JP3869933B2 - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、短繊維を配合したゴム補強層を設けた空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、乗心地性を損なうことなく操縦安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤにおいて、操縦安定性を高める手段として、ビードフィラーゴムを硬くしたり、ビード部にスチールコード又はテキスタイルコードからなる補強材を挿入することが一般に行われている。ところが、ビードフィラーゴムを硬くしたり、上述のような補強材を挿入すると、操縦安定性は向上するものの、乗心地性を損なってしまうという問題があった。
【0003】
このように二律背反関係にある操縦安定性と乗心地性とを両立するにはタイヤの縦バネを変えずに周バネを上げることが有効である。そこで、ビードフィラーに短繊維を配合したり、短繊維を配合したゴムシートを補強材としてビード部近傍に挿入し、その短繊維を一方向に配向させることにより、特定方向だけを補強する技術が提案されている。しかしながら、このように短繊維を一方向に配向させただけでは、タイヤに生じる剪断歪みに対して効果的な補強を行うことができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤに生じる剪断歪みに対して優れた補強効果を発揮し、乗心地性を損なうことなく操縦安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合し、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5以上にしたゴム補強層を、タイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に、前記短繊維配向方向が互いに交差するように2層以上設け、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置したことを特徴とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合し、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5以上にしたゴム補強層を、タイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に、前記短繊維配向方向が互いに交差するように2層以上設け、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置し、かつ、前記ゴム補強層は天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類のゴムに、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからなるマトリックス中に分散して結合した組成物とを、それぞれゴム100重量部に対して前記短繊維(A’)が1〜10重量部、前記短繊維(B)が1〜15重量部となるように配合したものであることを特徴とするものである。
【0007】
そこで、本発明ではタイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に、短繊維により異方性を持たせたゴム補強層を短繊維配向方向が互いに交差するように2層以上設け、略半量(40〜60%)の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置することにより、タイヤに生じる剪断歪みに対して高い補強効果を発揮するようにし、その結果として乗心地性を損なうことなく操縦安定性を効果的に向上することを可能にしたのである。
【0008】
上記ゴム補強層はタイヤ断面高さSHの25%以上の範囲に配置し、該ゴム補強層のタイヤ側面からの投影面積の70%以上の領域でゴム補強層を2層以上に重複させることが好ましい。また、ゴム補強層の1層当たりの厚さは0.3〜2.0mmすることが好ましい。更に、ビードフィラー、カーカス層、サイドウォールなどのタイヤ構成部材がゴム補強層を兼用した構造にすることも可能である。
【0009】
本発明において、モジュラス比b/aは20℃における20%伸長時のモジュラス(以下、20%モジュラスという)から求めたものである。タイヤは通常50%以下の歪み域で使用されるため、20%モジュラスに基づく低伸長時のゴム特性はタイヤ性能と相関しやすく、この20%モジュラスを増大させることによりタイヤを効果的に補強することができる。
【0010】
20%モジュラスは、JIS K6301に規定される低伸長応力試験法によって測定することが可能である。この低伸長応力試験法では、幅5mm、長さ100mm、厚さ2mm、標線間40mmの試験片を用い、予備荷加として試験しようとする伸長率(20%)の1.5倍の伸長を2回、45±15mm/分の速度で行った後、本試験を予備荷加と同一速度で20%伸長させて停止し、30秒後に荷重を測定する。20%伸長応力(モジュラス)は以下の式により求めることができる。なお、測定は通常4回行い、その平均値を用いる。
【0011】
σ20=F20/S
σ20:20%伸長応力(MPa)
F20:20%伸長時の荷重(N)
S :試験片の断面積
【0012】
ゴム補強層としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類のゴムに、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)を配合したものを使用する。このフィブリル化した短繊維(A’)は、低伸長時のモジュラスを飛躍的に増大させることが可能であるので補強繊維として有効である。
【0013】
