JP2020037328A - タイヤ - Google Patents

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毅光 鈴木
潤 滝澤
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Abstract

【課題】インナーライナーの減厚によるタイヤの軽量化の効果を維持しながら、バットレス部におけるタイヤ最内面側の故障を防止して耐久性を向上させたタイヤの提供。【解決手段】一対のビードコア間にトロイド状に延在するゴム被覆コードによるプライからなるカーカス3と、少なくともカーカス3の最内面を覆うインナーライナー4と、を有するタイヤにおいて、インナーライナー4の厚みが、1μm以上100μm以下であり、タイヤのバットレス部における、カーカス3のコードからインナーライナー4のタイヤ最内面までの最短距離が、0.3mm以上2.0mm以下である。【選択図】図2

Description

この発明は、タイヤ、特に、軽量化及び耐久性の向上を両立させたトラック、バス等に供する重荷重用タイヤに関する。
近年、環境保護及び省エネルギーの観点から、自動車の低燃費化が進められ、それに伴いタイヤの軽量化が強く求められている。
タイヤを軽量化するため、タイヤの内面に配置されたインナーライナーの質量を抑制する手法が知られている。例えば、特許文献1に記載のタイヤでは、フィルムをインナーライナーとして用いて、インナーライナーの厚みを従来よりも小さくすることで、タイヤの軽量化を図っている。
特開2011−213949号公報
しかしながら、インナーライナーを、フィルムによって形成して、インナーライナーの厚みを小さくしたタイヤでは、タイヤ転動時に、バットレス部のタイヤ最内面側に故障が生じることがあり、インナーライナーを薄くする際の課題となっていた。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、インナーライナーの減厚によるタイヤの軽量化の効果を維持しながら、バットレス部におけるタイヤ最内面側の故障を防止して、タイヤの耐久性を向上させることを目的とする。
発明者らは、前記課題を解決する手段について以下のとおり鋭意究明した。発明者らは、まず、バットレス部の最内面側の故障部分を詳細に解析したところ、カーカスのコードが、カーカスのコード被膜ゴム層からインナーライナー側に突出していたり、極端な場合は、コードがインナーライナーから露出し、ここを起点にセパレーション故障や空気透過が生じていることを解明した。即ち、タイヤの加硫成形に際し、カーカスの輪郭におけるバットレス部は、他の部分と比べて曲率半径が小さく、変形が強制されるため、加硫成形時にカーカスのコード被覆ゴムがバットレス部外に流れ易くなっていた。特にインナーライナーが薄い場合には、その傾向が強くなる結果、バットレス部のゴム厚みが薄くなっていることを見出すに至った。この知見の下、バットレス部の故障を回避する手段について鋭意究明したところ、インナーライナーを薄く、具体的には100μm以下の厚みにする場合には、特にバットレス部におけるカーカスコードからインナーライナーの最内面までの間隔を所定値以上は確保する必要のあることが新たに判明した。本発明は、上記の知見に基づくものである。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)一対のビードコア間にトロイド状に延在するゴム被覆コードによるプライからなるカーカスと、該カーカスの最内面を覆うインナーライナーと、を有するタイヤにおいて、前記インナーライナーの厚みが、1μm以上100μm以下であり、前記タイヤのバットレス部における、前記カーカスのコードから前記インナーライナーのタイヤ最内面までの最短距離が、0.3mm以上2.0mm以下であることを特徴とする、タイヤ。
ここで、本発明におけるタイヤのバットレス部とは、図1に示す、タイヤを適用リム(リムについては図示を省略)に組み込み、規定内圧を充填し、無負荷状態とした、基準状態のタイヤ幅方向断面にて、タイヤ径方向Zにおける、タイヤの断面最大高さ位置P1から、タイヤの最大幅位置P2までの距離d1の中心点M1を中心とする、距離d1の長さの10%〜40%の領域の両端e1及びe2を通り、タイヤ幅方向に延びる仮想線L1及びL2に挟まれたタイヤ部分を指す。
このとき、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)YEAR BOOK、欧州ではETRTO(European Tyre an Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定されたリムを指す。また、「規定内圧」とは、適用サイズのタイヤにおける上記規格のタイヤの最大負荷能力に対応する内圧をいうものとする。
ここで、インナーライナーの厚みは、平均厚みであり、具体的には、キーエンス社の形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X200」にて断面観察を行い、任意に選ばれた10点での断面の厚みの平均値である。
(2)前記タイヤの幅方向断面視にて、前記タイヤのバットレス部のタイヤ最内面の曲率半径は、10mm以上200mm以下である、(1)に記載のタイヤ。
(3)前記タイヤの幅方向断面視にて、前記タイヤのバットレス部のタイヤ最内面の曲率半径と、前記カーカスのコードからインナーライナーのタイヤ最内面までの最短距離とを乗じた値が、3〜400mmである、(1)又は(2)に記載のタイヤ。
(4)前記カーカスのコード被覆ゴムのモジュラス値は、5MPa以上25MPa以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ。
ここで、本発明における「モジュラス」とは、JISダンベル状3号形サンプルを用意し、JIS K6251に準拠して、温度25℃、速度500±25mm/minの条件下で引張試験を行って測定した、300%伸長時の引張応力である。
