JP6428145B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層を備えた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、空気透過防止性能を良好に維持しながら、耐クラック性を改善することを可能にした空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りタイヤにおいて、一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層の内側に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層を配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような熱可塑性樹脂材料のフィルムからなる空気透過防止層はタイヤの軽量化に大きく寄与する。
しかしながら、熱可塑性樹脂材料は空気透過防止層に通常使用されるブチルゴムに比べて低温での破断強度が低下する性質があることから、そのような熱可塑性樹脂材料のフィルムからなる空気透過防止層を採用した場合、空気入りタイヤの耐クラック性を悪化させることになる。
これに対して、熱可塑性樹脂材料のフィルムからなる空気透過防止層の厚さを空気入りタイヤのショルダー領域において局所的に薄くすることにより、タイヤ回転に伴って大きな屈曲が繰り返されるショルダー領域において空気透過防止層に生じる剪断応力を緩和し、空気透過防止層におけるクラックの発生を抑制することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、空気入りタイヤのショルダー領域は比較的薄くなる部位であるため、上述のように空気透過防止層の厚さをショルダー領域において局所的に薄くした場合、空気透過防止性能を悪化させてしまうという不都合がある。
特開2001−239805号公報 特開2008−174037号公報
本発明の目的は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層を設けるにあたって、空気透過防止性能を良好に維持しながら、耐クラック性を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間にカーカス層を装架し、各ビード部にビードコアを埋設し、各ビードコアの外周上にビードフィラーを配置し、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側にベルト層を配置すると共に、前記カーカス層の内側に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層を配置した空気入りタイヤにおいて、
前記ベルト層の最外側端部からタイヤ幅方向内側に向かって該ベルト層の最大幅Wの10%の位置に対応する前記空気透過防止層の内面上の点をPとし、前記ビードフィラーの頂点からタイヤ径方向内側に向かって該ビードフィラーの高さHの20%の位置に対応する前記空気透過防止層の内面上の点をQとし、これら点Pと点Qとの間の領域をRとしたとき、少なくとも領域Rにおいて前記空気透過防止層の内面に複数の凹部と複数の凸部を交互に形成するように前記空気透過防止層の厚さを変化させ
前記空気透過防止層の平均厚さTが80μm〜150μmの範囲にあり、前記凸部の突出高さAが10μm〜100μmの範囲にあり、前記凸部のタイヤ子午線断面での間隔Bが50μm〜700μmの範囲にあるか、或いは、前記空気透過防止層の内面がタイヤ子午線断面において曲線からなる周期的な起伏を有し、前記空気透過防止層の厚さtが50μm〜200μmの範囲にあり、前記曲線の振幅aが10μm〜55μmの範囲にあり、前記曲線の周期bが50μm〜700μmの範囲にあることを特徴とするものである。
本発明では、少なくとも領域Rにおいて空気透過防止層の内面に複数の凹部と複数の凸部を交互に形成するように空気透過防止層の厚さを変化させることにより、タイヤ回転に伴って大きな屈曲が繰り返される領域Rにおいて空気透過防止層が複数の凹部を屈曲点として柔軟に屈曲することを許容するので、空気透過防止層におけるクラックの発生を効果的に抑制し、耐クラック性を改善することができる。また、空気透過防止層の内面には複数の凹部と共に複数の凸部を設けているので、空気透過防止層としてのボリュームを十分に確保し、空気透過防止性能を良好に維持することができる。
本発明において、空気透過防止層の内面に形成された凹部及び凸部がタイヤ周方向に沿って連続的に延在し、これら凹部及び凸部の延長方向がタイヤ周方向に対してなす角度が0°〜30°の範囲にあることが好ましい。このように凹部及び凸部をタイヤ周方向に沿って連続的に延在させることにより、空気入りタイヤが径方向に撓む際に空気透過防止層に生じる応力を効果的に緩和することができる。
空気透過防止層の平均厚さTは80μm〜150μmの範囲にあり、凸部の突出高さAは10μm〜100μmの範囲にあり、凸部のタイヤ子午線断面での間隔Bは50μm〜700μmの範囲にあることが好ましい。このような寸法要件を満足することにより、空気透過防止性能と耐クラック性とをバランス良く改善することができる。