上記ゴムにフィブリル化した短繊維(A’)と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからなるマトリックス中に分散して結合した組成物とを、それぞれゴム100重量部に対して前記短繊維(A’)が1〜10重量部、前記短繊維(B)が1〜15重量部となるように配合したものを使用する。このように短繊維(A’)と短繊維(B)とのハイブリッド配合にした場合、低伸長時のモジュラスを飛躍的に増大させると共に、短繊維(B)の存在により耐亀裂成長性を高めることができる。
【0015】
また、本発明の空気入りタイヤの製造方法は、少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート材を、短繊維配向方向に対して斜めに折り返して積層構造のゴム補強層を形成し、該積層構造のゴム補強層をタイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に挿入することを特徴とするものである。
【0017】
上記各製造方法によれば、本発明の空気入りタイヤを容易に製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを例示するものである。図において、左右一対のビード部1,1間には複数本の補強コードをラジアル方向に配列させたカーカス層2が装架されており、このカーカス層2のタイヤ幅方向両端部がそれぞれビードコア3の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。ビードコア3の外周側にはビードフィラー4が配置されており、このビードフィラー4がカーカス層2の巻き上げ部によって包み込まれている。また、トレッド部5におけるカーカス層2の外側にはそれぞれ複数本のスチールコードからなる2層のベルト層6,6が設けられている。これらベルト層6,6は、その補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜し、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。なお、図において5aはショルダー部である。
【0019】
上記空気入りタイヤにおいて、ショルダー部5aからビード部1の少なくとも一部には2層以上のゴム補強層7,7が挿入されている。これらゴム補強層7,7は少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合することにより、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比b/aが1.5以上になるように構成されている。図2に示すように、ゴム補強層7,7は短繊維配向方向を層間で互いに交差させることにより、略半量(40〜60%)の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°、より好ましくは+35°〜+55°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°、より好ましくは−35°〜−55°の角度で配置している。なお、上記角度のプラス値とマイナス値はタイヤ周方向に対する傾斜方向が互いに反対になることを意味する。
【0020】
このように短繊維を配合したゴム補強層7,7をその短繊維配向方向が互いに交差するようにショルダー部5aからビード部1の少なくとも一部に挿入することにより、タイヤの縦バネを維持しながら周バネだけを高めることができ、タイヤに生じる剪断歪みに対して高い補強効果を発揮することが可能になるので、乗心地性を損なうことなく操縦安定性を効果的に向上することができる。
【0021】
本発明において、ゴム補強層7の短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaの比b/aは1.5以上、より好ましくは2.0以上にする。この比b/aが1.5未満であると操縦安定性と乗心地性とを両立させることが困難になる。また、比b/aはゴムの硬さ、短繊維の配合量及びシートの押出方法等によって決まるものであり、その上限値を10とすることが好ましい。更に、短繊維はタイヤ周方向に対して+25°〜+65°又は−25°〜−65°の角度で配置する必要がある。この短繊維の配向角度が上記範囲から外れると補強効果が不十分になる。
【0022】
ゴム補強層7を配置する高さ範囲Rはタイヤ断面高さSHの25%以上にすることが好ましい。この高さ範囲Rがタイヤ断面高さSHの25%未満であると補強効果が不十分になる。また、ゴム補強層7をタイヤ側面から投影したとき、その投影面積の70%以上の領域でゴム補強層7を2層以上に重複させることが好ましい。この重複面積が70%未満であると剪断歪みに対する補強効果がタイヤ回転方向によって大きく異なってしまう。
【0023】
ゴム補強層7の1層当たりの厚さは0.3〜2.0mmとすることが好ましい。ゴム補強層7の厚さが0.3mm未満であると加工が困難になり、逆に2.0mmを超えると補強層端部で段差が大きくなり、その部分のゴム流れが多くなるので、タイヤの寸法安定性を低下させたり、エア溜まり故障を生じさせる原因となる。
【0024】
ゴム補強層7のタイヤ厚さ方向の配置位置は特に限定されることはなく、図3(a)〜(e)に示すようにカーカス層2の内側又は外側の任意の位置に挿入することが可能である。また、ゴム補強層7は必要に応じて3層以上挿入することも可能であり、この場合は更に多数の配置形態が可能である。更に、図4に示すように、ゴム補強層7をビードコア3及びビードフィラー4に沿わせて一体的に構成することも可能である。
【0025】
また、本発明ではビードフィラー、カーカス層、サイドウォール等のタイヤ構成部材の少なくとも一部をゴム補強層に兼用してもよい。例えば、図5(a),(b)においては、ビードフィラー4を構成するゴムに短繊維を配合し、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5以上にし、その短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置する一方で、上記ゴム補強層7を短繊維配向方向がビードフィラー4に対して交差するように挿入し、その短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置するようにすればよい。同様にして、カーカス層のコートゴムやサイドウォールゴムに短繊維を配合することにより、その部分をゴム補強層として兼用することが可能である。
