JP2016196220A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】加硫故障を防止すると共に、耐久性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】カーカス層4のタイヤ内面側にインナーライナー層10が配置された空気入りタイヤにおいて、カーカス層4のうち少なくともインナーライナー層10に最も近接する層に含まれるカーカスコード4Aをモノフィラメントで構成する一方で、インナーライナー層10を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムで構成する。【選択図】図2
Description
本発明は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムをインナーライナー層に用いた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、加硫故障を防止すると共に、耐久性を向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
従来、熱可塑性樹脂を主体とするフィルムをインナーライナー層に使用した空気入りタイヤでは、製造時に、カーカスコードとインナーライナー層との距離が近くなると、加硫直後にカーカスコードの撚りの中に含まれていた空気がインナーライナーを膨らませて、加硫故障が引き起こすという問題がある。
このような問題に対して、例えば特許文献1は、インナーライナー層とカーカス層との間に短繊維が配合された層間ゴムを配置し、カーカスコードとインナーライナー層とが近接することを回避することを提案している。しかしながら、このような構造のタイヤでは、短繊維を含んだ層間ゴムを追加するため、タイヤ重量が増加し、また、製造コストが増加するという問題がある。
また、上述のようにカーカスコードの撚りの中に含まれた空気が原因となることから、撚りが加えられていないカーカスコード、例えばモノフィラメントを用いることも考えられるが、モノフィラメントで構成されたカーカスコードは撚りコードに比べて硬過ぎるため、コード間でクラックが生じ易く、タイヤの耐久性を充分に保つことができないという問題がある。
本発明の目的は、加硫故障を防止すると共に、耐久性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部間に少なくとも1層のカーカス層が装架され、該カーカス層よりもタイヤ内面側に該カーカス層に沿ってインナーライナー層を配置した空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層のうち少なくとも前記インナーライナー層に最も近接する層に含まれるカーカスコードがモノフィラメントで構成される一方で、前記インナーライナー層が熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムで構成されたことを特徴とする。
本発明では、カーカスコードをモノフィラメントで構成しているので、コード内に空気が含まれることがなくなり、撚りコードを用いた場合のようにコード内に含まれた空気に起因する加硫故障が発生することを防止することができる。このとき、モノフィラメントからなるカーカスコードが熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムで構成されたインナーライナー層に近接して配置されているので、このインナーライナー層によってモノフィラメントの動きを抑制して、モノフィラメントに沿って生じるクラックの発生を防止することができ、タイヤの耐久性を高めることができる。
本発明では、インナーライナー層を構成するフィルムのヤング率が10MPa〜100MPaであり、厚さが10μm〜300μmであることが好ましい。このようにインナーライナー層の特性を設定することで、成型時のインフレートを阻害することなく、モノフィラメントの動きを拘束して、効果的にタイヤの耐久性を高めることができる。
本発明では、モノフィラメントが有機高分子材料で構成された仕様にすることもできる。或いは、モノフィラメントが無縒りのスチールワイヤで構成された仕様にすることもできる。
本発明では、カーカスコードとインナーライナー層との間のゴムゲージが1.0mm以下であることが好ましい。このようにゴムゲージを設定することで、インナーライナー層によってモノフィラメントからなるカーカスコードを効果的に拘束することができ、タイヤの耐久性を高めるには有利になる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
左右一対のビード部3間には少なくとも1層(図1では1層)のカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、図2に拡大して示すように、タイヤ径方向に延びる複数本のカーカスコード4Aを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7,8が埋設されている。各ベルト層7,8は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7,8において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7,8の外周側にはベルト補強層9が設けられている。ベルト補強層9は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層9において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。また、カーカス層4のタイヤ内面側にはカーカス層4に沿うようにしてインナーライナー層10が配置されている。
本発明は、上述のように一対のビード部3間にカーカス層4が装架される一方で、カーカス層4のタイヤ内面側にインナーライナー層10を有する空気入りタイヤに適用されるが、その具体的な構造は上述の基本構造に限定されるものではない。
