微鏡の写真を図2に示す。熱プレスにより繊維が破壊されて繊維形状が失われていることが分かる。
表1に各実施例、比較例についての評価結果を示す。
Figure 2021080621
実施例1〜7については、熱プレスを行うことで高密度なシートとなり、厚みに関しても実用上問題ないレベルであった。また、吸水性も良好であった。一方。熱プレスを行わない比較例1、2については密度が低く、実用上問題となる厚みであった。また、比較例3の吸水性シートは、乾燥状態においても強度が低く、取り扱いの困難なものであった。

Claims (5)

  1. 密度が0.25〜1.4g/cmであり、カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維を30〜100重量%含有するシート状物であって、前記ポリアクリロニトリル系吸水性繊維が、繊維状態を保持しつつ、一様に圧着されていることを特徴とする吸水性シート。
  2. 厚みが0.035〜1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の吸水性シート。
  3. カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維のカルボキシル基量が1.0〜5.0mmol/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の吸水性シート。
  4. カルボキシル基を有するポリアクリロニトリル系吸水性繊維の吸水倍率が2〜300倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性シート。
  5. 熱プレスされたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸水性シート。
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