【0026】
上記ゴム補強層として、少なくとも1種類のゴムに、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)を配合し、また、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)を配合し、これらハイブリッド配合した短繊維(A’)と短繊維(B)を一方向に配向させることにより、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5以上にすることができる。
【0027】
ゴム補強層を構成するゴムは、特に限定されるものではないが、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、各種エラストマー、例えば、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体〕、含ハロゲン系ゴム〔例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロスルホン化ポリエチレン(CMS)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー〕等を挙げることができる。これらのうち、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類を使用することが好ましい。
【0028】
一方、短繊維(A)を構成するポリマーは特に限定されるものではないが、少なくとも2種類のポリマーが相溶することなく繊維横断面で海島構造を形成し、機械的剪断力によって海成分と島成分とが少なくとも部分的にバラバラに分離してフィブリル化可能な特性を持っていることが必要である。短繊維(A)を構成するポリマーとしては、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリブタジエン、芳香族ポリアミド、レーヨン、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール等を挙げることができる。
【0029】
上述のようにフィブリル化可能な短繊維(A)を用いることにより、繊維添加時には短繊維のアスペクト比(繊維長を繊維断面積相当の円の直径で割った値)を低くし、繊維の絡み合いを抑制してゴムへの分散性を良好にし、その後に機械的剪断力を与えて短繊維の海成分と島成分とをバラバラに分離させてフィブリル化し、そのフィブリル化後の短繊維(A’)とゴムとの接触面積を増大させることにより、ゴム補強層の補強効果を向上することができる。なお、短繊維(A)はフィブリル化によって全断面で分割・細径化していてもよく、或いは幹部を残して周囲や両端部だけが細径化していてもよい。
【0030】
短繊維(A)の平均長は1〜5000μmであることが好ましい。短繊維(A)の平均長が1μm未満であるとゴムの異方性が十分に得られず、逆に5000μmを超えると混練時及び押出時における加工性が著しく低下する。また、フィブリル化した短繊維(A’)の平均直径は0.05〜5.0μm、より好ましくは0.1〜2μmにすることが好ましい。フィブリル化した短繊維(A’)の平均直径を0.05μm未満にすると混練時間が長くなり、それ以上に細径化しても補強効果の向上は得られなくなり、逆に5.0μmを超えた状態にするとフィブリル化が不十分であるためゴムとの親和性が不十分になり、ゴム補強層に亀裂を生じやすくなる。
【0031】
本発明に使用される短繊維(A)の好ましい一例として、少なくともポリビニルアルコール系ポリマー(X)と水不溶性ポリマー(Y)からなり、重量比X/Yを90/10〜20/80として、いずれか一方が島成分、他方が海成分となる海島構造を形成する短繊維を使用することができる。この短繊維は、水溶性ポリマーであるポリビニルアルコール系ポリマー(X)と、酢酸セルロースや澱粉等のように常温水中に浸漬しても溶解しない水不溶性ポリマー(Y)との組み合わせによって海島構造を形成するものである。ポリビニルアルコール系ポリマーは高強度であると共に、ゴムとの親和性が優れている。上記短繊維においてポリビニルアルコール系ポリマー(X)が90重量%を超えるとゴム混練によって機械的剪断力を与えても繊維が分割せず、逆に20重量%未満であると繊維補強効果が得られない。
【0032】
フィブリル化した短繊維(A’)を単独で使用する場合、ゴム100重量部に対して1〜15重量部、より好ましくは3〜15重量部配合するようにする。短繊維(A’)の配合量が1重量部未満であるとゴム補強層のモジュラス比b/aを1.5以上にすることが困難になり、逆に15重量部を超えると混練時及び押出時における加工性が著しく低下してしまう。なお、短繊維(A)の配合量はフィブリル化した短繊維(A’)の配合量と実質的に同一である。
【0033】
短繊維(A)をゴムに配合する際、繊維の収束性を高めてゴムへの分散を促進するために、短繊維(A)の表面に、例えばゴムラテックス、液状ゴム、液状樹脂、水溶性樹脂、熱可塑性樹脂などで適当な浸漬処理を施しても良い。また、短繊維(A)とゴムとの加硫接着性を向上するために、ゴムにフェノール系化合物とメチレン供与体のような接着性化合物を配合しても良い。
【0034】
フェノール系化合物としては、レゾルシン、β−ナフトール、レゾルシンとアルデヒド類との縮合物(レゾルシン樹脂)、m−クレゾールとアルデヒド類との縮合物(m−クレゾール樹脂)、フェノールとアルデヒド類との縮合物(フェノール樹脂)、その他フェノール性有機化合物とアルデヒド類との縮合物が挙げられる。一方、メチレン供与体としては、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドアンモニア、α−ポリオキシメチレン、多価メチロールアセチレン尿素及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0035】