本発明により、タイヤの軽量化の効果を維持しながら、バットレス部におけるタイヤの最内面側の故障を防止して、タイヤの耐久性を向上させることができる。
本発明の実施形態1に係るタイヤの幅方向断面図である。 図1に示すII−II線に沿う断面図である。 本発明の実施形態2に係るタイヤの幅方向断面図である。 図3に示すV−V線に沿う断面図である。 ワイヤチェーファのコードについて説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態に係るタイヤについて、図1及び図2を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る重荷重用タイヤ1の幅方向断面図である。ただし、本発明のタイヤの構成は、重荷重用以外の他の種類の車両に用いられるタイヤにも適用可能である。図1では、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤの幅方向一方の半部のみを図示しているが、他方の半部についても同様であるため、図示を省略している。さらに、図2は、図1に示すII−II線に沿う断面図である。
図1に示すとおり、タイヤ1は、一対の(図示では片側のみ)ビードコア2と、該ビードコア2間にトロイド状に延在するゴム被覆コードによるプライからなるカーカス3とを備えている。
また、タイヤ1は、カーカス3の最内面を覆うインナーライナー4を有している。図2に示すとおり、インナーライナー4の厚みt1は、1μm以上100μm以下である。1μm以上とすることによって、十分な空気不透過性が得られ、100μm以下とすることによって、軽量化を実現することができる。さらに、100μm以下とすることで、柔軟性が向上して、タイヤの屈曲時の変形によるインナーライナー4の破断やクラック発生を抑制する、耐屈曲疲労性も備えることができる。
厚みt1は、好適には、3μm以上50μm以下であり、より好適には、5μm以上30μm以下、より一層好適には7μm以上20μm未満である。上記数値範囲を満足することにより、より高い空気不透過性及び耐屈曲疲労性を実現することができる。
なお、インナーライナー4の厚みt1は、均一であることが好ましいが、一部を小さく又は大きくすることもできる。
また、カーカス3は、図示例でタイヤのラジアル方向に延びるカーカスプライコード3cと、カーカスプライコード3cを被覆する被覆ゴム3gとを備えている。本実施形態では、カーカスプライコード3cは、スチールコード等の比較的引っ張り強さの高いコードが用いられている。
タイヤ1は、上記したインナーライナーの厚みの下、バットレス部5において、カーカス3のプライコード3cから、インナーライナー4のタイヤ最内面4iまでの最短距離d2が、0.3mm以上2.0mm以下であることが肝要である。ここで、カーカスプライコード3cからタイヤ最内面4iまでの最短距離d2とは、カーカスプライコード3cの輪郭線においてタイヤ最内面4iと平行の接線S1を引いた際の、該輪郭線上の接点P3と最内面4iとの最短距離をいう。最短距離d2を0.3mm以上とすることによって、インナーライナー4の厚みt1を上記数値範囲とした場合においても、カーカスプライコード3cまでの厚みを十分に確保して、バットレス部5のタイヤ最内面側における故障を回避することができる。即ち、カーカスプライコード3cは、上述のとおり引っ張り強さの高い材質から形成され、重荷重用タイヤにおいては特に引っ張り強さの高いコードが用いられる。このとき、最短距離d2が0.3mm未満では、タイヤの負荷転動時に特に入力の大きなバットレス部におけるカーカスの挙動に対して十分な緩衝層として機能せず、被覆ゴム3gとカーカスプライコード3cとの間の部分的なセパレーションがインナーライナー側に伝播し易く、故障核となる。そのため、被覆ゴム3g及びインナーライナー4でカーカスプライコード3cまでの十分な厚みを確保することによって、バットレス部におけるカーカスの挙動に対して十分な緩衝層として機能させ、故障核の発生を防ぐことができる。また、最短距離d2を2.0mm以下とすることによって、タイヤの軽量化を十分に達成することができる。
好適には、最短距離d2を0.7mm以上とすることによって、より高いタイヤの耐久性を実現することができ、1.8mm以下とすることによって、タイヤの軽量化を進めることができる。
さらに、バットレス部5のカーカスプライコード3cの打ち込み本数は、3本/25mm以上15本/25mm以下であることが好ましい。3本/25mm未満の場合は操縦安定性が悪化する虞があり、15本/25mm超の場合は、コード間の距離が近くなりすぎることによる故障核発生後の亀裂進展速度が速まる。
なお、最短距離d2は、インナーライナー4の厚みt1(μm)をmmに換算した数値に対して、20倍以上150倍以下であることが好ましく、30倍以上100倍以下であることが更に好ましい。最短距離d2を厚みt1に対して20倍以上とすることによって、インナーライナー4の空気不透過性及び柔軟性を維持しながら、故障核の発生を防ぐことができる。また、150倍以下とすることによって、バットレス部の発熱を抑制する事が出来る。
また、図1に示すタイヤの幅方向断面視にて、タイヤ1のバットレス部5における、タイヤ最内面、即ち本実施形態ではインナーライナー4のタイヤ最内面4iの弧状部分6の曲率半径R1は、10mm以上200mm以下であることが好ましい。バットレス部5におけるタイヤ最内面の曲率半径R1を10mm以上200mm以下とすることによって、タイヤの最内面における故障を効果的に防止することができる。好適には、曲率半径R1は15mm以上120mm以下である。
さらに、タイヤ1のバットレス部5における、タイヤ最内面、即ちインナーライナー4のタイヤ最内面4iの弧状部分6の曲率半径R1と、カーカス3のプライコード3cから、インナーライナー4のタイヤ最内面4iまでの最短距離d2とを乗じた値a1は、3mm以上400mm以下であることが好ましい。値a1を3mm以上とすることによって、バットレスの最内面の故障を抑制する事が可能となり、400mm以下とすることによって、バットレス部は荷重時の変形が大きい領域のためそもそも発熱が厳しい領域である事から、400mm以下とする事で発熱を抑制する事が可能となる。