また、空気透過防止層の内面がタイヤ子午線断面において曲線からなる周期的な起伏を有する場合、空気透過防止層の厚さtが50μm〜200μmの範囲にあり、曲線の振幅aが10μm〜55μmの範囲にあり、曲線の周期bが50μm〜700μmの範囲にあることが好ましい。このような寸法要件を満足することにより、空気透過防止性能と耐クラック性とをバランス良く改善することができる。
空気透過防止層は熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなり、該空気透過防止層の空気透過率は30×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHg〜45×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHgの範囲にあることが好ましい。このような空気透過率を有する空気透過防止層を使用することにより、空気透過防止層を局所的に薄肉化する凹部を設けた場合であっても、良好な空気透過防止性能を確保することができる。なお、空気透過率はJIS−K7126「プラスチックフィルム及びシートのガス透過度試験方法(差圧法)に準拠して測定されるものである。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 図1のA部を拡大して示す断面図である。 空気透過防止層の内面に形成された凹部及び凸部をタイヤ内側から見た状態を示す側面図である。 空気透過防止層のタイヤ子午線断面での形状の一例を示す断面図である。 空気透過防止層のタイヤ子午線断面での形状の他の例を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1において、CLはタイヤセンターラインである。ここでは、センターラインCLの片側だけを描写するが、その反対側にも対応する構造が形成される。図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
また、カーカス層4の内側には熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層11が配置されている。なお、空気透過防止層11とカーカス層4との間にはゴムシートからなる接着ゴム層12を介在している(図2参照)。
上述した空気入りタイヤにおいて、ベルト層7の最外側端部からタイヤ幅方向内側に向かって該ベルト層7の最大幅Wの10%の位置に対応する空気透過防止層11の内面上の点をPとし、ビードフィラー6の頂点からタイヤ径方向内側に向かって該ビードフィラー6の高さHの20%の位置に対応する空気透過防止層11の内面上の点をQとし、これら点Pと点Qとの間の領域をRとしたとき、少なくとも領域Rにおいて空気透過防止層11の内面にはタイヤ周方向に沿って連続的に延在する複数の凹部11aとタイヤ周方向に沿って連続的に延在する複数の凸部11bがタイヤ子午線断面において交互に並ぶように形成され、その結果として、少なくとも領域Rにおいて空気透過防止層11の厚さが変化している。これら凹部11aと凸部11bは少なくとも領域Rの全域に存在することが必要であるが、タイヤ内面の全域に存在していても良い。
上述した空気入りタイヤでは、少なくとも領域Rにおいて空気透過防止層11の内面に複数の凹部11aと複数の凸部11bを交互に形成するように空気透過防止層11の厚さを変化させているので、タイヤ回転に伴って大きな屈曲が繰り返される領域Rにおいて空気透過防止層11が複数の凹部11aを屈曲点として柔軟に屈曲することが許容される。そのため、特に低温での走行時においても、空気透過防止層11にクラックが発生するのを効果的に抑制し、耐クラック性を改善することができる。また、空気透過防止層11の内面には複数の凹部11aと共に複数の凸部11bを設けているので、空気透過防止層11としてのボリュームを十分に確保し、優れた空気透過防止性能を発揮することができる。
上記空気入りタイヤにおいて、空気透過防止層11の内面に形成された凹部11a及び凸部11bは、図3に示すように、タイヤ周方向Cに沿って連続的に延在している。これら凹部11a及び凸部11bはタイヤ周方向Cに沿って環状に延在していても良く、或いは、タイヤ周方向Cに沿って螺旋状に延在していても良い。このように凹部11a及び凸部11bをタイヤ周方向に沿って連続的に延在させることにより、空気入りタイヤが径方向に撓む際に空気透過防止層11に生じる応力を効果的に緩和することができる。凹部11a及び凸部11bの延長方向がタイヤ周方向に対してなす角度は0°〜30°の範囲にあると良い。凹部11a及び凸部11bの延長方向のタイヤ周方向に対する傾斜角度が過大であると空気入りタイヤが撓みに対する応力緩和効果が低下することになる。
図4は空気透過防止層のタイヤ子午線断面での形状の一例を示すものである。図4において、空気透過防止層11の内面には複数の凹部11aと複数の凸部11bが交互に形成され、これら凹部11aと凸部11bを含む空気透過防止層11の内面がタイヤ子午線断面において不規則な起伏を形成している。ここで、空気透過防止層11の平均厚さTは80μm〜150μmの範囲に設定され、凸部11bの突出高さAは10μm〜100μmの範囲に設定され、凸部11bのタイヤ子午線断面での間隔Bは50μm〜700μmの範囲に設定されている。空気透過防止層11の平均厚さTは算術平均厚さであり、凸部11bの突出高さAは凹部11aの最深位置からの高さであり、凸部11bのタイヤ子午線断面での間隔Bは隣り合う一対の凸部11bの頂点間の距離である。