フィブリル化した短繊維(A’)は、ゴムとの親和性に優れるため、これらを配合しなくても問題とはならないが、配合する場合はフェノール性化合物をゴム100重量部に対して10重量部以下、好ましくは6重量部以下とし、メチレン供与体をゴム100重量部に対して10重量部以下、好ましくは5重量部以下とすることが好ましい。これら配合量を超えると加工性が低下したり、破断伸びが著しく低下するので好ましくない。これら配合剤のほか、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、不飽和カルボン酸及びその誘導体、エポキシ樹脂、エポシキ基変性液状オリゴマー又はポリマー、無水マレイン酸変性液状オリゴマー又はポリマー、ブロックイソシアネートなどの接着性化合物を配合するようにしても良い。
【0036】
また、上記フィブリル化した短繊維(A’)は特に低伸長時におけるモジュラスを増大させる作用は大きいが、高伸長時におけるモジュラスを増大させる作用は小さい。そのため、フィブリル化した短繊維(A’)に加えて、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)を配合する。この短繊維(B)は高伸長時におけるモジュラスを増大させる作用が大きいため、短繊維(A’)と短繊維(B)とのハイブリッド配合にすることにより、低伸長時と高伸長時におけるモジュラスを同時に増大させることが可能になる。高伸長時におけるモジュラスを増大させることにより、屈曲疲労に対する亀裂の発生及び亀裂成長を抑制することが可能になるので、耐亀裂成長性を向上することができる。
【0037】
このようにハイブリッド配合とした場合、フィブリル化した短繊維(A’)の配合量をゴム100重量部に対して1〜10重量部にすると共に、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)の配合量をゴム100重量部に対して1〜15重量部にする。短繊維(A’)と短繊維(B)の配合量の和が2重量部未満であるとゴム補強層のモジュラス比b/aを1.5以上にすることが困難になり、逆に25重量部を超えると混練時及び押出時における加工性が著しく低下してしまう。
【0038】
上述の短繊維(B)は主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーから構成されている。短繊維(B)の平均直径は0.05〜5.0μmの範囲にすることが好ましい。この短繊維(B)をゴム補強層のゴム中に配合するに当たって、短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからなるマトリックス中に分散しており、かつ短繊維(B)がマトリックスと結合している組成物を作製し、この組成物をゴム補強層のゴム中に配合するようにする。短繊維(B)を含む組成物の例としては、下記の(i)、(ii) 、(iii) を挙げることができる。
【0039】
(i)加硫可能なゴム100重量部にポリマーの分子中アミド基を有する熱可塑性ポリマーの微細な短繊維1〜100重量部が埋封されており、かつ該繊維の界面において前記ポリマーと加硫可能なゴムとがノボラック型フェノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮合物を介してグラフトしている強化ゴム組成物(特開昭59−43041号公報参照)。
【0040】
ノボラック型フェノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮合物は、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、シュウ酸などの酸を触媒として、フェノール、ビスフェノール類などのフェノール類とホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドでもよい)とを縮合反応させることよって得られる可溶可融の樹脂およびその変形物(変性物)である。
【0041】
(ii) ポリオレフィンとエラストマーからなるマトリックス中に、熱可塑性ポリアミドが微細繊維状に分散しており、該微細繊維がシランカップリング剤を介してマトリックスと結合している繊維強化熱可塑性組成物(特開平7−278360号公報参照)。
【0042】
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルアルコキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−〔N−(β−メタクリロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム(クロライド)〕プロピルメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びスチリルジアミノシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0043】
(iii)加硫可能なゴム100重量部に平均径0.05〜0.8μmのナイロンの微細な繊維1〜70重量部が埋封されており、かつ該繊維の界面においてナイロンと加硫可能なゴムとがレゾール型アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮合物を介してグラフト結合している強化ゴム組成物(特開昭58−79037号公報参照)。
【0044】