なお、カーカス3の被覆ゴム3gのモジュラス値v1は、5MPa以上25MPa以下であることが好ましい。モジュラス値v1を5MPa以上とすることによって、タイヤの剛性を十分に高めることができ、25MPa以下とすることによって、インナーライナーとの剛性の差が過大となることによる故障を防止することができる。モジュラス値v1は、10MPa以上20MPa以下であることが好ましく、13MPa以上18MPa以下であることがより好ましい。上記数値範囲によって、より効果的にタイヤの剛性を高め、インナーライナーの柔軟性とのバランスを維持することができる。
また、本発明のタイヤにおいて、ビード部の構成は特に限定されないが、以下のような構成が好適である。実施形態2として、以下に詳述する。
実施形態2に係るタイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に延在するプライからなる部分をカーカス本体とするとき、該カーカス本体及び該カーカス本体から各ビードコアのまわりにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻返して延びるプライのカーカス折り返し部を有していることが好ましい。さらに、本実施形態に係るタイヤは、カーカスの外側にてカーカス折り返し部の少なくとも一部を覆ってタイヤの外側から内側へ巻き返してカーカス本体に沿って延びる、ゴム被覆コードによるワイヤチェーファを備え、インナーライナーが、少なくともカーカス本体の最内面及びワイヤチェーファのカーカス本体に沿う部分を覆い、カーカス本体に沿うワイヤチェーファの端部における、前記ワイヤチェーファのコードから前記インナーライナーのタイヤ最内面までの最短距離が、0.3mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
図3は、実施形態2に係るタイヤ11の幅方向断面図であり、図1と同様の構成については、同様の符号を用いて示している。なお、バットレス部における符号は省略している。さらに、図4は、図3に示すV−V線に沿う断面図である。
図3に示すとおり、タイヤ11は、カーカス30が、ビードコア2間にトロイド状に延在するゴム被覆コードによるプライからなるカーカス本体3aと、及びカーカス本体3aから各ビードコア2のまわりにそれぞれタイヤ11の内側から外側へ巻き返して延びるプライのカーカス折り返し部3bとからなる。
また、タイヤ11は、カーカス30の外側にてカーカス折り返し部3bの少なくとも一部、図示例では一部を覆って、タイヤ1の外側から内側へと巻き返してカーカス本体3aに沿って延びる、ゴム被覆コードによるワイヤチェーファ20を備えている。
また、タイヤ11は、カーカス本体3aの最内面及びワイヤチェーファ20のカーカス本体3aに沿う部分を覆うインナーライナー40を有している。図4に示すとおり、インナーライナー40の厚みt10は、インナーライナー4と同様に、1μm以上100μm以下である。1μm以上とすることによって、十分な空気不透過性が得られ、100μm以下とすることによって、軽量化を実現することができる。さらに、100μm以下とすることで、柔軟性が向上して、タイヤの屈曲時の変形によるインナーライナー40の破断やクラック発生を抑制する、耐屈曲疲労性も備えることができる。
厚みt10は、好適には、3μm以上50μm以下であり、より好適には、5μm以上30μm以下である。上記数値範囲を満足することにより、より高い空気不透過性及び耐屈曲疲労性を実現することができる。
なお、インナーライナー40の厚みt10は、均一であることが好ましいが、一部を小さく又は大きくすることもできる。
また、ワイヤチェーファ20は、コード20cと、コード20cを被覆する被覆ゴム20gとを備えている。本実施形態では、コード20cは、スチールコード等の比較的引っ張り強さの高いコードが用いられている。
タイヤ11は、上記したインナーライナーの厚みの下、カーカス本体3aに沿うワイヤチェーファ20の端部WE1における、ワイヤチェーファ20のコード20cから、インナーライナー40のタイヤ最内面40iまでの最短距離d20が、0.3mm以上2.0mm以下であることが肝要である。ここで、コード20cからタイヤ最内面40iまでの最短距離d20とは、コード20cの輪郭線においてタイヤ最内面40iと平行の接線S10を引いた際の、該輪郭線上の接点P10と最内面40iとの最短距離をいう。最短距離d20を0.3mm以上とすることによって、インナーライナー40の厚みt10を上記数値範囲とした場合においても、ワイヤチェーファ20のコード20cまでの厚みを十分に確保して、ビードコアが埋設されたビード部の、タイヤ最内面側における故障を回避することができる。即ち、コード20cは、上述のとおり引っ張り強さの高い材質から形成され、重荷重用タイヤにおいては特に引っ張り強さの強いコードが用いられる。このとき、最短距離d20が0.3mm未満では、タイヤの負荷転動時におけるコードの反発に対して十分な緩衝層として機能せず、ワイヤチェーファ20の端部WE1における被覆ゴム20gとコード20cとの間のセパレーションがインナーライナー側に伝播し易く、故障核となる。そのため、被覆ゴム20g及びインナーライナー40でコード20までの十分な厚みを確保することによって、コード20cの反発力に対して十分な緩衝層として機能させ、故障核の発生を防ぐことができる。また、d20を2.0mm以下とすることによって、タイヤの軽量化を十分に達成することができる。
好適には、0.7mm以上とすることによって、より高いタイヤの耐久性を実現することができ、1.8mm以下とすることによって、タイヤの軽量化を進めることができる。
さらに、ワイヤチェーファの20のコード20cの打ち込み本数は7本/25mm以上18本/25mmであることが好ましい。7本/25mm未満の場合はビード耐久性が悪化する虞があり、18本/25mm超の場合はコード間の距離が近くなりすぎることによる故障核発生後の亀裂進展速度が速まる。