このような寸法要件を満足することにより、空気透過防止性能と耐クラック性とをバランス良く改善することができる。ここで、空気透過防止層11の平均厚さTが80μmよりも小さいと空気透過防止性能の改善効果が低下し、逆に150μmよりも大きいと耐クラック性の改善効果が低下する。また、凸部11bの突出高さAが10μmよりも小さいと耐クラック性の改善効果が低下し、逆に100μmよりも大きいと空気透過防止性能の改善効果が低下する。更に、凸部11bのタイヤ子午線断面での間隔Bが50μmよりも小さいと耐クラック性の改善効果が低下し、逆に700μmよりも大きいと空気透過防止性能の改善効果が低下する。なお、上述のような寸法は空気透過防止層11の内面がタイヤ子午線断面において曲線からなる周期的な起伏を有する場合にも適用可能である。
図5は空気透過防止層のタイヤ子午線断面での形状の他の例を示すものである。図5において、空気透過防止層11の内面には複数の凹部11aと複数の凸部11bが交互に形成され、これら凹部11aと凸部11bを含む空気透過防止層11の内面がタイヤ子午線断面において曲線からなる周期的な起伏を形成している。ここで、空気透過防止層11の厚さtは50μm〜200μmの範囲に設定され、曲線の振幅aは10μm〜55μmの範囲に設定され、曲線の周期bは50μm〜700μmの範囲に設定されている。空気透過防止層11の厚さtは凸部11bを含む総厚さである。
このような寸法要件を満足することにより、空気透過防止性能と耐クラック性とをバランス良く改善することができる。特に、空気透過防止層11の内面がタイヤ子午線断面において滑らかな曲線を形成することにより、空気入りタイヤの繰り返し変形に対して、耐クラック性や耐屈曲疲労性を著しく改善することができる。ここで、空気透過防止層11の厚さtが50μmよりも小さいと空気透過防止性能の改善効果が低下し、逆に200μmよりも大きいと耐クラック性の改善効果が低下する。また、曲線の振幅aが10μmよりも小さいと耐クラック性の改善効果が低下し、逆に55μmよりも大きいと空気透過防止性能の改善効果が低下する。更に、曲線の周期bが50μmよりも小さいと耐クラック性の改善効果が低下し、逆に700μmよりも大きいと空気透過防止性能の改善効果が低下する。
なお、空気透過防止層11の厚さtが増すほど空気透過防止層11の内面形状を規定する曲線の振幅aを大きくすることが望ましく、特に0.25×t≦a≦0.35×tの関係を満足するのが良い。また、曲線の振幅aと周期bとは5×a≦b≦15×aの関係を満足するのが良い。このような関係を規定することは空気透過防止性能と耐クラック性とを両立する上で有利である。
空気透過防止層11が熱可塑性エラストマー組成物のフィルムから構成される場合、空気透過防止層11の空気透過率は30×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHg〜45×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHgの範囲にあると良い。このような空気透過率を有する空気透過防止層11を空気入りタイヤの内面に設けることにより、空気透過防止層11を局所的に薄肉化する凹部11bを設けた場合であっても、良好な空気透過防止性能を確保することができる。熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層11は熱可塑性樹脂成分が多いほど空気透過率が低くなるが、その空気透過率が30×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHgよりも小さくなると耐クラック性の改善効果が低下し、逆に45×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHgよりも大きいと空気透過防止性能の改善効果が低下する。
以下、本発明で使用される空気透過防止層のフィルムについて説明する。このフィルムは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成することができる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物〔例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
本発明で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性エラストマー組成物において、特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比90/10〜15/85である。
本発明において、フィルムを構成する熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物には、空気透過防止層としての必要特性を損なわない範囲で前記した相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を空気透過防止層としての必要特性を損なわない限り任意に配合することもできる。