レゾール型アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂の初期縮合物は、例えば、クレゾールのようなアルキルフェノールとホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下に反応させて得られるレゾール型初期縮合物およびその変性物が挙げられる。特に、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂として、分子中にメチロール基を2個以上有するものが好適に使用できる。
【0045】
上記(i)、(iii) における加硫可能なゴム、上記(ii) におけるエラストマーは、それぞれゴム補強層を構成するゴムと同様なものである。また、上記(i)におけるアミド基を有する熱可塑性ポリマー、上記(ii)における熱可塑性ポリアミドとしては、熱可塑性ポリアミド及び尿素樹脂が挙げられる。これらのうち好ましいものとしては、融点が135℃から350℃のものが挙げられ、特に好ましいものとして融点が150℃から300℃の熱可塑性ポリアミドが挙げられる。
【0046】
熱可塑性ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、キシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとピメリン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとスペリン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとアゼライン酸との重縮合体、キシリレンジアミンとセバシン酸との重縮合体、テトラメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、オクタメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、デカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体ウンデカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、ドデカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体、テトラメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、オクタメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、デカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、ウンデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体、及びドデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体等が挙げられる。
【0047】
これらの熱可塑性ポリアミドのうち、特に好ましいものとしては、融点160〜265℃の熱可塑性ポリアミドが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン11、及びナイロン12等が挙げられる。
上記(ii)におけるポリオレフィンは、80〜250℃の融点を有するものである。また、50℃以上の軟化点、特に50〜200℃軟化点をもつものも好ましく用いられる。このようなポリオレフィンとしては、C2 〜C8 のオレフィンの単独重合体や共重合体、及び、C2 〜C8 のオレフィンとスチレンやクロロスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物との共重合体、C2 〜C8 のオレフィンと酢酸ビニルとの共重合体、C2 〜C8 のオレフィンとアクリル酸或いはそのエステルとの共重合体、C2 〜C8 のオレフィンのオレフィンとメタアクリル酸或いはそのエステルとの共重合体、及びC2 〜C8 のオレフィンとビニルシラン化合物との共重合体が好ましく用いられるものとして挙げられる。
【0048】
具体的には、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレンプロピレンランダム共重合体、線状低密度ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、エチレン・ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレンビニルトリエトキシシラン共重合体、エチレン・ビニルシラン共重合体、エチレン・スチレン共重合体、及びプロピレン・スチレン共重合体、等がある。また、塩素化ポリエチレンや臭素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のハロゲン化ポリオレフィンも好ましく用いられる。これらのポリオレフィンは1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0049】
次に、本発明におけるゴム補強層の成形方法について説明する。先ず、ゴム中にカーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル等を配合したゴム組成物に、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造をなす短繊維(A)を所定量配合し、更に必要に応じて、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)がマトリックス中に分散して結合した組成物を所定量配合し、これをバンバリーで素練りすることにより、ゴム中に短繊維(A)及び短繊維(B)を均一に分散させる。
【0050】
次に、素練りした組成物を更に一対のオープンロール間で機械的剪断力を与えながら混練することにより短繊維(A)をフィブリル化し、フィブリル化後における短繊維(A’)の平均径を0.05〜5.0μmにする。このようにして得た組成物を押出機等を使用して押出成形することにより、短繊維(A’)及び短繊維(B)を一方向に配向させたシート材を形成する。そして、このシート材を使用して図6〜図9の如く空気入りタイヤを製造することができる。