本発明では、カーカス層4のうちインナーライナー層10に最も近接する層に含まれるカーカスコード4Aがモノフィラメントで構成されている。その一方で、インナーライナー層10は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムで構成されている。このようにカーカス層4(カーカスコード4A)およびインナーライナー層10を構成することで、撚りコードのようにコード内に空気が含まれることがなくなり、撚りコードを用いた場合に問題になるコード内に含まれた空気に起因する加硫故障が発生することを防止することができる。このとき、モノフィラメントからなるカーカスコード4Aは従来の撚りコードに比べて硬いが、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムで構成されたインナーライナー層10に近接して配置されているので、このインナーライナー層10によってモノフィラメントの動きを抑制して、モノフィラメントに沿って生じるクラックの発生を防止することができ、タイヤの耐久性を高めることができる。
具体的には、カーカス層4およびインナーライナー層10は、例えば図2〜4に拡大して示すように構成することができる。図2の実施形態では、複数本のカーカスコード4Aが埋設されたカーカス層4に対して、その内面側に隣接するようにインナーライナー層10が配置されている。この場合、インナーライナー層10がタイヤの最も内面側に位置している。また、図3の実施形態では、複数本のカーカスコード4Aが埋設されたカーカス層4Aに対して、インナーライナー層10がタイゴム層11を介してタイヤ内面側に配置されている。この場合も、インナーライナー層10がタイヤの最も内面側に位置している。一方、図4の実施形態では、複数本のカーカスコード4Aが埋設されたカーカス層4Aに対して、インナーライナー層10がタイゴム層11を介してタイヤ内面側に配置され、更に、その内面側に内面ゴム層12が設けられている。この場合は、インナーライナー層10の内面側に配置されたタイゴム層12がタイヤの最も内面側に位置し、インナーライナー層10はタイヤの内空間に対して露出していない。
これら図2〜4のいずれの場合も、カーカスコード4Aがモノフィラメントで構成されることで加硫故障を防止することができる一方で、カーカス層4とインナーライナー層10とが近接しているので、カーカスコード4Aが撚りコードよりも硬いモノフィラメントで構成されていても、カーカスコード4Aをインナーライナー層10によって拘束することができ、タイヤ耐久性を維持することができる。
このとき、特に、カーカスコード4Aとインナーライナー層10との間のゴムゲージGを1.0mm以下に設定することが好ましい。このようにゴムゲージを所定の範囲に収めることで、インナーライナー層10によってモノフィラメントからなるカーカスコード4Aを効果的に拘束することができ、タイヤの耐久性を高めるには有利になる。ゴムゲージGが1.0mmよりも大きいと、カーカスコード4Aとインナーライナー層10とが離間して、カーカスコード4Aをインナーライナー層10で充分に拘束することが難しくなる。尚、カーカスコード4Aとインナーライナー層10とが接近し過ぎるとカーカスコード4Aによってインナーライナー層10が損傷する虞があるため、ゴムゲージGは例えば0.1mmよりも大きいことが好ましい。
インナーライナー層10は、上述のように熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムで構成されていればよいが、より効果的にカーカスコード4Aを拘束するために、このフィルムのヤング率を10MPa〜100MPaの範囲に設定するとよい。また、インナーライナー層10を構成するフィルムの厚さは、例えば10μm〜300μmにすることができる。このとき、フィルムのヤング率が10MPaよりも小さいとカーカスコード4Aに対する拘束力が弱まり、カーカスコード4Aに沿って生じるクラックを充分に防止することができない。逆に、フィルムのヤング率が100MPaよりも大きいと、タイヤ成形時にインフレートが阻害される虞がある。また、フィルムの厚さが10μmよりも小さいと、インナーライナー層10が薄くなり過ぎて、インナーライナー層10の本来の機能を充分に発揮することが難しくなると共に、カーカスコード4Aに対する拘束力が弱くなる。フィルムの厚さが300μmよりも大きいと、インナーライナー層10が厚過ぎることによって、タイヤ成形時にインフレートが阻害される虞がある。
空気透過を防止するインナーライナーとしての機能を発揮するためには、通常のインナーライナーに要求される程度の低い空気透過性を有するとよいが、好ましくは、25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec・cmHg以下の空気透過係数を有するとよい。このように空気透過係数を小さくし、空気透過性を低くすることで、インナーライナー層10を透過した空気によってカーカスコード4A(モノフィラメント)が酸化劣化することを抑制することができ、タイヤの耐久性を高めるには有利になる。
カーカスコード4Aを構成するモノフィラメントは、例えば有機高分子材料から構成することができる。有機高分子材料としては、耐久性に優れるポリエステルやポリアミドを好適に用いることができる。また、カーカスコード4Aの断面形状は円形であることが好ましく、その径は例えば0.1mm〜0.3mmとするのが好ましい。
或いは、カーカスコード4Aを構成するモノフィラメントを、無撚りのスチールワイヤから構成することもできる。スチールワイヤを用いる場合も、カーカスコード4Aの断面形状は円形であることが好ましく、その径は例えば0.1mm〜0.3mmとするのが好ましい。尚、スチールワイヤは有機高分子材料よりも酸化により劣化し易い傾向にあるため、カーカスコード4Aとしてスチールワイヤを用いた際に、インナーライナー層10の空気透過性を上述の範囲に設定することは特に有効である。
本発明で用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
また、本発明で使用できる熱可塑性エラストマー組成物を構成する熱可塑性樹脂とエラストマーは、熱可塑性樹脂については上述のものを使用できる。エラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコーンゴム〔例えば、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