なお、最短距離d20は、インナーライナー40の厚みt10に対して、20倍以上150倍以下、好適には30倍以上100倍以下であることが好ましい。最短距離d20を厚みt1に対して20倍以上とすることによって、インナーライナー40の空気不透過性及び柔軟性を維持しながら、故障核の発生を防ぐことができる。また、150倍以下とすることによって、ワイヤチェーファ端部の発熱を抑制する事が出来る。
さらに、本実施形態におけるワイヤチェーファ20のコード20cの構成について、図5を参照して説明する。図5は、ワイヤチェーファ20のコード20cの延在態様について説明するための図であり、タイヤの外側から、カーカス折り返し部3bを覆うワイヤチェーファのコード20cを示している。図に示すとおり、コード20cは、タイヤ11の回転軸を中心とする円周C1と、コード20cとの交点N1における、円周C1の接線S20に対する挟角θ1が、30°以上75°以下であることが好ましい。挟角θ1を30°以上とすることによって、ワイヤチェーファ20に十分な剛性を付与することができ、75°以下とすることによって、ラジアル方向に延びるカーカスプライコードとの角度差を確保して、タイヤ転動時における入力に対するビード部の変位を抑制することができる。好適には、挟角θ1を40°以上70°以下とすることによって、ワイヤチェーファ20の剛性を高め、ビード部の変位を効果的に抑制することができる。ここで、ワイヤチェーファ20のコード20cの角度は、ワイヤチェーファ20の径方向中心位置において、延在方向に伸びる線の角度とする。
また、図3に示すとおり、タイヤ11は、ビードコア2の外周面からタイヤ径方向Zにおける外側に向けて延びるスティフナ―ゴム10を備えていてもよい。スティフナ―ゴム10は、ビード部の剛性を高めるために載置される。
スティフナ―ゴム10の構成は特に限定されないが、例えば、タイヤ径方向において、タイヤの断面高さに対して、15%以上40%以下の径方向長さを有することが好ましい。さらに、スティフナ―ゴム10のタイヤ径方向外側における先端位置SE1は、タイヤ径方向において、タイヤの断面高さに対して、タイヤ径方向内側から15%以上40%以下の位置にあることが好ましい。
本実施形態では、カーカス本体3aに沿うワイヤチェーファ20の端部WE1は、スティフナ―ゴム10のタイヤ径方向外側における先端位置SE1を基準として、タイヤ径方向Zにおける内側又は外側の30mm以内の径方向位置にあることが好ましい。上記構成によれば、スティフナ―ゴムによるビード部の補強効果を、ワイヤチェーファによって効果的に増強することができる。
さらに、端部WE1はスティフナ―ゴムの先端位置SE1を基準として、タイヤ径方向Zの内側又は外側に25mm以内の径方向位置にあることがより好ましい。
さらに、カーカス本体3aに沿うワイヤチェーファ20の端部WE1のタイヤ径方向における位置は、タイヤの断面高さSHにおけるタイヤ径方向内側から10%〜40%の位置、図示例では範囲Qにあることが好ましい。
上記構成によれば、タイヤの軽量化の効果を維持しながら、荷重時におけるビード部の倒れ込み変形を効果的に抑制することができる。さらに、ワイヤチェーファ20の端部WE1のタイヤ径方向における位置は、タイヤ断面高さSHにおいて、タイヤ径方向内側から12.5%〜37.5%の位置にあることが好適であり、15%〜30%の位置にあることがより好適である。
なお、ワイヤチェーファ20の被覆ゴム20gのモジュラス値v10は、5MPa以上25MPa以下であることが好ましい。モジュラス値v10を5MPa以上とすることによって、ワイヤチェーファ20の剛性を十分に高めることができ、25MPa以下とすることによって、カーカスの変形に沿う柔軟性を維持することができる。さらに、モジュラス値v10は、10MPa以上20MPa以下であることが好ましく、13MPa以上18MPa以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、インナーライナー4の製造方法は特に限定されないが、樹脂とエラストマーとを含む樹脂組成物からなるタイヤのインナーライナーの製造方法であって、前記樹脂と、前記エラストマーと、を含む溶液又は分散液をタイヤに塗布して、前記インナーライナーを形成することが好適である。上記タイヤ1を典型例として、以下に詳述するが、タイヤ11についても、同様の構成を有することができる。
上記のインナーライナー4の製造方法によれば、樹脂と、エラストマーと、を含む溶液又は分散液の塗布によりインナーライナーを形成することで、インナーライナーの接合部分を無くすことができる。
また、上記のインナーライナー4の製造方法によれば、形成されるインナーライナーが、樹脂及びエラストマーを含み、樹脂のみからなるインナーライナーに比べて、柔軟性が高く、変形しても、クラックが発生し難いため、耐屈曲疲労性に優れる。
また、上記のインナーライナー4の製造方法によれば、ブチル系ゴムを主原料とする従来のインナーライナーに比べて、薄くても十分な空気不透過性を確保できるため、タイヤに形成する際のインナーライナーの厚みを薄くすることで、タイヤを軽量化することもできる。
上記のインナーライナー4の製造方法により製造するインナーライナー4は、樹脂とエラストマーを含む樹脂組成物からなり、好ましくは、樹脂中にエラストマーが分散した樹脂組成物からなる。インナーライナー4が、樹脂中にエラストマーが分散した樹脂組成物からなる場合、エラストマーが分散相(所謂、海島構造の島相)を形成する一方、樹脂が連続相(所謂、海島構造の海相)を形成する。該インナーライナー4においては、連続相を形成する樹脂が空気の透過を抑制するため、空気不透過性に優れる。なお、インナーライナー4を構成する樹脂組成物において、エラストマーが島相を形成する一方、樹脂が海相を形成していることは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で確認することができる。また、樹脂組成物における、樹脂の含有量を50質量%以上としつつ、エラストマーの含有量を樹脂よりも少なくすることで、樹脂中にエラストマーが分散した樹脂組成物とすることができる。