【0051】
図6では、ゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート材8を、短繊維配向方向に対して斜めに切断して複数枚のストリップ材9を形成し、これら複数枚のストリップ材9を短繊維配向方向が互いに交差するように重ね合わせて積層構造のゴム補強層7を形成し、この積層構造のゴム補強層7をタイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に挿入するようにする。ストリップ材9の重ね合わせはタイヤ成形時に成形ドラム上で行ってもよい。また、ストリップ材9はシート材8の幅と切断角度に基づいてタイヤ周長と略一致する長さに設計することが可能であるが、その他の方法として複数枚のストリップ材9を長さ方向に連結した連続テープを形成し、タイヤ成形時にタイヤ周長分だけ切断するようにしてもよい。
【0052】
図7では、ゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート材8を、短繊維配向方向に対して斜めにジグザグ状に折り返して積層構造のゴム補強層7を形成し、この積層構造のゴム補強層7をタイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に挿入するようにする。
図8では、ゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート材8を、短繊維配向方向が中心軸に対して傾斜するように螺旋状に巻回して筒状材10を形成し、筒状材10をローラ等により平面的に潰して積層構造のゴム補強層7を形成し、この積層構造のゴム補強層7をタイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に挿入するようにする。なお、筒状材10を形成するに当たって螺旋中心軸としてマンドレルMを挿入するとよい。
【0053】
図9(a)〜(c)では、ゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート材8を、短繊維配向方向に対して斜めに切断してストリップ材9を形成し、このストリップ材9からなるゴム補強層7を成形ドラムD上でビードコア3とカーカス層2との間に配置し、ゴム補強層7をカーカス層2と共にビードコア3の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げるようにする。この場合、カーカス層2に対して予めストリップ材9を圧着しておけば成形作業を迅速に行うことが可能になる。
【0054】
これら図6〜図9のタイヤ製造方法によれば、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置するように短繊維配向方向を互いに交差させた2層以上のゴム補強層7を、タイヤショルダー部からビード部にかけて容易に埋設することができる。
【0055】
【実施例】
タイヤサイズを195/50R15とし、タイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に短繊維配合のゴム補強層を設けた参考例1〜10、実施例1〜2及び比較例1〜4と、短繊維配合のゴム補強層を設けていない従来例とをそれぞれ製作した。なお、ゴム補強層にはポリビニルアルコールと酢酸セルロースからなる横断面で海島構造の短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)を配合し、更に必要に応じて主鎖にアミド基を有するナイロン6からなる短繊維(B)がゴムマトリックス中に分散して結合した組成物を配合した。
【0056】
参考例1〜10、実施例1〜2及び比較例1〜4において、短繊維(A)及び短繊維(B)の配合量をゴム100重量部に対して種々異ならせた。また、ゴム補強層における短繊維配向角度はタイヤ周方向に対する角度である。
【0057】
押し出し加工性:
ゴム補強層の押出成形時の加工性を評価した。評価結果は、加工性が極めて良好であるものを「◎」で示し、良好であるものを「○」で示し、良好ではないが許容できるものを「△」で示し、悪いものを「×」で示した。
【0058】
ムーニー粘度:
ゴム補強層の100℃におけるムーニー粘度を測定した。評価結果は短繊維未配合ゴムを100とする指数で示した。この指数値が大きいほど粘度が低く加工し易いことを意味する。
【0059】
タイヤ周剛性:
各試験タイヤのタイヤ周剛性を正方向及び逆方向に測定した。評価結果は従来例を100とする指数で示した。この指数値が大きいほどタイヤ周剛性が高いことを意味する。
【0060】
乗心地性:
各試験タイヤを空気圧200kPaとして排気量1600ccの乗用車に装着し、5人のテストドライバーによるフィーリングテストを行って乗心地性を5段階評価した。この評価値が大きいほど乗心地性が優れている。
【0061】
操縦安定性:
各試験タイヤを空気圧200kPaとして排気量1600ccの乗用車に装着し、5人のテストドライバーによるフィーリングテストを行って操縦安定性を5段階評価した。この評価値が大きいほど操縦安定性が優れている。
【0062】
耐亀裂成長性:
各試験タイヤのサイドウォール表面に長さ5mm、深さ1.5mmの大きさでラジアル方向に対して45°の角度でメスカットを入れ、その試験タイヤをホイールに組付けて直径が1707mmで表面が平滑な鋼製のドラム試験機に装着し、空気圧180kPa、荷重3.74kN、速度81km/hの条件にて5000km走行させた後、亀裂成長したメスカットの長さを測定した。評価結果は、メスカットの最大長さが10mm以内である場合を「○」で示し、8mm以内である場合を「◎」で示した。
【0063】
【表1】
【0064】
この表1から明らかなように、本発明の参考例1〜10、実施例1〜2はいずれも乗心地性を悪化させることなく従来タイヤに比べて操縦安定性が向上していた。特に、ゴム補強層に短繊維(A)と短繊維(B)とをハイブリッド配合した実施例1〜2では耐亀裂成長性が向上していた。