また、前記した特定の熱可塑性樹脂と前記した特定のエラストマーとの組合せでブレンドをするに際して、相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているエラストマーの粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、あるいは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらはブレンドされる熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)およびそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレンまたはEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定されないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性樹脂とエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物において、特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように適宜決めればよく、好ましい範囲は重量比90/10〜30/70である。
本発明において、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物には、インナーライナーとしての必要特性を損なわない範囲で相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。
また、エラストマーは、熱可塑性樹脂との混合の際に、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)などは添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等をインナーライナーとしての必要特性を損なわない限り任意に配合することもできる。熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、インナーライナーに十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果に、より十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができるものである。
タイヤサイズが195/65R15 91Hであり、図1に示す基本構造を有する空気入りタイヤにおいて、インナーライナー層を構成する素材、インナーライナー層のヤング率、インナーライナー層のゲージ、カーカスコードの素材、カーカスコードの構造(モノフィラメントであるか撚りコードであるか)、カーカスコードの径、カーカスコードとインナーライナー層との間のゲージ(カーカス/ライナー間ゲージ)をそれぞれ表1のように異ならせた比較例1〜2および実施例1〜7の9種類のタイヤを制作した。
尚、表1のインナーライナー層の素材の欄について、ブチルゴム(日本ブチル株式会社製EXXON BROMOBUTYL 2255)を用いた例について「ゴム」と表示し、表2に示す組成からなる熱可塑性エラストマー組成物を用いた例について「表2」と表示した。尚、熱可塑性エラストマー組成物を用いた場合、インナーライナー層は表3に示す接着ゴム層を介してタイヤ内面に設けられている。
また、表1のカーカス層の素材の欄について、有機高分子材料(ポリエステル,1000D/2)を用いた例について「有機繊維」と表示し、スチールワイヤを用いた例について「スチール」と表示した。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、製造性および耐久性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
製造性
各試験タイヤを10本ずつ製造し、加硫故障の有無を目視により判別した。評価結果は、製造した10本中に故障が発生したタイヤが1本でも含まれたものを「×」、故障が発生しなかったものを「○」で示した。
各試験タイヤを10本ずつ製造し、加硫故障の有無を目視により判別した。評価結果は、製造した10本中に故障が発生したタイヤが1本でも含まれたものを「×」、故障が発生しなかったものを「○」で示した。
耐久性
各試験タイヤをリムサイズ15×6JJのホイールに組み付けて、JATMA規定の最大空気圧を充填し、JATMA規定の最大荷重の120%を付加し、平均速度80km/hの条件で、タイヤ故障を起こすまでの走行距離を測定した。評価結果は、走行距離が100000kmを超えてもタイヤ故障を起こさなかったものを「◎」、走行距離が50000km以上100000km未満でタイヤ故障が発生したものを「○」、走行距離が50000km未満でタイヤ故障が発生したものを「×」として示した。評価結果が「◎」または「○」であれば、耐久性が優れることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ15×6JJのホイールに組み付けて、JATMA規定の最大空気圧を充填し、JATMA規定の最大荷重の120%を付加し、平均速度80km/hの条件で、タイヤ故障を起こすまでの走行距離を測定した。評価結果は、走行距離が100000kmを超えてもタイヤ故障を起こさなかったものを「◎」、走行距離が50000km以上100000km未満でタイヤ故障が発生したものを「○」、走行距離が50000km未満でタイヤ故障が発生したものを「×」として示した。評価結果が「◎」または「○」であれば、耐久性が優れることを意味する。
なお、表2において使用した原材料の種類を下記に示す。
‐BIMS:臭素化イソブチレン‐p‐メチルスチレン共重合体、エクソンモービルケミカル社製Exxpro 3035
‐酸化亜鉛:正同化学工業社製亜鉛華3号
‐ステアリン酸:千葉脂肪酸社製工業用ステアリン酸
‐ステアリン酸亜鉛:日油社製ステアリン酸亜鉛
‐N6/66:ナイロン6/66、宇部興産社製UBEウベナイロン5033B
‐変性EEA:無水マレイン酸変性エチレン‐エチルアクリレート共重合体、三井・デュポンポリケミカル社製HPR‐AR201