前記樹脂としては、ガスバリア樹脂が挙げられる。ここで、ガスバリア樹脂とは、気体の透過を防止する機能を有する樹脂である。該「気体の透過を防止する機能を有する樹脂」は、30℃における空気透過係数が、好ましくは60×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下であり、より好ましくは25×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下であり、より一層好ましくは5×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下であり、また、下限については、特に制限は無い。使用する樹脂の30℃における空気透過係数が、60×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下であれば、形成されるインナーライナー4の空気
不透過性が高くなり、また、25×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下の場合、インナーライナー4の空気不透過性が更に高くなる。なお、本明細書において、空気透過係数は、JIS K 7126−2:2006に従って測定する。
前記樹脂は、30℃におけるヤング率が500MPa超であることが好ましい。使用する樹脂の30℃におけるヤング率が500MPa超である場合、形成されるインナーライナー4の強度が高くなる。
また、前記樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂を使用した場合、インナーライナーを形成した後でも、熱を加えることで、インナーライナー4の厚みの斑を小さくし易い。なお、本明細書において、ヤング率は、JIS K 7161に従って測定する。
前記ガスバリア樹脂としては、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化ビニリデン樹脂及びポリアミド樹脂が好ましく、ポリ塩化ビニリデン樹脂が特に好ましい。換言すれば、上記インナーライナー4の製造方法により製造されるインナーライナー4に含まれる樹脂は、ポリ塩化ビニリデン樹脂及びポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリ塩化ビニリデン樹脂であることが特に好ましい。ポリ塩化ビニリデン樹脂及びポリアミド樹脂の少なくとも1種と、後述のエラストマーと、を含む溶液及び分散液は、取り扱い易く、また、十分な空気不透過性を有するインナーライナー4を形成し易い。
前記ポリ塩化ビニリデン樹脂は、1,1−ジクロロエチレン(塩化ビニリデン)の重合体であり、塩化ビニリデン単位以外に、他の構成単位を含んでいてもよい。塩化ビニリデン単位以外の構成単位は、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体に由来し、かかる単量体としては、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。なお、ポリ塩化ビニリデン樹脂における、塩化ビニリデン単位以外の構成単位の含有割合は、空気不透過性の観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
前記ポリアミド樹脂は、アミド結合を有する重合体であり、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合、ジアミンとジカルボン酸との重縮合等によって得ることができる。該ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリラウロラクタム(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12、11−アミノウンデカン酸の縮合生成物(ナイロン11)等の脂肪族系ポリアミド樹脂や、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6I)、メタキシリレンジアミン/アジピン酸共重合体(ナイロンMXD6)、メタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸共重合体等の芳香族系ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらポリアミド樹脂の中でも、空気不透過性の観点から、ナイロン6及び芳香族系ポリアミド樹脂が好ましく、ナイロンMXD6が更に好ましい。これらポリアミド樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
インナーライナー4を構成する樹脂組成物における、前記樹脂の含有量は、通常50質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましく、また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下が更に好ましい。インナーライナー4を構成する樹脂組成物中の、樹脂の含有量が60質量%以上であれば、樹脂が形成する海相の割合が大きくなり、インナーライナー4の空気不透過性が更に向上する。
前記エラストマーは、常温(23℃)でゴム状弾性を有する高分子化合物であり、「ゴム」という用語と互換可能に使用される。該エラストマーは、インナーライナー4に柔軟性を付与して、耐屈曲疲労性を向上させる作用を有する。該エラストマーは、30℃におけるヤング率が500MPa以下であることが好ましく、300MPa以下であることが更に好ましく、また、100MPa以下であることが更に好ましい。エラストマーの30℃におけるヤング率が500MPa以下であれば、インナーライナー4に高い柔軟性を付与して、インナーライナー4の耐屈曲疲労性を更に向上させることができる。