また、エラストマーは熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等が使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマーを分散させることによる。エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマーへの各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマーの混練およびエラストマーの動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で製作されたポリマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、空気透過防止層に十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物のJIS K7100により定められるところの標準雰囲気中におけるヤング率は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜500MPa、より好ましくは50〜500MPaにするとよい。
上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物はシート又はフィルムに成形して単体で用いることが可能であるが、隣接するゴムとの接着性を高めるために接着層を積層しても良い。この接着層を構成する接着用ポリマーの具体例としては、分子量100万以上、好ましくは300万以上の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)等のアクリレート共重合体類及びそれらの無水マレイン酸付加物、ポリプロピレン(PP)及びそのマレイン酸変性物、エチレンプロピレン共重合体及びそのマレイン酸変性物、ポリブタジエン系樹脂及びその無水マレイン酸変性物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、フッ素系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。これらは常法に従って例えば樹脂用押出機によって押し出してシート状又はフィルム状に成形することができる。接着層の厚さは特に限定されないが、タイヤ軽量化のためには厚さが少ない方がよく、5μm〜150μmが好ましい。
タイヤサイズが195/65R15であり、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間にカーカス層を装架し、各ビード部にビードコアを埋設し、各ビードコアの外周上にビードフィラーを配置し、トレッド部におけるカーカス層の外周側にベルト層を配置すると共に、熱可塑性樹脂(ナイロン6、ナイロン612)中にエラストマー(Br−IPMS)をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層をカーカス層の内側に配置した空気入りタイヤにおいて、空気透過防止層の厚さ変化領域、空気透過防止層の厚さ変化領域での内面形状(図5)、空気透過防止層の厚さt、空気透過防止層の内面がタイヤ子午線断面において描く曲線の振幅aと周期b、空気透過防止層の空気透過率を表1のように種々異ならせた従来例、実施例1〜7及び比較例1〜2のタイヤを作製した。但し、実施例5,6は参考例である。
比較例1のタイヤは、空気透過防止層の厚さ変化領域の面積を実施例3と実質的に同一にし、その厚さ変化領域をタイヤ赤道側へずらして配置したものである。比較例2のタイヤは、空気透過防止層の厚さ変化領域の面積を実施例3と実質的に同一にし、その厚さ変化領域をビードトウ側へずらして配置したものである。
これら試験タイヤについて、以下の評価方法により、耐クラック性、空気透過防止性能を評価し、その結果を表1に併せて示した。
耐クラック性:
試験タイヤをリムサイズ15×6Jの標準リムに装着し、空気圧120kPa、荷重6.04kN、速度80km/hの条件にて、ドラム式試験機のドラム上で走行させ、空気透過防止層に目視により確認可能なクラックが発生した時点で走行を終了し、その走行距離を求めた。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐クラック性が優れていることを意味する。
空気透過防止性能:
試験タイヤ(N=10)をリムサイズ15×6Jの標準リムに装着し、初期内圧を230kPaとし、室温(23℃)及び大気圧(1atm)の雰囲気条件にて60日間放置した後、試験タイヤの内圧を再度測定し、圧力低下量(平均値)を求めた。評価結果は、圧力低下量の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど空気透過防止性能が優れていることを意味する。
Figure 0006428145
表1から明らかなように、実施例1〜7のタイヤでは、従来例との対比において、空気透過防止性能を良好に維持しながら、耐クラック性を改善することができた。一方、比較例1〜2のタイヤでは、空気透過防止層の厚さ変化領域が適切ではないため、空気透過防止性能と耐クラック性の改善効果が不十分であった。
次に、タイヤサイズが195/65R15であり、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間にカーカス層を装架し、各ビード部にビードコアを埋設し、各ビードコアの外周上にビードフィラーを配置し、トレッド部におけるカーカス層の外周側にベルト層を配置すると共に、熱可塑性樹脂(ナイロン6、ナイロン612)中にエラストマー(Br−IPMS)をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層をカーカス層の内側に配置した空気入りタイヤにおいて、空気透過防止層の厚さ変化領域、空気透過防止層の厚さ変化領域での内面形状(図4)、空気透過防止層の平均厚さT、凸部の突出高さA、凸部のタイヤ子午線断面での間隔B、空気透過防止層の空気透過率を表2のように種々異ならせた実施例11〜17及び比較例11〜12のタイヤを作製した。但し、実施例15,16は参考例である。