‐BIMS:臭素化イソブチレン‐p‐メチルスチレン共重合体、エクソンモービルケミカル社製Exxpro 3035
‐酸化亜鉛:正同化学工業社製亜鉛華3号
‐ステアリン酸:千葉脂肪酸社製工業用ステアリン酸
‐ステアリン酸亜鉛:日油社製ステアリン酸亜鉛
‐N6/66:ナイロン6/66、宇部興産社製UBEウベナイロン5033B
‐変性EEA:無水マレイン酸変性エチレン‐エチルアクリレート共重合体、三井・デュポンポリケミカル社製HPR‐AR201
また、表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
‐スチレンブタジエンゴム:日本ゼオン社製Nipol 1502
‐天然ゴム:SIR‐20
‐カーボンブラック:東海カーボン社製シーストV
‐ステアリン酸:千葉脂肪酸社製工業用ステアリン酸
‐アロマオイル:昭和シェル石油社製デソレックス3号
‐酸化亜鉛:正同化学工業社製亜鉛華3号
‐変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体:田岡化学工業社製スミカノール620
‐メチレンドナー:変性エーテル化メチロールメラミン、田岡化学工業社製スミカノール507AP
‐硫黄:軽井沢精錬所社製5%油展処理硫黄
‐加硫促進剤:ジ‐2‐ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業社製ノクセラーDM
‐スチレンブタジエンゴム:日本ゼオン社製Nipol 1502
‐天然ゴム:SIR‐20
‐カーボンブラック:東海カーボン社製シーストV
‐ステアリン酸:千葉脂肪酸社製工業用ステアリン酸
‐アロマオイル:昭和シェル石油社製デソレックス3号
‐酸化亜鉛:正同化学工業社製亜鉛華3号
‐変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体:田岡化学工業社製スミカノール620
‐メチレンドナー:変性エーテル化メチロールメラミン、田岡化学工業社製スミカノール507AP
‐硫黄:軽井沢精錬所社製5%油展処理硫黄
‐加硫促進剤:ジ‐2‐ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業社製ノクセラーDM
表1から判るように、実施例1〜7の空気入りタイヤは、比較例1および比較例2に対して、製造性および耐久性を両立した。即ち、コード内に残留した空気に起因する加硫故障を防止する共に、モノフィラメントからなるカーカスコード間に生じるクラックを防止することができた。
一方、比較例1は、カーカスコードがモノフィラメントで構成されているため、コード内に残留した空気に起因する加硫故障は発生しないが、インナーライナー層がブチルゴムで構成されているためモノフィラメントの動きが抑制できず、耐久性が悪化した。また、比較例2は、カーカスコードとして撚りコードが用いられているため、耐久性は優れるが、コード内に残留した空気により加硫故障が発生した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 サイド補強層
10 インナーライナー層
11 タイゴム層
12 内面ゴム層
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 サイド補強層
10 インナーライナー層
11 タイゴム層
12 内面ゴム層
Claims (5)
- 一対のビード部間に少なくとも1層のカーカス層が装架され、該カーカス層よりもタイヤ内面側に該カーカス層に沿ってインナーライナー層を配置した空気入りタイヤにおいて、
前記カーカス層のうち少なくとも前記インナーライナー層に最も近接する層に含まれるカーカスコードがモノフィラメントで構成される一方で、前記インナーライナー層が熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムで構成されたことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナー層を構成するフィルムのヤング率が10MPa〜100MPaであり、厚さが10μm〜300μmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記モノフィラメントが有機高分子材料で構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記モノフィラメントが無縒りのスチールワイヤで構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスコードと前記インナーライナー層との間のゴムゲージが1.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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JP2020037328A (ja) * | 2018-09-04 | 2020-03-12 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
EP4385759A1 (en) * | 2022-12-15 | 2024-06-19 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Tire |
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2015
- 2015-04-02 JP JP2015076307A patent/JP2016196220A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020037328A (ja) * | 2018-09-04 | 2020-03-12 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
EP4385759A1 (en) * | 2022-12-15 | 2024-06-19 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Tire |
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