前記エラストマーとしては、種々のエラストマーを使用することができるが、中でも、インナーライナー4の耐屈曲疲労性の観点から、炭素数4〜7のイソモノオレフィン及びp−アルキルスチレン共重合体のハロゲン化物、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ブチルゴム、及び臭素化ブチルゴムが好ましく、炭素数4〜7のイソモノオレフィン及びp−アルキルスチレン共重合体のハロゲン化物、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体、塩素化ブチルゴム、及び臭素化ブチルゴムが更に好ましい。これらエラストマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記炭素数4〜7のイソモノオレフィン及びp−アルキルスチレン共重合体のハロゲン化物において、モノマーとして用いる炭素数4〜7のイソモノオレフィンとしては、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。また、もう一方のモノマーとして用いるp−アルキルスチレンとしては、p−メチルスチレン等が挙げられる。また、前記ハロゲン化物に関して、ハロゲンとしては、塩素及び臭素が好ましく、ハロゲン化の方法は、特に限定されない。
前記臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体において、臭素化されている部位は、イソブチレン単位でも、p−メチルスチレン単位でもよいが、p−メチルスチレン単位であることが好ましい。また、p−メチルスチレン単位のメチル基の60モル%以下が臭素原子を含むことが好ましい。臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体は、一般には0.1〜5質量%のブロモメチル基を含む臭素化ポリマーである。一実施態様において、該ブロモメチル基の含有量は、0.2〜2.5質量%である。また、換言すると、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体は、好ましくは0.05〜2.5モル%の臭素を含み、より好ましくは0.1〜1.25モル%の臭素を含み、主鎖中には、実質的に臭素を含まないことが好ましい。
前記臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体としては、エクソンモービルケミカル社製の「Exxpro(登録商標) MDX 89−4」等が挙げられる。
前記アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体であり、「ニトリルゴム」とも呼ばれる。
また、前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(水素化NBR)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)に水素を添加したものである。
前記クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)は、ポリエチレンをクロロスルホン化することにより得られるエラストマーである。
また、前記塩素化ポリエチレン(CM)は、ポリエチレンを塩素化することにより得られるエラストマーである。
前記エピクロロヒドリンゴムは、エピクロロヒドリンの重合体であり、エピクロロヒドリンの単独重合体(CO)や、エピクロロヒドリンとエチオキサイドとの共重合体(ECO)、エピクロロヒドリンとアリルグリシジルエーテルとの共重合体(GCO)等が挙げられる。
前記塩素化ブチルゴム及び臭素化ブチルゴムは、ブチルゴムの塩素化又は臭素化により製造され、例えば、ヘキサン溶媒中、4〜60℃にて、塩素(Cl)又は臭素(Br)を用いて、ブチルゴムを塩素化又は臭素化することで得られる。
ここで、前記ブチルゴムは、イソブチレンをイソプレンと共重合させて得られるゴムであり、イソブチレン−イソプレン共重合体(IIR)とも呼ばれる。該ブチルゴムは、92〜99.5質量%のイソブチレンを0.5〜8質量%イソプレンと反応させて得られることが好ましく、95〜99.5質量%のイソブチレンを0.5〜5質量%のイソプレンと反応させて得られることが好ましい。
前記塩素化ブチルゴム及び臭素化ブチルゴムにおける、塩素又は臭素の含有量は、一般には0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは0.8〜2.5質量%、更に好ましくは1〜2質量%である。
前記塩素化ブチルゴムとしては、JSR社製の「CHLOROBUTYL 1066」(塩素含有量:約1.26質量%)等が挙げられる。また、前記臭素化ブチルゴムとしては、エクソンモービル・ケミカル社製の「Bromobutyl 2222」(臭素含有量:約1.8〜2.2質量%)、「Bromobutyl 2255」(臭素含有量:約1.8〜2.2質量%)等が挙げられる。
前記エラストマーとしては、上述の塩素化ブチルゴム又は臭素化ブチルゴムと、スチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、スチレン−ブタジエン−スチレン及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から成る群から選択されるポリジエン(又は部分的に水素化された該ポリジエンの共重合体)と、の組成物を使用してもよい。該組成物中のポリジエン(又は部分的に水素化された該ポリジエンの共重合体)の含有量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.3〜3質量%、更に好ましくは0.4〜2.7質量%である。なお、塩素化ブチルゴム又は臭素化ブチルゴムの重合の際に、前記ポリジエン(又は部分的に水素化された該ポリジエンの共重合体)が存在する場合、星型分岐状の塩素化ブチルゴム又は臭素化ブチルゴムが形成される。かかる星型分岐状の塩素化ブチルゴム又は臭素化ブチルゴムとしては、エクソンモービル・ケミカル社製の「Bromobutyl 6222」(臭素含有量:約2.2〜2.6質量%)等が挙げられる。