比較例11のタイヤは、空気透過防止層の厚さ変化領域の面積を実施例13と実質的に同一にし、その厚さ変化領域をタイヤ赤道側へずらして配置したものである。比較例12のタイヤは、空気透過防止層の厚さ変化領域の面積を実施例13と実質的に同一にし、その厚さ変化領域をビードトウ側へずらして配置したものである。
これら試験タイヤについて、上述した評価方法により、耐クラック性、空気透過防止性能を評価し、その結果を表2に併せて示した。なお、評価の基準は前述の従来例とした。
Figure 0006428145
表2から明らかなように、実施例11〜17のタイヤでは、従来例との対比において、空気透過防止性能を良好に維持しながら、耐クラック性を改善することができた。一方、比較例11〜12のタイヤでは、空気透過防止層の厚さ変化領域が適切ではないため、空気透過防止性能と耐クラック性の改善効果が不十分であった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
11 空気透過防止層
11a 凹部
11b 凸部

Claims (4)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間にカーカス層を装架し、各ビード部にビードコアを埋設し、各ビードコアの外周上にビードフィラーを配置し、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側にベルト層を配置すると共に、前記カーカス層の内側に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層を配置した空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト層の最外側端部からタイヤ幅方向内側に向かって該ベルト層の最大幅Wの10%の位置に対応する前記空気透過防止層の内面上の点をPとし、前記ビードフィラーの頂点からタイヤ径方向内側に向かって該ビードフィラーの高さHの20%の位置に対応する前記空気透過防止層の内面上の点をQとし、これら点Pと点Qとの間の領域をRとしたとき、少なくとも領域Rにおいて前記空気透過防止層の内面に複数の凹部と複数の凸部を交互に形成するように前記空気透過防止層の厚さを変化させ
    前記空気透過防止層の平均厚さTが80μm〜150μmの範囲にあり、前記凸部の突出高さAが10μm〜100μmの範囲にあり、前記凸部のタイヤ子午線断面での間隔Bが50μm〜700μmの範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間にカーカス層を装架し、各ビード部にビードコアを埋設し、各ビードコアの外周上にビードフィラーを配置し、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側にベルト層を配置すると共に、前記カーカス層の内側に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層を配置した空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト層の最外側端部からタイヤ幅方向内側に向かって該ベルト層の最大幅Wの10%の位置に対応する前記空気透過防止層の内面上の点をPとし、前記ビードフィラーの頂点からタイヤ径方向内側に向かって該ビードフィラーの高さHの20%の位置に対応する前記空気透過防止層の内面上の点をQとし、これら点Pと点Qとの間の領域をRとしたとき、少なくとも領域Rにおいて前記空気透過防止層の内面に複数の凹部と複数の凸部を交互に形成するように前記空気透過防止層の厚さを変化させ、
    前記空気透過防止層の内面がタイヤ子午線断面において曲線からなる周期的な起伏を有し、前記空気透過防止層の厚さtが50μm〜200μmの範囲にあり、前記曲線の振幅aが10μm〜55μmの範囲にあり、前記曲線の周期bが50μm〜700μmの範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 前記空気透過防止層の内面に形成された凹部及び凸部がタイヤ周方向に沿って連続的に延在し、これら凹部及び凸部の延長方向がタイヤ周方向に対してなす角度が0°〜30°の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記空気透過防止層が前記熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなり、該空気透過防止層の空気透過率が30×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHg〜45×10-12cc・cm/cm2・sec・cmHgの範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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