【0065】
一方、比較例1〜2は短繊維をタイヤ周方向又はラジアル方向に配向させているため、補強効果が不十分で操縦安定性の向上効果が得られなかった。比較例3は短繊維をタイヤ周方向に対して45°で一方向に配向させているため、タイヤ周剛性が回転方向で相違しており、操縦安定性の向上効果が得られなかった。また、比較例4はゴム補強層への短繊維配合量が少なく、そのモジュラス比b/aが小さ過ぎるため、補強効果が不十分で操縦安定性の向上効果が得られなかった。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合し、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5以上にしたゴム補強層を、タイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に、前記短繊維配向方向が互いに交差するように2層以上設け、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置し、かつ、前記ゴム補強層として、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類のゴムに、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからなるマトリックス中に分散して結合した組成物とを、それぞれゴム100重量部に対して前記短繊維(A’)が1〜10重量部、前記短繊維(B)が1〜15重量部となるように配合したゴム補強層を用いたことにより、タイヤに生じる剪断歪みに対して優れた補強効果を発揮することが可能になるので、乗心地性を損なうことなく操縦安定性を向上することができる。
【0067】
また、本発明の空気入りタイヤの製造方法によれば、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置するように短繊維配向方向を互いに交差させた2層以上のゴム補強層7を、タイヤショルダー部からビード部にかけて容易に埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図2】 図1の空気入りタイヤのサイド部を拡大して示す斜視透視図である。
【図3】 本発明におけるゴム補強層の配置例を示す断面図である。
【図4】 本発明の第2実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図5】 (a)は本発明の第3実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図であり、(b)はその側面透視図である。
【図6】 本発明の空気入りタイヤの製造方法(参考例)を示す平面図である。
【図7】 本発明の空気入りタイヤの製造方法(実施例)を示す平面図である。
【図8】 本発明の空気入りタイヤの製造方法(参考例)を示す平面図である。
【図9】 本発明の空気入りタイヤの製造方法(参考例)を示す平面図である。
【図10】 第1比較例からなる空気入りタイヤを示す斜視透視図である。
【図11】 第2比較例からなる空気入りタイヤを示す斜視透視図である。
【図12】 第3比較例からなる空気入りタイヤを示す斜視透視図である。
【符号の説明】
1 ビード部
2 カーカス層
3 ビードコア
4 ビードフィラー
5 トレッド部
5a ショルダー部
6 ベルト層
7 ゴム補強層
8 シート材
9 ストリップ材
10 筒状材
Claims (5)
- 少なくとも1種類のゴムに短繊維を配合し、短繊維配向方向のモジュラスbとその直角方向のモジュラスaとの比b/aを1.5以上にしたゴム補強層を、タイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に、前記短繊維配向方向が互いに交差するように2層以上設け、略半量の短繊維をタイヤ周方向に対して+25°〜+65°の角度で配置し、残りの短繊維をタイヤ周方向に対して−25°〜−65°の角度で配置し、かつ、前記ゴム補強層は天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体ゴムから選ばれた少なくとも1種類のゴムに、少なくとも2種類のポリマーが横断面で海島構造をなす短繊維(A)がフィブリル化した短繊維(A’)と、主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる短繊維(B)がゴム及び/又はポリオレフィンからなるマトリックス中に分散して結合した組成物とを、それぞれゴム100重量部に対して前記短繊維(A’)が1〜10重量部、前記短繊維(B)が1〜15重量部となるように配合したものである空気入りタイヤ。
- 前記ゴム補強層をタイヤ断面高さSHの25%以上の範囲に配置し、該ゴム補強層のタイヤ側面からの投影面積の70%以上の領域でゴム補強層を2層以上に重複させた請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム補強層の1層当たりの厚さを0.3〜2.0mmにした請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- ビードフィラー、カーカス層、サイドウォールから選ばれた少なくとも1種類のタイヤ構成部材の少なくとも一部を前記ゴム補強層に兼用した請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 少なくとも1種類のゴム中に短繊維を一方向に配向させたシート材を、短繊維配向方向に対して斜めに折り返して積層構造のゴム補強層を形成し、該積層構造のゴム補強層をタイヤショルダー部からビード部の少なくとも一部に挿入するようにした空気入りタイヤの製造方法。
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