前記インナーライナー4を構成する樹脂組成物における、前記エラストマーの含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上が更に好ましく、また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下が更に好ましい。樹脂組成物中の、エラストマーの含有量が10質量%以上であれば、インナーライナー4の耐屈曲疲労性が更に向上する。
前記インナーライナー4を構成する樹脂組成物は、上述した樹脂及びエラストマーの他に、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー等の他の成分を含んでもよい。樹脂組成物における、樹脂及びエラストマー以外の成分の含有量は、合計で30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
前記樹脂と、前記エラストマーと、を含む溶液又は分散液は、例えば、前記樹脂と、前記エラストマーと、溶媒とを混合して、樹脂及びエラストマーを溶媒に溶解又は分散させて調製することができる。ここで、溶媒としては、有機溶媒、水等が挙げられる。また、有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール類、エーテル類、エステル類等が挙げられる。また、混合方法は、特に限定されない。
なお、使用する溶媒の種類や量により、樹脂を溶媒に溶解させたり、分散させたりし、また、エラストマーを溶媒に溶解させたり、分散させたりして、溶液又は分散液とすることができる。この際、樹脂及びエラストマーの両方が溶解した溶液とすることもできるし、樹脂及びエラストマーの少なくとも一方が分散した分散液とすることもできる。
なお、樹脂中にエラストマー成分を分散させる方法としては、エラストマーの含有割合を調整したりする方法が挙げられる。ここで、エラストマーの含有割合は、樹脂組成物中、10質量%以上が好ましく、20質量%以上が更に好ましく、また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
前記樹脂と、前記エラストマーと、を含む溶液又は分散液において、固形分濃度は、5〜40質量%の範囲が好ましい。固形分濃度がこの範囲であれば、溶液又は分散液の取り扱い性が良く、所望の空気不透過性及び耐屈曲疲労性を有しつつ、十分に薄いインナーライナー4を形成し易い。
前記樹脂と、前記エラストマーと、を含む溶液又は分散液を塗布する方法としては、スプレー法、刷毛塗り法等が挙げられ、これらの中でも、スプレー法が好ましい。スプレー法、刷毛塗り法等は、曲面を有するタイヤ内面に対して、溶液又は分散液を斑無く塗布し易い。使用する塗布器具は、塗布方法に応じて適宜選択される。
前記樹脂と、前記エラストマーと、を含む溶液又は分散液の塗布は、2回以上行うことが好ましく、3〜5回行うことが更に好ましい。また、この際、各塗布における、溶液又は分散液の組成は、同一であってもよいし、異なってもよい。溶液又は分散液の塗布を2回以上行うことで、厚みの斑を小さくし易くなり、得られるインナーライナー4の空気不透過性及び耐屈曲疲労性が更に向上する。
前記樹脂と、前記エラストマーと、を含む溶液又は分散液の塗布を複数回行う場合、1度の塗布で形成する層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、また、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、より一層好ましくは20μm以下である。
ここで、各層の厚みは、平均厚みであり、具体的には、キーエンス社の形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X200」にて断面観察を行い、任意に選ばれた10点での断面の厚みの平均値である。
上記インナーライナー4の製造方法においては、前記溶液又は分散液を塗布した後、塗布液を乾燥してもよい。なお、溶液又は分散液の塗布を複数回行う場合、各塗布の後に夫々乾燥を行うことが好ましい。ここで、乾燥方法は、特に限定されない。また、乾燥時の温度や圧力等の条件は、使用した溶媒や、樹脂及びエラストマーの性質に応じて、適宜選択することができる。
また、タイヤ1の製造方法は特に限定されないが、インナーライナーを備えるタイヤの製造方法であって、上述したタイヤのインナーライナー4の製造方法によりインナーライナーを形成する工程を含むことが好ましい。かかるタイヤの製造方法によれば、上述した、軽量で、耐屈曲疲労性に優れ、接合部分のないインナーライナー4を具え、長期に亘って優れた内圧保持性を有するタイヤを得ることができる。
さらに、上記のタイヤ1の製造方法は、更に他の工程を含むことができる。ここで、他の工程としては、生タイヤを成形する工程、成形した生タイヤを加硫する工程等が挙げられる。なお、上述のインナーライナー4の形成工程は、生タイヤの加硫工程の前でも、後でもよい。
例えば、上記のタイヤ1の製造方法は、(1)インナーライナー4以外のタイヤ部材を積層して、生タイヤを成形する工程と、成形した生タイヤの内面に上記のタイヤ1のインナーライナー4の製造方法によりインナーライナー4を形成する工程と、インナーライナー4を有する生タイヤを加硫する工程と、を含んでもよいし、(2)インナーライナー4以外のタイヤ部材を積層して、生タイヤを成形する工程と、インナーライナー4を有しない生タイヤを加硫する工程と、インナーライナー4を有しない加硫済タイヤの内面に上記のタイヤ1のインナーライナー4の製造方法によりインナーライナーを形成する工程と、を含んでもよい。なお、生タイヤの加硫工程の前にインナーライナー4を形成した場合、タイヤの加硫工程で通常用いられるタイヤ加硫用ブラダーとインナーライナー4との間の付着性が低いため、該ブラダー又はタイヤ内面への離型剤の塗布を省略することができる。
上記のタイヤ1の製造方法では、例えば、前記生タイヤ若しくは加硫済タイヤ自体又は該タイヤの載置台、或いは塗布器具のいずれかが相対運動をするような関係で回転させながら、前記溶液又は分散液をスプレー法、刷毛塗り法等の適当な方法で塗布することが好ましい。この際、溶液又は分散液の塗布と同時に熱風を吹き付ける等して、速やかに乾燥させて、前記溶液又は分散液が流下することにより塗膜の厚みが不均一にならないようにしてもよい。
上記のタイヤ1の製造方法で得られるタイヤ1は、上述のとおり、カーカス3を有する。該カーカス3の製造方法は特に限定されないが、タイヤの骨格を成し、例えば、複数の補強コードを被覆ゴムで被覆して形成することができる。該補強コードとしては、スチールコードの他、ポリエチレンテレフタレートコード、ナイロンコード、レーヨンコード等の有機繊維コードを用いてもよい。
上記のタイヤ1の製造方法においては、カーカス3の内面に、インナーライナー4を直接形成してもよいし、カーカス3とインナーライナー4との間に、接着層等の他の層を設けてもよい。例えば、カーカス3とインナーライナー4との間に、両層との接着性が良好な接着層を設けることで、タイヤ内面に対するインナーライナー4の接着性が向上して、長期に亘って高い内圧保持性を維持することができる。
前記接着層は、ジエン系ゴムを含むことが好ましい。該ジエン系ゴムとは、主鎖中に炭素−炭素二重結合を有するゴムをいう。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらのジエン系ゴムは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記接着層は、前記ジエン系ゴムに加えて、他の成分を含有していてもよい。かかる他の成分としては、例えば、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、充填剤等を挙げることができる。
前記接着層の厚みとしては、特に限定されないが、10μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、また、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
上記の製造方法によって製造されたタイヤ1は、上述した、軽量で、耐屈曲疲労性に優れ、接合部分のないインナーライナー4を具えるため、長期に亘って優れた内圧保持性を有する。
なお、タイヤ1のインナーライナー4は、30℃における空気透過係数が120×10−10cm・cm/cm・sec・cmHg以下であることが好ましく、50×10−10cm・cm/cm・sec・cmHg以下であることが更に好ましい。インナーライナーの、30℃における空気透過係数が120×10−10cm・cm/cm・sec・cmHg以下であれば、タイヤの内圧保持性が更に向上し、50×10−10cm・cm/cm・sec・cmHg以下であれば、タイヤの内圧保持性がより一層向上する。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。
発明例タイヤおよび比較例タイヤ(ともに、タイヤサイズは225/80R17)を表1に示す仕様のもと試作し、タイヤの軽量性及び耐久性を評価した。
<軽量性>
タイヤ加硫後に重量を測定した。評価結果は、発明例タイヤ1を100として指数表示し、数値が小さい程軽量であることを示している。
<耐久性>
発明例タイヤ及び比較例タイヤ(上述のとおり、タイヤサイズ225/80R17)について、内圧700kPa、荷重1705kg、速度60km/hの条件でドラム試験を実施した。走行距離10万キロメートル走行させたあとに、内面の亀裂個数を測定した。評価結果は、発明例タイヤ1を100として指数表示し、数値が大きい程耐久性に優れていることを示している。
Figure 2020037328
Figure 2020037328
1、11:タイヤ、 2:ビードコア、 3、30:カーカス、 3a:カーカス本体、 3b:カーカス折り返し部、 3c:カーカスプライコード、 3g:被覆ゴム、 4、40:インナーライナー、 4i、40i:タイヤ最内面、 5:バットレス部、 6:弧状部分、 10:スティフナ―ゴム、 20:ワイヤチェーファ、 20c:コード、 20g:被覆ゴム、 P1:タイヤの断面最大高さ位置、 P2:タイヤの最大幅位置、 P3:接点、 P10:接点、 L1、L2:仮想線、 M1:中心点、 e1、e2:両端、 WE1:端部、 SE1:先端位置

Claims (4)

  1. 一対のビードコア間にトロイド状に延在するゴム被覆コードによるプライからなるカーカスと、
    少なくとも前記カーカスの最内面を覆うインナーライナーと、を有するタイヤにおいて、
    前記インナーライナーの厚みが、1μm以上100μm以下であり、
    前記タイヤのバットレス部における、前記カーカスのコードから前記インナーライナーのタイヤ最内面までの最短距離が、0.3mm以上2.0mm以下であることを特徴とする、タイヤ。
  2. 前記タイヤの幅方向断面視にて、前記タイヤのバットレス部のタイヤ最内面の曲率半径は、10mm以上200mm以下である、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記タイヤの幅方向断面視にて、前記タイヤのバットレス部のタイヤ最内面の曲率半径と、前記カーカスのコードからインナーライナーのタイヤ最内面までの最短距離とを乗じた値が、3mm以上400mm以下である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記カーカスのコード被覆ゴムのモジュラス値は、5MPa以上25MPa以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ。
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